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    元スレ麦野「ねぇ、そこのおに~さん」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×4
    タグ : - 黄泉川 + - むぎのん + - コラッタ + - バカテス + - フレンダ + - ブリス + - 上条 + - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    951 :

    > 『死』が、二人を分かつその日まで


    不吉だ・・・

    952 :

    ていとくん、そろそろ爆発しようか

    953 :

    え?どちらかの死亡フラグ立った?

    954 :

    ……上条さんの記憶喪失(死亡)フラグは立った。

    955 :

    記憶喪失はさけられないのか…ハッピーエンドはないのか…

    956 :

    とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。たくさんのレスをいつもありがとうございます。最大の原動力です。

    それでは本日の投下を始めさせていただきます。

    957 = 956 :

    ~第十五学区・噴水広場~

    上条「あっちいー…やっぱ早く来すぎたか…」

    バサバサと羽ばたき白い羽を真夏の青天へと振りまいて行く鳩の群れを見送り、上条当麻は僅かに汗を吸ったシャツの胸元を伸ばしたり引っ張ったりして風を送る。
    時刻は15時30分。小萌との補習もなんとか正午には切り上げられ息巻いて待ち合わせ場所まで来たものの…

    上条「まだ30分もあるしなあ…けど土御門が言うには“30分前行動は紳士の嗜みだにゃー”なんつーし」

    木陰を選んで広場全体を見渡せるベンチに腰掛けたもののやはり暑い。さっき買ったばかりのコーラがもう汗をかいている。
    ファミレスでのやり取りの流れから勢いとはいえ初めて自分から誘ったシチュエーションに恋愛経験までレベル0の上条は緊張していた。

    上条「麦野か…どうなんだろうな、結局のところ」

    第十九学区での告白とも取れる言葉と、薄れていった意識の中にも感じた唇の感触。なのに麦野は茶化すように蒸し返す事はあっても本筋には触れない。
    また上条もどう返して良いのか態度を決めかねていた。一本気な性格ではあるが、こうした経験に乏しいが故である。

    上条「ったく、わかんねーっつの…自分で自分がわっかんねえよ」

    一度目は狂気に満ちた殺人者、二度目は泣き叫ぶ子供のようで、今は…時折口の悪さが出るものの普通の女子高生に見える。
    出会って、触れ合って、ぶつかって。まだ出会って1ヶ月かそこらなのに…驚くほど近くに、側に、傍らに、麦野沈利はいた。

    ――そして今も――

    麦野「かーみじょう」ダキッ

    上条「おうわっ!?」

    慣れぬ物思いに耽っていた当麻のベンチに音もなく近付くとその豊かな胸に後頭部を抱くようにくっついてくる。
    思わず振り返ると16時5分を示す時計台と、ノースリーブの服を来た麦野とが見えた。こんなに時間が立っていたのかとやや驚く。コーラは既にぬるくなっている。

    958 = 956 :

    麦野「待った?」

    上条「あ、ああ。ちょうど今来たところだ」

    麦野「嘘。20分前からここにいたじゃない」

    上条「見てたんなら声かけろよ!」

    麦野「だって、当麻の顔見てたから」

    思わず首を回して抱きつく麦野を見上げる。当の麦野はそんな上条に鼻面をコツンと合わせて間近で囁く。

    麦野「気づいてたかなーん?アンタってボーっとテレビ見てたり、こうやって一人で待ってる時が一番カッコいいの」

    上条「一人でいる時の自分の顔なんかわかるわけないだろ…って普段上条さんどんな顔してるんでせうか…」

    思わず鼓動が高鳴る。見慣れた麦野のはずなのに、何故か一段高く見えた気がした。

    麦野「じゃあ移動する?それとも少し涼んでから?遅れちゃった分ご馳走してあげてもいいんだけど?」

    上条「そうだな、少し涼んでからにするか!」

    麦野「じゃあボックス。歌いたいし」

    そして二人は連れ立って歩く。麦野が腕を絡ませながら。広場を出て歩行者天国の至る所から伸びる笹の葉。そこに吊り下げられた幾多の願い。

    麦野「ねえ当麻?」

    上条「ん?」

    麦野「こんな綺麗なお姉さんと連れ立って歩けて嬉しい?」

    上条「自分で言うなっての!」

    笑いながら答える。確かに麦野は美人だ。この人混みの中でも振り返る男が何人もいた。確かに悪い気はしないのだが…

    麦野「そう?どんな服や高い腕時計つけてるより目立てるよ~かーみじょう」

    上条「麦野はモノじゃないだろ」

    麦野「モノでいいよ。アンタのモノで」

    たまにこういうとんでもない爆弾発言をする。返答に窮した上条はその特徴的なウニ頭をかいて誤魔化した。
    この雑踏の中で聞かれる事はないだろうが、こんなことを言われて勘違いしない男などいるのだろうか?

    麦野「その代わり、腕時計くらいには大切にして欲しいわね」

    麦野は答えを出した。次は己の番だと言われた気がした。

    959 = 956 :

    ~第十五学区・カラオケボックス『ハウリング』~

    麦野「っざけんなァァァ!あと4点はどこいったんだよぉぉぉー!」ガンガン!

    上条「落ち着けって麦野!マイク叩くな!見ろ!全国一位だろ!!何が不満なんだ!?」

    麦野「なーにが全国一位だ。そんなのカぁンケイねェェんだよォォ!94点なんてしょっぱい点数ジジイの××××の方がまだ気合いが入ってんだよぉぉぉ!」キーン!

    上条「マイク切ってから叫べよォォォ!」

    シルビィ・バルタンの『IRRESISTIBLEMENT』を天使のように歌い上げるも、採点の直後にご覧の有り様である。
    歌い上げるその儚い横顔は麦野の新たな一面を上条に感じさせるが、やはり麦野は麦野である。
    ヨーロピアンポップよりスラッシュメタルの方が似合いそうとは言わなかった。

    上条「そ、それに良い歌声だったと思うぞ?上条さん英語はわかりませんがこう、麦野サンの熱いハートが伝わるような…」

    麦野「(絶対わかってないなコイツ)」

    IRRESISTIBLEMENT…日本語に意訳すれば『あなたのとりこ』という曲だが、洋楽に明るくない上条はその歌詞を知らない。知っていれば上条の顔が真っ赤だ。
    麦野なりの愛のメッセージだったのだが、そんな上条の鈍さはもはや今更であった。

    麦野「はー…次アンタなんか歌いなさいよ。90点以下ならオ・シ・オ・キ・か・く・て・い・ね」

    上条「ったく…わかったよ。オレも久しぶりだからお仕置きはやめてくれよっと」ポチッ

    チャンチャチャラチャンチャチャラ…

    麦野「BACK-ON?バクオン?」

    緩やかなイントロの後激しいパートへと移り行く様を麦野は見ていた。熱唱する上条の姿がPVのツンツン頭の少年とかぶって見えた。『CHAIN』という曲らしい。

    麦野「(英語わかんないって言ったクセに上手いじゃない)」

    上条の意外な一面を見たような気がした。採点が始まり…終わった。点数は…

    960 = 956 :

    上条「は、89点…!」

    麦野「ざぁぁぁんねェェェんでぇぇぇしたァァァかーみじょうー!!」ガシッ

    上条「不幸だぁぁぁー!な、なにすんだ麦野!おいなんだ!なにすんだよ!?」

    麦野「あっはっはっはー!なーんで私がわざわざこんなボックス選んだと思うかわかるかしら?…音が漏れようが声出そうがカァァンケイねェェんだよぉぉぉー!」

    上条「だ、誰かー!」

    ~第十五学区・人工湖~

    夕刻。時間は17時35分を示していた。行き交う人々はそれぞれ繁華街を有する第十五学区と商業区画を有する第十六学区を結ぶ大桟橋か、その下に広がる森林公園内にある人工湖に集まっていた。

    麦野「花火って何時からだったけ?」

    上条「確か六時から九時までだろ」

    二人は広大な人工湖の畔にいた。至るところにあるストーンサークルの一つに腰掛けながら。

    麦野「腰痛いわねえ…当麻、膝だっこ」

    上条「へいへい…よっと」

    手の『マスクメロンのジーザスブレンド』を飲みながら上条の膝に移る麦野。歩くのが苦手というだけあって不得手な人混みで少々くたびれたようだ。

    麦野「ふんっ…あーいい気分。あのお子様のクソガキが見たらどんな顔するかしらねー?」

    上条「?」

    麦野「あのいけ好かない第三位よ。今の私達、付き合ってるみたいに見えない?」

    膝の上からもたれるようにしながら腕を後ろに上げて上条の首筋に触れる。勝ち誇ったような表情で。

    麦野「それとも…アンタはあの第三位みたいな方がタイプ?」

    上条「ビリビリは違うだろ。あれはケンカ友達っていうか…う~ん友達か?未だに見つけたら電撃飛ばしてくるし…オレって嫌われてるのかな…」

    リンゴ飴を舐めながら溜め息をつく上条。ただし肝心の『付き合ってるみたい』という部分には敢えて触れない。だが麦野は追求の手を緩めない。

    961 = 956 :

    麦野「じゃあ、私は当麻のなに?」

    上条「…えっ」

    麦野「ただの女友達?どうして他人の事には一生懸命なのに自分の事はいつも後回しなのかしらね、アンタは」

    屋台からの呼びかけ、出店の賑わい、人々の話し声、雑踏の音、薄暗くなり始めた空に、迷子のアナウンス、目の前の麦野の顔が…見えない。

    麦野「私、アンタとお祭り来るって決めてから浴衣買おうかなって思ったんだけど、やめたんだわ。歩きにくいし似合わないし。来年にしようかなって」

    こんなに近くにいるのに、麦野が遠い。

    麦野「でも、今ちょっと後悔してるのよ」

    『――間もなく織女星祭、大花火大会を開催いたします――』

    時計が、六時を指し示した。

    麦野「――来年が来るだなんて、どうして言えるの?当麻――」

    ドン!ドーンドーン!ドーンドーン!

    花火が上がる。夕闇が晴れる。腕の中の麦野の顔が見えた。

    ~第十五学区・人工湖2~

    上条「なんだよそれ…ははっ、そんな…死ぬかも知れないみたいな」

    麦野「私には今しかねえんだよ上条当麻。来年どころか、明日の保証なんてお上品な代物あのクソッタレな暗部では聞いた事すらないわ」

    赤色、黄金色、大輪の菊。様々な花火が夜空というキャンパスに描かれては消え行く。周囲から歓声や拍手が上がる。にもかかわらず

    麦野「何が最後になるかわからない。私はそういう覚悟でアンタの側にいんだよ…見くびってんじゃねえぞクソガキ」

    麦野から目を離せない。痛いほど真っ直ぐな眼差しだ。

    962 = 956 :

    麦野「まっ、こういう言い方は卑怯だったわ。ごめんね当麻。今私スッゴい嫌な女だった」

    そういって麦野は目元を和らげた。それが一層、上条の胸に突き刺さった。

    上条「…沈利」

    麦野「…なに?花火見なさいよ。そのために来たんじゃないのかーみじょ…う!?」

    その時、上条は麦野を抱き締めた。小さな背中、細い肩ごと力強く。

    麦野「…イッタイわね…何よいきなり」

    上条「………………」

    手を握る事や、腕を組まれる事や抱きつかれる事は今までいくらもあった。だが…こうして麦野を抱き締めた事は上条にはなかった。

    麦野「あれー?どうしたのかーみじょう?さっきの話聞いて不安になっちゃったー?あれー?…大丈夫よ当麻。私はレベル5の第四位よ。それは私と三度も戦ったアンタが一番良く知ってるでしょ?」

    上条「でも…その前に麦野だって女の子じゃないのかよ!」

    無理にシリアスな空気を和らげようとした麦野に上条が押し[ピーーー]ように言った。不意に、垣根帝督の言葉が上条の脳裏に浮かぶ。

    垣根『――オマエの言うレベル5の女が誰かは知らねえが、女は女だ。女は言葉じゃ納得しねえ――』

    今やっと、上条当麻は自分の思いを自覚した。最初は冷徹な抹殺者、次は情緒不安定な女の子、今は…今の麦野沈利は上条当麻の…

    麦野「…なら行動で示してみなさいよ上条。紛い物の言葉なんていらない――本当のアンタを、私に寄越しなさいよ」

    垣根『――男だってそうだろ?お前だってそんな小利口な生き物に出来てねえハズだぜ?――』

    上条の膝の上にいた麦野が顔を寄せる。遠い夜空に夢の中のような花火が上がっている。いくつもいくつも。皆がそちらを向いている。だが

    麦野「…二度目は、アンタから来て…」

    麦野は上条しか

    上条「…ああ、見せてやるよ。オレの答えを」

    上条は麦野しか見ていなかった。

    963 = 956 :

    ドン!ドン!パラパラパラパラ…ドーンドーン…

    花火が上がる。照らされた二人の男女の影絵が2つに重なる…2人しかこの世界にいないように…

    麦野「…ヘタクソ」

    上条「…悪い、初めてだったんだよ」

    麦野「…知ってるわよ童貞」

    上条「童貞って言うなよ!!!」

    麦野「…でも」

    上条「?」

    永遠にも感じられた一瞬が、1つの影絵を2人のシルエットに戻して行く。少しはにかんだようにうつむく麦野と、バツが悪そうに顔を赤くする上条。

    麦野「…もう一回…」

    七月七日…二人にとって、この『織女星祭』は最初で最後の記念日となった。

    出会って、触れ合って、ぶつかって、ようやく結ばれた二人。

    しかし

    「ハッ…ハッ…ハッ…あ、あそこかも!やっと見つけたんだよ!学園都市!!」

    夜闇を駆ける、純白の修道女は光を求めてゲートを目指す。二人と同じく、花火を目印にひた走る。その先に待ち受ける運命も知らずに…

    上条当麻と麦野二人の短い夏…残り13日。

    夏への扉を開く、夢のような一夜はこうして幕を閉じた。

    964 = 956 :

    とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。通し番号の最初の14は13の誤りです。内容にはズレはありませんが申し訳ございません。

    織女星祭編はこれにて終了です。次回はノープランですが…最初の予定通り「借りっぱなしのプール編」か「突撃!麦野家お泊まり編」のどちらか、または両方になると思います。

    それでは本日はこれで失礼いたします。ありがとうございました。

    966 :

    キスktkr
    でもインデックスきちまった・・

    967 :



    むぎのんがヤバいくらいに精神崩壊して終わりそう…

    968 :

    BAD END になりそうで胸が張り裂けそうだ……

    作者さん乙です!

    969 :

    乙。IRRESISTIBLEMENTの歌詞と曲調べたら泣いた。この麦のんは救われなきゃダメだ。

    そしてこんなにインデペンデンスさんに出てきてほしくないssは初めてだ。シリアルじゃないのに
    鬱の予感がとまらねえ…精神崩壊したら…

    970 :

    >>969
    むしろどこにチョコワがでてきたんだよww

    971 :

    とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。本日の投下をさせていただきます。
    そしてたくさんのレスをありがとうございます。記憶喪失についてですが…恐らく、自分でもギリギリ最後の瀬戸際までハッピーかバッドか決まらないと思います。

    スレも残り少ないですが、よろしくお願いいたします。

    972 = 971 :

    ~第十五学区・モノレール~

    麦野「苦しっ…」

    上条「(むっ、胸が…!)」

    織女星祭終了後、2人は帰りのモノレールの車内にすし詰めにされていた。
    最初から予想されていた事だが、思った以上に帰り道である大桟橋は混雑を極め、2人は長蛇の列を並び終えて一時間遅れで帰路への足掛かりを得た。
    今は上条が身を挺して麦野に身体を預けさせ仲良く揺られている形である。そのせいか麦野沈利の豊かな胸元が上条当麻の身体に密着している体勢だ。

    麦野「…かーみじょう。伸ばした鼻の下に穴もう一個増やして欲しい?」

    上条「はい!?か、上条さんはそんなふしだらな男ではありませんの事ですよ」

    麦野「…嘘吐きは鼻が伸びるってのも絵本で読まなかった?かーみじょう」グリグリ

    上条「イタタタ!?沈利!足!足踏んでるって!」

    麦野「ごっめーん狭くってつい☆」

    乗客「「「(うぜえ…)」」」

    先程までの照れ隠しなのか密着しながらも仕返しする麦野。悶える上条。車内の温度を違った意味で上げる二人への冷たい視線を送る乗客。

    麦野「(彼氏、かぁ…)」

    ポフッと麦野は上条の胸板に額を預ける。少し高めの体温、少し早めの鼓動、少し汗臭くなっているが嫌ではない。
    部屋にあるかなり年季の入ったぬいぐるみに顔を埋めるように目を細める。肌を重ねたでも身体を交わしたでもないのに、麦野はもう離れられる気がしなかった。

    上条「(かっ、かっ…彼女、かぁ…)」

    先程抱き締めた時の華奢な身体の感触がまだ腕に、手に、指に残っている。
    幸福過ぎて現実感が無く、もしやこれは真夏の妖精が見せる一夜の夢ではないかと上条は思う。だがしかし…

    麦野「………………」キュッ

    上条「…どうした沈利?疲れたちまったのか?もう少し我慢してくれよな。あと二駅だから」

    麦野「………………」フルフル

    上条「沈利?」

    麦野「当麻…」

    973 = 971 :

    上条に身体を預けたままジッとしていた麦野がシャツの裾を握り首を横に振る。
    モノレール内の蒸し暑さに気分を悪くしたのかと上条は訝った。だが麦野の口から出た言葉は――

    麦野「ウチくる?」

    上条「」

    麦野「おいおい黙んないでよ。優しくさすってやれば感覚戻るかにゃーん?」ナデナデ

    ~第?学区・麦野沈利の別宅~

    上条「(拝啓…私こと上条当麻は、今カノジョの部屋におります)」

    ひと月分の家賃で軽く一年分の仕送りと奨学金を凌駕する高級マンションの一室に上条当麻は放り込まれていた。
    麦野曰わく、イタリア製の聞いた事もない家具ブランドのソファーに座り、頭を抱えて。

    上条「どうしてこうなった…」

    初めて自分からデートに誘った、初めて自分からキスをした、初めて自分に彼女が出来た、初めて尽くしの一日の帰路の中…麦野が告げた言葉に上条は激しくうろたえ、最初は固辞しようとした、が…

    麦野『タマ落としてんじゃねえよこのエセ紳士!まだ早いとか関係ねえよ!!初めてとかカァンケイねェェんだよォォォ!!女が腹くくって誘ってんのに恥かかすんじゃねえぇぇ!』

    と、強制連行されてしまったのだ。当の麦野は今シャワーを浴びている…年上の綺麗なお姉さん系にして初めての彼女…初めて上がる部屋…

    上条「お、大人の階段の~ぼ~る♪」

    何故か父が口ずさんでいた歌を歌ってしまう上条当麻であった。

    ~第?学区・麦野家バスルーム~

    麦野「どうしてこうなった…」

    麦野沈利は浴槽に身を沈めながらバチャバチャとお湯を弾きながら顔を真っ赤にしていた。羞恥と湯当たりに。
    電車内でのやり取りはもっと可愛らしく誘いたかった。女の子らしくしたかった。なのに上条がビビって拒もうとしたから…

    麦野『なんだなんだぁその引け腰はぁ!そんな腰使いじゃ○○○もイケねえぞォォッ!ウブなネンネじゃねェェんだよォォ!遅いか早いかやるかどうかなんだってんだァァ!』

    麦野「…どうしてこんなにひどい流れになっちゃったのかな」

    975 = 971 :

    ~第?学区・麦野家リビング~

    麦野「ごめん…当麻」

    上条「いいって。疲れてたんだろ?」

    今麦野沈利はリビングのソファーで上条の膝枕に頭を乗せていた。
    夏の陽射し、織女星祭、告白と成就、そして不安と長湯が重なり疲れていた麦野はのぼせて倒れてしまったのである。
    その物音を聞きつけた上条に引っ張り出され、今はバスローブ姿だ。

    麦野「せっかく来てもらったのに…」

    上条「いいんだっつの」

    麦野「期待してたでしょ?」

    左手を伸ばして上条の頬に触れる。その言葉に上条の方がのぼせたように熱い。その手を取られる。

    上条「無理すんなって。焦る事ねえよ…俺達は俺達のペースで行こう…今は沈利の身体の方が大事…だろ?」イケメンAA

    麦野「(ずるい…)」

    だがもうそんなムードではない事も確かである。女慣れしていないくせにこういうところだけガツガツしていない。
    こっちは離れるのが忍びなくなって、決死の思いで誘ったというのに…

    麦野「じゃあ、朝までいて」

    上条「!?」

    麦野「それともぉ…こ~んなフラフラの女の子ほったらかして帰れるのかなか~み~じょ~う?」

    ~第?学区・麦野家寝室~

    上条「(~~~ッッッ!!!)」

    麦野「あれー?あれー?さっきまでのイケメン面はどこに行ったのかなー?あれー?」

    2人は天蓋付きのクイーンサイズのベッドに同衾していた。向かって左側が寝ているのにほぼ直立不動の上条、その右側に侍るは麦野。
    上条の腕枕に頭を乗せ、胸板に手を乗せ、際どく脚を絡めている。逃がすまいとでもするように。

    上条「むっ、ムギノサン?カミジョウサン、フロバネル、イキナリヨクナイ」

    麦野「なにインディアンになってるのよ…“ただ”寝るだけじゃない?お客さんをバスに寝かせるなんて出来るはずないでしょ」

    上条「カミジョウサンソファーデネル、マダハヤイ、イマナンジ?ソーネダイタイネー」

    『ただ』という点を敢えて麦野は強調する。上条が理性を無くせばこちらの勝ち、手を出さなくても上条がヘタレという事でやはり勝ち。どちらに転んでも麦野の優位は動かない。

    976 = 971 :

    麦野「(上条当麻…この土壇場に来て…やっぱりアンタは童貞よ…ふふふふ…ごくありふれたラブコメしか知らない人間の考え方をする…)」
    麦野「(付き合ったその日にお泊まりイクナイ』とか女から誘うのなんてありえないだとか…)」
    麦野「(便所のネズミのクソにも匹敵するそのくだらない物の考え方が命取りよ!フッフッフッフッ…)」

    麦野「(この麦野沈利にはそれはないわ…あるのはたったひとつの思想だけ…たったひとつ!“惚れさせて独占する”)」!

    麦野「(それだけよ…それだけが満足感よ!過程や…!方法なんざ…!関 係 ね ェ ェ ん だ よ ォ ー ー ー ッ」)」

    どこぞの吸血鬼が乗り移ったように勝ち誇る麦野。一方、上条当麻は…

    上条「(どうする?なにをどうすれば…方法は?タイミングは?武器は?何を…どう選べば!?)」

    メスライオンに求愛されるオスのシマウマの図である。紳士である前に上条は男である。男に戦いは常である。

    上条「む、麦野!本当に寝るだけだぞ!寝るだけだからな!いいよな!?」

    麦野「だからそう言ってるじゃない…ちょっとアンタ鼻息荒すぎ」

    どこまで奥手なんだ新手の焦らしか?それともフリか?とジト目になりながら麦野は上条を見上げる。
    だが当人はひどく弱気な表情で…

    上条「わ、悪い…オレこういうの初めてで…」

    ブチッ

    だが…我慢に我慢を重ねていた麦野にとってはそれが限界点であった。

    麦野「わ、私だって初めてだってんだよぉぉぉ!!!」

    上条「!?」

    麦野「?!」

    二人の間に天使が通り過ぎて行った。

    977 = 971 :

    上条「は、初めてって…?」

    麦野「………!」

    言った、言った、言ってしまった。地金と馬脚の両方を晒してしまった。一度に

    麦野「ああそうよ!初めてだよ!キスしたのだって彼氏出来たのだって男を家に上げたのだって!」

    ボスンと上条に覆い被さり麦野が吠える。肩を小刻みに震わせながら

    麦野「重いだろぉがぁ!私アンタより年上なのに!年下のアンタと同じなんて重いでしょうが!!」

    上条「痛っ、痛っ!?」

    ボスボスと上条の胸を叩く。しかしその力はひどく弱々しい。

    麦野「小学校は化け物扱い、中等部は腫れ物扱い、女学院に至っては暗部入りだレベル5だ第四位だ!声かけてくんのはモルモット扱いの研究者かヤリたい盛りで頭カラッポのチャラ男ばっかりだってんだよ!んな重てぇ女アンタ以外の誰が必要とするってんだよォォオッ!」

    後半はほとんど涙声だ。必死に築いてきた『自分が周りにどう見られているか』という壁が崩れていく。過剰なスキンシップは、言わば防衛反応。踏み込まれるのが怖いから年上の女を演じる。
    まともな恋愛をした事がないから距離感がわからず過ぎた手探りを繰り返す。
    上条を手放したくないから身体で繋ぎ止めようとする。でなければ二度目のキスをあんなにしおらしくしない。お風呂でのぼせたりしない。

    麦野「ううっ…こうでもしなきゃあの第三位がまた来るでしょうが!あのリンゴ持って来た女の子も!アンタを…当麻を盗られるじゃない!」

    上条「………………」

    それを上条は黙って聞いていた。しかしそれは涙で目元がグシャグシャの麦野にはわからない。

    上条「沈利」

    麦野「(ビクッ)」

    麦野の身体の震えが上条に伝わる。上条の声音が麦野の耳朶を震わせる。

    上条「オレはそんなに頼りない彼氏か?」

    麦野「ちっ、違う…!」

    上条「言っただろ…お前の全部抱えて引きずり上げてやるって!」

    麦野沈利はまだ見誤っていた。上条当麻という男を。

    上条「いいぜ…お前が自分の事を重い女だって思い込んでるってなら…オレが年下だから本当の“麦野沈利”を偽るってなら――」

    麦野「と、当麻…!あうっ!」

    泣いている女の子を前にしてヘタレ続けるほど上条当麻は臆病ではなく…安っぽい同情や薄っぺらい使命感で動くほど人間が出来ていないと言う事を

    上条「――まずは、その幻想をぶち壊す」

    麦野「とう――んむっ!」

    978 = 971 :

    とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。本日の投下はここまでになります。次回よりお泊まり編から借りっぱなしのプール編に移行します。

    それでは失礼いたします…上麦に幸あれ…

    979 :

    乙!

    麦のんかわいい……


    なぜに浜面wwwwww

    980 = 967 :



    そげぶは必要あったのか?

    981 = 969 :

    >>980
    麦野「小学校は化け物扱い、中等部は腫れ物扱い、女学院に至っては暗部入りだレベル5だ第四位だ!声かけてくんのはモルモット扱いの研究者かヤリたい盛りで頭カラッポのチャラ男ばっかりだってんだよ!んな重てぇ女アンタ以外の誰が必要とするってんだよォォオッ!」

    ↑この幻想はそげぶしてやらにゃ麦のんが重い処女になっちまうだろwwwwwwwwwwwwwww

    ん?こんな時間に誰かきたみたいだ

    982 :

    無茶しやがって・・

    強気な処女むぎのんかわいいよむぎのん

    984 :

    >>976の上条さんがアニェーゼの台詞言ってて
    何故か笑ってしまったww

    985 = 971 :

    とある星座の偽善使い(フォックスワード)の者です。皆様にお願いがあります…

    やはりPC復活のメドが立たず、新たにスレ立てが出来ません…恥を忍んでお願いいたします。力を貸して下さい…

    986 :

    みんなー!オラに…じゃない >>985に力を分けてくれー!

    987 :

    http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1291819165/
    ほい

    988 = 971 :

    >>986さん
    >>987さん
    ありがとうございます…本当にありがとうございます…!
    感謝の言葉が他に出てきません…ありがとうございますありがとうございますお疲れ様です…!

    989 = 986 :

    >>987さん NICE! GJ!

    あれ、俺…何にもしてなくね?
    Zソード並に貢献してないのに感謝されるって、なんか申し訳ないorz

    990 :

    Zソードwwwwwwww
    言い過ぎだwwww

    991 :

    zソードってトランクスが持ってた剣?

    992 :

    界王神のご先祖様が封印されていた媒体の事じゃなかったっけ

    それはともかく麦野さん禁書格ゲー登場おめでとう!
    続編が出るなら相手を踏んづけた後高笑いしながら回転した後決めポーズをする技もやってね!

    993 :

    格ゲーになるのかwwwwww

    994 :

    >>743の続きwwwwww


    上条「…(えええええええええっていうかまず食えねえだろおおおお)」

    麦野「大体この私がわざわざ家に来て飯を作ってくれてるって時点でてめえは頭を下げて感謝すべきだろォがよォオオオオ」

    上条「すいませんでしたあああああああああ!頭下げるからビームは止めて上条さん、そんなのよけれるほど元気じゃないですことよ!」

    麦野「もう遅えんだよォ上条ォオオ」 
    麦野の手が光で覆われその手を上条に向けそれを放つ、
    『パキィ』
    麦野「手ェおろせよ、童貞がァァアア」

    上条「くうっ……着実に上条さんの精神を削りやがって、おろしたら上条さん死んじゃいますよ……っていうよりもう許して下さりませんか麦野様
       何でもいたしますので……」
    麦野の動きがピタッと止まる、
    麦野「……本当に何でも?」

    上条「…あっ上条さんが出来る事なら何でもということでございましてですね、あとお金のかかること以外で」

    麦野「じゃあ上条が風邪の間ずっとここに泊まってていい?治ったらそのままデートで」

    上条「いや…その……女性が男の家に一人で泊まるっていうのはちょっと…」

    麦野「チッお前…何でもいいって言ったよな……大体こんな綺麗なお姉さまにこんなこと言われて断る?チ○ポついてんのかてめえは?」

    上条「分かった!分かったから汚い言葉使わないで!上条さんからのお願い」

    そんな感じで風邪が治るまで止まることになったのだが。
    次の日風邪が治って麦野がブチ切れましたとさ

    めでたしめでたし

    995 :

    >>994
    乙です!風邪が治って切れる麦野さんが可愛い…

    1000 :

    麦のんは俺の母ちゃん


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