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元スレ僧侶「ひのきのぼう……?」
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僧侶「それなら、回復呪文を。治るとまではいかずとも、多少は楽になりましょう」
僧侶「あなたは特にホイミに抵抗はありませんね? アレルギーとか、アンデッドだったりとか」
宿の女「あの……申し訳ありませんが……」
宿の女「私には……一切の回復呪文も、効果がないのです……」
僧侶「えっ、どういうことですか?」
宿の女「……本当は、私がここにいるだけでも大変なことなのに……」
宿の女「行かなければならないのに……いつかこうなることは分かっていたのに……」
宿の女「ああ……でも、もっと留まりたいのです……一日でも長く、この町に……」
僧侶「あのう」
僧侶「良かったら、詳しく話していただけませんか?」
僧侶「誰かに話すことで、楽になることもありますよ」
宿の女「……そうですね……あなたにはご恩がありますし……」
宿の女「私の決断を後押ししてくれるかもしれません……お話しします……」
宿の女「……私は、人間ではありません……実はあの子も、私の実の子ではありません……」
僧侶「はい、そんな気がしてました。絶対に誰にも話しません。続きをどうぞ」
僧侶「あなたは特にホイミに抵抗はありませんね? アレルギーとか、アンデッドだったりとか」
宿の女「あの……申し訳ありませんが……」
宿の女「私には……一切の回復呪文も、効果がないのです……」
僧侶「えっ、どういうことですか?」
宿の女「……本当は、私がここにいるだけでも大変なことなのに……」
宿の女「行かなければならないのに……いつかこうなることは分かっていたのに……」
宿の女「ああ……でも、もっと留まりたいのです……一日でも長く、この町に……」
僧侶「あのう」
僧侶「良かったら、詳しく話していただけませんか?」
僧侶「誰かに話すことで、楽になることもありますよ」
宿の女「……そうですね……あなたにはご恩がありますし……」
宿の女「私の決断を後押ししてくれるかもしれません……お話しします……」
宿の女「……私は、人間ではありません……実はあの子も、私の実の子ではありません……」
僧侶「はい、そんな気がしてました。絶対に誰にも話しません。続きをどうぞ」
宿の女「私は……私の正体は……」
宿の女「『伝説の剣』の『刃』です……」
僧侶「『伝説の剣』? あの、魔王を討ち果たせるという剣ですか?」
宿の女「はい……」
宿の女「今の私は、本来霊体であるはずの存在に、無理に肉体をこしらえたものです……」
宿の女「元は……『伝説の剣』が悪用されないように、天が備えた仕掛けなのですが……」
僧侶「信じますよ。それで、あなたの疲れの原因は?」
宿の女「はい……私の依り代は『伝説の剣』……」
宿の女「それが今、この町にはありません……」
宿の女「そのことにより、私自身の自我が保てなくなっているのです……」
僧侶「この町には、『伝説の剣』があったんですか?」
宿の女「はい……しかし先日、勇者様がこの町を訪れた際に……」
宿の女「所有者である夫が……勇者様に譲り渡しました……」
僧侶(よかった。ちゃんと勇者には行き渡っていたんだ)
僧侶「ん? でも、『刃』の精霊さんがここにいるってことは……?」
宿の女「『伝説の剣』の『刃』です……」
僧侶「『伝説の剣』? あの、魔王を討ち果たせるという剣ですか?」
宿の女「はい……」
宿の女「今の私は、本来霊体であるはずの存在に、無理に肉体をこしらえたものです……」
宿の女「元は……『伝説の剣』が悪用されないように、天が備えた仕掛けなのですが……」
僧侶「信じますよ。それで、あなたの疲れの原因は?」
宿の女「はい……私の依り代は『伝説の剣』……」
宿の女「それが今、この町にはありません……」
宿の女「そのことにより、私自身の自我が保てなくなっているのです……」
僧侶「この町には、『伝説の剣』があったんですか?」
宿の女「はい……しかし先日、勇者様がこの町を訪れた際に……」
宿の女「所有者である夫が……勇者様に譲り渡しました……」
僧侶(よかった。ちゃんと勇者には行き渡っていたんだ)
僧侶「ん? でも、『刃』の精霊さんがここにいるってことは……?」
宿の女「お察しの通りです……私がここに居る以上、『伝説の剣』は不完全のまま……」
宿の女「たとえ真の勇者であろうと、何者にも、抜くことはできないのです……」
僧侶「ええっ。それじゃあ、魔王が倒せないのでは」
宿の女「ああ……その通りです……」
宿の女「私が剣に宿らなければ……きっと世界が救われることはないでしょう……」
宿の女「でも、夫が……ほんのひと月だけ、ここにいて欲しいと……」
宿の女「あとひと月だけ……私と共に、あの子と共に過ごして欲しいと……」
僧侶「……でも、勇者はもう魔王城へ乗り込みます。たぶん、ひと月も経たないうちに」
僧侶「魔王との戦いのとき、剣が抜けなかったら大変ですよ」
宿の女「はい……でも……」
宿の女「私の存在の主体は、剣の方にあるのです……私が戻ってしまえば……」
宿の女「私の意識は消えてしまい……こうして誰かと対話することもできなくなるでしょう……」
僧侶「もう二度と、人の姿に戻れなくなるんですか?」
宿の女「……試したことがないので、分かりません……ただ……」
宿の女「遠方での戦いに赴くことになるので……もし勇者様が敗北してしまったら、私も……」
宿の女「たとえ真の勇者であろうと、何者にも、抜くことはできないのです……」
僧侶「ええっ。それじゃあ、魔王が倒せないのでは」
宿の女「ああ……その通りです……」
宿の女「私が剣に宿らなければ……きっと世界が救われることはないでしょう……」
宿の女「でも、夫が……ほんのひと月だけ、ここにいて欲しいと……」
宿の女「あとひと月だけ……私と共に、あの子と共に過ごして欲しいと……」
僧侶「……でも、勇者はもう魔王城へ乗り込みます。たぶん、ひと月も経たないうちに」
僧侶「魔王との戦いのとき、剣が抜けなかったら大変ですよ」
宿の女「はい……でも……」
宿の女「私の存在の主体は、剣の方にあるのです……私が戻ってしまえば……」
宿の女「私の意識は消えてしまい……こうして誰かと対話することもできなくなるでしょう……」
僧侶「もう二度と、人の姿に戻れなくなるんですか?」
宿の女「……試したことがないので、分かりません……ただ……」
宿の女「遠方での戦いに赴くことになるので……もし勇者様が敗北してしまったら、私も……」
>>606
完全にアンデット
完全にアンデット
僧侶「それなら大丈夫です」
宿の女「えっ……?」
僧侶「僕は、元は勇者のパーティーにいましたから分かります」
僧侶「大丈夫です。勇者はとても芯の強い女の子です。必ず勝ちます」
僧侶「それに王都で最強の戦士さんもいるし、アイテム管理の天才の商人さんもいます」
僧侶「僕とあんまり歳も変わらないのに、呪文を極めたっていう賢者さんも加わりました」
僧侶「負けるはずがないですよ。必ず勝ちます。だから、勇者を信じてください」
宿の女「……」
僧侶「それに勇者は、神父さんの教えを守ってきた、とても優しい心の持ち主です」
僧侶「魔王を倒した後、誰かが事情を話せば、きっとこの町に剣を返してくれます」
僧侶「そうしたら賢者さんもいるし、きっと元の生活に戻してくれます」
僧侶「だから、安心してください」
宿の女「……」
宿の女「……」
宿の女「そうですね……分かりました」
宿の女「えっ……?」
僧侶「僕は、元は勇者のパーティーにいましたから分かります」
僧侶「大丈夫です。勇者はとても芯の強い女の子です。必ず勝ちます」
僧侶「それに王都で最強の戦士さんもいるし、アイテム管理の天才の商人さんもいます」
僧侶「僕とあんまり歳も変わらないのに、呪文を極めたっていう賢者さんも加わりました」
僧侶「負けるはずがないですよ。必ず勝ちます。だから、勇者を信じてください」
宿の女「……」
僧侶「それに勇者は、神父さんの教えを守ってきた、とても優しい心の持ち主です」
僧侶「魔王を倒した後、誰かが事情を話せば、きっとこの町に剣を返してくれます」
僧侶「そうしたら賢者さんもいるし、きっと元の生活に戻してくれます」
僧侶「だから、安心してください」
宿の女「……」
宿の女「……」
宿の女「そうですね……分かりました」
宿の女「どの道……魔王が世を支配するようになれば」
宿の女「夫もあの子も……いずれ危険な目に遭うでしょう」
宿の女「宿命を受け入れられず……目先の幸せに焦がれていた私を、お許しください」
宿の女「私の迷いに……心強い言葉をかけてくださって、ありがとうございました」
僧侶「いいえ。迷いが消えたようで何よりです」
宿の女は ゆっくりと起き上がり ベッドを降りた ▼
宿の女「私は、もう行きます。勇者様のもとへ……」
宿の女「勇者様の位置は分かります……北の城の、城下の一軒家……」
僧侶「もう、行くのですか?」
宿の女「はい。一刻も早く戻らなければ……勇者様を誤解させてしまいます」
僧侶「ああ、そうか。それはいけないですね」
宿の女「あの子は……何も知りません。夫も……私が行くことは強く反対していました」
宿の女「ひと月だけ残って欲しいというのも……散々妥協した末の言葉なのです」
宿の女「なので二人のいないうちに……私はあるべき場所へ向かおうと思います」
宿の女「夫もあの子も……いずれ危険な目に遭うでしょう」
宿の女「宿命を受け入れられず……目先の幸せに焦がれていた私を、お許しください」
宿の女「私の迷いに……心強い言葉をかけてくださって、ありがとうございました」
僧侶「いいえ。迷いが消えたようで何よりです」
宿の女は ゆっくりと起き上がり ベッドを降りた ▼
宿の女「私は、もう行きます。勇者様のもとへ……」
宿の女「勇者様の位置は分かります……北の城の、城下の一軒家……」
僧侶「もう、行くのですか?」
宿の女「はい。一刻も早く戻らなければ……勇者様を誤解させてしまいます」
僧侶「ああ、そうか。それはいけないですね」
宿の女「あの子は……何も知りません。夫も……私が行くことは強く反対していました」
宿の女「ひと月だけ残って欲しいというのも……散々妥協した末の言葉なのです」
宿の女「なので二人のいないうちに……私はあるべき場所へ向かおうと思います」
昔ガンガンで夜麻みゆきが描いてたファンタジー連載が思い浮かぶなあ
あれ完結したんだろうか
あれ完結したんだろうか
>>609
そっちだったか
そっちだったか
僧侶「またきっと、元の生活ができます」
僧侶「こう言うのも変ですけど、どうか、ご無事で」
宿の女「はい……色々とありがとうございました」
宿の女「では……」
宿の女は 白い光に つつまれた!
宿の女は またたく間に 窓から飛び去っていった――! ▼
僧侶「すごい。ルーラみたい」
僧侶(……どうかあの人が無事に、またここで生活できますように……)
バタン!
師範「今の光はなんだ!?」
僧侶「!」
師範「! お前はっ! なぜお前がここにいる!?」
僧侶「こう言うのも変ですけど、どうか、ご無事で」
宿の女「はい……色々とありがとうございました」
宿の女「では……」
宿の女は 白い光に つつまれた!
宿の女は またたく間に 窓から飛び去っていった――! ▼
僧侶「すごい。ルーラみたい」
僧侶(……どうかあの人が無事に、またここで生活できますように……)
バタン!
師範「今の光はなんだ!?」
僧侶「!」
師範「! お前はっ! なぜお前がここにいる!?」
>>613
刻の大地……確か打ち切りだ
刻の大地……確か打ち切りだ
幼児「ぐすん……ひっく……」
僧侶(あの子……外を見張ってたら、見つかっちゃったんだ)
師範「……!」
師範「そんな……まさか……妻は……」
僧侶「はい」
僧侶「話はすべて伺いました。あの人は、あるべきところに帰って行きました」
師範「なんだと……」
僧侶「もし勇者が帰ってきたら、勇者にこのことを打ち明けてくださいね」
僧侶「伝説の剣なら、必ず返してもらえます」
師範「ふざけるな……」
僧侶「!」
師範「あと一ヶ月……たったの一ヶ月だと約束していたのに……」
幼児「ぐすん……ねえパパ」
幼児「ママはどこ? ママは? ねえ」
僧侶「……ええっと……」
僧侶(あの子……外を見張ってたら、見つかっちゃったんだ)
師範「……!」
師範「そんな……まさか……妻は……」
僧侶「はい」
僧侶「話はすべて伺いました。あの人は、あるべきところに帰って行きました」
師範「なんだと……」
僧侶「もし勇者が帰ってきたら、勇者にこのことを打ち明けてくださいね」
僧侶「伝説の剣なら、必ず返してもらえます」
師範「ふざけるな……」
僧侶「!」
師範「あと一ヶ月……たったの一ヶ月だと約束していたのに……」
幼児「ぐすん……ねえパパ」
幼児「ママはどこ? ママは? ねえ」
僧侶「……ええっと……」
師範「貴様は……妻から事情を聞くや」
師範「魔王に世を支配されることを恐れ、己の命惜しさに、妻を急かしたのだ!」
僧侶「違います。あの人は自分の意思で――」
師範「命が惜しいなら、なぜ己を鍛えようとしない!」
師範「なぜ勇者なる偶像にすべてを押し付け、自ら魔王と戦おうとしない!!」
師範「少なくとも私は強くなった! 妻を、我が子を守れる程度にはな!」
師範「誰しもが真に己を高めようとすれば、魔王軍の襲来など恐れる必要はないのだ!」
師範「……『伝説の剣』など、必要はないのだ……」
僧侶「……」
幼児「ねえパパ、ママは? ねえ」
師範「……もう戻ってはこない。帰ってはこない」
僧侶「戻ってきます。勇者は必ず帰ってきて、剣を返してくれます」
幼児「もうかえってこないの? このひとのせいで?」
幼児「なおしてくれるっていったのに……? なおしてくれるっていたのに!」
幼児「うええええええん!!」
師範「魔王に世を支配されることを恐れ、己の命惜しさに、妻を急かしたのだ!」
僧侶「違います。あの人は自分の意思で――」
師範「命が惜しいなら、なぜ己を鍛えようとしない!」
師範「なぜ勇者なる偶像にすべてを押し付け、自ら魔王と戦おうとしない!!」
師範「少なくとも私は強くなった! 妻を、我が子を守れる程度にはな!」
師範「誰しもが真に己を高めようとすれば、魔王軍の襲来など恐れる必要はないのだ!」
師範「……『伝説の剣』など、必要はないのだ……」
僧侶「……」
幼児「ねえパパ、ママは? ねえ」
師範「……もう戻ってはこない。帰ってはこない」
僧侶「戻ってきます。勇者は必ず帰ってきて、剣を返してくれます」
幼児「もうかえってこないの? このひとのせいで?」
幼児「なおしてくれるっていったのに……? なおしてくれるっていたのに!」
幼児「うええええええん!!」
師範「泣くなッ!!」
幼児「!」ビクッ
師範「泣いても叫んでも……もうどうにもならん」
師範「そうだ、どうにもならん……俺も狼狽が過ぎていたやもしれぬ……」
師範「伝説の剣を手放すことで、あそこまで妻が衰弱するなど思いもよらなかったし――」
師範「妻は常々、確かに自らの宿命を重んじていた……」
僧侶「……」
師範「だが、余りにも早すぎた」
師範「私は一道場を預かる身でありながら、未熟にも心の整理がついていなかった」
師範「私がここまで至れたのは、妻と、我が子のためをおいて他になかったからだ」
僧侶「……」
師範「結ばれぬはずの伴侶と、玉のような養子を持って……」
師範「……日々幸せだったのに……」
僧侶「……」
僧侶「ごめんなさい」
幼児「!」ビクッ
師範「泣いても叫んでも……もうどうにもならん」
師範「そうだ、どうにもならん……俺も狼狽が過ぎていたやもしれぬ……」
師範「伝説の剣を手放すことで、あそこまで妻が衰弱するなど思いもよらなかったし――」
師範「妻は常々、確かに自らの宿命を重んじていた……」
僧侶「……」
師範「だが、余りにも早すぎた」
師範「私は一道場を預かる身でありながら、未熟にも心の整理がついていなかった」
師範「私がここまで至れたのは、妻と、我が子のためをおいて他になかったからだ」
僧侶「……」
師範「結ばれぬはずの伴侶と、玉のような養子を持って……」
師範「……日々幸せだったのに……」
僧侶「……」
僧侶「ごめんなさい」
師範「……謝る必要はない。お前は人として正しいことを為したのだ」
師範「だが、もうここに用はないはずだ。私は宿の動かし方を知らぬ」
師範「今日をもってこの店は廃業だ。すまないが、出て行ってもらおう」
僧侶「あの……。……」
師範「……出て行け……早く」
僧侶「……はい」
僧侶「最後に、勇者にはちゃんとこの事を伝えてくださいね」
僧侶「僕はもう会えないかもしれな――」
師範「出て行け!!」
僧侶「ご。ごめんなさい」
バタン
師範「……何故……何故今日なのだ……」
師範「あと……あとひと月だと言ったのに……うっ……ううっ……」
幼児「パパ……」
師範「だが、もうここに用はないはずだ。私は宿の動かし方を知らぬ」
師範「今日をもってこの店は廃業だ。すまないが、出て行ってもらおう」
僧侶「あの……。……」
師範「……出て行け……早く」
僧侶「……はい」
僧侶「最後に、勇者にはちゃんとこの事を伝えてくださいね」
僧侶「僕はもう会えないかもしれな――」
師範「出て行け!!」
僧侶「ご。ごめんなさい」
バタン
師範「……何故……何故今日なのだ……」
師範「あと……あとひと月だと言ったのに……うっ……ううっ……」
幼児「パパ……」
全400レス中の現在64で630近くまでスレが進んでいる
俺も含めて後はわかるよな?
俺も含めて後はわかるよな?
――
僧侶(……本当に、あの女の人を帰して良かったのかな)
僧侶(でも、そうしないと勇者が魔王を倒せなくなっちゃう)
僧侶(……他の方法があったら、良かったのにな)
大男(こんな夜更けに、師範の家が騒がしいな……)
大男「! てめえは……!」
僧侶「あっ。夕方の……」
大男「てめえ、師範の家で何してやがった!!」
*「なんだなんだ? あっ、この小僧は!」
*「さっき師範のお子さんの声も聞いたぞ! やっぱり何かやりやがったんだ!」
僧侶「違います。僕は何もしてな……あ、やったんだった」
大男「おい。夕方言ってたこと、忘れてねぇだろうな?」
*「自分でも認めるたぁ、ふてぇ野郎だ! もう許せねぇっ!」
*「どうせ追放者だ、やっちまえ!」
僧侶(……本当に、あの女の人を帰して良かったのかな)
僧侶(でも、そうしないと勇者が魔王を倒せなくなっちゃう)
僧侶(……他の方法があったら、良かったのにな)
大男(こんな夜更けに、師範の家が騒がしいな……)
大男「! てめえは……!」
僧侶「あっ。夕方の……」
大男「てめえ、師範の家で何してやがった!!」
*「なんだなんだ? あっ、この小僧は!」
*「さっき師範のお子さんの声も聞いたぞ! やっぱり何かやりやがったんだ!」
僧侶「違います。僕は何もしてな……あ、やったんだった」
大男「おい。夕方言ってたこと、忘れてねぇだろうな?」
*「自分でも認めるたぁ、ふてぇ野郎だ! もう許せねぇっ!」
*「どうせ追放者だ、やっちまえ!」
おまえらが保守以外で黙ればこのスレの中だけで終わるんじゃねーの
僧侶は にげだした! ▼
*「あ! 待て!」
大男「とっ捕まえろ!」
僧侶(ここは逃げよう!)
僧侶(とても弁解できる空気じゃないよ)
僧侶(それに僕が何かやらかした、っていう事実には違いないし)
僧侶(かといって、スマキにされて雪山に放り出されるのは勘弁だし)
僧侶(ここは次の町まで逃げよう、逃げよう――)
*「く、くそっ、逃げ足だけは速い奴……」
*「はぁっ、はぁっ、だめだ、町の外まで行きやがった……」
大男「く、くそっ……」
大男「おい小僧! 二度とこの町に入ってくるんじゃねえぞォーッ!!」
大男「くそっ。これからお前らも、『ひのきのぼう』持った妙な小僧を見たら気をつけろよ!」
*「あ! 待て!」
大男「とっ捕まえろ!」
僧侶(ここは逃げよう!)
僧侶(とても弁解できる空気じゃないよ)
僧侶(それに僕が何かやらかした、っていう事実には違いないし)
僧侶(かといって、スマキにされて雪山に放り出されるのは勘弁だし)
僧侶(ここは次の町まで逃げよう、逃げよう――)
*「く、くそっ、逃げ足だけは速い奴……」
*「はぁっ、はぁっ、だめだ、町の外まで行きやがった……」
大男「く、くそっ……」
大男「おい小僧! 二度とこの町に入ってくるんじゃねえぞォーッ!!」
大男「くそっ。これからお前らも、『ひのきのぼう』持った妙な小僧を見たら気をつけろよ!」
>>636
だがそれは妻を選ぶことで世界中の人間全てを見殺しにしたという選択でもある
だがそれは妻を選ぶことで世界中の人間全てを見殺しにしたという選択でもある
――
―― ジャッ ジャッ ジャッ ザザザッ
僧侶「はぁ……はぁ……。……ふうう」
僧侶(ここまで離れれば大丈夫かな。よし、追って来てないね)
僧侶(……それにしても)
ヒュオオオオオオ―――― パサパサパサパサ…
僧侶(西の町を越えた先に、こんな砂漠地帯が広がっていたなんて……)
僧侶(雪山から一つ町を隔てた先が、まさか砂漠だとは思わないよね)
僧侶(今は夜中だから寒いくらいだけど、日が昇っている間は暑そうだなぁ)
僧侶(って。空が結構明るくなってる。もう明け方だ)
僧侶(ううーん。雪山を越えてあんまり休んでないから、疲れてるんだけどな)
僧侶(仕方ない。そこの岩陰で、少しだけでも仮眠を取ろう)
僧侶「……よっしょ。……ふああ……おやすみ」
僧侶(……明日はいい一日になりますように……)
僧侶「……Zzz……――」
―― ジャッ ジャッ ジャッ ザザザッ
僧侶「はぁ……はぁ……。……ふうう」
僧侶(ここまで離れれば大丈夫かな。よし、追って来てないね)
僧侶(……それにしても)
ヒュオオオオオオ―――― パサパサパサパサ…
僧侶(西の町を越えた先に、こんな砂漠地帯が広がっていたなんて……)
僧侶(雪山から一つ町を隔てた先が、まさか砂漠だとは思わないよね)
僧侶(今は夜中だから寒いくらいだけど、日が昇っている間は暑そうだなぁ)
僧侶(って。空が結構明るくなってる。もう明け方だ)
僧侶(ううーん。雪山を越えてあんまり休んでないから、疲れてるんだけどな)
僧侶(仕方ない。そこの岩陰で、少しだけでも仮眠を取ろう)
僧侶「……よっしょ。……ふああ……おやすみ」
僧侶(……明日はいい一日になりますように……)
僧侶「……Zzz……――」
――――――――――――――――――――
【北の城】 <朝>
兵士A「勇者様! 勇者様に敬礼!」
兵士B「勇者様! 魔王討伐、お疲れの出ませんように!」
勇者「もう。イチイチかしこまらなくていいのにな」
賢者「そういう訳にもいかないでしょう。勇者様はこの世で唯一無二の存在なのですから」
商人「いやぁこの空気、久々ですなぁ」
戦士「……」
戦士(一夜明けたら、『伝説の剣』が微かな光を放っていた)
戦士(なんとなく抜くのは憚られたが……何か変化があったのだろうか……)
商人「戦士殿?」
戦士「ん。ああいや。賢者よ、王の間はこちらだ」
賢者「ありがとうございます」
勇者「案内ならボク一人でもできるのにっ」
商人「ガハハ。勇者様はときどき方向音痴なところがありますからなあ」
【北の城】 <朝>
兵士A「勇者様! 勇者様に敬礼!」
兵士B「勇者様! 魔王討伐、お疲れの出ませんように!」
勇者「もう。イチイチかしこまらなくていいのにな」
賢者「そういう訳にもいかないでしょう。勇者様はこの世で唯一無二の存在なのですから」
商人「いやぁこの空気、久々ですなぁ」
戦士「……」
戦士(一夜明けたら、『伝説の剣』が微かな光を放っていた)
戦士(なんとなく抜くのは憚られたが……何か変化があったのだろうか……)
商人「戦士殿?」
戦士「ん。ああいや。賢者よ、王の間はこちらだ」
賢者「ありがとうございます」
勇者「案内ならボク一人でもできるのにっ」
商人「ガハハ。勇者様はときどき方向音痴なところがありますからなあ」
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