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    元スレ僧侶「ひのきのぼう……?」

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    みんなの評価 : ★★★×4
    タグ : - ゲス + - フランダースの犬 + - 勇者 + - 神スレ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    戦士♂「そうだ。お前は『ひのきのぼう』だ」

    商人♂「ガハハ、そりゃいい例えですな!」

    僧侶♂「どういうこと?」

    戦士「口に出さねば分からないか。はっきり言って、お前にはこの旅は荷が重過ぎる」

    戦士「今まで大目に見てやったが、お前は勇者と違い、能力的には平凡な小僧だ」

    戦士「貧弱で力はない、頭の回転は鈍い、攻撃呪文は弱い。ヒノキの棒のように役に立たんということだ」

    戦士「回復呪文、一部の補助呪文だけが取り得だったが、それももう用済みになった」

    僧侶「用済み?」

    賢者♂「私がこのパーティーに入ることになりました」

    僧侶「えっ? あなたは?」

    賢者「はじめまして、賢者です」

    賢者「私は強力な攻撃呪文・補助呪文に加え、あなたの使用できる呪文もすべて習得しています」

    賢者「私があなたに代わって勇者様を支え、打倒魔王を為す一助となります」

    戦士「そういうことだ」

    僧侶「……そっかぁ……」

    2 = 1 :

    商人「分かったら、とっとと自分の家に帰れ!」

    僧侶「えっ? いまから?」

    戦士「もうお前はパーティーの一員ではない。これを以て赤の他人も同然ということだ」

    僧侶「あの……勇者は? いまお風呂に入ってるけど……」

    戦士「勇者もとっくにこの件は了承済みだ」

    賢者「ええ、私もその場に居合わせていました。多少の抵抗はあったようですが――」

    賢者「魔王討伐を実現するに当たって、旅の効率性をご説明したら、最終的に納得されました」

    僧侶「……そうなんだ。じゃあ仕方ないかなぁ」

    戦士「さあ、勇者が戻ってくる前に行け。会えば勇者の心に迷いが生じるかもしれん」

    僧侶「あの、やっぱりいまから?」

    商人「一人分の宿代も、お前からこの賢者殿に差し替えているのだ。居残ってもらっては困るぞ!」

    賢者「出会ったばかりでいきなりお別れとは残念ですが、どうか道中ご無事で」

    戦士「さぁ、早く行け! 日が沈まないうちに出たほうがいいぞ」

    僧侶「うん、分かったよ。支度する」

    商人「ちょっと待て!」

    3 :

    私は僧侶リフ

    4 = 1 :

    僧侶「? なに、商人さん」

    商人「旅の装備とゴールド、それに道具は全て置いていってもらうぞ!」

    僧侶「えっ? 全部?」

    商人「当たり前だ! 旅の物資は全てワシが管理しておるのを忘れたか!」

    商人「どさくさ紛れに貴重なアイテムを持っていかれては、たまったもんじゃないぞ!」

    商人「いいか、我々は物見遊山ではない、魔王を倒しにいくのだ! 1Gもムダにはできんのだ!」

    僧侶「そっかぁ……」

    戦士「とはいえ商人、これはまだ未熟な子供。無一文での一人旅は危険だと思うが」

    商人「おお、そうですな! おい、ひのきのぼう! これだけくれてやる!」

    僧侶は 5Gを てにいれた ▼

    僧侶「えっ? これだけ……」

    商人「ひのきのぼうと同じ価値なら、それと同じ額なの当然であろう!」

    戦士「商人、それはやり過ぎでは」

    商人「いいえ戦士殿、この町はご存知の通り物価が高い。事実、我々の予算も余りに余裕はないのです」

    商人「先々のことを考えれば、いかなる支出も必要最小限にとどめるべき! 全ては魔王を倒すために!」

    5 :

    でも思い出として絶対捨てたり売ったりしないよな

    6 = 1 :

    賢者「……僧侶さん。あなたはバギ系呪文も使えるはず。それで弱った魔物を倒すこともできましょう」

    賢者「道中戦いに傷ついたとして、宿に泊まりつつ確実な勝利を重ねていけば、金銭に困ることないはずです」

    僧侶「……でも……」

    商人「まだ何か不満があるのか!? それ以上何か言うなら、その5ゴールドも取り上げ……戦士殿?」

    戦士「僧侶よ。お前は子供とはいえ、仮にも勇者のパーティーの一員だった」

    戦士「その誇りと、勇者から分け与えられた勇気の一端があれば、何も恐れる必要はない」

    戦士「分かったな」

    僧侶「うん」

    僧侶「分かった」二コ

    僧侶「戦士さんたちも、お気をつけて。勇者に、よろしく言っておいてください」

    戦士「うむ。早く行け」

    僧侶「えと……アイテムと……装備品はここに置いておきます」

    商人「おいそんな汚いところに置くな! 少しは考えろ!」

    僧侶「あ、ごめんなさい。えっと、こっちに置いときます」

    僧侶「それじゃあ――さようなら」

    7 :

    商人、お前の方が要らない

    8 = 1 :

     

    戦士「――行ったか?」

    賢者「はい、確かに町を出たようです」

    商人「ふうう、ようやっと厄介払いができましたな!」

    戦士「あまり悪く言ってやるな。俺はああは言ったが、あの僧侶はあれで多少は旅に貢献していた」

    賢者「しかし、勇者様と同い年というのは本当なのですか? 私と二つと違いませんよ」

    商人「がはは、もともと勇者様のコネで入ったような能無しですからな!」

    商人「賢者殿のように、若くして賢者の号を勝ち取った本物の導師とは、格が違いますわ!」

    賢者「本物かどうかは判りかねますが、流石にあの少年より優っているという自信はあります」

    賢者「私が勇者様の剣となり盾となり、魔王打倒に向けて全霊を注ぎましょう」

    戦士「うむ、賢者よ、ともに世界を平和にもたらそう。これからはよろしく頼むぞ」

    賢者「お任せください」

    商人「そうと決まれば、お近づきに酒瓶でも開けませんか! 今晩は一段と冷えるようですぞ!」

    勇者「あっ、みんな集まって何してるの?」

    戦/賢/商「!!」

    9 = 1 :

    商人「ゆ、勇者様!」

    勇者「あれ? 僧侶も一緒じゃないの? どこいったの?」

    戦士「……それについては勇者。その前に話すことがある」

    勇者「なに?」

    戦士「予め話はしておいただろう? こちらの賢者が、正式にパーティーに加入することになった」

    賢者「はい。すでに挨拶は済んでいますが、改めてよろしくお願いします」

    勇者「わあ、そうなんだ! こちらからもよろしくお願いします!」

    勇者「にぎやかになるなあ。ボクと僧侶と賢者さんとで、もう回復役には困らないね!」

    商人「僧侶はもういませんぞ」

    勇者「……。……えっ? いないって?」

    戦士「僧侶は……自身より遥かに有能な賢者が入ってきたことで……」

    戦士「……自分の力量の限界を悟り、進んでパーティーからの脱退を願い出た」

    勇者「えっ?」

    勇者「ど、どういうこと? ねえ、ボクそんな話聞いてないよ!?」

    商人「い、いやあ、我々も急な話で驚きましてな」

    10 = 1 :

    勇者「ちょっと待ってよ、僧侶はどこ? 直接話をして――」

    賢者「僧侶殿は、すでに町を去られました」

    勇者「えっ!? ひ、一人で?」

    勇者「このへんの魔物が手強いの知ってるでしょ!? まだ今日の疲れも取ってないのに!!」

    戦士「落ち着け勇者。僧侶には」

    戦士「僧侶には、貴重なキメラのつばさを持たせた。故郷までひとっ飛びだ。危険はない」

    勇者「そ、そうなの? 商人さん」

    商人「もももちろんですとも。ある程度の金銭も持たせましたし、帰っても当分は生活も安泰かと」

    勇者「そ、そうなんだ……。でも、ボクに何の相談もなしに……」

    戦士「……このところかなり思いつめていたようだぞ。勇者に迷惑をかけたくはない、と」

    勇者「ボク、僧侶を迷惑に思ったことなんて、一度もないよ!」

    戦士「勇者はそう思っていたとしても、事実、回復や一部の補助以外は、足手まといだった」

    勇者「……本気で言ってるの? 僧侶はね、ボクなんかよりずっと賢くて」

    勇者「町の人の会話なんかも、ダンジョンの地形なんかも、全部憶えられるんだよ?」

    戦士「何?」

    11 = 1 :

    戦士「では、今まで勇者の得ていた情報が常に正確だったのは」

    勇者「……僧侶に教えてもらってたんだ。恥ずかしいから、こっそり聞いていたけど」

    勇者「それに、戦いでは一番みんなの体調を気にしてて……自分のケガなんかほったらかしで……」

    勇者「だからボクたちが教会のお世話になったことなんて、ほんの数えるほどしかなかったでしょ?」

    戦士「……すまない。それは気付かなかった」

    勇者「足手まといだなんてとんでもないよ。僧侶がいないと、とてもここまで来れなかった……」

    賢者「大変恐縮ながら勇者様。よろしいですか?」

    勇者「……なに?」

    賢者「彼は自分の意思でこの場を離れました。それほどの貢献を経た上で、自分で決断を下したのです」

    賢者「であれば、我々はその意思を尊重するのが、彼の本意ではないでしょうか」

    勇者「でも……」

    賢者「不肖この賢者、記憶力も状況判断力も、人並みよりは優れていると自負しております」

    賢者「彼の穴埋め以上のはたらきは必ず果たし、勇者様への尽力は惜しまぬと誓うゆえ」

    賢者「どうか此度の顛末には、ご理解ご寛容を」

    勇者「……」

    12 = 1 :

    勇者「……」

    賢者「勇者様、どちらへ?」

    勇者「ルーラで僧侶に会いに行く。やっぱり一度きちんと話さないと」

    商人「そ、それはっ……」

    戦士「それはならん、勇者よ」

    戦士「なんのために僧侶がお前に会わずに去ったと思う」

    戦士「教えてやる、互いに未練を引きずらないようするためだ」

    戦士「すっぱり繋がりを絶てばしこりも残らん。そして恐らくその判断は正しい」

    戦士「いま僧侶に会いに行くのは、その意志、克己を踏みにじることになりかねん」

    戦士「だが……それでも構わず、我を押し通すというなら、行ってくるがいい」

    商人「ちょっ」

    戦士「だが勇者、私情に振り回されるようでは、俺は魔王を倒しうる器とは思わんぞ」

    勇者「……」

    賢者「勇者様」

    勇者「寝室だよ。話は分かった。……今日はもう疲れちゃった。先に寝てるから……」

    13 :

    DQ9では賢者<<僧侶だったな

    14 = 1 :

     

    商人「ふうう、なんとか乗り切りましたな!」

    戦士「……俺は人を騙すことに慣れていない。後味は最悪だ」

    戦士「だがこの件だけはやむを得まい」

    戦士「勇者は擁護していたが、やはり俺からしてみれば、僧侶は優秀な人材とは思えなかった」

    戦士「より呪文に秀でた賢者が参入した今なら、尚更だ」

    賢者「恐縮です」

    戦士「なのに、勇者の僧侶への入れ込みようは度が過ぎていた」

    戦士「魔王打倒に万全を期すためにも……この辺で決別してもらわねば」

    賢者「ええ。私は彼のことはよく知りませんが、やはり5人での長旅というのは効率が悪いかと」

    商人「とんでもない話です! 人数が一人増えるだけで、経済的にはえらい負担ですぞ!」

    戦士「とにかく全ては、確実に魔王を倒すためだ。我々ももう僧侶のことは忘れよう」

    戦士「明日は未踏の地への探索だ。各々、今日は早めに床につくがいいだろう――」

    賢者「この周辺の地形に関してはお任せください。私にとっては庭のようなものです――」

    商人「あ、あれ? お二人とももうお休みで? うむむ、せっかくの酒盛りが――」

    15 = 7 :

    >>13
    しかし賢者はベホマが使えない

    16 :

    商人イラネ

    17 = 13 :

    >>15 だから僧侶の方が上って書いてるじゃねえか

    18 = 1 :

    ――――――――――――――――――――

    【外】

    僧侶「……」ニコニコ

    僧侶(ちょっと寒いなぁ。やっぱりあの装備って、防寒効果もすごかったんだなあ)

    僧侶(そうだよ、装備がないから、魔物にばったり遭わないようにしないと)

    僧侶(おっと)

    僧侶(魔物だ)

    僧侶(まだこっちに気付いていないな。遠回りしていこう――)

     

    僧侶(おっと。魔物だ。ここは隠れてやり過ごそう――)

     

    僧侶(おっと魔物だ。全力で逃げよう! ――)

     

    僧侶「おっと」

    僧侶「もう日が沈んじゃうな。そろそろ野宿する場所を確保しておかなくちゃ」

    19 = 7 :

    >>17
    すまない
    逆に見ていた

    20 = 1 :

     ポツ     ポツ

    僧侶「あっ」

    僧侶「雨だ。雨が降ってきた。大変だっ」

    僧侶(どこか雨宿りできる場所……あっ、この木のウロ、結構広そう)

    僧侶(うん、中に何もいないみたいだし、何かがいた痕跡もないし、ちょうどいいや)

     

    僧侶「よっしょ」

    僧侶(いい感じ。もうすっかり暗くなってきたし、今日はここで寝よう……)

    僧侶(……戦士さんたち、大丈夫かなぁ。寝てるとき風邪引かないかな)

    僧侶(戦士さんは頑丈だから病気とは無縁だけど、商人さんは寝相が悪いからなぁ。ちょっと心配)

    僧侶(賢者さんはどうだろ。きっと僕なんかよりずっと頭が良い人だから、心配するのは失礼かな)

    僧侶(勇者は……いつも布団を多めに被ってるから大丈夫だよね……)

    僧侶(勇者といっても、まだ年頃の女の子なんだし……体調には気を配らないと……。……)

     ザー―――――― ……

    僧侶「Zzz――」

    21 = 1 :

    ――

     

    僧侶(……)

    僧侶(……寒い……ちょっと寒い……)

    僧侶(……でも平気……寒くない……)

    僧侶「!」

    僧侶「あ。朝」

    僧侶(そっか。そういえば僕ひとりだった)ゴシゴシ

    僧侶(勇者たちから抜けて、家に帰るところだったんだ)

    僧侶(魔王を倒しに行くのに比べたら、ずいぶん気楽な旅路だよね)

     

    僧侶「ん……」

    僧侶「雨はやんでるけど……地面がべちゃべちゃだ。こりゃ歩きづらいなあ」

    僧侶「と。こんなこと言ってたら、また戦士さんに怒られちゃう」

    僧侶「う~ん……よしっ。出発!」

    22 :

    僧侶「おおっと!テレポーター」

    23 = 13 :

    賢者は回復力が足りない

    24 = 1 :

    僧侶(一つ前の村までの道順はこっち……うん、こっちが最短距離)

    僧侶(目的地への方角がちゃんと分かるって幸せだね。自信を持って歩けるもの)

    僧侶(道のりもやることも分からなかったら、僕にはきっと耐えられないだろうなぁ)

    僧侶「……」

    僧侶「ん……!」

     

    魔物Aが あらわれた! ▼

    僧侶(やっぱり出た! 右手の抜け道は……)

    魔物Bが あらわれた! ▼

    僧侶(うわわっ。こうなったらいったん引き返して……)

    魔物のむれが あらわれた! ▼

    僧侶「!」

    僧侶(は、挟まれちゃった! 逃げ場がない!)

    僧侶(戦わなきゃ。戦わなきゃ)

    僧侶(ぼ、僕一人で……戦えるかな……)

    25 = 1 :

    ――――――――――――――――――――

    勇者「やあっ!」

    勇者の こうげき! ▼

    商人「このおおおっ!」

    商人の こうげき! ▼

    賢者「そのグループはまとめて倒せますね」

    賢者は ベギラマを となえた! ▼
    魔物のむれに ダメージを あたえた! ▼

    戦士「こいつで最後だ!」

    戦士の こうげき! かいしんのいちげき! ▼

    魔物を たおした! ▼

    魔物のむれを やっつけた! ▼


    勇者「ふう……」

    戦士「今の戦いはなかなか質が良かったな」

    商人「多めにゴールドを回収!」

    26 = 1 :

    賢者「勇者様、足から血が」

    勇者「えっ? ああ、こんなのかすり傷だよ」

    賢者「私にはまだまだ魔力に余裕があります。回復させてください」

    勇者「そ、そう? じゃあお願い、僧侶――じゃなかった賢者さん!」

    賢者「……」

    戦士「勇者。僧侶のことは忘れろとは言わんが、早いうちに意識を切り替えろ」

    戦士「最終的に魔王との戦いは、このパーティーで挑むことになるのだからな」

    勇者「わ、分かってるよ。今のは、ちょっと」

    勇者「賢者さんが、いつもの僧侶と同じことを言ってきたから、つい……」

    賢者「いつも?」

    商人「そうです、僧侶の奴は、戦闘が終わるたびにイチイチ他人のケガを見て回るのです」

    商人「いやーしつこいもんですぞ。別にいいと断る頃には、すでに回復呪文を唱えておりまして」

    戦士「うむ、あれは考えなしだった。魔力の使い方としては、えらく非効率に思えたものだ」

    賢者「まぁ、毎回そんなことをやれば効率は悪いでしょうね」

    勇者「……みんな僧侶のこと何にも知らないくせに……」ボソ

    27 = 7 :

    しかし書き溜めているとは流石

    28 = 1 :

    商人「それにしても、やはり賢者殿は相当な戦力になりますな!」

    賢者「お褒め預かり光栄です」

    戦士「お前は先の町で、長らく呪文の研究をしていたのだろう?」

    戦士「若いということもあって、正直あまり戦闘には期待していなかったが、」

    戦士「予想に反して立ち回りは様になっていた。どこで覚えた?」

    賢者「私は魔道の修練のため、大陸中を巡りました。元々旅には慣れ親しんでおります」

    賢者「空白期間こそありましたが、思ったより勘が鈍っていなかったので幸いでした」

    賢者「すぐに皆様に息を合わせられるよう、精進いたします」

    商人「何をおっしゃる、賢者殿はもうすっかりパーティーの一員ですぞ!」

    戦士「うむ。賢者がパーティーの良き参謀となれば、以前よりも旅は安泰になることだろう」

    勇者「……そんなの絶対分かんないもん……」

    賢者「あ。勇者様、足元っ」

    勇者「うわ。っとっと」

    賢者「大丈夫ですか?」

    勇者「う、うん平気。ありがと。…………ちぇっ……」

    29 = 1 :

     

    戦士「――そろそろ日も傾いてきたが、次の町まではあとどのくらいなのだ?」

    賢者「あと一山、越えなければなりませんが……勇者様、いかがいたしましょう」

    勇者「それなら頑張って歩こう。まだみんな余力はあるみたいだし」

    商人「賢者殿のおかげで、前よりずっと好ペースで進んでおりますからな!」

    賢者「それは何よりです」

    戦士「お前はパーティーに加入したばかりだ。くれぐれも無理はするなよ」

    賢者「ええ、ありがとうございます」

    勇者「……ねえ賢者さん」

    賢者「はい?」

    勇者「賢者さんは、どうしてこのパーティーについていこうと思ったの?」

    賢者「それは無論、この世に悪をもたらす元凶、魔王を征伐するためです」

    賢者「魔王はいにしえより、選ばれた勇者の剣でのみ討ち果たされると言われています」

    戦士「……」

    賢者「ゆえに勇者様が先の町に立ち寄ると伺ってからは、元より同行させて頂くつもりでした」

    30 = 1 :

    賢者「もちろん希望通りにパーティーに参入できるとは思えませんでしたが――」

    賢者「幸運にもそちらの商人様の紹介あって、人員交代の機会に恵まれた次第です」

    商人「いや何の、腕利きの賢者がフリーだと聞いては、声をかけずにはいられませんとも!」

    勇者「ボクには急な話だったけどね」

    戦士「仲間になるかもしれん、という話は予め伝えておいたはずだが」

    勇者「僧侶が抜けるなんて聞いてないよ」

    戦士「まだ言っているのか。過ぎたことを引きずるな。あれは……」

    戦士「あれは僧侶の意志だったのだ。お前も納得しただろう」

    勇者「……まだ全部飲み込めたわけじゃないよ。一日経ったばかりだし」

    商人「まあまあ、徐々に今のパーティーに慣れていけばいいじゃあありませんか!」

    勇者「……でも……」

    賢者「勇者様」

    賢者「私の能力では、何かご不満でしょうか? すぐに改善いたします、何でも仰ってください」

    勇者「えっ? い、いや、そういうわけじゃないよ。賢者さんはすごく頼りになると思う」

    勇者「ほら、もう日が沈んじゃうよ、先を急ごっ」

    31 :

    さるよけ支援

    32 = 1 :

    ――――――――――――――――――――

    僧侶は 魔物のむれをたおした!

    経験値と 120Gを てにいれた! ▼

    僧侶「ふう」

    僧侶「なんとか勝てた……」

    僧侶「……」

    僧侶(こっちも命がかかってるから、甘いことは言ってられないけど)

    僧侶(このモンスターたちも、子供がいたり、生きるのに必死だったかもしれない)

    僧侶(供養だけでもしていこう。僕一人しかいないし、誰にも迷惑かからないよね)

    僧侶(――)

     

    僧侶「よし、先を急ごう」

    僧侶(次の村に着いたら、装備だけでも整えようかな。やっぱり手ぶらじゃきついや)

    僧侶(わ、よく見ると服もドロだらけだ。新しい服も買っておこう)

    僧侶(そうだ、好きなものが自分のお金で買えるんだ。一人旅も悪くないかなあ)

    35 = 13 :

    120gもあれば宿泊まってキメラの翼買えるな

    36 = 1 :

    ――

    僧侶は にげだした!

     

    僧侶「はぁ……はぁ……」

    僧侶(今度はうまく逃げられた。しかも村の方向だ、ラッキーだね)

    僧侶(あ。この坂、見覚えあるぞ。ここを越えたら――)

    僧侶(見えた! 村だ。まだ結構歩かなきゃならないけど)

     

      ポツ     ポツ

    僧侶「!」

    僧侶「また雨!」

    僧侶(うーん、雨宿りするには中途半端な距離だなぁ)

    僧侶(よし、もう日も沈んで暗くなってるし、今日は頑張ってあそこの村まで行こう)

      パタパタパタパタ  ……ザー―――――― ……

    僧侶(うわあ、雨足早いぞ。急がなくちゃ!)

    37 = 1 :

     ザー―――――― 

    僧侶(歩きづらいなぁ。視界も悪いし)

    僧侶(でも負けないぞ。なんてったって僕は勇者のパーティーにいたんだ)

    僧侶(雨の中でも勇気を出して、胸を張って歩こう)


    僧侶「ん……!」

    魔物Aが あらわれた!
    魔物Bが あらわれた!

    僧侶(村まであと少しだ。こうなったら……)

    僧侶は マヌーサを となえた!

    魔物のむれは まぼろしに つつまれた! ▼

    僧侶「今のうち!」

    僧侶は にげだした!

    しかし 足がもつれて すっ転んでしまった! ▼

    僧侶「ぶぼ! いてて……」

    魔物のむれに まわりこまれてしまった! ▼

    38 = 7 :

    問題は僧侶が男か女かということ

    39 = 1 :

    ――

     ザー―――――― 

    【東の村】

    僧侶「はぁ……はぁ……あれ?」

    僧侶(必死で逃げてたら、いつの間にか村に着いてた……)

    僧侶(良かった。なんとか無事に、一人で戻って来れたぞ)

    僧侶(村の人は……やっぱりみんな家の中だ。こんな天気だもんね)

    僧侶(ええっと、まずは宿屋? ううん、こんなに汚れたカッコじゃ、会う人に失礼だね)

    僧侶(まずはお店に行って着替えを買ってこよう。ついでに装備も整えられるし、一石二鳥だ)

    僧侶(もうすっかり遅くなったし、雨も降ってるけど……開いてるかな?)

    僧侶(確かこのカドを曲がって……左に行って……もひとつカドを折れたここ!)

    【東の村>武具屋】

    僧侶(よかった開いてる!)

    僧侶「こんばんわ~」 キィ…

    武具屋「いらっしゃ……ん? お前どこのガキだ?」

    40 :

    さるよけ

    41 :

    >>35
    この僧侶ならアッサラームの価格でも文句言わなそう…

    42 = 1 :

    僧侶「僕は通りすがりの旅人です。お金はあります、服を下さいな」

    武具屋「おい馬鹿野郎、濡れたカッコで入ってくるんじゃねえ! 外で水きってこい!」

    僧侶「ごめんなさい」

    武具屋「旅人ねぇ、そうは見えねぇがなあ。ま、金があるってんなら一応客だが」

    僧侶(所持金は125ゴールド……この村の宿屋は確か一人20ゴールドだから……)

    僧侶(10ゴールドのぬののふくと……かわのぼうし80ゴールドまで買える!)

    僧侶「これとこれを下さい」

    武具屋「90ゴールドだ。偽金じゃねえだろうな」

    僧侶(へへ。奮発してぼうしまで買っちゃった。一人で買い物って楽しいな。あ、そうだ)

    僧侶「武器も見せてくださいな」

    武具屋「ああ? あといくら持ってんだ?」

    僧侶「35ゴールドです」

    武具屋「はっ、やっぱ金持ってねえのか。その額じゃこれとこれしか売れねえな」

    僧侶(ふむふむ、30ゴールドのこんぼうと……あ!)

    僧侶「これ下さい!」

    43 :

    3の男僧侶っておっさんだったっけ?

    44 :

    男賢者とか誰得だよ

    45 = 1 :

    僧侶は ぬののふくを 装備した!
        かわのぼうしを 装備した!
        ひのきのぼうを 装備した! ▼

    僧侶「これでよし。ありがとうございました」

    キィ…

    武具屋(へへ、いまどきあんな『ひのきのぼう』買うバカがいるとはな)

    武具屋(一緒に並べて正解だぜ、タダ同然で仕入れて5ゴールドの儲け!)

    武具屋(頭の回んねえ奴だ、まさに『ひのきのぼう』に相応しいガキだったぜ。へへ……)

     

    ――

    僧侶(ひのきのぼう、買っちゃった。戦士さんが僕のことを『ひのきのぼう』って言ってたけど)

    僧侶(僕にはぴったりだ。このひのきのぼうは、まさしく運命の相棒なんちゃって)

    僧侶(残りは30ゴールド。この村の宿代は一人20ゴールド)

    僧侶(残り10ゴールドで薬草も買えちゃうぞ。大事に使おう)

    僧侶(えっと宿屋はこっちか)

    僧侶(新しい服が濡れないように気をつけなくちゃ……)

    46 = 1 :

    【東の村>宿屋】

    僧侶「こんばんは~」

    主人「いらっしゃいませ……おお、あなた様は勇者様ご一行の!」

    僧侶「わあ、覚えてくれて、ありがとうございます。そうです、僧侶です」

    主人「あなた方であればいつでも歓迎します! どうぞどうぞ」

    僧侶「あのうすみません、今日は僕一人なんです」

    主人「……はて? どういった事情が?」

    僧侶「僕は先日、勇者のパーティーから外れたんです。今は故郷に帰るところなんです」

    主人「ははあ……なるほど、そういうわけですか……」

    僧侶「こちらの宿代は、一人20ゴールドですよね。一泊、泊めさせてもらえませんか」

    主人(……うーむ。勇者様がいないのでは、愛想振りまいてもしょうがないな……いま忙しいし……)

    主人「あーその……実は80ゴールドなんですよ」

    僧侶「えっ? この間パーティーで泊まった時は、全員で80ゴールドでしたよね?」

    主人「ええーそれが、『一泊』、80ゴールドだったわけでして」

    僧侶「えっ、そうだったんですか」

    47 = 1 :

    僧侶「僕、いま30ゴールドしか手持ちがないんですけれど……」

    主人「あー……、……では、残念ながら……はい……」

    僧侶「他に泊まれるところは知りませんか?」

    主人「いえいえ、あったとしても、競合店を紹介するような真似はできませんよ」

    僧侶「そうですか……では、お邪魔しました」

    主人「はい、ご予算に都合がつきましたら、是非とも当宿屋に」

    主人(……ふう、なんとか追っ払えたか。それじゃ仕事仕事――)

    ――

    僧侶(そっかぁ。一泊で80ゴールドだったんだ。他のところと違うんだ)

    僧侶(困ったなあ。80ゴールドだったら、ちょうどこの『かわのぼうし』と同じ代金か)

    僧侶(きっと贅沢したから、バチが当たっちゃったんだろうなぁ。反省)

    僧侶(じゃあ、今晩どうしよう。やっぱり野宿しかないかな)

    僧侶(そうだ! キメラのつばさがあれば、家までひとっとびだ! 道具屋に行ってみよう)

    僧侶(確か取り扱ってなかったはずけど、もしかしたら新しく入荷してるかもしれない)

    僧侶(30ゴールドで譲ってはくれないだろうけど……一応、ダメ元で訪ねてみよう)

    48 = 1 :

    【東の村>道具屋】

    ――

    道具屋「ねえよ、キメラのつばさなんて大層なもん。帰んな帰んな」

    僧侶「そうですか……」

    僧侶(この村には他に泊まる場所がなかったし……やっぱり今日も野宿か……)

    ガチャ

    「ちょっと道具屋さん、薬草ちょうだい!」

      ドンッ   僧侶「わっ」

    道具屋「おや村長ンとこの。こんな夜分にどうしたんだい?」

    「それが、旦那様の具合が急変しちゃって! どうしたらいいか分かんないのよ!」

    道具屋「そりゃまた大変だ」

    「とにかく薬草を煎じて飲ませるぐらいしか思いつかないの! お金はあるわ! 早く!」

    僧侶「……あのう」

    「なによアンタ、邪魔よ!」

    僧侶「えっと、僕いちおう僧侶ですけど、もしよければ診ましょうか? 村長さんを」

    49 :

    僧侶「よし、これでだいじょうぶ!」
    ひのきのぼう
    とがったほね
    しあわせのぼうし
    こんぼう
    のこぎりがたな
    みかわしのふく

    50 :

    しえん


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