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元スレ僧侶「ひのきのぼう……?」

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1 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:55:30.53 ID:JOtdaiZe0 (+125,+30,+0)
戦士♂「そうだ。お前は『ひのきのぼう』だ」

商人♂「ガハハ、そりゃいい例えですな!」

僧侶♂「どういうこと?」

戦士「口に出さねば分からないか。はっきり言って、お前にはこの旅は荷が重過ぎる」

戦士「今まで大目に見てやったが、お前は勇者と違い、能力的には平凡な小僧だ」

戦士「貧弱で力はない、頭の回転は鈍い、攻撃呪文は弱い。ヒノキの棒のように役に立たんということだ」

戦士「回復呪文、一部の補助呪文だけが取り得だったが、それももう用済みになった」

僧侶「用済み?」

賢者♂「私がこのパーティーに入ることになりました」

僧侶「えっ? あなたは?」

賢者「はじめまして、賢者です」

賢者「私は強力な攻撃呪文・補助呪文に加え、あなたの使用できる呪文もすべて習得しています」

賢者「私があなたに代わって勇者様を支え、打倒魔王を為す一助となります」

戦士「そういうことだ」

僧侶「……そっかぁ……」
2 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:56:20.17 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-277)
商人「分かったら、とっとと自分の家に帰れ!」

僧侶「えっ? いまから?」

戦士「もうお前はパーティーの一員ではない。これを以て赤の他人も同然ということだ」

僧侶「あの……勇者は? いまお風呂に入ってるけど……」

戦士「勇者もとっくにこの件は了承済みだ」

賢者「ええ、私もその場に居合わせていました。多少の抵抗はあったようですが――」

賢者「魔王討伐を実現するに当たって、旅の効率性をご説明したら、最終的に納得されました」

僧侶「……そうなんだ。じゃあ仕方ないかなぁ」

戦士「さあ、勇者が戻ってくる前に行け。会えば勇者の心に迷いが生じるかもしれん」

僧侶「あの、やっぱりいまから?」

商人「一人分の宿代も、お前からこの賢者殿に差し替えているのだ。居残ってもらっては困るぞ!」

賢者「出会ったばかりでいきなりお別れとは残念ですが、どうか道中ご無事で」

戦士「さぁ、早く行け! 日が沈まないうちに出たほうがいいぞ」

僧侶「うん、分かったよ。支度する」

商人「ちょっと待て!」
3 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:56:43.40 ID:5PcNNguw0 (+17,+29,-2)
私は僧侶リフ
4 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:57:01.72 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,+0)
僧侶「? なに、商人さん」

商人「旅の装備とゴールド、それに道具は全て置いていってもらうぞ!」

僧侶「えっ? 全部?」

商人「当たり前だ! 旅の物資は全てワシが管理しておるのを忘れたか!」

商人「どさくさ紛れに貴重なアイテムを持っていかれては、たまったもんじゃないぞ!」

商人「いいか、我々は物見遊山ではない、魔王を倒しにいくのだ! 1Gもムダにはできんのだ!」

僧侶「そっかぁ……」

戦士「とはいえ商人、これはまだ未熟な子供。無一文での一人旅は危険だと思うが」

商人「おお、そうですな! おい、ひのきのぼう! これだけくれてやる!」

僧侶は 5Gを てにいれた ▼

僧侶「えっ? これだけ……」

商人「ひのきのぼうと同じ価値なら、それと同じ額なの当然であろう!」

戦士「商人、それはやり過ぎでは」

商人「いいえ戦士殿、この町はご存知の通り物価が高い。事実、我々の予算も余りに余裕はないのです」

商人「先々のことを考えれば、いかなる支出も必要最小限にとどめるべき! 全ては魔王を倒すために!」
5 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:57:40.42 ID:V+GNQfI/P (+24,+29,-5)
でも思い出として絶対捨てたり売ったりしないよな
6 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:57:43.19 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-279)
賢者「……僧侶さん。あなたはバギ系呪文も使えるはず。それで弱った魔物を倒すこともできましょう」

賢者「道中戦いに傷ついたとして、宿に泊まりつつ確実な勝利を重ねていけば、金銭に困ることないはずです」

僧侶「……でも……」

商人「まだ何か不満があるのか!? それ以上何か言うなら、その5ゴールドも取り上げ……戦士殿?」

戦士「僧侶よ。お前は子供とはいえ、仮にも勇者のパーティーの一員だった」

戦士「その誇りと、勇者から分け与えられた勇気の一端があれば、何も恐れる必要はない」

戦士「分かったな」

僧侶「うん」

僧侶「分かった」二コ

僧侶「戦士さんたちも、お気をつけて。勇者に、よろしく言っておいてください」

戦士「うむ。早く行け」

僧侶「えと……アイテムと……装備品はここに置いておきます」

商人「おいそんな汚いところに置くな! 少しは考えろ!」

僧侶「あ、ごめんなさい。えっと、こっちに置いときます」

僧侶「それじゃあ――さようなら」
7 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:58:04.65 ID:VE9zHu//0 (+22,+29,-5)
商人、お前の方が要らない
8 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:58:48.46 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,+0)
 

戦士「――行ったか?」

賢者「はい、確かに町を出たようです」

商人「ふうう、ようやっと厄介払いができましたな!」

戦士「あまり悪く言ってやるな。俺はああは言ったが、あの僧侶はあれで多少は旅に貢献していた」

賢者「しかし、勇者様と同い年というのは本当なのですか? 私と二つと違いませんよ」

商人「がはは、もともと勇者様のコネで入ったような能無しですからな!」

商人「賢者殿のように、若くして賢者の号を勝ち取った本物の導師とは、格が違いますわ!」

賢者「本物かどうかは判りかねますが、流石にあの少年より優っているという自信はあります」

賢者「私が勇者様の剣となり盾となり、魔王打倒に向けて全霊を注ぎましょう」

戦士「うむ、賢者よ、ともに世界を平和にもたらそう。これからはよろしく頼むぞ」

賢者「お任せください」

商人「そうと決まれば、お近づきに酒瓶でも開けませんか! 今晩は一段と冷えるようですぞ!」

勇者「あっ、みんな集まって何してるの?」

戦/賢/商「!!」
9 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:59:25.56 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-294)
商人「ゆ、勇者様!」

勇者「あれ? 僧侶も一緒じゃないの? どこいったの?」

戦士「……それについては勇者。その前に話すことがある」

勇者「なに?」

戦士「予め話はしておいただろう? こちらの賢者が、正式にパーティーに加入することになった」

賢者「はい。すでに挨拶は済んでいますが、改めてよろしくお願いします」

勇者「わあ、そうなんだ! こちらからもよろしくお願いします!」

勇者「にぎやかになるなあ。ボクと僧侶と賢者さんとで、もう回復役には困らないね!」

商人「僧侶はもういませんぞ」

勇者「……。……えっ? いないって?」

戦士「僧侶は……自身より遥かに有能な賢者が入ってきたことで……」

戦士「……自分の力量の限界を悟り、進んでパーティーからの脱退を願い出た」

勇者「えっ?」

勇者「ど、どういうこと? ねえ、ボクそんな話聞いてないよ!?」

商人「い、いやあ、我々も急な話で驚きましてな」
10 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 21:59:58.30 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,+0)
勇者「ちょっと待ってよ、僧侶はどこ? 直接話をして――」

賢者「僧侶殿は、すでに町を去られました」

勇者「えっ!? ひ、一人で?」

勇者「このへんの魔物が手強いの知ってるでしょ!? まだ今日の疲れも取ってないのに!!」

戦士「落ち着け勇者。僧侶には」

戦士「僧侶には、貴重なキメラのつばさを持たせた。故郷までひとっ飛びだ。危険はない」

勇者「そ、そうなの? 商人さん」

商人「もももちろんですとも。ある程度の金銭も持たせましたし、帰っても当分は生活も安泰かと」

勇者「そ、そうなんだ……。でも、ボクに何の相談もなしに……」

戦士「……このところかなり思いつめていたようだぞ。勇者に迷惑をかけたくはない、と」

勇者「ボク、僧侶を迷惑に思ったことなんて、一度もないよ!」

戦士「勇者はそう思っていたとしても、事実、回復や一部の補助以外は、足手まといだった」

勇者「……本気で言ってるの? 僧侶はね、ボクなんかよりずっと賢くて」

勇者「町の人の会話なんかも、ダンジョンの地形なんかも、全部憶えられるんだよ?」

戦士「何?」
11 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:00:54.44 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-308)
戦士「では、今まで勇者の得ていた情報が常に正確だったのは」

勇者「……僧侶に教えてもらってたんだ。恥ずかしいから、こっそり聞いていたけど」

勇者「それに、戦いでは一番みんなの体調を気にしてて……自分のケガなんかほったらかしで……」

勇者「だからボクたちが教会のお世話になったことなんて、ほんの数えるほどしかなかったでしょ?」

戦士「……すまない。それは気付かなかった」

勇者「足手まといだなんてとんでもないよ。僧侶がいないと、とてもここまで来れなかった……」

賢者「大変恐縮ながら勇者様。よろしいですか?」

勇者「……なに?」

賢者「彼は自分の意思でこの場を離れました。それほどの貢献を経た上で、自分で決断を下したのです」

賢者「であれば、我々はその意思を尊重するのが、彼の本意ではないでしょうか」

勇者「でも……」

賢者「不肖この賢者、記憶力も状況判断力も、人並みよりは優れていると自負しております」

賢者「彼の穴埋め以上のはたらきは必ず果たし、勇者様への尽力は惜しまぬと誓うゆえ」

賢者「どうか此度の顛末には、ご理解ご寛容を」

勇者「……」
12 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:01:32.77 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-248)
勇者「……」

賢者「勇者様、どちらへ?」

勇者「ルーラで僧侶に会いに行く。やっぱり一度きちんと話さないと」

商人「そ、それはっ……」

戦士「それはならん、勇者よ」

戦士「なんのために僧侶がお前に会わずに去ったと思う」

戦士「教えてやる、互いに未練を引きずらないようするためだ」

戦士「すっぱり繋がりを絶てばしこりも残らん。そして恐らくその判断は正しい」

戦士「いま僧侶に会いに行くのは、その意志、克己を踏みにじることになりかねん」

戦士「だが……それでも構わず、我を押し通すというなら、行ってくるがいい」

商人「ちょっ」

戦士「だが勇者、私情に振り回されるようでは、俺は魔王を倒しうる器とは思わんぞ」

勇者「……」

賢者「勇者様」

勇者「寝室だよ。話は分かった。……今日はもう疲れちゃった。先に寝てるから……」
13 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:02:08.86 ID:kiBoUT9h0 (+25,+25,-3)
DQ9では賢者<<僧侶だったな
14 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:02:19.21 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,+0)
 

商人「ふうう、なんとか乗り切りましたな!」

戦士「……俺は人を騙すことに慣れていない。後味は最悪だ」

戦士「だがこの件だけはやむを得まい」

戦士「勇者は擁護していたが、やはり俺からしてみれば、僧侶は優秀な人材とは思えなかった」

戦士「より呪文に秀でた賢者が参入した今なら、尚更だ」

賢者「恐縮です」

戦士「なのに、勇者の僧侶への入れ込みようは度が過ぎていた」

戦士「魔王打倒に万全を期すためにも……この辺で決別してもらわねば」

賢者「ええ。私は彼のことはよく知りませんが、やはり5人での長旅というのは効率が悪いかと」

商人「とんでもない話です! 人数が一人増えるだけで、経済的にはえらい負担ですぞ!」

戦士「とにかく全ては、確実に魔王を倒すためだ。我々ももう僧侶のことは忘れよう」

戦士「明日は未踏の地への探索だ。各々、今日は早めに床につくがいいだろう――」

賢者「この周辺の地形に関してはお任せください。私にとっては庭のようなものです――」

商人「あ、あれ? お二人とももうお休みで? うむむ、せっかくの酒盛りが――」
15 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:02:45.79 ID:VE9zHu//0 (+36,+29,-2)
>>13
しかし賢者はベホマが使えない
16 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:03:20.91 ID:pvR//xZO0 (+19,+29,+0)
商人イラネ
17 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:03:59.13 ID:kiBoUT9h0 (+39,+29,-4)
>>15 だから僧侶の方が上って書いてるじゃねえか
18 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:04:01.69 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-101)
――――――――――――――――――――

【外】

僧侶「……」ニコニコ

僧侶(ちょっと寒いなぁ。やっぱりあの装備って、防寒効果もすごかったんだなあ)

僧侶(そうだよ、装備がないから、魔物にばったり遭わないようにしないと)

僧侶(おっと)

僧侶(魔物だ)

僧侶(まだこっちに気付いていないな。遠回りしていこう――)

 

僧侶(おっと。魔物だ。ここは隠れてやり過ごそう――)

 

僧侶(おっと魔物だ。全力で逃げよう! ――)

 

僧侶「おっと」

僧侶「もう日が沈んじゃうな。そろそろ野宿する場所を確保しておかなくちゃ」
19 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:04:28.25 ID:VE9zHu//0 (+28,+29,-2)
>>17
すまない
逆に見ていた
20 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:04:46.44 ID:JOtdaiZe0 (+93,+30,-229)
 ポツ     ポツ

僧侶「あっ」

僧侶「雨だ。雨が降ってきた。大変だっ」

僧侶(どこか雨宿りできる場所……あっ、この木のウロ、結構広そう)

僧侶(うん、中に何もいないみたいだし、何かがいた痕跡もないし、ちょうどいいや)

 

僧侶「よっしょ」

僧侶(いい感じ。もうすっかり暗くなってきたし、今日はここで寝よう……)

僧侶(……戦士さんたち、大丈夫かなぁ。寝てるとき風邪引かないかな)

僧侶(戦士さんは頑丈だから病気とは無縁だけど、商人さんは寝相が悪いからなぁ。ちょっと心配)

僧侶(賢者さんはどうだろ。きっと僕なんかよりずっと頭が良い人だから、心配するのは失礼かな)

僧侶(勇者は……いつも布団を多めに被ってるから大丈夫だよね……)

僧侶(勇者といっても、まだ年頃の女の子なんだし……体調には気を配らないと……。……)

 ザー―――――― ……

僧侶「Zzz――」
21 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:05:28.42 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-156)
――

 

僧侶(……)

僧侶(……寒い……ちょっと寒い……)

僧侶(……でも平気……寒くない……)

僧侶「!」

僧侶「あ。朝」

僧侶(そっか。そういえば僕ひとりだった)ゴシゴシ

僧侶(勇者たちから抜けて、家に帰るところだったんだ)

僧侶(魔王を倒しに行くのに比べたら、ずいぶん気楽な旅路だよね)

 

僧侶「ん……」

僧侶「雨はやんでるけど……地面がべちゃべちゃだ。こりゃ歩きづらいなあ」

僧侶「と。こんなこと言ってたら、また戦士さんに怒られちゃう」

僧侶「う~ん……よしっ。出発!」
22 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:05:28.81 ID:z24PUcDv0 (+22,+29,-9)
僧侶「おおっと!テレポーター」
23 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:05:58.37 ID:kiBoUT9h0 (+24,+29,-3)
賢者は回復力が足りない
24 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:06:01.81 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-141)
僧侶(一つ前の村までの道順はこっち……うん、こっちが最短距離)

僧侶(目的地への方角がちゃんと分かるって幸せだね。自信を持って歩けるもの)

僧侶(道のりもやることも分からなかったら、僕にはきっと耐えられないだろうなぁ)

僧侶「……」

僧侶「ん……!」

 

魔物Aが あらわれた! ▼

僧侶(やっぱり出た! 右手の抜け道は……)

魔物Bが あらわれた! ▼

僧侶(うわわっ。こうなったらいったん引き返して……)

魔物のむれが あらわれた! ▼

僧侶「!」

僧侶(は、挟まれちゃった! 逃げ場がない!)

僧侶(戦わなきゃ。戦わなきゃ)

僧侶(ぼ、僕一人で……戦えるかな……)
25 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:06:35.55 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-140)
――――――――――――――――――――

勇者「やあっ!」

勇者の こうげき! ▼

商人「このおおおっ!」

商人の こうげき! ▼

賢者「そのグループはまとめて倒せますね」

賢者は ベギラマを となえた! ▼
魔物のむれに ダメージを あたえた! ▼

戦士「こいつで最後だ!」

戦士の こうげき! かいしんのいちげき! ▼

魔物を たおした! ▼

魔物のむれを やっつけた! ▼


勇者「ふう……」

戦士「今の戦いはなかなか質が良かったな」

商人「多めにゴールドを回収!」
26 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:07:14.13 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-263)
賢者「勇者様、足から血が」

勇者「えっ? ああ、こんなのかすり傷だよ」

賢者「私にはまだまだ魔力に余裕があります。回復させてください」

勇者「そ、そう? じゃあお願い、僧侶――じゃなかった賢者さん!」

賢者「……」

戦士「勇者。僧侶のことは忘れろとは言わんが、早いうちに意識を切り替えろ」

戦士「最終的に魔王との戦いは、このパーティーで挑むことになるのだからな」

勇者「わ、分かってるよ。今のは、ちょっと」

勇者「賢者さんが、いつもの僧侶と同じことを言ってきたから、つい……」

賢者「いつも?」

商人「そうです、僧侶の奴は、戦闘が終わるたびにイチイチ他人のケガを見て回るのです」

商人「いやーしつこいもんですぞ。別にいいと断る頃には、すでに回復呪文を唱えておりまして」

戦士「うむ、あれは考えなしだった。魔力の使い方としては、えらく非効率に思えたものだ」

賢者「まぁ、毎回そんなことをやれば効率は悪いでしょうね」

勇者「……みんな僧侶のこと何にも知らないくせに……」ボソ
27 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:07:44.13 ID:VE9zHu//0 (+22,+29,-2)
しかし書き溜めているとは流石
28 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:08:03.09 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,+0)
商人「それにしても、やはり賢者殿は相当な戦力になりますな!」

賢者「お褒め預かり光栄です」

戦士「お前は先の町で、長らく呪文の研究をしていたのだろう?」

戦士「若いということもあって、正直あまり戦闘には期待していなかったが、」

戦士「予想に反して立ち回りは様になっていた。どこで覚えた?」

賢者「私は魔道の修練のため、大陸中を巡りました。元々旅には慣れ親しんでおります」

賢者「空白期間こそありましたが、思ったより勘が鈍っていなかったので幸いでした」

賢者「すぐに皆様に息を合わせられるよう、精進いたします」

商人「何をおっしゃる、賢者殿はもうすっかりパーティーの一員ですぞ!」

戦士「うむ。賢者がパーティーの良き参謀となれば、以前よりも旅は安泰になることだろう」

勇者「……そんなの絶対分かんないもん……」

賢者「あ。勇者様、足元っ」

勇者「うわ。っとっと」

賢者「大丈夫ですか?」

勇者「う、うん平気。ありがと。…………ちぇっ……」
29 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:08:49.45 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-286)
 

戦士「――そろそろ日も傾いてきたが、次の町まではあとどのくらいなのだ?」

賢者「あと一山、越えなければなりませんが……勇者様、いかがいたしましょう」

勇者「それなら頑張って歩こう。まだみんな余力はあるみたいだし」

商人「賢者殿のおかげで、前よりずっと好ペースで進んでおりますからな!」

賢者「それは何よりです」

戦士「お前はパーティーに加入したばかりだ。くれぐれも無理はするなよ」

賢者「ええ、ありがとうございます」

勇者「……ねえ賢者さん」

賢者「はい?」

勇者「賢者さんは、どうしてこのパーティーについていこうと思ったの?」

賢者「それは無論、この世に悪をもたらす元凶、魔王を征伐するためです」

賢者「魔王はいにしえより、選ばれた勇者の剣でのみ討ち果たされると言われています」

戦士「……」

賢者「ゆえに勇者様が先の町に立ち寄ると伺ってからは、元より同行させて頂くつもりでした」
30 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:09:42.79 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-280)
賢者「もちろん希望通りにパーティーに参入できるとは思えませんでしたが――」

賢者「幸運にもそちらの商人様の紹介あって、人員交代の機会に恵まれた次第です」

商人「いや何の、腕利きの賢者がフリーだと聞いては、声をかけずにはいられませんとも!」

勇者「ボクには急な話だったけどね」

戦士「仲間になるかもしれん、という話は予め伝えておいたはずだが」

勇者「僧侶が抜けるなんて聞いてないよ」

戦士「まだ言っているのか。過ぎたことを引きずるな。あれは……」

戦士「あれは僧侶の意志だったのだ。お前も納得しただろう」

勇者「……まだ全部飲み込めたわけじゃないよ。一日経ったばかりだし」

商人「まあまあ、徐々に今のパーティーに慣れていけばいいじゃあありませんか!」

勇者「……でも……」

賢者「勇者様」

賢者「私の能力では、何かご不満でしょうか? すぐに改善いたします、何でも仰ってください」

勇者「えっ? い、いや、そういうわけじゃないよ。賢者さんはすごく頼りになると思う」

勇者「ほら、もう日が沈んじゃうよ、先を急ごっ」
31 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:09:58.42 ID:bciqfKW30 (+16,+28,-2)
さるよけ支援
32 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:10:15.01 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-172)
――――――――――――――――――――

僧侶は 魔物のむれをたおした!

経験値と 120Gを てにいれた! ▼

僧侶「ふう」

僧侶「なんとか勝てた……」

僧侶「……」

僧侶(こっちも命がかかってるから、甘いことは言ってられないけど)

僧侶(このモンスターたちも、子供がいたり、生きるのに必死だったかもしれない)

僧侶(供養だけでもしていこう。僕一人しかいないし、誰にも迷惑かからないよね)

僧侶(――)

 

僧侶「よし、先を急ごう」

僧侶(次の村に着いたら、装備だけでも整えようかな。やっぱり手ぶらじゃきついや)

僧侶(わ、よく見ると服もドロだらけだ。新しい服も買っておこう)

僧侶(そうだ、好きなものが自分のお金で買えるんだ。一人旅も悪くないかなあ)
33 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:10:17.51 ID:gu8prykM0 (-22,-10,-2)
34 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:10:31.35 ID:+/TABz6oO (-20,-8,-2)
支援
35 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:11:23.98 ID:kiBoUT9h0 (+34,+29,-21)
120gもあれば宿泊まってキメラの翼買えるな
36 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:11:28.78 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-179)
――

僧侶は にげだした!

 

僧侶「はぁ……はぁ……」

僧侶(今度はうまく逃げられた。しかも村の方向だ、ラッキーだね)

僧侶(あ。この坂、見覚えあるぞ。ここを越えたら――)

僧侶(見えた! 村だ。まだ結構歩かなきゃならないけど)

 

  ポツ     ポツ

僧侶「!」

僧侶「また雨!」

僧侶(うーん、雨宿りするには中途半端な距離だなぁ)

僧侶(よし、もう日も沈んで暗くなってるし、今日は頑張ってあそこの村まで行こう)

  パタパタパタパタ  ……ザー―――――― ……

僧侶(うわあ、雨足早いぞ。急がなくちゃ!)
37 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:12:02.93 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-149)
 ザー―――――― 

僧侶(歩きづらいなぁ。視界も悪いし)

僧侶(でも負けないぞ。なんてったって僕は勇者のパーティーにいたんだ)

僧侶(雨の中でも勇気を出して、胸を張って歩こう)


僧侶「ん……!」

魔物Aが あらわれた!
魔物Bが あらわれた!

僧侶(村まであと少しだ。こうなったら……)

僧侶は マヌーサを となえた!

魔物のむれは まぼろしに つつまれた! ▼

僧侶「今のうち!」

僧侶は にげだした!

しかし 足がもつれて すっ転んでしまった! ▼

僧侶「ぶぼ! いてて……」

魔物のむれに まわりこまれてしまった! ▼
38 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:12:20.28 ID:VE9zHu//0 (+22,+29,-31)
問題は僧侶が男か女かということ
39 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:12:35.60 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-188)
――

 ザー―――――― 

【東の村】

僧侶「はぁ……はぁ……あれ?」

僧侶(必死で逃げてたら、いつの間にか村に着いてた……)

僧侶(良かった。なんとか無事に、一人で戻って来れたぞ)

僧侶(村の人は……やっぱりみんな家の中だ。こんな天気だもんね)

僧侶(ええっと、まずは宿屋? ううん、こんなに汚れたカッコじゃ、会う人に失礼だね)

僧侶(まずはお店に行って着替えを買ってこよう。ついでに装備も整えられるし、一石二鳥だ)

僧侶(もうすっかり遅くなったし、雨も降ってるけど……開いてるかな?)

僧侶(確かこのカドを曲がって……左に行って……もひとつカドを折れたここ!)

【東の村>武具屋】

僧侶(よかった開いてる!)

僧侶「こんばんわ~」 キィ…

武具屋「いらっしゃ……ん? お前どこのガキだ?」
40 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:13:06.20 ID:HSHYNDHw0 (+14,+29,-1)
さるよけ
41 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:13:15.24 ID:j5DmIIRL0 (+29,+29,-25)
>>35
この僧侶ならアッサラームの価格でも文句言わなそう…
42 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:13:28.83 ID:JOtdaiZe0 (+93,+30,-228)
僧侶「僕は通りすがりの旅人です。お金はあります、服を下さいな」

武具屋「おい馬鹿野郎、濡れたカッコで入ってくるんじゃねえ! 外で水きってこい!」

僧侶「ごめんなさい」

武具屋「旅人ねぇ、そうは見えねぇがなあ。ま、金があるってんなら一応客だが」

僧侶(所持金は125ゴールド……この村の宿屋は確か一人20ゴールドだから……)

僧侶(10ゴールドのぬののふくと……かわのぼうし80ゴールドまで買える!)

僧侶「これとこれを下さい」

武具屋「90ゴールドだ。偽金じゃねえだろうな」

僧侶(へへ。奮発してぼうしまで買っちゃった。一人で買い物って楽しいな。あ、そうだ)

僧侶「武器も見せてくださいな」

武具屋「ああ? あといくら持ってんだ?」

僧侶「35ゴールドです」

武具屋「はっ、やっぱ金持ってねえのか。その額じゃこれとこれしか売れねえな」

僧侶(ふむふむ、30ゴールドのこんぼうと……あ!)

僧侶「これ下さい!」
43 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:13:38.77 ID:4ALhzyDV0 (+19,+29,-7)
3の男僧侶っておっさんだったっけ?
44 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:13:46.62 ID:842H4fNeO (+22,+29,-5)
男賢者とか誰得だよ
45 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:14:07.69 ID:JOtdaiZe0 (+93,+30,+0)
僧侶は ぬののふくを 装備した!
    かわのぼうしを 装備した!
    ひのきのぼうを 装備した! ▼

僧侶「これでよし。ありがとうございました」

キィ…

武具屋(へへ、いまどきあんな『ひのきのぼう』買うバカがいるとはな)

武具屋(一緒に並べて正解だぜ、タダ同然で仕入れて5ゴールドの儲け!)

武具屋(頭の回んねえ奴だ、まさに『ひのきのぼう』に相応しいガキだったぜ。へへ……)

 

――

僧侶(ひのきのぼう、買っちゃった。戦士さんが僕のことを『ひのきのぼう』って言ってたけど)

僧侶(僕にはぴったりだ。このひのきのぼうは、まさしく運命の相棒なんちゃって)

僧侶(残りは30ゴールド。この村の宿代は一人20ゴールド)

僧侶(残り10ゴールドで薬草も買えちゃうぞ。大事に使おう)

僧侶(えっと宿屋はこっちか)

僧侶(新しい服が濡れないように気をつけなくちゃ……)
46 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:14:45.91 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-281)
【東の村>宿屋】

僧侶「こんばんは~」

主人「いらっしゃいませ……おお、あなた様は勇者様ご一行の!」

僧侶「わあ、覚えてくれて、ありがとうございます。そうです、僧侶です」

主人「あなた方であればいつでも歓迎します! どうぞどうぞ」

僧侶「あのうすみません、今日は僕一人なんです」

主人「……はて? どういった事情が?」

僧侶「僕は先日、勇者のパーティーから外れたんです。今は故郷に帰るところなんです」

主人「ははあ……なるほど、そういうわけですか……」

僧侶「こちらの宿代は、一人20ゴールドですよね。一泊、泊めさせてもらえませんか」

主人(……うーむ。勇者様がいないのでは、愛想振りまいてもしょうがないな……いま忙しいし……)

主人「あーその……実は80ゴールドなんですよ」

僧侶「えっ? この間パーティーで泊まった時は、全員で80ゴールドでしたよね?」

主人「ええーそれが、『一泊』、80ゴールドだったわけでして」

僧侶「えっ、そうだったんですか」
47 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:15:53.65 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-228)
僧侶「僕、いま30ゴールドしか手持ちがないんですけれど……」

主人「あー……、……では、残念ながら……はい……」

僧侶「他に泊まれるところは知りませんか?」

主人「いえいえ、あったとしても、競合店を紹介するような真似はできませんよ」

僧侶「そうですか……では、お邪魔しました」

主人「はい、ご予算に都合がつきましたら、是非とも当宿屋に」

主人(……ふう、なんとか追っ払えたか。それじゃ仕事仕事――)

――

僧侶(そっかぁ。一泊で80ゴールドだったんだ。他のところと違うんだ)

僧侶(困ったなあ。80ゴールドだったら、ちょうどこの『かわのぼうし』と同じ代金か)

僧侶(きっと贅沢したから、バチが当たっちゃったんだろうなぁ。反省)

僧侶(じゃあ、今晩どうしよう。やっぱり野宿しかないかな)

僧侶(そうだ! キメラのつばさがあれば、家までひとっとびだ! 道具屋に行ってみよう)

僧侶(確か取り扱ってなかったはずけど、もしかしたら新しく入荷してるかもしれない)

僧侶(30ゴールドで譲ってはくれないだろうけど……一応、ダメ元で訪ねてみよう)
48 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:16:24.84 ID:JOtdaiZe0 (+95,+30,-213)
【東の村>道具屋】

――

道具屋「ねえよ、キメラのつばさなんて大層なもん。帰んな帰んな」

僧侶「そうですか……」

僧侶(この村には他に泊まる場所がなかったし……やっぱり今日も野宿か……)

ガチャ

「ちょっと道具屋さん、薬草ちょうだい!」

  ドンッ   僧侶「わっ」

道具屋「おや村長ンとこの。こんな夜分にどうしたんだい?」

「それが、旦那様の具合が急変しちゃって! どうしたらいいか分かんないのよ!」

道具屋「そりゃまた大変だ」

「とにかく薬草を煎じて飲ませるぐらいしか思いつかないの! お金はあるわ! 早く!」

僧侶「……あのう」

「なによアンタ、邪魔よ!」

僧侶「えっと、僕いちおう僧侶ですけど、もしよければ診ましょうか? 村長さんを」
49 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:17:03.00 ID:gKE6IQxy0 (+32,+30,-52)
僧侶「よし、これでだいじょうぶ!」
ひのきのぼう
とがったほね
しあわせのぼうし
こんぼう
のこぎりがたな
みかわしのふく
50 : 以下、名無しにか - 2012/11/26(月) 22:17:10.71 ID:+H2wQuEa0 (+3,+15,-13)
しえん
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