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    元スレ純一「もっとみんなと、イチャイチャしよう!」

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    151 = 145 :

    「わ、わかりました…! とりあえずは、僕はどうしたら…?」

    夕月「お、おう……そしたら…右手のほうが若干、拘束がゆるい感じがするな。そっちをどうにか解け!」

    「りょ、了解です……」ぐいぐい…

    夕月「っ……あ、あんまり揺らすなっ……!」

    「し、仕方ないですよっ…!こうしないと、中々取れなくて…!」ぐいぐいっ

    夕月「くっ……」ぷるぷるん…

    (……し、視界の端でなにか揺れてるっ……でも、気にしちゃ駄目だ!平常心!)

    夕月「ま、まだか…っ?と、とれたかよ……っ!」

    「も、もうっちょっとで……あ、とれた!」ぐいっ ばっ もにゅ

    夕月「んっ……!」

    「──あ、勢い余って……!!」もにゅ

    夕月「っ~~~~~!!! すぅうううううう……」

    「え、ああああ!? だめですって大声出しちゃ!」ばっ

    夕月「んむぐっ!? んんー!んんんー!!!!」もがもが…

    「落ち着いてください! まずは落ち着いて!!るっこ先輩!!」

    152 = 89 :

    唇で塞ごうぜ

    153 = 145 :

    夕月「んっ! んん~ッッ!!………がりっ」

    「い、いたっ…!?」

    夕月「───ぷはっ…こ、殺す気かあんた…! 鼻まで塞ぎやって…! はぁっ…はぁっ…!」

    「す、すみません……でも! こっちも本気でやらなくちゃ先輩絶対に叫んでたでしょう…!」

    夕月「あ、あたりまえだろーが! 人様の、む、むむねさわって置きながら……っ!」

    「あれも不可抗力ですって…!」

    夕月「あたしゃ気づいてたぞ! 触ったって気づいてから、もっかいもんだだろテメー…!?」

    「……あ、それはその……」すっ…

    夕月「目をそらすなこら……っ!」

    「で、でもっ…!ほら! もう右手が抜け出せましたし…!これでやっと打開策が見えましたよ…!」

    夕月「~~~~~っ………あ、ああっ…そうだなっ! じゃあ早く他の拘束の所、どうにかしろ…っ!」

    「は、はい……わかりました…!」ごそごそ…

    夕月(く、くそっ……あとで覚えて起きやがれっ…! みっちりし返してやるからなっ…!)

    154 = 145 :

    「えっと、これがあれだから……これで、そうで……」ごそごそ

    夕月「っ……こっちは見るんじゃねえぞ…!」

    「わ、わかってますって……これは、こう……よし、ほら僕の両手が自由になりました」

    夕月「上に上げるな! ま、また触ろうとしてるかあんたはっ…!」

    「ち、ちがいますって! そ、それじゃあ足元なんですけど……」

    夕月「っ! そ、そこなんだけどよ……実はどうやら帯がからまってるみたいなんだよ……!」

    「帯ですか……なるほど、じゃあ手を伸ばさなくて──」

    夕月「いいんだよっ! ほら、あたしが手をついてる場所の横にあるから! それをひっぱればいいんじゃねえのか…っ?」

    「ああ、確かに帯だこれ。わかりました、それじゃあ引っ張ってみますね……よいしょっと」ぐいぐいっ

    夕月「っ……ど、どうだっ…?とれそうかっ…?」

    「え、えーと……たぶん、はい。頑張りたいと思います…!」ぐいぐい

    155 = 89 :

    いいよいいよー

    156 = 145 :

    夕月(こ、これでなんとか……自由になるのか…くそ、なんてことをしちまったんだあたしは…!)

    「こうかな…? いや、こう引っ張れば……」

    夕月(愛歌やりほっちに合わせる顔がないよっ…! 茶道部でこんなはれんちなことをしちまってさ…!
       くそう……これもあれも、全てこいつのせいだ…!)

    (な、なんだか物凄く睨まれてる気がする……)

    夕月(と、とにかくっ…ここから抜け出すことが肝心だ…はやくしろ橘っ……!)

    「──ん、あれ?なんだかたるみが出来たぞ…もしかして、取れるかもしれませんよ!」

    夕月「ほ、ほんとうかっ…? じゃ、じゃあ早く引っ張れ! おもいっきりな!」

    「は、はい! それじゃあ思いっきり引っ張って……よいしょっと!」ぐいー!

    夕月「こ、これでやっと───……へっ?」ぎゅっ

    夕月(な、なんだいっ…! 頭の上に、急に圧力が……!まさか、帯が頭の上に……!)

    夕月「や、やめろ橘っ…! それ以上引っ張ると───」

    「───よいしょっとぉおー!」ぎゅ…しゅるるるう…

    夕月「なっ、あ、ちょ…っ!」ぐぐっ…ぐぐっ…

    「んん~!!」ぐいっ!ぐいっ!

    夕月「や、やめろっ…それ以上引っ張ると、腕が持た───」ちゅっ

    158 = 145 :

    「……んんっ!? んっ!?」びくっ!

    夕月「っ~~~~~……ん、んんっ!」ばたばた!

    「ん、んんっ! んふ、んん……!」あたふた…

    夕月「んっんんーーーーーーー!!! 」ばたばた…!!

    「───ん………」すっ…

    夕月「んーーーっ……ん、んん……?」ちらっ…

    「………」じ…

    夕月「………んん…っ?」

    「………」ぎゅう…

    夕月「っ……んん!? んんーーーー1!!!」

    「っ……んん、ちゅ…」

    夕月「んんっ!? ん、んっ……っ!」ぴくん

    「ちゅ……ちゅっ……………れろ」

    夕月「んんーーーーー!?!?」

    159 = 145 :

    「…………」…ぴた

    夕月「──んはっ…! んはっ……!」ぐたー…

    「…………」じい…

    夕月「……んんっん!? んん! んんん!!?」ぷんすか

    「………ちゅっ…」ぐいっ

    夕月「っっ!? んん…!?」

    「ちゅ、れろ……────!!」

    夕月「んんっーーーー!!!─────」


    数分後

    「ちゅる………ぷは、あれ…頭にあった拘束が緩んでる……」しゅる…

    夕月「……はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

    「…先輩? ほら、もうとれましたよ」

    夕月「っ……はぁっ……はぁっ…!」ぎろっ…

    「……声も出ませんか? まぁ、ずっとキスしてましたしね……うん」

    夕月「はぁ……はぁ……けほっ……はぁっ……」ぎゅっ

    160 = 147 :

    ふぅ……

    161 = 99 :

    初めての共同作業(意味深)

    162 = 145 :

    「……すみません、なんというか。たぶん、僕が帯び引っ張ったせいで…
       お互いの顔が帯に巻き込まれて、ひっつきあったってわかったんですけど…」

    夕月「っ………はぁっ……はぁ……」

    「……なんていうか、我慢できなくなって。あはは…!キス、しちゃいました…」

    夕月「……っ……はぁ…はぁ……」

    「その、苦しかったですよね? いやでしたよね……し、舌とかも入れましたし…
       あの状況だと、キスしてたら強制的にでも入ったと思うんですけどね……」

    夕月「………はぁー……っ……」

    「……先輩、落ち着きました?」

    夕月「…た、たちばなっ……」

    「……はい、なんでしょうか。先輩」

    夕月「なんで……──泣いてるんだ、よ……っ?」

    「───えっ…僕、泣いてますか…?」

    夕月「はぁ…はぁ…ああ、泣いてる、ぞ……!」

    163 = 89 :

    紳士の目にも涙

    164 = 99 :

    生娘みたいな反応しやがって!

    165 = 145 :

    「……本当だ、涙出てる…」ごし…

    夕月「あ、あたしも……出てるけど…!…はぁ……息苦しかっただけで、あんたほどじゃないっ…はぁ…はぁ……」

    夕月「けほっ……はぁ、ふぅ………」

    夕月「……何で泣いてるんだ、橘純一…まずはそれを聞かせろ」

    「……きっとあれですよ、先輩と、るっこ先輩とキスが出来て嬉しくて」

    夕月「…………」

    「嬉しくてその……いっぱいいっぱいな気持ちになったんじゃないですかね…?」

    夕月「…………それが、本音か?」

    「……いや、ちがうと、思います……いえ、違います……きっと」

    夕月「………ひとつ、そんな橘にあたしから言っておきたいことがある」

    「っ……なん、ですか…?」

    夕月「───ふぅ…いいか、言うぞ?」

    「……はい、どうぞ」

    夕月「あんたのこと……別に嫌いになったりしねーよ」

    「っ……!」

    166 = 99 :

    かっこいい女だメーン!

    167 = 145 :

    夕月「どうぜ、くよくよさっきのこと悩んでたんだろ…?
       自分からやったくせによう……本当にあんたって頭ゆるゆるだよ」

    「…………」

    夕月「……いっちゃーなんだが、その。別に…あれってわけよ…うん」

    夕月「い、嫌じゃなかったってー……途中で思っちまったさー……」

    「……そう、なんですか……?」

    夕月「そ、そこで聞くかフツー…!?……ま、まぁ……そうだな、これはあたしの意見だし…
       聞かれたら答えるってのが筋か……そうさね…」

    夕月「……そうだよ、橘。あんたにき、キス……されてて。アタシはいやじゃなかった、さ…っ」

    夕月「…だ、だってほらっ! と、途中から……………………………ア、アタシカラモシタダロ…!」ゴニョゴニョ…

    「……確かに。どちらかというと、途中から先輩のほうが積極──ぐはっ!?」ごすっ

    夕月「そ、そそそそういうことをさらっというなってばッ!!あんただってずいぶんと、
       ごっちゅんごっちゅんやってくれたじゃねぇか! そ、そそそれに…!」

    夕月「き、キスしながらッ……む、胸とか触りやがって……!!」

    「ば、ばれてました…?」

    夕月「バレるわ! がっつりわかってたっつーの…!」

    168 = 145 :

    「………」

    夕月「………──と、とりあえず、ほら……もう出れるだろ?」

    「え、あ、はいっ……」ごそごそ…

    夕月「………」ポリポリ…

    「……出ましたよ、るっこ先輩」

    夕月「お、おうっ……じゃあちょっと着替えるからよ。すこし外に出ておいてくれ」

    「わかりました……」がらり… ぴしゃ

    夕月「…………」

    夕月「……はぁ~…なんだろうねぇ~…」

    数分後

    「…………」ずずっ…

    ピーヒョロロロー

    「お茶、熱い……」

    『───……橘、そこにいるのかー?』

    「は、はいっ…!ここにいます!」

    169 = 99 :

    「俺もいます」

    170 = 145 :

    『そ、そうか……少し待っとけよ。茶菓子持ってきてやっから』すたすた…

    「あ、ありがとうございます……」

    「──………はぁー…だめだ、先輩と素直に話せる自身がない…っ…!」

    「……。なんてこと、してしまたんだよ…僕……」

    「………もう、これから茶道部に…」

    「……これなくなっちゃうのかな───」

    夕月「──んなこたぁねえだろ!おい!」ばしん!

    「いたぁっ!?あつィ!?」

    夕月「ははっ、しけた顔しやがって! 数分前まで熱いキスをした男かよそれが!」

    「ちょっ、それは……!」

    夕月「んだよ、ちげーっていうのかよ? 本当のことだろう?」

    「そ、そうですけど……」

    夕月「なら、ちったー自信持てよ! このあたしから…ファーストキスを奪いやがったんだぜ…?
       くくっ、どんな物好きってもんだよー」

    「物好きって……僕は、先輩が!」

    夕月「ん? なんだよ、あたしがどうしたって?」

    172 = 145 :

    夕月「まさか──……あたしのことが、好きだって言いたかったのかい?
       くくっ、そりゃーなんて面白い冗談だよ。んな小さいネタだとあたしゃ───」

    「──そうです、好きです」

    夕月「……ふーん、そうなのかい。それで続きは?」

    「……僕は先輩のことが、好きです。好きでしょうがなくて…こうやっていっつも、
       茶道部に入り浸って…先輩といつも会うようにしてました」

    夕月「ふむふむ……」

    「でも、先輩はもうすぐ卒業…だから、僕もはやく……先輩に告白しとこうって思ってて。
       だけど、なかなかできなくて……それで……」

    夕月「……それで、あの状況になった時。爆発したってわけかい」

    「……はい、でも、気持ちは本当に先輩だけで…他の誰かってのは、全く考えられなくて…
       ……だから先輩!僕は……!」

    夕月「…いいよ、続けな」

    「っ……貴方のことが、好きです…!
       どうかこんな変態ポルノ野郎だけど…………」

    「……僕と、付き合ってください……!」

    173 = 76 :

    ドキドキ

    174 = 145 :

    夕月「………なるほどねぇ……うんうん、そうかそうか……」

    「っ……る、るっこ先輩……!」

    夕月「ん? なんだい、そんなに震えてさ。まるで小動物みたいじゃないか」

    「…………」

    夕月「くくくっ……ほんっとあんたってば、いじり甲斐のある可愛いやつだよ」ぐいっ

    「え……?」

    ちゅ

    夕月「…いいよ、橘純一。そのネタはセンスがあった」

    「……せ、先輩…っ」

    夕月「あたしのここに、どんっ! ってきたよ。ばっちりとね」

    「……それじゃあ、僕とっ……!」

    夕月「──なーに、みなまでいうなって。とっくにあたしゃアンタに染まっちまってるんだ」

    夕月「……一緒に、粋な人生歩んでみようぜ、な?」

    175 = 145 :

    るっこおわりー

    次は梅原決めた

    176 = 99 :

    告白の返事すっ飛ばして逆プロポーズきた!

    177 = 89 :

    マジ先輩△
    るっこちゃんのらぶらぶちゅっちゅ見れたから心置きなく寝れるぜ

    178 = 99 :

    愛歌ちゃんは…愛歌ちゃんは書いたの…?

    179 :

    どんだけ梅ちゃん書きたいんだよ…

    180 = 145 :

    >>178
    前回のスレの
    「みんなと、イチャイチャしよう!」でぐぐっていただければ

    今から書きます

    181 = 145 :

     あれから、どれだけの時がたっただろうか。
     今から思い返せばだいぶ経ったように思うが、それは多分、違うのだろう。

    「……へっくしゅんっ」

     12月の冷たい風が、寒さに凍えた体をさらに冷やしていく。
     耐え切れずに上着のポケットに両手を突っ込むと、俺はその場へとゆっくりしゃがみ込んだ。

    「おせぇなぁ……まったく、なにやってんだか」

     はぁ、と。ため息が肺の底からこぼれ落ちる。実は長い間、この河原へと俺は待たされていた。 
     ──長い間。というのはいささか表現が大きすぎるかもしれないが、それでも俺という心境では。
     とても、とても、永遠とも思えるほどに。時の流れを長く感じたものだった。

    「はぁー……大将、はやくこいよ」

     吐き出した吐息が、冷たい空気に白く散っていく。それはまるで──あの時の、一年前の俺を表してるようで。
     すこしばかり、なんというか。
      
     ──面白く、思っちまった。

    【梅原正吉】

    182 = 99 :

    >>180
    そうか、確か移転した時のスレだったっけ
    途中まで追ってて読めなくなってたんだ
    ググるわ

    183 = 145 :

     輝日東高校に入学してから、はや三年が経とうとしていた。
     時ってもんはものすごく早いもんで、あっといまに卒業を迎える時期になっちまった。
     
    「…………ふぅ…」

     高校生となって、何か残そうと躍起になっていた頃が懐かしいほどに。
     今の俺は廃れた──いや、からっぽな大人へと変貌しつつあるのをひつひつと感じていた。

    「───寂しいねえ……なんでこう、もっと頑張らなかったんだろうか」

     なんて嘆いてみせるが、実際の所、心の中はもはや後悔の残滓も残っていない。
     ……そんなつまんねぇ男になっちまったことは、今やどうしようもなかった。

    「…………」

     当時の俺はクリスマスまでに恋人作る! なんて粋がってたもんだったが。
     今考えてみるとなんて馬鹿なことをやっていたんだろうと思ってしまうのがオチで。

    「まぁ……当時は本気だったんだよなあ……」

     だが、そんな思い出からにじみ出てくるのは、正直に言うと苦笑いだけだった。

    184 = 99 :

    梅ちゃんは田中恵子ちゃんと付き合うのがお似合いだと思うの

    185 = 145 :

    「…………」

     自然と俯きかけていた顔を起き上がらせると、広々とした空へと視線を伸ばす。
     河原の寒さに答えるよう広く高く昇った冬の空は、雲ひとつない晴れ晴れとした晴天だった。

    「──確か、あん時もこんな空だっけか………」

     今からちょうど一年前だったな。

     記念すべき二年目のクリスマスが無事に終わっちまって。
     なんというか、まぁ、つまりは。自ら変えようとしていた日常は、ほとんど何も変わらずに。
     次の日からまた、時が流れていくだけの高校生活が始まっちまっていた。

    「…………」

     クリスマスを充実させる。なんて目論んでいた俺にとって、そのような日常が始まることは。
     胸の奥底からため息が出ちまうぐらいに悔しいことで……だが、それでいて。

    「……なんも変わらなかったことが……すっげー安心してたんだよなっ」

     ───なんて声に出してしまうぐらいに、心の底から安堵した瞬間だったんだ。

    「…………」

     おかしな話だと思うだろ。なんつーか頭大丈夫か? とか問いただしたくなっちまうと思う。

    186 = 145 :

     俺が過ごしてきた高校生活を、どうにか変えてやろうと頑張っていた当時の自分。
     俺が過ごしてきた高校生活を、なんら変わらなかったことを結局は安堵した自分。

     ──ちぐはぐだらけの、一体どれが俺の本心なのかがわからない。
     そんな別々の心を持った自分が、当時の俺の心境だった。

    「結局は、お前はなにがしたかったんだよって……話だよなぁ…」

     馬鹿みたいに頑張ったくせに、なにも手に入れられなかったことがなによりも嬉しかった。
     ひたすら頑張った努力が実らなかったことが、一番の幸福だなんて。皮肉すぎやしねえかそれって。

    「ま。事実だからしょうがねえわな」

     ──これもまた、俺は苦笑いしかでてこなかった。
     若いっていうのは本当に素晴らしいもんだ、結果なんて考えずに行動ができるってもんだからな。 

    「……………」

     つまりは、まぁ、あれだ。
     クリスマスを充実させようとか、恋人を作ってうはうはな日常にするとか。
     んなーことはどうだってよかったんだ。実際のところは。

    187 = 147 :

    スレタイと今までの流れからすると、梅ちゃんとも濃厚にイチャイチャするのか……?

    188 = 145 :

    「──おーい、梅原ぁー!」

    「ん……? おう。遅いじゃねぇか大将!」

     一つの声に、俺は見上げていた視界を河原へと戻す。
     長く遠く続く河原の端に見慣れた顔がひとつ、そこにはあった。
     ───そう、それは俺の大親友である友人。小さい時からずっと一緒に居続けた奴。

    「あはは、すまん梅原。ちょっとヤボ用があってさ」

    「そうなのか……まぁ、こっちも今来たところだぜ」

     そうなのか、それは良かった。と笑いながら近づいてきた友人は、俺の横へと自然にしゃがみ込んできた。
     ……何ら変わりなく、あの時と、一年前と同じように俺の横へと並んで。

    「…………」

    「今日も寒いなぁ……なぁ、梅原」

    「だな。今日も明日も寒いだろうよ」

     いつもと変わりない、何気ない会話。これからさきもずっとこうなるだろうとわかってしまう程に。
     頑固で力強い、変化の起こることのない俺と奴との日常だった。

    189 = 145 :

    「───……俺は、ただ。逃げたかっただけだったんだよ」

     ───この緩くて暖かい、居心地のいい日常から、どうにか逃げようとしていただけなんだ。
     なにか目標を立てて、それに向かってがむしゃらに走っていれば、最後にはどうにかなるって。
     なんの根拠もない小さな思いを胸によ、こう頑張って逃げ出したかっただけだったんだ。

    「…………」

     いつまでもこんなぬるま湯に浸かりっぱなしじゃ、俺は後々に絶対に後悔することになる。
     そうなる前に俺は頑張らなくちゃいけなかった。逃げ出すことを、本気で考えねえといけなかった。 

    「………失敗、しちまったけどな」

     ……そういった覚悟はあった。だが、結局は駄目だった。
     もしかしたら何処かに甘さが残っちまってたのかもしれない───結果的には俺は安堵をしちまっているしな。

    「…………」

     つまりは、俺は日常から逃げ出すために……恋人づくりを始めたんだ。
     日常を充実させる為の行為じゃなく、日常から逃げるための《努力》だったんだ。

    「………ふぅ」

     ──なんて、色々と考えちまっていると、すっきりしていたはずの頭がごちゃごちゃとしてきて。
     あれから一年の時がたったというのに、後悔のひとつも無くなってきたというのに。
     すこしばかり、溜息をつきたくなってきた。

    190 = 145 :

    「──おーい、梅原ぁー!」

    「ん……? おう。遅いじゃねぇか大将!」

     一つの声に、俺は見上げていた視界を河原へと戻す。
     長く遠く続く河原の端に見慣れた顔がひとつ、そこにはあった。
     ───そう、それは俺の大親友である友人。小さい時からずっと一緒に居続けた奴。

    「あはは、すまん梅原。ちょっとヤボ用があってさ」

    「そうなのか……まぁ、こっちも今来たところだぜ」

     そうなのか、それは良かった。と笑いながら近づいてきた友人は、俺の横へと自然にしゃがみ込んできた。
     ……何ら変わりなく、あの時と、一年前と同じように俺の横へと並んで。

    「…………」

    「今日も寒いなぁ……なぁ、梅原」

    「だな。今日も明日も寒いだろうよ」

     いつもと変わりない、何気ない会話。これからさきもずっとこうなるだろうとわかってしまう程に。
     頑固で力強い、変化の起こることのない俺と奴との日常だった。

    191 = 145 :

    ちょっと十五分休憩
    なんで地の文書いたし…

    落ちてしまったら、こんどまた立てるかも
    ではでは

    193 :

    ほっほ

    194 = 145 :

    「今日は……いきなり呼んじまってすまねぇな。色々とあったんだろ?」

    「ん? いや、大丈夫だったよ。お前が僕を呼びつけるなんてけっこう珍しいことだったしね。
     だったら他の用事なんて全部、放ってくるさ」

     隣で寒そうに白い息を吐きながら、友人はそう答えてくれる。
     それはなんともソイツらしい答え方で、本当にそう思っているのだろうとわかってしまい。
     俺は、ほんのちょっと嬉しくなっちまう。

    「はははっ……そうか、そりゃー悪いことしちまったな!」

    「いいってば。それよりもほら、今日はどうしたんだよ?
     ……こんな所に呼ぶぐらいだからさ、しょうもない話しじゃないってことはわかってる」

     白い両手をさすりながら、奴は俺に話しを促してきた。
     ……ここまで察しられると、こんな風にコイツは察しがいい奴だったか、多少そう疑問に思ったりするが。
     これもまた高校生活の中で色々と経験をしたおかげなんだろうと、すぐにわかってしまった。

    「……いや、あれよあれ。そろそろ俺らも卒業だろ?」

     そう言うと奴は、すこしばかり意外そうな表情を見せた後。そうだなと、頷いて返してきた。

    195 = 145 :

    「まあ確かにな。高校生活もおわって梅原は……進学せずに、お店を継ぐんだろ?」

     なにやら言い難そうに言った奴の言葉に、俺は出そうになった苦笑を堪える。
     一応は気にしてくれてんのな、なんて思ったりするが口には出さないでおいてやろう。

    「……たりめーよ! 俺はなんてったって寿司屋の次男坊だぜ?」

    「次男坊だからってなんだよ……普通は長男とかだったらわかるけどさ」 

     ははは、と。そのもっともな突っ込みに俺は笑って誤魔化した。
     確かにその通りで、何も言い返せないって問題じゃない。もとより、そのつもりもないしな。
     
    「……本当に、よかったのか? 大学に行かなくて───」

    「何度もいわせんなって。俺は自分で決めたんだからよ」

    「……そうか、それならいいんだ。うん」

     そう言いつつ全然納得できていない表情をしながら、奴は俺からそっと視線を外した。
     ───いいんだよ、お前さんは気にしなくて。そう言ってやりたくもなるが。
     俺はもう、口に出す言葉は全て出し切ったつもりでいた。だからもはや、語るものは何も無いんだ。

    「……なぁ、大将。お前さん」

    「ん? なんだよ、梅原」

    196 = 145 :

     もう一度こっちに向く奴の、瞳。
     ふたつの目ン玉はじっと俺のことを見つめていて、なんら混じりけのない眼光に身体が竦むような感覚に陥ってしまう。

    「……いや、なんでもねぇ。とりあえず今日は最後にってことでよ、これをもってきたんだぜ!」

     その感情を押し切るようにして、俺は話しを無理やり口から押し出させ。
     ずっと隣に置いていた紙袋の中に手をつっこんで、とある物を目の前に取り出した。

    「おおっ……! こ、これは……っ!」

    「へへっ……わかるか大将っ! 俺の秘蔵のお宝本だぜ!」

     そうやって空気に晒したのは、ひとつのお宝本。
     俺が後生大切にと、部屋の奥深くに保管していたレア物中のレアだった。

    「表紙を見ただけでわかるよ! と、というかどうしたんだよ…? 河原なんかまで持ってきて…」

     奴もそれがわかっているのか、ちらりと表紙を見ただけでこの興奮度だった。やはり見る目がある。
     というかそもそもフェチや趣味が殆ど一緒なのだから、好きなモノがかぶるのは当たり前だった。

    「おうよ。これをな、大将にやっちまおうと思ってな」

    「……えっ!? 本当にか!?」

     心底びっくりしたように声をあげ、一瞬嬉しそうな表情をした後。
     すぐに疑うような色をみせてきた。やはり察しがいいなお前さん。

    「本当にだ、くれてやるよ」

    197 = 145 :

     だが、そんな反応は予測済みだった。

    「ど、どうしてだよ? なんでそんなにも気前がいいんだよ…?」

    「進学祝いってやつだ。なに、俺も大将に気前よく何かプレゼントなんて出来るほど余裕もないからよ。
     こうやってお前さんが気に入りそうなやつを全部、もってきてやったんだぜ?」

     ──そうやって予め用意していた言葉を、ぽんぽんと口から放り出していく。
     なんともまぁ、我ながらもっともらしい話だと思う。出来すぎにも程があった。

    「梅原……そんなの、べつにいいのに…」

    「お? だったらいらねえのかーそりゃ残念だったぜー」

    「………まて、梅原。すこし話をしようか」

    「……くっくっく。遠慮んなんかするんじゃねえよ大将ぉ!もってけもってけ!」

    「……ありがとう、梅原。僕なんかのために…」

    「いいってことよ。俺は───お前さんの、一番の親友だからよっ」

    198 :

    塚原と夕月が出てて読む気失せた

    199 = 145 :

     ──ちくりと、一瞬、喉の奥に痛みを感じた様な気がした。
     そうだ、これはただの勘違いだろう。そうじゃないと、もうだめなのだから。

    「な、なんだよ……改まって。恥ずかしいだろなんか」

    「へへっ! いいじゃねぇか、俺だって偶には臭いこと言いたい時があんだよ」

    「……そうか、なら仕方ないな」

     ──それから二人で、多愛ない会話をし続けて。前と変わらない落ちもない話を終わらせて。
     やがてはわかれる時間となっていくだけだった。

    「──はははっ……さーて、んじゃーまぁ、用ってのはこれだけなんだけどな」

    「ん、そうか。とりあえずありがとうなこれ…一生大切にするよ梅原」

    「そうしろよー? そんじゃ大将………おっ?」

     そういって別れを切りだそうとした瞬間、ヤツの肩越しの向こうに。

    200 = 145 :

     ひとつの小さな人影ちらりと見え隠れしていた。……なるほど、そういった用事だったのか。

    「───どうやら、お迎えが来たようだぜ? このこの~! 幸せもんめ~!」

     俺が気づかせるように肩をつつくと、それに合わせて奴も視線を向ける。
     一瞬驚いたように肩を揺らすと、小さな笑みをこぼして、こちらへと振り向いた。 

    「や、やめろよ……からかうなって!」

    「はははっ。 ───そんじゃ大将、今日はわざわざありがとな」

    「ん、梅原こそお宝本ありがとな!……それじゃまた明日、梅原」

    「おうっ!」


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