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元スレ魔王「僕と契約して僕になってよ!」

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52 = 1 :

暗殺者A「……」スッ

暗殺者B「……」コクン

暗殺者A「……」サッ

暗殺者B「……」ッザン

暗殺者A「……?」バッ

暗殺者B「……!」カッ


……ォォォン
勇者「くそ、どんだけ広範囲に魔法不可領域を敷いてやがるんだ……」

勇者「逃げ切れるか……?」

53 = 1 :

側近「ま、魔王様! 人間側の領地内で火の手が確認されました!」

魔王「場所は何処だ!」

側近「まだ正確な位置まで……一時間前に初めと思われるものが確認されたとの事!」

側近「ば、場所は勇者が所属する国の城内部……巨大な爆炎との、事……」

魔王「一時間も……?! くそ、通信体制は見直しておくべきだったか!」

側近「以後、断続的に爆発と火の手が確認されている模様!」

側近「三つほどのルートで、一つはこちらに向かって発生しているとの事!」

魔王「明らかににこちらと分かるルートなのか?」

側近「少々お待ちを……はい、途中から真っ直ぐこちらに向かっているようです!」

魔王「……不味い、それは振り切れなかったという意味ではないか!」

魔王「兵士と機動特化の騎士は出撃せよ! 何としても勇者を保護しろ!!」

魔王「しかし、何故……流石に早すぎではないか?」

54 = 1 :

騎士「これは我々の生き残りに関わる作戦である! 総員、死力を尽くして臨め!!」

騎士「最寄の転移魔法で降りれる町、村を押さえろ! 人民に危害は加えるな!!」

兵士「六班、河川周辺まで進行! 勇者、敵影確認できず!」

兵士「五班、暗殺者三名と遭遇! 交戦……既に半数が戦死! 近くに他の班はいないのか!」

騎士「第三部隊、五班の援護に入れ! 五時の方角に駆け下りろ!!」

兵士「三班、ブッシュ地帯で通信途絶! 二班、現在地を……二班応答しろ!」

騎士「第四部隊……くそ、通信途絶! 第七部隊が最寄だ! 注意しろ!」

兵士「七班、二班、第三部隊の援護に入りました! 五班、通信途絶!」

騎士「なんて奴らなんだ。これでは勇者を探すのすら……」

55 = 1 :

側近「こんな……押し切られる……」

魔王「騎士の攻撃部隊を半数出撃させよ」

魔王「残った騎士を全面に押し立て、城への侵入に備えよ!」

側近「この魔力、転移魔法……?」

ヒュォン
騎士「魔王、様……」ドサ
勇者「う……あ……」ドサ

魔王「無事か!?」

側近「何て……酷い傷……」

騎士「この任務……この、命にかえて……っこふ」バタ

側近「……決死での……良く、良くやってくれました……」ジワァ

魔王「勇者の介抱を優先しろ! 彼が繋いでくれたもの、手放してはならん!!」

56 = 1 :

勇者「わ、悪い……ヘマ、こいちった……」ドクドク

魔王「喋るな! 何としても持ち堪えて、ここに留まるのだ!」

魔王「勇者が最後に復活した場所に先回れ! 最悪の場合に備えよ!」

勇者「っごふ……はは、それ、意味ないんだわ……」

側近「どういう意味ですか?」

勇者「加護は……魔物や、魔族のみ……人間相手にやられたんじゃ、効果がない、のさ」

魔王「で、では……」

勇者「は、はは……魔族の、魔法じゃ、傷は塞がら……ないか」

勇者「……たくない、死にたく、ない……嫌だ、助、けて」

勇者「一人は、嫌、だ……母さん、父、さん……怖い、よ……」

魔王「一人ではない……我がいる! 我々がいる!」ガシ

勇者「あた、し……死に、たく……」

57 = 1 :

……
魔王「酷い被害だな……」

側近「……多くの者が」

魔王「だからこそ……我々はこの犠牲に報いる結果を出さねばならぬのだ」

側近「……」

魔王「険しい道だ……それにまだ終着点が見定められていない」

側近「それでも、我々は魔王様に仕え共に歩みます」

魔王「……すまないな」

58 = 1 :

勇者「……」ボケー

魔王「実に五日ぶりの目覚めはいかがね?」

勇者「どうりで身体がだるいわけだ……」

勇者「その……なんだ……ありがとうな。それとすまねえ……」

魔王「……」

勇者「俺の所為でお前の部下、だいぶ死なせちまったな……」

魔王「そう思うのであれば、我々の期待に応えてもらえると助かるな」

勇者「今更俺にどうしろって言うんだ? 今頃指名手配されてるだろう」

魔王「どうなっていようと、勇者が我々につけばそうなる事は予測していたさ」

勇者「そっか……」

59 = 1 :

魔王「ああ、それよりもだ。勇者の故郷は何処だ? すぐに騎士を派遣させて家族を……」

勇者「いやそこは構わない」

勇者「ガキの頃にさ、魔物の襲撃でもう……」

魔王「そうか……」

勇者「他にも何人か生き残ったけど、そこら辺は皆どっかに預けられて」

勇者「俺は勇者の血を引いているって事で、国王に引き取られてさ」

勇者「期待に応えようと我武者羅にやってきたけど……この様さ」

魔王「……」

60 = 1 :

魔王「勇者はどうしたいのだ?」

勇者「いや……実際のところどうしたいんだろうなぁ」

魔王「我にはまだどんな終わりを目指すべきか、着地地点を何処に置くべきか、その判断に悩んでいる」

魔王「勇者は……どうしたいと考える?」

>>62
1.復讐したい

2.共存

3.のんびりしたい

4.力が欲しい

5.分かんね

63 :

ここでまさかの安価

64 = 1 :

勇者「何とか和解して共存できないもんかねえ」

魔王「現状からすぐにとはいかないだろうな……」

勇者「滅ぼす方が楽?」

魔王「それはそうだ」

勇者「そうかー……」

魔王「なにを早々と滅ぼす方に気が向いておるのだ」

65 = 1 :

勇者「だって、なあ?」

魔王「言いたい事は分からんでもないが……」

勇者「国王連中皆倒したらすんなり話しやすくなるかな」

魔王「それは征服と大差がないのでは?」

勇者「うーん……」

魔王「何にせよある程度は力をつけて貰わねばならぬ」

勇者「え、スパルタ?」

魔王「のんびりやりたいのか?」

勇者「あーそれもそっか……」

66 = 1 :

勇者「……」ゴクリ

魔王「どうしたのだ? 食わぬの……もしや人間にとっては馴染みの無い肉であったか」

勇者「そりゃあ馴染みは……ドラゴンだよな、これ。竜肉なんて……おいおい、俺は幻でも見ているのか?」

魔王「おいそれと食卓に並ぶ物ではないが、今日は祝いの意味を込めても特別だからな」

魔王「遠慮などお前らしくなかろう」

勇者「うぅぅ、そうだな、そうだよなっ! いいんだよなっ!! いぃぃただぁぁきぃまぁぁぁす!!」

勇者「うめぇ! 熱ぅぅ! 超うめぇぇぇ! 噛む度に溢れる肉汁!!」ハフッハフッ

魔王「そして舌を焦がさんばかりのあっつあつなのだよな」

勇者「ぅぅぅ、こんな、こんな美味い物……ううぅぅうぅぅ……ありがとう、ありがとう魔王」ボロッボロッ

魔王「……気持ちは分からんでも無いが、泣かずともよいではないか」

67 = 1 :

勇者「……ぜえ、はあ」ボロッボロ

魔王「今日はこの辺りとするか」

勇者「これから、毎日、こんなか」

魔王「勇者自身が選んだ道ではないか」

勇者「ぐ、そうだな……くっそー、絶対にやってやんぞー」

魔王「そうだな……そしてこれはその為の最低限の準備段階でしかないのだがな」

勇者「うっせー」

68 = 1 :

勇者「うめぇなあおい……お前いつもこんなもん食っているのか」ガッガッ

魔王「そこまで豪華でないと思うが。お前は普段何を食しておるのだ?」

勇者「動物とか携帯食料とか」

勇者「携帯食料はまだ残ってんな。食ってみるか?」

魔王「ふむ、頂くとするか」ハム

魔王「……」

勇者「どうよ?」

魔王「……もっとマシな保存食は無かったのか?」

勇者「栄養価だとそれが、な」

69 = 1 :

勇者「……」ペラ

魔王「ほう……お前でも書物を読むのだな」

勇者「学問が出来るわけじゃねーけども、情報収集くらいはするからな」ペラ

魔王「何か興味深い書物でもあったか?」

勇者「武術に関する本がな」

魔王「……何と言うか、それでも相変わらずなのだな」

70 = 1 :

勇者「……ふぅ、ん」クチュ

勇者「ん……はぁ」クチュクチュ

勇者「……ふ、んんっ」グチュ

勇者「あ、はあ……ん」クチュクチュ

勇者「ん……あっ……ぅん」グチュグチュ

勇者「ぅぅ、ん、あっ……んんっ!!」グチュグチュグチュ

71 = 1 :

側近「……という事がありまして」

魔王「お主な……」

勇者「あ? 側近は鼻血出して何やってんだ? 熱中症か?」

側近「わーーーっ!?」

魔王「勇者の痴情を目撃したそうだ」

側近「あーーーっ!!」

勇者「あっそう。そりゃ何か悪かったな」

側近「えーーーっ!?」

72 = 1 :

側近「あのー何かもうちょっとあれなリアクションがあっても良いのではー?」

勇者「おいおい。今更、女として振舞うつもりはねーよ」

勇者「つっても人間辞めた訳でもねーからな。ムラっと来る事はあるさ」

魔王「相変わらず男らしい発言だな」

側近「それならそれで、抱かれる事にも抵抗なさそうですね」

勇者「いや対人は面倒だからまだ一度もな……。ちょっと共闘しただけで大騒ぎする輩もいるぐらいだし」

側近「ああ……理由はともかく何か安心しました」

勇者「あ、膜はあってもいざって時に痛いだけで邪魔だから、剣の柄を使って破ってあるぞ」

魔王「……少しは自分の身体を大事にしたらどうだ」

勇者「お前はその身体を幾度と無く殺してくれたがな」

73 = 1 :

勇者「うおぉぉ! 氷結魔法・強」カッ

魔王「灼熱魔法・凶!」ゴォ

勇者「雷撃魔法・強!!」ガッ

魔王「ぐ、守護壁魔法・凶!!」ビシン

魔王「驚いたな! まさか魔法で押されるとは!」キィンキン

勇者「へっへへ! 現役勇者をなめんな!」ギィィン

勇者「鳳凰十文字! 大、切、斬!!」ザザン

魔王「ぐぉぉ! 参った!」

勇者「……マジ、で?」

勇者「へ、へへ……やった! やったぞ!! 遂に魔王から一本とってやったぞ!!」

魔王(本気の殺し合いであれば、まだ我にも分があるようだが)

魔王「流石、と言わざるを得まいな……」

勇者「そろそろかねぇ」

魔王「そうだな。ようやっとそれだけ強くなっておれば」

勇者「うぐぐぐぐ」

74 = 1 :

魔王「とは言え、凄まじい勢いでの上達っぷりではあるな」

勇者「だろー! もっと褒めろ讃えろー!」

魔王「飽くまで勇者として我と戦っていた時が嘘のようだ」

勇者「そりゃあどうも……」

魔王「もしかしたら、勇者は格段に強い相手と戦い続ける事で、飛躍的に成長するのやもしれないな」

魔王「スパルタをすればするほど強くなる。恐ろしい血筋だな」

勇者「マゾヒストの極みじゃねーか……頼むぜご先祖様」

75 = 1 :

勇者「ふう、ふう……」

魔王「お見事」

勇者「案外やれるもんだな」

魔王「……本当に短期間で成長したな」

暗殺者A「」

暗殺者B「」

暗殺者C「」

暗殺者D「」

76 = 1 :

魔王「ここまでくればもう問題なかろう」

勇者「いよいよか……ってちょっと待った。言いだしっぺでなんだが、俺はどうしたらいいんだ?」

魔王「外交を自分でやりたければそれでも構わんが……できやしないだろう?」

勇者「そりゃあな」

魔王「人民に対して求心力は?」

勇者「いやあ……どうだろう」

勇者「道中に助けた村や町からは支持されるかもしれねーが、都市とかだとなぁ」

魔王「……普段、国では何をしていたのだ」

勇者「延々と鍛練」

77 = 1 :

魔王「この和平を結ぶには特に有権者、国の中心地にいる人物の支持が必要となる」

勇者「ふむふむ」

魔王「が、しかしこうも勇者が使えないとは……」

勇者「そりゃ悪かったな」

魔王「ううむ……少しは充てにしていたからな」

勇者「計画練り直しか?」

魔王「そんなところだな」

78 = 1 :

魔王「――」ブツブツ

側近「――」ブツブツ

勇者「やっべぇ、俺完全に空気だな」

勇者「何してるか……どっか外にでも行ってるか」


村人A「おお、勇者様じゃねーか! 指名手配されてっけどどうしたんだ!?」 

村人B「城の宝でもぶっ壊したか? ほとぼり冷めるまで匿ってもいいんだぜ?」

勇者「ま、そんなところだ。別の所で匿ってもらっているから大丈夫だぜ」

勇者「……しがらみばっかの連中以外なら信頼されているんだがなぁ」

80 :

いきなりオナニーは無しだろ・・・

81 = 1 :

勇者「んー……信頼を得ていそうな所はだいたいこの辺りか」

勇者「改めて僻地ばっかだなぁ」

勇者「……これじゃあ交渉のカードにはならねーよな」

勇者「もっと俺に力があればなぁ」

勇者「そうすりゃあ、城でもある程度支持が得られていたかもしれないってのに……」

勇者「はぁ……」

82 = 46 :

めしか待つか

83 = 1 :

勇者「なーにやってんだかなぁ……」

魔王「なんだ? 珍しく弱音か?」

勇者「へ? あー、まーそんなところかねぇ」

魔王「付き合おうか?」

勇者「いんや。こんな俺でも王様にはご恩を返したかったが、と思っていただけだ」

勇者「それよかさ。お前のその仮面って何か意味でもあるの?」

魔王「うむ。言うなれば我が力が封じられており、一度外すと……」

勇者「ふーん」カタ

魔王「あ、おい、こらっ」

84 = 1 :

魔王「……」

勇者「……」バックバック

魔王「馬鹿者! 我の仮面を外したな!!」

勇者「謝る! 本気で謝るしもうしない!」バクバク

魔王「当たり前だ! 全く……我は何をした? 人間側の土地が全て焦土と化していないだろうな?」

勇者「えぇー……あれより酷い事になり得たのかよ」ドキドキ

85 :

何があったんだ

86 = 1 :

>>83

魔王「……」

勇者(え、何この重い空気)

魔王「さっきの話になるが、お前はその国王に裏切られたわけか」

勇者「え? あー……まあ、そうなる、のか?」

魔王「許されざる行為だな……落石魔法」ゴゴ

勇者「え、ちょ」

魔王「狂」ゴゥ

勇者「うおぉぉ本当に唱えやがった! 待て、お前!」

魔王「お前を苦しめる者であるならば、全て俺が屠ってやろう……」

勇者「やべぇ! こいつやべぇ! 仮面、仮面!」カポ

>>84

87 = 1 :

勇者「つーか何なんだよあれ……二重人格とか左腕がっ! か?」

魔王「似たようなものだ……」

勇者「お前が言葉を濁すって珍しいな」

魔王「我とて色々とあったのだよ」

勇者「ふーん……」

勇者「まあいいさ。話したくない事もある……」

側近「お話のところ失礼します。先ほど、勇者さんがいた国の城に巨大な岩石が振ってきた、という知らせが入りました」

勇者「うおおぉぉぉい、直撃じゃねーーかぁぁ!!」

88 = 1 :

魔王「さて……どうしたらいいものか」

魔王「箱を開けてみたら交渉のカードが武力しかない、というのは如何ともしがたいものだな」

勇者「悪かったな」

魔王「まあ、それ以外を当てにしていた我も悪いのだがな」

側近「いっその事、その辺りをアピールして協定を結ぶのが早そうですね」

魔王「うーむ」

勇者「つーかさ、国王連中の目的って一番は魔王死後の魔石だろ?」

勇者「俺と組むから最強ーって事で諦めては貰えないもんか?」

魔王「それでも策を講じるのが人間だろうに」

89 = 1 :

魔王「だが一度、国王と会談を設ける必要はありそうだな」

側近「では上手く手筈を整えておきます」

勇者「どうやってだ?」

側近「国王の予定を調べておき、暇がある時にこちらか転移魔法で移動」

側近「その場で会談を行い、怪しい雲行きになったら即転移魔法で逃げ帰ります」

勇者「なんか煮え切らないやり方だな」

魔王「戦争が目的ではないのだぞ」

90 = 1 :

……
国王「それでこうして来た、と」

勇者「そうそう」

国王「そうか……お前はそちらに行ってしまうのだな」

魔王(我らは蚊帳の外だな)

側近(まあ仕方が無い事ですけどね)

勇者「よくもまあ抜け抜けと」

勇者「俺に暗殺者仕向けたんじゃねーのかよ」

国王「そうだな……」

国王「まさかそれで瀕死の重傷を負うほど弱いとは、思ってもみなかったぞ」

勇者「えっ」

魔王「えっ」

91 = 1 :

勇者「どゆこと、迎撃されると思っていたのか?」

国王「少なくとも私はな。だが、大臣達が収まらなかった故、ああした手を打ったのだ」

勇者「……」

勇者「なあ、もうこんなん止めにしないか?だってよ、ぶっちゃけ得はもうしないんじゃないか?」

国王「そんな事は私が一番知っておるよ。何せこれで魔王が二人……いや何でもない」

国王「兎に角、私としてはもう魔族に対し攻撃する気は無い」

勇者「それが聞けてよかったよ」

側近(色々と引っ掛かりますね)

魔王(うむ……)

92 = 1 :

勇者「あ、それと王様」

国王「なんだ?」

勇者「……本当に申し訳御座いませんでした」

国王「……何の話だ?」

勇者「城の北側の落石……」

国王「……」

国王「え、お主がやったのか……?」

勇者「俺自身じゃないけど……俺が、原因」

国王「こんな事が言える立場では無いが……頼む、二度としないでくれ」

勇者「……マジごめんなさい」

93 = 1 :

……
勇者「お前らなんか知ってんの?」

魔王「何がだ?」

勇者「王様がよく分かんねー事言っていたじゃんか」

勇者「変に過大評価されていたし、それに魔王が二人って何だよ」

勇者「俺、そんなに腹が出てきていたか?」

側近「いやあ……同じ鎧を着用なさっている以上、それは分からないかと」

魔王「因みに、魔王とは世襲制ではなからな」

勇者「なにそれ初耳」

94 = 1 :

魔王「魔族であれば誰でも成れるのだよ」

勇者「何て夢の無い話だ」

魔王「但し、とある洞窟で命を懸けた試練を乗り越えなければ、魔王としての力を得る事はできない」

勇者「んじゃあ、お前は元々はそこまで強くなかったのか?」

魔王「今にしてみれば、な」

側近「それでも知らぬ者も無し、というくらい有名な騎士ではありましたがね」

勇者「試練を受けるにせよ、素質は必要って事か」

95 = 1 :

勇者「んん? だとしたら魔王が二人ってどういう事だ?」

魔王「我も側近もそれで首を傾げておるのだ」

側近「初代勇者でさえ、その辺りの詳しい事は知らないのですから、彼らが知る由も無いはずですが……」

魔王「彼らは一体、どんな情報を得ているというのだ……」

勇者「どうするんだ? 他の国との和平を取り付けるのか、この事を調査するのか」

魔王「悩むところだな」

側近「相手が謎のカードを持っている以上、迂闊に動きたくは無いですね」

96 = 1 :

魔王「他の国で情報収集はできんのか?」

勇者「他国からしてみれば俺は、欲しくて堪らない魔石を掠め取る存在だぞ」

側近「目の上のコブですね」

勇者「最近まで気付かなかったぜ。道理で今まで他国に良い目で見られる事が無かったんだなぁ」

魔王「ふむ……」

魔王「もう一つ、何処かの国と会談を行う」

勇者「その心は?」

魔王「魔石を巡って、人間の国王同士はあまり仲が良く無いようだ」

魔王「今回の件は飽くまで、勇者の国の長のみの情報かどうかを探るとしよう」

側近「危険な賭けですけどね」

97 = 1 :

国王「そうか……君はそちらに付いたのだな」

勇者「……良く言うぜ。暗殺者の中にこの国の紋章が入った装備している奴がいたんだぞ」

国王「……」

国王「お前は……魔王になってしまったのか?」

魔王「!」

側近「!」

勇者「……どういう意味だ」

国王「……」

国王「いや、何でもない……忘れてくれ。和平には応じよう」

98 = 1 :

……
勇者「……」

魔王「……」

側近「……」

勇者「結構やばい状況か?」

魔王「当然だっ。何だというのだ。彼らは一体何を知っているというのだ!」

側近「……こちらで得ている情報で想定するのであれば」

側近「強い相手と戦えば戦うほど強くなる勇者さんの性質上」

側近「魔王様と共にいる以上、魔王様と戦闘訓練を行っていると国王達は推測」

側近「よって、魔王様に並ぶまでに成長した……と考えているのでしょうか?」

勇者「だけどもよ、それだと魔王に成るとは言わないだろう」

側近「うーん……」

99 = 1 :

魔王「一先ず、今後は使者を出すとしよう」

魔王「いくら向こうの国々が非協力的とは言え、もう二箇所を訪れたのだ」

魔王「魔王と勇者が手を組み、和平を結ぶ会談を行っているのは伝わっているだろう」

魔王「その間、こちらは文献を漁るとしよう」

勇者「具体的にどうに調べるんだ?」

魔王「勇者とは何たるか、魔王とは何たるか、だな」

勇者「うわ、面倒臭そう」

魔王「側近は使者の方を頼む」

側近「こちらの方が厄介なんですけどねぇ」

100 = 1 :

勇者「なんか分かったか?」

魔王「そちらはどうだ?」

勇者「分かる訳ねーだろ」

魔王「だろうな……やはり、完全にこちらが把握していない内容なのだろうな」

勇者「もうちょいヒントがあればなぁ」

魔王「現状、既存の情報のおさらいでしかないからな」


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