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    元スレ浜面「一方通行×絹旗とかどうだろう?」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★
    タグ : - ×2+ - 麦野 + - Fate + - tiger + - とある魔術の禁書目録 + - タイガー + - 一方通行 + - 初春 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    351 :

    フレンダ・・・

    352 = 212 :

    フレメアも出ないよな

    353 = 74 :

    絹旗「あなたたちも花火大会に行くんですか?」

    佐天「あったり前じゃないですかーっ!だって祭りですもん!」

    美琴「その様子だと、絹旗さんたちもそうなのね」

    ちなみに、黒子と初春がいないのは風紀委員で来れないかららしい。

    佐天「ところで御坂さん。この人たちとはお知り合いですか?」

    美琴「あ、そうだった。そういや佐天さんは初めてだったよね。紹介するわ」

    絹旗(あの黒髪ロングの人、どっかで見たような…)

    ……

    佐天「レベル4が二人に…この麦野さんって方は、レベル5の第4位!??」

    絹旗「そんなに気負わなくていいですよ。だって麦野ですし」

    麦野「絹旗ァ?それどういう意味―」

    滝壺「よろしくね佐天さん」

    麦野「滝壺もそこは突っ込まねぇのかよッ!?」

    354 = 74 :


    ……

    美琴「そっか。みんな大体何色にしようかとか決めてんだ」

    絹旗「御坂さんはどうなんです?」

    美琴「んー、実は黄色の浴衣一着もってるんだけど。ちょっと気分変えて、緑にでもしようかなぁと思って」

    美琴(決してゲコ太のイメージカラーに影響されたわけじゃないんだからね!?…ちょっとだけだし)

    佐天「っていうか、みんな浴衣買うんですね。まぁ当たり前といえば
    当たり前なんですけど!帯だけ買いにきた私が浮いてるな~…」

    麦野「どういう浴衣もってんの?」

    佐天「水色に、黄色の花柄のあるやつです。以前は赤の帯してたんですけど…
    御坂さん同様気分変えたくなっちゃって。赤以外に似合いそうな色はないかなぁと」

    滝壺「そうなんだ。でも、それなら自由に選んでいいかもね。水色って何にでも合うし」

    佐天「だからこそ、何買えばいいか迷うんですよねー」

    麦野「いっそラメ感のあるゴールドとかどうよ?柄とも同色系統だし、結構いいんでなーい?」

    絹旗「いや、何でも合うといってもさすがにそれは…」

    滝壺「麦野くらいしか似合わないよ。良い意味でも悪い意味でも」

    355 = 74 :

    麦野「さっきから、あんたらは私をどういう目で見てんのよ…」

    絹旗「まぁ実際問題。麦野は黒系を選ぶんですから、ゴールドは似合うと思いますよ」

    佐天「なんて大人っぽい色の組み合わせ…麦野さんだからこそできるってやつですね」

    麦野「でも…。私もたまにはそういうのじゃなく“可愛い系”も演出してみたいっていうか…」

    美琴(…第4位も複雑なお年頃なのね)

    佐天「まぁゴールドはともかく、黄色なら選んでも良いかも!」

    美琴「佐天さんらしい元気な色ね」

    佐天「そういう御坂さんだって元気の塊なんですから、黄色とか考えてもいいんじゃないですか?」

    美琴「緑の浴衣に黄色の帯…か」

    滝壺「いいんじゃない?」

    麦野「緑だったら、白や黒も合うわね。大人っぽさを出せるって点なら。
    もっとも、第3位にはそんなの似合わないかぁ!!アハハハハハ!!!」

    美琴(あいつだったら…何色が似合うっていうのかな。やっぱ黄色なのかな…)ブツブツ

    麦野「こいつも滝壺や絹旗と同類か。あーヤダヤダ。佐天って言ったっけ?なんかあんたには親近感沸いてきた」

    佐天「え?」(どゆこと??)

    356 = 293 :

    しえんあげ

    358 = 74 :

    絹旗(私もいい加減、どんな色や柄にするのか目安くらいはつけないと…)

    美琴「店員さんに聞いてきた!黄色は緑に合わせる定番且つ明るいイメージを出せるみたいだから…
    やっぱ帯は黄色系にする!そうと決まれば、後は緑の浴衣選びね…」

    佐天「じゃあ、各々探していくとしますか!」

    というわけでみんな点々となった。

    ……

    美琴「あ」

    絹旗「…?あぁ、御坂さん」

    偶然にも第3位さんと会った。

    美琴「絹旗さんも緑の浴衣見にこっちに来たの?」

    絹旗「あ、いえ。実はまだ決まってなくて。いろいろ見て彷徨ってるうちに、こっちに来ちゃったんです」

    美琴「そっか。…ねえ、絹旗さん」

    絹旗「はい?」

    美琴「やっぱその…。あいつと一緒にお祭り行くの?」

    359 = 293 :

    俺も結標と花火行きたい

    360 = 74 :

    “あいつ”とは、一方通行のことだろう。

    絹旗「そうですね。そのつもりですよ」

    美琴「やっぱそうなんだ。仲が良きことで」

    絹旗「別に、まだそんなんじゃないですよ」

    美琴「…あのさ。前から気になってたんだけど」

    絹旗「?」

    美琴「絹旗さんはさ、一方通行のどこが好きになったのかなぁって」

    絹旗「え?そりゃぁもちろん―」

    ……

    そういや何でだ?

    絹旗「……」

    いざそう聞かれると答えられない。一体、何がきっかけとなって彼を好きになったのだろう。いや、そもそも…

    絹旗(私は本当に一方通行のことが“好き”…なんでしょうか…?)

    361 = 74 :

    絹旗「……」

    美琴「あ、ゴメン、もしかして変なこと聞いちゃった…?」

    絹旗「い、いえ、全然そんなことはないです」

    そう。本来なら全然たいしたことのない質問だったはず。それがこうなってるのは…

    絹旗(私が、一方通行について真剣に考えたことがなかったから、ですね…)

    それに尽きる。

    別に彼のことが嫌いというわけではない。むしろ好きな部類には入ってるはずだ。そうでもなければ
    明日や祭りのことではしゃいでる自分は、一体何だということになる。ただ…それが男女の“好き”を
    意味するのか。単に反応を窺うのが楽しいだけではないか。彼の意外な人間性が斬新なだけではないか。
    もしかしたら、浜面という男友達の延長線上として彼を見ているだけではないか?そう思えて―

    絹旗(いや…)

    訂正。アホ面とは違う。少なくともヤツと一方通行とでは…。
    接してるときの私の態度、感じ方は全然違う。それは私自身把握している。

    絹旗(じゃあ、この感情の正体は…?)

    答えは出なかった。…その代わり。一方通行のことを考えていたせいか。思いもよらない別の答えが出てきた。

    絹旗「…白」

    362 = 212 :

    上条さんか超電磁砲のメンバーか

    363 = 74 :

    美琴「え?」

    絹旗「そ、そうそう!白ですよ!白の浴衣なんか超どうかなぁと思いまして!!」

    美琴「白…か。良いんじゃない?純白な感じがして。絹旗さんにも似合うと思う!」

    絹旗「そうですか?じゃ、じゃぁ…白地のを探してみるとしますっ」

    突然出てきた“白”という色。その理由は非常に単純。

    絹旗(だって、一方通行といえば白ですもんね…)

    彼のことを考えるうちに、つい顔を思い浮かべてしまっていた。白い髪に、薄白い綺麗な肌。
    もっとも、それだけで浴衣に白を選んだわけではないが…。自分にも合うかどうか考えて、そして決めた。

    美琴「ただ、白だけだとちょっと寂しいかもだから、柄はちょっと派手なくらいでちょうどいいかもね」

    絹旗「そうですね。それなりに映えそうなのを選ぼうと思います。あ、そういえば」

    美琴「どうしたの?」

    絹旗「御坂さんこそ。上条当麻さんは誘わないんですか?」

    美琴「!?」

    一方通行のことを聞かれたせいか。向こうの“事情”も聞きたくなってしまった。

    364 = 104 :

    これは青春ですか

    365 = 74 :

    美琴「な、な…!何でここで、あの『バカ』が出てくんのよ!!?」

    …分かりやすい反応だ。まさか、隠してるつもりなのだろうか。

    絹旗「だって仲良さそうですし♪で、誘わないんですか?」

    美琴「いや、あいつは誘うとか誘わないとかそれ以前に…!私、佐天さんたちと一緒に回る約束してるから!」

    絹旗「それ言えば私だって麦野や滝壺たちと回りますよ。そこに上条さんも加えてあげたらどうです?」

    美琴「…そうね。か、考えておくわ。機会があったら、ね」

    絹旗(相変わらず素直じゃないなぁ)

    つくづくそう思った。

    366 = 74 :


    ……

    一通り着付けも終わった頃。

    滝壺「あれ。麦野、ゴールドはやめたの?」

    麦野「言ったろ?今回の私は“可愛い系”も演出したいって」

    絹旗「…確かに、これでキラキラ系だったら、ちょっと大人すぎたかもしれませんね」

    黒地に白・紫の蝶柄が入った浴衣。そこに赤色の帯を加えることで、
    若干ではあるが大人っぽさを緩和している。

    佐天「か、カッコいいです…」

    美琴「悔しいけど、よく似合ってると言わざるを得ないわね…」

    麦野「テメェに褒められても嬉しくねえよ第3位。そっちこそ、様になってんじゃん」

    美琴「そ、そうかしら…?」

    緑色に白の花柄を添えた浴衣。黄色の帯も相まって、超電磁砲の美琴らしい元気な姿を醸し出していた。

    麦野「それにしても絹旗…」

    絹旗「?何ですか麦野?」

    麦野「あんたさ、あまりに可愛っぽさ出しすぎじゃない??ちょっと心配なんだけど」

    367 = 72 :

    ほう

    368 = 332 :

    一方さんが狼に……そんな根性あるのかしら

    369 = 72 :

    根性と言うよりも性欲が

    370 = 74 :

    絹旗「さ、さすがにやりすぎですかね…?」

    滝壺「そんなことないよ。むしろ、可愛すぎて嫉妬したくなるレベル」

    佐天「ですよねー。うっかり抱きしめちゃいそうです!」

    美琴「こらこら佐天さん。そういうのは初春さんだけにしときなさい」

    麦野「ダメとは言わないけど。あんたって童顔だからさぁ。ちょっと幼く見えるかも。
    逆に、滝壺は思ったより大人っぽいの選んだね。ちょっと意外」

    滝壺「そうたいして意識したつもりはないけど」

    赤紫の花柄を添えたピンクの浴衣に、紫の帯をした滝壺。ピンクというパステル色だけなら、
    それはそれで滝壺に合った歳相応の可愛らしさを演出してたとも言えるが。
    そこに紫系の柄や帯を混ぜることで、若干の大人っぽさが加わった形となっている。

    一方の絹旗はというと。白地に赤の金魚柄が入った浴衣に、黄色の帯をしている。ただしこの帯は
    佐天や美琴が選んだ無地の黄色とは異なり、黄とオレンジが交互に入った横シマ模様を成していた。
    金魚柄もそうだが、そんな帯の色彩も手伝ってカラフルさを引き立て、無個性になりがちな白の浴衣を見事に
    ドレスアップしていたと言えた。反面、可愛さや幼さを前面に出しすぎた組み合わせだったかもしれないが。

    佐天「みんな綺麗だなぁ。私もケチらず、新しい浴衣買えばよかったかも」

    美琴「ええっと…。足らないようなら、出そっか??」

    佐天「いえいえ、お構いなく!その代わり、祭りには水色浴衣に黄色帯で!全力で楽しみますから!」

    371 :

    ほほう

    372 = 74 :

    麦野「絹旗ー」

    絹旗「何ですか麦野。まだ難癖つけるつもりですか?」

    麦野「そうじゃないけどぉ。白ってさぁ、確かに清純で可憐なイメージも合って良いかもだけど。
    反面、汚れやすいってデメリットもあるし、汗で透けちゃったりするかもよ?
    それでも良いっていうなら、別にいいんだけどさ」

    滝壺「絹旗のこと心配してる麦野、優しい」

    麦野「べ、別にそんなんじゃねぇよ」

    美琴「第4位…あんた良い人だったのね。…そうだ。今度からは第4位じゃなく、麦野って呼んでいい?」

    麦野「ちょ!?お、オイ滝壺!!第3位のヤツなんか勘違いして―」

    滝壺「良い機会。あなたもいい加減、御坂さんのこと名前で呼んであげたら?」

    麦野「滝壺まで…んなワケわかんねえことを」

    美琴「ダメかな?麦野」

    麦野「軽々しく人の名前呼ぶんじゃねぇよ!…はっ、好きにしろよ。…御坂」

    佐天「…??なんかよく分かんないけど、良い展開っぽい?!」

    滝壺(よかったねむぎのん)

    373 = 313 :

    インテグラルさんは?

    374 :

    >>373
    インさえ合ってりゃいいとか思ってんじゃねーぞ

    375 = 74 :

    絹旗「……」

    先ほど麦野から言われたことを、絹旗は考えていた。

    絹旗(確かに…白には汚れやすいという欠点もあります。けれど)

    二日前だったか。映画館を出た後…。車に水をひっかけられた時のことを思い出す。

    ……

    絹旗『な、何を…!』

    一方通行『お前ずぶ濡れなンだろ!?口調や見てくれを気にする前に、まずテメエの体を心配しろ!!
    肌を冷やしたまま、家まで直行するつもりだったのかお前は??正気とは思えねェぞ…』

    絹旗『…ッ』

    一方通行『服に吸いついた水分、とってやるからじっとしてろ』

    そう言うと一方通行は、一瞬にして彼女のまとっていた服を濡れる前の状態に戻す。

    一方通行『まったくお前ってやつはァ…』

    ……

    絹旗(だから、仮に服が汚れたとしても。一方通行がいれば大丈夫です。
    …人任せというのも情けないですが。それくらい、一方通行という人は優しい。優しいから…
    ついつい頼りたくなっちゃうんです。そういえばあのときの一方通行は…超カッコよかったです)

    376 = 74 :

    絹旗「…ぁ」

    そこで絹旗は気付いた。

    絹旗(あのとき助けてくれたことも。一方通行のことが気になってる“理由の一つ”なのかもしれませんね)

    そう。そもそも発想提起の時点でおかしかった。Aというたった一つの理由で彼を好きになったわけではなく。A、B、C、D…といったいくつもの小さな、されど大事な要因が幾多も重なって、それが結果として“好き”
    という感情の形成を促したんだと、今ようやく分かった。というか、よく考えれば当たり前だった。
    たった一つの理由で誰かを好きになるほど、世の中ってのは単純じゃない。

    絹旗(そう考えれば“理由”はいくつもあります。映画について真摯に感想を述べてくれたこともそうですし、
    服を綺麗にしてくれたことはもちろん、プリクラでとても良い表情をしてくれたのもそうでした。
    あと、狂言とはいえ上条さんや御坂さんに捕らわれた私を超全力で助け出してくれたのもそうですね)

    今思えば…。最初の時点では、私は一方通行に対する斬新さ・意外さという、いわゆる好奇心だけで
    彼に接していたように思う。というか、それが全てだった。そんなありふれた好奇心で…
    面白おかしく彼に接しているうちに、いつのまにか一方通行に対する見方も変わってしまっていた。

    絹旗(そういや一方通行に顔を押し付けられ、無理やりキスされそうになったこともありました。
    彼が本当にそんなことをやるとは思ってませんでしたから、抵抗はしなかったんですけど。
    ただ自分でも疑問なのが、どうして“彼はそんなことをしない”って、あの段階ですでに信じていられたのか。
    能力的に近いがゆえの、あるいは暗部の人間としてのシンパシー?分かりません。ただ、そういう事実があった。
    そういう意味では、もしかしたら、“気”自体はあのときからあったのかもしれませんね)

    と、いろいろと頭の中では考えてみたものの。結局、絹旗の一方通行に対する“好き”は親友に対しての
    ものなのか。それとも、恋愛感情から発生する異性に対してのものなのか。前者以上の“好き”であること
    には間違いないのだが、かといって後者の方を断言できるほど…。絹旗にはまだその自信はなかった。

    378 = 74 :

    絹旗(ま、そういうわけで。汚れたのと同様に、透けたとしても一方通行の能力で…)

    ……

    透ける?

    絹旗(さすがに、透けるはないですね…)

    汚れならまだともかく。透けた下着を“さっき好きだと自覚した人間”に対して見せられるほど、
    絹旗にはそんな度胸はない。もっとも、そんな度胸などいらないのだが。

    絹旗(スカートヒラヒラも…。とりあえず、一方通行の前ではしばらくできないですね。
    いや、しばらくどころか…予定自体超考えてませんけども。けど、もし彼が『やれ』と言ってきたら。そのとき
    私はどうすれば…!?いやいやいや、何をバカなこと言ってんですか私??彼はそんな変態ではないはずです)

    …気を取り直して。

    絹旗(今度の祭りの日までに、透けても見えないような色のパンツ…。そうですね、
    ベージュ色のパンツでも、どこかで買っておくとしましょう。スリップだけでは不安ですからね)

    絹旗「麦野。忠告、確かに受け取りました。助言ありがとうございますね」

    麦野「別に、礼を言うほどのことじゃねえっつうの」

    それでも感謝だ。もし麦野のこの助言がなければ…
    自分は超恥ずかしい思いをしてしまっていたかもしれないのだから。

    379 = 74 :


    ……

    浴衣を買い終え、家に戻ってきた絹旗。

    絹旗「さて…いよいよ明日ですか。一方通行とのデート、どんな感じになるんでしょうね」

    そういえば水族館というスポット自体、行くのも久しぶりな気がする。

    絹旗「そもそも何で水族館?他にもカラオケ、ボーリング、ショッピング、遊園地、プールなど
    候補はいくらでもあるはずですよね。まぁ…どれも一方通行には似合わないんですけど」

    だからこそ一方通行と行動を共にするのは楽しい。時間を共有するだけ、新しい彼を発見できるのだから。

    絹旗「……」

    デートに行く前に。恋愛経験が自分より深い(であろう)先輩に、
    ちょっと相談してみようかなと思った絹旗だった。

    Prrrrrrrrrrrrrrrrrrr、ガチャッ

    ??『もしもし。どうしたの絹旗?』

    絹旗「滝壺滝壺!ちょっと聞いてくださいっ」

    滝壺『絹旗の“ちょっと”って、いっつもちょっとじゃないんだよね』

    絹旗「まぁまぁ、そう言わずに。一つ頼みますよ先輩」

    380 = 347 :

    正味な話さあ、窒素装甲って服には作用しないの?

    381 = 74 :


    ……

    滝壺『…好きかどうかが分からない?』

    絹旗「いえ、好きなのは間違いないんです。ただ、その“好き”っていうのが
    果たして恋愛感情の好きなのかどうか…私自身どうしても確証がもてなくて」

    滝壺『そうだね…』

    絹旗「そういえば滝壺はこういうこと考えたことあるんですか?」

    滝壺『ないよ』

    絹旗「これはまた、あっさり言い切りましたね」

    滝壺『状況が状況だったっていうのあるかも』

    絹旗「ま、まぁ確かに」

    日常の中で悩む自分と、命を失いかねない状況だった滝壺とを比較して考えること自体無茶だった。

    滝壺『…絹旗はさ。ちょっと難しく考えすぎなんじゃないかな』

    絹旗「難しく…ですか?」

    滝壺『好きと感じたら好き。少なくとも、私はそうだったよ』

    382 = 146 :

    窒素装甲はオート防御だけど、自分から出る汗は防げないんじゃね?
    まぁ学園都市に海あんのかとか、窒素装甲で水被るとか、ッとかいろいろアレな部分あるけどVIPのSSでそれつっこむのは野暮だろ

    383 = 74 :

    滝壺『そして。私はそのことを全く後悔してない。浜面のこと、好きになって本当に良かったと思ってる』

    絹旗「まぁ…それは滝壺と浜面の関係を見てれば分かります」

    滝壺『つまり、そういうこと』

    絹旗「そういうことと言われても…。私はどうすればいいんです?フィーリングでいけばいいんですか?」

    滝壺『そもそも、絹旗は一方通行とどうなりたいの?』

    絹旗「え…」

    滝壺『私にとって浜面はかけがえのない大切な人。だからいつも一緒にいたかった。だから…恋人になった』

    絹旗「……」

    滝壺『絹旗にとって、一方通行はどんな人?』

    絹旗「どんな人って…」

    さすがに、今の段階では滝壺の言った“かけがえのない大切な人”とまでは言いきれない。けれど…。
    少なくとも、今彼が蒸発されたら私が悲しむのは確かだろう。それだけ感情を寄せているのも事実だ。

    絹旗「分かりません…ただ、一緒にいたい。時間を共有したいとは思ってます」

    これは実際に、電話をかける前に考えていたことだった。

    385 = 332 :

    滝壺マジお姉さん

    386 = 347 :

    >>382
    ありがと
    原作読んだことなくてちょっと気になっただけだから

    387 = 74 :

    滝壺『なら、そうすればいいんじゃないかな』

    絹旗「え?」

    滝壺『今絹旗が言ったこと。それはウソじゃないんだよね?』

    絹旗「そ、そりゃそうですよ!何でこんなところで滝壺にウソつかなきゃならないんですか??」

    滝壺『それなら。その言葉は“絹旗にとっての真実”だよ。その通りに行動すればいいと思う』

    絹旗「その通りに…?」

    滝壺『そうすることで見えてくるものもあると思う。私はそうやって浜面を好きになった。
    好きになろうとして好きになったんじゃなくて。いつのまにか好きになってたんだ』

    絹旗「…明日、一方通行と会ってきます」

    滝壺『知ってる』

    絹旗「彼と、一緒にいたいと思います」

    滝壺『うん』

    絹旗「…そっか。やることは超単純だったんですね」

    滝壺『明日のデート、楽しんできてね』

    絹旗「はい!」

    388 = 74 :

    滝壺にお礼を言って、電話を切る。

    絹旗(…難しく考えるのはナシです。明日はとにかく超楽しまねば)

    ということはつまり

    絹旗「いつも通りの私で。いや、むしろ一方通行をからかうくらいの勢いでいいのかもしれませんね!」

    そうすればきっと、滝壺の言った通り何かが見えてくる…はず。

    絹旗「……」

    絹旗「ぁ」

    そうだ。ふと思いついた。

    390 = 74 :

    絹旗(お弁当なんてつくってみるのはどうだろう…?)

    これこそまさにデートの定番ではないか。それに、万が一にも彼に喜んでもらえたら。
    私自身も嬉しいし、ますます楽しい日になるはずだ。

    絹旗(とはいえ、人のために弁当をつくるなんて初めての試みですね…)

    若干の不安がよぎる。

    絹旗「いやいや、考える前からあきらめてしまっては超ダメですね。
    とりあえず軽くメニューは考えて、明日早起きしてつくるとしましょう」

    寝過ごさないよう、目覚まし時計には厳重にタイマーをかける。

    絹旗(…明日が良い日になりますように)

    そして―

    ……

    絹旗(楽しかった…はずなんです)

    時間は戻る。絹旗が一方通行と一緒に水族館を出て、海岸線を歩き、そしてファミレスへと入ったあの時間帯に。

    391 = 74 :

    絹旗(楽しかったです。一方通行と一緒にいた時間は…超楽しかったです。
    魚を見ながらバカ話をしたり、一緒にお弁当を食べたり―)

    だが

    後になって付いてくると思ってた“感情”が。付いてこなかった。

    絹旗「……」

    確かに、一方通行とは会ってまだ日も浅い。変化を求めることに、自分が焦りすぎてるという自覚はある。
    けれどその一方で…。得体の知れない不安を抱えている自分にも気付く。

    『自分は一方通行のことが好きではないのではないか』

    ……

    一方通行(どうすりゃいいンだろうなァ俺は)

    思えば、彼の周りにはいつも打ち止めや番外個体といった、良い意味でも悪い意味でも騒がしい
    人間たちがいた。絹旗最愛もその例外ではない。だからこそ彼女とも難なく付き合ってこれた。
    では、そんなカテゴリーからはずれてしまった今の絹旗に対しては?どうすればいい?

    一方通行(困ったな)

    現実を逃避する形で、外の景色へと目を向ける一方通行。そこには海があった。

    一方通行「…ン?」

    392 = 74 :

    一方通行(コレが、俺がさっき見ていた…海?)

    いつもなら海程度に驚く一方通行ではなかったろうが。比較してしまったなら話は別だ。

    一方通行(夕方ンときはあんなに赤く照らされて綺麗な感じだった海がよ、
    夜になった今は海そのものが闇と同化して、何か引きずり込まれるようなオゾマシサを覚えるゼ)

    夜の海は怖いと聞いたことがあるが、なんとなくその感じが分かった。

    一方通行(見様によっちゃ、一つのもンでも全然違って見えてくるもんだなァ)

    つい感心する。本当は感心している場合ではないというのに。

    一方通行「……」

    今の絹旗がまさにそうか。しかし時間帯によって見た目が変わる海とは違って、
    絹旗は別に夜になったからといって口数が変化したわけではない。当たり前だが。
    では、何が原因で彼女はこうなってしまったのか。

    一方通行(!!ま、まさか…ッ!!)

    嫌な予感がした。結標との、ある会話を思い出してしまった。

    394 = 74 :

    結標『例えばね一方通行。絹旗さんが“疲れてそうに見えなかったら”。どうする?』

    一方通行『どうするって、それなら問題はねぇンじゃねェか』

    結標『そう考えがちよね。でもいつもそうであるとは限らない。
    もし絹旗さんが実際には疲れてても、“疲れていないようなフリ”をしてるだけだったら』

    一方通行『は?』

    結標『あんたに心配をかけたくない。だから、“疲れていないようなフリ”をする』

    ……

    まさか、そういうことなのか??本当は体調が優れなくて、だが傍に俺がいるせいで
    無理して平静を装ってるだけ。疲れていないようなフリをしてる…だけ!!?

    一方通行(ッ!やべェぞ!?もしそれが事実なら、どうして俺はそれに早く気付いてやれなかった!!?)

    彼は立ち上がる。そして―

    一方通行「絹旗ァ!!帰るぞッ!!」

    絹旗「!?」

    一方通行「食事は粗方済んだろッ!?だから帰るぞォ!!」

    絹旗「え、ちょ―!?」

    会計を済ませ、絹旗を連れて無理やり店を後にする一方通行だった。

    395 = 332 :

    不器用でした

    396 = 72 :

    ん?
    休ませるってことは

    397 :

    ホテル!ホテル!

    398 = 74 :

    絹旗「あ、あの!?一体どうしたんですか一方通行!?」

    一方通行「いいからテメェは早く家帰って休め!!!」

    絹旗「??」

    一方通行「まったく無理しやがって…体調が悪化したらどうするつもりだったンだァ??」

    ご覧の通り、実は一方通行もこのとき暴走していた。あくまで可能性の一つでしかないのに、彼は結標の
    言っていた“疲れていないようなフリ”を、いつのまにか確定要因として思いこんでしまっていたのである。
    なぜ彼は冷静さを失ってしまっているのか?

    一方通行(人が苦しむ様ってのはなァ、見たくねェんだよ…)

    エイワスに『ロシアに行け』と言われて以来、打ち止めが助かるその瞬間まで、
    彼女の看護や警護に勤しんできた一方通行。そういった過去が、この突発的とも言える
    行動の根底にあるのは間違いなかった。そんな一方通行に彼女は―

    絹旗「ま、待ってください一方通行!!手を離してくださいっ!!」

    直感で思った。このままでは、彼の能力をもって比喩抜きで“高速”で家まで召還されるであろうことを。
    何で一方通行がこんなことになってるのかは分からないが、こんな意味不明な状況で家まで直行はまずいと
    本能が告げている。間違いなく、次一方通行と会うとき顔を合わせられなくなる。それだけは嫌だった。

    一方通行「手を離せだァ!?早く帰るって言ってンだろォが!!?」

    絹旗「!そ、そうだッ!トイレです!トイレに…超行きたいんですっ!だから、手を…離してください!」

    一方通行「なんだとォ!?ト、トイレなら仕方ねェな…」

    400 = 74 :

    絹旗(ごめんなさい一方通行…ウソなんです)

    先ほどまでいたファミレスの中へと走っていく絹旗。

    ではなかった。ファミレスの中へと走っていくフリをして、外のすぐそばにある横道へと入っていく絹旗。

    絹旗「……」

    絹旗「と、とりあえずここなら落ち着けますね。トイレだと言って
    逃げてきちゃいましたから…あまり待たせてもまずいとは思いますが」

    言葉通り自分を落ち着かせ、思考を取り戻す。

    絹旗「それにしても、何だって一方通行はいきなりあんな…。体調がどうたら言ってましたね」

    ……

    絹旗「…もしかしてアレですか。黙っちゃった私のことを、気分が悪いと思った…?
    だとしたら辻褄が合います。ちょっと行動が強引すぎましたけど…」

    しかし…そう思われるような原因をつくったのは自分なんだから、
    彼の行動にいちゃもんをつけられる資格、私にはない。

    絹旗(むしろ感謝しなくちゃいけない場面ですよねこれって…)

    今みたいにすぐ暴走して勘違いしたり、不器用だったり、口が悪かったり、顔文字の使い方も知らなかったり。
    でも、そんな一方通行だからこそ私は…

    優しい人―


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