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    元スレレッド「――俺はマサラタウンのレッドだッ」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×6
    タグ : - 魔界戦記 + - とらどら + - ゴークリ + - ゴールド + - ナツメ + - ハセヲ + - ポケモン + - リリカルなのは + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    701 :

    ギギギ

    702 = 642 :

       ― 4年前。シオンタウン ―

     その深夜、一夜限りの戦火があがっていた。
     ポケモンタワーに挑むように、ロケット団の軍勢がいた。
     ロケット団が関わった事件では、最大規模の戦力が集結していた。


     

    703 = 642 :

     ――ポケモンタワー、前方。

     マチスによる、マルマイン60匹による大爆発の音が轟く。
     ビル一つ崩壊させるほどの爆発。標的はポケモンタワーだった。

     ――ドゴォォォォォォオオオオンッ!!!!!

     爆炎と煙に包まれながらも、ポケモンタワーの影は健在だった。
     その影を見上げて、舌うちをする、一人の男。


    マチス「シット! あの野郎、完全に立てこもりやがったッ!」

    704 = 642 :

     ――ポケモンタワー南、崖の上。

     そこにマルマインの攻撃を見物する一人の影。
     

    団員「キョウ様。ゴルバットたちの超音波による、情報の結果が出ました!」

     その報告に、忍びの装束の、気難しい顔の年配男がうなづく。

    キョウ「すぐにナツメ嬢の部隊に結果をまわせ。
        なお残りの団員は、引き続き調査に当たるべし……」

    団員「「「ハッ。承知致しました!!」」」


    キョウ「マチス殿の大爆発をモノともしないか。
        愛らしい姿とは裏腹。超越的な力をもっているな、あのポケモン……」

    706 = 642 :

     ――ズゴゴゴゴォォォォオオンッ!!!
     

     空中部隊のプテラ、カイリュウたちのの攻撃。
     29もの破壊光線が、ポケモンタワーを襲った。
     
     が、すべて見えない壁に防がれてしまった。

     死霊の塔。
     ポケモンの墓場。
     シオンに聳える荒廃な聖域。

     そのポケモンタワーは、特別な力で守られているようだ。


     ――部隊の雑用係りたち。

    コジロウ「うへー、ATフィールドかよ~!」
    ニャース「おみゃーは何をいってるニャ」
    ムサシ「アンタたち、遊んでないで手伝いなさいよ!」

    707 = 660 :

    今日で四日め支援

    708 = 642 :

     ロケット団の目的。
     それはタワーの破壊ではない。
     追いつめた筈のポケモンを炙り出す為だった。
     
     サカキの念願が、塔に逃げて籠城してしまったのだ。    


    サカキ「――――ッ」

     塔を仰ぎ、舌うちをするサカキ。

    709 :

    ミュウか

    710 = 642 :

     ――ポケモンタワー、近く。エスパー部隊。
     
     そこにはまだ幼さが残るナツメがいた。

    ナツメ「オジさん。ケーシィが情報つかんだって!」


     ――バッシッ。
     容赦なくサカキが、ナツメの頬を叩いた。

     まだ10を超えて間もないナツメ。 
     涙を浮かべて、サカキを見上げた。

    サカキ「年配者への口の聞き方を教えてやろうか?」

    711 = 642 :

     教えてやろうか?
     それは虐待的教育のことだった。
     ペルシアンに刻まれた腕の傷を思い出し、ナツメが震えた。

    ナツメ「……申し訳ありま、せん」
    サカキ「超能力のせいで、忌み嫌われたおまえを救ったのは誰だ?」
    ナツメ「サカキさまです」
    サカキ「何故、おまえは拾われた」
    ナツメ「?」

    712 = 642 :

    サカキ「おまえの世界への悪意が、
         俺の優秀な駒に成りえるからだ。
         チェスでいうなら、まだビショップ。
         成長すれば、クイーンにもなりえる駒だ」

    ナツメ「……」

    サカキ「そして俺はキングではない。
        キングすら操る、打ち手だ。
        その俺を不快にさせる駒など入らん」

    ナツメ「――捨てないでください!
        あんな醜い世界に戻りたくありません」

     泣き言ながらも、キッと強い眼光でサカキを見据えた。

    715 :

    ほっしゅほしゅのハッシュドゥビーフやでぇ~

    716 = 642 :

     エスパー少女。
     マスコミのお約束だ。
     持ち上げて、手のひら返し。
     忌み子、呪われた子。超能力でのイタズラ。
     そういった悪評を撒き散らされ、家族崩壊にまでなってしまった。

    サカキ「その醜い世界を、俺が壊してやる」

     ――おまえは俺の背中を見て育てばいい。

     戦火を酷薄な顔で観賞するサカキ。
     その背中を見つめ、ナツメは拳に力をいれる。
     悪。その背中。その背中が、ナツメを強く突き動かす。

    ナツメ「ハッ!」

     戦火に照らされた少女の顔には、もう幼さは消え失せていた……

    717 = 642 :

     エスパー部隊。キョウの調査部隊。
     その報告をまとめ、ナツメが読み上げる。

              
    サカキ「そうか、ヤツはある筈のない8階を形成し引きこもったか」
    ナツメ「ハイ。物理攻撃は無駄かと。ATフィールド発動中です」

    サカキ「ATフィールド?」
    ナツメ「いえ。エスパー学における専門用語です」

    サカキ「俺が欲しい報告じゃないな。ヤツを捕獲する手立てはないのか?」


    ナツメ「それが……あッ、ア、ぐぁッ」

     突然、頭を押さえ、苦しむナツメ。
     その脳裏には、未来が足早に映し出されていく。
     断片的なそれに、ナツメは吐き気を覚えた。


     ――これは四年後の、ポケモンタワーの予知だ。

    718 = 642 :

     いくつかの断片予知。
     その一つがナツメにとって衝撃的だった。

     ――その予知では、ナツメは少年に殺されるのだ。


    サカキ「予知がきたか。もちろん、ヤツの捕獲についてのだな?」

     そうでなければ使えない。
     そんな声色でサカキがナツメを見下ろした。

    ナツメ「……はい」


     その予知の内容を、ナツメは語った。

    719 = 642 :

    サカキ「きははは、そうか。マサラの少年が餌か」

    サカキ「まっさらなマサラが育む精神!
        確かに伝承では『純粋な心の持ち主に姿を見せる』だったな」

    サカキ「それでは我々がいくら向かった所で意味がない」

    ナツメ「どうされますか?」
    サカキ「全軍、引け。俺は四年後に備える」
    ナツメ「……サカキ様」

    サカキ「おまえの犠牲が必要ならば、払え。その命」

    サカキ「――醜い世界を壊す礎となれ」
    ナツメ「ハッ。ありがたき光栄です」

     ――私一人の力じゃ世界は壊せない。
       でも悪の権化の、このお方ならば……

    720 = 642 :

     全軍が引いていく。
     サカキが聳えたつタワーを振り返った。


    サカキ「――待っていろよ、幻のポケモン、ミュウ。
        俺の悪意が、貴様を呑みこんでやる」

     きはははははははははははははッ!!



    ナツメ「――マサラの少年、か。
        私はどんなヤツに殺されるのだろうな」
      
     四年後。ナツメはトキワの森で、その少年と出会った――。


       ― 四年前/了 ―

    723 = 642 :

     ――俺がロケット団の首領だ。驚いてもらえたかな?

     その発言後、レッドとサカキの戦闘が始まった。

     スピアーとサイドン。
     圧倒的に力負けのするスピアー。
     速さと毒で翻弄されるサイドン。

     両者の角と針が火花を散らす姿は、
     さながら主君の名誉をかけた騎士の殺しあいだ。

     が、その勝負を打ち切ったのは、やはりサカキだった。

    725 = 642 :

     リザードンの背にのるサカキ。
     レッドを見つめるリザードン。

    レッド「……」
    サカキ「ふん、これ程ナラしたリザードンすら、おまえに好意を抱くか。
        ――だからこそ、おまえが必要なのだレッド」

    カスミ「ちょっとアンタ、タダで帰るつもりじゃないでしょうねェッ!」
    エリカ「あら、お茶の席を用意致しますのに。
        きっちり絞り上げて、証言をお聞きしたいですわ」

     ふたりはモンスターボールをかまえた。
     

    サカキ「残念だが、遊びは終わりなんだよ」

     
     すっとサカキが手をあげると、リザードンが炎を吐いた。

    726 = 642 :

     サカキとレッドたちのまえに、炎の境界線が引かれた。

     バッサッ、バッサッ、と飛び始めるリザードン。

    サカキ「レッドよ」
    レッド「……」

    サカキ「どんな苦難を与えても、貴様は悪に染まらなかった。
        そこの正義ったらしい娘たちを仲間と思うくらいだ。
        もう、俺が歩んだ道に、踏み外すことはないだろう」

     ――喜ばしいが、本心としては残念だ。

     バッサッ、バッサッ、バッサッ――。

    レッド「…………」
    サカキ「シオンタウン。ポケモンタワー。
        そこの最上階を、決着の舞台としようじゃないか」

    サカキ「待っているぞ。レッド――ッ」

     シュッバッ―――。

     サカキをのせたリザードンが、遥か上空に飛び去っていった。

    727 = 642 :

     ――数時間後、タマムシ郊外。


     レッドは巨大なイーブイの背にのった。
     向かうはシオンタウン。ロケット団の頭を叩く。
     
     ――たぶん、そこにナツメも、と一人の女を想うレッド。

    カスミ「こら、レッド! もう行くつもり?」
    エリカ「あらあら。カスミさんも寂しがり屋さんですわね」
    カスミ「エッ、エリカさんだって、そうじゃないですかぁッ!」

     振り返ると、朋輩と呼んでくれた少女たちがいた。

    エリカ「レッドさん。私はジムの件でお伴できません――これを」

     そういってエリカはたくさんのバッチを手渡した。

    レッド「……」
    エリカ「これは全てのジムバッチの真贋です。
        ジム戦でもらえるバッチは、すべてこれのレプリカなのです。
        バッチはリーダーを束ねる、このエリカの管轄ですので、
        ――かるく本部から拝借してきましたわ」

     ふふふ、と笑うエリカ。


    エリカ「きっと貴方の才とポケモンの力を、バッチが大いに強化してくれますわ」

    728 = 642 :

    カスミ「さっきのバトルを見て、私は足でまといだって分かった。
        でもだからって、逃げるつもりはないわ。私はエリカさんを手伝う。
        だから、私は、こんなことしかできないけど――」

     民族衣装のカスミが、静かに踊り始めた。

     そのゆったりなリズム。幻想的な姿。歌声。
     まるで大海を見守る、人魚を彷彿させられる。

     見えない力に、守られているような気分だった……

     ジャン、タッタタ、ランッ――

     最後のステップを決め、カスミが頭を下げる。

    730 :

    フラグ足りえるのか怪しいぜ

    カスミぇ

    731 = 642 :

    カスミ「これ、ある神秘の水島に伝わる、伝統的な踊りなの。
        眉つばなんだけど、旅人に加護を与えるんだって!」

    レッド「――――」
    カスミ「で、どうよ? 御利益ありそう?」

     顔を真っ赤にしたカスミが、上目遣いでレッドを見つめた。

    レッド「……」こくり。

    732 = 642 :

     胸のまえで両手をあわせて、カスミが満面の笑みをみせた。

    カスミ「そう、よかった! レッド、いってらっしゃい!」
    エリカ「あなたの帰りをお待ちしていますわ」


     レッドは別れを告げ、イーブイにのり駆けだした。
     向かうは、シオンタウンの、ポケモンタワーだ。

    733 :

    >>1

    これ、全部書くのに何時間かかった?

    734 = 642 :


     流れていく花々や木岐の景色。
     近代的な建物すら、とても柔らかい色をしている。
     虹色のようなタマムシの風景を、レッドは跡にする。

     カスミとエリカ。彼女たちが託したモノ。
     それは眼にはみえないものだ。
     
     しかしレッドは想う。


     ――それはタマムシシティのような、鮮やかな色のような気がした。


     ――なかま、か。
     イーブイの背で、レッドは強く拳を握りしめた。
     

     
      ― タマムシ にじいろ ゆめのいろ ―


       ■■ 朋輩の質量/了 ■■■

    735 = 642 :

    もうすぐ完結ですが、しばらく落ちます。
    保守、支援してくれてる方、ありがとうございます。

    >>733
    ヒマな時間の書き散らしなので、時間は分かりません。
    いま計算したら4日で4万文字でした。一日1万文字の速度でした。

    736 :

    >>1「4万字も書いた」キリッ

    737 :

    >>1
    でかいイーブイってなかなかシュールだな

    738 :

    最近はキリッの意味すらわからない奴がVIPにいるのか

    739 :

    >>738
    >>736みたいなのに反応したら負けだと思うが

    740 :

    残り少ないのに無駄レスの嵐…

    746 :

       ■■ ミュウ ■■

      ◇ 桜咲くカフェテリア ◇ 


     ――ポケモンタワー、入口の洞窟前。

     岩壁に寄りかかっているナツメがいた。

    ナツメ「――よく来たな坊や」
    レッド「…………」

    ナツメ「ここでおまえと我々ロケット団。
        どちらかが潰れることになるだろう」


    ナツメ「まぁ、万が一にもサカキ様が負けるなどありえないがな」

     と、ナツメはシニカルな笑みを浮かべた。

    747 = 746 :

    レッド「――」
    ナツメ「久しぶりにあったと思ったら、ずいぶん嫌な顔になった」
    レッド「……」

    ナツメ「なんだ、その緩みきった顔は。
        以前のおまえは、もっとギラついていたぞ?」

    レッド「――」
    ナツメ「故郷は、社会は、家族は、同郷のグリーンは……
        みなお前を怨み、恐れ、遠ざけているというのに――!」

    ナツメ「だというのに、たいそう善人な顔をする。
        まるで『決闘者』だ。復讐者のそれではない。
        ――なぜ、なぜ、そんな顔ができる……」

     苛立ちげに、ナツメが睨む。
     それを真っ当から受け止めるレッド。

    749 = 746 :

    レッド「――――」
    ナツメ「ただ坊やに会いたくなっただけさ」
    レッド「……」
    ナツメ「私は心理学者じゃないんだ。会いたくなった理由なんて知るか。
        ――まあ、これが最後だからだろうさ」

     そっぽを向いて、ナツメがいった。

    ナツメ「おまえはこの塔の8階で、サカキ様と戦う。
        そして何故か、私はここでお前に殺される……」

    レッド「……」
    ナツメ「それが私が見た、予知の断片だ。
        ちなみに私は、予知を外したことはない」

    ナツメ「――いや、一度だけ、あったな」
    レッド「?」

     ふっと儚げに自嘲するナツメ。

    750 = 746 :

    ナツメ「だれかと。――そう。だれかと一緒にいるんだ。
        どこかのカフェだった。硝子を隔てた向こうには、桜が散っていた。
        そこで私は楽しげにだれかを、からかいながらコーヒーを啜っていた……」


     ――アレはだれだったんだろうな。


     一瞬、温かい顔をのぞかせたナツメ。
     それもすぐに、いつものクールな顔に切り替わる。

    ナツメ「結局、そんな未来は訪れなかった。
        ――いまの私からしたら、キモち悪いほど幸福な予知だったよ」

    レッド「……」


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