元スレレッド「――俺はマサラタウンのレッドだッ」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×6
604 = 599 :
保
605 :
黒バットはおれの嫁
607 = 546 :
しばらく食後の団欒をしていた時だった。
サカキ「やァ、レッドくん。相変わらずだな」
店員が片付ける食器の山を見て、サカキが人の良さそうな顔で近付いてきた。
レッド「……」
サカキ「昨日のイーブイ、助けたんだろ?」
レッド「……」こくり。
サカキ「爪が甘いが、君らしいな」
と、親しげにレッドの肩に手をおく。
エリカ「…………」
608 = 533 :
保守すんならもっと間を空けようぜ
609 :
このスレまだ続いてたのか・・・
610 = 546 :
カスミ「レッド、このおっさんと知り合いなの?」
サカキ「ハハハ、まあ40をとうに超えているが、若いつもりだったんだが。
せめてオジ様が望ましいな」
カスミ「俺はサカキだ。まあ、レッドくんの悪友といったところか」
レッド「……」
カスミ「へー。歳の離れたホウバイね」
サカキ「朋輩? ハハハ、渋い言い回しだな。
――生憎だが、そいつは違うだろうな、なァレッド?」
レッド「……」こくり
611 :
イマサラウンタンに戻れるかよ
612 = 546 :
エリカ「もしやサカキさん。貴方は、あのトキワの――」
サカキ「ほう、もう何年も姿を暗ましていたのだが、まだ俺の名は世に通っているようだ」
カスミ「え? トキワのサカキって、もしかして伝説のジムリーダーの?」
サカキ「伝説かどうかはしらないが、そのサカキで間違いない」
レッド「……」
カスミ「えッ? そんなことも知らずに、オジサンと仲良くなってたの?」
― サカキは『おっさん』から、『オジサン』に進化した! ―
エリカ「ジム戦の砦。難攻不落。
一時期、『ポケモンマスター』を目指す若者が減少するほどの兵ですわ」
615 = 533 :
唯「イマサラウンタンに戻れるかよ」
616 = 546 :
サカキの表の顔。
それよりもレッドは、『ポケモンマスター』という響きに心動かされていた。
かつてマサラを旅立った時に、
オーキドが語り、グリーンが目指したもの。
――なぁ、レッド。
どちらが先にポケモンマスターになるか、勝負しようじゃないか?
いつかの、もしかしたら朋輩と呼べただろう、同郷の少年の声が蘇る……
その言葉の数時間後。
トキワの森でレッドは地獄を見るのだが――。
617 = 546 :
エリカ「そんなお方に会えるなんて、今日は吉日ですわね。
よかったらサカキさん、座ってくださいな。
ジムリーダーの責務を放棄して、行方を暗ましていたのでしょう?
我々ジムリーダーの信用を落とした謝罪なんかを、ぜひ聞きたいですわ」
ニコッと悪意のない笑み。
そのわりに言葉の含みは辛辣だった。
サカキ「遠慮させてもらおう。
おっ、これはトマトジュースかな?
なんだ、飲まずに片付けるなら、頂こうじゃないか」
カスミが作った特性激辛ドリンクに、サカキは手をだした
618 = 546 :
カスミ「――あっ!(ま、いっか)」
その後の展開が楽しみで、本気で止めないカスミ。
ごく、ごく、ごく、ごく……
豪快に飲み干すサカキ。
唖然とする三者。
カスミ「……」
エリカ「……」
レッド「……」
サカキ「ごちそうさま。喉を突き刺すイイ喉越しだ!」
620 = 546 :
サカキは別の席で注文をとり始めた。
エリカ「逃げられましたわ。
ジムリーダーを束ねる者として苦言したかったのですが。
ヤマブキのナツメさんは、ロケット団員宣言で失踪してますし。
残念ですわ」
レッド「……」
カスミ「っていうか、うっそでしょー。
厨房から唐辛子やハバネロとか借りてきて作ったのにッ」
レッド「…………」
カスミ「えッ? そんなものを飲ませようとしたのかって?
いや、あの、そのォ、ごめん、レッド!
だから、――らめぇぇ、そんな醒めた眼であたしを見ないでぇぇ!!」
621 = 546 :
■■■
― 同時刻。タマムシ、上空 ―
そこには巨大な赤き炎竜の姿。
タマムシの家々や地面に、暗い影を落としている。
青空に浮遊しているリザードンに、気づき始めた人が騒ぎ始めていた。
リザードンの背には、二つのロケット団員の影。
622 = 546 :
地上で騒ぎ始める人々を見下ろして、不敵に笑う男と女。
ムサシ「何だかんだと聞かれたら!」
コジロウ「答えてやるのが世の情け!」
コジロウ「世界の破壊を防ぐためって――おいおい、マジでやるのかよォ。
いくらボスの命令でも、俺こえぇよッムサシィ!」
ムサシ「黙らっしゃいッ。ボスの命令は絶対よ!
だからこそボスに内緒で、ニャースに手配させてるんじゃないさ!」
タマムシの空に、緊張した二人の声が響く。
626 = 546 :
コジロウ「でもよォ。これじゃ、本当に悪役だぜぇッ!?」
ムサシ「ハナからロケット団は悪の組織じゃないか!
給料天引きなんて、あたしはゴメンだわ!
――ニャース、聞こえるッ!?」
ムサシと呼ばれた赤紫髪の女が、無線機をとって声をあげる。
ニャース『聞こえてるニャ!
ポケモンたちも逃がし終わってるニャ。
いつでもOKニャ!』
627 = 546 :
ムサシ「怖じ気づいてるんじゃないよコジロウ!」
コジロウ「あァ、あァ、分かりましたよォ!
やってやるぜ。ムサシ一人にやらせて堪るかい!」
ニャース『ボスから指令メールが来たにゃ、40秒で支度しニャッ!』
628 :
ニャースかわええ
629 = 546 :
リザードンがギロりと二人を視た。
――まだか? という視線。
それに怯えながら、よし、と二人が頷いた。
コジロウ「男コジロウ。咲かせてみせよう悪の華」
ムサシ「連れ添いますは、時代の徒花ムサシ」
ムサシ・コジロウ「いけぇぇぇ、リザードン! 火炎放射だぁぁ!!」
――ぎゃしゃァァァァアアアア!!
リザードンの濁流のごとき炎が、とある森と建物に放たれた。
ロケット団員たちの狙いは、森に囲まれたタマムシのジムだった……
■■■
630 = 546 :
しばらく落ちます。
あと2日以内には完結したい。
今日は時間がなく、あまり書けなくてゴメン。
631 :
二日・・・だと?
633 = 533 :
書き溜めすぎわろた
好きにやってくれ
634 :
ながらにしか見えんが
637 :
乙だぜ
つ日本酒
638 :
2日とかwww
次スレとか勘弁
639 :
雑談控えれば問題ない。
641 = 636 :
む
642 :
――タマムシ、ファミレス内。
破壊音と人々の悲鳴が轟いた。
エリカ「――何事ですのッ!?」
ガラス壁の向こう側で、炎があがっていた。
カスミ「エリカさん、あの方角って――」
エリカ「はい。あの森は私のジムですッ」
レッド「――――」
643 :
乗っ取りはやめよう
644 = 642 :
エリカの携帯が鳴った。
エリカ「エリカです。一体何が起こったのですか?」
携帯越しにジム関係者と会話するエリカ。
それをレッドとカスミが見守っている。
すぐに向かいます、とエリカは携帯を閉じた。
エリカ「ロケット団の襲撃です。
リザードンの火炎放射で
我がタマムシジムが破壊されてました」
カスミ「そんなッ!
エリカさんの所が襲われる理由なんてないのに……」
エリカ「いえ、一つあります――」
エリカを見つめた。
645 = 642 :
レッド「……」
エリカ「はい、理由はレッドさんでしょうね」
カスミ「え?」
エリカ「トキワの森の放火の冤罪。
サントアンヌ号の、ナツメさんの協力。
ロケット団は、レッドさんに何かしら執着していますよね」
エリカ「そしてナツメさんの発言」
――この少年を覚えておくがいい!
――この少年がいずれ、人類の大いなる敵になるだろう
エリカ「何故かロケット団はレッドさんを追い詰めたいように見えます」
エリカ「これはレッドさんの冤罪を晴らす為に動いてる
私への報復と脅しと見て間違いありません」
646 = 642 :
カスミ「なんなのよ、ロケット団は!
こんな酷いことして、レッドに何をさせようっていうのッ!?」
レッド「……」
エリカは和服をなおし、席を立った。
エリカ「楽しい席でした。それでは失礼します」
たたたたたッ、からん、ころん。
カウベルの音を残して、エリカが去った。
647 = 642 :
レッドが立ち上がる。
レッド「……」
カスミ「罪悪感で動くんじゃないでしょうね?」
レッド「――」?
深刻な状況なのに、レッドは軽く返した。
カスミは驚いたあと、嬉しそうな声をあげる。
カスミ「アンタも分かってきたじゃん。
そうよ、朋輩だもんね。行くっきゃないって」
そういって二人して席を立った。
ファミレスを出る際。
気取られないように振り返る。
燃えさかる森を、コーヒーを啜りながらサカキは見つめていた……
648 = 642 :
■■■
― サカキ ―
我が麗しの悪友、レッドが去っていった。
コーヒーを啜りながら、団員の仕事っぷりを眺める。
――だめだめだな。
人もポケモンも、逃がしてると見た。
まだ壊せた筈だ。
まだ燃やせた筈だ。
まだ殺せた筈だ。
まだ轟かせた筈だ。
まだ慄かせた筈だ。
まだ、まだ、まだ、まだ――。
腹の底で、滾る悪意の塊。
頭蓋の芯に埋め込まれた、冷たい悪の因子。
仕事をこなした団員たちの、悪の足りなさをなじりたくもある。
649 :
私怨
650 = 642 :
まあ、いい。
所詮は手足。
心や頭ではない。
芯がないのだ。
――悪い病気は、俺だけが持っていればいい。
サカキ「ごっほッ、くッ――」
吐血するサカキ。
机の上にポタポタと滴る、赤い雫。
サカキ「チッ、もっと手筈を踏んで、計画に臨みたかったんだがな……」
――さぁて、クライマックスの幕を開こうか。
■■■
みんなの評価 : ★★★×6
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