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男「また煙草吸って、あんたいくつだよ?」
幼「クククッ、お主は”でりかしー”を知らぬのかえ? 乙女に歳は聞くものではなかろう?」
男「乙女というより、俺には幼女に見えるぜ?」
幼「とやかく言う出ない。さて、お主。これを見よ」
男「煙草盆がどうしたよ? 灰吹きがいっぱいか?」
幼「煙草がないのじゃ。この体は煙草が買いにくくてのう」
男「パシリかよ。いいけど、キセルの煙草ってどこで売ってるんだ?」
幼「煙草屋までは遠いからの、小粋でなくてもかまわぬ」
男「コンビニまでな。銘柄に指定はあるか?」
幼「ショートピース。なるべく早く頼むぞえ」
男「はいはい」
幼「クククッ、お主は”でりかしー”を知らぬのかえ? 乙女に歳は聞くものではなかろう?」
男「乙女というより、俺には幼女に見えるぜ?」
幼「とやかく言う出ない。さて、お主。これを見よ」
男「煙草盆がどうしたよ? 灰吹きがいっぱいか?」
幼「煙草がないのじゃ。この体は煙草が買いにくくてのう」
男「パシリかよ。いいけど、キセルの煙草ってどこで売ってるんだ?」
幼「煙草屋までは遠いからの、小粋でなくてもかまわぬ」
男「コンビニまでな。銘柄に指定はあるか?」
幼「ショートピース。なるべく早く頼むぞえ」
男「はいはい」
幼 カチッ ボッ
男「そのライター、かっこいいな」
幼「トーレンスというてな。”せみおーとまちっくらいたー”よ」
男「おお、ボタン押すと蓋が開いて勝手に火をつけるのか」
幼「クククッ、この古臭さ、よいであろう?」
男「それさ、ポケットの中で火着かないか?」
幼「そんなものは慣れよ、慣れ。それに袖の中は広いからのう」
男「ちょっと貸してくれ」
幼「よいぞ。ほれ」
男「……このライター蓋閉める時、思ったより力いるな?」
幼「うむ、この体ではちと難儀じゃの」
男「手が真っ赤じゃないか、指痛くないか?」
幼「それがこだわりというものじゃろう?」
男「はぁ……あんまりひやひやさせてくれるなよ?」
男「そのライター、かっこいいな」
幼「トーレンスというてな。”せみおーとまちっくらいたー”よ」
男「おお、ボタン押すと蓋が開いて勝手に火をつけるのか」
幼「クククッ、この古臭さ、よいであろう?」
男「それさ、ポケットの中で火着かないか?」
幼「そんなものは慣れよ、慣れ。それに袖の中は広いからのう」
男「ちょっと貸してくれ」
幼「よいぞ。ほれ」
男「……このライター蓋閉める時、思ったより力いるな?」
幼「うむ、この体ではちと難儀じゃの」
男「手が真っ赤じゃないか、指痛くないか?」
幼「それがこだわりというものじゃろう?」
男「はぁ……あんまりひやひやさせてくれるなよ?」
幼「春の七草のホトケノザとは、田平子のことを指すのじゃ」
男「豆知識はいいから。お前どこ座って煙草吹かしてやがる」
幼「野仏じゃの。雨風に吹き晒されて、可哀想に」
男「不遜にもほどがあるな」
幼「クククッ、神仏よりも実在する人間の方が偉かろう?」
男「俺には煙草咥えて偉ぶってるガキにしか見えねえよ」
幼「ワシが若作りにみえるかえ?」
男「そら、過ぎるくらいにね。本当に神の域だぜ」
幼「歳をとるものではないの。ワシは、お主ほうが若く見える」
男「なあお前、いくつなんだよ?」
男「豆知識はいいから。お前どこ座って煙草吹かしてやがる」
幼「野仏じゃの。雨風に吹き晒されて、可哀想に」
男「不遜にもほどがあるな」
幼「クククッ、神仏よりも実在する人間の方が偉かろう?」
男「俺には煙草咥えて偉ぶってるガキにしか見えねえよ」
幼「ワシが若作りにみえるかえ?」
男「そら、過ぎるくらいにね。本当に神の域だぜ」
幼「歳をとるものではないの。ワシは、お主ほうが若く見える」
男「なあお前、いくつなんだよ?」
男「お前、いつも和服なのに緑茶じゃなくてコーヒーだな」
幼「珈琲と煙草の組み合わせは、絶妙での」
男「そうですか。お代わりは?」
幼「気が利くのう。頼むぞえ」
男「エプレッソでいいよな?」
幼「"みるく"と砂糖はたっぷりの」
男「子供舌め」
幼「歳相応じゃろう?」
男「だから、お前はいくつなんだよ?」
幼「さてのう? 歳月が経ちすぎて忘れたわ。老いは怖いのう」
男「お前の口から漏れる言葉は、片っ端から矛盾してやがるぜ」
幼「珈琲と煙草の組み合わせは、絶妙での」
男「そうですか。お代わりは?」
幼「気が利くのう。頼むぞえ」
男「エプレッソでいいよな?」
幼「"みるく"と砂糖はたっぷりの」
男「子供舌め」
幼「歳相応じゃろう?」
男「だから、お前はいくつなんだよ?」
幼「さてのう? 歳月が経ちすぎて忘れたわ。老いは怖いのう」
男「お前の口から漏れる言葉は、片っ端から矛盾してやがるぜ」
幼「おい若造」
男「なんだクソガキ」
幼「煙草の在庫がなくなるのじゃ。買ってきてはくれんかえ?」
男「車でつれてくから、自分で買えよ」
幼「年齢認証とやらがこの上なく面倒でのう」
男「はいはい、銘柄は?」
幼「オーリックのゴールデンヴァージニア」
男「パイプ煙草ね」
幼「お主も煙草を覚えたのう」
男「こんだけパシリにされてたらな」
幼「なるべく早く頼むぞ若造」
男「わかりましたよ、お姫様」
男「なんだクソガキ」
幼「煙草の在庫がなくなるのじゃ。買ってきてはくれんかえ?」
男「車でつれてくから、自分で買えよ」
幼「年齢認証とやらがこの上なく面倒でのう」
男「はいはい、銘柄は?」
幼「オーリックのゴールデンヴァージニア」
男「パイプ煙草ね」
幼「お主も煙草を覚えたのう」
男「こんだけパシリにされてたらな」
幼「なるべく早く頼むぞ若造」
男「わかりましたよ、お姫様」
男「子供が酒を飲むなよ」
幼「お主が目の前で飲むのが悪いのじゃよ」
男「ジャン・フィーユかよ。しかもバカ高いレゼルヴ」
幼「お主は"じゃっく・だにえる"かえ? 安酒とは、らしいのう」
男「悪いか、好きなんだよ」
幼「ワシもな、好きなのじゃよ。クククッ」
男「しかし、酒と煙草一緒に飲むと、お前、吐くぞ?」
幼「生憎、酒精に弱いわけではなくての」
男「歳もそうだけど、どこでその金を手に入れているんだか」
幼「クククッ、女には秘密がある方が妖しく見えるのでな」
幼「お主が目の前で飲むのが悪いのじゃよ」
男「ジャン・フィーユかよ。しかもバカ高いレゼルヴ」
幼「お主は"じゃっく・だにえる"かえ? 安酒とは、らしいのう」
男「悪いか、好きなんだよ」
幼「ワシもな、好きなのじゃよ。クククッ」
男「しかし、酒と煙草一緒に飲むと、お前、吐くぞ?」
幼「生憎、酒精に弱いわけではなくての」
男「歳もそうだけど、どこでその金を手に入れているんだか」
幼「クククッ、女には秘密がある方が妖しく見えるのでな」
男「本読みながら、パイプを吸う姿に和服は似合わん」
幼「そもそも、パイプに和服は似合わぬの」
男「だが、なかなかに器用だな」
幼「慣れよ慣れ。パイプは咥えながら何か出来て楽での」
男「で、なに読んでるんだ?」
幼「んー川端康成じゃ」
男「『片腕』か。なんていうか、すげーちぐはぐな組み合わせだこと」
幼「まあ、この歳で煙草吸うのはちぐはぐだのう」
男「その歳で川端康成もおかしいぞ」
幼「そうかの? 本は若いうちに読む方がよいぞ?」
男「もう、お前、言ってること滅茶苦茶だなぁ」
幼「そもそも、パイプに和服は似合わぬの」
男「だが、なかなかに器用だな」
幼「慣れよ慣れ。パイプは咥えながら何か出来て楽での」
男「で、なに読んでるんだ?」
幼「んー川端康成じゃ」
男「『片腕』か。なんていうか、すげーちぐはぐな組み合わせだこと」
幼「まあ、この歳で煙草吸うのはちぐはぐだのう」
男「その歳で川端康成もおかしいぞ」
幼「そうかの? 本は若いうちに読む方がよいぞ?」
男「もう、お前、言ってること滅茶苦茶だなぁ」
幼「月が綺麗だのう」
男「焼酎で月見酒かい?」
幼「うむ。月と酒、あとは煙草があれば、そこは楽園じゃ」
男「なんという不健康な幼女」
幼「クククッそう目くじらを立てるでない。ワシも自覚はあるんでの」
男「まったく、自覚があるなら控えてくれよ」
幼「ふむ、やはり若い身空で覚えるものではないのう」
男「器用にキセルの火を素手で継ぎ足すお前は、絶対に若くない」
幼「そうかえ? これでもまだまだ若いつもりだったのだがの」
男「お前は若作りしたいの? 大人ぶりたいの?」
幼「クククッ歳相応に見られたいのう」
男「その歳がわからないんだってば」
男「焼酎で月見酒かい?」
幼「うむ。月と酒、あとは煙草があれば、そこは楽園じゃ」
男「なんという不健康な幼女」
幼「クククッそう目くじらを立てるでない。ワシも自覚はあるんでの」
男「まったく、自覚があるなら控えてくれよ」
幼「ふむ、やはり若い身空で覚えるものではないのう」
男「器用にキセルの火を素手で継ぎ足すお前は、絶対に若くない」
幼「そうかえ? これでもまだまだ若いつもりだったのだがの」
男「お前は若作りしたいの? 大人ぶりたいの?」
幼「クククッ歳相応に見られたいのう」
男「その歳がわからないんだってば」
幼「ふむ、在庫が切れたのう」
男「煙草分けようか?」
幼「お主の煙草は、薄荷が入っておって好かん」
男「お婆ちゃん、薄荷じゃなくてメンソールだよ?」
幼「婆呼ばわりは好かぬのう。流石にそこまで歳を食った覚えもなし」
男「お嬢ちゃん。煙草なんか吸っちゃダメだよ?」
幼「ガキ扱いも好かぬぞえ?」
男「お前はどう扱われたいんだよ」
幼「恋人かのう?」
男「えっ!?」
幼「クククッ冗談よ。真に受けるでないわ」
男「煙草分けようか?」
幼「お主の煙草は、薄荷が入っておって好かん」
男「お婆ちゃん、薄荷じゃなくてメンソールだよ?」
幼「婆呼ばわりは好かぬのう。流石にそこまで歳を食った覚えもなし」
男「お嬢ちゃん。煙草なんか吸っちゃダメだよ?」
幼「ガキ扱いも好かぬぞえ?」
男「お前はどう扱われたいんだよ」
幼「恋人かのう?」
男「えっ!?」
幼「クククッ冗談よ。真に受けるでないわ」
男「あー、また酒か」
幼「赤霧島を分けて貰ってのう」
男「未成年だと思ってわけたのか、成年してると知って分けたのか、気になるな」
幼「よいではないか。こい、酌をしてやろう」
男「サンキュ。幻の焼酎、味が気になってたところだ」
幼「旨いぞ。頬が落ちるほどにの」
男「そんな旨い焼酎を飲むのに煙草は邪道じゃないか?」
幼「最高の酒に、最高の煙草。よいではないか」
男「で、その葉巻はいくらした」
幼「一本、4000円だったかのう?」
男「たけえよ!」
幼「赤霧島を分けて貰ってのう」
男「未成年だと思ってわけたのか、成年してると知って分けたのか、気になるな」
幼「よいではないか。こい、酌をしてやろう」
男「サンキュ。幻の焼酎、味が気になってたところだ」
幼「旨いぞ。頬が落ちるほどにの」
男「そんな旨い焼酎を飲むのに煙草は邪道じゃないか?」
幼「最高の酒に、最高の煙草。よいではないか」
男「で、その葉巻はいくらした」
幼「一本、4000円だったかのう?」
男「たけえよ!」
幼「向日葵が綺麗じゃのう」
男「もうそんな季節か。小さい頃はよく背を比べたな」
幼「そうだのう。昨日まで肩の高さだったというに、次の日には追い抜かされたりのう」
男「あとは水切りとか、トンボ捕まえたりとかな」
幼「おなごはそういった遊びはせぬぞ?」
男「お前は小さい頃、どんな遊びしたよ? 今でも小さいけどさ」
幼「撃墜された戦闘機の防風硝子を木に擦ると良い匂いがしてのう」
男「戦時中!?」
幼「冗談じゃ。流石にそこまで老いてはおらん」
男「もうそんな季節か。小さい頃はよく背を比べたな」
幼「そうだのう。昨日まで肩の高さだったというに、次の日には追い抜かされたりのう」
男「あとは水切りとか、トンボ捕まえたりとかな」
幼「おなごはそういった遊びはせぬぞ?」
男「お前は小さい頃、どんな遊びしたよ? 今でも小さいけどさ」
幼「撃墜された戦闘機の防風硝子を木に擦ると良い匂いがしてのう」
男「戦時中!?」
幼「冗談じゃ。流石にそこまで老いてはおらん」
男「なにその銀色のキセル」
幼「銀色ではない、純銀のキセルじゃ」
男「また高そうなアイテム使いやがって」
幼「高いとはいえ、4万ほどだのう」
男「お前のその豊潤な資金源はどこから出てくるんだ?」
幼「なに、この容姿を使えばの」
男「美人局?」
幼「阿呆、お主はワシを何だと思っておる?」
男「いや、今回はお前が何でもありなのが悪い」
幼「はて? 何のことだかわかりゃせぬ」
男「こいつっ……」
幼「銀色ではない、純銀のキセルじゃ」
男「また高そうなアイテム使いやがって」
幼「高いとはいえ、4万ほどだのう」
男「お前のその豊潤な資金源はどこから出てくるんだ?」
幼「なに、この容姿を使えばの」
男「美人局?」
幼「阿呆、お主はワシを何だと思っておる?」
男「いや、今回はお前が何でもありなのが悪い」
幼「はて? 何のことだかわかりゃせぬ」
男「こいつっ……」
>>18
後日談
http://loda.jp/mitemite/?id=267
男「というか、その絹の和服も高そうだ」
幼「彼岸花の刺繍がなくてのう。"おーだーめいど"じゃ」
男「ああ、値段は聞かない。絶対に心臓に悪いわ」
後日談
http://loda.jp/mitemite/?id=267
男「というか、その絹の和服も高そうだ」
幼「彼岸花の刺繍がなくてのう。"おーだーめいど"じゃ」
男「ああ、値段は聞かない。絶対に心臓に悪いわ」
幼「台風が来るそうじゃ」
男「あー、ニュースでやってたな」
幼「うむ。いや、もう来とるのう」
男「げ、ホントだ。凄い雨。今日は泊まっていく?」
幼「クククッ添い寝をしてやろうかえ?」
男「バカいうな。ソファで寝るわ」
幼「お主もつまらぬ男よのう」
男「生憎、ロリコンじゃあなくてね」
男「と言う会話をしたと記憶しているんだがな」
幼「はて? なんのことか、わからぬの」
男「袖離せ」
幼「添い寝をしてやるというとるに」
男「お前が怖いだけだろうが!」
男「あー、ニュースでやってたな」
幼「うむ。いや、もう来とるのう」
男「げ、ホントだ。凄い雨。今日は泊まっていく?」
幼「クククッ添い寝をしてやろうかえ?」
男「バカいうな。ソファで寝るわ」
幼「お主もつまらぬ男よのう」
男「生憎、ロリコンじゃあなくてね」
男「と言う会話をしたと記憶しているんだがな」
幼「はて? なんのことか、わからぬの」
男「袖離せ」
幼「添い寝をしてやるというとるに」
男「お前が怖いだけだろうが!」
幼「お主は結婚する相手はおらんのかのう」
男「貧乏神が取り付いててな。ロリコン疑惑が晴れないんだよ」
幼「ほう、悪い奴もいたもんじゃ」
男「そういうお前はどうなんだ?」
幼「ワシが結婚できるような歳に見えるかえ?」
男「見た目はまったく見えないな」
幼「おなごを年増にするとは、酷い奴よのう。結婚相手も見つからないわけじゃ」
男「煙草咥えてる奴が結婚出来ない年齢なわけないだろう」
幼「クククッ売れ残ったら貰ってやろう」
男「結婚するなら、まず禁煙な」
幼「どうやら、ワシらは結ばれない仲らしいのう」
男「ああ、煙草と夫で、煙草選ぶ奴とは結婚したくないな」
男「貧乏神が取り付いててな。ロリコン疑惑が晴れないんだよ」
幼「ほう、悪い奴もいたもんじゃ」
男「そういうお前はどうなんだ?」
幼「ワシが結婚できるような歳に見えるかえ?」
男「見た目はまったく見えないな」
幼「おなごを年増にするとは、酷い奴よのう。結婚相手も見つからないわけじゃ」
男「煙草咥えてる奴が結婚出来ない年齢なわけないだろう」
幼「クククッ売れ残ったら貰ってやろう」
男「結婚するなら、まず禁煙な」
幼「どうやら、ワシらは結ばれない仲らしいのう」
男「ああ、煙草と夫で、煙草選ぶ奴とは結婚したくないな」
幼「お主、随分と背が高いのう」
男「お前は随分と背が低いな」
幼「成長期の今、煙草を吸っておるからの」
男「ああ、まだ成長期だったんだ。びっくりだ」
幼「ワシもこの歳で成長期を迎えるとはおもわなんだ。お主、身長は何フィートくらいかのう?」
男「え? まず、フィートの単位がわからん」
幼「分からぬか、ならば何寸くらいかえ?」
男「寸……えーっとちょっと待て」
幼「自分の身長もすぐに言えぬとは」
男「大体59寸くらいだ」
幼「ほう、ところで、一寸は何"せんち"なのじゃ?」
男「てめぇ、殴ってやろうか?」
幼「何事も暴力で解決するのはよくないぞえ」
男「お前は随分と背が低いな」
幼「成長期の今、煙草を吸っておるからの」
男「ああ、まだ成長期だったんだ。びっくりだ」
幼「ワシもこの歳で成長期を迎えるとはおもわなんだ。お主、身長は何フィートくらいかのう?」
男「え? まず、フィートの単位がわからん」
幼「分からぬか、ならば何寸くらいかえ?」
男「寸……えーっとちょっと待て」
幼「自分の身長もすぐに言えぬとは」
男「大体59寸くらいだ」
幼「ほう、ところで、一寸は何"せんち"なのじゃ?」
男「てめぇ、殴ってやろうか?」
幼「何事も暴力で解決するのはよくないぞえ」
男「お前の煙草に常喫銘柄はないのか」
幼「あるぞ? ピース、小粋、Black XX、ロミオ・イ・ジュリエッタ、リンボーシェペリク……」
男「多いよ。浮気性め」
幼「紙巻にキセル、パイプ、葉巻に手巻き煙草とどれも嗜み方が違うのでの」
男「リンボーシェペリクっての、貰っていい?」
幼「口に合わんと思うがよいぞ」
男「どんと缶ごと置かれてもな」
幼「手巻きは初めてかえ? ワシが巻いてやろう。どれくらい強い方が良いかの?」
男「んー10mgくらいがいいや。フィルターも付けてくれ」
幼「ふむ。硬くもなく、緩くもなくかの。ほれ」
男「道具も使わず、随分と器用だな。サンキュ……なんだ? これ、凄い臭いんだが。うえっ」
幼「ペリクは初めてかえ? この香りと酸味が旨いのだがのう。若造め」
男「これは歳関係ないだろ……」
幼「幼いワシは好きだしのう」
男「だから、いくつなんだよお前は!」
幼「あるぞ? ピース、小粋、Black XX、ロミオ・イ・ジュリエッタ、リンボーシェペリク……」
男「多いよ。浮気性め」
幼「紙巻にキセル、パイプ、葉巻に手巻き煙草とどれも嗜み方が違うのでの」
男「リンボーシェペリクっての、貰っていい?」
幼「口に合わんと思うがよいぞ」
男「どんと缶ごと置かれてもな」
幼「手巻きは初めてかえ? ワシが巻いてやろう。どれくらい強い方が良いかの?」
男「んー10mgくらいがいいや。フィルターも付けてくれ」
幼「ふむ。硬くもなく、緩くもなくかの。ほれ」
男「道具も使わず、随分と器用だな。サンキュ……なんだ? これ、凄い臭いんだが。うえっ」
幼「ペリクは初めてかえ? この香りと酸味が旨いのだがのう。若造め」
男「これは歳関係ないだろ……」
幼「幼いワシは好きだしのう」
男「だから、いくつなんだよお前は!」
>>36
後日談
男「ペリクとは?」
幼「ペリクとは、黒煙草とも言って発酵させた煙草葉のことじゃ。
葉をオーク樽に詰めプレスし、数ヶ月発酵させる煙草でのう。ゆえに独特の堆肥臭がするのじゃ。
発酵により、葉が黒くなるため、黒煙草。まあ、煙草の漬物じゃな」
男「漬物。道理で酸味があるわけか」
後日談
男「ペリクとは?」
幼「ペリクとは、黒煙草とも言って発酵させた煙草葉のことじゃ。
葉をオーク樽に詰めプレスし、数ヶ月発酵させる煙草でのう。ゆえに独特の堆肥臭がするのじゃ。
発酵により、葉が黒くなるため、黒煙草。まあ、煙草の漬物じゃな」
男「漬物。道理で酸味があるわけか」
男「葉巻ってやっぱり特別な葉を使ってたりするのか?」
幼「シガーリーフというて、品種が違うのう。ハバナ葉が有名じゃ。あとはマニラ、スマトラ」
男「いくつかあるもんなのか」
幼「どれも貴重でのう。どうにも値が張る。現地まで買い付けに行っても高いじゃろう」
男「全部地名?」
幼「そうじゃのう。紙巻やパイプに使うヴァージニア、バーレー、ケンタッキーも地名じゃ」
男「なんで、そうすらすらと出てくるかねえ?」
幼「子供は物覚えが早いからのう」
男「お前はそんな歳でもあるまいに」
幼「ワシはいつ大人になったのじゃ?」
男「で、いつお前は自分の歳いうの?」
幼「ふむ、そろそろからかうのも飽きたのう」
幼「シガーリーフというて、品種が違うのう。ハバナ葉が有名じゃ。あとはマニラ、スマトラ」
男「いくつかあるもんなのか」
幼「どれも貴重でのう。どうにも値が張る。現地まで買い付けに行っても高いじゃろう」
男「全部地名?」
幼「そうじゃのう。紙巻やパイプに使うヴァージニア、バーレー、ケンタッキーも地名じゃ」
男「なんで、そうすらすらと出てくるかねえ?」
幼「子供は物覚えが早いからのう」
男「お前はそんな歳でもあるまいに」
幼「ワシはいつ大人になったのじゃ?」
男「で、いつお前は自分の歳いうの?」
幼「ふむ、そろそろからかうのも飽きたのう」
男「よう」
幼「ん」
男「相変わらず似合わねぇな、煙草」
幼「うるさい」
男「横、座んぞ」
幼「ん」
男「…………」
幼「…………」
男「平和だねぇ」
幼「ん」
幼「ん」
男「相変わらず似合わねぇな、煙草」
幼「うるさい」
男「横、座んぞ」
幼「ん」
男「…………」
幼「…………」
男「平和だねぇ」
幼「ん」
男「最近どうよ」
幼「しかけんしんがあった」
男「歯科……お前、歯の裏真っ黒いよな?」
幼「もっとちゃんとみがけっていわれた」
男「えぇ、それで済んだのかよ」
幼「ん」
男「まぁ普通、こんなガキが煙草吸ってるとは思わねぇか」
幼「ガキっていうな」
男「はいはい。つか、今からそんな歯じゃ将来やべぇぞ?」
幼「だいじょうぶ。はん分くらいは、はえかわるから」
男「そういや乳歯でしたね」
幼「しかけんしんがあった」
男「歯科……お前、歯の裏真っ黒いよな?」
幼「もっとちゃんとみがけっていわれた」
男「えぇ、それで済んだのかよ」
幼「ん」
男「まぁ普通、こんなガキが煙草吸ってるとは思わねぇか」
幼「ガキっていうな」
男「はいはい。つか、今からそんな歯じゃ将来やべぇぞ?」
幼「だいじょうぶ。はん分くらいは、はえかわるから」
男「そういや乳歯でしたね」
男「っつうかさ」
幼「ん?」
男「匂いで煙草バレね? 学校とか」
幼「だいじょうぶ」
男「そうなのか」
幼「たんにん、おとこの先生だもん」
男「?」
幼「ロリコンあつかいされないようにひっし。女子のにおいのはなしなんてできない」
男「……こうして日本の教育は腐っていくんだなぁ」
幼「ん?」
男「匂いで煙草バレね? 学校とか」
幼「だいじょうぶ」
男「そうなのか」
幼「たんにん、おとこの先生だもん」
男「?」
幼「ロリコンあつかいされないようにひっし。女子のにおいのはなしなんてできない」
男「……こうして日本の教育は腐っていくんだなぁ」
男「おー、今日も吸ってんな」
幼「なにそれ。あいさつ?」
男「じゃあ、こんなんでどうだ。――こんにちは、可愛いお嬢さん」
幼「きもい」
男「…………」
幼「へんたいっぽい」
男「うっせ、このガキ。じゃあ、なんつったらいいんだよ」
幼「ガキっていうな」
男「ガキガキガキガキ」
幼「……そっちが子どもみたい」
男「うっせ」
幼「……ガスきれた。火もってない?」
男「ほれ」
幼「ん」
幼「なにそれ。あいさつ?」
男「じゃあ、こんなんでどうだ。――こんにちは、可愛いお嬢さん」
幼「きもい」
男「…………」
幼「へんたいっぽい」
男「うっせ、このガキ。じゃあ、なんつったらいいんだよ」
幼「ガキっていうな」
男「ガキガキガキガキ」
幼「……そっちが子どもみたい」
男「うっせ」
幼「……ガスきれた。火もってない?」
男「ほれ」
幼「ん」
幼「きのう、えいがみた」
男「へぇ、何観た?」
幼「ころしやのえいが。さいしょに女の子がたばこすってた」
男「それなんだっけ……あー、レオンか」
幼「ん」
男「どうだったよ」
幼「おもしろかった。かっこいい。
ああいうのやってみたい」
男「分かるわ。……しかし、現実には、そうそう波乱は起こらねぇなぁ」
幼「わたしもまい日かくれて、たばこすってるのに」
男「生憎、お前の横には、真っ当な社会人しかいないなぁ」
幼「つまんない」
男「同感だわ」
男「へぇ、何観た?」
幼「ころしやのえいが。さいしょに女の子がたばこすってた」
男「それなんだっけ……あー、レオンか」
幼「ん」
男「どうだったよ」
幼「おもしろかった。かっこいい。
ああいうのやってみたい」
男「分かるわ。……しかし、現実には、そうそう波乱は起こらねぇなぁ」
幼「わたしもまい日かくれて、たばこすってるのに」
男「生憎、お前の横には、真っ当な社会人しかいないなぁ」
幼「つまんない」
男「同感だわ」
男「悩んでいるようだが、どうした?」
幼「うむ。パイプ用にブレンド中でのう」
男「ブレンド? 自家製ブレンドか」
幼「べースのヴァージニアは5割程度として、ラタキアは2割必要かのう?」
男「俺に言われてもな」
幼「残りをケンタッキーの強さにするか、それともオリエントの香りに頼るか……」
男「ビンをごろごろと散らかすのはいいが、後片付けもしろよ?」
幼「子供扱いするでない」
男「痴呆の老人扱いだよ」
幼「クククッお主も言うようになったのう。火を貸してくれ」
男「マッチでいいか?」
幼「慣れたのう」
男「付き合いも長いしな。お前は成長しないけど」
幼「うむ。パイプ用にブレンド中でのう」
男「ブレンド? 自家製ブレンドか」
幼「べースのヴァージニアは5割程度として、ラタキアは2割必要かのう?」
男「俺に言われてもな」
幼「残りをケンタッキーの強さにするか、それともオリエントの香りに頼るか……」
男「ビンをごろごろと散らかすのはいいが、後片付けもしろよ?」
幼「子供扱いするでない」
男「痴呆の老人扱いだよ」
幼「クククッお主も言うようになったのう。火を貸してくれ」
男「マッチでいいか?」
幼「慣れたのう」
男「付き合いも長いしな。お前は成長しないけど」
男「お前、煙草いつもどっから買ってくんの?」
幼「いろいろ」
男「たとえば?」
幼「あっちにファミマあるのしってる? そこのかどのたばこや」
男「あー、あの古い、変な品揃えの煙草屋か」
幼「みせばんがおばあちゃんのときは、おつかいっていうと、うってくれる」
男「人に嘘をついちゃいけません」
幼「……なんか先生みたい」
男「あのなぁ……」
幼「わかった。これからは、じはんきでかう」
男「taspoはどうすんだ?」
幼「ママのおさいふからかりる」
男「……いや、あのな?」
幼「いろいろ」
男「たとえば?」
幼「あっちにファミマあるのしってる? そこのかどのたばこや」
男「あー、あの古い、変な品揃えの煙草屋か」
幼「みせばんがおばあちゃんのときは、おつかいっていうと、うってくれる」
男「人に嘘をついちゃいけません」
幼「……なんか先生みたい」
男「あのなぁ……」
幼「わかった。これからは、じはんきでかう」
男「taspoはどうすんだ?」
幼「ママのおさいふからかりる」
男「……いや、あのな?」
男「よう」
幼「ん」
男「今日は吸ってないんだな。珍しい」
幼「……おこづかい」
男「ん?」
幼「なくなった」
男「子どもの小遣いで買うには高いか、煙草は」
幼「ん」
男「お前、こういうときはガキ扱いしても否定しないのな」
幼「…………」
男「……わかったよ。ほら、1本やる」
幼「ん」
幼「ん」
男「今日は吸ってないんだな。珍しい」
幼「……おこづかい」
男「ん?」
幼「なくなった」
男「子どもの小遣いで買うには高いか、煙草は」
幼「ん」
男「お前、こういうときはガキ扱いしても否定しないのな」
幼「…………」
男「……わかったよ。ほら、1本やる」
幼「ん」
男「ウィスキーはお好きですか?」
幼「ブランデーの方が好きだのう。あとは焼酎か」
男「せっかくシングルモルト買って来たのに」
幼「青臭い物は好かん。コニャックを分けてやろうか?」
男「成金趣味で嫌だね」
幼「お主の"じっぽー"も男臭いのう。オイル臭がそんなに好きかえ?」
男「ダンヒルのどこがいいんだか? 白い丸だけだろうが」
幼「機能美という言葉を知らぬ青二才め」
男「そもそも壊れやすぎるってえの」
幼「"じっぽー"のように荒く扱うからじゃ、粗忽者」
男「しかしお前、煙草のことはムキになるのな。やーいやーい」
幼「お主の餓鬼臭さと同レベルと思うと、涙が出るのう」
幼「ブランデーの方が好きだのう。あとは焼酎か」
男「せっかくシングルモルト買って来たのに」
幼「青臭い物は好かん。コニャックを分けてやろうか?」
男「成金趣味で嫌だね」
幼「お主の"じっぽー"も男臭いのう。オイル臭がそんなに好きかえ?」
男「ダンヒルのどこがいいんだか? 白い丸だけだろうが」
幼「機能美という言葉を知らぬ青二才め」
男「そもそも壊れやすぎるってえの」
幼「"じっぽー"のように荒く扱うからじゃ、粗忽者」
男「しかしお前、煙草のことはムキになるのな。やーいやーい」
幼「お主の餓鬼臭さと同レベルと思うと、涙が出るのう」
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