女「うー。結局煙草隠しやがってあの野郎」

女「奴も寝たし、熱も微熱まで下がったし、一本くらいいいだろう」

女「ごそごそ」

女「がさがさ」

女「……なんで、なんで予備の煙草がことごとくなくなっているのだっ！」

男「そこまでだ」

女「きゃん。やめて、常備灯まぶしい」

男「薬飲んだあとはなるべく煙草やめようね？　朝直ってたら吸っていいから、今日は我慢してくれ？」

男「お盆前後で仕事忙しいんでしょ？　直したいでしょ？」

女「それよりも、隠し煙草に至るまでことごとく回収されているのかが疑問なのですが」

男「そら判るよ。おまえ家事ぜんぶ俺任せじゃん」

女「ですよねー」

女「でもニコチンないと寝れません」

男「ただの寝過ぎなだけだよ。ニコチンの覚醒作用はけっこう凄いのよ。寝れなくてもいいから横になってドラクエのレベルでも上げてなさい」

女「寄越さないとセーラームーンの綿パンツ買うぞ」

男「どんな脅しだ。止めねえよ」

女「回復したので煙草寄越しやがりなさい」

男「お、ほんとだ。夜中に水枕替えた甲斐があったな」

女「夜這いしたのですね判ります。いいから煙草」

男「はい。十本入り。病み上がりなんだからそれで我慢してね」

女「了解。仕事行ってきます」

男「はいよ、無理せんでね」


女「くっくっく。どうやら金銭的余裕のない失業者には、タバコ屋で補充し放題という事実に頭が回らんと見える」

女「さっそく喫煙所でチェーンしたるわー」

女「そして早速煙草補充じゃー」

女「……」

女「あの野郎……TASPO抜きやがった……」


タバコ屋のおっちゃん「……どしたの？　嬢ちゃん」

女「う。いえ。やっぱりなんでもないです」

女（免許証があっても人の目が辛くて買いにくい……畜生）


男「おかえりー。風邪治った？」

女「……おかげさまで……ニコチン切れてふらふらします……」

女「……TASPO、かえして……」

男（このままTASPOシュレッダーしたら節煙してくんないかなー）

男（まあいいか）

男「しゅぼっ」

女「？」

男「たまには一緒に吸おうぜ。ともあれ完治おめでとう。はい、隠してたカートン」

女「……」

女「……ありがとう」

男「いえいえ」

一旦ネタ尽きたのでまた後日
感想多謝ー

いまいち

うおお、メッチャ伸びとるｗｗｗ

いいぞもっとやれ

女「あー、対策しても腋臭が残る……」

女「煙草って体臭にも関わるんだよなー。でもやめられないしなー。手術しとくかなー」

男「自分で気にするほど他人は感じてないもんだよ」

女　シュボ

女「そうは言ってもねえ。さらにヤニ臭いじゃん私」

男「ヤニ臭さ自体は萌えです」

女「なんだその新しいフェティシズム」

男「お前と付き合ってから急速に悪化した」

女「……いや、うれしいけど、やっぱおかしいだろそれ」

女「普通は良い香りする女に萌えるんじゃないの？」

男「煙草の匂いに父親の安心感を感じる女児の事例は普通にあるそうだ」

男「慣れを通り越して、常態になってしまっているケースだ」

男「これも嫌煙の潮流で薄れて来ているんだけどね。また、もちろん副流煙が常態になっている環境というのは子供によくない」

女「なんじゃ？　あんたの母親がヘビースモーカーで、それで安心するとかってマザコンオチか？」

男「おれの両親はまったく吸わない」

男「また、思春期には親に嫌悪感が生じる。このとき価値観は色んな形で捻曲がる。その過程で生まれるフェティシズムがロリスモーカー」

女「なんだその新ジャンル」

男「つまり、君だけを愛しているってことさ！」

女「……」

男「……」

女　フー「よろしい。続いて、お前がロリ系好みになった経緯を説明してもらおうか？」

男「しまったそうきたか」

男「でもおまえ自身きゃるーんやるじゃん」

女「おうきゃるーんぞ。ヘッドドレしゅをもてーい」

男「噛むあたり、まだ開き直れてないな」

女「忘れて下さい。お願いします」

女「というか理解できないのが、ロリコンって犯罪ですよ？」

男「黙れ成人」

女「私の可愛さは一旦置いとけ」

男「ヘッドドレスとマルボロメンソールライトをお持ちしました」

女　スチャ　シュボ

女「で、女性からすると、どう見ても子供な女に欲情するメカニズムがいまいち判らんのですよ」

女「あんたなら理屈の通った説明が思いつくんじゃないかなぁって思って聞いてる訳」

男「うむ。しばらく考えてみるのでしばらくランドセル背負ってくれ」

女　キュッ　ギュッ

女　フー「やっぱちょいキツいなぁ」

男「うーん。やっぱり答えは一つだなぁ」

女「おう、答えが出たか。遠慮するな、述べてみい」

男「ロリっていうかむしろ迷わずヘッドドレスとランドセル装備するお前が好きです」

女「……」スチャ

女「納得行かん。訴えてやる！」ばしーん

男「いや、ヘッドドレスでダチョウ倶楽部やられましても」

女「職場で後輩ができました。年下です。しかもかなりのロリ系です」

男「ふーん」

女「しかも頭撫でられました」

男「……ふぅむ。『かなりのロリ系』ごときではお前の相手ではなかったようだな」

女「いつまで年下気取れるか見物です」

男「伏せてんのかよｗｗｗ」

女「未成年採用なのに、早速同僚に飲みに誘われてました。しかも赴きやがったようです」

男「ん？　なんかジェラシー感じてるのかい」

女「いや私も誘われる事はあるけど、あんたがいる事は同僚はみんな知ってるからねえ。アプローチしてくる奴はいないわ」

女「あと、私がいると、飲み屋から許否られたり疑われたりするしね」

女「店員にビール頼む度に免許証添えるのも正直面倒だし」

男（ぴこーん）

男（今、こいつは『愚痴聞け』モードに入っている。『相談に乗ってよ』モードではない）

男（女性の面倒な部分だ。しかし居候の分際で家主の機嫌を損ねるのも筋違いであらふ）

男（この辺の判断を間違うと無意味に苛立たせる結果になる。さて、どう答えるか……）

男「ヘッドドレスお持ちしました」

女「きゃるーん」

男「ビール飲む？」

女「ありがとうございますご主人様」

男「……まあいいか」

女「どしたん？」

男「いや、いいんだ。うん」

男（……どうやら俺もこいつもおかしくなりつつある……）

姉「まあいいか！」

男「？」

女「？　あ、なんだテレビか」

男「そうか」

姉どこにでも現れるなｗｗｗｗｗ

TVデビューしたｗｗ

まぜるなw

しかしどんだけロリなんだこの合法ロリ

しれっと再開

男「……なぁ」

幼「ん？」

男「……何がどうなって、お前今、俺の部屋にいるんだっけ？」

幼「さいきんいつものばしょにホームレスがすみついたから」

男「あー、うん、それはそうなんだけどさ。それでなんで俺の部屋？」

幼「ほかにすえるばしょないから」

男「いや、うん、そうですね。そうでしたね」

幼「ぼけた？」

男「この現実を認めたくないだけです……。
　　……なんか、前よりすっげぇ危険度増した気がしてならねぇわ。煙草以外の意味で」

幼「すうまえに、へやの中みていい？」

男「いいから早くベランダ行け」

幼「えー」

幼「はいざらある？」

男「そこら辺にあるだろ」

幼「――あ、これ」

男「ん？　おう、お前に貰った灰皿な。大事に使ってんぞ」

幼「ふーん」

男「……なんだよ」

幼「べつに」

幼「あれやってみたい」

男「どれやってみたい」

幼「はいざらに、すいがらをはりねずみみたくたくさんさすの」

男「あー、あれか。お前のペースじゃどんくらいかかるんだよ」

幼「はいざら１こかして。あげたのじゃないの」

男「はいはい。こいつなら今使ってないから好きにしろ」

幼「ん」

男「で、それどうすんだ？」

幼「これわたしのね。とっといて」

男「え、あの、すいません。
　　一応確認するけど、もしかして、完成までウチに通うつもりですか？」

幼「ん」

男「おおおおい、「ん」じゃねぇー」

ホタル族という言葉を思い出した
なんという良ホタル

幼「Wiiあるんだ」

男「やるか？」

幼「ん」

　　　　　◇

幼「……たばこすいたい」

男「吸いながらゲーム禁止な。吸うなら外」

幼「…………」

男「おい、コントローラー持ってくな」

幼「DSないの？」

男「そこまでして煙草とゲームを両立したいかお前は」

幼「ないの？」

男「あるけどさぁ……あー、ほれ、あそこだ」

幼「そとじゃん」

男「昨日やって、そのまま忘れてた。
　　……まぁ、ぶっちゃけ、俺もお前と同じこと考えてたわけで」

幼「…………」

男「…………」

幼「ん」

男「お前それタッチペン。煙草じゃないぞ」

幼「うるさい。わかってる」

男「嘘つけ。お前今思いっ切りくわえてただろ」

幼「うるさい。まちがえただけ」

　　　　　◇

男「あ、ばか、ストップ！」

幼「ん？」

男「ペンくわえるならまだいいが、
　　自然な動作で画面に根性焼きしようとするのは勘弁してくれ」

幼「ん」

幼「…………」

男「…………」

幼「……タッチペンとたばこ、まちがえたことない？」

男「ははは、何を馬鹿な。そんなお前じゃあるまいし」

幼「ほんとに？」

男「…………」

幼「…………」

男「すいません、くわえたことあります」

幼「よしよし」

男「立場全く同じはずなのに、何この敗北感……」

幼「おとななのにまちがえたから」

男「このお子様めぇ」

幼「お子様っていうな」

男「じゃあどっち扱いしたらいいんすか……」

男「……ちょっと帰りが遅くなったと思えばこれだ。
　　人んち前で体育座りはマジ勘弁してくんね？」

幼「いいから、はやくいれて。がまんできない」

男「なんか不穏に聞こえる発言も禁止。マジ禁止」

幼「いみわかんない」

男「ご近所に変質者と間違われて通報されたらどうすんだよ……」

幼「たばこすってるだけって、せつめいすれば」

男「それもアウトだと何度言えば」

幼「あ、あめ」

男「ホントだ。天気予報外れたな」

幼「あめでもたばこすえるの、いいね」

男「別に普通だろ」

幼「まえのところだと、だめだった」

男「まぁそりゃなぁ」

幼「それに、あめでかえらなくてもいいの、いい」

男「そうれはそうだけど、どっちにしてももうちょいしたら時間だし、帰れよ？」

幼「おに。しね」

男「うわ、なんか罵声のバリエーション増えた」

男「くそ、また負けた」

幼「かったからもう１本」

男「ほれ」

幼「ん」

男「お前、スマブラ強えぇなぁ」

幼「そっちがよわすぎ」

男「なんだとコノヤロウ。もういっぺん勝負だ」

幼「たばこのこってる？」

男「あ、ないわ」

幼「じゃあだめ」

男「くそぉ」

幼「しょうりのいっぷくしてくる」

男「くっそぉ」

幼「おこずかいふえた」

男「おめでとう」

幼「ん」

男「でも、どうせ煙草に消えるんだろ？」

幼「ん」

男「親の苦労は報われねぇなぁ……」

男「お」

幼「あ、ねこ」

男「久し振りだなぁ、こいつ」

幼「しってるの？」

男「この辺の野良。前はたまーに来てた。結構人懐っこいぞ。
　　――あ、灰皿よこせ。そいつ、吸い殻かじるんだよ」

幼「たばこのにおい、へいきなの？」

男「全然平気みたいだな」

幼「へぇ」

男「なでてみるか？」

幼「ん。おいで」

男「お、膝に乗った乗った」

幼「うわー……んー」

男「おぉぉ、お前の顔がそこまで緩むのは初めて見た」

幼「……やきもち？」

男「お前のそういうとこ、ほんっと可愛くねぇよなぁ……」

幼「あ、いっちゃった」

男「どうせまた来るだろ。ま、気ままなのが猫のいいとこだな」

幼「こんど、えさかってこようよ」

男「野良に餌やるのは感心しねぇなぁ。それにウチじゃ飼えねぇし」

幼「……つったさかなにえさはあげないタイプ？」

男「何の話だ」

幼「べつに」

男「あー、目の前のでかい野良――いや、通い猫か？
　　とにかくそいつには餌やってるけどな」

幼「？」

男「お前のことだよ」

幼「えさって？」

男「煙草、あと、おやつ」

幼「んー」

男「不満がおありですか」

幼「あるかも」

男「えぇー。じゃ、もうあげね」

幼「やだ。１本よこせ」

男「はいはい。ほれ」

幼「火も」

男「……そのわがまま振り、ホントに猫そっくりだよお前は」

幼「んー」

男「あー」

幼「こたついいね」

男「いいなぁ」

幼「みかんも」

男「日本の心だなぁ」

幼「たばこも」

男「はい外ー」

幼「……ぶー」

男「ぶーたれても駄目ー。つか何そのキャラ。きもい」

幼「うるさい。けち。しね」

男「あ、こら、こたつん中で蹴るな」

男「コーヒー入れてきた」

幼「コーヒーやだ。にがい」

男「お前にはココア」

幼「ん」

男「やっぱ外さみーな」

幼「ん」

　　　　　◇

男「あ、くそ」

幼「ん？」

男「間違えてカップに灰落とした……」

幼「ぷ。ばかだ」

男「うっせ。お前もいつかやるぞ」

幼「やらない」

男「――ってお前それカップ……あー、言ってるそばから」

幼「…………」

男「…………」

幼「ばかなこというから、こんらんした」

男「それはないわ。自爆自爆」

幼「もういいかな」

男「見た感じ、余裕ではりねずみだな。灰皿」

幼「ん」

男「これで目的は果たしたな――って、おい、何早速ゴミ袋に捨ててんだ」

幼「もういっかい」

男「……は？」

幼「もういっかい」

男「どういうこと？」

幼「あしたもくるから」

男「ええと、その……そうですか」

幼「ん」

幼「たばこきれた」

男「奇遇だな。俺も今、俺の煙草がお前の口元でなくなるのを目撃したところだ」

幼「かいにいく？」

男「皮肉はスルーか。つか、寒い。外出るのめんどい」

幼「だらしない」

男「大人は寒さに弱いのです。我慢しろ」

幼「やだ。くちさみしい」

男「お前それ言いたいだけじゃね？　あー、そこのタッチペンなら噛んでいいぞ」

幼「おに。しね」

男「あー、罵られたら余計行く気なくしちゃったなぁ」

幼「…………」

男「…………」

幼「……キスする？」

男「おっま、なんでそうなんの……」

幼「たばこのにおいするから」

男「煙と全然違うだろ。ていうか、そういうことを簡単に言うんじゃありません」

幼「なんで？　もうまえに１かいしたくせ――」

男「ぃよおおぉぉし！　それ以上言うなぁー！
　　さぁ煙草買いに行こうかぁぁぁぁー！」

幼「ふふ。ん。いこ」

この小悪魔めっ！www

男「お前、またリップつけてんのか」

幼「ん」

男「正直、ピンクの色付いた煙草が灰皿にあると、
　　彼女に要らん誤解受けるんだけど……」

幼「いないくせに」

男「いや、今後できた時の話とかさぁ」

幼「いまはいいじゃん」

男「とりあえず、捨て……」

幼「だめ」

男「えぇぇー」

幼「あ、さくら」

男「いいだろ、ベランダから見えるんだよ。ウチ」

幼「ん」

男「咲き誇る桜の花に、旨いメシと酒、そして、春のそよ風に薫る煙草。最高だろ」

幼「きもい」

男「浪漫の分からん奴だなぁ」

幼「うるさい。きもい。１ぱいちょうだい」

男「お前は甘酒な」

幼「…………」

男「上目遣いに睨んでも駄目」

幼「もういい、さくらみてるから」

男「おい、下に人多いんだから煙草くわえたまま顔出すな」

幼「つまんない」

男「お前な、バレて困るのは自分……いや、俺だなどっちかっていえば。
　　ていうか、そんな身を乗り出すな、危ないから」

幼「…………」

男「…………」

幼「……みたい」

男「吸い終わったらな。したら、持ち上げてやるから」

幼「ん」

男「……お前、飲んだな？　人が目ぇ離した隙に」

幼「……んぅ」

男「あぁ馬鹿。そんなにチェーンで吸うな。何本連続だよ。
　　つうか、どんだけ飲んだんだよ。マジ吐くぞ」

幼「られがばから。このへんらい」

男「日本語喋ってくんね？」

幼「あは、ちゅうしれやる」

男「馬ッ鹿お前、煙草くわえた顔近づけんな！」

幼「いつもろころじゃん」

男「全然いつもじゃないわ！　うお、馬鹿、灰落ちる落ちる」

幼「ばかばかいうらぁ。ばかぁ」

男「誰かこいつ止めてくれぇ」

幼「……きもいわるい」

男「ほら来たァ！　トイレ行けトイレ！」

幼「んうぅぇぇ」

男「うわあぁぁぁぁ！」

幼「…………」

男「…………」

幼「…………」

男「…………」

幼「ごめんなさい」

男「分かればよろしい」

幼「つぎから、はかないくらいにおさえる」

男「もうお前、罰として１週間煙草抜きな」

男「…………」

幼「…………」

男「…………」

幼「…………」

男「タッチペンがボロボロに……」

幼「あと、みっか？」

男「緊急的超法規的措置適用により煙草抜き週間を今この場で終了します」

幼「はがぐらぐらする」

男「生え替わりか。煙草は……止めた方が良いんだろうな」

幼「えー」

男「「えー」じゃない」

幼「ほんとに？　ちゃんとしらべて」

男「そんな情報ないだろー……。
　　乳歯の生え替わり時期に煙草吸うガキなんて、普通存在しないのが社会の常識です」

幼「ガキっていうな」

男「知るか。つうか、気にするトコなんでそこなんだよ」

幼「たばこすいたい」

男「駄目ー」

幼「はぐきがむずむずする」

男「タッチペンは噛むなよ。箸も禁止」

幼「くちさみしい」

男「そんなん言われても」

幼「ゆび、くわえる」

男「なんでだよ。しかも俺のかよ」

幼「じぶんのじゃやだ。こどもみたい」

男「えええー」

幼「んむ」

男「だからくわえるな」

幼「ちゅぅ」

男「さらに吸うな」

男「…………」

幼「…………」

男「なぁ」

幼「ん」

男「アイスか煙草かどっちかにしね？」

幼「やだ」

男「あーもー、口の周りべたべたじゃねぇか、ほら拭いてやるからこっち向け」

幼「んむぐぅ」

投下来てる！
元気だなー
またかわいいなー

男「早く脱げ」

幼「やだ」

男「脱ぎなさい」

幼「へんたい。しね」

男「……知ってるか？
　　煙草を水に溶かして、そのニコチンをズボンにふりかけると、ヘビ避けになるんだと。
　　ジャングルのサバイバル術らしい」

幼「それが？」

男「ただし、そのズボンはすっげぇ臭くなるらしい」

幼「…………」

男「聞こえたか？　そこの傘無しずぶ濡れ子」

幼「…………」

男「黒い服だから染みは目立たないだろうけど、臭いのは嫌だろ。
　　――洗濯してくな？」

幼「ん」

男「わかったら早く脱げ。はい、ばんざーい」

幼「じぶんでできる。へんたい」

　　　　　◇

幼「…………」

男「…………」

幼「ぬれてるとボタンむりだった」

男「やっぱ駄目じゃねぇか。
　　……はいはい。脱がしますよ」

幼「はやくしろへんたい」

男「お前ごと洗濯機に放り込んでやろうか」

男「風呂上がったか？」

幼「ん」

男「服は洗い終わったら速攻ドライヤーで乾かすけど、それまでタオル一丁も難だろ。
　　とりあえずこれ着てろ」

幼「ん。
　　…………」

男「……どうした？」

幼「このシャツ、たばこくさい」

男「あー、それ干してる時にベランダで一服したからかも。
　　別のにするか？」

幼「……いい、これで」

男「あっそ」

幼「…………」

男「…………」

幼「……ん」

男「いつまでも抱えてないで、早く着ろよ」

幼「うるさい。あっちむけ、へんたい」

男「おいおい、一人でできんのか？」

幼「かんたん」

男「はいはい。じゃ、お任せします。
　　ガキにできるならな――って、痛てっ！　お前背後からは卑怯……！」

幼「うるさい、ガキっていうな」

男「痛てっ！　だからって何度も蹴るな、この……！」

幼「――あ」

男「あ……？」

幼「…………」

男「このクソ真夏の湿度100％の日に、ドライヤーフル稼働でお前の髪を乾かし、
　　そんでさらに今は、服まで乾かしてるんですけど」

幼「…………」

男「なんでお前は、余裕の一服してんだ」

幼「…………」

男「…………」

幼「…………」

男「……自分で乾かすとか、そういう気持ちは……」

幼「……だまれ」

男「……ちょっと見られたくらいで、キレるこたねぇだろ」

幼「……！」

男「うわ、こら！　物投げんじゃねぇ！」

幼「うるさいへんたい。はやくかわかせへんたい」

男「はいはいはいはい」

幼「…………」

男「…………」

幼「…………」

男「……そろそろ、機嫌直してくんね？」

幼「せきにんとれ」

男「責任って……どうすりゃいいのよ」

幼「……１本よこせ」

男「やっす。
　　――おぁ痛った！」

幼「……やっぱり１箱よこせ」

男「やっぱり安いぞ」

幼「…………」

男「…………」

幼「……１カートン」

男「お前の価値基準って煙草しかねぇの？」

幼「なんか、かごない？」

男「どれっくらいのよ」

幼「小さくていい」

男「これくらいでどうだ」

幼「ん。ちょっと大きい」

男「これより小さいのはねぇなぁ」

幼「……じゃ、あとで100えんショップいこ」

男「買うのか。つか、何につかうんだ？」

幼「わたしのたばこいれ」

男「おい、俺んちに置いとく気満々か」

幼「ん」

男「まぁ、誰かに見つかる危険性はなくなるだろうけど……それはそれで不便じゃね？」

幼「どうせここでしかすわない」

男「あー」

幼「…………」

男「……え、おま、どしたよ？」

幼「…………」

男「とりあえず入れ。つうか部屋の前で泣くなよぉ」

幼「……ん。ごめんね」

男「どうしたよ」

幼「……ごめん」

男「ごめんじゃ分かんねって。怒らないから言ってみ？」

幼「……ライター、また、なくしちゃった」

男「ライター？」

幼「きょう、かえりにたばこかったときは、もうなくなってた」

男「……はァ？　何言ってんのお前？」

幼「え？」

男「いや、お前のライターだろ？　昨日カゴの中に置いてっただろうが」

幼「…………」

男「…………」

幼「――あ」

男「うわ、素かよ」

幼「え、ちがう、おぼえてた……」

男「…………」

幼「ホントにおぼえてたから！」

男「うーわー。何こいつマジ可愛いんですけどー！」

幼「んっ、はなせ、ばか！　へんたい！　ばかぁ！　しね！」

幼「ん」

男「お前も一服か？」

幼「ん」

男「おーい、どこに座ってやがる。そういうボケはいいから」

幼「べつにいいじゃん」

男「膝の上に乗られると、俺が煙草吸いづれねぇの」

幼「わたしがすわせてあげる」

男「ないわー」

幼「はい」

男「…………。
　　やっぱ体勢無茶すぎ。つうかやっぱ吸いにくすぎ」

幼「…………」

男「…………」

幼「じんこうこきゅう」

男「は？」

幼「ああいうかんじですったら、たばこのけむり、どんなあじかな」

男「なにそのぶっ飛んだ発想。ついに自力で吸うのも億劫になりましたか。
　　まぁ、普通に人が吐いた煙と変わんねぇだろ、味、多分。つうか普通にむせそう」

幼「…………」

男「…………」

幼「…………」

男「たーめーしーまーせーんー」

幼「……まだなにもいってない」

男「でも言う気だっただろ」

幼「…………」

男「やっぱな。流石にもう読めるわ」

幼「ふーん」

幼「……ねぇ」

男「…………」

幼「……ねちゃったの？」

男「…………」

幼「……おきないと――」

男「…………」

幼「…………。
　　ん――」

男「……んがっ」

幼「！」

男「……んんー」

幼「…………」

　　　　　◇

男「……なぁ」

幼「ん」

男「……いたずらにしてもこれはひどくね？」

幼「かってにねるのがわるい」

男「寝てる人の鼻の穴に煙草を挿すのは、女の子としてどうかと思うわ」

幼「うるさい。おきろ」

男「はいはい。つうか、お前これ責任持って吸えよな」

幼「やだ。きたない」

男「俺だって嫌だわ。ほら、くわえれ」

幼「やだ。ばか。へんたい」

男「うっせ、うっせ――おあ、痛って！　鼻パンチはひどすぎね!?」