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元スレエリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」
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エリカ「……しかしまあ……」
エリカ「こうしてみると、普段の厳格な黒森峰戦車道チームの面影はないわね……」
小梅「普通の女子高生だもんね」
小梅「戦車道以外の遊びだってするし、こうしてお喋りに興じたりもするんだよ」
小梅「名門だって、マリオカートに夢中でミーティングをサボっちゃったりするんだよ」
エリカ「するんだよ、じゃあないわよそれは」
エリカ「……何か調子狂うわねえ」
小梅「逸見さんは、戦車を降りても“黒森峰戦車道チーム”って感じだもんねえ」
エリカ「当然よ」
エリカ「私にとっては――それが全てなんだから」
小梅「……そっか」
エリカ「なによ?」
小梅「ううん」
小梅「やっぱり逸見さんは凄いよな~って」
エリカ「何よソレ」
小梅「私も、戦車道は、相当好きな自信があったんだよ」
小梅「……あんなことになっても、辞められなかったくらいだしね」
小梅「私にとって、戦車道は人生のほとんどだったけど……」
小梅「逸見さんにとっては、きっと全てなんだね」
エリカ「……当然でしょ」
小梅「それを当然と言えちゃうのが、逸見さんの凄さなんだよ」
逸見車装填手「うん。おかげでちょっと近寄りがたいと思ってたけど」
エリカ「はあ?」
どどめ色星「常にピリピリしてたしー」
逸見車通信手「こうして一緒にファミレス来る日が来るなんて、夢にも思わなかったもん」
エリカ「そんな大げさな」
黒星「正直一生友達になれないと思ってた……」
直下「関わると面倒くさそうだなーって」
白星「意識の高い隊長の腰巾着で、友達も当時の隊長と副隊長だけな印象だったし……」
小梅「絶対友達できず孤立すると思ってた時期があったなあ」
エリカ「あんたら」
小梅「まあ、これを機に、いろんな人と仲良くなったらいいんじゃないかな」
黒星「人数多いから、どうしても一緒の小隊メンバーかルームメイトとつるみがちだし……」
直下「下手したら、今日名前覚えてない人もいるんじゃあ」
エリカ「うぐぐっ・・」
小梅「まあ、今回はある程度覚えやすいはずだし、頑張って覚えよう?」
小梅「私達も覚えやすいしってことで、なんとなーく赤色の集団を作ったわけだし」
エリカ「またそういうわけのわからないことを……」
小梅「ただのジェーケーだから、そういうノリみたいなのもあるんだよ」
小梅「私たちにとって、戦車道は人生のほとんどだったけど、でも全部には、できなかったから」
エリカ「……」
小梅「まあ、それでも戦車道大好きで黒森峰のレギュラーらしく、皆ちゃんと強いんだけどね!」
小梅「例えばあそこのドリンクバーで輸血してるアカギさんとか何が起きても冷静沈着な切れ者って感じだし、赤土さんもデータの使い方が上手い」
小梅「赤井さんは真面目にやってきてるし、ジェイドさんはビーフケークハマーが強い」
エリカ「緑混じってるぞオイ」
小梅「ジェイドさんはブロッケンさんの妹分で、ベルリンが真っ赤に染まるかのようなフェイバリットを持ってるんだよ!」
エリカ「わざわざ特殊カーボンしてるんだからそんな色で染めようとするんじゃないわよ」
小梅「通称緑の矢って呼ばれてて、かなりの腕前なんだから」
エリカ「緑なんじゃない!」
エリカ「はーーー……叫びすぎて喉が痛いわ……」
エリカ「頭も痛いし」
エリカ「……ちょっと前じゃ考えられないくらい、ウチの戦車道チームへの印象が変わったわね」
小梅「あはは」
小梅「人間って、多角的だからね」
小梅「私達にも、こういう側面はあるよ」
小梅「……ううん。隊長や逸見さんと比べれば、こういう側面の方が多いかもしれない」
小梅「でも――」
小梅「隊長や逸見さんみたいに、真剣な黒森峰戦車道チームとしての面だって、私も皆もちゃんと持ってるんだからね!」 フフ
エリカ「……はん」
エリカ「そんな当たり前のこと、わざわざ言われなくてもわかってるわよ」
小梅「ふふ……」
小梅「……」
小梅「明日、絶対勝って、去年のリベンジ、果たそうね」
エリカ「……当然よ」
エリカ「絶対に――私達が、優勝するのよ」
エリカ「……」
エリカ「ん……」
エリカ「とうとう、聖グロ戦の日ね……」
エリカ「……」
エリカ「見慣れた天井……」
エリカ「背中にあたる、ふかふかのベッドの感触……」
エリカ「ちょっと泣きそうになってぼやける視界っ……!」 グスッ
エリカ「ああっ、手を伸ばせば、視界に手が映り込んでくるっ!」
エリカ「ああ、ああ……」 グッパーグッパー
エリカ「動く……ちゃんと動く……」 グッパーグッパー
エリカ「入れ替わって……ないっ……!」
小梅「おはよー」
エリカ「」 ジーン
小梅「……」
小梅「せいっ」 モニュッ
エリカ「わひゃあ!?」
エリカ「な、なにすンのよ!」
小梅「あ、おはよう」
小梅「いやほら、最近試合の時おかしくなること多かったから……」
小梅「イグニッション入ったりしないかの確認を……」 コリコリ
エリカ「いつもこんなことして確かめてたの……」 ドンビキ
小梅「これが一番確実かなーって」
エリカ「……そこは百歩譲るとして、そろそろ離してくれないかしら」
小梅「意外と癖になる触感で……」
エリカ「グーで殴るわよ」
小梅(ハンバーグ吐き出されるより全然マシだよねえ……) モニュモニュ
まほ「……」
小梅「おはようございます」
まほ「その頭のコブは……」
小梅「まあ、色々ありまして……」
小梅「それより、朗報です隊長!」
小梅「正直、前のタンカが前フリに終わると思われていた逸見さんですが――」
エリカ「え、何それ」
小梅「ご覧の通り、ちゃんと普通の状態で今日を迎えられました!」
エリカ「ていうか、え、アンタ私を何だと」
まほ「そうか……よかった……本当に……」
まほ(私も正直病気の状態で来られて頭を抱える可能性が高いと思っていたしな……)
小梅「ごめん、ちょっとそっちもうちょっと詰めて」
エリカ「……」
小梅「ごめんねー、狭くて」
エリカ「それは別にいいわよ」
エリカ「こっちは乗せてもらってる身だもの」
エリカ「……」
小梅「……」
小梅「さっき挨拶で何かあった?」
エリカ「え?」
小梅「いや、なんか様子が変かなーって」
小梅「これでも、最近はちょっと分かるようになったんだよ」
小梅「……昔は分かっても聞けなかっただけだけどね」
エリカ「そういう謙虚な姿勢は貫いてくれてもよかったのに」
小梅「逸見の森のおかげで、大分逸見さんへのアレコレも薄れたから」
エリカ「ったく……」
エリカ「……」
エリカ「さっきの挨拶……」
エリカ「ダージリンは、うちの隊長を意識しているようだった」
小梅「……」
エリカ「それに……」
エリカ「あの子――大洗の、隊長のことも」
エリカ「……」 ギリッ
小梅「……」
小梅「よし、勝とう!」
エリカ「……はあ?」
小梅「だって――悔しいもんね」
小梅「隊長だけが凄いって風に思われるのも」
小梅「私達をすっ飛ばして、先ばっかり見られるのも」
エリカ「……」
ブロッケンJr「そうだーーーっ、その意見に賛成だーーーーっ!」
ブロッケンJr「この世に生をうけて、あいつのようなやつらになめられっぱなしじゃ、生きてる甲斐がねえんだよーっ!!」
黒星「まるでサンダース大みたいなセリフだけど、確かにそのとおりですよね」
白星「まあ、副隊長自身そういうことするトコあるし、因果応報?的なやつかもしれないけど」
白星「でもだからこそ、やられっぱなしではいられないよね」
ドドメ色星「王者として、相手を舐める不遜な存在であり続けるなら、ナメてきた相手はボコボコにしてやらないと立場がないでガンス」
エリカ「……ふん」
エリカ「勝手に心中察した気分になられても腹が立つけど、まあ、いいわ」
エリカ「なんだっていい」
エリカ「今はただ――目の前の紅茶軍団を、叩き潰すのみッ」
赤星「Yah!」
赤星「私は車長だけど――この小隊の長は逸見さんだよ」
赤星「号令を!」
エリカ「――戦車、前進ッ」
アッサム「……」
ダージリン「何か言いたそうね、アッサム」
アッサム「……」
アッサム「あの娘の投入は、まだ早いんじゃ……」
オレンジペコ「ローズヒップさんですか……」
ダージリン「あら、貴女は特別彼女を可愛がっていたように思うけど?」
アッサム「……でも、あの娘は」
ダージリン「こんな格言を知っている?」
ダージリン「恐れを抱いた心では、小さいことしか出来ないでしょう」
オレンジペコ「フローレンス・ナイチンゲールですね」
ダージリン「ローズヒップには、聖グロリアーナの淑女として欠けているものが確かに多い」
ダージリン「ここに来るまで、試合に出されない程に」
ダージリン「でも――」
ダージリン「”あの”黒森峰や西住まほを恐れずに、誰より果敢に突っ込んでいけるのは、マナー以上に恐れを知らないあの娘だわ」
アッサム「それは、まあ……」
ダージリン「……」
ダージリン「私はね、勝ちたいのよ」
ダージリン「気品あふれる立ち振舞で尊敬を集めてはいるし、世間に実力を認めてももらっているわ」
オレンジペコ「自分で言っちゃうんですね……」
ダージリン「だけど――」
ダージリン「この3年間、”西住まほ”には勝てていないわ」
ダージリン「たとえ万の評論家が私を評価することがあっても、その事実だけは覆せない」
ダージリン「だから――これは、私の我儘」
ダージリン「一度くらい、どんな手を使ってでも、あの人に勝ちたいのよ」
ダージリン「……みほさんが私達に見せてくれたように」
ダージリン「泥臭い高貴さというのも、あるんじゃなくって?」
オレンジペコ「……」
ダージリン「呆れたかしら?」
オレンジペコ「いいえ」
オレンジペコ「突然理解できないことをするのも、我儘なのも、慣れっこですし、とうに分かってましたから」
シュポッ
ブロッケンJr「ジェイドーーーーーーーっ!」
白星「どーすンの、副隊長!?」
黒星「あのスピード……装填が追いつかない!」
白星「全然当たらねーし、何とか立て直さないとヤバイよこれ!」
エリカ「ええい、何とかするわよ!」
エリカ「ここで私達から綻んでやられました、なんて日には、今後二度と戦車に乗れなくなるわ!」
小梅「それは同感!」
小梅「皆、二年連続で戦犯扱いされないよう、頑張るよ!」
白星「おう!」
黒星「うん!」
ドドメ色星「いくでガンス!」
ローズヒップ「んっふっふ」
ローズヒップ「こんな格言を知っている?」
ローズヒップ「巧遅は拙速に如かず!」
ローズヒップ「まーダージリン様が仰ってただけですし、あんまり意味は分かってないんですけどねー!」 バシュンバシュン
エリカ「ええい、鬱陶しいちょこまかと!」
ローズヒップ「この世の理はすなわち速さでしてよ!」
ローズヒップ「物事を速くなしとげればそのぶん時間が有効に使えましてよ!」
エリカ「おわっ」
エリカ「っつ~~~!!」
小梅「本来予定してない搭乗数なのに無理に詰め込んでるから、小刻みに車体揺らされると危ないねこれ……」
ドドメ色「でも、あんだけちょこまかされたら、こっちも嫌でも――」
ローズヒップ「遅いことなら誰でも出来る……」
ローズヒップ「20年かければバカでも傑作小説が書けるとアッサム様も言ってましたわ!」
ローズヒップ「アッサム様のポエムノートは速攻で書きなぐったのにあのクオリティだからこそ凄いんですのよ!」
アッサム「……」 ゾクッ
オレンジペコ「どうかしたんですか?」
アッサム「いや……何か、こう、うーん……」
ダージリン「こんな格言を知ってる?」
ダージリン「速さこそが文化である」
アッサム「……?」
ダージリン「あの娘は、貴女が思っているより軽いフットワークで何にでも触れているし、その速さで何でも吸収している」
ダージリン「スタート地点こそ聖グロリアーナの生徒の理想から遠かったけど――」
ダージリン「その理想に近付く速度なら、誰よりも上」
ダージリン「最初こそ近かったけど、それでもずっと足踏みをしているようでは、あの娘に勝つことは出来ない」
ダージリン「……来年のキーマン同士の対決の結果にも、期待しておきましょう」
ダージリン「こちらはこちらで、隊長首を取りにいくわよ」 フフフ
黒森峰が徐々に色物チームになっているような気がするけどまぁエリカだから問題ないな!
エリカ「こんの……!」
黒星「あっ、外れた……!」
白星「うわあ、うわあ……!」
ドドメ色星「ひーっ、このままじゃ壊滅でガンス!」
ブロッケンJr「うっおー! くっあー! ざけんなーっ!」
エリカ「ええい落ち着きなさいアンタら!」
小梅「……はいドーン!」 ズリッ
エリカ「ほあーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
エリカ「ちょ、おまっ、何すンのよ!」
小梅「うーん、意外と抵抗なくぱんつって引きずり下ろせるものなんだ……」
小梅「もっと摩擦抵抗とかあるかと思ったけど、まあ、大事なのはぱんつが引きずり下ろせるかどうかだもんね、うん」
エリカ「うんじゃないわよ!」
エリカ「このヤバイ時に何やってんのよ!」
小梅「ヤバイ時だからだよ」
小梅「……これで少しは皆頭冷えた?」
エリカ「……っ」
小梅「完全に大混乱してたよ、逸見さん」
小梅「トップが混乱すると、一気に広まっちゃうんだよ」
小梅「……去年、水に落ちたときに学んだことだし、偉そうには言えないんだけどさ」
小梅「黒森峰は強いよ」
小梅「普通にやったら完勝できる」
小梅「でもだからこそ、普通じゃない方法で一発入れられたら、崩れちゃうんだよ」
小梅「……あの日、溺れた私達は勿論、誰もあの混乱の中まともに動けなかったよね」
小梅「それでも隊長と、みほさんだけは、結果に結びつかなかったけど動いたんだよ」
エリカ「……」
小梅「私達は凡人っていうか」
小梅「高校生の中じゃ戦車道が上手いけど、どこにでもいる普通の女の子なんだよ」
小梅「プロでもなければ、戦車道に全てを捧げた西住流マシーンでもない」
小梅「たった一年じゃ、激しい基礎能力の向上と、土壇場の対応力を並行して鍛えるなんて、無茶なんだよ」
小梅「基礎能力や戦車スペックが底上げされたらそんなに対応力使う場面なんて訪れないから、皆無意識に手を抜いちゃってただろうしね」
小梅「……逸見さんは、どう?」
小梅「私達凡人と同じで、去年から何も変わってない?」
小梅「それとも――」
エリカ「……ふん」
エリカ「バカにするのも大概にしなさいよ」
ドドメ色星「お、おしゃべりはそのへんにしてほしいでガンス~!」
白星「なんとか同士討ちにならないようしてるけど、これ以上は持たないって!」
ブロッケンJr「あのスバシッコイのを何とかしないとなーーーーっ!」
エリカ(とはいえ……)
エリカ(どうする……)
エリカ(奇策を打つ? あの子みたいに?)
エリカ「……」
エリカ(それだけはダメっ……!)
エリカ(そんなことをしたら、西住流や今までの私を否定することになるっ)
エリカ(そんなことをして勝っても、何の意味もないっ……!)
エリカ(あくまでも王道、黒森峰が尊ぶ西住流の基本のやり方で勝たなきゃ意味がないッ)
エリカ(それなら……)
エリカ(西住流の戦車道で挑んで、私の技量不足で負ける方が……)
エリカ「……」
ローズヒップ「相手さん大混乱してますわ!」
ローズヒップ「逃げ惑っても逃しませんことよー!」
ローズヒップ「……っと、深追いしすぎもダメだとアッサム様に言われてましたわね!」
ローズヒップ「とりあえずクランベリーやマテ茶が到着するまでに削れるだけ削ってさしあげますことよ!」 フフン
ブロッケンJr「くそーっ、このままじゃマジで全滅だぜ!」
ブロッケンJr「どうするよ、毒霧でも吐くか!?」
エリカ「吐かないわよ! 何特上の変化球投げようとしてるのよ!」
白星「ていうか、吐けるんだ……」
小梅「まあ世の中ハンバーグを吐いて勝利する人もいるくらいだから……」
エリカ「何か言った?」
小梅「ん? 別に?」
エリカ「……」
エリカ「私の指揮じゃ、悔しいけど、混乱から立ち直らせることは出来そうにない」
エリカ「出来るのは被害を減らすことだけ」
ローズヒップ「このまま押し切ってやりますわよ!」
ローズヒップ「そーすれば、圧倒的に有利に――」
エリカ「ここの攻防じゃ勝てそうにないうえに、本丸の壊滅だって早々容易くはないでしょうね」
エリカ「やりあえば負ける気はしないけど、でも瞬殺が出来るような相手じゃあない」
エリカ「だけど」
ローズヒップ「……え?」
ローズヒップ「そ、それマジですの!?」
エリカ「外殻部分に一撃を入れるくらい、隊長ならしてくださる」
エリカ「本当は、忌々しいダージリンとの戦いに専念させるのが私の仕事だったけど……」
エリカ「事情を話せば、私の願いを聞き入れてくださる度量が、あの人にはある」
ローズヒップ「やっばいんじゃないですの!?」
ローズヒップ「相手のエースが本陣に雪崩込んでくる前に援護を――」
エリカ「そうよねえ、そうなるわよねえ」 ニタァ
エリカ「どこかが切り崩されて隊長が危険となったら、忠実なシモベなら助けに行かざるを得ないわよねえ」
エリカ「単身突っ込んでくるくらい実力に自信があって、駆けつけられる技量があるなら尚更」
エリカ「……所詮外殻一枚削った程度で、ここから隊長は長々やりあう羽目になる」
エリカ「でも――たった一言、襲われた部隊が壊滅しそうな胸を全体に通信してくれればいい」
エリカ「そこそこの脳みそと行動力と忠誠心があるなら、隊長の指示が来る前に、そこを目指そうとする――」
ズドム
ローズヒップ「うぎゃあ!?」 シュポ
エリカ「……自力じゃどーにもできなくても、隊長が道を切り開いてくれる」
エリカ「隊長なら、奇策に出ずとも、真っ向から切り崩してくれる」
エリカ「私は隊長の勝利を、揺るがぬ心で信じていればいい」
小梅「奇策に片足突っ込んでるような気もするけど……でも、うん、いいんじゃないかな」
エリカ「アンタに言われたくないわよ」
エリカ「……自力で倒すのを諦めるなんて逃げみたいな真似、したくはなかったのだけど」
小梅「現実から目を背けるより、自分に出来ることを受け入れた今の方が、”逃げてない”って感じがするけど」
エリカ「……何言ってんだか」
小梅「溺れて死にかけて以降、ちょっとポエミーなのです」 フフ
エリカ「いいから行くわよ」
エリカ「こっちも犠牲が出たけど、相手の小隊長格は潰したし」
エリカ「コイツの速度にやや遅れているであろう連中から順繰り叩き潰して、隊長の援護に行くわよ!」
戦車分からなさ過ぎるので、各々納得がいく展開に脳内で差し替えておいて下さい
寝ます
寝ます
戦車戦はまぁおまけで良いんじゃないかね
これは大洗戦も苦戦しそうだな・・・
これは大洗戦も苦戦しそうだな・・・
エリカ「……」 ギリッ
エリカ「クソッ!」 ガン
白星「戦車に当たるのよくないよー?」
小梅「いやー……さっくりやられたねぇ」
ドドメ色星「不甲斐なくて申し訳ないでがんす……」
小梅「まあでも、役に立てたし、チームとしてはプラスに終われたんじゃないかな」
エリカ「……わかってるわよ」
エリカ「でも……悔しいの」 ギリッ
エリカ「チームが勝つことが大事。そんなの当然わかってる」
エリカ「ダージリンは隊長に食らいつける数少ない人間だし、客観的に見て私より格上なのだってわかってるわよ」
エリカ「でも……」
エリカ「直接対決して負けるだなんて思ったことはなかったし、隊長のお役に立ってダージリンを仕留めるのは私でありたかったっ……!」
小梅「……」
小梅「やっぱりすごいな、逸見さんは……」
白星「私達も……戦車道には入れ込んでるつもりだったけど」
小梅「それだけ悔しがれるなら、きっと次はもっと役に立てるよ」
エリカ「……」
エリカ「アンタに慰められると、なんかムカつくわね」
小梅「ええ~、なにそれー」
ボシュッ
黒星「わあ……!」
小梅「勝った! 勝ったよ逸見さん!」
エリカ「当然よ」
エリカ「隊長が負けるはずなんてないわ」
エリカ「……」
エリカ(そう、負けるわけがない)
エリカ(私がいなくても……)
エリカ「……」
エリカ(何弱気になってるのよ) ブンブン
エリカ(例え負けなくても大変に決まってる)
エリカ(隊長の負担を少しでも減らすべく、私が役に立たずにどうする!)
小梅「これで今年も決勝戦には進出、かあ」
エリカ「ふん、当然でしょ」
エリカ「むしろここからよ」
エリカ「王座を脱して捲土重来」
エリカ「それが当然とされるんだもの」
エリカ「……足元をすくわれるわけにはいかないわ」
エリカ「……」
エリカ「例え、相手が――」
エリカ「隊長のことを誰よりよく知り、私達の手の内を知る、あの子でも……!」
小梅「……」
小梅「やっぱり逸見さんは、みほさんのこと――」
エリカ「……は?」 ギロリ
小梅「ま、まだ何も言ってないよ?」
エリカ「……つい」
小梅「まあ言おうとしたんだけど」
エリカ「おい」
小梅「……」
小梅「いやでも、ホント、すごいよね」
小梅「誰よりみほさんの実力を信じているっていうか……」
小梅「大会が始まってから、ずっと注目して意識してたの、バレバレだったよ」
エリカ「うぐっ……!」
エリカ(まあ、そりゃ、嫌でも傍で快進撃を見てたから仕方ないのよ……)
小梅「それに、なんかずーっと、決勝戦では大洗と当たるって信じてたみたいだし」
エリカ「うっ……」
エリカ「別にそんなことはないわよ」
エリカ「……さすがに、プラウダが来るって、ずっと思ってたわよ」
エリカ「……」
エリカ(それなのに……)
エリカ(あの子はそんな常識的な予想を覆してきた)
エリカ(私も助力したけど、でも、それだけじゃない)
エリカ「とにかく!」
エリカ「今回は、役には立てたかもしれないけど、最後まで援護することは出来なかった」
エリカ「次は……次こそは!」
エリカ「絶対に、最後までお傍にいてみせるわ!」
小梅「おお燃えてる~」
エリカ(それからは、あっという間だった)
エリカ(決勝戦は元々のチームで戦車に乗れることが決まって……)
エリカ(それからはずっと真摯に戦車にばかり乗り続けた)
エリカ(いつしか校内は、あの子が決勝にあがってきたことの話題で持ちきりになって……)
エリカ(今更、なんて思いながらも、何とか周囲にも気合を入れ直させた)
エリカ(……あと、なんか、いつしか逸見の森でバンバンオリジナルスタンプが飛んでると思ったら)
エリカ(クリエイターズスタンプで5段くらい勝手にリリースされていたからぶん殴っておいた)
エリカ(……この大会が終わったら、何とか停止させないといけない)
エリカ(それでもあのクソのようなチャットを放置する程度には、戦車のことだけを考えた)
エリカ(朝から晩まで……あの子の何倍、何十倍、いや何千倍努力をした)
エリカ(そして――――)
エリカ(運命の、決勝戦の日を迎える)
エリカ「……ん……」
エリカ「……」 モゾ
エリカ(見知った天井……)
エリカ(見知った部屋……)
エリカ(手を伸ばせば、ちゃんと自分の手が視界に入る……)
エリカ「……よし」
エリカ(どういう理屈なのか本当にわからないけど、やっぱりもう入れ替わらないみたいね)
エリカ(……これで心置きなく、黒森峰の選手として、あの子とやり合えるっ……!)
小梅「あれ、逸見さん早いね」
エリカ「まあね」
エリカ「……いやまあアンタに言われたくはないけど」
エリカ「少し昂ぶってるし、散歩でもしてこようかと思っただけよ」
小梅「……あ、じゃあ、私も行っていい?」
エリカ「……」
小梅「露骨に嫌そうな顔してるけど、返事がないってことは行ってもいいってことだとみなすね」
エリカ「……図太くなったわよね、あんた」
小梅「おかげさまで」
小梅「まあ、でも逸見さんの丸くなりように比べたら、ね」
エリカ「……あのねえ」
エリカ「何度か言ってくるけど、私は別に丸くなんてなってないわよ」
エリカ「……黒森峰の生徒ともあろう連中が、思ったよりアホ揃いだったことにも舌打ちが止まらないしね」
小梅「えー……私達が普通なんだけどなあ」
エリカ「アンタみたいなのが標準的戦車道履修者だったら舌打ちのしすぎて上顎弾け飛んでるわ」
小梅「アンツィオ」
エリカ「……あそこは例外」
小梅「サンダースも大概」
エリカ「……まあ、あそこは下品な所も含めての強さというかなんというか……」
小梅「ある意味聖グロ」
エリカ「……アホと言えばアホね」
小梅「プラウダは……」
エリカ「……アホもいるわ。よく知ってる」
エリカ(スパイの天パにペラペラ情報漏らすヤツもいたみたいだし)
小梅「やっぱり強豪校でも大体アレだよ」
エリカ「否定しづらい箇条書きマジック使ってきたわね」
小梅「逸見さんは戦車道履修者に夢を見てるんだもんね」
エリカ「別にそんなつもりじゃないわよ」
エリカ「ただ名門黒森峰のメンバーとして、名誉ある西住流の門下生として、恥ずかしくない行いを――」
小梅「ちゃんと授業中はしてるよ」
エリカ「……最低限は、でしょ」
エリカ「戦車道っていうのは、健全な乙女の精神を作る武芸なのよ」
エリカ「戦車に乗ってるときのみならず、普段からその心構えを持って健全な精神を宿さなくてどうするのよ」
小梅「あー。だから西住流に染まった健全な精神じゃない生徒には風当たりが厳しいんだ」
エリカ「……まあ、そうね。正直に言うと、そういう連中はムカついたし嫌いだったわ」
小梅「……“だった”?」
エリカ「……」
エリカ「こんな私でも、来年になれば指導者だもの」
エリカ「出来てない人間に苛ついて、その指導を放棄するようじゃ、上に立つ者として失格だわ」
エリカ「……だから別に丸くなったとかじゃなくて、なんていうか、西住流の門下生として、上に立つ自覚を持ったというかなんというか」
エリカ「あんた達の駄目な所を認めて、全否定せずに受け入れて、そのうえで黒森峰に相応しい戦車乗りになるよう指導してやるってだけよ」
小梅「……」 ポカーン
エリカ「……なによ」
小梅「いやあ、なんていうか……」
小梅「逸見さんがそういう風に思っていたのも驚いたし……」
エリカ「なによそれ、私を何だと思ってたのよ」
小梅「自分を健全な精神だと想い込めてるのも相当だなって……」
エリカ「なによそれ、私を何だと思ってたのよコラ赤星おい赤星」
エリカ「……まあでも、認めるわ」
エリカ「昔の私は、たしかに健全ではなかったかもね」
小梅「安心して、間違いなく不健全だったから断言しても大丈夫だよ」
エリカ「……」
エリカ「まあ、不健全というか、自分が見えてなかったわ」
エリカ「ただ意地を張るのに必死で、自分すらまともに理解できてなかったわ」
エリカ「……今なら分かる」
エリカ「あの子に対して苛ついてた理由も、抱いている感情も」
エリカ「……なんで負けたくないのかも、私がどうありたかったのかも」
エリカ「だから、少しでも憧れた隊長に近付けるように、ちょっとだけ他の仲間のことを考えることにしたのよ」
エリカ「それだけだから、別に甘やかすようになったとか、そんなわけじゃないんだからね」
エリカ「特に赤星、アンタはライン云々のことを除いても、去年のあれこれがあるんだから」
小梅「うう、わかってるよ……」
小梅「去年あれこれ言われて軽く引きこもってた時に、散々悩んで、自己分析して……」
小梅「私に足りなかったことも、駄目だったとこも、全部、分かってはいるの」
小梅「……前に進むために、必要なこともね」
エリカ「……それは一緒よ」
エリカ「私やアンタだけじゃない」
エリカ「黒森峰が前に進むには、絶対に、また優勝旗を持ち帰らないといけない」
エリカ「そうしないと――私達の誇りや自信は、永遠にあの雨の中に置き去りのままだわ」
まほ「そのとおりだ」
エリカ「た、隊長!」
まほ「最初はプラウダ相手に雪辱を果たす展開を想定していたが――しかし、結果として決勝の相手はみほ率いる大洗だ」
小梅「逸見さんだけは、大洗が来るって信じてたみたいですけどね」
エリカ「……まあ、あの子の強さは、誰より分かっているつもりだったから……」
まほ「何にせよ、みほが相手でよかったのかもしれないな」
小梅「え?」
まほ「……みほは、昨年の敗戦の代名詞になっている」
まほ「だが、私は、みほが最も黒森峰を将来率いるに相応しい人物だと思っていた」
エリカ「……」
まほ「だからこそ、乗り越えねばならない」
まほ「そうすることで、泥を塗った過去を越えるだけではなく、“みほが副隊長として率いていた黒森峰”をも越えられる」
まほ「あの日の自分たちより成長していたことを実感できるようになるだろうし、“みほが残っていたら”などという甘えた幻想を打ち消せる」
まほ「……エリカ」
エリカ「はい」
まほ「今では、来年の黒森峰を率いるのは、エリカしかいないと思っている」
まほ「だから――みほと比較されても堂々と自分の方が上だと言えるような成績を叩き出そう」
エリカ「はいっ、勿論です!」
まほ「それに――西住流として、勝って終わらせねばならない」
小梅「ええ! 勝ちましょう、絶対!」
まほ「ああ」
まほ「……下船の準備をしろ。早めに到着しそうだ」
まほ「コンディションを高め、しっかりと緻密な作戦会議を行い、王者の戦いぶりを見せ付け――」
まほ「そして、また、あの優勝旗を持ち帰るぞ」
エリカ「はいっ!」
エリカ「そういえば、少し散歩をしていたらお腹減りましたね」
エリカ「その、ご飯をどうするか決めてないのでしたら、よければこのあと一緒にご飯でも行きませんか?」
エリカ「おしゃれなお店を調べてあるんです!」
小梅「わあ、楽しそう」
エリカ「……」
小梅「逸見さん顔こわい顔殺意があまりにも漏れてる」
まほ「いや――すまない」
まほ「予定というわけではないのだが、食事はもう決めているんだ」
エリカ「え、そうなんですか?」 ショボーン
まほ「……誘ってもらえたことは素直に嬉しいし、またの機会に行こう」
エリカ「……!」
エリカ「はい!」
小梅「ところで何を食べる予定なんですか?」
まほ「ああ……アンツィオのところのナポリタンをな」
エリカ「アンツィオ?」
まほ「決勝戦を見に来るらしい」
まほ「……判官贔屓なのか、自分たちと重なるからか、はたまた直接自分たちを破った相手だからか分からないが――」
まほ「どうやら、大洗の応援に来る予定らしい」
エリカ「はあ!?」
エリカ「この前あんだけ世話になっておいて!?」
まほ「……まあ、無理もあるまい」
まほ「突然決勝に出た大洗では、地元からの応援団もさほど数に期待は出来まい」
まほ「応援部隊が十分用意できるうちではなく大洗につくことを選んでも、責めることなど出来ない」
まほ「……それに、律儀にもメールで連絡を貰ったしな」
まほ「私達へのエールはメールにびっしり書かれている」
まほ「お詫びに、格安で好きなものを食べさせてくれるそうだ」
まほ「……折角だから、少しでも売上に貢献してやりたいしな」
エリカ「……そういうことなら、私もお付き合いさせていただきます!」
エリカ「お腹も減ってるし、更にお腹をグーグーにした状態で店に行って、泣いて謝るくらいバカスカ格安で食べてやるんだから!」
まほ「ふふ……そうか」
小梅(私も行きたいけど普通に睨まれそうだし、ウインナーでも食べていこ)
眠気が来たので中断します。
とりあえずエタらせず完結はさせますのでおつきあい頂ければ幸いです。
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