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元スレエリカ「入れ替わってる……!?」 みほ「貴女の名は」
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桃「問題は、この包囲網をどう突破するかだが……」
柚子「敵の正確な配置が分かればいいんだけど……」
みほ「偵察を出しましょう」
エリカ「ま、それしかないでしょうね」
エリカ「戦車戦は情報がものを言う」
エリカ「それを元に作戦指揮を執る隊長の能力も求められるし、目まぐるしく移り変わる戦況を把握できる手足もが王者には求められるものよ」
沙織「それにしても、なんで麻子達なの?」
沙織「寒がって引きこもりそうなイメージすらあるのに」
みほ「冷泉さん達のコンビは、視力がいいから……」
みほ「二人一組が基本になりますし……」
カエサル「では、エルヴィン達のコンビは……?」
みほ「……二人共、行きたいって志願を……」
沙織「うええ、元気すぎでしょ二人共……」
左衛門佐「庭駆け回る……」
エリカ「アホなんでしょ」
エリカ「しかしまあ、二人一組で人間を偵察に出す、ねえ」
エリカ「黒森峰じゃありえないスタイルだわ」
エリカ「偵察で情報収集は当然必要とはいえ、戦車を降りてコソコソやるなんて弱者のやる邪道そのもの」
エリカ「偵察隊を戦車チームで組み、威力偵察をすることこそ、戦車道の本懐」
エリカ「……試合中に戦車から降りることすら、西住流では恥とされているというのに」
エリカ「ほんっと、そーいうのに全然縛られなくなっちゃって」
エリカ「……昔は、もうちょっと、ビクビクしながらだったくせに」
エリカ「……」
エリカ「黒森峰でそんなことしようものなら切腹よ切腹」
逸見車操縦手「きゃああああ!?」
逸見車通信手「ちょ、どうしたの逸見さん!?」
逸見車砲手「突然走り出すなんて!!」
逸見車装填手「人一人背負ってあの速さ……ボクササイズの成果?」
逸見車通信手「やっぱり、『おっぱい触ったら喋ってくれたし、もっと揉めばいいんじゃ』なんてすべきじゃなかったんだよ!」
逸見車砲手「いや、だって、あまりに気持ちよさそうだったから……」
逸見車砲手「揉ミュニケーション……」
逸見車操縦手「そ、それより止めてえ! っていうか止まってえ!」
逸見車通信手「そ、そうだよ逸見さん! そのまま行くと戦場に――」
逸見車砲手「はっ……!」
逸見車砲手「まさか逸見さん、このまま生身で乗り込もうっていうの!?」
逸見車操縦手「え!?」
エリカ「ドルルルルルルン」
逸見車装填手「でもそれ、逸見さんの敬愛する西住流の精神に反するんじゃ……」
逸見車砲手「確かにそうかもしれない」
逸見車砲手「普段なら、私だってそう思っていた」
逸見車砲手「でも、今こうして、生身で突っ込もうとしているのは、動かせない事実なんだよ」
逸見車操縦手「うっ、た、確かに……」
逸見車砲手「それに、逸見さんは、隊長だけでなく、元副隊長の西住さんのことも、ずっと意識してる風だった」
逸見車砲手「西住さんは、自分が守りたい者のためなら、規律だって捨てられる強さを持っていた……」
逸見車操縦手「……それは、確かに」
逸見車砲手「私たちは今、追い込まれている」
逸見車砲手「敵隊長の予想以上の無双を前に、下手をしたらこんなところで姿を消すはめになるわ」
逸見車通信手「ふ、ふたりとも、よく走りながら喋れるね……」 ゼヒーッ
逸見車砲手「作戦を立てよう」
逸見車砲手「逸見さんの意思を尊重した、生身の偵察を活かした作戦を」
逸見車砲手「王道じゃないかもしれない。怒られるかもしれない。それでも!」
逸見車砲手「私達の大好きなチームと、車長のために……!」
エリカ「ドゥルン……」
みほ「戦車が冷えるので、素手で」
あや「わあ、ほんとだー」 ヒヤ
みほ「最後まで聞いてほしかったかな……」
あや「あれ!? 張り付いた……!?」
桃「悲劇を繰り返さないためにも、西住、言ってやれ」
みほ「え、あ、はい……」
みほ「ええと、戦車が冷えるので、素手で触らないようにしてください」
おりょう「となると、素足で……」
みほ「ええと、それもちょっと……」
あけび「ほっぺスリスリとか……」
みほ「ほっぺ持って行かれますよ……?」
杏「もういっそ生乳で触って話題にだけでもなってみるか」
エリカ「やれるもんならやってみなさいよ乳首もげるわよ」
桃「手の空いたものは暖を取れ」
柚子「スープ配りまーす!」
杏「干し芋たっぷりで美味いぞー」
みほ「こんなに天気が荒れていたら、偵察に出た皆は……」
エリカ「割りと洒落にならない可能性はあるけど、でも――」
優花里&エルヴィン「「どーおせ生きては帰らぬつもりー」」
エリカ「不吉な歌を口ずさみながら帰ってきたわよ」
優花里「ただいま帰還しました」
ソド子「こちらも偵察終わりました!」
沙織「ちょ、どうしたの、そこかしこ濡れて……!」
麻子「途中でソド子のせいで敵に見付かってな」
麻子「さすがに特殊カーボンで守られていない生身の人間を撃つのは気が引けるらしくてな」
麻子「砲弾の代わりに雪玉が飛んできた」
エリカ「そりゃそうよ、そんな一生消えない十字架を誰が高校生の選択授業ごときで背負いたっつーのよ」
エリカ「でもそれを逆手に取るようなのは邪道だし、人間流の面汚しって感じだし、私は絶対やらないけど」 フフン
ガサガサッ
ミカ「!」
ミカ「アキ、ミッコ」
アキ「うん」
逸見車操縦手「さっきの偵察で、敵の隊長がここに潜伏しているのは知っている!」
逸見車操縦手「うおおおおおおお!」
バッ
逸見車操縦手「ってえええええええええええ!!」
ズドム
ミッコ「はっずれー!」
ミッコ「つっても、ドリフトしなくても全然当たってなさそうだけどな!」
アキ「黒森峰なのに、そんなことってあるのかな……」
ミカ「アキ。迷いという名の森の中に入りこむのは、あとでいいんじゃないかな?」
ミカ「今はただ、風に身を委ねるだけさ」 ポロロン
ミカ「――トゥータ」
ズドム
ヒョコッ
逸見車装填手「ぎゃあ、やられたー!」
逸見車通信手「!」
逸見車通信手(白旗が上がった……!)
逸見車通信手「今!!」
ガサッ
ミカ「!」
ミッコ「そっちか!?」
アキ「ま、待って! あれただの人だよ! 偵察っぽい!」
ガサッ
ミカ「本命は、後ろ、だね」
ミカ「予想外とは、常に背後からやってくるものなのさ」
ミカ「トゥー――――」
アキ「駄目!」
アキ「こ、こっちも生身の人間だよ!」
ミカ「!?」
エリカ「ドゥルン!!」
逸見車砲手(逸見車操縦手が、逸見さんの体の仕組みを幾つか解明してくれた……)
逸見車砲手(料理上手な逸見車装填手が、さっとありあわせの材料でハンバーグを作ってくれた)
逸見車砲手(その二人が、戦車を操縦し、敵の隙を作ってくれた)
逸見車砲手(そして、逸見車通信手が、二段階の不意打ちの中で最も危険な一の矢になって、タイミングを教えてくれたんだ!)
逸見車砲手(これは、逸見車全員の力が合わさった、初めての邪道っ)
逸見車砲手(邪道に落ちてでも、落とせない星を取るという決意の現れッッ)
逸見車砲手「こいつは――――」
ミカ「アキ!」
アキ「……!」
ミカ(まいったな……さすがに、戦車を囮に生身で挑んでくるだなんて……)
ミカ(なんて……自由……!)
逸見車砲手「外さないッッ」 ギュムッ
エリカ「ボシュッ」 ハンバァァァァァァグ
ビチャッ
アキ「ひゃっ」
ボムギッ
アキ「ええっ、そんな……!」
ミッコ「くそっ、まさか口から何か出てきて砲身に詰まるだなんて……」
ミカ「砲身がやられたら、高確率で白旗が上がる」
ミカ「もちろん、口から吐き出せる物質である以上、整備すれば何とかなったはずさ」
ミカ「でも――」
アキ「あ……私が、つい反射的に撃っちゃったから……」
シュポッ
アキ「砲身が暴発して、旗が……」
ミカ「……そうじゃない」
ミカ「戦車道には、人の心が詰まっている」
ミカ「何より風を感じ、空気を読むのは戦車自身さ」
ミカ「そして――白旗を出さないと、と戦車に思わせる空気を、向こうが作っただけのことさ」
シアイシュウリョウ! クロモリミネジョガクエンノショウリ!!
まほ「えっ」
しほ「…………???????????」
眠たいので寝ます
予想を越える亀更新ですがよければ今後もよろしくお願いします
予想を越える亀更新ですがよければ今後もよろしくお願いします
乙。継続勢も呆気にとられる程のカオスっぷりよw
逸見切腹待ったなしか……
逸見切腹待ったなしか……
豆戦車だらけのアンツィオは秘密兵器に重戦車を用意し、重戦車だらけの黒森峰は小型の新型戦車イツミを秘密兵器として用意していた
エリカ「それにしても、さすがにもう試合は終わっちゃってるわよね……」
エリカ「以前の練習試合では、相手の隊長車が強敵だったけど……」
エリカ「それでも黒森峰と、西住流は王道にして最強」
エリカ「真っ向から小細工なんて叩き潰してるわよね」
エリカ「……はあ」
エリカ「まあ、いいわ」
エリカ「今回は――あのチビに、リベンジを果たしてやる」
エリカ「もし、万が一、大洗の試合に合わせて入れ替わりが起こるのだとしても――」
エリカ「もう準決勝を終える大洗の試合と、次が準決勝のうちはバッティングしないはず」
エリカ「次で鬱憤を晴らすようにいけ好かないグロリアーナを倒してやるわ」
しほ「…………」
しほ(……あの子は切腹ね)
エリカ「…………」
風「びゅおおおおおおおおおおおwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
エリカ「さっむ……」
エリカ「めちゃくちゃ吹雪いてきたわね……」
エリカ「……いっそ、中止になればいいんだけど……」
エリカ「……でも、これだけ優位を取ってるプラウダが、それをすんなり受け入れるわけがないし……」
エリカ「学校の貢献度とかから鑑みても、まあ、まずプラウダ側に媚びるように、中止しない方向で検討されてるでしょうね」
エリカ「そうなると、士気の維持が問題だけど……」
エリカ「……」
エリカ「いや中止になられたら困るんだった、再試合の時入れ替わりで聖グロ戦出られないなんて絶対ごめんよ」
エリカ「えーい、やみなさい吹雪!」
エリカ「ほら、さっさとしなさいよ!!」
エリカ「ちっ……もう完全にお通夜ムードね」
優花里「さっき偵察中、プラウダ高校はボルシチとか食べてました……」
エリカ「いっそウォッカでも飲んでたら、辞退に追い込めたものを……」
麻子「美味しそうだな……」
華「それに、暖かそうです……」
優花里「やっぱり、あれだけの戦車を揃えている学校ですからね」
沙織「……」
沙織「学校、なくなっちゃうのかな」
エリカ「なくなるわよ」
エリカ「ここで勝っても、私は容赦なくアンタ達を叩き潰すんだから」
優花里「そんなの、嫌です……」
優花里「私は、ずっとこの学校にいたい!」
優花里「皆と一緒にいたいです!!」
エリカ「……ふん」
エリカ「いつまでもこのままでいられたらいい、なんて……」
エリカ「卒業だってするんだから、叶うわけないじゃない」
エリカ「……」
エリカ(でも……)
エリカ(叶うはずもないのに、心のどこかで、私も……)
華「どうして廃校になってしまうんでしょうね……」
エリカ「知らないわよ」
エリカ「アンタラのとこの無能運営にでも聞きなさいよ」
エリカ「あのアンツィオや継続だって解体されてないんだし、あんたらよっぽど採算取れてないのよ」
エリカ「なんだっけ、あんこう踊りとかいう、伝統芸能的なのあるんでしょ?」
エリカ「そっちでなんとか人を呼ぶほうが現実的だったのよ」
エリカ「戦車道をナメたのが敗因よ」
華「ここでしか咲けない花もあるのに……」
エリカ「……」
エリカ「ここじゃ咲けない花もあるでしょ」
エリカ「……そこでしか咲けないと思っていた花が、違う場所で、もっと生き生きと咲くなんてことも、あるのよ」
みほ「みんなどうしたの!?」
みほ「元気出していきましょう!」
エリカ「……無理よ」
エリカ「元々絶望しかけてた心を、無理やり奮い立たせてたのよ」
エリカ「それが吹雪で冷水をかけられたらこんなもん、よ」
みほ「さっきみんなで決めたじゃないですか、降伏しないで最後まで頑張ろって!」
一同「「「はーい……」」」
エリカ「わかってまーす、なんてのも、嘘じゃあないでしょうね」
エリカ「分かってても、一度冷めた熱は簡単には戻らない」
エリカ「窮鼠が猫を噛むのも、追い込まれて生まれた熱が生きてるから」
エリカ「……反撃に出るための熱量を[ピーーー]つもりで、こんな時間を設けたのかしら?」
桃「お、おい! もっと士気を高めないと!」
エリカ「元々、おどおどしてて士気高翌揚には向いてなかったのよね、アンタ」
エリカ「……この場面で、そんなアンタがどうするのか、見させてもらうわよ」
桃「このままじゃ戦えんだろ」
みほ「え……」
桃「なんとかしろ、隊長だろ!?」
みほ「は、はい……」
みほ「……」
みほ「っ!」 キリッ
みほ「あああんあん!」 ヒョイッ
みほ「あああんあん!」 ピョコピョコ
エリカ「!?!?!?!」
沙織「みぽりん!?」
華「どうしたんですか……?」
エリカ「え、なに、あまりの絶望にネジでも飛んだの?」
みほ「みんなも歌ってください!」
エリカ「!?」
みほ「私が踊りますから!!」
エリカ「ほんとどうしたのよあんた……」
エリカ「さすがに驚きすぎて引くし、みんなも歌って、他の連中もこの意味の分からない曲を歌える前提なわけ……?」
華「あの恥ずかしがりのみほさんが……」
優花里「皆を盛り上げようと……」
麻子「微妙に間違ってるけどな」
エリカ「微妙で済まないレベルで間違ってるんじゃないこれ???」
優花里「私も踊ります!」
エリカ「はあ!?」
華「やりましょう」
沙織「みんな、いくよー!」
麻子「仕方あるまい」
エリカ「え、なに、私なの? 私だけがおかしいの?」
ピーッカピカー
エリカ「……」
エリカ「……」
エリカ「あっ、これがあんこう踊りってやつ!?」
エリカ「いや、そりゃだめだわ……そりゃこれ前面に押すのはないわ……」
エリカ「上級者向けすぎでしょ……」
エリカ「まだ戦車道をナメて参戦してくる方が理解できるレベルの踊りね……」
エリカ「ソレを試合中にやるなんて、家元が見たら卒倒するわよ」
エリカ「しかもこの人数でそんな狂気の洗脳ダンスを踊るなんて……」
エリカ「戦車道の歴史においても指折りの恥さらし」
エリカ「ボジョレーヌーボーと違って、本物の近年トップクラスの恥さらしね……」
エリカ「まったく、うちの試合と重なっていて家元が見に来てないことを感謝しなさいよね」
しほ「……」
まほ「あの……」
しほ「切腹用の刃はこれでいいかしら」
まほ「エリカのことを、許して頂けは……」
しほ「戦車道とは、心を育てるもの」
しほ「あれほどまでに心がやましく、西住流にも反する者を、手元に置いておく必要はありません」
しほ「ボジョレーヌーボーと違って、本物の近年トップクラスの恥さらし」
しほ「試合中ハンバーグを食べてそれを吐き出して勝利するなど、あまりにも言語道断」
しほ「戦車道の歴史においても指折りの害悪です」
しほ「それならまだ試合中に奇妙な踊りでも踊られる方が奥倍マシ」
まほ「それは、まあ、そうでしょうが……」
まほ「さすがに切腹というのは、些か時代錯誤かと……」
まほ「西住誕生直後の文化をそのまま現代にも適用するのでなく、そのあたりはフレキシブルに……」
しほ「分かっています。冗談です」
まほ「ほっ……」
しほ「今の時代、切腹はあまりに非人道的」
しほ「今の時代は無痛ですぐ終わる電気椅子です」
まほ「!?!?!?!?」
しほ「何でも揃うアマゾンとやらで注文したから、近日中に届くでしょう」
まほ「何でも揃うにも限度というものがあります」
まほ(頼むからKONOZAMAになってくれ……)
予定の半分くらいしか進んでませんが、眠気がひどくて判断力がていk割いてるので寝ます、申し訳ない
けどもし家元だったら門下生が乳首イグニッションしながらハンバーグ砲で敵戦車にとどめを刺したなら流石に切れると思う
仮に家元じゃなくても乳首イグニッションから白旗判定まで持って行ったら意味不明さと馬鹿馬鹿しさに切れると思うわ
プラウダの使者「あの!」
エリカ「うわ、見てたんだ……」
プラウダの使者「もうすぐタイムリミットです」
プラウダの使者「降伏は?」
みほ「しません」 スッパリ
みほ「最後まで戦います」
プラウダの使者「……」
プラウダの使者(まあ、あの踊りを全員で踊った挙句降伏しますと言われてもちょっと困るもんね……)
プラウダの使者(人の心を壊すくらい追い込んでしまった、ってトラウマにならないように、抵抗してもらわなきゃ……)
杏「小山、行くぞ」
柚子「はいっ……!」
杏「突撃!」
エリカ「……」
エリカ「確かに、あの薄さは罠の匂いがするけど……」
エリカ「西住流は、真正面から多少の困難をねじ伏せるパワーだってあるけれども!」
カチューシャ「はあ!? こっちぃ!?」
エリカ「何でわざわざあんな分厚い所を……!」
杏「西住ちゃん、いいから展開して」
みほ「気をつけて……!」
エリカ「ちっ、あいつらムカつくからやられてほしいけど、そうも言ってられないわね」
エリカ「ただでさえ人数が不利なのに敢えて茨の道を行こうっていうアンタの手腕、見せてもらうわ」
杏『いやー、ごめーん』
杏『2輌しかやっつけられてないのにやられちゃった』
杏『……あと、よろしくね』
みほ「わかりました」
みほ「ありがとうございます」
桃『頼んだぞ、西住っ!』
柚子『お願いねっ!』
エリカ「……」
みほ「この窪地を脱出します!」
みほ「全車あんこうについてきてください!!」
エリカ「……アンタが黒森峰よりこっちを取ったことは、まあ、こう、受け入れるとしてもよ」
エリカ「明らかに悪役だったはずのアイツら相手に、なんでそんな表情出来るのよ」
エリカ「……アンタ、そんな風に想いを背負ってくれたこと、黒森峰ではなかったじゃない」
エリカ「……」
エリカ(それとも……私に見えてなかっただけとでもいいたいの……?)
エリカ「……ちっ」
エリカ「やっぱり、この環境はいらつくわね」
エリカ「さっさと終わらせるわよ!」
エリカ「ああ、もうっ!」
エリカ「フェイント入るしブンブン振られるし、最悪の気分だわっ!」
麻子「……」
エリカ「……」
エリカ(でも、いつの間にか、私が助力して慣性に抵抗しなくてもフェイントを完全に使いこなすようになってる……)
エリカ(それに、他の連中も、全員ついてきてる……)
エリカ(才能? 士気の高さ? それとも、あの子の指導が上手いっていうの……?)
バババババババ
エリカ「……」
エリカ「人の怪我には人一倍五月蝿いくせに、自分は機銃が飛び交ってても平然と上半身を出す所は変わらないのね」
みほ「この暗さに紛れるため、出来るだけ撃ち返さないで!」
エリカ「西住流にあるまじき邪道な奇手を思いつくのも変わらず、か」
エリカ(……違うとすれば、その奇手を周りが受け入れるかどうか、か……)
沙織「それにしても、予想以上にあっさりと抜け出せたね」
沙織「まるで両思いの合コンみたい……」
エリカ「あのチビッ子、戦術家としては有能だけど、前線に立つのに向いてないのよ」
エリカ「圧倒的優位ですぐに慢心するわ、ツメが甘く得物を前に舌舐めずりするわ、現場に出るには二流と言わざるを得ないわね」
エリカ「一流というのは、隊長のように常に油断せず、驕らず、勝利が決定する瞬間まで勝利を確信し気を緩めない人のことを言うのよ」 フフン
麻子「……」
優花里「さっき偵察に行っていて知ったんですけど、どうやら今年のプラウダには優秀な偵察兵がいるようでして……」
優花里「こちらの人数や場所を的確に把握し、隊長達に伝達していたらしいんです」
沙織「そっか、だからさっきもあんなに的確に追い込まれてたんだ……」
華「でも、それならば、何故今はこうも容易く……?」
優花里「どうやらファインディング・コンピューターの異名を持つその人は、高度な計算の末に相手の居場所を割り出すため……」
優花里「30分以上試合をすると知恵熱を出しポンコツ化するんだそうです」
エリカ「なによそのMe以下の低スペックコンピューターは」
沙織「でも大丈夫なのかなー、こんな寒いのに熱まで出すなんて」
優花里「まあ、元々車外活動メインだったから彼女がいなくても戦車の運用は出来るんでしょうし、大人しく医務室に行ってると思いますよ」
優花里「おかげでこうして戦線を離れてフラッグ車を叩きにいけますし、今は同情ばかりしていられませんっ」
エリカ「しかしまあ、そんなやつを抱えてるのに猶予与えるとか、いよいよ持って舐めプの極地ね……」
エリカ「後悔させてやらなくちゃいけなんじゃないの?」
みほ「……」
みほ「相手の居場所、か……」
みほ「……」
みほ「ゆかりさん、もう一度偵察に出てくれる?」
優花里「……!」
優花里「はいっ喜んで!」
優花里「はあーーーーっ!」 シュバッ
エリカ「うおっ、いつもの2倍のジャンプと3倍の回転ッッ」
優花里「どこか高い所は……っと」 トテトテ
優花里「あっ!」
優花里「発見しました!」
優花里「あちらの角で、冬のナマズのようにおとなしくしています!」
エリカ「わかってるとは思うけど……」
エリカ「問題はここからよ」
エリカ「あのチビっ子大好きなスナイパーをはじめ、向こうは伊達で四強をしてるわけじゃあない」
エリカ「腐っても黒森峰にラッキーパンチを当てるだけの戦車と技量を持っている」
エリカ「そんな相手に、こっちはとっくにフラッグ車を見付かってるのよ」
エリカ「……こっからが正念場ね」
梓『うさぎチーム、走行不能!』
エリカ「!」
みほ「!」
沙織「みんな大丈夫!?」
ウサギさんチーム『大丈夫でーす』
あや『メガネ割れちゃったけど大丈夫でーす』
梓『カモさん、アヒルさんをお願いします!!』
ソド子『了解!』
エリカ「……」
エリカ「最初はあれだけ戦車道をナメてるとしか思えなかった、あの連中が……」
エリカ「この短期間で、人は変わるものね……」
エリカ「……」
エリカ(もしかしたら、私も――――)
エリカ「……」
エリカ「ふん、くだらないことを考えたわ」
エリカ「ほら、加速するわよ!」
エリカ「あと盾は一枚だけ」
エリカ「さっさと落として終わらせるわ!」
Ⅳ号戦車になったことで、見えてきたことがある。
……ずっとあの子にムカついてて、隊長に並び立てる存在だと分かっていたけど受け入れることが出来なかった。
はっきり言って、今のあの子を見下してる。
でも――
見下すようになって、初めて分かったことがある。
見上げていると認めたくなくて、目を背けていたから気付けなかったことが。
エリカ「やっぱり――――アンタは強いし、上手いわよ。癪だけど」
でもそれは、“黒森峰の強さ”でも、“西住流の強さ”でも無い。
優花里『近付いてきます!』
見下せるようになった今だから言える。
アンタは確かに黒森峰に必要だったし、隊長の右腕に相応しかったんだと思う。
でも、それは、アンタが黒森峰や西住流とは違う強さを持っていたから。
隊長が体現する強い西住流は、100の力を持つ選手を束ね、そして100の力を発揮できるよう纏め上げて指示を出す。
でもあの子は、そうじゃない。
10のポテンシャルの子を、20や30に引き上げるのを得意としている。
だからこそ、隊長の右腕だったんだ。
隊長にないスキルを持っていたから。
足りない所を補い合える相棒だったから。
隊長と同じ道を選び、そしてまだ背中に追いつけていない私では、敵わないのも当然だろう。
だが――――
エリカ「それがどうしたっていうのよッッ」
ああ、ああ、認めるさ。認めてやるとも。
あの子は強い。私にはなく、隊長にすら無い力を持っている。
認めたくない事実だけど。認めたくない力だけど。
でも確実に、彼女には理解しがたいほどのカリスマ性があるのだ。
優花里『来ました!』
さっき、KV2を撃破する直前、砲手に声をかけたように。
粘って負けた車輌の面々と交わした言葉のように。
あんな優しく気遣いのためのやり取りは、私には無理だ。
いや、きっと、黒森峰の全員に無理だ。
出来て当たり前のことなんて、失敗したら責めこそすれど、それをやるためのアドバイスなんてないし、失敗してもフォローなんてしない。
脱落者を労うくらいなら眼の前の敵を叩き潰すことに集中する。
あの子の行動では、黒森峰の副隊長も西住流の後継者も務まるまい。
みほ「撃ち方用意!」
それに、勝利の瞬間を自らの引き金で、というエゴがないのも強い。
そうなれるとは、思わないけど。
でも、もしその生っちょろいスタイルで、プラウダに勝つようなことがあれば。
あのエゴ丸出しで、全て一人で仕切り、圧倒的なパワーを誇る連中を上手く使役するカチューシャが、真逆の存在であるあの子に敗れるようなら。
あの子が――西住流の対局の存在として、決勝の場に、現れてくれるなら。
エリカ「……変ね、まったく」
エリカ「あの子は嫌いだし、ナメてるところなんて嫌悪すらしているはずなのに」
ズドォォォォォォン
エリカ「どうしてこんなに――――胸が高鳴るのよ」
まるで戦車と入れ替わってる間に処女喪失してハンバーグ吐いて戦車と肉弾戦するのが異常みたいじゃないか
朝早いので少しだけですが、君の名はの上映が終わる前に終わりたいので頑張って更新します
エリカ「着弾は……同時?」
エリカ「勝敗は――――」
『……大洗女学園の勝利!』
ワァァァァァァァァ
エリカ「……よっし」 グッ
エリカ「……」
エリカ「……いやいやいや、そんな大喜びするもんじゃあないっての」
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