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    元スレ京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」

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    みんなの評価 : ★★
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    451 :

    そうか?
    MJ天鳳あたりは基本一色一枚だけど

    452 :

    赤ドラ無いのが普通は流石に麻雀やったことないんだろーなぁとしか
    一般的に売ってる雀牌は赤5ピン2枚入ってるから宅打ちしかしない人はそれで慣れてるんじゃろ
    雀荘だと大抵3枚だなご祝儀つくし

    453 :

    >>452
    地域とか店によるんじゃない?
    別に赤ドラ有るのが当たり前ってことはないでしょ
    赤ドラ無しルールの雀荘もあるよ

    454 :

    レート有りフリー雀荘なら大抵はあるよ
    絶対とは言わんけど
    ああでも最近はなんか低レートの学生向け?かなんかの店もあるとか聞いたけどそういうとこは無いのかな?

    456 :

    風邪ひいたので年内更新は少し無理かな(´・ω・`)
    皆さんよいお年を

    457 :

    お大事に

    459 :

    小テスト終わったから投稿するよー
    結果は聞くな

    460 = 1 :

    「あー……すっげー疲れた………」


     半荘1回目が終わった時点で、俺の脳みそはすでに限界を迎えていた。

     張りつめていた緊張が一気に解け、それまで気づかずにいた疲労がどっと押し寄せてきた。


    「京ちゃんお疲れ~」
     

     後ろから咲が肩もみしてくれる。

     小さくても、麻雀ダコがある手なのが背中で感じてもわかる。 

     俺の手も皮はガチガチだが、これはハンドボールをやっていたからであって、麻雀ダコだけなら先よりまだまだ柔らかいだろう。


    「ありがと。なんというか気の抜けるラストではあったけど………」

     
     格好良く決めたと思ったら、いつの間にか試合が終わっていた。

     何だか釈然としない。

     
    「仮に7700で収まってたら、トップ二人とはリー棒拾えたから1万点差くらいで、満貫ツモでトップだったのか………。何とも微妙だな」

    「何だったら、やっぱり頭ハネありにして続けるかの?」

    「いえ、いいですよ。こういう痛い目も見ておいた方がいいと思って諦めます」


     レートやハウスルールを確認しなかったのは完全に俺のミスだ。

     いい経験だったと割り切ることにする。


    「ちょっと次の半荘の前に休みたいな」

    「構わんぞ。ちょっと待ちぃ、なんぞ摘みになりそうなもの持ってきちゃる」

    「ありがとうございます」


     染谷先輩が、灰になってる優希を引きずって厨房に戻る。

     タコスの一つでも食わせれば元に戻るだろう。

    461 = 1 :

     ズズズ………

     局の始まる前に淹れられたコーヒーは、すっかり冷めきっていた。


    「ん」


     後ろを向くと、赤木さんが座席に座って、雑誌に目を落としていた。

     実にうれしそうな表情をしている。

     はやりんのグラビア記事でもあったのだろうかと思って、反対側から雑誌を覗き込んでみる。


    『グランドマスター・小鍛冶健夜プロ(28)に熱愛発覚!?
     お相手は10歳年上の井川ひろゆき7段(38)!』

    「おお………!」


     アラサーと弄られることで有名な国内最強選手の熱愛報道。

     インターハイでその弄られっぷりを聴いた俺としては、かなり驚くものがあった。

     赤木さんの後ろに回って、記事に目を落とす。


    『国内無敗の麻雀プロ、小鍛冶健夜プロと、男子リーグ今季最優秀防御率を持つ『神眼』として名高い井川ひろゆきプロの交際が発覚した。
     お二人は今年夏に行われたインターハイの解説者の、大会後の催しで出会った時から交友が始まり、先日正式なお付き合いがスタートしたとのこと。
     来年には入籍も視野に入れているとのコメントもいただいた。

    462 = 1 :

     ―――お付き合いに至った経緯は?

     井川プロ『初めてお会いした時は、健夜さんがどんな怪物なんだろうとわくわくしていたんですが、実際会うと「あれっ?」ってなりました。
     非常に声も線も細い可愛らしい方で――――』

    (隣で顔を付して恥ずかしがる小鍛冶プロ)

     井川プロ『でもその場の勢いで、一半荘お願いしますと言ったらあっさりOK してもらえて………散々な目に遭いましたね(笑)。
     オーラス時点で、もう役満直撃しか逆転できないっていうところまで追い込まれて………。

     リーチ・中・三暗刻の裏ドラ7のっけて三倍満直撃は出来たんですけど、結局やられてしまいました。

     ただ健夜さんは、三倍満を直撃されるなんて初めてのことらしくって、その時点で一目惚れ状態になってくれたそうです』


    (恥ずかしさのあまり逃げ出す小鍛冶プロと、それを捕まえる福与アナ)


     井川プロ『その後もちょくちょく会っては打っていたんですけど、健夜さん私生活がけっこうだらしなくて………(笑)。
     面倒を見ていたら、いつの間にかって感じですね』


     ―――井川プロはプロ4年目にして7段に到達し、来シーズンは防御率首位ですが、今後のご自分の目標などは?

    井川プロ『”常に熱い三流でいること”ですね。僕は健夜さんみたいな天才ではないので。

     昔お世話になった人から、三流だからって腐るな、常に前に進んで”熱さ”だけは失うなと言われたので、その言葉通り遮二無二努力してきた結果が今の自分だと思っています。
     正直その人健夜さんより強いので、まずは健夜さん相手に勝ち越せるようになりたいと思います。

     ほぼ毎日二人麻雀打って勝率1割届かないんですけど(笑)』

    463 = 1 :

    (ん?)


     ここまで読んで、俺は少し引っかかった。

     井川プロの、”熱い三流”という言葉に対してだ。


    「赤木さん、ひょっとして井川プロと知り合いだったりします?」

    「ん? ああ、あいつがガキの頃、少しかわいがってやったな。 プロになっていたとは知らなかったが、元気そうで何よりだ」

    「ええ………」


     じゃあ、このインタビューの『昔お世話になった、小鍛冶プロより強い人』というのは赤木さんのことか。

     毎日小鍛冶プロと打ってる人に、小鍛冶プロより強いって言わしめるとかこの人どんな化け物だ。


    「須賀君、どうかしましたか?」

    「いや、それがさ………」


     和と咲もこっちに来たので、掻い摘んで説明したら、二人とも目を見開いた。


    「ええ! そんなオカルト在り得ません!」

    「うん、でも多分本当のこと――――

    「小鍛冶プロが結婚しそうなの!?」

    「あれ、そっち?」


     女子二人にはそっちの方がショックだったのだろうか。

    464 = 1 :

    「冗談はさておき、井川プロですか………うーん」

    「あ、冗談か」


     和が考え込むように唸る。


    「俺が小学生の頃、ひいじーちゃんの葬式に井川プロも来てたらしいんだけど……実際どういう人なんだ?
     30歳越えてからプロ入りして、しかも3年で7段になったっていう逸話なら聞いたことあるけど」


     俺が本格的に麻雀を始めたのは今年の春からなので、全然特に男子プロのことは知らないのだ。

     どうせなら見事なおもちをお持ちのはやりんとかを見ていたい。


    「私も詳しくは知らないんですが………、一言で言えば、対応力が異常、でしょうか?」

    「例えば?」

    「その………鶴賀の大将さん、加治木ゆみさんをさらに強くした感じと言えばいいんでしょうか?
     長野団体戦決勝で、加治木さんは咲さんの嶺上開花を偶然とは片づけずに、槍槓を狙いに行きましたよね?
     井川プロもあんな感じで、どんな些細なことでも偶然と片づけず、すべてを何らかの原因があると仮定し、それを見抜く『神眼』を持っていると………どこかの雑誌で読んだ覚えがあります」

    「つまり、オカルト麻雀肯定派の人ってこと?」

    「そんなオカルト在り得ません」


     咲の言った「オカルト麻雀」のワードに反応し、和がツンとした態度をとる。

     おお、ツンツンメイドさんや………。

    465 = 1 :

    「まぁ、要は非常に考えの幅が広い人ってことなんだろ?
     それがオカルトかはさておき……」

    「そうですね。ただ、そうでなくても本人のインタビューで、「相手の動作や視線を見ていれば、手牌ぐらいわかります」と言っていて、
     しかも本当にその通りの打牌をしているから防御率もトップなんだそうです。
     たしか、井川プロの振り込んだのは9割が単騎待ちだったという話も聞いたことがあるような………」

    「おおぅ………!」

     確かにそれは紛れもない『神眼』だ。

     風越の大将が脳裏に浮かぶ。

     あの母性溢れるオッドアイの綺麗なお姉さんも立派なおもち――――じゃなくて、洞察力を持っていることで有名だが、それをさらに発展させたようなものだろうか。

     (加治木ゆみ + 福路美穂子)×2 = 井川プロ といったところか。

     ×2かどうかはわからないけど。

     プロ7段っていうからには、×10ぐらいだったりするのかもしれない。

    466 = 1 :

    「赤木さんはそんなすごい人の師匠だったのか………」


     俺は今、実はとんでもない人に師事しているのではないかと、空恐ろしくなった。


    「よせやい。俺はあいつに何か教えたことはないぜ? ただあいつのやる気を引き起こしてやっただけだ」

    「小鍛冶プロより強いって書いてあるんですけど………」

    「さぁな。やってみたことないからわからねぇよ」


     赤木さん本人は、どうでもよさそうにしている。

     煙草に手を伸ばして、取り出そうとした瞬間に禁煙なのを思い出して、
     (´・ω・`) ←こんな顔になって手をひっこめただけだ。


    「須賀君、流石にそれはないかと思います。
     イカサマを使って私たちをけむに巻くような人ですよ」

    「ええ?」

    「こないだの牌を伏せたままの役満づくり………あんなことが意図的に出来るわけがありません。何か仕掛けがあるはずです。
     局が終わるごとに、山を確認していたりしましたよね?
     あの時に何か種を仕込んだはずです」

    「ん? ああ、あれか………。あれはまぁ別のことを確認していただけなんだが………。京太郎」

    「は、はい」

    「そこの自動卓、山積みな」

    「はぁ………」

    467 = 1 :

     俺は言われた通り、終局の時のままになっていた牌を片付け、自動卓で掻き混ぜた。

     洗牌が終わると、赤木さんはよっこらせと言いながら立ち上がり、適当に見える動作で牌を選び始めた。


    「ほらよ、俺が初めて和了った手牌だ」


     赤木さんは14枚目を表にせずに、俺の方へ指で弾いて渡した。

     こないだと同じように、13枚伏せられた牌を急いで表にして確認する。


     白白白中中中發發發888p西 


    「……………」

     四暗刻大三元西単騎待ち。

     これが初めて和了った役っておかしいだろという言葉を飲み込み、恐る恐る渡された手の中の14枚目を見ると………

     西 <やぁ


    「そんなオカルト在り得ません………」


     和がその場にズーンという効果音でも付きそうなくらい落ちこんでへたり込む。


    「お待たせー! 追加のタコスだじぇ………のどちゃんどうかしたのか?」

    「こないだと同じことやったんだけどさ………」

    「ああ………」


     お盆にタコスを盛ってきた優希と、コーヒーのお代わりを持ってきた染谷先輩に、卓の上を指さしながら言うと、二人とも理解したようだった。


    「のどちゃん全然動かないじぇ」


     ゆっさゆっさと優希が肩をゆすっても、和は反応しない。

     ただその豊満なおもちがゆっさゆっさと振り子のように揺れるだけだ素晴らしいありがとうございます。


    「まぁいいじぇ、とりあえずいただきまーす!」


     反対に完全復活した優希の号令で、俺たちは休憩に入るのだった。

    468 = 1 :

    ここまで。

    ひろやすこやん好きな人はごめんよ

    469 :

    乙!
    SSとは言えスコやんに春が来たのはめでたい事だ!

    470 = 1 :

    ひろの「天」のその後を知りたい人は、「HERO~アカギの遺志を継ぐ男~」を読もう!
    ひろめっちゃ強くなっとるで!

    471 :

    ただ最近は福本の牛歩まで引き継いじゃってるんだよなあ

    472 :

    咲ワールドって女子プロの方が強いんだっけ?

    473 :

    男子が大阪の泉ぐらいとかなんとか
    大沼プロとかいるし、今年は男子の育ちが悪いぐらいで考えとけばいいんじゃないかな

    474 :

    プロのレベルは明言されてないが、大沼プロが確か最優秀守備率とか取ってるからリーグ自体が男女分かれてない限りは、
    トッププロレベルなら男性プロでも女性プロに対抗は出来るのでは。

    男子のインハイ覇者が泉とどっこいとは言われてたから、
    「基本的に女子>>男子で男子トップが女子トップに例年なら喰らい付くまでは行けるはずだが現高校男子のレベルが特に低い」とかそんなんじゃないかなぁ。

    475 :

    男子はとりわけ優秀な打ち手とその他の差が極端についてて優秀な連中は漏れなく裏プロに行ってる説を支持したい

    476 :

    それでも随所で立ち塞がる京ちゃんのお友達

    477 :

    おともだちネタ考えた人って相当麻雀漫画が好きなんだろうなって

    478 :

    続か待ってます

    479 :

    アカギがあと一年で終わるってマジかよ・・・

    続きはもう少し待ってね、来週一杯試験週間なんだ。
    それ終わったらまた書くから。

    482 :

    アカギはあと一年やけど
    ワシズ編はあと一回で終わりやぞ

    483 :

    赤木しげるが負けて負債を背負う事はあったとしても死ぬ事はないと解り切っているのになぜ負け=死のギャンブルをアカギでやったのか。コレガワカラナイ

    484 :

    ワシズ終わってもまだ書くって昔言ってたけどやめたんだな

    >>1待ってるよ~

    485 :

    アカギが終わるのが先かこのスレが終わるのが先か

    486 :

    もう駄目なのかな?

    487 :

    アカギが先に終わりそうだな

    488 :

    いや一応書いてはいるんだけどね………
    実はこの段階にきてオリキャラとか、急展開とかいろいろ出てきちゃって………

    竜崎さんとかキャタピラ王子こと矢木さんの孫とか………
    これやっちゃって大丈夫なのかなぁって、こんなスレたてといて今更なっちゃって………

    カイジで出てきた指切り落とし機とかいろいろ………

    489 :

    まあ無理なら無理でギブアップ宣言して依頼を出すといいよ
    中途半端にこだわって結局エタってスレが落ちるのが一番よくない。作者にとっても読者にとっても
    勇気がいる行動だろうけど、時にはちゃんと逃げることも大事だ

    490 :

    お金取って書いている訳じゃ無いんだし好きに書けば良いんじゃない?

    491 :

    やりたいようにやったらいいよ

    492 :

    どうも、お久しぶりです。
    かなーり書いてて苦しい展開ですが、失踪だけはしないようにします。

    493 = 1 :

    「いやぁ、それにしても京太郎。おんしホンマに強くなったのぅ」

    「え、そうですか?」


     一緒にタコスをかじりながら、染谷先輩が褒めてくれた。


    「最後の一局もそうじゃが、それまでもなんとか耐えとったじゃろ。ツモられて削られまくっとったが、振り込みはやっすい変則待ちと、わしの多面張に振り込んだだけじゃし」

    「いやその振り込んだのが跳満だったんで全然よくないんすけど………」

    「まぁそりゃそうじゃが、よく南2局までは持ちこたえたというべきじゃろ。久ほどうまくはないが、大抵の奴なら東場のうちに変則待ちに調子を崩されて、もっと早く大物手に振り込み始めていたはずじゃ。正直わしの方が焦れたぞ」

    「はぁ………」


     みんなの高打点ツモにゴリゴリ削られて、内心で止めてくれと泣き叫び続けていたので実感はない。

     あれだね、炙られ続ける焼き鳥の気分だ。

    494 = 1 :

    「うんうん。後ろで見ていて、そんなに大きな間違いはしてなかったよ。


     和ちゃんほど効率よく打ててはいなかったけど、好みの問題とかで片づけられる程度だったし」


    「いやでも最後の2m単騎は絶対大間違いだろ………。あんなの只の運……」

    「京太郎」


     赤木さんが雑誌から顔を上げ、俺の方をまっすぐ見据えた。

     特別鋭いというわけではなかったんだけど、その視線を真正面から受けて、俺はひやりとしたものを感じた。


    「その大間違いってのは、誰が決めた?」

    「え? そりゃ………よくある、麻雀のセオリーとかと比べて………」

    「定石通り打てば必ず勝てるほど、博打ってのは簡単なものか?」

    「いや、そりゃあ違いますけど………」


     定石というのは大事だ。

     だが、それさえ守っていれば勝てるわけではない。

     そんなことを言ったら、和は今頃インハイ個人戦一位の実績を持っていないとおかしい。

    495 = 1 :

    「そう。そりゃ普段はよくある確率だのなんだのに従っていても、悪かないさ。
     だがそれだけでは、絶対に限度がある。
     定石や基本だけでは勝てない境界線に立った時………その時頼りになるものはもう、自分独自の考えではじき出した答えしかねぇ。
     そんな土壇場に来てまで、他人の提唱した考え方に縋りつくやつに勝機はない。
     普段従っている、「もっともらしい考え方」とどれだけ異なろうが、自分で導いた答えに従えないやつはずっと二流どまりさ。
     そしてお前は運よくか、そうなるべくしてなったのかは知らんが………自分自身の考えを信じ抜いた結果、勝利を手にした。
     その自分を勝利に導いたもの………言うなれば、博感や博才というもんは、絶対に疑うな。
     如何に鋭い感覚、才能があったところで、自分がそれを信じてやれなくちゃ宝の持ち腐れなんだからよ」

    「……………はい」


     俺は表情を引き締めて、その言葉を噛み締めた。

     定石ではない、理屈ではない理外の強さ。

     そんなものが俺にあるのかどうかは分からないが、無いと最初から全否定してはあるものもなくなってしまう。

    496 = 1 :

    「うぅーむ、よくわからんじぇ」


     既に3つ目のタコスに手を伸ばそうとしていた優希が頭をひねる。

     食い過ぎると縦より横に伸びるぞ。


    「あのな………つまり、多分だけど『自分らしい麻雀』を大事にしろってことじゃないのか?
     普段から理論をガン無視のめちゃくちゃをやれっていうんじゃなく、いざっていうときは自分だけで考えたオリジナリティを持てっていうか」

    「それなら大丈夫だな! 東場で稼ぎまくっておけば、そんなピンチは無縁だじぇ!」

    「さっき南場に入って倍満と7700に振り込んで飛んだの誰だよ」

    「しらんじぇ!」


     こいつぜってー大成しないな。

     南場に入ってからの弱点が完全に克服されれば、本当に無敵だろうに。

    497 = 1 :

    (…………っははははは!)

    (ん?)


     店の外からだが、騒がしい笑い声が聞こえてきた。

     俺達と同じくらいの年齢の男子が数名、窓から見えた。

     お世辞にも、品行方正とは言えない風体をしている。
     

    (お!? 何々!? 『本日メイドデー』だってよ!)
    (え、アレ!? すっげー巨乳のねーちゃんいんぞ!?)
    (おっしゃ突撃―!)


     え、こっち来るの? と思った時には、入口のドアに付けられたベルが、外れかねない勢いでやかましくリンリン鳴り響いていた。


    「こんちわー! 巨乳メイドさんのミルクティー3つお願いしまーす!」
    「ぎゃっはははは! 実物でも可能でーっす!」


     顎が四角い馬面といった感じの、学ランを着崩した馬鹿な高校生が3名入ってきた。

     明らかに下心満載の視線を和に向けており、和が身を縮こまらせるのが分かった。

    498 = 1 :

    「あいつら………」

    「知ってるんですか?」


     小声で呻いた染谷先輩と、小声で会話する。


    (あの真ん中のたらこ唇の四角顎………このあたりの、確か東京の川田組とかいうヤクザ傘下の組の、組長の馬鹿孫じゃ。
     確か竜崎とか言ったかの………)


     ヤクザの孫、というだけでなんとなく理解できた。

     後ろ盾が怖くて、注意できる人間がなかなかいないといったところか。


    「あれ………?」


     その竜崎とやらの隣にいる馬面に、少し見覚えがあった気がした。


    (その隣の馬面が、矢木っちゅう正真正銘の馬鹿じゃ。
     今年の長野の男子インターハイ代表じゃが、インハイ本番でイカサマをして失格になったど阿呆じゃ。
     確か京太郎、おんしも確か予選で当たっておらんかったか?)


     そうだ、思い出した。

     インハイの個人戦予選で打った、とびっきりマナーの悪かった奴だ。

     チョンボすれすれの挑発行為も繰り返してきて来たが、何か言っても大負けしている奴の遠吠えになると思って言いだせなかった。

     その後長野代表のイカサマが発覚したと聞いていたが、あいつなら納得だ。

    499 = 1 :

    (残りが確か黒崎いうたかな? 
     帝愛グループっちゅうでっかい金融会社の重役が親戚にいて、ずいぶん羽振りがいいそうじゃ。高校生の分際での)


     なるほど、最後のデカっ鼻は他の二人と同じように学ランを着崩しているが、妙に目立つ金ぴかの腕時計なんかを身に着けている。

     やけに黒い鞄も、高い本革製なのだろう。


    (一番ヒョロそうに見えるのはあいつじゃがの、一番やばいうわさがあるのはあいつじゃ……。ガキのくせに金貸しまがいのことをして、払えなくなった奴の指を切り落としたらしい……)

    (ま、マジっすか………?)

    (ああ。和、おんしは厨房に入っておれ)

    (は、はい)


     少しおびえた様子の和は小さくなって厨房に入って、姿が見えなくなった。
     代わりに染谷先輩が3人の方へ向かう。

    500 = 1 :

    「あーお客さん方、いらっしゃいの前に一言言わせてもらうぞい。
     一応ここ、ただの喫茶店じゃから、おさわりは禁止じゃし、周りのお客に迷惑は………

    「はぁ? 何このわかめっぽいの? チェンジでー」
    「ワカメで眼鏡とかマニアック過ぎんだろー。マジ萎えるわー」
    「おーい、おっぱいちゃーん! 君が注文取りに来てよー!」

    (の野郎………!)


     注意しようとした矢先に、これ以上なく無礼な返事がよこされた。

     染谷先輩が身体を少し震わせたが、一つ呼吸を置いて落ち着く。

     俺は怒りで頭が沸騰しそうになったが、染谷先輩が堪えているところを見て、なんとか我慢する。

     お店の中でもめ事を起こしても、先輩の迷惑になるだけだ。


    「…………ミルクティー3つじゃったな?
     今日はサービスしておいてやるから、飲んだらさっさと………」

    「は? だからワカメはいらねっつの。ほら、しっし」

     ブチッ


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