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    元スレ八幡「雪ノ下が壊れた日」

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    101 = 80 :

    どっちもぶっ飛んでるな

    102 = 73 :

    ゆきのんのやり方に付き合う事にしたんか

    103 = 76 :

    雪乃がまるで避けない時点でおかしいからな

    105 :

    「零点ね」

    髪も直さず、雪ノ下は向き直ってそう言った。

    「一瞬でも、そんな心配そうな顔を見せたら何も意味がないわよ。つまらないミスをしたわね」

    思わず息が詰まった。

    雪ノ下は『いつも』と同じ静かな口調で告げた。

    「あなたはやはり『紛い物』よ。それについてだけはこの私が保証してあげる」

    髪を軽く直しつつ、雪ノ下は自分の鞄を取り上げた。そして落ちた文庫本も机の上に置いてある文庫本もしまわずに立ち上がった。

    「それ、図書館に返しておいてちょうだい。……頼んだわよ、ヒキタニ君」

    そう言い残して部室から去っていた。


    誰もいなくなった静かな部室で俺は独語する。

    「じゃあ……。どうすれば良かったんだよ」

    何も言わず俺がここから出ていけば、お前は満足したのか?

    雪ノ下雪乃はそれに答えを示そうとしない。


    俺は雪ノ下に暴力を振るった事を今更ながら酷く後悔していた。

    106 = 105 :

    ここまで

    107 :


    図書館に寄贈すればいいと思います乙

    108 :

    ブックオフに売るとか
    乙です

    109 :

    処分したら処分したでいちゃもんつけられそう

    110 :


    一体何がしたいんだ、この雪乃は?
    葉山の方も、単純に付き合う訳では無さそうだし

    111 = 104 :

    一応何か事情はあるんだろうが、めんどくさい事この上ないな
    とりあえず次からは妙な禅問答は腹パンで黙らせよう

    112 :

    結局作者は何がしたかったのか5文字で誰か説明してたまえ

    113 = 109 :

    八幡受胎だしょ

    114 :

    まだ全部書き終わってもいないのに何言ってんだ。

    116 :

    おまえらいいかげんにしないとはちま◯こ展開に移行するぞ

    っていう脅しレスを最近見かけて笑った記憶がある

    117 :

    雪ノ下が敢えて受けたのかは分からないが、雪ノ下に一発入れられる八幡ってすごくね?
    原作基準なら掠りもしないスペックなはず

    118 :

    避けたくなかったんじゃない?

    119 :

    紛い物って姉の劣化コピーの分際でよく言うぜ。

    121 :

    部室の鍵を返し、職員室から出ていく。

    平塚先生はやや怪訝そうな顔をしていたが、俺が雪ノ下の体調が悪くなったので、と告げると、「そうか……。あいつもそう体が強い方じゃないだろうからな」と納得した様に頷いた。

    「君も気を付けろよ、比企谷。最近、風邪が流行っているみたいだからな」

    「善処します」

    それだけ答えて足早に去った。結局、二冊の文庫本は俺の鞄の中だ。置いていこうかとも思ったが、雪ノ下がそれを見つけたらまた何か言われるに決まっている。置いていく訳にはいかなかった。

    肩に重さ以上の何かを感じる。それは決して気のせいじゃないだろう。よく殴った方も痛いなんて言葉を聞くがそんなものは嘘だ。殴られた方だけが痛いに決まっている。痛いんじゃなくて重い。まるで鉛の入った鉄の鞄を持たされている気分だった。

    家へと帰りドアを開ける。小町の「あれー。お兄ちゃん、今日はやけに早いね」という疑問に対しては平塚先生にしたのとまったく同じ答えを返した。

    「そっかー。雪乃さん、体弱そうだもんね。……っていうか、お兄ちゃんも大丈夫? なんか顔色悪いんだけど。いつも以上にゾンビっぽくなってるよ」

    「……大丈夫だ。それはいつもの事だ」

    「……なんか、本当に体調悪そうだね。そんな普通の返し方しかしないなんて」

    「悪いが、俺はもう部屋行くぞ。少し寝る」

    「あ、うん……。気を付けてね」

    何に対しての気を付けてなんだろうな。そう思いつつ部屋まで行くとすぐに横になった。実際、眠気はまったくなかったが、何もする気になれなかったからそうした。何もしていないのに酷く疲れがたまっていた。

    122 :

    世の中にどれだけ正しいものがあるかは知らないが、時間だけはいつだって正確に過ぎていく。相対性理論だとか抜きにして考えればの話だが。

    何もしてもしなくても、夕方になるし、夜にもなる。そして、夜になれば晩飯も食べるし風呂にも入る。日常はいつだって何事もなかったかのように流れていく。

    だから、日常じゃないものに対しては、いつだって人は敏感だ。唐突に、それは何の前触れもなく訪れる。

    風呂から出たら、スマホの着信を示すランプが点灯していた。

    俺は一瞬固まり、それから慌てて部屋のドアを閉め、急いで確認した。

    由比ヶ浜からだった……。由比ヶ浜からのメールだ。雪ノ下ではなかった。

    どこか拍子抜けした感があったのは確かだった。俺は雪ノ下からだと疑わなかったからだ。雪ノ下のアドレスも知らないのにそう思い込んだ。どうかしている。

    深く息を吐いた。それから、ほとんど無意識的にメールを開けた。最初の『ヒッキー、今日は休んでごめんね』という一文を見て、一瞬少し考えた。今日、由比ヶ浜が学校を休んでいた事自体、俺はいつのまにかすっかり忘れていたのだ。

    メールはこう続いていた。

    『突然の事で驚くかもしれないと思って、先にメールする事にした。今日一日、色々と考えたんだけど、やっぱりそうする。私、奉仕部を辞めるね』

    手から力がふっと抜けた。信じられなくて、もう一度俺はメールを読み直した。

    『私、奉仕部を辞めるね』

    ……何があったんだよ。どうして……お前が辞める事になるんだ。

    123 = 122 :

    俺はすぐに由比ヶ浜に電話をかけた。まるでそれを予期していたかの様に1コールで電話は繋がった。

    「由比ヶ浜か?」

    「うん……」

    「用件は……わかるよな。理由を教えてくれ」

    しばらくの沈黙。それから決意したかのように息を深く吸う音が微かに聞こえた。が、また沈黙。

    俺は辛抱強く待っていた。由比ヶ浜が自分から話し出す事を。理由はわからないが、俺から何か話したら、由比ヶ浜は何も言わなくなるような気がした。だから何も言わず待っていたのだが、それでも結局……。

    「ヒッキー、やっぱり電話じゃ話しにくいや……ごめんね。あと、私も伝えたい事がまとまってないっていうか……その……」

    「もしかして原因は雪ノ下なのか?」思わず出かけた言葉を俺は無理矢理飲み込んだ。薮蛇になるかもしれなかったし、もしそうなったとしたらそれは致命傷となる。

    「ごめん。明日には、整理してきちんと話すから……」

    「約束、してもらってもいいか?」

    「うん……。約束する」

    「……わかった。それじゃあな。急に電話をかけて悪かった」

    「ううん。気にしないでいいよ。……それじゃあね」

    「ああ」

    そこで電話を切った。俺は『通話終了』と表示された画面をずっと眺め続けていた。

    原因は雪ノ下なのか?

    そう思えるほどに、俺の中の雪ノ下像は壊れていた。

    124 :

    翌朝は俺の気分とは反比例して雲一つない快晴だった。全てが上手くいきそうな天気のくせして、奉仕部は今、確実に壊れかけている。そして、その原因も未だに謎のままだ。どうすればいいかは俺にはわからなかったが、どうしたいかだけははっきりしていた。

    俺は崩壊するのを恐らく止めようとしている。元の奉仕部に戻そうとしている。それはもう不可能な事かもしれないが、それでもこんなよくわからない状態のまま消滅するのだけは避けたかった。それは俺たちのこれまでの時間その全てを、『何もなかった』と言うのと同じような気がした。

    誰もいない教室。

    俺は普段より一時間も早く来ていた。昨日はなかなか眠れなくて深夜の三時頃に寝たかと思えば朝の五時には起きていた。それでも眠気はまったくなかった。

    そのまま由比ヶ浜が登校してくるまで席に座ってじっと待つ。いつもの戸塚との会話も完全に上の空だったようで、戸塚から怒られもした。

    「もう、八幡ってば! 全然話を聞いてくれないし」

    「あ、悪い……今日はちょっとな」

    だが、由比ヶ浜はいつまで経っても教室に現れなかった。由比ヶ浜がようやく姿を見せたのは、朝のHRが始まる直前だ。席に座っていた俺の方に伏し目がちな視線を向けて、それから自分の席へ。それとほぼ同時に担任がやって来て朝のHRが始まった。

    『ごめん、昼休みに』

    授業が始まる前、由比ヶ浜からそんな短いメールが俺のスマホに届いた。

    125 :

    午前の授業が終わり、俺と由比ヶ浜は外の駐輪場近くにあるベストプレイスまで来ていた。

    二人とも食事は持ってきてない。俺は食べる気がしなかったからだが、由比ヶ浜の方は後で教室に戻って食べるのか、それとも俺と同じで食べる気がしなかったからかはわからない。

    「それで……奉仕部を辞める理由を聞かせてもらえないか」

    「うん……」

    石段に座る事なく、俺も由比ヶ浜も立ったままだった。由比ヶ浜は少し躊躇った風だったが、やがて重い口を開いた。

    「ゆきのん、の事で」

    やっぱりか……。ある程度予想はしていたが、俺は自然と足元の地面に目を向けていた。まるで実刑判決を受けた時の被告人の様な気分だった。

    126 = 125 :

    ここまで

    127 :

    まったく先がよめない

    129 = 114 :


    引っぱるなー。

    130 :

    「ゆきのん……最近ちょっとおかしいよね」

    おかしいか……。変ではなく『おかしい』という言葉が耳に残って、魚の小骨の様に引っ掛かった。息を一つ吐いてから俺は尋ねる。

    「……どう、おかしいんだ?」

    「だって」

    由比ヶ浜は何かを言いかけてすぐに口を閉じた。それから視線を横にずらして、絞り出す様に言った。

    「ゆきのん、全然嬉しそうじゃない」

    「……嬉しそうじゃないって言うのは、何についてだよ?」

    「隼人君と付き合ってるっていうのに、全然嬉しそうじゃなかった」

    そう言った。

    「一昨日、私、聞いたの。ゆきのんは隼人君と付き合っていて幸せなんだよねって」

    「…………」

    「ゆきのんは幸せだって言ってた。でも、全然そんな顔してなかった。隼人君もそう。今日の朝、隼人君にも同じ事を私聞いたの。ゆきのんと付き合う事になって幸せ? って。そしたら、隼人君は当たり前だろって答えたけど、やっぱりそんな顔してなかった。他にも聞きたい事は多かったけど、用事があるからって、なんだか逃げる様にどこかに行っちゃったし」

    由比ヶ浜はそこで一旦言葉を区切ってから、唇を噛み締める様に言った。

    「私は二人が幸せだって全然思えない」

    「…………」

    131 = 130 :

    「葉山の方は……三浦の事とかもあるんじゃないのか。今、あいつのグループ、ぎこちない感じがしてるし」

    「うん。私も最初はそう考えたんだけど……。でも……」

    また何かを言いかけて途中でやめる由比ヶ浜。俺の顔を眺め、再び視線を逸らす。それから、憂いを含んだ表情で呟く様に言った。

    「やっぱり今のゆきのんはおかしいよ……。絶対、何かを隠してる」

    隠している……。

    隠している?

    それは俺にとって意外な言葉に聞こえた。いや、だが、それを言うなら……。

    「由比ヶ浜」

    「……なに、ヒッキー?」

    「お前も、さっきから何か隠してないか?」

    そう聞くと、由比ヶ浜は一瞬怯えた様に体を震わせた。そして、「隠してない……」とそう一言。それから、口を固く閉ざした。きっと俺の指摘は当たっている。

    132 :

    結構おもしろい分投下スピードが悔やまれる
    これも作戦ならまんまとひっかかったわ

    133 = 130 :

    「由比ヶ浜。お前は基本演技が下手だよな。ついでに言うなら言い訳も下手だ。だから、わかる。お前はさっきから二回も何かを言いかけて、それを途中でやめている。俺に言えない何かがあって、その言葉をずっと飲み込んでいるんじゃないのか?」

    「違うし。何も隠してない。ていうか、ヒッキーには関係ない」

    やはり言い訳が下手だった。それでは隠していると言っているのと同じ事だ。

    「とにかく、そういう事なの。今のゆきのん、ちょっとおかしいし。だから……私、もう奉仕部は……」

    「……おかしいのはお前の方もだろ、由比ヶ浜」

    「え?」

    「だって……お前。さっきから話がまるで繋がってないぞ」

    「……どういう事……ヒッキー?」

    「雪ノ下と葉山が付き合っているのに、二人とも幸せそうじゃないからおかしいってのは、まあ、わかる。付き合い始めなら、大体のカップルは周りに配慮しない幸せオーラを撒き散らしてるからな」

    由比ヶ浜が小さく頷く。

    「だけど、雪ノ下がおかしい事と、お前が奉仕部を辞める事に何の関係があるんだ? いくら何でも話が飛びすぎだろ」

    「だってそれは……! ゆきのんが……!」

    何かを言いかけ、しかし、由比ヶ浜はやはり途中で口を閉ざした。言いたい事をぐっと飲み込んだ感じだった。やはり由比ヶ浜は何か重要な事を隠している。俺はそれをこれで確信した。

    134 = 130 :

    「由比ヶ浜……。雪ノ下と何かあったんじゃないのか?」

    「……何もない。何もなかった」

    「じゃあ、どうしていきなり奉仕部を辞めるって結論になるんだ。何か理由がなきゃそうはならないだろ」

    「ヒッキー。ごめん……もう戻るから」

    これ以上話す気はないという意思表示。由比ヶ浜は返事も待たず踵を返した。

    「おい、由比ヶ浜。待て」

    「私は!」

    背中を向いたままで由比ヶ浜は俺の言葉を強く遮った。

    「私は……。ヒッキーにも奉仕部を辞めて欲しいってそう思ってる。そう説得するつもりでいた。でも……今のヒッキーは辞めそうにないね……。ヒッキー、ゆきのんの事しか見てないもん」

    は……?

    返事を待たずに歩き去っていく由比ヶ浜。俺は咄嗟に進みよってその肩を掴んでいた。

    135 = 130 :

    「ちょっ、ヒッキー……!」

    「あ……悪い。その……」

    由比ヶ浜が驚いた表情を見せた。たが、恐らく俺自身が一番自分の行動に驚いている。

    由比ヶ浜の肩から恐る恐る手を外す。由比ヶ浜は困った様な顔をしながら、ゆっくり俺の方に向き直った。

    「……なに、ヒッキー?」

    聞きたい事は色々とあった。だが、それを尋ねても由比ヶ浜はきっと答えないだろう。

    悩んだ末に、俺は一番気になっている事をそのまま口に出した。これだけは、はっきり聞いておかなければならないと思った。

    「由比ヶ浜……。お前は今、雪ノ下の様子がおかしいって、そう思ってるんだよな」

    「……うん」

    「だったら……雪ノ下を助けようとか、そういう風には思わないのか……?」

    俺の知っている由比ヶ浜なら間違いなくそう思うし、考える前にそうするはずだった。無理矢理な感じで「ヒッキー、どうにかしようよ! ゆきのん、きっと何か悩みを抱えてるんだと思う!」と言ってきて強引に俺を連れ回すまである。それは由比ヶ浜がお人好しやお節介だからではなく、純粋に雪ノ下の事を好きだからだ。


    『待っててもどうしようもない人は待たない。待たないで、こっちから行くの』


    だが、由比ヶ浜は何かを我慢する様な表情で乾いた息を吐いた。それは前に自分が吐いた言葉の再肯定ではなかった。

    「昔のゆきのんなら、きっと何としてでも助けてた」

    それだけ言うと、暗い表情を残して由比ヶ浜は校舎の中に戻っていった。

    俺の目の前で見えない鉄の扉が閉ざされた気がした。

    136 = 130 :

    ここまで

    139 :

    乙。更新楽しみにしてます。

    140 :

    悪くない。

    141 :

    午後の授業が終わると、俺はすぐに荷物を鞄に放り込んで廊下へと出た。部室に行く気だった。行って雪ノ下に聞く事があった。

    廊下を少し行った所で振り返る。由比ヶ浜が鞄を抱えて逆方向に歩いて行くのが見えた。雪ノ下に辞めると言う気すらないのか。俺は足を奉仕部の部室へと向けた。

    雪ノ下は今日も先に来ていた。とはいえ、ついさっき来たばかりなのか、鞄から文庫本を取り出していつもの定位置に座るところだった。俺は歩いていき、その正面まで移動した。

    「雪ノ下……。由比ヶ浜が奉仕部を辞めると言っていたぞ」

    「…………」

    無言。雪ノ下は文庫本を開いて読み始める。顔すらも上げない。眉も動かさない。それを見て疑惑はほぼ確信へと変わった。

    「お前、由比ヶ浜に何を言った」

    「…………」

    ぺらり、とページをめくる音。俺は文庫本をひったくる様にして取り上げた。自分でもらしくないと思うが、今の雪ノ下に答えさせるにはそれぐらいの事が必要だった。

    「由比ヶ浜に何をした」

    そこで初めて雪ノ下は顔を上げた。雪ノ下はシーラカンスの生態でも詳しく聞かされたかのように、興味も関心もないといった、そんな表情をしていた。

    142 = 141 :

    「ヒキタニ君。窃盗は犯罪だという事をあなたは教わらなかったのかしら? それともあなたの脳味噌はそんな事も覚えられないほどお粗末なのかしらね」

    「誤魔化すな。一昨日、由比ヶ浜に何を言って、何をした? でなきゃ由比ヶ浜がいきなり奉仕部を辞めるなんて言うはずがない」

    「私は何も言っていないし、何もしていないわよ。いつもと同じだったわ」

    「違うな。それは嘘だ」

    「だとしたら、何か問題があるのかしら?」

    「……開き直るのかよ」

    「何か問題があるのかと私は聞いているのよ、ヒキタニ君。耳までゾンビ化しているなんて困ったものね。いっその事、ゴッホのように削ぎ落としたらどうかしら?」

    「……言う気はないんだな」

    「会話も謝罪も反省も出来ない猿以下の男に何を話せと言うのかしらね。これならインコとでも話していた方が余程有意義な時間が過ごせるでしょうね」

    「……そうかよ。わかった」

    143 = 141 :

    俺は取り上げた文庫本を差し出して返した。意外と言えば意外だが、雪ノ下はそれを素直に受け取った。いきなり投げてもこない。再び開いてそれを読み始める。

    「雪ノ下」

    「何かしら?」

    昨日の事は恐らく無駄ではなかった。下を向いて文庫本を読みながらではあるが、雪ノ下は返事をしてくる。対話出来ない相手から何かを聞き出そうとしたら、それはもう暴力や脅しで無理矢理話させるしか手段は残されてないが、会話が成立するならまだ可能性は残されている。

    無言でその場に膝をついて俺は礼儀正しく座る。つまり、正座だ。今の雪ノ下からはまともな方法で何かを聞き出すのは不可能に思えた。なら、まともでない方法で聞き出すしかない。暴力や脅迫以外となれば、俺が取れる手段は大体決まっていた。

    プライドを捨てる時には俺は徹底的に捨てる。床に手をついて深く頭を下げ、額を床にしっかりと擦りつけた。誰が見ても文句のつけようがないほどの完璧な土下座だったはずだ。

    「俺にはお前が何を考えているかわからない。だが、それを何としてでも知りたいと思っている。……一昨日、由比ヶ浜に何をしたか、お前が何を求めているのか、それを教えてくれ」

    「…………」

    雪ノ下からの返事はなかった。だが、俺はそのまま土下座し続けた。雪ノ下が感情のある人間であれば、何らかのアクションを起こすと信じていたからだ。

    それは修学旅行や文化祭での時の様に怒りかもしれない。また文庫本が飛んでくるかもしれない。しかし、無感情なままでは雪ノ下は永遠に答えないだろう。どんな方法でもいいから雪ノ下の感情を動かして揺さぶる必要があった。

    雪ノ下からの突然の暴力に覚悟を決めて備えながら、俺はそのまま土下座し続けた。

    「比企谷君」

    ……釣れた。雪ノ下が静かに声をかけてきた。

    144 :

    衆人環視の中の土下座なら意味もあったろうけど

    145 :

    ださ、主人公が土下座とかださ

    146 :

    関東土下座組組長じゃあるまいし。
    もう少し強気で行っても良いのに。

    147 :

    雪ノ下を意識しまくって振り回される八幡を書きたいんだろ

    148 :

    八幡がここまでしてこだわる理由って何だろう

    149 :

    別にダサくないだろこの土下座は

    150 = 144 :

    解決に向かう土下座ならダサくなかったけど


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