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    元スレ八幡「雪ノ下が壊れた日」

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    51 = 49 :

    「比企谷君」

    驚いて、雪ノ下の方に顔を向ける。雪ノ下はさっきと変わらず文庫本に目を落としたままだった。おかげで幻聴かとすら最初は思った程だ。

    「この本は図書館に返しておいてと私があなたにお願いした本よね」

    目線をこちらに向ける事なく、雪ノ下は文庫本に話しかける様にして話す。

    「あ、ああ……そうだ。だけど、それは図書館の本じゃなかったから」

    「比企谷君。あなた、目だけでなくとうとう脳まで腐ってしまったのかしら? 私は『図書館に返しておいて』と頼んだはずよ。なのに、それをせずに言い訳を並べるなんてどういう了見をしているのかしらね」

    ……は? おい、ちょっと雪ノ下さん……? ようやく話しかけてきたかと思ったら、のっけから飛ばし過ぎじゃ……。

    「こっちに来て、そこで正座してもらえないかしら。でないと、あなたの事を許せそうにないから」

    そう言って雪ノ下が指差したのは、自分の正面下の何もない空間だった。一般的に床と呼ばれる場所だ。

    「……雪ノ下。それは……冗談で言ってるんだよな? 言っとくが、俺はそんな事を」

    「早くして。不愉快なの」

    「…………」

    この会話の間、雪ノ下はずっと文庫本の方に目線を向けていた。それは明らかに『いつも』の毒舌とはまったく種類の違うものだった。

    52 :

    先に言っておくが、床に正座するぐらい俺にとっては余裕の事だ。なんなら、土下座までして靴を舐めるまである。だが、今問題となっているのは俺のプライドのなさじゃない。それで解決出来るような事態なら俺は迷わずそうしただろうが、そうでないから俺は困っていた。

    雪ノ下の言い分はほとんどというか全部イチャモンだ。

    じゃあ、それは一体何を目的としているのか。

    俺に対しての怒り、あるいは恨みから来る憂さ晴らし。やはりどうしてもそう考えるのが妥当に思える。ただ、少なくともはっきりと言える事は、悪ノリや遊びでないのだけは確かだという事だ。そんな表情や口調を雪ノ下はまるでしていなかった。

    「比企谷君。やはりあなたは脳も耳も腐っているのかしらね? 聞こえなかったのかしら? そこに正座してもらえる、と私は言ったのだけれど」

    顔は常に真顔だった。口調はと言えば、例えば戸部が奉仕部に依頼に来た時に雪ノ下が垣間見せた様なその口調だ。あの時、雪ノ下は戸部の事を礼節もわきまえず礼儀も知らないと語気を強めて非難したが、今はその語気で礼節も礼儀も知らない事を俺に要求している。

    「お前……本当にどうしたんだ……」

    思わず呟いていた。さっきから、俺の中の雪ノ下雪乃という像が本人によって容赦なく粉砕されていく。あるいは、それに対する弱々しい抗議だったのかもしれない。雪ノ下はそこで初めて顔を上げて俺の方を見たが、それは質問に答える為ではなかった。

    「っ……!」

    文庫本が飛んできた。それも顔面目掛けてだ。距離があったから咄嗟に手で防げたが、手の当たった箇所から鈍い痛みが伝わって俺は思わず奥歯を噛み締めた。威力からいって、牽制や威嚇とかではなく、本気で投げつけたはずだ。

    「比企谷君。私は過去から学習しない人間はこの世で最も愚かな人間だと思っているの。だから、何回も同じ事を言わせないで欲しいわね。そこに正座して」

    『いつも』通りの凛とした雰囲気のまま、雪ノ下はそう床を指した。見かけと仕草『だけ』なら、それは完璧に俺の知っている雪ノ下雪乃だった。逆に言えば、それ以外は俺にはまったく別人の様に思えた。

    53 = 46 :

    とりまここまで
    >>50
    すまん、遅筆なんだ

    54 :

    葉山は自分からグループ壊したか

    雪ノ下が暴力ふるって八幡が為す術なくされるがままなら駄作決定。主人公が弱い話はゴミ。

    56 :

    もしかして、葉山は只の当て馬として雪乃に付き合わされていて、実際はデート
    すらさせてもらてなかったり?

    57 :

    親同士の取り決めで無理矢理付き合わされて結果こわれたのかもよ?

    58 :

    シリアスポンコツのん

    59 :

    これは危ないお薬ヤってますわ

    60 :

    雪乃は親の命令とかだろ、多分。葉山は読み切れないが、どちらにせよ雪乃は不幸にしかなるまい

    今のうちに狂えた事がまだ幸せってオチも無きにしもあらずかも知れないけど

    61 :

    狂うのは自己防衛だったりするからな

    62 :

    八幡に当たってるのは反応が薄かったからか
    だからといって八幡からしたらどうせえっちゅうねんだろうけどな
    ただ当たるのなら葉山にも当たれよなと思うけどなうまくいけば破断に持ち込めるかもなんだし

    63 = 60 :

    壊れた人形でも問題無いってパターンもあるけどな

    あくまでも道具として見なしてる場合はだけど。とりあえず生きてる状態でそこにあれば問題無いってパターンだな

    64 :

    自分が本当に伝えたいことは言葉にせず、そのくせ他人には「察しろ」とか「学習しろ」とか都合よすぎ

    65 :

    あるいは糖質等々になったのか
    葉山は庇っただけとか

    66 :

    今からゆきのんが八幡を犯すだけだろ

    67 :

    やり返せよ八幡

    69 :

    どうする……?

    むしろ、どうすればいい?

    俺は今の雪ノ下に対して、どう応じればいい……?

    素直に言う事をきくのか? それとも、理由もわからず謝るのか? それとも話し合いを提案すればいいのか?

    俺は時間を稼ぐために、椅子から立ち上がって雪ノ下に一歩一歩ゆっくりと近付きながら、その間に思考をフル回転させていた。

    今の状況自体は簡単だ。雪ノ下は俺に対して何か激怒している。それは最早憎しみと言ってもいいぐらいのレベルでだ。そして、俺に対して理不尽な要求を突きつけている。この状況で俺がすべき事は何だ。

    そうして考えた末に、俺は今の状況が以前あった状況とよく似ていた事に気が付いた。それはテニスの時の三浦だ。程度は違えど、これはあの時の状況とかなり似ていた。理不尽な要求に、人の意見をまったく聞かないところ。だとしたら、雪ノ下の今の状態は純粋な怒りではなくワガママを遥かに通り越したヒステリーに近いはずだ。

    雪ノ下雪乃のヒステリー。それは俺には想像のつかないものだったが、それを言うなら文庫本を投げつけてくる雪ノ下も想像が出来ない。なら、やはりそうだと考えるべきなのだろう。

    70 = 69 :

    とはいえ、これまでの俺の経験や人間観察からすれば、ヒステリーというのは極めて厄介な代物だ。オモチャ売り場で床に寝転んで手足をばたつかせながら泣きわめく子供の方がまだマシだと言える。

    何故なら、子供のワガママは自分の要求が通ればとりあえず大人しくなるが、ヒステリーは自分の要求が通っても決して大人しくならないからだ。単に不満やストレスをあちこちに吐き出しているだけだから、それが全て吐き出されるまでは決して大人しくならない。最もタチが悪い種類の怒り方だと俺は確信している。

    やはり、第一条件はそのヒステリーをおさえる事だ。そうでなければ会話すら成立しないだろう。

    もしもの話をしよう。仮に葉山がこの場にいたとして、俺と同じ状況に陥っていたとする。すると、恐らくあいつは、「まあまあ」と言ってまずなだめにかかり、「とにかく物を投げたりするのは良くない、少し落ち着こうか」と相手の悪いところを指摘してお互い様みたいな空気を作り出し、「もちろん、雪ノ下さんが意味もなくこんな事をするとは思えない。何か理由があるんだよね?」と、君は本当はこんな事をする人じゃないアピールをしてそれによって相手に一旦矛をおさめさせた後で、「だから、雪ノ下さんの話はちゃんと聞くよ。最後まで邪魔せずに全部聞く」と安心感を植え付けて、極めて平和的でスマートな解決の仕方へと持っていくだろう。だが、俺はあいつと違って、相手を安心させる様な微笑も空気も作れないし、何より、雪ノ下雪乃はそういった事で懐柔される様な精神の持ち主でない事を俺は知っている。

    別に葉山のやり方を否定している訳じゃない。あいつにはあいつのやり方があって、それは恐らく常に王道をいくものだ。俺には真似出来ないし、真似たとしても決して上手くいかない類いのものばかりだろう。王道にはそれが集まっているからだ。だが、どこかひねくれている奴らには王道は効果が薄いし、場合によっては逆効果にしかならない。

    だから、俺は俺のやり方で、選べる数が少ない中からそれが一番だと思う選択肢を取るしかない。目的の為に手段を選ばないのではなく、選べる手段自体が元から少ないのだ。卑屈だろうと、陰湿だろうと、惨めだろうと、それしか方法が俺にないのなら、それが最善だと信じられる限り、俺は躊躇いなくその方法を選ぶ。

    だから、俺は……。

    71 = 67 :

    うわうわやめろ、本当二冊やめろ

    72 = 69 :

    俺は雪ノ下の目前まで来た。床に座れと目で促す雪ノ下に対し、俺は行動する代わりに言葉をぶつけた。

    「ふざけるなよ。さっきから何言ってやがる。俺はお前の奴隷かよ」

    その言葉に雪ノ下がほんの少しだけ眉を上げた。だとしたら上々だ。俺は言葉を続ける。

    「その本は図書館の物じゃなかったから返しに来たってついさっき言ったばかりだよな。どっちの耳が腐ってるんだ? 今のお前の場合は間違いなく頭の方も腐ってそうだがな」

    「…………」

    「大体、謝るのは俺じゃなくてお前の方だろ。いきなり人の頬をはたいて、それからずっと謝罪も何もなしとかどういうつもりだよ。事故の時からそうだったから、お前のクズさ加減には慣れているつもりだったが、その俺でも今回のお前のその常識の無さには呆れてるぞ」

    「…………」

    「これまでずっと黙っていたが、俺も不満やストレスがずっと溜まってたんだよ。お前は奉仕部の部長だから、気まずい空気を作りたくもないし、文句を直接言わなかったってだけの事で」

    「…………」

    「あれだけ毎日何種類もの暴言を俺は聞いてきたんだ。恨みが溜まるのは当然だろ。正直、もう限界に来てるんだ。俺はお前の顔なんか見たくもないし、声すら聞きたくないと思ってる。今すぐここから出ていってくれないか? それとも俺が出ていこうか? 鬱陶しいんだわ、お前。見てるだけで」

    73 :

    Mにはたまらないご褒美です

    74 :

    ゆきのん攻められるのには慣れてないからな
    泣いちゃうかも

    75 :

    わーい八幡が怒ったー

    76 :

    トドメか…

    77 :

    これMのんだったらご褒美ですよね

    78 :

    そこまで言葉を吐き終えた時、雪ノ下はそっとうつ向いて片手で口を覆った。

    やり過ぎたか、とは思った。雪ノ下は実はそれほど強くない。虚勢を張り態度には絶対に出さないが、その実、内面はそこまで強くない。由比ヶ浜の方が強いと思う時だってある。だが、これはやり過ぎでなければ効果がない。俺は一旦言葉を区切って雪ノ下を眺めた。雪ノ下は小さく震えていた。

    「っ……」

    声がやや漏れた。だが、その声は俺の想像とはまったく違ったものだった。

    それは笑いを噛み殺している声だった。

    「ひ、比企谷君……っ……なにかしら、それ?」

    「…………」

    今度は俺が黙る番だった。次の言葉がまるで出てこなかった。

    79 = 73 :

    急いで逃げなくてはならない

    80 :

    これは気がふれてますわ

    81 = 74 :

    さぁ由比ガ浜とデートの約束でもするか

    82 = 75 :

    このゆきのんは葉山に丸投げしてもいい

    83 = 76 :

    こうもイカれる位葉山嫌ってるって事かぁ

    狂われても自殺されるよりマシと取るべきか否か……

    84 :

    居酒屋居酒屋行ってた癖にすっかり夢中になっててワロタ

    85 :

    「っ……。本当に何かしらね、それ」

    ようやく笑いが止まったのか、雪ノ下は口を覆っていた手を外した。そこには微笑と言うより、嘲笑が隠れていた。

    「あなたが必死に考えて出した答えがそれなの? だとしたら呆れるわね。ミジンコと比べるのが失礼なくらいの単細胞と言わざるを得ないわ」

    「…………」

    「ちなみに比企谷君、あなたは孫子という本を知っているかしら?」

    「……孫子?」

    オウム返しになった。いきなり話が飛んだ。

    「古代の中国の兵法書よ。今風に言うと、戦争の教科書みたいなものかしらね。でも、孫子が登場してから二千年以上も経っているのに、その時から戦争のやり方は一切変わっていないと言われているわ。それぐらいよく出来た教科書なのよ。その理論は経営や営業にも使えるという事で、今はビジネス書としても読まれているぐらいにね」

    「……だから、何だよ」

    この時既に雪ノ下のペースにはまっている事を俺は自覚すべきだった。

    「その孫子の中にこういう言葉があるのよ。敵が普段と違う行動を起こしたら、それは罠をかけようとしているから注意しろ、ってね」

    「…………」

    「私をわざと怒らせるか、もしくは泣かせるつもりだったのかしら? どちらにしろ、相模さんの時の二番煎じの様なものよね。それで呆れられても仕方ないと思わないのなら、大したものだと思うわ。誤解されると困るから一応言っておくけど、悪い意味でよ」

    「…………」

    「その程度の事しか思いつかなくなってしまったなんて。あなた本当につまらない男に成り果てたわね」

    「…………」

    86 = 73 :

    一応ヒステリーとまったし会話になったから
    目論見成功なんだろな

    87 :

    なるほど、孫子の話でヒステリーからヒストリーに切り替わったのか!

    88 = 75 :

    もうヒステリーとか通り越してるよこれ

    89 :

    いつもと違う行動取ったのは誰って話?

    90 = 68 :

    これは調教ですわ

    91 = 69 :

    雪ノ下の推測はほぼ合っていた。だから、俺は何も言い返せない。

    なだめるのが無理なら、いっその事、感情を爆発させてやればいいと俺は考えていた。火山が噴火する様に一時は荒れるだろうが、その後は冷静になるはずだと。

    荒れの部分は俺が引き受ける。なだめたり慰める部分は彼氏の葉山に押し付ける。そういうシナリオだった。その過程で雪ノ下のストレスが多少は解消されると思ったし、原因をどこかで吐露する可能性は高いと思っていた。それさえ聞ければ、根本的な解決に至らなくとも、どこかで折り合いをつける地点が見つかるだろうと俺は考えていたのだ。

    だが、雪ノ下はそれを見透かした上で、完全に拒否をした。鼻で笑うのではなくその考えを腹の底から嘲笑っていた。

    不意に、そもそもこいつは本当に怒りを覚えていたのかという疑問が俺の中にわいてきた。激怒している中でだ、ヒステリーを起こしている中で、果たして腹の底から笑える奴がいるのだろうか。例えそれが嘲笑だったとしてもだ。

    俺は雪ノ下雪乃という人物像を再び見失った。

    92 :

    最初の方で居酒屋とか量産型とか喚いてた恥ずかしい連中はどんな顔して読んでんだろうなこれ

    93 = 69 :

    「どうなのかしらね、比企谷君」

    落ち着いた『いつも』の声が届く。『いつも通り』ではない雪ノ下から。

    「最初の頃のあなたなら、さっきの選択は絶対に取らなかったという事にあなた自身は気付いているのかしら?」

    「…………」

    「昔のあなたなら、何も言わず無言で外に出たはずよ。自分には関係ない、面倒ごとは御免だ、といった表情でね。いつからあなたは妙な勘違いを起こす様になったのかしら?」

    雪ノ下の言葉一つ一つが、まるで銃弾の様に俺の体を撃ち抜いていく。

    「何も持たない事があなたの強みだったはずよね。それなら、今のあなたは一体何を持った気になっているのかしらね?」

    「…………」

    「今のあなたが見て感じ思う事は、全部、本物ではなくあなたの痛々しい妄想ではないの? どうしてかと言えば、今はあなた自身が紛い物へと変化しているからよ。そんな腐った目で見た物が本物であるはずがないもの」

    紛い物か……。確かにそうかもしれないな。

    「本当につまらない男になったわね。ヒキタニ君」

    じゃあ、今のお前は本物なのか、雪ノ下雪乃?

    94 = 68 :

    いま荒らされてないってことは居酒屋信者はもう読んでないってことだろ。

    95 = 73 :

    これ、黙って外に出た場合は
    本物発言持ち出していたぶられてた流れなのでは……

    96 :

    頭おかしいゆきのんは捨てて結衣の方に行こう

    97 :

    正論つついて反感を買う
    今のゆきのんは何時だかの誰かさんにそっくり

    98 = 74 :

    暗に今の自分は紛い物だと予防線を張ってるな
    本当の自分すら素直に出せなくなったなら、表に出してる今の紛い物こそ本物だろ
    めんどくさいのはほっといて由比ガ浜とデートしようぜ

    100 = 69 :

    俺は黙ったまま踵を返した。そして、さっき雪ノ下が投げつけてきた文庫本のところまで行きそれを拾い上げた。

    本はやはりブックカバーがついていて、表紙が見えない。軽く開けて題名を見てみると、『若きウェルテルの悩み』とそこには書かれていた。これも有名な文学作品だ。俺でも知っている。

    落ちて変な感じに折り目がついていた本を、ページをめくって丁寧に直した。ブックカバーも外れかけていたのでそれも元通りに直す。それから、表紙と背表紙の両面を軽くはたいてついていた埃を落とした。

    「雪ノ下、落ちてたぞ」

    雪ノ下の目の前まで言ってそう告げる。それから、手を振り上げ横に向けて勢いよく下ろした。

    「っ!」

    前に俺がされた事とまったく同じ事を、俺は雪ノ下にした。文庫本を使って一切の手加減なく雪ノ下の頬をはたいた。

    反射的に仰け反ったからか、雪ノ下の座っていた椅子が後ろに揺れて小さな音がした。俺は自然と文庫本から手を離していた。それが床に落ちる音。雪ノ下の長く綺麗な髪は強風にあったかのように乱れていた。唇の端は腫れて内出血を起こしている。

    雪ノ下ははたかれた体勢のまま、わずかに首をもたげて横を向いていた。目は閉じていなかった。そして、微かに口元を上げて笑っていた。


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