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    元スレ京太郎「ステルスと」モモ「イーワンっす!」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×4
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    201 = 1 :



    結果、いつもより緊張してしまって周りを全く見えなかった。
    何度も振り込んでしまった。
    そして気がつけば南場に突入し、もう一度振り込んだら飛んでしまうような状態になってしまった。

    ゆみ「須賀くん」

    加治木先輩に呼ばれて振り返る。

    ゆみ「そんな絶望的な顔をするな」

    加治木先輩が優しく俺の頭を撫でる。

    京太郎「っっ」

    ビクンと体が跳ねた。
    女の人から触れられる経験が少ないのでビックリしてしまった。

    ゆみ「大丈夫だ」

    ゆみ「君には私がついている」

    自信たっぷりの声で耳元でそっと囁く。
    その言葉を聞いた途端、体の緊張の糸が霧散していった。

    ゆみ「さあ、残りの局もしっかりやるんだ」

    京太郎「はいっ」

    元気良く返事をする。
    配牌を確認する。
    さっきとは比べ物にならないくらい良かった。
    配牌の中で一番作り易い役を考える。
    方針を決めて不要な牌を捨てる。
    ツモっては不要な牌を捨てる。
    その行動一つ一つに意識を集中させる。


    202 = 1 :



    京太郎「よし…リーチだ」

    思いきってリーチをかける。
    なんとなく上がれる気がした。

    智美「ワハハー早いなー」

    笑いながら現物を捨てる。

    桃子「3巡目リーチとか当たったら事故っすよこんなの」

    それでもスジを読んで捨ててくる。

    ゆみ「いいぞ、須賀くん」

    肩に手を置かれる。
    その手から伝わる熱を感じて顔が熱くなる。

    佳織「えと…これなら大丈夫かな…?」

    妹尾先輩がビクビクしながら牌を捨てる。

    京太郎「その牌、ロンっ!!」

    京太郎「リーチ一発ピンフっす!」

    高らかに宣言した。
    点数は低いけど先輩たちとやって初めて上がれた瞬間だった。

    203 = 1 :



    ゆみ「よし、よくやったぞ京太郎!」

    後ろから嬉しそうな声で加治木先輩が俺の肩を叩く。

    京太郎「はいっ! やりましたよっ!」

    席から立ち上がり加治木先輩を向き合う。

    京太郎「先輩のおかげで上がれましたっ!」

    頭を下げる。

    ゆみ「いやいや、今のは君の実力だよ」

    京太郎「でも先輩が励ましてくれなかったら焼き鳥のままだったっす」

    京太郎「だから先輩になんかお礼をしたいんです!」

    ゆみ「本当に大したことしていないんだが…」

    加治木先輩はやれやれと首を振り

    ゆみ「はぁ……君は一度言い出したら何しても曲げそうにないな」

    ゆみ「では、お礼というわけではないが」

    ゆみ「須賀くん、携帯を出してくれないか?」

    京太郎「携帯ですか?」

    言われた通り、スマホをポケットから取り出す。
    先輩もスカートのポケットからスマホを取り出す。

    ゆみ「君の電話番号教えてくれ」

    まさか…この展開って…。
    ゴクリと唾を飲み込む。

    204 = 1 :



    ゆみ「部で活動する上で番号を知っていないと何かと不便だと思ってな」

    ですよねー。
    スマホを操作して待ち構える。
    ピロリンと音が鳴り画面には登録しましたの文字が出ていた。

    ゆみ「………ふふっ」

    智美「おやおやーユミちんがニヤニヤしてるぞー?」

    ニヤニヤしてるのは蒲原先輩の方だと思うんですけど。

    ゆみ「ば、ばかいうんじゃにゃい!」

    ゆみ「あっ…………」

    見る見るうちに顔を真っ赤に染める加治木先輩。
    それを見て蒲原先輩が笑い、睦月先輩、妹尾先輩が笑う。
    俺もモモもいつの間にか釣られて笑っていた。

    ゆみ「あーもう!」

    ゆみ「皆して笑うなぁぁぁぁぁぁぁ///」

    加治木先輩の声が校内中に響き渡ったのだった。


    205 = 1 :




    ゆみ「ちなみに他の部員の電話番号は知ってるのか?」

    京太郎「知ってますよ?」

    ゆみ「!!?」

    京太郎「合宿の時に交換しましたから」

    ゆみ「蒲原もか?」

    京太郎「部長ですからね。一番最初に教えてました」

    ゆみ「          」

    京太郎「あれ、どうかしましたか先輩?」

    ゆみ(アレより先だと思ったのに……)グスッ

    206 = 1 :

    これにて本日は区切りっすよー
    そろそろ咲ちゃん出すっすよー

    207 :

    かじゅ可愛い

    208 :

    修羅場までまだ時間かかりそうですかねぇ

    209 :

    >>208
    そうでもないっす
    文学少女がそろそろ顔を出します

    20時くらいに投下予定っすー

    210 :

    毎回、と言うかどのSS読んでも思うが、他校にいる設定だと大概修羅場になるよな

    211 :

    >>209
    咲さんはレズるか麻雀マシーンになってください
    マジでお願いします

    212 :

    さて更新の時間っすよー

    213 = 1 :




    【文学少女は恋する乙女?】

    214 = 1 :



    久々にアイツに電話してみるか。
    スマホを操り電話帳を開いてさ行の一番最初にいた奴に電話をかける。
    四回ほど呼び出し音が聞こえると、

    『もしもし?』

    どうやら無事に繋がったようだ。
    5回に1回は切られるんだよなぁコイツに電話すると。
    わざとやってるわけじゃないからすぐに折り返しの電話が来て謝ってくるんだけど。

    「おう、俺だよ俺」

    『新手の詐欺かな?』

    電話越しでもクスクスと笑ってるのが分かる。

    「いやー今日いいことあってさ」

    『へー』

    「いやいや、そこは何があったの?って聞くところだろ」

    『なにがあったのー?』

    「いやそんな興味なさ気に言われても…」

    『嘘だよっ、で、何があったの?』

    「なんと俺、麻雀でかなり強い先輩相手に上がれたんだぜ?」

    『………』

    「咲、聞いてるか?」

    『あ、うん、聞いてるよ』

    『へー、京ちゃんって麻雀やってるんだー』

    「麻雀に詳しい友達が出来て教えてもらったら思いのほか面白かったんだよ」

    「咲もやってみようぜ?」

    「まぁ、ポンコツな咲じゃちょっと難しいかもしれないけどな」

    『私はポンコツじゃないもんっ!』

    「へいへい、お姫様」

    『そーやっていつも誤魔化すんだから…』

    呆れた様子で咲はため息を吐いた。

    215 = 1 :




    『あ、京ちゃん』

    「ん?」

    『京ちゃんって麻雀部に入ってるの?』

    「初心者だけどな」

    「あ、そうそう。部長が大会に出るって言ってたぜ」

    「もし予定が合ったら応援しにきてくれよな?」

    『ふーん…わかった』

    「ふぁぁ…」

    『京ちゃん眠いの?』

    「んーまぁ麻雀で体力使ったしな」

    『じゃあもう寝る?』

    「悪いけどそうするわ」

    『全然大丈夫だよー?』

    「また何かあったら電話するぜ」

    『私も何かあったら京ちゃんに電話するね?』

    「電話できるならな」

    『何度もかけ直してるんだから出来るよっ!?』

    「いやミスって電話ぶっちすることなかったらそんなことにはならないんだが…」

    『ぐぬぬ………今に見ててよね』

    『きっと京ちゃんをあっと言わせてあげるんだからっ!』

    きっと今電話越しで凄んでるんだろうけどなぁ。


    216 = 1 :




    「はいはい期待して待ってる」

    『……絶対期待してないし』

    「じゃあ、もう寝るよ」

    『うん、私も明日の準備もしなきゃならないから』

    「準備して忘れて行ったら意味ないからなー」

    『流石にそれは私を馬鹿にしすぎだよ京ちゃんっ!?』

    「わりぃわりぃ」

    『もう…私だからいいものだけどさ。反省してよね?』

    「お許しくださいませお姫様ー」

    『くるしゅうないくるしゅうない』

    「ってこんなこと言ってたらずっと寝れないな」

    『ん、そうだね』

    「ということでほんとに寝るからな」

    『うん』

    「咲、お休み」

    『お休みなさい、京ちゃん』

    画面を押して通話を切る。
    切ると同時にあくびが出てきたので布団にもぐりこむ。
    瞳を閉じるとゆっくりと意識が闇の中に沈んでいった。


    217 = 1 :



    咲視点


    (……京ちゃん)

    私は机の上に置いてある写真立てを指で撫でる。
    中学の時に運動会でお父さんに撮って貰った写真。
    そこには私と恥ずかしそうに鼻を擦って目を逸らしてる京ちゃんの姿があった。
    彼と出会ったのは中学に入ってからだった。
    人と話すのが苦手で入学してから趣味だった本を読んでいた。
    そのせいか、委員会を決める時にある生徒が、

    「宮永さんっていつも本読んでるし図書委員でいいんじゃない?」

    と言った。
    委員会は規則的に男女ペアで入るのが学校の方針だった。
    地味で無口な私と一緒の委員会なんて誰が入ろうとするのだろうか。
    そう思った直後だった。

    218 = 1 :




    「俺、図書委員会入るぜ!」



    219 = 1 :




    と京ちゃんが立ち上がりながらな名乗りを上げた。
    京ちゃんは明るい性格で入学当初からクラスの中心にいた。
    まるで私とは全く正反対な人。
    正直なんで名乗りを上げたのかよくわからなかった。
    周りのクラスメイトも同じ気持ちなのか、とてもどよめいていた。
    それから京ちゃんと一緒に図書委員になって活動した。
    初めて委員会集会があった時、集合場所が分からなくて迷子になった。
    嫌になって泣きそうになった時、後ろから京ちゃんが走って私の元に来て、



    220 = 1 :



    「ったく…もう全員集まってるぜ?」

    って言いながら手を引いてくれた。
    多分、私はその時から京ちゃんを意識してたんだと思う。
    それからも集合の度に京ちゃんは私のことを待っていてくれた。
    一緒に図書便りを作ったり、一緒に図書館の受付したり。
    沢山のことを京ちゃんと共有した。
    京ちゃんといた三年間は全部楽しくて充実していた。
    高校に上がってからは中学入学当初とあまり変わらない日々を送っていた。
    窓際の席で読書に耽る日々の繰り返し。
    一つ違うとすればこうやって京ちゃんが毎日連絡くれることくらい。


    221 = 1 :



    (そういえば京ちゃん、麻雀部に入ったんだっけ…)

    確か私の高校にも麻雀部があったはずだ。
    学生議会長、他の学校では生徒会長を務めてる人が入学式の後にあった部活紹介の時に麻雀部のことを言っていたような気がする。

    (明日、麻雀部に行ってみようかな…)

    もぞもぞと布団の中に潜る。
    明日はもっと京ちゃんと話せますように、と心の中で呟きながら意識を手放していった。


    222 = 1 :

    いったんここで区切りますっす

    書き溜めが溜まった時に更新しますっす

    京太郎ハーレムみたいなのが苦手な方は戻る推奨っす
    注意書きに書いてなくて申し訳ないっす

    223 :

    百合豚の意見は気にしない方がいいよ
    おつんこ

    224 = 211 :

    いや、ただ部外者の咲さんはいらないだけ
    小ネタスレのほうに戻ってどうぞ

    226 :

    いまさらですが咲ちゃんの回想と京太郎の回想で矛盾発生してしまった…orz
    >>33
    中学校時代も両親の転勤で引っ越すことが多かったからなぁ・・・。
    中々一つのことに集中なんて出来なかったし。

    小学校時代まで両親の転勤で引っ越すことが多かったからなぁ・・・。
    中学じゃポンコツの相手で精一杯だったし中々一つのことに集中なんて出来なかったし。

    に脳内変換お願いしますっす
    以後こんなことがないように気をつけるっす…
    申し訳ないっす

    227 :

    おつですお

    228 :

    ええんやで

    229 = 1 :



    【げっ歯類とステルス少女】


    230 = 1 :




    京太郎「うーん」

    俺は加治木先輩から渡された本を見ながら唸っていた。
    タイトルは『これなにどれ捨てる?』という麻雀雑誌だ。
    表紙にはプロ雀士の瑞原はやりこと、卓のおねえさんのはやりん(28)だ。
    何度見てもこの人のおもちはすばらしいと思う。

    桃子「どうしたっすか?」

    モモが俺が見ている本を覗き込む。

    京太郎「ここが分かんなくてさ」

    見やすいようにモモの方へ本を向ける。

    桃子「あー、これちょっとした引っ掛けっすねぇ」

    桃子「ほら、ここでこの牌を捨ててあるっすから」

    そう言って本に書かれている牌を指差して説明する。
    モモの教え方は相変わらず分かりやすい。

    京太郎「なるほど…ありがとなモモ」

    桃子「京太郎さんの為だったらお安い御用っすよ」

    そう言って俺の隣に座る。


    231 :

    てか、ポンコツ扱いって……
    京太郎はあんまり咲のこと好きじゃないだろwwwww

    232 = 1 :



    桃子「そう言えば今週の土曜日は暇っすか?」

    京太郎「んー特に用事はないぞ」

    そう答えるとモモは笑顔になり、

    桃子「じゃあ、土曜日は京太郎くんの家で麻雀の特訓っすよ!」

    と元気良く言った。

    京太郎「特訓か…」

    そう言えばそんなこと言ってた気がする。
    先輩たちに頼りっきりになるよりも自分たちで強くなる努力は出来るだけしたい。
    そうとなれば答えは決まっていた同然だった。

    京太郎「ああ、じゃあ土曜日にな」

    という訳で土曜日に俺の家で特訓をすることになった。

    233 = 1 :


    土曜日。
    モモとの待ち合わせの時間丁度に目的地の駅に辿り着いた。
    木陰にモモの姿を確認する。
    腕時計をチラチラと確認していた。
    なるべき気付かれないように後ろから接近する。
    ゆっくり足音を聞こえないように気をつけながらモモの背後に辿り着く。

    京太郎「よっ」

    後ろから背中を叩きながらモモに声をかける。

    桃子「ひゃっ!」

    相当ビックリしたのか前につんのめっていた。
    その様子が可笑しくて声を上げて笑う。

    桃子「もーっ! 笑い事じゃないっすよー」ウガー

    俺の胸をポカポカと叩いてきた。

    京太郎「悪かったって」ニヤニヤ

    桃子「そんなニヤニヤしながら言われても全然誠意を感じないっす!」

    京太郎「後でアイス奢ってやるからそれで勘弁な?」

    桃子「………ピーチ味っす」

    京太郎「分かってるよ、桃姫様」

    ゆっくりと家に向かって歩き出す。
    モモが後ろからトタトタと着いて来る。

    234 = 1 :



    桃子「そう言えば京太郎くんの家ってどんな感じなんっすか?」

    京太郎「どんな…って難しい質問だな」

    あんまり自分の家を考えたことないのでどう答えればいいのか分からないのだ。

    京太郎「普通だよ、普通」

    桃子「ふーん」

    京太郎「その前に、コンビニよろーぜ」

    桃子「私はかまわないっすよー」

    近くにあったコンビニに入る。
    店員のお決まりの挨拶を聞きながら棚を物色する。
    モモへの約束の品を手に取る。

    京太郎(これと…あっ)

    プロ麻雀せんべいが売っているのが目に入る。
    迷うことなくそれを手に取りレジに向かう。
    会計を終えると先に買い物を追えたのかモモがコンビニの外にいて待っていた。

    京太郎「ほれ、姫様のご志望の品だ」

    そう言ってモモにピーチ味のアイスバーを渡す。

    桃子「くるしゅうないくるしゅうないっす」

    満足そうにそれを受け取って袋をあけて中身を取り出す。


    235 = 1 :



    髪を掻きあげアイスバーを頬張る。

    桃子「ちゅぱ、ちゅっ」

    口の奥まで入れて吸い取りながら頭を何度か前後させる。

    桃子「ぷはぁっ」

    苦しくなって口を離す。
    唾液で濡れたそれは徐々に汁を増やしていく。

    桃子「あぁ…もったいないっす」

    汁が落ちる前にそれを下から上に舐めまわす。

    桃子「んっ…れろ…」

    モモはもう一度棒を口に入れて汁を吸い取った。

    桃子「ん、ろうしたっふか?」

    まじまじと見ていたのがバレた。

    京太郎「な、なんでもない」

    恥ずかしくなって誤魔化すように目を逸らす。
    さっきのモモがエロかったから、なんて言えるわけなかった。

    桃子「あげないっすよ」

    なにやら嬉しそうにそう言ってアイスバーをペロリと食べてしまった。

    236 = 1 :



    京太郎「ここだぜ」

    桃子「おおー」

    無事家に到着する。
    玄関を開けてモモを待つ。

    京太郎「入れよ」

    桃子「お、おじゃましますっす」

    周りを見渡しながら中に入っていく。
    俺も後に続いて中に入る。

    「きゅーっ」トタトタ

    桃子「きゃっ!」

    俺が中に入ると元気よくアイツが玄関に顔を出した。
    しゃがむと俺の傍に寄ってきて身体を擦り付ける。

    京太郎「おーよしよし、今日も元気だなー」

    そのまま抱きしめてやると嬉しそうに更に身体を擦り付けてきた。

    桃子「な、なんっすかその生き物……」

    モモがどうしたらいいか分からずにおろおろとしている。
    そういやコイツを見せるのは初めてだな…。
    抱きしめた腕を離して立ち上がる。

    京太郎「コイツは俺のペットのカピバラのカピーだ」

    カピー「きゅーっ♪」スリスリ

    桃子「…ネーミングセンス」ボソッ

    京太郎「変な名前付けるよりかはいいだろっ!?」

    桃子「まぁそうっすけど…」

    237 = 1 :



    桃子「もしかして京太郎くんってボンボンなんっすか?」

    京太郎「んーそうか?」

    カピーを撫でる。
    ごわもふしてる質感がたまらない。
    ずっと触っていたくなる。

    桃子「私もちょっとだけ触ってもいいっすか?」

    京太郎「別に許可とか必要ないってーの」

    撫でる手を止めてモモが撫でやすいように撫でる場所をあけてやる。
    モモは深呼吸しておずおずと手を伸ばした。
    恐る恐るカピーに触れる。

    桃子「……なんか…思ってたのより毛が硬いっすね」

    カピーの毛を撫で回す。

    カピー「きゅぅ」

    カピーは気持ちよさそうに目を細める。

    桃子「えへへ…なんか可愛く見えていたっす」

    ちょっと大胆に耳を掴んでみる。
    カピーは嫌がる様子もなく受け入れていた。

    京太郎「カピーに気に入られてるみたいだな」

    桃子「ふふっ…やったっすね」

    モモはニコニコしながらカピーに触れる。

    京太郎「モモ」

    桃子「なんすかー」

    京太郎「先に部屋に行っててくれるか?」

    桃子「部屋っすか? でも場所わかんないっすよ?」

    京太郎「扉の前に書いてあるから分かる」

    それだけ言って俺は居間の方へ向かった。

    238 = 1 :



    桃子「えっと…京太郎くんの部屋は…っと」

    カピーと戯れるのをやめて京太郎の部屋を探す。

    桃子「あ、ここっすね」

    きょーたろー、と書かれた部屋を見つけて中に入る。

    桃子「おじゃましまーす」

    初めて入る男の子の部屋。
    自分の部屋と違って質素でちょっと男の子の匂いがした。

    桃子(これが京太郎くんの匂い…)

    きっと深呼吸すれば肺いっぱいに京太郎の匂いが……。

    桃子(いやいやそんな変態チックなことはしないっすよ!?)

    頭の中で浮かんだ行動を即座に却下する。
    ふと周りを見渡すとベッドの上にある台には何冊か麻雀の本と一つの写真たてがあった。
    なんの写真だろうと思い机に近づく。
    写真たてには10人ほどの生徒と京太郎が写っていた。

    桃子「へー、京太郎くんって図書委員だったんっすねぇ」

    中学時代の京太郎を知らない桃子にとって、その写真は羨ましいものに見えた。
    しばらく眺めているとふとした違和感に気付いた。
    京太郎の隣にいる少女に目がいった。
    パッと見ならば、ああこの人は気が弱くて写真慣れしていないんだろうな、って思えた。
    桃子は見つけてしまった。
    彼女の指が京太郎の服の袖を掴んでいたのを。
    この人が京太郎と中学時代を一番長く過ごした人だと女の勘が告げる。

    239 = 1 :



    桃子(これは…思わぬライバル登場っすね……)

    下唇を軽く噛む。
    もしこの子と京太郎が付き合っていたのなら……。
    いつもの桃子らしくない考えが頭を過ぎる。
    ガチャっと音を立てて扉が開く。
    倒れこむようにベッドの上にダイブする。

    京太郎「お菓子と飲み物持ってきたぞ……ってどうしたんだ?」

    桃子「ちょっと足を滑らせちゃったっす」

    京太郎「ならいいんだけど…」

    トレイからコップとお菓子を丸机に移す。
    後ろからカピーも着いて来ていた。

    京太郎「お前はご飯食べたからダメ」

    カピー「きゅぅ……」

    しゅんとしてしまった。
    京太郎はクッションを桃子の近くに置く。

    京太郎「ほら、モモもこっち座れよ」

    クッションをポンポンして促す。
    ベッドから立ち上がりクッションに座る。

    桃子「えへへ、ありがとうっす」

    ちょっとした京太郎の優しさが嬉しくてつい笑顔になる。

    京太郎「女の子に地べた座れなんて言ったのが親父に伝わった日には半殺しにされかねないからな」

    恥ずかしそうにそっぽを向いて頬を掻く。
    誤魔化すようにノートパソコンを開く。


    240 = 1 :



    京太郎「ほら特訓するんだろ?」

    桃子「でもほら…ついてすぐにやる必要はないと思うっす」

    桃子「休憩も必要っす」

    京太郎「まぁ、そうかもな」

    桃子「というわけで京太郎くんの中学時代の卒業アルバムを見ることにするっすよ!」

    京太郎「俺の中学時代なんてそんなに面白いものないぞ?」

    桃子「それでいいんっすよ、私が見たいだけっすから」

    京太郎「まぁいいけど……」

    引き出しから卒業アルバムを取り出して机に置く。
    桃子はそれを一枚一枚ずつ捲る。
    京太郎の姿は分かりやすくすぐに見つけることが出来た。
    その近くに例の少女が写ってるのも。

    桃子(一体どんな関係なんっすか……)

    アルバム見た感じ、恋人という感じではない。
    どちらかというと兄と妹に近い。
    ペラペラと捲ってくと気になる写真を見つけた。

    桃子「これ…」

    京太郎「おー懐かしいなぁこれ」

    京太郎が身を乗り出して写真を見る。
    運動会でリレーのアンカーを務めて一位でゴールした写真だった。
    他にも文化祭の写真やら修学旅行の写真など三年分の思い出の写真がたくさんあった。

    桃子(私も一緒に過ごしたかったっすね)

    なんて心の中で呟いてみせる。

    241 = 1 :



    京太郎「じゃあ片付けるぞ」

    そう言って卒業アルバムを閉じて立ち上がる。

    桃子「りょーかいっす」

    京太郎「おっと…長く座ってたから足が」

    カピー「きゅー♪」ドンッ

    カピーが京太郎に体当たりした。
    普段なら何の問題もない行為。
    しかし、足の感覚がない京太郎は踏ん張ることが出来ず、

    京太郎「うぉっ」

    桃子「えっ……」

    バッターンと音と立てて倒れこむ。

    京太郎「いてて…すまんモモ」

    桃子「だ、大丈夫っすよ…あっ」

    京太郎「ん?」

    気付けば目と鼻の先の相手の瞳があった。
    二人とも相手の目から目を逸らすことが出来なかった。

    242 = 1 :




    桃子「京太郎くん」

    京太郎「なんだ?」

    桃子「京太郎くんといつも一緒に写ってたあの子って…」

    桃子(ってなんでこのタイミングでそれを聞いてるっすかー!?)

    京太郎「あー、ああ、アイツはただの同級生だよ」

    桃子「本当っすか…?」

    京太郎「嘘なんてつかねーよ」

    桃子「えへへ、そうっすよね」

    そう言って桃子は笑顔になった。

    京太郎(……やっぱりモモって可愛いよな。笑顔だと特に)

    京太郎「なぁ…モモ」

    桃子「なんっすか?」




    243 = 1 :





    京太郎「キスしていいか?」



    244 = 1 :




    京太郎「ぐふっ!!」

    桃子の上にいた京太郎が横に吹き飛ばされるように転がった。

    カピー「きゅーきゅー!」

    吹き飛ばした本人が不満そうに鳴き声を荒げる。
    どうやら遊んでもらえないのが不満だったようだ。

    京太郎「いてーだろがっ!!」

    カピーに近づき顔をぐりぐりとこねくり回す。

    カピー「きゅっきゅっ」

    嬉しそうに鳴く。
    カピー的には遊んでもらってると思っているようで楽しそうだった。


    245 = 1 :



    桃子(……………さっきの)

    桃子は心臓に手を当てる。
    心臓の音は激しく音を立てて脈動をしている。
    あの時もし答えていたら…。
    桃子は服をぎゅっと掴む。

    桃子(………京太郎くん)

    真っ赤になった顔の熱は引かず。
    京太郎の姿を見るだけで顔が熱くなっていく。

    桃子(………ホントにもうっ)

    桃子(……こんなにドキドキさせるなんてっ)

    桃子(……京太郎くんも罪な人っすね)

    桃子(……これ以上好きになったらどうするつもりなんすか)

    桃子「……もう手加減なしっすよ///」

    京太郎に聞こえないように小さく呟いたのだった。

    246 :

    今まであれで加減していただと…!

    247 = 1 :



    閑話休題


    ゆみ「で、ちゃんと課題もしてきたんだろうな?」

    京太郎「」

    ゆみ「ほう…いい度胸じゃないか」

    ゆみ「どうやら君にはもっと課題を増やした方がいいみたいだな」

    ゆみ「ここに君に貸した本の続編が20冊ある」

    ゆみ「これを明日までにやってもらおうか」

    ゆみ「無論、前に渡した課題もやってもらうよ」ニッコリ

    京太郎「そんな…殺生な………」

    ゆみ「なに、人間一日くらい寝ないでも生きていけるさ」ニコ

    京太郎「」チーン


    智美「ユミちんはスパルタだなー」

    桃子「…………」ヌキアシサシアシシノビアシ

    智美「モモー逃げようとしても無駄だぞー?」

    ゆみ「ああ、モモにも当然須賀くんと同じメニューをやってもらう」ニッコリ

    桃子「」チーン


    必死で課題を終わらせる努力をする二人の姿があった。
    終わったか終わらなかったか、どちらを信じるのかは貴方次第です。

    248 = 1 :

    区切りっす
    ライバル登場とカピ登場とモモイベントこなしたかった結果こうなったっす
    文才下さい(懇願
    上手い引き際がわからないっす
    どうなるの?って興味を引ける終わり方をしたいのです



    >>231
    手のかかる妹みたいな感じの印象なのでポンコツ扱いです

    >>246
    自分からはロンしかしてない気が(震え声

    249 :

    モモ可愛いよモモ

    250 :

    乙!
    モモもカピーも可愛いなぁー


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