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    元スレ闇条「お前…ムカつくな」

    SS+覧 / PC版 /
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    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - 木原くン + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    51 :

    深夜から読んでた
    続きはよ

    52 :

    ほんと今まで読んできてくれた人のこととかどうでもいいのな

    54 :

    板が変わったからなんだってんだ

    55 :

    上条さぁぁぁん!!!
    おつでふ

    56 :

    >>54
    あっちこっちに立ててたらうざいと感じる奴もいるってだけだよ
    速報と深夜の両方を見てる奴もけっこういるだろうし

    58 :

    >>56
    両方で進めるならともかく、向こうのスレ破棄宣言してここへのリンクも貼ってるわけだし、何も問題はない気がするけどな
    宗派の違い的な、そういう無意味な対立意識でもあるんだろうかね

    59 :

    不快にさせた方がいたようですね。

    自分なりにLR読んで深夜の方は気ままに自由だったので立て替えても不都合ないと思ってました。

    ごめんなさい。ここまでよんでくれてありがとうございました。


    今日の分投下しますね

    60 = 1 :





    あれから何分が経っただろうか。

    初めてのキスを奪われ、服をすべて脱がされ、全裸で地べたに横たわる少女は、声を上げて泣いていた。

    少女の隣に立つ大男は、そんな少女のことなどお構いなしに嬉々として服を脱いでいる。


    大男が服を脱ぎだした瞬間、性知識の少ない少女にもこれから男が何をしようとしているのかがはっきりとわかった。

    大男はその全身を持って、少女の初めてを奪い尽くそうというのだ。

    そして、たとえその地獄のような時間が終わったとしても、その先に希望はない。

    少女が明日を迎えることは未来永劫叶わないのだ。


    思えば遠くまで来てしまったな、と少女は他人事のように考えていた。

    きっとこれは一種の自己防衛本能なのだろう。

    いまとなってはもう抵抗する気も起きなくなっていた。

    それでも涙が次々に流れてくるのはなぜだろう。

    61 = 1 :




    こんな絶望的な状態でも、少女の頭によぎるのは楽しかった思い出ばかりだった。

    つまらなかったはずの授業も、面倒だったはずの学校も、実は本当に幸せなことだったと今になって実感する。

    もういつのもの生活には戻れないことがわかってしまうと、ほんの数時間前まで元気に笑っていたことが信じられなかった。



    ―――はぁ…なんで、なんであんな道を通ってしまったんだろう。

    近道なんてしなければ。


    ―――なにか悪いことしたかな?わたし…



    A「ねぇ…神様ぁぁ」



    「今更神頼みか?おい?」

    「もうなにもかも手遅れなんだよ」

    62 = 1 :




    大男は、硬くなった陰茎を少女の股間に押し当て、そのまま彼女の股間にこすりつけるように腰を前後させる。


    大男がいよいよ少女の膣内に挿入しようと腰を上げたところで、二人だけだった空間になにかが割り込んできた。



    それは、奥の倉庫から響いてくる一つの乾いた音。

    銃声と思しきその音は、その一回を皮切りに続けて5,6回鳴り響いた。

    少女の顔に驚きが、大男の表情に焦りが現れる。

    ふいに流れた緊迫の空気は、その後響いてきた男たちの悲鳴によってより一層のものとなった。


    仲間割れか――あるいは侵入者か。


    男は慌てて服を着こみ、ポケットから取り出した拳銃を握ると、そのまま部屋の外へ飛び出していった。


    絶望にひしがれていた少女に、希望の光がさしはじめる。

    63 = 1 :




    もしかしたら――アンチスキルが来てくれたのかもしれない。

    もしかしたら―――。

    少女は全裸なのも構わずに、大男が去っていった道を恐る恐る追っていく。


    部屋を出た途端、火薬のような匂いが少女の鼻をつき、彼女の脳内に映画やドラマの銃撃戦のシーンが思い起こされた。

    彼女の想像にリンクしたように再び銃声が轟き、その度に男たちのうめき声や叫び声がこだまする。


    息を殺し音に近づいていくと、少女が連れて来られた倉庫まで辿り着いた。



    その先に広がるの、何もなかったはずの倉庫は阿鼻叫喚と化していた。

    乾いた音が響く度に男たちが血しぶきを上げて沈んでいく。

    ある者は声を上げ、あるものは声もなく――。

    ただ共通して誰もが一発だけ、心臓に当たる部分だけを撃ちぬかれて死んでいく。

    この場にいる誰もが恐怖に青ざめるその光景に、しかし少女だけはそんな様子を見せない。

    64 = 1 :



    少女にとって、死んでいく彼らは恐怖の塊でしかなかった。

    故に彼女にとってこの光景は、ヒーローが敵を倒していく場面にさえ映っていた。

    苦しそうに命を散らしていく彼らの姿に少女は一切の同情も抱かない。


    立ち込めていた薄い煙が晴れると、二人の対照的な男の姿があった。

    片や、拳銃を片手に余裕綽々の態度を見せる細身の少年。

    片や、高圧的な態度の消え失せた必死に命を乞うだけの巨漢。


    つい先程まで狩りを楽しんでいた大男も、強者の前では狩られる側でしかない。

    彼のやってきたことなど、鬼の居ぬ間の洗濯に過ぎなかったわけだ。

    鬼が帰ってくれば阿諛追従するしかない、惨めな男。



    少年「テメェら、やりすぎたな」



    緊張が支配していた沈黙の空間に、少年の声がよく響いた。

    少女と同世代に見えるその少年も、その態度と威圧的な姿勢からずいぶんと大きく見える。

    65 = 1 :




    少年「能力者狩りだけで十数人殺っちまったって?」

    「た、頼む…金なら入るんだ!今取引の―――



    大男の声を、少年の放った銃声と鉛弾が制する。

    一瞬何が起きたかわからなかった様子の大男も、自分の腕がなくなっていることにすぐに気がついた。

    無くなった肩から先を見て、少しだけ笑う。

    少女には重度の痛みに感覚さえおかしくなっているように見えた。


    66 = 1 :


    少年「上に目つけられた時点でおしまいよ。せいぜい今生での行いを悔いながら地獄に堕ちな」



    ヒラヒラと手を振り、少年が再び銃を構えた。

    ポカーンとした大男の、左腕が、両耳が、両足が、次々に撃ちぬかれていき、その度に大男の絶叫が響く。

    慣れているとでもいうように、その間少年は眉一つ動かさない。

    一瞬の表情の変化もないまま、最後に照準を大男の頭に向け彼を地獄へ堕とした。




    過激な少女の王子様は、物陰から彼を見つめる少女に目を向けると、躊躇なく引き金を引いた。



    67 = 1 :





    上条「ふぅ…」



    一仕事を終えた少年は、死体の転がる倉庫の真ん中で木箱にまたがり携帯をいじっていた。

    倉庫に充満する火薬と血の混じった匂いを気にも止めず、テキパキと下部組織に電話をかける。

    死体の処理を行ってもらうためだ。

    基本的に標的を殺すのが少年の仕事で、その他もろもろをこなすのが下部組織の仕事である。

    少年の耳に3コール目の発信音が聞こえてきたところで、彼の顔つきが変わった。


    一瞬で木箱から飛び退き、左手に拳銃を握る。

    少年の勘が正しかったことを告げるように、倉庫の入り口に若い女がその姿を現した。

    長めの金色の髪にネイビーのベレー帽を被る、碧眼の人形のような少女。

    何が誇らしいのか胸を張り、両手を腰に当て、したり顔で少年を見つめている。

    68 = 1 :




    先に口を開いたのは、統括理事長の切り札である少年のほうだった。



    上条「おい…俺の可愛い部下はどうした。表を張ってたはずなんだけど?」



    フレンダ「誰かいたような?…結局足止めにもならなかったわけだけどね?」



    少年は壁壁とした様子で銃を握り直す。

    こんな事態には慣れっこの少年も、やはり少しだけ面倒に思う。

    目の前に佇む少女は、明らかに裏に足を踏み入れている人間――彼には匂い、雰囲気でわかってしまう。

    様々な暗部を渡り歩き、やがて自分の組織を持つようになってから襲われた回数は一度や二度ではない。

    『統括理事長の切り札』『最強の無能力者』

    その得体のしれない噂が、存在が、邪魔になる人間はいくらでもいるのだろう。

    69 = 1 :



    可哀想に。

    目の前の少女は、そんな不明瞭な存在の抹殺の依頼を受けここに馳せ参じたわけだ。


    また依頼主を叩き潰しに行かなければならない。

    少し面倒だが仕方がない――そう決断したら、少年のほうが速かった。



    地面を蹴り、地面すれすれの低い体勢で爆発的な加速をした少年はあっという間に少女への距離を詰めた。

    不意を疲れた少女は回避行動に移る暇もなく、両手のガードで少年の蹴りを受ける。

    見かけによらず戦闘慣れした少女は、ガードの瞬間にバックステップをすることで蹴りのダメージを軽減していた。

    70 = 1 :




    フレンダ「んぐっ…」



    一瞬の判断にしては完璧とも言える行動を起こした少女だったが、少年の蹴りは予想の遥か上を行く威力。

    少女は後方に5m近くふっとばされた。

    倉庫のシャッターが緩衝材となりダメージは軽減されたものの、すぐには立ち上がれない様子である。



    上条「言え。誰の差金だ」



    少年は銃を構え、短く声を発する。

    71 = 1 :




    フレンダ「誰って言われても…依頼主のことなんて知らないし?」

    フレンダ「結局あんたこそ誰?」



    無用な問答を避けたい少年は、黙って引き鉄を引いた。

    放たれた銃弾は、少女頭の真横を貫通する。



    フレンダ(やばい…こいつ麦野並に容赦無いわけよ)



    上条「テメェの組織は?さっさと答えろ」



    フレンダ「わかった。わかったから…ね?」


    72 = 1 :

    少女は参ったといったようで両手を上に上げる。

    瞬間、何もなかったはずの彼女の手のひらに、筒状のものが現れる。

    少女がベレー帽を顔にかぶり直すと同時に、地面に落ちた筒状の何かが倉庫内を真っ白に照らした。



    フレンダ「フラッシュグレネード」



    少女はさっきまでと打って変わった余裕綽々の声で、一音一音丁寧に発音するように筒状の物体の名称を口にした。



    フレンダ「結局、アンタの目はしばらく見えないわけよ!これでわたしの勝ちぃっ!」


    73 = 1 :

    少女のかかとから仕込まれていた尖頭型の刃物が顔を出す。

    そのまま少年の上段にかかとが食い込むようにすさまじい速さの回し蹴りを繰り出した。

    ビュンッと、ムチを振ったような風を切る音だけが鳴り響いた瞬間、少女の目が、再び驚愕に見開かれた。



    フレンダ(こいつ…目をつぶったままで――!?!?)



    少女の思惑とは反し、少年は目を閉じたまま、しゃがみこんで少女の蹴りをやり過ごしていた。

    次に少女が逆足で蹴りを出しても、少年は目を閉じたままで飛び上がり、バク転で蹴りを交わす。



    上条「無我の境地…ってな!」



    優位なはずの状況に少女は冷や汗を流し、少年は余裕の態度で次々に攻撃を交わしていく。

    74 :

    白井黒子がレイ○されて精神崩壊し犯罪者をかりたてる存在パニッシャ-に御坂美琴がなるSSがアルカディアにあったな

    75 = 1 :




    フレンダ「なんで!?見えないのに避けられるわけっ?」



    得意なはずの肉弾戦も、目をつぶったままの少年にあしらわれてしまう。

    焦り、爆弾を取り出した少女だったが、ブツの回収が済んでいない状況では爆弾を使えないことに思い当たった。



    その一瞬のすきを突いた少年の蹴りが少女の足に命中する。

    見事に体勢を崩した少女は、あっという間に敵の捕虜になった。




    76 = 1 :





    フレンダ「わかった…話すからっ!」



    少女、フレンダ=セイヴェルンと名乗った。は、縄でグルグル巻きにされ銃口を向けられたところでようやく観念した。



    上条「さっきのでわかったと思うけど、能力で何取り出したって無駄だ」

    上条「超広範囲の爆弾で倉庫ゴト自滅する気なら多少は意味あるかもしんねぇけどな」


    フレンダ(それで多少…!?)


    上条「いいから。組織名と他の構成員について話せ」

    上条「そしたら命は見逃してやる」



    少年は今まで自分を狙った組織を潰してきたが、命は奪っていない。

    殺すのは依頼主だけで、依頼を受けた連中は半殺し程度で済ませていた。再び狙われるのは面倒だからだ。

    彼の脅しが聞いたのか、二度続けて命を狙ってきた者はいなかった。

    77 = 1 :




    フレンダ(話したら麦野に殺される…でも話さなかったらここで殺される…)

    フレンダ(可能性は少なくても…今殺されるわけにはいかない)

    フレンダ(妹を守るのがお姉ちゃんの役目だから…)



    フレンダ「そ、組織名は…アイテム」

    上条「アイテムねぇ。構成員は?」

    フレンダ「私の他に3人」

    上条「全員ここに呼び出せ」

    フレンダ「え?何する気?」

    上条「いいからさっさとやれ。リーダーの名前は?」

    フレンダ「む、麦野沈利。第四位」

    上条「うげっ…レベル5かよ。こりゃ面倒だ…」

    フレンダ「アンタじゃ命ないわけよ。スキルアウトに倒せる相手じゃない」

    上条「はぁ?スキルアウトだと?」

    フレンダ「仲間割れで殺したんじゃないの?」

    上条「違うっつの。俺はお前らと同じ」

    フレンダ「じゃあアンタどこぞの研究所の組織ね…」

    上条「お前何言ってんだ?俺を殺しに来たんだろ?」

    フレンダ「え?いやわたしたちはブツの回収に…」

    上条「…」

    フレンダ「…」

    上条「…」

    フレンダ「…」

    上条「俺を殺しに来たわけじゃねえの?」

    フレンダ「アンタはブツの取引しにきたんじゃないの?」

    上条「…」

    フレンダ「…」

    78 = 1 :



    沈黙が場を支配しだした瞬間、少年の顔が険しい物に変わる。

    瞬間、少年は少女の袖を引き、横に飛ぶ。

    見れば、先ほど混て彼らがいた場所に溶かされたような大きな穴が開いていた。



    フレンダ「む…麦野」



    麦野「へぇ…今の交わすんだぁ」



    シャッターに空いた大きな穴から、三人の女が現れた。

    仲間の登場に、少女はただ震えている。

    麦野と呼ばれた少女は嬉々としてフレンダと上条を見据え、付き従っている二人の少女はバツの悪そうな顔で俯いていた。

    79 = 1 :




    麦野「残念だわ、フレンダ」

    フレンダ「…」

    麦野「喋ったのね」



    仲間の裏切りを沈黙を答えとして受け取った麦野の顔の前に、光る球体が現れる。



    麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」



    いざ、原子崩しを放とうとした少女の右頬を、銃弾がかすめた。



    麦野「あぁ?」



    麦野の目が彼女の死角から銃を放った少年に向けられる。

    彼女の強烈な蛇睨みに、少年は銃を構えたまま肩をすくめることで答えた。

    挑発。

    80 = 1 :




    麦野「なんのつもりだよ?童貞野郎」



    上条「俺の早とちりのせいだからな。フレンダ、今回は助けてやる」



    フレンダ「!?」



    上条「ねぇ、オバサン。コイツいらねぇならもらっていいかな?下部組織も全滅でウチは人員不足なんだよ」



    言うやいなや、少年は麦野に向かって二発発砲する。

    しかし、読んでいた麦野は能力を展開させ銃弾を無効化した。



    上条「ひぇ~っ。さすが超能力者だぜ。銃弾が塵になった」

    81 = 1 :




    麦野「のわりには余裕じゃねぇか」



    次は麦野の原子崩しが少年を襲う。

    放たれた原子崩しはまっすぐに少年に元へ伸びていき、彼を貫く、はずだった。



    上条「遅い。止まって見えるぜ」



    少年は、溶けた地面の真横に立っている。

    少年お得意のフットワークがなせる技だった。

    82 = 1 :




    投下終了であります。

    84 :

    お疲れちゃん

    86 :

    闇条△
    フレンダ死ななくてよかった

    87 :

    おっつー月見買ってきた

    88 :

    おつおつ!おもしろい!

    89 :

    おっつおつおもしろい

    90 :

    少女Aどうなったっけと思って読み返したら一行で撃ち殺されててワロタ
    情け無用の必殺仕事人と化してるなこの闇条さん

    91 :

    乙乙
    次も期待してる

    92 = 1 :







    フレンダ「………っ」



    少女、フレンダ=セイヴェルンは自分の目を疑った。

    目の前で繰り広げられている光景が、ただひたすらに信じられない。

    少女のリーダー、麦野沈利は学園都市に七人しか存在しない超能力者である。

    フレンダはこれまでの仕事で、麦野が苦戦する姿をみたことがなかったし、これからもそうだと高をくくっていた。

    それほどまでに、リーダー麦野沈利は圧倒的な存在だった。

    93 = 1 :

    しかし、どうだろう。

    麦野沈利が繰り出すレベル5の一撃一撃を、少年は楽しそうに交わしていく。

    もっと信じられなかったのが、麦野がフレンダに向かってはなった一撃を、少年が跳ね返したこと…。

    跳ね返した、と言えば語弊があるかもしれない。

    うまく言うなら、触れただけで人体が融解してしまうはずの原子崩しを、上条当麻はその右手で掴みとって、投げ返した。

    というのが、少女がみたありのままである。

    麦野も一瞬驚きはしたものの、なんとか跳ね返してきた一撃を交わした。

    それから約1分に渡り、少年は麦野の原子崩しを飛び退いて、転がって、逆立ちで、サイドステップで……遊ぶようにかわし続けている。



    上条「お前…本当に超能力者か?」



    回避行動をやめることなく、少年は今まさに飛び跳ねながら声を発した。

    94 = 1 :




    麦野「あぁ?どういう意味だ?」


    上条「こんな来る場所もまるわかりのスローなビーム…お前はアレですか、穴掘り屋ですか?」


    上条「なんつーか、上条さんは拍子抜けです」



    その一言が、完全に麦野の逆鱗に触れた。

    麦野はプライドをかなぐり捨て、少年を殺すために手段を厭わない覚悟を決める。



    麦野「滝壺。飲みなさい」



    少女の声に頷くことで答えた、滝壺と呼ばれる可愛らしいピンクのジャージを着た少女がポケットから何かを取り出す。



    フレンダ「気をつけて!アレをやられたらまずい!」


    麦野「へぇ~。フレンダぁ…すっかりそいつにご執心じゃねぇか。あぁ?」


    フレンダ「…」


    二人の間に流れた緊張感を、乾いた銃声が打ち破った。

    上条当麻が滝壺理后に発砲した音である。

    95 = 1 :




    麦野「なにっ!?」


    絹旗「しまっ――」



    しかし、滝壺理后から血が流れることはなかった。かわりに、彼女が取り出した何かが風穴を開けられ地面に転がる。



    上条「戦いのさなかに敵から目をそらすなんて…お前はとことん駄目だな」

    上条「あからさまなドーピングなんざさせるわけねぇだろ」



    麦野「チッ…絹旗テメェ滝壺守んのが仕事だろぉぉが!」



    絹旗「すみません」

    滝壺「ううん、大丈夫。それに体晶使っても意味が無い」

    麦野「あぁ?」

    96 = 1 :




    滝壺「このひと、AIM拡散力場がないから…」



    麦野「なんだとっ!?」

    絹旗「!?」

    フレンダ「!?」



    周囲に、驚愕の雰囲気が流れる。

    しかし、上条だけは動揺した様子を見せない。

    AIM拡散力場――能力者が無自覚に発しているとされる微弱な電波のようなもの。それがないのも当然、上条当麻は歴とした無能力者。

    それも、ただの無能力者ではなく、いうなれば完全な無能力者なのだ。

    ただの無能力者であるならば、AIM拡散力場は存在するはずである。



    上条「おいおい。詮索はナシだぜ?…ちょっと変わってるだけだっての」



    明らかな強敵の出現に、戦闘狂である麦野沈利は笑う。

    笑って黒いカードを一枚取り出した。

    97 = 1 :




    麦野「んだかわかんねぇけどおもしれえええ」

    麦野「これでお別れだと思うと涙が出てくるぜ」

    麦野「そこの金髪と一緒に並んで墓を立ててやるよ」



    言うやいなや、麦野は黒いカードを空中に放った。

    今度は放ったカードをめがけて原子崩しを放つ。



    しかし、カードを出した途端から目をつけていた少年に、そんな小細工が通用するはずもなく

    少年は放たれたカードめがけて、原子崩しより早く発砲した。

    98 = 1 :




    カチッ



    上条「…あ」


    麦野「溶けて消えろやああああああ」


    黒いカードに原子崩しが触れた途端、原子崩しは網を通したかのように細かく別れ、それぞれ別に少年に襲いかかる。



    麦野「そんだけありゃもう避けらんねぇだろ!」



    上条「ああ。さすがにこりゃ参ったぜ」



    ここにきて、初めて少年の口から弱音が吐出された。

    しかし、彼の顔は相変わらず余裕の表情を保っていた。

    99 = 1 :

    先に襲ってきた数発をバックステップでかわし、片足のステップで横に大きく飛び追撃をかわす。

    しかし、着地するる場所には既に追ってきた原子崩しが跳んできていた。

    次の瞬間、少年は残っていた原子崩しを飛びながら右手を前に出すことで防ぐ。

    時間に置き換えて1秒足らずの間に、少年は見事にすべての原子崩しを防ぎきっていた。



    上条「もういいや。楽しかったぜ、原子崩し」



    少年は最後にそう告げると、右足のホルスターから別の拳銃を取り出し、麦野沈利に発砲した。



    麦野「馬鹿か!拳銃は効かねぇって――――



    銃弾を原子崩しをバリアのように展開することで防いだ麦野だったが、少年は麦野の遥か上を行く。

    銃弾をフェイクとし、常人の域を逸脱した速度で麦野に迫った少年の拳が彼女の鳩尾に突き刺さった。

    麦野沈利がその意識を散らしたことは言うまでもない。

    100 = 1 :




    フレンダ「う…嘘っ」

    フレンダ「む、麦野を…倒しちゃったわけ?」



    少女は、いまだ目の前の現実が受け入れられずにうろたえていた。

    無敗を誇ったリーダーは、敵に傷を負わせることもできずに敗北したのだから無理もない。



    絹旗「で、わたし達はどうするれば?」



    滝壺理后を庇うように立つ、オレンジ色のパーカーを深くかぶった少女、絹旗最愛が拳を構える。

    少年はげんなりした様子で、フレンダにかけた縄をほどきながら適当に答えた。



    上条「もともと手違いなんだよ。リーダーとブツを回収してアジトに帰んな」


    上条「別に追ったりしねぇから」


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