私的良スレ書庫
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元スレ京太郎「牌のおねえさんフォーエバー」
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最近は会っていなかったが、プロになった今でも何度か二人で遊んだことはあった。
計画して、というよりは偶然その場で出会って、というようなことばかりだったが。
京太郎「久しぶり。マホは相変わらず元気だな」
マホ「はい! マホは大丈夫です!!」
キラッキラに輝く瞳が相変わらず眩しい。
犬の尻尾があったらブンブンと振られていると思う。
照「……リボンの、子?」
京太郎「はい。こいつは俺の後輩で――」
マホ「あーっ!!」
……そして、忙しいのも相変わらずだ。
照さんに紹介しようとした俺の言葉を遮るように、マホが大きな口を開けて叫ぶ。
そろそろ、周りの目線が痛くなってきた。
マホ「宮永プロ!」
照「あ、はい」
マホ「先輩! 宮永プロとお知り合いなんですか!?」
京太郎「……ん、ん。まぁ、そうだけど」
照「……」
そういえば、マホと照さんが直接顔を合わせるのは、コレが始めてだった。
マホが清澄に入学してきた頃は、照さんはトッププロとして忙しかったので、二人が出会う機会はなかったのだ。
マホ「んー? ふん……ふんふん、なるほど!」
何やら腕を組んで考え込むマホ。
やがて納得のいく答えが見付かったのか、ポンと手を叩くと、
マホ「流石です先輩!!」
京太郎「ん、んん?……まぁ、ありがとう」
マホ「宮永プロとお付き合いしているなんて!」
京太郎「……え゛?」
ちょっとした、爆弾発言。
マホ「とっても仲良しさんなんですね! 羨ましいです!」
京太郎「あー、えっと……」
照「……」
どう説明するか、と迷っている俺の隣から、すっと照さんが一歩前に出て。
照「……」ポンポン
マホ「はい?」
照「……」ナデリナデリ
マホ「わぁー……!!」
照さんが、マホの頭を撫で始めた。
照「それ。買ってあげる」
マホ「え? でも……」
マホの買い物籠を指差す照さん。
恐らくはサークルの買出し辺りだろう、籠の中には一人では食べるにしては少し多い量のお菓子やらジュースやらが入っている。
照「いいから」
マホ「あっ……すみません、ありがとうございます!!」
照さんにしては少し強引に、マホから買い物籠を受け取って、レジカウンターへと持っていく。
……表情からは分かりにくいが、ここ最近をずっと彼女と一緒に過ごしていた俺から見れば、アレはとても上機嫌なのだと分かる。
マホ「宮永プロって……ファンサービス精神もスゴイんですね!」
京太郎「そうだなぁ……」
……多分、というか確実に、それは違うだろうけど。
周りの目線やらヒソヒソ話やらそろそろ辛いレベルになってきたので、急いで買い物を済ませ。
照「今度、家に来て。夕飯をご馳走するから」
マホ「いいんですか!?」
照「勿論。腕によりをかける」
マホ「ありがとうございます! 楽しみです!」
そんな会話をスーパーの前で繰り広げる照さんとマホ。
その腕によりをかけた料理を振舞うのは俺なのだろうが――まぁ、悪い気はしない。
京太郎「それじゃ、な。精進しろよ」
照「頑張って」
マホ「はい! お二方のオーラで頑張っていきます! 先輩もタイトル戦頑張ってください!!」
マホの瞳がメラメラと燃えている。
そのやる気が空回りしなければ良いが、無理だろうと思う。
京太郎「ん。ありがとな」
そんな風に苦笑を浮かべて、マホと別れた。
……その日の夜、日付も変わり。
上機嫌な照さんと夕食を食べて、風呂も済ませて。
さて、明日に備えて床に就くか――という、タイミングで。
――ピンポーン。
唐突な来客を告げる、インターホンが鳴り響いた。
京太郎「こんな時間に……?」
照「……なんだろう」
少し警戒して、インターホンを覗く。
すると、画面の向こう側には、
照「……咲?」
咲『こんな時間にごめんなさい。ちょっと、終電逃しちゃって――』
京太郎「なんだ、咲か……驚いたぜ」
咲『京ちゃん? なんだ、京ちゃんもいるんだ――って』
照「……あ」
京太郎「……あ」
咲『……ふーん?』
咲『どうして、京ちゃんが』
咲『こんな時間に、お姉ちゃんの家にいるの?』
花開いたような笑顔が、咲き誇っていた。
照ルート6話目、終わりです
ダラダラと長い間、友達以上恋人未満お仕事相手みたいな関係を続けてきたけど――みたいな二人
でも京ちゃんはこのスレ一番のチョロインなので、きっかけさえあれば割とあっさり落ちるのです
本当にお待たせしてしまって申し訳ない
次もなるべく早く投下できるように頑張ります
今回はここで中断します
それでは、ありがとうございました
ダラダラと長い間、友達以上恋人未満お仕事相手みたいな関係を続けてきたけど――みたいな二人
でも京ちゃんはこのスレ一番のチョロインなので、きっかけさえあれば割とあっさり落ちるのです
本当にお待たせしてしまって申し訳ない
次もなるべく早く投下できるように頑張ります
今回はここで中断します
それでは、ありがとうございました
乙
そうか、このスレはいかにして京太郎を攻略するかというお話だったのか
そうか、このスレはいかにして京太郎を攻略するかというお話だったのか
【子どものようなコトをしよう】
咲「えっ!? それじゃ京ちゃんのお家、燃えちゃったの!?」
京太郎「あぁ……今は照さんの好意で、ここに住ませて貰ってる。色々と忙しくなってくる時期でな」
旅行から戻ってきたタイミングで色々なことが重なったため、咲への連絡をすっかり忘れていた。
俺の分の生活必需品やら着替えやらを買わなければならなかったし、仕事先への連絡も済ませなければならなかった。
そしてタイトル戦も近くに迫っていたため、中々時間がとれなかったのだ。
咲「もう……それなら、そう言ってくれれば良かったのに」
京太郎「悪い」
ほっと、胸を撫で下ろして安心する咲。
咲を家にあげた直後は一触即発のような雰囲気が漂っていたが、事情を説明するとすぐにその空気は四散した。
事情が事情なだけに、咲もすぐにわかってくれたようである。
咲「あれ……でもそれなら、お姉ちゃんはなんで……あ、そっか。ご近所さんだもんね」
照「それに、火事の現場を直接見たから」
咲「そうだったんだ……」
照「大変だった。京ちゃんとの、旅行との帰りに――」
咲「……旅行?」
……あ。
咲「……京ちゃんと、旅行?」
照「うん。二人で、奈良まで」
咲「二人っきり?」
照「うん。このコースで申し込むと、安かったから」
照さんが、本棚から旅行雑誌を引っ張り出して、付箋の貼ってあるページを開く。
そのページに記されている内容は、
咲「……男女カップル、割引プラン?」
京太郎「……え゛?」
なにそれ初耳。
照「安かった、から」
むふー、と何故か得意げな照さん。
初めて知る情報に固まる俺。
そして、プルプル震えて俯く咲は――
咲「……京ちゃん?」
京太郎「はい」
思わず背筋をピンと伸ばしてしまう。
別にやましいことはこれっぽっちもしてないし、咲への負い目といえば連絡をすっかり忘れていたぐらいなのだが。
咲「……これ、本当?」
咲が指差すページの特集。
露天風呂貸切、混浴も可。
安らぎの空間で愛を深めて、とのキャッチコピー。
京太郎「いやいや、流石にそんなこと――あ」
咲「……あ゛?」
『背中、流してあげようか?』
……思いっきり、してた。
いや、湯船にまでは浸からなかったけど。
ある意味で……というか普通に考えて、それ以上のことはしてた。
照「大きかった」
咲「……へえ?」
――背中が、と。
何故、その先に続く言葉を省いたのですか照さん。
咲から感じるプレッシャーがどんどん高まっていく。
いつぞやのインターハイを思い出させるくらいに。
咲「珍しく、仕事好きの二人がお休み貰ってると思ったら……」
照「あ、私が調整した。頑張った」
咲「……なるほど」
意識しているのかしていないのか、照さんが口を開くたびに咲をグサグサと刺激している。
咲の口角が吊り上り過ぎて怖い。端っこが凄まじくピクピクしている。
咲「……そっか、お姉ちゃんは、そういうつもりなんだね?」
照「……?」
小首を傾げる照さんは、未だに状況がよく分かっていないらしい。
咲「だって。二人っきりで、こんな旅行なんて、もう目的は――」
照「友達と二人で一緒に旅行にいくのが、そんなにおかしいこと?」
咲「――え?」
そして、今度は咲が小首を傾げる。
姉妹揃っての同じ仕草は、二人が姉妹であることが、よくわかった。
咲「でも、一緒の部屋に泊まったんでしょ?」
照「うん。でも、私が風邪ひいちゃって……旅館の人にお薬を貰って、京ちゃんに看病してもらったんだ」
咲「……その、アレは? してないの?」
照「……アレって? まぁ、初日に色々と甘味処を巡って、最終日にまた色んなお店巡ったけど。それだけかな」
咲「……京ちゃん?」
本当、なの?
グルリと首がこちらを向いて、言葉はなくとも厳しく問いかけてくる視線。
俺に、コクコクと頷く以外の選択肢はなかった。
咲「じゃあ、この男女カップル割引っていうのは……」
照「安かったから。サービスもいいし」
咲「……どうして、他のみんなを誘ってくれなかったの?」
照「みんな、忙しかったから。咲も遠出してたし」
咲「……」
顎に手を当てて考え込む咲。
暖簾に腕押しというか、照さんを問い詰めても空振りだったので、咲も少し冷静になったようだ。
照「……咲?」
咲「……ううん。ごめんね、お姉ちゃん。京ちゃんも。私の、勘違いだったみたい」
フ、と部屋を包み込んでいた重っ苦しい空気が消える。
このまま照さんに迫っても意味はないと悟ったのだろう。
照「そっか。なら、いいけど……」
咲の態度に照さんも釈然としないようだが、何か追求するようなことはしなかった。
その後は、特に空気が荒れるようなこともなく。
咲「おやすみなさい」
照「ん、おやすみ」
3人で、川の字になって、寝た。
――翌朝。
咲「……お姉ちゃん?」
照「なに?」
咲「なにって……なに、してるの?」
照「充電」
スンスンと、髪の匂いを嗅がれて目覚める朝。
当然ながら、咲がコレを見るのは初めての事で。
すぐ目の前にある、照さんの顔にドキリとする余裕すらなく――
咲「京ちゃん?」
――満開の花を、幻視した。
――大変なことになったと、この時は思ったが。
これがまだ序の口に過ぎないことを知るのは、まだまだこれからである――
それは、とある仕事の合間の休憩時間。
淡「ねーねー、きょーたろー」
京太郎「ん?」
淡「どうだった?」
京太郎「なにが?」
主語がない質問に首を傾げる。
すると淡は「なにがって」と読んでいた雑誌をパタンと閉じて、間をおいてから
淡「――ヤッちゃったんでしょ? テルーと」
京太郎「ぶっ!?」
そんな、爆弾発言をかましてくれた。
京太郎「……ん、ん。ゴホン。どこから聞いたのかは知らんが、それデマだからな」
淡「えー? だって、サキが」
京太郎「あいつか……」
あいつのことだから、色々と捻じ曲がって伝わっているに違いない。
確かに俺も咲の立場だったら絶対に勘違いしてしまうだろうから、無理はないが。
淡「ふーん……でも、一緒に暮らしてるんでしょ?」
京太郎「ああ、まぁ……」
淡が、目を細めて睨め付ける。
居心地が悪い。対局中でも無いのに見透かされている気分だ。
淡「じー……」
声に出して、穴の開くほど見詰められる。
コイツももう二十歳を越えてるんだが、未だにこういった仕草が似合うのだから不思議だ、と全く以ってどうでもいい感想を抱いた。
淡「ま、いいや」
飽きた。
そう言わんばかりに、どさっとソファに座り込む淡。
京太郎「お、おい」
淡「だって、よく考えてみれば。私があーだこーだ言うことじゃないし?」
そう言われればそうであるが。
淡「んー……でも、そうだ」
京太郎「んん?」
淡「次の私たちの試合。京太郎が解説やるヤツ、あったじゃん」
京太郎「あ、ああ」
淡「楽しみにしててよ。ギャフンって、言わせてあげるから」
イイコト思いついた!とキラキラ輝く瞳。
絶対にロクなことじゃねえと、大学時代の思い出が、警鐘を鳴らした。
そして、我らが牌のおねえさんは。
はやり「……」
にっこにっこな笑顔で、次の仕事の打ち合わせをしている。
その態度は流石プロでありベテラン、と思わせたが、
京太郎「あの、はやりさん?」
はやり「なに? 『須賀くん』?」
京太郎「……すみませんでした」
怒っている。
確実に、笑顔の裏では怒っている。
これは非常に、まずいような――
はやり「なんて、ね☆」
京太郎「……へ?」
――ぴしっ。
軽い、ほんのちょっぴりだけ力の込められたデコピン。
突然のことで少しよろめいたが、痛みは全く無い。
目をパチクリさせてはやりさんを見ると、そこにはいつも通りの笑顔があった。
はやり「火事で、大変だったんでしょ?」
京太郎「え、ええ。まぁ」
はやり「それでバタバタしてたら、しょうがないよね。もっと早く教えてほしかったけど」
京太郎「すいません……」
そうだ。
プロになるまで――いや、プロになってからも、一番お世話になったのはこの人なんだから。
心配をかけさせて、真っ先に連絡するべき相手は、この人だったのに。
所属チームへの連絡はしていても、この人個人に対しては、まだ何も伝えていなかった。
京太郎「すいません」
再度、深く頭を下げる。
はやり「いや、いいよ。さきちゃんも大変だったみたいって言ってたし」
京太郎「あぁ……」
……アイツの伝え方だと、淡のようにロクなことにならない気がしたが。
そこは流石はやりさん、誤解はないようだった。
はやり「何か困ることがあったら言ってね。いつでも力になるから」
京太郎「はい。ありがとうございます」
はやり「それと……うん。もし、京太郎くんさえよかったら」
京太郎「?」
はやり「はやりのお家に、きてもいいよ? 京太郎くんなら、いつでも大歓迎だから☆」
はやりさんは、とってもイイ笑顔で、そう告げた。
咲については、大体この前と同じような感じだったので省略する。
とにかくアレから、健夜さんや咏さんにも、このような形で照さんとの同棲生活について突っ込まれることばかりで。
みんな、火事で色々と失ってしまった俺に対して力になってくれるとのことで、そこは大変ありがたくて、頭が上がらない思いではあるのだが。
照「……」ポリポリ
どんな時でもマイペースにお菓子を齧るこの人は、何を思っているのだろうか。
そんなこんなで日々は過ぎて、淡の言っていた、俺が解説を務める試合の日。
対戦カードは照さん・はやりさん・淡・咲の4人。
何の因果か、俺と特に関係が深い4人の対局が行われることになった。
照「行ってくる」
京太郎「はい。頑張ってくださいね」
照さんと別れて、俺の仕事をこなすべく、控え室へと向かう。
京太郎「うーん……」
先日の淡の発言が、どうにも胸に引っ掛かる。
何事もなければ良いのだが。
京太郎「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
アナウンサーと挨拶を済ませ、最後に軽い打ち合わせをして、解説席へ。
今回の試合は紛れもないトッププロ4人の対局。
スタッフからも、大きく盛り上がっている空気が伝わってくる。
咲「よろしくお願いします」
照「よろしく、お願いします」
はやり「よろしくお願いしますねっ」
淡「よろしくっ!!」
そして、4人の雀士が囲む卓からも。
大分距離が離れているにも関わらず、ピリピリした空気を痛いくらいに肌に感じた。
淡「……よしっ!!」
「……おや? 大星選手が立ち上がってカメラに向かって勢いよく指を突きつけていますね」
京太郎「トラッシュ・トークというわけではないでしょうが……何でしょうか」
勢いよく立ち上がって、カメラにビシ!っと指を突きつける淡。
らんらんと光を灯す、その瞳が映すものは――
淡「きょーたろー! 聞いてるー!?」
咲「あ、淡ちゃん?」
はやり「な、なにを……!?」
照「……」
ドキリと、心臓が跳ねる。
「須賀プロ……?」
京太郎「……」
アナウンサーが疑問の視線を俺に向けてくるが、答えられない。
淡「この対局で! 私が勝ったら!!」
この場で、淡が俺に伝えたいこととは――
淡「私と! 結婚してくださいっ!!!」
「……え、ええっと……須賀プロ?」
京太郎「……は?」
困惑した空気に包まれる実況・解説席。
俺もアナウンサーも、言葉を失う。
淡「……ふふん!」
対して淡は、してやったりと言わんばかりの表情で。
淡「サキ、はやりん、テルー」
対局者たちを、順番に見渡す。
淡「負けないから。絶対」
強い意思が、瞳に灯っていた。
はやり「……」
その言葉を受けて今度は、はやりさんが無言で立ち上がる。
はやり「……京太郎くん」
一切の揺れがない、その瞳は。
はやり「あわいちゃんに続いて、こんなこと言われても……困ると、思うけど」
カメラを通して。
はやり「……大好き、です。出会った時からずっと、あなたのことを、考えています」
真っ直ぐに、俺に向けられていた。
咲「ま、待って!!」
京太郎「咲!?」
今度は、咲が椅子を蹴飛ばして立ち上がる。
咲「私だって! 」
咲「私だって、ずっと! 昔から!!」
咲「京ちゃんのことが好きで! 結婚したいって、思ってた!!」
3人の立て続けの告白。
実況・解説席も、カメラを回すスタッフも、そして恐らくテレビの前のお茶の間も。
呆気に取られて、言葉が出なくなっている。
そして、あの4人の中で、照さんは――
照「……」
目を閉じて、じっと、座り込んでいた。
その様子に、3人とも、何か言いたげであったが。
やがてゆっくり席に座ると、対局が、始まった。
はやり「――ロン。12000ですっ」
はやりさんの、素早くキレイな手が決まる。
これで、はやりさんが一歩リードした形になるが、試合全体としては各選手とも一進一退の攻防を見せている。
淡も咲も負けていない。
お互いの想いをぶつけ合うように、激しく点数が動いている。
……ただ。
照「……」
照さんだけは、いつもの調子も見られずに。
一歩、遅れていた。
淡「テルー、いいの?」
照「……」
淡「そんなんじゃ、ホントにとっちゃうよ? きょーたろーのこと」
照「私は……」
咲「……」
はやり「……」
照「……友達、だから」
淡「ふうん。まぁ、いいけどさ」
淡「……テルーって、恋愛は小学生以上中学生未満って感じだよね」
照「……え?」
淡「ロン。8000オール!!」
……気圧されている。
この3人に、気持ちで風下に立たされている。
照「……京、ちゃん」
強い想いで、負けている。
いつものように、手が伸びない。
……私の。
私にとっての、京ちゃんは――
弟分で。
『京ちゃん……うん、この呼び方はしっくり来る』
『は、はぁ……』
後輩で。
『ここは、こう打った方がいい。そのほうが揺さぶりが大きい』
『おお、なるほど!』
恩人で。
『……なに?』
『お願いです。あいつと、咲と会ってやってくれませんか』
友達で。
『……京ちゃんの匂いがする』
『コート貸したくらいで変なこと言わないでくださいよ。臭いみたいじゃないですか』
友達で。
『京ちゃん、年上が好きなの?』
『……どこで、その話を』
友達で。
『京ちゃん。お腹すいた』
友達で。
『京ちゃん。このお菓子食べる?』
友達で。
『京ちゃん。今度いっしょに旅行に行こう』
『はいはい、京ちゃんはここにいますよ』
――握ってくれた手が、あたたかくて。
――ずっと、繋がっていたいって、感じた。
『宮永プロとお付き合いしているなんて!』
嬉しかった。
『早く、部屋の案内を』
ムっとした。
『充電』
本当に、体の中が満たされた。
照「……」
もし、同じことを、咲や淡や、瑞原プロが京ちゃんにしたら。
『私と! 結婚してくださいっ!!!』
『……大好き、です。出会った時からずっと、あなたのことを、考えています』
『京ちゃんのことが好きで! 結婚したいって、思ってた!!』
もし、京ちゃんが、私から離れていっちゃったら。
照「京ちゃん」
……声で呼んでみて。やっと、わかった。
ずっと、正体がわからなかった、この気持ち。
中学生でも知っている、この気持ち。
照「……そっか」
私は。
私にとっての京ちゃんは、友達じゃない。
それよりも、ずっと、ずっと大事な人。
私は、京ちゃんと――
照「――ロン」
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