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元スレ久「須賀君、悩みとかない?」 京太郎「はい?」
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少年――須賀京太郎――は図書館に足を運んだ。
小学校の夏休みの読書感想文に使う本を借りるためである。
普段本というものに然程縁のない少年ではあるが、全く知らない場所というわけでもない。
といっても、数回しか訪れたことはないのだが。
……どんな本にしようか、当たり前だけど難しいのは駄目だ。
と思案しながら案内板を観覧。
とりあえず児童書のコーナーに向かうことを決め、歩を進める。
図書館独特のインクの匂いと静けさに包まれながら、
……なんだか別世界みたいだな。
なんてことを考えつつ、目当ての場所にたどり着く。
見渡す限りの――
本
本
本
なににしようかな、と頭の中の一文字づつ区切ってリズムをつけ再生し、本棚を眺める。
適当に目についた本を一冊抜く。
『青い鳥』
……とりあえず、これを読んでみるか。
特段本の選択に拘りがあるわけではない。
少年は席に腰を下し、本の頁を捲り始めた。
・
・
・
青い鳥はここにいたんだ――
最後はそう締めくくられた物語を読み終える。
……よくわからん、なんで家で飼ってた鳥が青い鳥になるんだろう。
まあ、別なのも読んでみるか、と考え『青い鳥』を置いたまま席を立った。
先程の本棚に行着く途中。
視界に、本を持った少女が、入った。
短めの髪を後ろで二本結わえた女の子だ。
小さな体に数冊の重そうな本を抱え、ふらふらとこちらの方向へ歩いている。
……なんか危なっかしいやつだな。
少女との距離が縮まり、少年はあることに気付く。
……あれは、同じクラスの――
たしか、宮永、咲だっけ。
うん、そうだ、と一人得心する。
特に交流があるわけではないが、同級、同教室の生徒を思い出せないほど少年は薄情ではなかった。
……そういやあいつ、休み時間にいつも一人で本を読んでたな。
図書館にいても不思議じゃないイメージだ。
そんなことを思いながら少年は歩く。
少女もふらふらと歩く。
二人の距離があと僅かとなった時。
二人が交差する手前。
「あっ」
と、少女が声を上げた。躓いた。本が宙を舞う。
そしてバランスを失った少女が前のめりに――
――倒れる前に、少女の体を少年は腕で受け止めた。
反射的な動作だった。
そして少女の勢いと重さに抗うために更に腕に力を込め、結果抱き寄せるような形になる。
意識は後で追い付いてきた。
少年は状況を把握し、驚きを得ると共に安堵の息を吐く。
「ったく。何もないとこで転ぶか……」
「あれ? え?」
胸に収まっている少女が疑問符の付いた言葉を漏らした。
……このままでは恥ずかしすぎる。
と思い、少年は抱きとめている腕の拘束を解く。
誤魔化すように、少女を離し床に散らばった本を拾ってやる。
まだ何が起こったのか理解できてないのか少女は混乱したままだった。
「本。持って行くんだろ?」
「あ、う……」
ようやく状況を把握したのか、頬を朱に染めてまごついている。
少年も赤面していたのだが、その少女の様子で逆に落ち着きを取り戻す。
少年は本を手渡すのを諦め、少女では重かったのであろう数冊を腕に抱えた。
「ほら、席に行くんじゃないのか?」
手が塞がっているため目線で指し示し、少女を促し、背を向け歩き出す。
内心で格好付けすぎだろ、何やってんだ俺、と思ったりはしていた。
少女は未だ狼狽えたままだったが、微かな声でうん、と首肯する。
追い縋るように早足で少年に付いて行った。
「……ありがとう」
「気にすんな」
小さな感謝の言葉にそう返し、連れ立って進む。
会話が途切れ、微妙に気まずい沈黙が横たわる。
長机に着いた。少年はとりあえず本を重ねて置く。
無言に耐え切れなくなり、少女との会話を試みる。
「宮永はよく図書館に来るのか?」
「……うん」
「……」
「……」
そこで、また会話途切れる。
……投げ返すとかないのか、ちょっとは会話のキャッチボールをしろよ。
少年は嘆息した。
席に座り本を読み出す少女の隣に、少年は腰を下ろす。
「そっちの本読んでいいか?」
「……うん」
……こいつ、うん、しか言わねーのかよ。
いやさっき、ありがとう、とは言ったか……
そんな事を胸中で呟きながら少年も本を開いた。
二人分の本の捲る音がぱらぱらと響く。
静かに時間が流れる。
・
・
・
本を読み終えた頃。
閉館が近いことを知らせる『蛍の光』が流れだす。
本をぱたんと閉じ、少年が口を開いた。
「もう閉館か」
「……」
「本、借りるのか?」
「……うん」
相変わらず言葉少ない少女である。
思わず少年の頬が引き攣る。
隣りあって本を読んでる最中も少年が一方的に喋っていただけだ。
というか、途中から半ば意地になって会話しようとしていた。
……友達ちゃんといるのか、こいつ。
よくよく思い返せばそういった光景は見たことがなかった気が。
少年は結局、『青い鳥』を借り、少女と二人で図書館の外に出る。
「そういや、宮永の家ってどっちだ?」
「……あっち」
少女が指し示した方角は少年の家とは反対であった。
……遠回りになるけど、送ってやったほうがいいのかな。
なんて少年は一瞬思考したが、なんだか気恥ずかしい気がして、その考えをやめる。
「じゃあ、またな。宮永」
「そ、の……えっと……あ、の」
別れの挨拶を投げかけられた少女は、視線を足元に落とし歯切れ悪く言葉を漏らす。
少年はその様子に疑問符を浮かべる。
少女は何事かを言い淀み、躊躇しているようだ。
意思が固まったのか、少女は顔を上げて口を開く。
「また、ね……きょう、ちゃん」
いきなりの渾名呼びに面食らった。
内向的な少女が、なけなしの勇気を振り絞り言ったであろう、その言葉。
図書館での出来事で縁ができた、やたら話し掛けてくる少年と友達になろうとしたのか。
それとも別な考えがあったのか。
その胸中を正しく知る術は本人以外にはない。
「あ、う……その……ごめん、なさい」
少年の驚きが表情に出たのか、少女が悄然と謝りの言葉を紡いだ。
怯えの混じった様子で視線を再び落としている。
臆病な小動物みたいだ、との感想を少年は得た。
少女は、須賀くんの友達がそう呼んでたから、と小さな声で切れ切れに続ける。
「……うん、そうだよな。同じクラスだし友達みたいなもんだよな」
ここで会ったのも何かの縁だし、と少年は一人胸中で納得する。
その言葉に少女が顔を上げる。
少年は不安げな表情の少女を見ながら、
「また、な。咲」
と返した。
少女はその言葉に、はにかみ、顔をほころばせた。
紫丁香花のような笑顔であった――
■□■
――PiPiPiPiPiPi
そこで目が覚めた。
機械的な電子音が起床の合図を告げている。
気怠げに手を伸ばし、目覚まし時計を停止。
……起きよう。
未だ霞がかかった意識のまま、身を起こす。
背伸びと共に欠伸が零れた。
彼/彼女は、時間と場所は違えども、布団から抜け出し各々の朝の準備を始める。
……なんだか懐かしい昔の夢を見た気がする。
そんな事を曖昧に思いながら。
今はもう、幾春秋と共に色褪せてしまった胡蝶の記憶。
しかし確かにあったはずの――始まりの二人の物語。
――了
――PiPiPiPiPiPi
そこで目が覚めた。
機械的な電子音が起床の合図を告げている。
気怠げに手を伸ばし、目覚まし時計を停止。
……起きよう。
未だ霞がかかった意識のまま、身を起こす。
背伸びと共に欠伸が零れた。
彼/彼女は、時間と場所は違えども、布団から抜け出し各々の朝の準備を始める。
……なんだか懐かしい昔の夢を見た気がする。
そんな事を曖昧に思いながら。
今はもう、幾春秋と共に色褪せてしまった胡蝶の記憶。
しかし確かにあったはずの――始まりの二人の物語。
――了
毎回じゃなくてこういう風に時々出てくる方が大正義感があるのは何故だろうな・・・!
某日午前、清澄麻雀部の六人はとある百貨店内携帯ショップにいた。
女性陣はストラップ等を陳列している場所で、あれが可愛い、
これが可愛いなどと、きゃっきゃうふふ(注:イメージです)と歓談しながら物色中だ。
須賀京太郎は、機種変更も考えていたこともあり、各社の端末製品コーナーに。
どうしてこういう状況にあるかといえば――
――そう、あれは……須賀京太郎が部室で麻雀雑誌を読んでいた時を発端とする。
というわけで手抜き回想開始。
■□■
京太郎『……部長、麻雀牌を買おうと思うんですけど、どれが良いとかあるんですか?』
久『随分といきなりね』
京太郎『家でも牌を触って練習しようかなと、自動卓はないですけど』
久『手積みなんて古風……どういう風の吹き回しかしら』
京太郎『あー、ちょっと思うところがありまして』
久『そうね……この全面黒塗りの牌は?』
京太郎『指紋がべたべた付きそうなんですが……ガン牌の練習するならともかく、それは……』
久『じゃあ、この透明なガラス牌とか』
京太郎『血液を賭けて麻雀勝負するつもりはないのでノーセンキューで』
久『もう、我侭ね須賀君』
京太郎『敢えて奇抜なのを提示する部長にも問題はあると思います』
久『どうせ麻雀漫画に影響を受けただけなんだろうから、何でも良いと思うんだけど……』
久『ツバメ返しとか格好良いと思っちゃったのかしら……』
久『実際は使えないんだし、その思考は厨二病っぽいわよ』
京太郎『ど、ど、どうして部長がそれを!? ピンポイントに心を読まないで下さい!』
久『強いていえば、議会長だから?』
京太郎『意味わかんない上に関係ねえ!』
久『まあ実物を見て決めた方が間違いないわね……休みにでも一緒に見に行く?』
咲『!?』
京太郎『どうせまた騙す気なんじゃ……』
久『この前からちょっと疑り深くない? 雛見沢症候群でも発症してる?』
京太郎『そういえば照さんの時そのネタを消化するの忘れてましたね』
久『それはともかく、純粋な善意よ』
京太郎『そういうことなら……』
咲『……やっぱり仲がやたら良い気がする……』
優希『咲ちゃんの目からハイライトが消えてるじぇ』
和『咲さん、それ微妙に怖いです』
和『確かに最近部長と須賀君仲良いですよね……何かあったんですか?』
京太郎『いやいや、そんなんじゃないぞ』
久『そうよ、そんなもんじゃないわよ』
咲『そんなもんじゃない!?』
京太郎『部長、''も''は要りませんよね!』
まこ『……久、おんしわざとやってるじゃろ』
久『単なる言い間違いよ、他意はないわ』
和『してやったぜ、みたいな顔で言ってる時点で説得力皆無です』
咲『……』
優希『……そうだじぇ! 皆で見に行くとかどう?』
咲『ゆ、優希ちゃんナイスアイディア! すばらだよ!』
久『んー、そういうことなら週末皆で出掛けましょうか』
まこ『わし一応家の手伝いがあるんじゃが』
久『偶には休んでも罰は当たらないと思うわよ?』
和『そういえばエトペングッズの新しいのがでるんでしたっけ……』
優希『のどちゃんは本当にエトペン好きだなー』
咲『……新刊そろそろ入荷されてるかな』
まこ『ハァ……皆乗り気じゃし、こういう機会でもないと全員で出掛けるのはあんまりないしのう』
京太郎『なんだか最初の趣旨からずれてきてる気が』
■□■
――回想終わり。
というわけで百貨店内の小物屋、本屋etc etc……
適当に巡って、買い物と食事を終えたらラウンドワンに行く予定となっているのだ。
ちなみに今回の件に関しては、例え荷物持ちになっても、そう悪い気はしない、
と須賀京太郎は考えていた。いわば両手に溢れんばかりの花。
彼の主観では、全員花と呼んで差支えのない容姿だと思っているからである。
敢えて、もう一度、言おう、全員、だ。
誰それは花と言うほどじゃ……とか。可愛くないんじゃ……
とか思った人は該当キャラを述べること。
ちなみに述べた人には世が世なら、理由がある暴力、つまり腹パンが襲うと思って頂きたい。
清澄麻雀部は全員可愛い。但し男は除く。
再度、断言しておく、全員、可愛い。
異論がある場合は……
よ ろ し い
Gut, Kameraden.
な ら ば 戦 争 だ
Wenn das so ist, dann sollt ihr euren Krieg haben!
長いので以下略。
人には触れちゃならない心の聖域ってものがある。
そこに触れたら……後はもう命のやり取りしか残っちゃいないのだ。
清澄面子での仲良しほのぼのは最高だと思います。百合でも可。
だからもっと増えろ。お願いします。
戯言なので閑話休題。
京太郎(……色々出てるけど、いざ考えるとどれが良いんだ)
京太郎(……Androidよりiphoneの方がいいのか?)
京太郎(……でもデータ移行とかどうなんだろう、わからん)
考えながら須賀京太郎はカタログを捲る。色とりどりの様々な端末が目に入った。
無駄に真剣な眼差しだ。例えるなら鷹の目。
虎と飛蝗は関係ない。無論、串田さんの歌も流れない。
普段もこれ位真面目なら、三枚目扱いされないのではないかという面持であった。
京太郎(まあ今日変えるわけでもないし、今度調べとくか……)
そう結論付けた。
実際、端末一個変えるだけでも結構面倒なものだ。
機種によってはキャリアを変えたほうが得になることもしばしばである。
もし以前のデータが使えず、電話番号とかを新規に入力することになってまず久のを入力して
久「これで私が須賀君の初めての(データを入力した)女の子ね」
なんて言って京太郎と咲をからかったりしないもんかなあ
久「これで私が須賀君の初めての(データを入力した)女の子ね」
なんて言って京太郎と咲をからかったりしないもんかなあ
須賀京太郎がカタログを閉じ、顔を上げたところで背後から肩を叩かれた。
振り向こうとすると、頬に当たる誰かの伸ばされた指。
京太郎「……部長その悪戯は子供っぽいですよ」
久「てへっ」
京太郎「可愛く言っても駄目です」
久「そんなにしかめっ面して何してるの?」
京太郎「いや、近々機種変更するつもりなんで見てたんですけど……迷っちゃって」
久「今変えるより年末商戦に入ってからの方がいいんじゃないかしら」
久「クリスマス前とか新製品が出るのがいつもの事だし」
京太郎「あー、確かに」
クリスマス――
嫉妬団やらサンタ狩り隊やら死ね死ね団が暗躍しだす時期。
冗談である――もう2ヶ月も経たずそういう時期であった。
久「クリスマスといえば……須賀君は予定があったりする?」
京太郎「あるように見えます?」
久「見えないわね」
京太郎「事実とはいえ、そう切って捨てられると悲しいものが……」
久「拗ねても須賀君は可愛くないわよ」
久「じゃあ……美人の先輩とクリスマスを過ごす?」
京太郎「久々に聞きましたけど……再度言いますが自分で美人っていうのはどうかと」
久「二人きりの夜の部室……寒さを暖め合う二人」
京太郎「鍵はどうするんですか? 閉まってますよね」
久「そこは鍵を須賀君か私が失敬するか合鍵でも」
京太郎「犯罪じゃ……」
久「……もう、須賀君は浪漫が足りないわ。ノッてくれてもいいのに……」
京太郎「いい加減からかわれるのにも慣れました」
ぶつぶつと文句を続ける竹井久を置いておいて、須賀京太郎は他の面子に目を向けた。
片岡優希、染谷まこは相変わらず小物を物色している。
原村和もエトペンのストラップを見比べている。
どれが良いかまだ決められてないようだ。
――そこで彼は気付いた。
宮永咲がいない――
京太郎「あれ、そういえば咲は……」
久「ん? そういえばいないわね」
京太郎「携帯ショップに着いた時はいましたよね……」
微妙に嫌な予感。
店内でマナー違反ではあるが、スマホを取り出し宮永咲へかける。
『現在電波の届かない位置か――』と無機質な音声ガイダンス。
京太郎(電源切るなよな……)
京太郎(しかし、これは――もしかしなくてもいつものあれか)
京太郎「……ちょっと捜しに行ってきます。移動する場合俺のスマホにでも」
久「あー、いつものあれかしら」
竹井久も想像が付いたらしい。
その言葉に多分、と須賀京太郎は頷き、思考。
まさか店の外に出るほどの迷走はしていまい。
考えられるパターンは――と脳内で幼馴染の行動を列挙する。
とりあえず可能性が高そうな順から潰すかと決め、須賀京太郎は足を踏み出した。
いつものぽんこつ発動なのかなぁ?>>468からすると、京太郎を誘い出したような気もするんだが
結論から言えば宮永咲は先程までいた階の一階下にいた。
須賀京太郎の予想通りト――じゃなかった、花を摘みに行って迷ったらしい。
そこまでは良いとして何故そのまま戻らず、近くのエスカレーターで降りるのか不思議ではある。
彼女はどこに向かおうとしたのだろうか。その行動の意味がわからない。
恐るべきは方向音痴。
まあ、行動を大凡読んで、これは下に降りたな、と予想するあたり彼も手慣れたものだ。
ちなみにIHで似たようなことが何度かあったりする。
どうでもいいが迷った挙句、切羽詰まり某京都の女生徒達をその威圧感でビビらせたりしていた。
……宮永咲!! (※本人はただ迷子になっていただけ)
実に締まらない事実だ。
とりあえず宮永咲は無事、須賀京太郎に確保されたわけである。
京太郎「……その方向音痴は何とかならないのか?」
咲「地球の自転が……プレートテクトニクスが私の計算を裏切ったせいで」
京太郎「なんで姉妹揃って地球のせいにしようとするんだ」
咲「……いつも、真っ直ぐに歩いて行く、けして後を振り返らない――」
咲「――そうすれば例え迷子になっても、迷子になった気はしないから」
京太郎「ちょっと格好良さ気な科白で誤魔化そうとするな」
咲「だって――」
京太郎「とりあえず落ち着け」
京太郎(全く……こういうとこはガキの頃から変わらないな)
京太郎(他にも大して変わってないとこはあるけど……どことは言わないが)
京太郎(迷子に関してはいつもの事だから別にいいけど)
須賀京太郎は、未だ意味不明な言い訳を続ける宮永咲を眺め、やれやれと嘆息。
きっと地球は悪くない。そして迷子になった気はしなくても迷子は迷子である。
いい加減幼馴染の口上を聞くのも飽きたので、曲げた中指を親指に引っ掛け、
それなりに威力が溜まったところで、しかし跡が残ったりしない程度の力で、
彼女の眉間に中指を鋭く打ち放った。
要するにデコピンである。
わりと凄い勢いで人が飛ぶアレとは違うと明言しておく。
アレはバトル漫画だから許される。
咲「痛っ!? なんでっ!? なんでいきなりデコピン!?」
京太郎「お前を正気に戻すためだ、気にすんな」
京太郎「まあ迷子に関しては目的地と逆の方向を向いて、真っ直ぐ進めばいいんじゃないか?」
咲「……それだと行きたいとこに着かないよ?」
京太郎「あー、騙されたと思って今度試してみろ、きっと着くから」
咲「そうかなあ……」
京太郎「……とりあえず、ほら」
須賀京太郎は、我ながら結構いいアイディアだよなこれ、
と心の中で自画自賛しつつ、宮永咲に左手を差し出した。
彼女は逡巡。自分の右手を彼の左手を交互に見る。
京太郎「またはぐれると困るだろ?」
咲「えっと……」
京太郎「今更遠慮すんなよ」
咲「……うん」
か細い声音の頷きの後、差し出された手が控えめに握られた。
細い指の感触と幼馴染の体温。
小さな手をしっかりと握り返し、須賀京太郎は部の皆の元へ向かおうと、歩き出した。
あ、駄目だこれ、いつものパターンでこのままだと長くなる
ちょいセーブで……持ち越しますプロット変えないと
そういやあんまり意味がないといえばないですけど
そろそろ決めとかないといけないのでコンマ判定
コンマ判定:部長についてのあれこれ
01~50 分が悪いってのはわかってるんだけどね……
51~00 卒業する前にお節介でも焼いておこうかしら……
↓1
ちょいセーブで……持ち越しますプロット変えないと
そういやあんまり意味がないといえばないですけど
そろそろ決めとかないといけないのでコンマ判定
コンマ判定:部長についてのあれこれ
01~50 分が悪いってのはわかってるんだけどね……
51~00 卒業する前にお節介でも焼いておこうかしら……
↓1
いや分からんぞクロチャ-達以外にもビビらせた可能性も…在り得過ぎてこまるな
おお、部長がついに動くか
麻雀なら悪待ちを好んでなんとかしちゃうが、男女関係については上手くいくかな?
出会った連中みんなびびらせててもおかしくねえな、咲さんww
麻雀なら悪待ちを好んでなんとかしちゃうが、男女関係については上手くいくかな?
出会った連中みんなびびらせててもおかしくねえな、咲さんww
ぶっちゃけその時の自分を開頭したいほどのミスですが八桝高校もビビらせてたということで一つ
魔王度アップやったね咲さん!
読み始めた戯言シリーズに引っ張られた死にたい……多分夜から
魔王度アップやったね咲さん!
読み始めた戯言シリーズに引っ張られた死にたい……多分夜から
あんまり魔王化進むと部長に持ってかれるんだなぁ…
甘えるなは至言
甘えるなは至言
上の階へ上がろうかとした矢先。既視感を覚える金色のアホ毛と、
兎の耳を彷彿とさせるリボンを付けた少女が、須賀京太郎の目に入る。
黒子のように二人の後ろに付き従うのは黒服の執事。
黒子と表現したが凄い目立っている。きっとお嬢様も大満足だろう。
京太郎「ん?」
透華「あら?」
衣「む、咲と須賀ではないか」
咲「あ、衣ちゃん」
偶然の遭遇というやつである。
邂逅に気付いたのか、龍門渕の他の面子――井上純、国広一、沢村智紀、
――も集まってきた。
純「お、須賀と宮永……もしかしてデートか?」
一「しっかり手なんか繋いじゃって」
智紀「リア充……」
ハギヨシ「微笑ましいですね」
衣「情意投合、朝雲暮雨……そうか、そういう仲だったのか」
透華「まあ、そうなんですの」
咲「あ、あぅ――なんでやねんっ!」
京太郎「動揺して中の人の関西弁が出てるぞ」
一「はやてちゃん、落ち着いて」
京太郎「国広さん、遠回しなネタ解説有難うございます」
京太郎「いや、迷子になった咲を保護してまして。清澄の皆と来てるんですよ」
透華「あら、そうなんですの。私達と一緒ですわね」
衣「ころも達はこれから食事だ」
京太郎「あー、確かにいい時間ですね。一緒に食べます?」
衣「ののか達と一緒かっ」
透華「ふむ……そうしましょうか」
そういう事ならばと須賀京太郎はスマートフォンを取り出し操作した。
発信先の相手は竹井久。偶々透華さん達と会って……と状況を説明――
――というわけで、昼食を清澄、龍門渕の面子で取ることになったのである。
しかし、何といっても十二人の大所帯。
ファミレスで合流したは良いが、席割りをどうしようか、となった。
そこで龍門渕透華の、同じ学校同士で固まるのも面白くない……
各校二人づつの計四人で、三席に分けようとの鶴の一声。
ちなみに方法はクジである。
尚、ハギヨシさんが瞬間的に用意してくれました。執事って凄い。
赤・青・白で三組を分けようとする次第だ。
各自、順に引いていく。
咲「ん……青だ」
まこ「わしは赤じゃな」
衣「ころもも赤だ」
智紀「……白」
一「ボクも白だね」
和「青……咲さんと一緒ですね」
優希「のどちゃん、その科白なんだか怖いじょ?――赤」
純「オレは……赤、つーことはタコスチビと同席か宜しくな」
優希「む……チビってゆーなノッポ。ついでに撫でるな! がるるっ!」
純「おー、こわいこわい」
久「ふむ、私は……白ね」
透華「青、ですわね……ということは……」
京太郎「あれ……これはもしかしなくても……」
京太郎「ハギヨシさんと同席が不可能になったんじゃ――白」
透華「ナイスですわ! 京太郎君!」
ハギヨシ「必然的に、私は、青ですね」
振り分けに作為を感じるとか言ってはいけない。御都合主義である。
ちなみに進行上の組合せ以外はガチでダイスを振った、とだけ。
特に意味はないが何となく。
クジの結果に膝をつく須賀京太郎。
絶望の表情だ。学級裁判でクロと突きつけられた真犯人の如し。
希望は前に進むのだから、諦めては駄目である。
もしくは、希望の踏み台になることに喜びを感じるべきかもしれない。
まあ、お仕置きが待っているわけでもないのに、ショックを受け過ぎだろう。
そっちの趣味でもないのに、ちょっと慕い過ぎだ。
一部を除いた皆が結構引いている事に気付かなかったのが、唯一の救いかもしれない。
どうでもいい事は置いておいて――
エビフライ、エビフライ、と音程を付けて機嫌良く歌う、天江衣を先頭にファミレスに入った。
混雑している時間帯ではあるが、禁煙コーナー内並びの三つのテーブルが丁度空席。
店の主任がフロアに出て来て、龍門渕透華に挨拶をしている。龍門渕財閥の傘下らしい。
流石お嬢様……そしてサラリーマンは大変だな、なんて感慨を須賀京太郎は抱きつつ、
レディファーストに則り竹井久、沢村智紀、国広一が着席するのを待ち、その後席に腰を下ろした。
少年少女食事中――
――食事終わり。
智紀「そういえば……」
久「この感じ――」
京太郎「まさか――」
一「い、いきなり二人して何?」
久「沢村さん皆まで言わなくてもいいわ……悩みがあるのね?」
京太郎「……よし! 部長サクサク行きましょう」
久「あら、今日は乗り気ね」
京太郎「逃れられぬ業なので」
智紀(……盛り上がってるから、特に関係ない話題を振ろうとしたとは言わないでおこう)
久「――で今回の悩みは何かしら?」
久「……胸の事で龍門渕麻雀部でいじめられてるとか?」
一「竹井さんはうちの部をどういう目で見ているの?」
京太郎「その理屈でいくと、うちの部も格差的にアレなんですが」
智紀「胸……確かに漫画とアニメで安定してない」
京太郎「ちょっ、胸を強調するのはやめて下さい! 目に毒なので!」
一「ともきー、それはボクへの当て付け?」
久「ちなみにここだと漫画設定ね」
智紀「そして中の人的には貧従士、ティーガーⅠの操縦士と安定してない」
久「あー、そういえば関係ないけど眼鏡属性多いわよね……宿命なのかしら」
京太郎「目高箱のやつでもそうでしたっけ」
一「使えるネタ全投入するのはどうかと思うよ?」
久「基本的に広く浅くがモットーなの」
京太郎「ただでさえ置いてけぼりなのに、掘り下げると更にやばくなりそうですからね」
智紀「……悩みだけど」
京太郎「ああ、激しくそれてましたね」
久「さて今回は何かしら……」
智紀「最近のPCパーツ事情について」
久「……」
智紀「……」
久「……須賀君パス」
京太郎「まじっすか」
久「詳しくないから仕方ないじゃない」
京太郎「一応頭脳労働の部長、肉体労働の俺とわけてる筈なのに」
京太郎「……まあ、PCパーツって言っても色々ありますよね」
京太郎「沢村さん具体的には?」
智紀「AMDよりIntelの方が優れているという風潮」
京太郎「――っ!」
京太郎「……CPUと言えば」
智紀「AMD」
京太郎「グラボと言えば」
智紀「ATI」
京太郎「――沢村さん!」
智紀「――須賀君」
一「なんでいきなり固く握手してるの?」
久「何か心通じるものがあったんじゃない?」
京太郎「ただ、この悩みは理解できますが難しいですね……」
京太郎「自作で常にAMDとATIで固めてる俺としても世論は動かしにくいというか」
久「さらっと変な設定が増えたわね。後で生かせれたら良いのだけど」
一「全くついていけないんだけど……というか、世論って普通の一高校生が動かせれるわけないよね」
智紀「確かにコスパで劣るのは否定できない」
京太郎「ええ……しかしAMDには浪漫がある」
京太郎「Core2が出てIntelに寝返ったやつらとは違いますから」
智紀「――須賀君」
京太郎「――沢村さん」
久「終わりそうにないから二人は放っておくとして」
一「それでいいの?」
久「話が進まないんだもの……国広さんは何かある」
一「んー……服について……かな」
京太郎「あー、気になってたんですけど、その服凄いですよね」
久「いきなり割り込んだわね……PC談義はいいの?」
京太郎「後でできるので」
智紀「メル友になった」
京太郎「と、いうわけです」
久「まあ、話を戻しましょうか」
京太郎「ですね……で、国広さん、その服はあれですか、わざとですか?」
一「そんな……人を露出狂みたいに……ボクを信じて」
京太郎「俺はそういう『自分が可愛い系キャラだと知ってる人』の涙は信用しません。部長で学びました」
一「じゃあ、死ね」
京太郎「本性出すの早すぎ! いきなり攻撃的すぎる!」
久「でも、死ね」
京太郎「部長も追撃しないで!」
京太郎「前に龍門渕に行った時からもしやと思ってましたけど……国広さん俺にかなり冷たいですよね!?」
久「須賀君、貴方何かしたの?」
京太郎「正直、身に覚えが」
久「犯罪者は皆そう言うわ」
京太郎「濡れ衣です! いきなり犯罪者扱いですか!」
智紀「……一は透華と須賀君が仲が良いのが気に入らないらしい」
一「ちょ、ちょっと!? ともきー!」
京太郎「あー、そういう理由ですか」
一「……ふーんだ」
久「須賀君も大変ね」
京太郎「……沢村さん、どうにかなりません?」
智紀「ムリダナ」
京太郎「そんな棒読みで指で『×(ばってん)』作られても……可愛くはありますが」
智紀「……褒められた」
久「沢村さんって結構お茶目なのね」
一「……そういう事さらっと言う辺り、須賀君って結構チャラいよね――そういうとこも嫌い」
京太郎「チャ、チャラいって……」
久「お調子者設定だから仕方ない部分もあるわね」
智紀「須賀君は面白い人だと思う」
京太郎「フォロー有難うございます。喜んで良いのか微妙ですけど」
京太郎「……」
京太郎「国広さん――俺はハギヨシさん一筋です」
久「何故そこで無意味に歯を光らせるの?」
久「そして、どう考えたらその言葉を吐こうとする心理に至るの?」
京太郎「い、いやチャラいと言われたので誠実なところをと……」
一「うわっ……」
京太郎「その『まじキモっ』みたいな反応は、結構本気で傷付きます」
智紀「いい……須賀君、続けて」
一「ともきー!?」
久「二番煎じの腐女子設定はどうかと思うわ」
智紀「私は真実を知りたいだけ」
久「キリって感じで言われてもねえ」
久「取り敢えず横道にそれ過ぎだから戻すわ。悩みなんだけど……」
一「うん、何て言うか……皆の理解が得られないと言うか」
京太郎「理解を得る人は一握りだけだと思います」
久「そうね、とりあえず猥褻物陳列罪を適用して――」
一「適用されないからっ!」
京太郎「一概にそう言えない服装ですよね……」
智紀「ぐう正論」
一「……須賀君には聞いてないから」
京太郎「アッハイ」
一「大体皆の感性が……」
久「自分がズレてると考えはしないのかしら」
智紀「この前純の服を買いに行った時もそれで揉めてた」
京太郎「さ、流石に人に薦めるのはどうかと……」
一「……時代がボクに追いついてないだけ! ボクは悪くない」
一「あと……須賀君の一々ツッコミ入れるとこも嫌い!」
久「嫌われてるわねー」
智紀「どんどん嫌いなとこが増えていきそうな勢い」
京太郎「結構本気でショックなんですけど」
久「親交を深める意味で各校二人づつにしたのにねえ」
京太郎「ハァ……」
一「がるるっ」
智紀「どうどう」
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