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元スレ大井「少し離れてくださいな」 北上「え、なに?」
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大井「なにじゃないですよ。離れてくださいと言ってるんです」
北上「あぁ、もしかしてそれ私に言ってたの? ……へぇ~?」
大井「……なんですか?」
北上「べっつにぃ~? あの大井っちが私にそんなこというとはねぇ、おっどろきだなぁって」
大井「なにが言いたいんですか? はっきり言ったら?」
北上「いやぁどの口がのたまうのかなってさ、ちょっと前まで言う対象が逆だったのにねぇ?
そんな簡単に手の平返しちゃうような大井っちが私に離れろって……ははっ」
大井「……そういう北上さんこそ、普段は飄々としてるくせに随分と固執するんですね。
貴女みたいな人はどうせすぐ飽きて次に手をだして挙句最後は貴女自身が飽きられてしまうんですよ」
北上「……それ、もしかしなくても喧嘩売ってるよね?」
大井「お好きに捉えてどうぞ?」
北上「オーライ、沈めてあげるよ。墓石に書く言葉を考える時間はあげるよ」
大井「お腹に風穴あけてあげます。燃費が良くなるかもしれませんよ?」
提督「二人とも離れてくれ」
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球磨「……くまー」
提督「……重い」
球磨「女子にそれは言ってはならんクマ」
提督「例え10㎏のダンベルでも背中に乗られたら重いっての」
大井「ほら、姉さん。提督が困ってますから、ね?」
球磨「嫌だクマ。今日はこれでいくと決めたクマー」
大井「んもう……」
提督「はぁ、仕方ない。なんとか我慢する。仕事ができないわけじゃないからな」
大井「ごめんなさい。……ほら球磨姉さんも」
球磨「助かるクマー」
(扉の開く音)
北上「提督ー、報告が……なんだ居たの」
大井「えぇいましたとも。なにか問題でも?」
北上「べつに……」
提督「なんであいつらこの状態の球磨は許せて互いは近づくだけで警戒してるんだ?」
球磨「それは提督が二人とケッコンしたからクマ」
北上「ねー提督」
提督「ん?」
北上「いまさ、大井っち出撃中だよね」
提督「あぁ、今頃タ級相手にジルバを踊ってる頃だ」
北上「そりゃホットだね。……でさ、つまりはしばらくは二人きりで居られるわけだね」
提督「ま、そうだな」
北上「ね? いいでしょ? こっちもホットに行こうよ」
提督「そうしたいのは山々だが、書類もまた山々なんだ」
北上「えー……」
提督「それに、お前の姉の目も気になる」
北上「え?」
多摩「バレたにゃ」
北上「げ、いつの間に」
提督「緞帳上がる前から居たぞ」
北上「それ、いつから上がった扱いなの……?」
多摩「大井に見張りを頼まれたにゃ。やらなきゃ腸を尾っぽ代わりにぶら下げる羽目になると脅されたにゃ」
提督「おっかねぇ、泣いちゃいそうだ」
大井「海の藻屑に!」
北上「なりなよー」
(爆発音)
提督『よし、これであ号も完遂だ。よくやった、帰投しろ』
大井「了解、では私が先頭を。北上さんは殿をお願いします」
北上「あいあい、任せといてー」
―――
大井「ただいま帰りましたー!」 だきっ
提督「っとと、おうお疲れ、流石に貫禄のMVPだな」
大井「ふふん」
北上「ちょっとー、確かにボス戦でのMVPは大井っちだけど道中では私の方が多いんだけど」
提督「あぁ、北上もよくやってくれた。よしよし」
北上「んふふ~」
大井「ちょっと、北上さん。邪魔しないで下さいよ」
北上「邪魔なのはそっちじゃないの~? ほらほら、被弾艦はドッグに言ったら?
あ、私は必要ないよ? なんせ無傷だからね」
大井「いまここで怪我します?」
北上「その有様で? はっ!」
提督「お前らおとなしく休んでこい」
雷「戦闘中は息ピッタリなのに丘だとこれだものね」
足柄「ま、ある意味丘でも息ピッタリではあるけどね」
アニメでは百合百合状態だったのに
提督との恋争いになるとこれかいな
提督との恋争いになるとこれかいな
そら北上でね?一応姉ちゃんだし……これって下手したら第三婦人に木曾がくるのかな?それとも阿武隈?
球磨ねーちゃん正妻で大北婚約済み(Lv99)の俺にはタイムリーなスレ。
職場から
次は多分日曜辺りになる
次は多分日曜辺りになる
大井「提督ー?」
(空っぽの執務室に声が反響する)
大井「……留守、かしら?」
大井「外套も羽織らずどこに行ったのかしら……」
大井「……」
大井「…………」
大井「……」きょろきょろ
大井「……よし」
北上「なにしようとしてんのー?」
大井「んひっ!?」
北上「おおう、すっごい声」
大井「な、なんですか!?」
北上「いやいや、こっちが聞いてるんだけどね。ま、大体想像はつくけどさ」
大井「ていうかいつから!?」
北上「大井っちがきょろってた辺りでね、前通って。扉閉めないとだめだよ?」
大井「くあぁっ……」
北上「さらにいうとそれ、既に散々私が使った後だからそんな匂いしないと思うよ」
大井「なにしてん!」
北上「今日一番のおまいう」
北上「……」
提督「……」
北上「ふぅん……」
提督「見てて面白いか? 髭剃りなんか」
北上「わりと、生えないしねぇ」
提督「ふぅ、うん?」
北上「あれだよね、女性用の剃刀と比べて切れ味やばいっていうよね、髭剃り」
提督「あー、まぁ毛質が違うからな。太いし硬いし黒いしすぐ生えてくるし、いいことねぇ」
北上「……太くて硬くて黒くて、ねぇ?」
提督「視線を下にやるな」
北上「ほら、この間も結局できなかったし」
提督「昨日もしただろ」
北上「いやいやいや、たまにはサシでさぁ」 ぐいぐい
提督「やめろ、ズボン引っ張るなベルト取ろうとすんな。つーか切れる切れる! 唇切る!」
大井「開発回し終えま……なにしてるんですか北上さん!」
北上「髭剃り」
大井「何言ってんですか!」
北上「だからぁ、提督の黒くて太くて硬くて復活が早いアレだよ」
大井「……」
提督「おい、こっちを睨むな。北上もその言い方は語弊がありすぎる」
北上「餅?」
大井「な訳ないじゃないですか。バカですか?」
北上「かっちーん」
大井「で、なにしてたんですか本当は」
提督「いやだから見てのとおりだよ」
大井「口でしようとしてる所にしか見えませんでしたけど」
北上「あれ、無視されてるよ」
大井「あぁもういいですよ。帰って」
北上「カッチーン、よし表でなよ」
大井「いいですよ、いい加減決着つけましょうか」
提督「ほどほどにな」
―――
大井「てぇぇい!」
北上「いった! いまのいったい! なんか優しいとこ入った!」
大井「魚雷魚雷!」
北上「だが残念当たらない。これが運の差なんだよねぇ」
大井「そこは数でカバーです!」
北上「うわぁ! 多い! 大井だけに」
大井「……死んでください!」
(爆発音)
提督「……球磨ー」
球磨「なんだクマ」
提督「あの二人もう少しなんとかなんねぇかなぁ?」
球磨「球磨にはどうにもできんクマ」
提督「あの二人なら仲良くやってくれると思ってたんだけどなぁ」
球磨「仲がいいからこそ、譲れないものがあるクマ」
提督「ありがたいやらなにやら」
球磨「そこは上手いことやって欲しいクマ」
提督「頑張ってはいるけどさ」
球磨「ま、どうしてもしんどくなったらいつでも球磨の所に来るクマ。
こんな胸でよかったら貸すク――」
(爆発音)
球磨「いってぇクマ!」
大井「人の旦那になにかましてんですか!」
球磨「だからって非武装相手に撃つバカがいるか!?」
北上「いや、あれは撃たれてもしょうがないねうん」
球磨「上等クマ、姉の力を見せてやるクマ!」
提督「あっぶねぇ、生身で至近弾とかシャレにならん」
多摩「助けた多摩に感謝するにゃ。撫でてもいいにゃ」
提督「おう」
足柄「聞いていい?」
北上「はい?」
足柄「どっちが正妻なの? っていうか第一なの?」
大井「それは私です」
北上「そりゃあたしだよ」
大井「あ?」
北上「は?」
大井「もしかして忘れました? 私が先に指輪を渡されたんですよ?」
北上「あーあー、勘違いして可哀想に。それはただのあいうえお順でしょ?
提督は美味しいものを後にとって置く派なんだよ?」
大井「そんなのただの食事の話ですよね? 大事な話は先にする人ですよ?」
北上「あははは」
大井「うふふふ」
北上「艤装展開」
大井「艤装展開」
足柄「よっこいしょっと」
雷「なんでわざわざあぁなるように仕向けたの?」
足柄「提督に真面目な話があるときあぁするのが一番楽じゃない」
仲良し姉妹がこんなふうに成るのを見るとなぜかちょっとドキドキするな
(爆発音)
足柄「またやってるの?」
川内「みたいだね。……んーポン」
足柄「ん。……今日はどっちが勝つかしらね。賭ける?」
川内「北上に3万」
足柄「じゃあ大井に2万で……榛名は?」
榛名「榛名は賭け事はあまり……」
雷「賭け麻雀やってる時点で説得力ないわよ」
榛名「それは金剛お姉様に代打ちを頼まれてしまったからで!」
足柄「リーチ」
川内「げー……」
榛名「……」
雷「はい安牌」
足柄「っと、よし一発! リーヅモ平和一発一通一盃口清一。16000・8000!」
川内「ぐあぁぁ! 親かぶり!」
(爆発音)
足柄「っとと、今日はまた激しいわね」
川内「あっ! 山崩した! チョンボ!」
足柄「いやいやいや、上がった後じゃない」
雷「なんかもう一日一回やるのがノルマみたいになってるわよね」
榛名「あの二人ですか?」
川内「まったく、騒がしいよね」
足柄「いや、夜中に騒ぐあんたよりはマシよ」
大井「で て っ て く だ さ い」
北上「なーんーでー」
大井「今日の秘書艦は私です! 北上さんはどうぞ甘味でもパクついてブイにでもなってください」
北上「別に秘書艦以外居たらダメなんてルールはありませーん。というかブイって、そこまで太れるか!」
大井「いいから出て行ってください! 仕事の邪魔ですから!」
北上「大井っちだって逆の時執務室に居るじゃんか~」
大井「私はキチンと手伝いをしています! 北上さんみたいにソファに座ってごろごろしてません!」
北上「いやぁ、落ち着くよね。ここ」
大井「くつろぐ場所じゃないですから!」
北上「なに焦ってんの大井っち~」
大井「別に焦ってません! むしろ焦ってるのは北上さんじゃないんですか?
中破する度に露骨にパンチラさせてはしたないんですよ!」
北上「ぐはっ!? そ、それは……っていうかき、気づいてたの?」
大井「あれだけあからさまにやってて気づかない方がおかしいですよ! ね? 提督」
提督「あー、あれな。うん、まぁそうな」
北上「真似やめて……。ってかまーじでぇー?」
大井「あれには第一艦隊みんな引いてますからね? 雷なんて他の第六駆に」
雷『あぁなっちゃダメよ?』
大井「とか言ってましたし」
北上「ぐあぁぁ……」
大井「愛宕さんも失敗した色仕掛けと言われてましたよ」
北上「あのノーパンいやらし乳でか重巡にまでそんなことを……死のう」
大井「なにいってるんですか、死んじゃだめですよ」
北上「なにさ普段は死ねぇぇとか言ってくるくせに!」
大井「だって、……んふっ。そんな心にダメージを負った北上さんを死なせるなんて……もった……ごほん」
北上「道連れにしてやんよ!」
【二人の時 大井】
大井「もっと」
提督「こうか?」
大井「んっ……いい感じです」
提督「珍しいな。お前がこんな風に甘えてくるの」
大井「だって……」
提督「ん?」
大井「こうして、二人っきりってそうそうないですし。まして夜私室でとなるともっとないですから」
提督「まぁ、そうだな」
大井「腕、緩んでます。もっとぎゅっとしてください」
提督「はいはい……しかし、さ」
大井「?」
提督「もう少しだけでいいんだけど、北上と上手いことやってくれないか? いや、俺が言うのもなんだけってぇ!」
大井「二人で居る時に他の女の名前を出さないでくださいっていつも言ってますよね?」
提督「だからって太ももつねんなよ……いってぇ~これ痕残るぞ」
大井「まったくデリカシーのない」
提督「でも、他の女っていっても北上だぞ?」
大井「例え北上さんでもダメなものはダメです。それに、上手くってこれでも上手くやってます。
提督「そうか?」
大井「そもそも北上さんじゃなければ重婚だって許してませんし」
提督「そうか……」
大井「なんですかその若干落胆交じりの感じ。もしかしてまだ……」
提督「いや! そんなつもりはない!」
大井「しょっぱなから重婚かました人の台詞なんて信じられません。……ので、身体に聞きますね」
提督「おい、ちょ。ま――」
ネタくれ
というかまぁ暇つぶしだから無理に書く必要はないんだけど
というかまぁ暇つぶしだから無理に書く必要はないんだけど
三人で外出とか他の艦娘達からの反応とか?とベタだけど新入りが提督を狙おうとして……とか。
>>25
足柄の真面目な話
足柄の真面目な話
>>36
外敵に対しては一致団結するのに居なくなったらいつも通りになる姿が容易に想像できるな
外敵に対しては一致団結するのに居なくなったらいつも通りになる姿が容易に想像できるな
>>37
全く動じない金剛の姿が浮かぶ
全く動じない金剛の姿が浮かぶ
【木曾】
球磨「いい天気だクマ」
北上「はい提督、あ~ん」
多摩「日差しが心地いいにゃ」
大井「ちょっと北上さん! いつも昼食は私が作ってるのに余計な事しないでくださいよ!」
球磨「これでもう少し静かならいうことないクマ」
北上「だからだよ! なんでいっつも大井っちが作ってるのさ!?」
多摩「でも静かだとお昼寝したくなるにゃ。だからある意味これでいいにゃ」
大井「私の方が料理上手だからですぅ~。悔しかったらレパートリーを増やしたらどうですか?」
球磨「しっかし今日も今日とて我が妹二人は軽快クマな~」
北上「にゃにを~?」
提督「はいはいお前らその辺で……」
(扉が勢いよく開く音)
木曾「はい! 改2!」 ばばーん
大井「本当の事をいっただけですぅ~」
北上「こんのぉ~……ならこれ食べてみてよ! 鳳翔さんにならったんだからね!」
多摩「けどあれにゃ、多摩達の分も用意してくれる辺りなんだかんだいい妹にゃ」
球磨「うめぇクマ」
提督「おううめぇな」
木曾「……見てくれよ!」
提督「おん? おぉ! 改2になったか!」
多摩「くたばれにゃ」
球磨「まだ改2実装されてない姉の事をちったぁ思いやれクマ」
木曾「お、おう……すまん……」
北上「で、それだけ?」
木曾「え?」
大井「見てのとおり食事中なのだけれど」
木曾「え、えぇ~……こんなに歓迎されないとかまじか……」
提督「それでなんなんだ? その手に持ってるのは」
木曾「え、あ! そうだった! おい、勝負だ!」
球磨「あー、でたクマ」
北上「果たし状とはまた」
木曾「ふっふっふ、改2となり雷巡へと改装されさらに改修まで終えた今、全身にみなぎるパワー……
今日こそ絶対に勝つ!」
提督「ほう、それで果たし状か」
木曾「おう! 今日はハンデもいらねえ! 両腕、両足、両目使って構わないぜ! 武器もな!」
多摩(むしろいままでそんだけハンデつけられた上で一度も勝ててなかったのかにゃ)
木曾「じゃあオレは先にいってるからな!」
(扉の閉まる音)
提督「しゃーない。行ってくる」
大井「一ついいですか?」
提督「ん?」
大井「どうしてあんな条件に?」
提督「ん~、まず眼帯をしてるから対等に、という理由で片目を閉じて。
海の上での戦いを主にする艦娘と丘で戦うなら足場の違いを考慮してとか言って右足を使わないようにして
艤装を使わないんだから俺も武器は使わないって感じで、腕は……まぁバランスとかいった」
北上「でも木曾は剣使うんでしょ?」
提督「まあ。……じゃあ行ってくる」
球磨「いってらー」
多摩「ほどほどに頼むにゃ」
提督「ははは」
ばたん
球磨「……賭けるクマ?」
多摩「別にかまわんにゃ」
北上「えー、でもそもそも賭けとして成立しないでしょ」
大井「提督に2000」
北上「ほらぁ、賭けにならない。あたしだって提督に賭けたいもん」
―――
機密保持の為、外に出ることができない数多くの艦娘が生活する鎮守府。
敷地は広く様々な施設があり、空母が主に使用する弓道場や
自己鍛錬に励む艦娘が利用する柔剣道場もその一つである。
その柔剣道場の埃っぽい空気の中、向かい会い立つ姿が二つと離れてそれを眺める影が一つ。
(ふむ、しばらく使ってなかったがやはり多少弱ってきてるな)
内の一人、二本の長さの違う日本刀を携えた男が裸足で床を
確かめるように二度三度踏んでから向かい合う人影に声をかける。
「それで、どうして青葉がいるんだ?」
離れたところで眺めてた重巡洋艦青葉に軽く目を向ける。
「証人が居るだろう? お前が敗北する歴史的瞬間をな」
至極楽しそうに問われた向かい合うもう一人――木曾は答える。
眼帯にマントという動きづらそうな服装はそのままに、
しかし節々から強い自信が見える。
「えぇえぇ青葉が本日の決闘の一部始終を嘘偽りなくみなさんに伝えますよ!」
青葉は首から下げたカメラを実に嬉々とした表情で掲げ
パシャリと一枚フラッシュを光らせる。
「という訳だ」
「そうか、なら開始の合図は青葉に任せよう」
「はい、了解です!」
淡々とした会話が埃舞う室内で重なる中。
しかし向かい合う二人は少しずつ緊張を高めていく。
「本当にいいんだな? ありありで」
最後の忠告とばかりに提督が確認をとり。
「あぁ、その上で俺が勝つ」
鼻をふふんとならし木曾が軽く答える。
――それを慢心と呼ばずしてなんと呼ぶか。
木曾が後悔をするのは間もなくの事。
「では反則なし。決着はどちらかが敗北を認めるか意識を失うまでと言う事で……始めッッッ!」
そう言い切り、青葉がホイッスルが鳴らす。
「……しっ!」
床を強く踏み鳴らす音。それは爆発音とも聞き間違う程の轟音。
五メートルはあろうかと言う距離を文字通り一足飛びに詰め、提督は小太刀を振るう。
「っ!?」
軍刀に抜く間も無く、一瞬にして距離を詰められた木曾は
それを寸での所で上体を大きく逸らす事で回避する。
眼前に迫る、西日を受け鈍く光る刀の切っ先。
(見える! 確かに見える!)
以前の自分ならこの時点で即首を落とされていたであろう
鋭すぎる一撃。それに確かに反応できた、認識できた、把握でき対処できた。
それは木曾の中の漠然とした自信を更に煽る。
「せぁっ!」
後ろに仰け反った体勢、勢いをそのままに右足を
刀を振るった腕がまだ戻らぬ提督の顎目掛け高く蹴り上げる。
「……」
見向きもせず、首を傾げるようにして回避。
空振った刀を反転、斜めに切り下ろすように二の太刀。
それをまた木曾も蹴り上げた足もそのままにバク転し避けきる。
しかしバク転をするということ、それは目の前の敵から目を離すと言う事。
ほんの刹那、けれどそれは格上相手には致命的すぎる隙だった。
「ぬあっ!?」
胸の前で水平に構えられた小太刀。
それは木曾が着地し、動きが止まった一瞬を狙って真っ直ぐに突き出された。
両の目をしかと開いていればそれでも把握できた攻撃。
しかしその片方の目を頑なに眼帯で塞いでいた木曾にとって、
片一方の瞳に対し真っ直ぐに放たれた突きはただの一文字にしか見えなかった。
改2になるまで海戦を繰り返し培った経験。
前世の数多の兵達の記憶。目の前に迫る確かな死に対する生存本能。
ありとあらゆる物がギリギリの所で木曾を動かした。
黒く艶やかな髪を裂き、頬を掠め耳を切り。それでもなんとか避け切った。
・ ・ ・ ・
けど、そこまで。
「ふっ!」
「ぐあっ!」
先の見ていない反射的な回避。
体勢は崩れに崩れ、がら空きになった白く柔らかな彼女の脇腹に
深く、深く、不覚。蹴りが刺さる。
それは皮膚を、脂肪を、筋肉を、内臓を、押しつぶす一撃。
余りにも容赦なく、余りにもえげつない全力の回し蹴り。
二度。否、三度木曾は床にぶつかりながら吹き飛び、
やがて分厚く古い壁に強かに身体をぶつけ止まる。
そこに呻きは無く、身動ぎもなく、意識を失っている事は誰の目にも明らかだった。
「……こんな所か」
シャリンと、鍔鳴りの音。
鞘に納まる鋼打ちの刀と呟き。
勝負は、ほんの一分足らずで終わった。
―――
固唾を呑んで見守っていた試合。
けれど青葉はこうなるであろうとある程度予期していた。
あるいは予想、予測。予知と言ってもいい。
一切のハンデ無しでこの男と仕合おうなどと言えばどうなるかなんて、
そんなもの考えるまでもない。
・ ・
(あれは……怖かったですね)
ここに配備される艦娘が皆々一度は受ける洗礼。
青葉自身も例外ではない。
(そもそも格闘戦を得意とする駆逐、軽巡を複数人素手で相手して
圧勝する人間相手に単独で勝てるわけがありません)
パシャリ、パシャリと二人の戦闘をカメラに収める。
奮戦している? と思ったのも一瞬で。
「……こんな所か」
小さな呟きであっけなく仕合は終了した。
結局小太刀のみ、もう一本の長刀は使われないままに。
「青葉」
「っ、はい!」
呆けている自分にかけられた言葉に自ずと背筋が伸びる。
「木曾を介抱してやってくれ、……それと明石にここの床、脆くなってて抜けそうになった。
補修しとくように、と」
「了解!」
返事を聞き、頷いて靴を履き退出する彼の背中を見つめ。
「……どうやったら踏み込みだけでこの床を抜きそうになるんですかねぇ?」
自らも立つ分厚く頑丈な床を確かめるように拳で叩く。
重巡である自分がそれ目的で力一杯殴っても抜けそうに無い床に向かって一人ごちた。
木曾「……という訳でふるぼっこにされた」
天龍「お、おう……大変だったな」
木曾「天龍もちょっと行ってこいよ」
天龍「無茶言うな! あんなもんとやり合えるか! 俺はまだ死にたくねぇ!」
木曾「ふふふ……怖いのか?」
天龍「こえぇよ!」
木曾「……即答されるとは思ってなかったな」
天龍「はぁ……」
木曾「……」
天龍「……」
木曾「あ、そういえば」
天龍「ん?」
木曾「俺、改2」
天龍「……おう、おめっとさん」
木曾「練度、65」
天龍「だな」
木曾「……天龍はいくつだっけ? ん?」
天龍「…………77だけど」
木曾「あれ? あれあれあれ? 俺より高いのにまだ改2になってない? あっれおかしいなぁ?」
天龍「おい」
木曾「あぁ、そっか改2実装されてないのか~!」
天龍「てんめぇぇぇ!」
木曾「ほらほら改2だぜー! 後輩に抜かされたぜ~!」
天龍「上等! ぶっつぶしてやる!」
木曾「かかってこ――ごふっ!」
天龍「あ」
龍田「なぁにやってるのかしらぁ?」
木曾「い、……いつの間に」
龍田「改2がなくても、貴女を痛めつける位どうってことないのよぉ? もう一回、入渠する?」
木曾「す、すんません。龍田姐さん」
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