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チュンチュン
上条「……」
上条「朝か……」
上条(結局誰も来なかった……)
上条「暗部絡みじゃないのか……」
pipipipipi
上条「……非通知」
pi
☆「やあ、幻想殺し。あまり眠れなかったみたいだね」
上条「そうおちおち熟睡なんてしねえよ。……ん? お前は普通なんだな……」
☆「幻想殺しの能力は素晴らしい、この大魔術ですら打ち消してしまうのだからな」
上条「魔術……? この変な世界はお前の仕業か!」
☆「違う。これは正直言ってイレギュラーだ。まあ、おそらく今日中には片付くだろう。むやみな外出はやめておけ」
上条「おい! 何も説明しないまま終わらせようとしてんじゃねえよ」
☆「詳しいことは明日、土御門にでも聞きたまえ。彼がどのような選択をするか楽しみだな」
pi-
上条「土御門だとぉ……、それになんだ魔術って……」
上条(まあ、いい。暗部絡みでなく、今日中に終わるってんなら家戻るか。こんな廃墟みたいなとこなんて二日もいたくねえや……)
上条「はぁー……」
上条(いつからこんな風になっちゃったのかねぇ……、殺しが日常の世界……)
?「チッ、どォなってンですかねェ。アァン」
上条「……」
上条(あんな真っ白な髪と肌なんて……、気持ち悪い野郎だ……)
?「クソが」
上条「あれ? あいつもこの違和感に気付いてた……?」
上条(まあ、いいか。今日は家帰って寝直そう……)
上条(んで明日土御門を問い詰める!)
~翌朝~
ガラガラ
青髪「おー、カミやん! 昨日は学校休んどったけど大丈夫なん?」
上条「……」
スタスタ
土御門「な、なんぜよ……、怖い顔して」
上条「ちょっと来い」グイッ
土御門「うおっ、襟を掴むな襟を!」
スタスタ
「なんか今日の上条君怖かった……」
「土御門君がなにかしたのかな」
「ホモだー、って雰囲気明るくしようとしたけど出来なかった……」
「お前良い奴なのか微妙なラインだな」
青髪「んー」
~屋上~
土御門「いい加減離せ!」
上条「……お前、何者だ。昨日、一昨日の不思議現象はなんだ。……魔術とはなんだ」
土御門「ッ!?」
上条「中学の時から俺のことコソコソと監視してやがって……、気付いていないとでも思ったか」
土御門「な、なんのことかにゃー。俺にはさっぱりだぜい」
上条「……アレイスター・クロウリー」
土御門「な、なぜカミやんがその名を!?」
上条「俺からしたらなぜ統括理事長さんからお前の名前が出てきたかの方が気になるんだがな……」
土御門「……そういうことか。アレイスターめ」
上条「さあ、話せ。お前が知ってること全てだ」
土御門「幸いもう授業が始まる……。邪魔者も来ないことだし、力づくでやってみるのもアリなんじゃないか? 上条当麻……、いや、……幻想殺し!」
先に動いたのは上条だった
上条の常人離れした踏み込みにより土御門の左側へと上条の右半身が射程圏内に入る
土御門はしっかりとそれに反応し上条の右ストレートに備える
しかし上条は右手の勢いを殺し、思いっきりそれを引く
そうすることで野球のピッチャーのような体勢から土御門の死角へと上条の左拳が突き刺さった
はずだった
土御門は右腕でそれを受け止め上条のガラ空きの腹部へ左ボディを繰り出す
上条は予想外の土御門の動きに混乱してしまう
土御門はそれを見逃さずに右拳を上条の背骨へと殴りつけようとする
しかし上条はそのただならぬ殺気を感じ、右方向へ左足に力を入れ、土御門の攻撃を逃れる
「今までの奴らと同じだと思われちゃ困る」
土御門の殺気
上条は未だに信じられなかった
垣根級の殺人格闘術を身につけた人物に出会ったことに
「……はぁ、せっかく長いこと入院していなかったのにな」
上条は身を引き締める
(こいつは強敵だ)
「こんなんじゃ聞きたい情報なんざ手に入らないぞ」
「やってやらあ、最近きちんとした格闘やってなかったからなぁ」
上条は先ほど同じように土御門の左側へと踏み込む
と同時にその右拳が土御門の太腿を捉える
踏み込んだ足と共に右手を上条は繰り出していたのだ
土御門はその想定外の痛みに一瞬我を忘れるが、すぐに意識を集中させる
(つ、次は左手か……!?)
上条は攻撃の手を緩めない
右拳を太腿からそのまま上へスライドさせ鳩尾を右のショートアッパーでえぐる
(決まった! あとは左で顎を揺らせば動けない……ッ!?)
上条の一瞬の油断
それを土御門は見逃さず上条の左頬に自らの渾身の右ストレートを当てる
「はぁはぁはぁ」
土御門は息を整える
上条はというと……、
「いつつっ、クソが! あともう少しだったのによぉ」
左頬は少し赤く腫れてはいるが、まだまだ余裕そうだった
予想外だった
土御門元春、魔法名は??背中刺す刃(Fallere825)
自分の目的のためなら何かを裏切ってでもそれを果たす
彼はその名の下に魔術的見地だけでなく肉体的にも申し分ないトレーニングを続けてきた
しかし、この上条当麻という男はまだまだ底が見えない
明らかに殺しにかかってくるような攻撃はしていない
それどころか土御門は初めから殺す気でかかってようやく互角
それが彼のプライドを傷つけた
「お前、殺そうと思ってやらなかったこと、後悔するなよ」
先ほどから土御門は本気でかかってきているのはわかっていた
しかし上条は情報を聞き出さなきゃならない
殺してしまっては意味がないのだ
殺しの格闘術しか知らない上条にとってどの位までがセーフのラインでアウトのラインなのかまだ検討がつかないのだ
そんな迷いを察してか土御門の周りの雰囲気が変わる
何かを土御門が辺りに投げた
それを皮切りに土御門は詠唱を始める
「――場ヲ区切ル事。紙ノ吹雪ヲ用イ現世ノ穢レヲ祓エ清メ禊ヲ通シ場ヲ制定
(それではみなさん。タネもシカケもあるマジックをごたんのうあれ)
?――界ヲ結ブ事。四方ヲ固メ四封ヲ配シ至宝ヲ得ン
(ほんじつのステージはこちら。まずはメンドクセエしたごしらえから)
?――折紙ヲ重ネ降リ神トシ式ノ寄ル辺ト為ス
(それではわがマジックいちざのナカマをごしょうかい)
?――四獣ニ命ヲ。北ノ黒式、西ノ白式、南ノ赤式、東ノ青式
(はたらけバカども。げんぶ、びゃっこ、すざく、せいりゅう)
?――式打ツ場ヲ進呈。凶ツ式ヲ招キ喚ビ場ヲ安置
(ピストルはかんせいした。つづいてダンガンをそうてんする)
?――丑ノ刻ニテ釘打ツ凶巫女、其ニ使役スル類ノ式ヲ
(ダンガンにはとびっきりきょうぼうな、ふざけたぐらいのものを)
?――人形ニ代ワリテ此ノ界ヲ
(ピストルにはけっかいを)
?――釘ニ代ワリテ式神ヲ打チ
(ダンガンにはシキガミを)
?――鎚ニ代ワリテ我ノ拳ヲ打タン
??(トリガーにはテメエのてを)」
不思議な呪文のようだ、と上条は思った
言い終えた土御門の周りには何があるように感じた
「この広範囲攻撃から逃れられるか?」
そう言い終えると魔法陣のようなところから巨大な炎が上条目掛けて襲いかかってきた
上条は咄嗟に右手を構える
パキーン
乾いた音が鳴るがまだその攻撃は止まない
すると上条の後ろからも炎が迫ってきていた
「頭に血が上って赤ノ式使っちまったぜよ……、ゴフッ」
超能力の開発を受けているにも関わらず魔術を使用した土御門は全身から血を噴き出しながら膝をついていた
(殺しちまったか……?)
今だ煙が消えない上条がいたところを睨みつける
人影だ
しかしそれはうつ伏せに倒れていた
背中は炎を喰らったせいか制服が焦げている
(赤ノ式でも吹っ飛ばねえ身体かよ……、こりゃ本当に殺す気でやらなかったら死んでた……)
土御門は安心して腰を下ろす
(早くここから離れないと……、こんなとこで赤ノ式使うなんてバカなことしちまったな……。後は幻想殺しの回収、捕縛、っと)
土御門が起き上がろうとした瞬間
チャキ
額に銃を突き付けられた
「っ……、背中絶対火傷してるわこりゃ。てか血まみれじゃん、どうしたよ」
「……なぜ立っていられる、ゴフッ」
「あんなダメージ数年前に克服済みだ。右手を前に後ろに大忙しだったぜ。そのせいで筋肉は数カ所痛めるし、そこにきて背中からの攻撃で少し気を失っちまったわ」
(こいつ本物の化け物か……っ! 超能力も魔術も効かない、身体的能力も常人以上聖人未満……)
「さて、話してもらうぜ。全てな」
土御門「降参だ……。今じゃ俺も身体を動かせない。それにカミやんにはいずれ話そうと思っていたことだ」
上条「その割には殺す気満々だったじゃねーか」
土御門「当たり前だにゃー。俺くらい倒せなきゃこっちの情報知ったところでその次の週にはお陀仏ぜよ」
上条「ほう。なかなか面白そうだな」
土御門「それよりもちょっとキレて後先考えずに目立つ魔術使っちまったから、早くこの場から立ち去っときたいんだが……」
上条「……はぁー、病院連れてくぞ。俺も火傷治さなきゃいけないし、筋肉も少し診てもらわなきゃいけねえや」
土御門「すまんにゃー。病室で全て話そう……、俺がしてしまった罪も含めて…….」
上条「……」
~病室~
上条「くそっ、一日検査入院とかついてねえなあ。しかもお前と相部屋かよ」
土御門「まあ、仲良くしようぜい」
上条「良いから話せよ」
土御門「まずは俺のことから話しておいた方がいいか……、俺はイギリス清教という魔術師の組織の一員で必要悪の教会(ネセサリウス)に所属している魔術師だ」
上条「難しい名前言われたってわかんねえよ。まず魔術師ってのはなんだ? さっきの炎が魔術だってのは間接的だが理解はした」
土御門「あれも魔術の一種だが俺のは風水を使う……、まあそれはおいといて、魔術とは学園都市外の超能力だと考えてもらっていい」
上条「ふーん、それも俺の右手は消しちまうのか……」
土御門「ああ。それに気が付いたイギリス清教は俺を監視役として選んだってわけだ。別件で学園都市にはスパイとして潜入していたからな」
上条「……俺に気付かれたのは百歩譲ってしょうがないとしても、なぜ統括理事長にまで名前を知られてるんだ……、まさかもうスパイだってバレてる!?」
土御門「チッチッチッ、実は俺は学園都市からも依頼を請け負う多角スパイなのさ! その裏ではまた魔術側へ情報を垂れ流し、そのまた裏では学園都市に情報を垂れ流し、ってことをやってるわけ!」
上条「そりゃ大変なこった。まあ、あんだけ強けりゃそうそう死なないだろ。あの魔術だって俺とかLevel5ぐらいじゃなきゃ今頃あの世行きだろ」
土御門「それがな、カミやん。超能力の開発を受け過ぎて魔術が碌に使ないようになってしまったんだにゃー」
上条「はっ? じゃああの炎は?」
土御門「あれは魔術。だがあの後の俺を見ただろ。魔術を使うと自分の身体を壊す。だから魔術を使う時は絶体絶命の時ってわけだぜい」
上条「ふーん」
土御門「とまあ、俺の改めましての自己紹介はこの辺にして。昨日、一昨日の異変について話そう」
上条「ああ、となるとあれも魔術の影響ってわけなんだな」
土御門「あれは魔術の中でも大魔術の御使墜し(エンゼルフォール)だ」
上条「なんだそれは」
土御門「詳しくは魔術的な知識が必要になるから省くが、要するに精神と肉体がシャッフルした状態になることだ」
上条(そういうことね……)
上条「それをやって何がしたかったんだ?」
土御門「天使を天界から人間界に引き摺り下ろす」
上条「天使ねえ……、それも魔術ですか」
土御門「天使なんてものは人間じゃ勝てない。そんなものが本当に人間界に墜されたら人類は滅亡だろうな」
上条(嘘……は言ってなさそうだな……)
土御門「だからこの魔術を早急に止める必要があった」
上条「……その方法は?」
土御門「術式の破壊か……、術者の抹殺」
上条「……お前はどっちの方法をやった」
土御門「……術者の抹殺」
お付き合いありがとうございました
次回の更新はまだ未定です
時間見つけてちょくちょく書き溜めしたいですね
エンゼルフォール終わるくらいまでは……
ちょっと表現がおかしかったり誤字脱字があったりするとは思いますが許してください
話がなかなか進まないのはすみません
どうしても薄くしないように心掛けるとこうなってしまって
それではまた
次回の更新はまだ未定です
時間見つけてちょくちょく書き溜めしたいですね
エンゼルフォール終わるくらいまでは……
ちょっと表現がおかしかったり誤字脱字があったりするとは思いますが許してください
話がなかなか進まないのはすみません
どうしても薄くしないように心掛けるとこうなってしまって
それではまた
つまり土御門は上条の態度に対しては「父親殺した復讐」と考えてたのかな?
まあ本編で、家吹き飛ばして済ませたのは上条の友達だったからだろうし、監視対象の親程度の関係だったらぶ ち 殺 し 確 定だよな
ってことは、詩菜さん未亡人…?ちょっと出掛けてくる
ってことは、詩菜さん未亡人…?ちょっと出掛けてくる
火野が逃亡中に上条家に侵入置物をいじって御使堕し発動
ってのは流石に無いかな
ってのは流石に無いかな
>>1です
エンゼルフォール篇最終パート書いていきます
エンゼルフォール篇最終パート書いていきます
上条「……お前も汚いことやってんだな、やっぱり。まあ、あれだけ動ければそうでない方がおかしいか。でもよくそんな大魔術を扱う魔術師を殺せたな」
土御門「……術者は一般人だった」
上条「一般人でも魔術使えるのかよ」
土御門「御使堕しは今だ正確な術式も解明されていない大魔術だ。その一般人がたまたま起こしてしまった……、ただそれだけだ……、それも愛する人のために……」
上条「……それで? 俺に話すことは終わったのか?」
土御門「いや、まだだ」
上条「……」
土御門「……その術者というのが、……カミやんの親父さんだった」
上条「……」
土御門「……すまない」
上条(ああ、垣根がいなくなって、家族の繋がりを欲してしまっていたのか……。俺の一番欲しいものが俺の目の前から消えていく不幸……)
土御門「監視対象としてカミやんの家族の顔は知っていたから気が付いたんだ。カミやんの親父さんだけ姿形が変わっていない、と」
土御門「それにその時、天使が一時的とは言え人間界に堕ちてしまっていた。それの対応を迫られた俺や数人の魔術師には時間がなかった。」
土御門「……事実死人も出た」
土御門「術式を捜索する時間はなかった。……悠長に構えていたら俺は死んでいたんだ。だから、だから……、カミやんの親父さんを、殺した」
上条(俺が大切にしたものはどんどんと無くなっていってしまう……。ならば、俺がすべきことは……)
土御門「……」
上条「……なぁ」
土御門「……なんだ」
上条「監視対象なんだからよぉ、大まかな俺の過去なんかは知ってるよなあ」
土御門「……ああ」
上条「じゃあ、その資料からでもわかりきってるよなあ! 俺が一番大切にしてる物がよお!!」
土御門「っ……、ああわかってる」
上条「俺だってただ監視されてたわけじゃねえぞ。お前のことはずっと警戒してたからなあ! お前が一番大切にいてるものがなにで、どこにあるのかも知ってるんだよなあ!」
土御門「ッ!? カミやん、それだけは……!」
上条「人が一番大切なもの壊したんだ。壊される覚悟がなきゃそんなことやっちゃいけねえよなあ!!」
土御門「っ……、そんなこと絶対にさせねえぞ……、させねえからな!」
上条「お前が俺から奪ったのはそういうものだろうが!」ガシッ
土御門「うっ」
上条「……なあ、俺さ今暗部に入ってんの。あー、これ最重要機密ね」
土御門「ッ!?」
上条「俺がちょこっと電話して命令すれば下部組織なんかが早急にやってくれちゃうわけ」
上条(まだそんなのないけど)
土御門「……やめろ」
上条「……やめてほしいか? ああ?」
土御門「……や、やめてくれ。お願いだ」
上条「……」
土御門「俺には舞夏が全てなんだ! 頼む……っ!」
上条「……それじゃあ一つ要求を飲め」
土御門「……」
上条「俺が一番欲しいものは俺の目の前から消えていくんだ。そして今欲しいのが優秀な仲間。俺の暗部組織は俺一人だけだからな」
上条「だから土御門、お前には俺の仲間になってもらう。そしてお前が使えなくなった、もしくはいらなくなった時点で、土御門舞夏を殺す」
上条「それは俺の独断と偏見で勝手に決めさせてもらう」
土御門「……そんな要求飲めるわけないだろ」
上条「これは相談じゃねえ、命令だ。それに背くことは土御門、そしてお前の妹の人生を今すぐに終えることになるが、いいか?」
土御門「……くっ、それでいい、それに従う」
上条「まあ、すぐに切り捨てることはないだろ。それに俺かお前が死ぬまでこの関係が崩れることもないかな……、どうせすぐ消えちまうだろうし」パッ
土御門「……俺には少なからずカミやんに対して負い目はある。だから、俺にお前の命を狙わせるようなことだけはさせないでくれ」
土御門「仮にも今まで、友達以上の関係を続けてきた仲なんだから……」
上条「……そうだな」
土御門「だがいいのか? 俺を仲間にするってことは色々問題を押し付けられる可能性が出てくると思うが……、魔術関連で」
上条「そのことだが、どうもアレイスターには土御門を仲間にさせようと考えてた節がある。少なくとも俺が怒りで我を忘れてお前を殺しても魔術関連の仕事は俺には回ってきてただろうよ」
上条「あいつもこの右手、幻想殺しが魔術に効かないことを喜んでいたようだったからな」
土御門「……そうか。なら俺を仲間にするのも合理的とは言える……。だが、俺はお前の親父さんの仇だぞ! それでいいのか!?」
上条「そのことは一生忘れれねえし、許さねえ。だから、スパイとしてだけでなく暗部としてでもお前は常日頃から死の恐怖に怯えろ。これがお前への一時的な罰だ」
土御門「……そうか。まあ、納得した」
上条「……」
スッ スタスタ
土御門「どこか行くのか?」
上条「気分が乗らねえから帰る。怪我の方も心配するほどじゃねえしな。それにお前といるのも今日は勘弁だ」
土御門「……そうだな」
上条「暗部のことは統括理事長さんにでも詳しく聞いといてくれ」
土御門「……わかった。……それとカミやん」
上条「なんだ」
土御門「お前はおそらく学園都市側からの要請が無い限り学園都市外には出られないだろう」
土御門「……母親に何か言うことはあるか? 近いうち俺は外に出る。せめてもの償いにお前のことを心配する母親に無事を知らせてあげたい。何年も連絡取れてないだろ」
上条「……、父さんと母さんのことはずっと大切に思ってる、とだけ伝えてくれ」
土御門「……わかった」
ガラガラ
~自宅~
上条「はぁー……」
上条(父さん、死んじまったのか……)
上条「うぅ……、ごめんな、ごめん。俺が不幸なばかりに……、ぐっ」ポロッ
上条「っ……、こんな俺にも優しくしてくれる人はどんどん俺の目の前から消えちまう……、くそっ」ポロポロ
上条「くそぉっ……」
~翌日~
上条「……目、腫れちまってるかな」
上条(学校って気分じゃねえし、どうせもう行かなくても……)
上条「土御門が魔術側の監視役なら、青髪は学園都市、いや科学側か……?」
上条(俺のこと調べた研究者なら小さい頃からいたからな……、青髪とは長い付き合いだ……。ありえなくもないか……)
上条「土御門はよくわからんが、青髪は俺のことはただの監視対象としか見てないのかねえ……。寂しいもんだ」
上条「……今日はスキルアウトんとこ行くか。この前の死体処理のお礼も兼ねて」
pipipipipi
上条「いよー馬鹿面」
浜面「浜面だ! は・ま・づ・ら!」
上条「どっちでも良いだろ。この前のお礼するからさ、午前中の適当な時間に俺の家に迎えにきてよ」
浜面「あー、死体処理のことならお礼なんて良かったのに……、てか俺、大将の家なんて知らねえぞ?」
上条「あとで位置はメールで送るわ。スキルアウトの連中に俺が作った昼ご飯ご馳走するからよ、お腹空かして待っとけっつといてや」
浜面「大将、料理出来んの!? ちょっと怖いけど楽しみでもあるなぁ。じゃあ買い物もあるだろ? 十時頃に車で迎えに行くから」
上条「おー、また後でな」
pi
上条「……んー、大将ってあだ名?」
~10時~
ブロロロロ
上条「よっ」
浜面「こんな狭いとこに車で呼ばないでもらいたいぜ。てかマンションデカッ!」
上条「まあまあ、良いじゃねえか」
浜面「そんなに気にしてはないから良いけどよ……、スーパーに寄ってけばいいか? 人数も結構いるから食費もバカにならねえとは思うんだが……」
上条「金のことは気にしなくて良いぞ。人数いるならカレーにすっか。晩飯の分も作ってやるから、荷物運びよろしくなー」
浜面「そんなにしてもらっちゃって悪いな」
上条「さ、行こうぜ!」
~スキルアウトアジト~
スキルアウト1「上条さんちーすっ!」
「「「「「ちーすっ!」」」」」
上条「……」
浜面「……本当にやってるよ」
上条「なにやってんだコイツら」
スキルアウト1「この前は俺らスキルアウトのケジメに付き合わせちまっただけでなく解決までしてもらったので」
スキルアウト2「感謝の意を込めてます!」
上条「……あれは俺が勝手にやったことだから別に感謝なんていらないのに……」
浜面「……それより早く食材置かせてくれ」プルプル
上条「おー、じゃあ台所?みたいなとこ借りるぞー」
駒場「……上条」
上条「駒場さんかい、今日はお礼にな」
駒場「……うちの者助けるために殺しまでさせてすまなかった、ありがとう」
上条「俺みたいなクズに礼はいらねえよ。さ、おたくらは座って待っててくれや」
浜面「だそうだぜ。……それより大将、早く行こう」プルプル
~一時間半後~
上条「よーしっ、全員分行き渡ったか? じゃあ、荷物運び頑張った浜面! 一言」
浜面「うへっ!? 俺? えー、じゃあ大将のカレーを美味しくいただこう! いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
パクッ
スキルアウト1「……」グスッ
スキルアウト2「……」ポロッ
浜面「……おー、おー」
「……お袋の味だ……」
「……お母さん……」
スキルアウト1「……やべえ、懐かしすぎて」
スキルアウト2「……彼女のより上手いってどういうことだよ……」
浜面「……なんか俺の名前を呼ぶ記憶が……」
駒場「……美味いな」
上条「なかなか上手にできたな。母さんの味に近くなった」
浜面「……大将、ありがとう。思い出させてくれて」
スキルアウト1「すげえ上手いッス」
上条「俺もこんな大勢で飯食えて嬉しいよ。こんな騒いでご飯食べるのなんて、初めてだからさ……」
ザワザワ ウマウマ グヘグヘ
上条「……少し気が楽になる」
駒場「……たまに来てまた食事でもしよう」
浜面「そーだぜ! 食費も払わなきゃ気が済まないくらいのレベルだしさ、こういう雰囲気好きならいつでも呼んでくれよ。すぐ迎えに行くからさ!」
上条「……ははっ、ありがとな」
~数日後~
pipipipipi
pi
上条「なんだ」
土御門「今、外から学園都市に帰ってきた。……カミやんの母親に伝言を伝えたら、手紙を貰った。学校にも来てないみたいだし、グループのアジトで落ち合わないか?」
上条「別に良いんだけど、俺アジトとか知らないぜ……?」
土御門「あの野郎、何も伝えてねえじゃねえかくそっ! ……それならメールで送る場所に来てくれ。一緒に下部組織の電話番号も送るからそいつに乗っけて来てもらってな」
上条「わかった」
pi
上条「……母さんからの手紙か」
上条(もう何年も会ってねえや……)
上条「父さん死んじまったし、大丈夫なのかな……。心配だ……」
~グループアジト~
上条「へえー、結構良いところだな。いかにもって感じじゃないのがまた良い」
土御門「久しぶりだな」
上条「おう。多角スパイってのも大変そうだな」
土御門「もう慣れたにゃー」
上条「じゃあ、暗部の仕事も合わせて死ぬ気で頑張れよ」ニコッ
土御門「ははっ、守るものがある限り俺は死ねないぜい」
上条「そうかい」
土御門「あー、これだこれ。カミやんの母親からの手紙」
上条「どうも。……母さんは元気そうだったか?」
土御門「……先日カミやんの親父さんの葬式も終えたみたいだ。元気に振舞ってはいたが、その真意はわからん。……ただカミやんの無事を伝えたら本当に喜んでもらえた」
土御門「……それと同時に罪悪感を覚えた」
上条「……お前は俺と一緒にいることでその罪の意識に苦しむんだな」
土御門「……わかっているさ」
上条(……母さんからの手紙)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
当麻さんへ
当麻さんが無事でいてくれて本当に安心しました。半ば強引に当麻さんを学園都市に送ってしまったこと、何年も連絡が取れないこと、私たちが学園都市に入るのに何故か許可がおりなかったこと、本当にここ数年は後悔の念でいっぱいでした。
当麻さんも知っての通り刀夜さんが死んでしまって、私は生きる意味をなくしかけていました。それでも当麻さんが学園都市で元気に生活しているのを聞いて、私はまだ生きていることが出来ています。当麻さんの超能力の関係で学園都市外には出にくいようですが、いつか顔を見せに来てくださいね。
今まで送り返されてしまったお手紙を当麻さんに見てもらいたいですし、いっぱいお話をしたいですね。
当麻さんの学校の話とか聞きたいです。当麻さんが毎日学校に通っている姿を想像しただけで私は嬉しいですよ。頑張って毎日を生きてくださいね。私もそれを励みに頑張りますから。
刀夜さんの最後の贈り物という形にはなってしまいましたが、新しい家に私は一人で住んでいますよ。住所も同封しておきます。
新築のお隣さんには葬式の手伝いや色々と生活を支えてもらいました。御坂さんと言って、娘さんが学園都市でも有名な人のようです。当麻さんもその娘に会って困っていたら助けてあげてくださいね。
当麻さんの無事を知ることが出来ずに天国へと旅立ってしまった刀夜さんですが、きっと天国から当麻さんを見守っててくれていますよ。
私たち二人の大事な大事な子供の当麻さん。これからもずっと家族三人です。どんなに離れていてもいつも繋がっていますよ。当麻さんは一人じゃないんですからね。
??????????????????????????????当麻さんの母、詩菜より
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当麻さんへ
当麻さんが無事でいてくれて本当に安心しました。半ば強引に当麻さんを学園都市に送ってしまったこと、何年も連絡が取れないこと、私たちが学園都市に入るのに何故か許可がおりなかったこと、本当にここ数年は後悔の念でいっぱいでした。
当麻さんも知っての通り刀夜さんが死んでしまって、私は生きる意味をなくしかけていました。それでも当麻さんが学園都市で元気に生活しているのを聞いて、私はまだ生きていることが出来ています。当麻さんの超能力の関係で学園都市外には出にくいようですが、いつか顔を見せに来てくださいね。
今まで送り返されてしまったお手紙を当麻さんに見てもらいたいですし、いっぱいお話をしたいですね。
当麻さんの学校の話とか聞きたいです。当麻さんが毎日学校に通っている姿を想像しただけで私は嬉しいですよ。頑張って毎日を生きてくださいね。私もそれを励みに頑張りますから。
刀夜さんの最後の贈り物という形にはなってしまいましたが、新しい家に私は一人で住んでいますよ。住所も同封しておきます。
新築のお隣さんには葬式の手伝いや色々と生活を支えてもらいました。御坂さんと言って、娘さんが学園都市でも有名な人のようです。当麻さんもその娘に会って困っていたら助けてあげてくださいね。
当麻さんの無事を知ることが出来ずに天国へと旅立ってしまった刀夜さんですが、きっと天国から当麻さんを見守っててくれていますよ。
私たち二人の大事な大事な子供の当麻さん。これからもずっと家族三人です。どんなに離れていてもいつも繋がっていますよ。当麻さんは一人じゃないんですからね。
当麻さんの母、詩菜より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ポロッ
上条「うぅ……、ひっぐっ……」ポロポロ
土御門「……」
上条「グスッ……」
上条「ふう……」
土御門「……」
上条「取り乱してしまった……」
土御門「……気にするな」
上条「土御門」
土御門「……なんだ」
上条「明日から出来るだけ学校に行こう。暗部の仕事があるときはしょうがないが、最低でも留年しないくらいには行こう!」
土御門「……わかった。それも俺の罰の一つとして受け入れよう」
上条「違う。友達がいなきゃ学校なんてつまらないだろ! お前と俺は友達以上の関係なんじゃないのか!?」
土御門「ふっ……、そうだにゃー! 友達がいなきゃ学校なんて行ってもしょうがないぜよ! 明日から行こうぜい!」
上条「ああ!」
上条(これで少しでも父さんと母さんの希望になれるのなら、その幻想はぶち壊しちゃいけねえよな)
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