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    元スレちひろ「プロデューサーさんが休暇を取ってる間に」

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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - アイドルマスター + - ハーレム + - モバマス + - 反転 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    602 = 591 :

    投下しまむー


    >>405-413の裏で起きてたお話。千秋お嬢様は引き続き淑女な策士でございます

    603 = 591 :

    彩華「ぇ…」
    「Pさんが」
    美波「結婚…!?」
    千秋「みたいよ♪」



    彩華「夜の蝶…夜の蝶になる…」
    「キス…一度でいいから…」
    美波「私にアンナコトさせたのに…」

    ロケから戻って来た私を出迎えたのは、生ける屍と化した同僚達だった
    小梅が見たら歓ぶだろうか?そんな冗談が浮かぶ程度に深刻な事態だ

    あい「な、何があったんだね…」

    ちひろさんはいない様だし、正直に言えば、今の彼女達は怖い。あまり話しかけたい相手ではない
    かと言って知らぬふりをする訳にも行くまい、仮にもアイドル、死人の様な顔をファン達に見せる事は出来ない

    あい「仕方ない…」

    こう言う事は年長者の仕事だ。私も世の中では若輩者だが、他に人がいない以上、今は私がその役だろう

    あい「彩華くん…何か、あったのかい…?」

    先ずは危険な事を言っている子をどうにかしよう。Pくんのいない間にスキャンダル発生、と言うのは些か都合が悪い
    自分の為にも事務所の為にも、出来る事はする

    彩華「あいさん……Pさんが……」
    「」ピクッ
    美波「」ビクッ

    彩華くんの言葉に二人が反応する。どうやら全員原因はPくん絡みらしい

    彩華「P、さん…がぁ……」

    彩華(;ω;)ブワッ
    (´;ヮ;)ボロッ
    美波(;△;)ウェーン

    ………Pくん、女性を泣かせるなんて72をしたんだね

    彩華「事務所辞めちゃう……」

    なんだと!?

    604 = 591 :

    あい「どういうことだ!?何故彼が急に……」

    「千秋さんが…Pさんっ、結婚するって…」

    あい「っ…、……」

    成る程、ね…
    つまり彼女達は、アイドルで在りながら失恋の痛みに沈んでいる訳か

    あい「安心したまえ、そんな事で彼は辞めたりしない…それで、君達は何時まで沈んでいるつもりだね?」

    彩華(;ω;)ボロボロ
    (´;ヮ;)シクシク
    美波(;△;)グスグス

    あい「……」

    泣きたいのは君達だけじゃないと言うのに…自分の事で手一杯だとでも言うのか

    あい「非情な事を言うが、君達もアイドルだろう?一人の女でなどいられないのは分かるはずだ」

    彩華(;_;)
    (;、;)
    美波(;-;)

    あい「…どうしても辛いと言うなら私の部屋に来るといい。今の君達に必要だと言うのなら、多少の自棄も見過ごそう」

    ──────

    彩華(;∧;)ガブガブ
    (;▽;)グビグビ
    美波(;д;)クピクピ

    ──────

    彩華(´;д;)ZZZ
    (#;∀;)Zzz
    美波(´-ω-)zzz

    ──────
    ───

    605 = 591 :

    ─────
    ──
    せっかくのヴィンテージ物のウイスキーをこんな形で空けることになるとはな……
    思った以上に不味い酒を呷り、動かぬ頭で思う

    あい「それもこれも……全部君が悪いんだ!」

    こみ上げてくる思いを振り払うように投げつけたグラスがガチャン!と、音を立てる
    叫んだところで何がどうなると言うモノでもない。同じ業界人でも、彼はプロデューサーで私はアイドルだ
    所詮裏方でしかない彼と私とでは立場が違う、分かっていたつもりだった、覚悟していたつもりだった
    光を浴びる代償に、私は『個人』でいられなくなる。交友関係も趣味にかける時間も、何もかも自由にならなくなる。理解していたつもりだった

    あい「それでも…好きだったんだ…愛してしまったんだっ……!」

    叶わぬ恋だと分かっていた、だからいっそのこと、誰かのモノになってしまえば、どこか遠くへ行ってしまえば、諦められると思った

    あい「ぅうっ、ひぅっ!うぅぅぅ……」

    そんな簡単に、割り切れなかった

    606 = 591 :

    彩華「ぅぅ…」

    「気持ち悪い…」

    美波「頭痛いです…」

    あい「味噌汁はいるかい、生憎トイレと風呂は一つずつしかないが、朝食は人数分作らせてもらったよ」

    慣れない酒を、それも、三人は初めて飲むであろう酒を、全員かなりの量飲んでいる。二日酔いになってもおかしくない
    多少の経験がある私が二日酔いなのだ、起きて来た三人は予想通り青い顔をしていた

    美波「あいさん…落ち着いてますね…」

    美波君が尊敬とも侮蔑ともつかない顔をする

    あい「……求められる自分でいるだけさ。昨日は飲み過ぎてしまったが、今日からはまたアイドルとして求められる私でいるさ」

    常に余裕を持って、クールで優雅な大人の女性。求められる私でいる事に苦労などなかった
    本来の私と然したる違いも無かった。だから『私』と『東郷あい』の差は───『個人』と『偶像』の差は───誰かを愛しているか否かだけだった

    「あいさん…哀しいヒトなのね…」

    奏君の落胆とも同情ともつかない微笑
    その笑みが『求められるままの姿にしかなれない人形なのか』と責めている様に感じてしまう

    あい「…私は…他人が思う程強い人間ではない……」

    欲しい物は手に入れる、その為の努力は惜しまない。それを手に出来る人が限られているなら、私はその中で最も相応しい人間になってやる。その評価は間違っていない
    でも、求める何かと何かが両立しないなら…私は片方を諦めてしまう
    ドラマをやるなら、舞台が出来なくとも構わない。グラビアの為なら、嗜好品も諦める。アイドルだから…彼と結ばれないのは仕方ない…

    あい「二兎を追うものは一兎も得ず、だよ…P君の事は諦めるべきだ」

    まったく『諦めるべき』とは一体誰に向けた言葉だ
    私自身諦め切れてないのに、偉そうにものを言う

    あい「私はもう出るが、君達はどうする?君達の二日酔いがバレるのは些か問題だよ?」

    彩華「今日は…Pさんに会いたくないな…」

    「私も…」

    美波「ちひろさんに、今日は休むって…お願いします」

    あい「賜った。代りに今日中に気持ちの整理をすること、いいね?」

    607 = 591 :

    今日はP君の休暇が明ける日でもある、三人の報告がてら嫌味の一つくらい言っても罰は当るまい。そう思って事務所に足を向けていた
    事務所が見えて来たところで誰かが出て来る。あれは…千秋君か
    彼女の所為で余計な被害が出たのだ、八つ当たりしても

    千秋「きゃああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

    なんだ!?!?
    千秋君が悲鳴を上げながら駆けて行く、事務所で何があった?
    場合によってはすぐ真奈美を呼べる様に用意し、事務所の扉を開ける

    あい「おはようございます、P君、ちひろさん、さっき千秋君が駆けて行くのが見えたのだが……」

    ちひろ「何でもないです、千秋ちゃんが大恥かいただけですので。それこそ身内以外がいたらアイドル生命が絶たれるレベルの」

    P「まぁ、そうだな…何でもないですよ…」

    アイドル生命が絶たれるレベルの大恥とはよほどの事だが…何があった…?

    ちひろ「それより、あいさんは今日現場直行じゃなかったですか?」

    あい「速水君達に頼まれてね、速水君と新田君、それから岸部君は今日休むそうだ」

    P「えっ!?三人とも収録あるし彩華のは生放送だぞ!ちひろさん奏お願いします、俺は」

    あい「待ちたまえ」

    慌てて電話を取るP君を制す、彼女達にも問題はあるが、大元の責任があるのはP君だ

    あい「彼女達が何故私に頼んだと思う。誰とは言わないが、君に会いたくないと言ったのだよ?」

    この女たらしには少し反省してもらう必要がある

    あい「確かに私達と違って、君やちひろさんは自由に恋愛が出来る。だがね、だからと言って、無闇矢鱈と女性を傷つけていい訳じゃない。君は自分勝手だ、そのツケだと思って土下座の安売りでもするんだね」

    このプロダクションで君に恋心を持たない娘はいない。それも知らず勝手に結婚するなんて許さない
    私達の受けた痛みを、その一割でも知ってもらう

    608 = 591 :

    P「ぁ、あいさん…?どうしたんですか…?」

    あい「結婚するんだろう?君の結婚がどれだけの娘を傷つけるか、知らないとは言わせないよ」

    彼が私達の思いに気付いていない事を承知でそう言う。八つ当たりなのは解っている、大人気ないのは解っているが、それでも当たらずにはいられない
    自分がここまで子供だとは思っていなかった、もう少し大人な人間だと思っていた。それでも、一度溢れた感情は止められなかった

    だが、ちひろさんが掲げるプラカードを見た瞬間、私は凍りついた

    ドッキリ大成功


    ドッキリ大成功



    ドッキリ大成功




    ドッキリ大成功





    ドッキリ大成功?!

    609 :

    3人とも未成年なんですが

    610 = 591 :

    ドッキリ大成功
    つまり子供のまま大人になった人間の悪戯
    いつから?どこから?誰の発案?P君は仕掛け人?千秋君は?彩華君達も咬んでいるのか?このやり場の無い怒りはどこにぶつければ良い?
    そんな疑問だけが頭を廻る

    ちひろ「千秋ちゃんが『寝取る』とか言った時はどうしようかと思いましたけど結果オーライですね!」

    ちひろさんがどこか満足そうに言う
    なるほど、千秋君は白か
    ならば彩華君達も白だ
    つまりこの怒りはこの二人にぶつければ良いのか

    P「ぇっと…お疲れ様です」

    いいだろう

    あい「………………………知ってるかな」

    これは決定事項だ

    あい「世の中には許される悪戯と許されない悪戯がある」

    私が、今、決めた

    君達には地獄を見てもらう…!

    611 = 591 :

    亜里紗「うさ子の酒が飲めないウサー?」

    奈々「ナナは17歳です!飲んじゃダムゥググ…」

    すまない奈々さん…無力な私を許してくれ…

    クラリス「父なる神よ…貴方の恵みに感謝します…」

    クラリスが空ボトルの森で寝ていた…まさか一人で飲んだのか?

    友紀「ライガーズのバカヤロー…キャッツは強いんだぞ~…」

    …確か昨日で三連敗だったか

    のあ「酒に飲まれるなんて…みんなまだまだね」

    …さっき青い顔でトイレに駆け込んだのは誰だい?

    洋子「あははははっ!」

    彼女は笑い上戸だったのか、さっきから飲む、笑う、寝る、また飲むを繰返していた

    早苗「他人のお金で飲むお酒は美味しいわ~」

    千秋君紹介のレストラン
    ドレスコードは勿論、いくつもの制限を設ける最上級の店を貸し切り、ちひろさんの所為で泣かされたアイドル達が飲み会を開いた

    ちひろ「ははっ…一本ン百万のお酒があんなに……」

    今日集まったアイドルだけでも30人近くいた、支払い額は考えない方がいいかもしれない

    あい「これに懲りたら、もうあんな事はやめにするんだね」

    ちひろ「ふふっ…イヤです、預金なら」

    あい「あぁそうだ、塩見君達は新しい服にするそうだよ」

    ちひろ「ぇ…?」

    あい「未成年の娘達にも償いはしてもらうよ?」

    ちひろ「え…」

    あい「……貯えが残るとは思わない事だね」

    ちひろ「」

    612 = 591 :

    以上です
    正直かけた時間の割にはな気がします


    >>609
    お泊り会と飲み会は違うから…
    奏達は(対外的には)お泊り会だから…



    ごめんなさい比奈偏リメイクの際出せなかった娘を無理やりねじ込んだ弊害です

    613 :

    おつおつ、Pがオシオキされてない?

    614 :

    菜々に名前間違えたお詫びしなきゃだよね

    615 :

    >>613
    1、泥酔したアイドル達に送り狼にさせられる

    2、女ばっかの飲み会に男一人、ナニかさせらた

    3、Pとちひろでお会計

    などが後ろで起きるハズ…
    内容は個々人で補完して下さい


    >>614
    (;゚ω゚)ぎゃあやらかした
    謎の千早いじめといい菜々P千早Pの皆様ごめんなさい

    616 :

    自分…ユッキで書いてもいっすか…

    617 :

    おう!さっさとかけや(土下座)

    618 :

    ユッキでかいたんで、いきます

    619 = 618 :

    モバP「まだやるんですか?」

    ちひろ「そらそうよ」

    モバP「帰りたい…」

    ちひろ「次の娘、もう事務所にいますから」

    モバP「ウィッス…」

    620 = 618 :

    ガチャ

    モバP「お疲れ様でーす」

    友紀「プロデューサーおつかれー」

    モバP「友紀だけか」

    友紀「そだよー」

    モバP(知ってるけどな)

    モバP「ん?また野球みてんのか」

    友紀「だってレッスン終わったら始まっちゃったんだもん!あ、プロデューサーも一緒に応援してよ!」

    モバP「今は…なんだもう九回表か…まぁ、いいか」

    友紀「はい、隣きて!」

    モバP「はいはい」

    621 = 618 :

    友紀「負けが続いてるんだよねー」

    モバP「キャッツが?」

    友紀「うん、でも今日はきっと勝つよ!」

    モバP「だといいが、2ー2か…」

    友紀「…そういえばさー」

    モバP「ん?」

    友紀「結婚するんだってね…」

    モバP「…あぁ、知ってたのか」

    友紀「うん…なんだー、プロデューサーあたしに相談も無しに決めちゃってさー」

    モバP「すまんな」

    622 = 618 :

    友紀「全く、プロデューサーはさ~」

    カキーン

    モバP「あ」

    友紀「…やっぱり今日も負けかな」

    モバP「なんだ、お前らしくもない」

    友紀「…なにそれ」

    モバP「なにって…」

    友紀「プロデューサーにあたしのなにがわかるっていうのさ!」

    モバP「ど、どうしたんだ?」

    友紀「…ごめん」

    モバP「い、いや、気にしてないよ…」

    友紀「ごめんなさい…」

    623 = 618 :

    モバP「大丈夫だから、な?…お、ほらチェンジだぞ」

    友紀「……」

    モバP「4ー2か…」

    友紀「うん…」

    モバP「…お、塁に出たな」

    友紀「うん…」

    モバP「……」

    友紀「……」

    モバP「…結婚したからって、お前たちのプロデュースを疎かにしたりはしないからな」

    友紀「うん…わかってる…」

    モバP「…一、二塁にランナーか、逆転できるかもな」

    624 = 618 :

    友紀「……」

    モバP「なぁ、友紀…」

    カキィーン!!

    モバP「!?友紀!ホームランだ!ホントに逆転したぞ!」

    友紀「……」グス

    モバP「!?」

    友紀「…や、やったー!逆転だー!やっぱりキャッツは最強だー…や、ったー…ひぐ…」グス

    モバP「お前…泣いて…」

    友紀「こ、これは嬉し、くて…ふっ、う…」グスグス

    モバP「そんなわけ…」

    友紀「ふ、うぇぇぇん…ぷ、ぷろでゅーさぁ、なんでけ、結婚なんかしちゃうのさぁ…」グスグス

    モバP「な、なんでって…おい、な、泣くなよ…(ちひろさん早くきてー!)」

    625 = 618 :

    友紀「あ、あたしだっで、ぷろでゅーさーのこと、ひっく…、す、好きだったのにぃ、ふぇぇぇぇん!」グスグス

    モバP「」

    友紀「あ、あいどる、だか、っく、我慢して、たのにぃ、ふぐぅ…、ぷろでゅーさぁ、とられちゃったぁ、ふぐぅぅぅ…」グスグス

    モバP「…友紀」

    友紀「ひっ、えぐ…ぷろでゅーさーのばかぁぁぁぁ…」グスグス

    モバP「後ろを見てみろ…」

    友紀「ふっ、うぅ…」チラ

    ちひろ「えへへ…きちゃいました…」ヒョコ

    友紀「…う?…ん?その看板…なに?」グス

    ちひろ「はい!というわけで、ドッキリだーいせーいこーう!」テッテレー

    友紀「…え?」

    モバP「というわけなんです…」

    友紀「うえぇぇぇ!?」

    626 = 618 :

    友紀「……」ツーン

    モバP「本当にごめんって、許してくれよ…」

    友紀「許すわけないでしょー!あ、あたしに、あんな恥ずかしいこと言わせてぇ!」カァァ

    モバP「それは勝手に…」

    友紀「はいぃ!?」

    モバP「ひぃ!?ごめんなさいごめんなさいなんでもしますから!」

    友紀「ん?今なんでもするって言ったよね?」

    モバP「はい!なんなりと!」

    友紀「…じゃあ、今から飲みにいこ。プロデューサーの奢りね」

    モバP「え?そんなことでいいの?じゃあ、ちひろさんも」

    友紀「あ!もちろん二人っきりだよ?」

    モバP「え…それは色々と問題が…」

    友紀「いいのー!手も繋いでいこ!」ギュ

    モバP「ちょ、お前!?」

    友紀「う…」カァァ

    モバP「…はぁ、しょうがないな…変装ぐらいはしてくれよ?」ギュ

    友紀「ん…」カァァァァ

    モバP「じゃ、いってきますね、ちひろさん」

    ちひろ「え」

    ガチャ
    バタン

    サムクナイカ?
    ウン…ヘイキダヨ

    ちひろ「……」

    ちひろ「なんだこれ」

    627 = 618 :

    お目汚し失礼しあした

    628 :

    良きSSでありました

    629 :

    新井が悪いよ新井が

    630 :

    いつ何時するめ大学の曲が聞こえてくるか不安だったけど最後まで可愛いユッキが見られて満足です(小並感)

    631 :

    |ω・`)チラ



    ちひろ「次の子は……、元気いっぱいはなまる笑顔、事務所随一の純真無垢っ子のあの子ですよっ」

    P「うっ……、流石にあの子は心が痛みますね……」

    ちひろ「他の子の時は心が痛まないんですかね」

    P「……あのですねぇ」

    ちひろ「はい?」

    P「……いやまあ、誤解を与える表現であったのは確かですけど、それをあなたに言われるのは納得がいきませんが」

    ちひろ「まあまあ。プロデューサーさんがみんなのことを大事に思ってるのは知ってますよ」

    P「……なんですか急に」

    ちひろ「うん。信頼して、信頼されて、理想的な関係です」

    P「…………」

    ちひろ「その寄せられる信頼を利用してこういうことをしてるわけですが」

    P「……うがーっ」

    ちひろ「きゃーっ」


    ―しばらくお待ちください―

    632 = 631 :

    P「……ぜぇぜぇ」

    ちひろ「……ふふふ、乱暴にされちゃいました」

    P「言葉通りの意味でね」

    ちひろ「でも、最後は優しかったです」

    P「女性をグーで殴るわけにもいきませんから」

    ちひろ「うふふ……。こんなに赤くなって、虫さされって誤魔化さないと」

    P「デコピンです」

    ちひろ「……嘘はついていませんよ?」

    P「全部を言ってるわけでもないですけどね」

    ちひろ「……ふふ」

    P「……?」

    ちひろ「その都度その弁明をする気ですか?」

    P「え?」

    633 = 631 :

    ちひろ「……そう、つまりこの情報の流出を防ぐためには、今日一日プロデューサーさんは私と一緒に過ごさなければならないのですよっ!」

    P「……なっ、なんだってーっ!」

    ちひろ「……なーんて、冗談ですよ。事務所に無用の混乱を招くわけにもいきませんしね」

    P「……はぁ、脅かさないでくださいよ」

    ちひろ「そこまでやったら流石にプロデューサーさんにも嫌われちゃいますしね」

    P「…………」

    ちひろ「えへへ」

    P「……いってきます」

    ちひろ「はい、どうぞ」

    ちひろ「……。ふふふ、からかい宥め脅して賺す。これぞちひろ流人心掌握術なり、……なーんちゃって」

    ちひろ「特に、最後のはにかんだ笑みがポイントですね」

    634 = 631 :


    「せんせぇ、おはようございまーっ!」

    P「おはよう、薫」

    「えへぇ。かおるね、せんせぇお休みしててさみしかったけどね? 今日会えたからすっごくうれしいよっ!」
    テテテッ

    P「そうかそうか、俺も薫に会えて嬉しいぞー」
    ギューッ

    「えへへ、ぎゅーっ」

    P「ふふふ、薫は可愛いなぁ」
    ワシワシ

    「えっとね。今日せんせぇに会えるーって言ったら、ママがおめかししなさいーって」

    P「そうかそうかー」
    クシャクシャ

    「んーふふー」

    635 = 631 :

    P「……よしっ。これで休みの間の薫分充電完了だっ」

    「かおるもせんせぇ分のじゅうでんかんりょーっ!」

    P「よぉし! じゃあお仕事だぞー」

    「はーいっ! がんばりまーっ!」

    P「まあ、といっても今日はレッスンとかスタジオの仕事じゃないけどな」

    「? じゃあ、なにするのー?」

    P「俺がお休みの間にあったことをお話しするんだ」

    「ぅ?」

    P「夏休みの宿題に日記があったりするだろう?」

    「うんっ」

    P「そういうのだ」

    「でも、かおるはお休みじゃなかったよ?」

    P「何でもいいから薫のお話が聞きたいんだ」

    「んー。……えへへ、せんせぇは仕方ないなぁ」

    636 = 631 :

    P「ふふ。それじゃあ頼むな」

    「はーいっ! えっと、かおるね? このあいだホットケーキ作ったよー」

    P「うんうん」

    「それでね、すっごくおいしく作れたからせんせぇにもあげたいなーってとっといたけど
      わるくなっちゃうからあげちゃだめーってママがいって、ママとぜんぶ食べちゃった」

    P「そうかー」

    「クリームとね、チョコスプレーとね、アラザンとね、イチゴとオレンジいっぱいのっけてね? おいしかったー」

    P「うん」

    「だから、こんどはせんせぇもかおるのおうちに来てね? ごちそうしてあげるーっ」

    P「そうだな、楽しみにしとくよ」

    「うんーっ!」

    637 = 631 :

    P「……それはそうと薫」

    「うん?」

    P「あんまり甘い物ばっかり食べてるとー……。……お腹がぷよぷよになっちゃうぞーっ?」

    「にゃーっ!?」

    P「ほれほれー」

    「にゃはははははっ。せんせぇ、くすぐったーいーっ。やーめーてーーっ」

    P「…………」

    「? どうしたのせんせぇ?」

    P「いや、これ以上は絵面的にまずいなぁと」

    「???」

    P「薫は気にしなくていい」

    「? わかんないけど、はーいっ!」

    638 = 631 :


    P「それで、他には何かあったのか?」

    「んー……。あ、そだっ! みんなとあそんだよーっ」

    P「ん? 誰だ?」

    「雪美ちゃんとかー、桃華ちゃんとかー、千枝ちゃんとか。あと仁奈ちゃんとかもっ!」

    P「そっかー。微笑ましいなー」

    「けっきしゅーかいですわっ! って桃華ちゃんいってた」

    P「……そっかー」

    「うん。……せんせぇ、どうしたのおなかおさえて?」

    P「……ちょっと、胃がな」

    「だいじょーぶ? おなかさすってあげよーか?」

    P「いや、大丈夫だ。……それで?」

    639 = 631 :

    「んー。それで、雪美ちゃんが、けっぱんじょう? っていうのつくるって言ってたけど、ちひろさんがあぶないからだめーってカッターとりあげちゃった」

    P「……ふぅ」

    「でも、千枝ちゃんがおさいほうの針もっててね?」

    P「…………ほう」

    「でもやっぱりちひろさんがだめーって」

    P「…………ふぅ」

    「おもしろかったー。……せんせぇやっぱりおなかさすろーか?」

    P「……だいじょうぶだ」

    「……うーん?」

    640 = 631 :

    P「……それで、仁奈は?」

    「んー、仁奈ちゃんはだまってた」

    P「? 仁奈にしては珍しいな」

    「おさるさんのきぐるみきててね? お口に手当てて『仁奈はいわざるなのですよ』って」

    P「……なるほど」

    「うん。どーして? ってきいたら、こんどはお目々に手当てて『みざるなのです』って」

    P「じゃあ、今度は聞かざるか?」

    「うん。桃華ちゃんがそうきいたら、『それはきぐるみでいつもしてやがります』って」

    P「……。…………ああ。着飾る、ね」

    「?」

    P「いや、いい。……で、薫はみんながなんで集まったのか分かってるのか?」

    「せんせぇがケッコンするんでしょ?」

    P「……ああ」

    641 = 631 :

    「あ、ごめんねせんせぇ。おめでとーっ! って言ってなかった!」

    P「……ん、ありがとな」

    「どーいたしましーっ!」

    P(考えてみれば、薫の年なら普通こういう反応だよなぁ……。変に考えすぎたか)
    ナデナデ

    「えへぇ……」
    フニャ

    P(他の子は……、考えないでおこう。放っておけばそのうち醒めるだろう、……うん、…………たぶん、………………きっと)
    クシャクシャ

    「……んふー」
    ホニャ-

    642 = 631 :


    P(さてと、じゃあそろそろネタバラししてお開きかな)

    「あっ、せんせぇ!」

    P「……ん? どうした」

    「あのね? かおる、こんどその人に会いたいなって」

    P「それは構わんが、どうしてだ?」

    「なかよしになりたいからーっ!」

    P「そうかぁ。……そうだな、そのうちにな」

    「えへ、たのしみーっ!」

    P「……ふふ、きっと薫のこと可愛がってくれるぞ」

    「んー? それより、いっしょにせんせぇのごはんとか作りたいなぁ」

    P「そうかー」

    643 = 631 :

    「それでね? いっしょにせんせぇにおかえりなさーっていうの」

    P「……いいなぁ家族。まじめに結婚したく、……いやなんでもない」

    「?」

    P(まずい、うっかり本音が出そうになった)

    「??」

    P「まあいい。薫はそんな家族になりたいんだな」

    「えへへ。よこーえんしゅーだよっ!」

    P「そうかー……」
    グシャグシャ

    「んー」

    P「でも、それじゃあ早く大人にならないとな」

    「うんーっ! かおる、がんばってぎゅーにゅーものんでるから、せんせぇまっててね?」

    644 = 631 :

    P「そっかー。でも、なんで牛乳だ? 背は高くなるかもだが」

    「わかんなーい。でも、せんせぇもうれしいからって愛海お姉ちゃんが」

    P「……そっかー」

    「うんっ!」
    ニカーッ

    P「…………うん、まあいいや。愛海はあとでお仕置きだ」

    「? 愛海お姉ちゃん、ダメだった?」

    P「いや、ダメってほどじゃないが……」

    「んー?」

    P「薫は気にしなくていいよ。それより、薫がお嫁さんにやるときは泣きそうだなぁ」

    645 = 631 :

    「?」

    P「どうした?」

    「せんせぇはもらうんだよ?」

    P「? なにを?」

    「……えへぇ」
    テレ

    P「……。……えっと」

    「どうしたのーっ?」

    P「……何となく話してて違和感はあったんだ、うん」

    「?」

    646 = 631 :

    P「薫、……一つ確認したいんだが」

    「?」

    P「俺が結婚するってことは分かってるよな」

    「うんっ!」

    P「じゃあ、俺は薫のお婿さんにはなれないわけなのもわかるな?」

    「?」

    P「?じゃなくて」

    「どーしてー?」

    P「……結婚は一回しかできないんだ」

    「? でもいっしょにお仕事してる○○ってお姉さんは何回もケッコンしてるって」

    P「それは特殊な例であって!」

    「いっしょにお仕事してる××っておじさんもいっぱい女の人と」

    P「それも特殊な例であって!!」

    647 = 631 :

    「……。……ほんと?」

    P「ああ」

    「……かおる、せんせぇの奥さんになれない?」

    P「なれないな」

    「……。やだ」
    ……

    P「?」

    「やだやだやだやだやだ、やーだーーーっ!」
    ジタジタ

    P「」

    「やーだーやーだーーーっ!」
    バタバタ

    P(あー、薫って怒るとこんな風になるんだ)

    648 = 631 :

    「やだやだやーーーだーーーっ!」
    ジタバタジタバタ

    P「……あーもう、暴れるとせっかくのおめかしが台無しだぞ」

    「うぅーっ」
    ガウーッ

    P「っと、……危ないなぁ」

    「だって、せんせぇがダメなんだもんっ!」

    P「……うーん」

    「ぶーっ」
    ガオーッ

    P「そんなに嫌か」

    「やだっ!」

    649 = 631 :

    P「……あー、じゃあもういいや」

    「……?」

    P「はい、ドッキリでした。ごめんなさい」

    「???」

    ちひろ「あーもう段取りめちゃくちゃじゃないですか……」
    ヒョコ

    P「だってこんなに可愛いんだもん! 仕方ないじゃないですか!」
    ヒシッ

    ちひろ「……まあ、気持ちはわかりますけどねー」

    「?????」

    650 = 631 :


    「……むー」
    プクーッ

    P「……」
    ツン

    「……」
    プシュ

    P「あー、ごめんなー。薫」
    ナデナデ

    「ふぇへへ……。……むっ」
    ……プクッ

    P「……ごめん、ふざけすぎた。許してくれ」

    「……」

    P「……」

    「……んもー、せんせぇは仕方ないなぁ」
    フニャ

    P「……ああ。ありがとな、許してくれて」

    「んー。……それじゃ薫がんばるねっ」

    P「ああ。……ん? なにを?」

    「……えへぇ」

    P「……んん?」


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