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    元スレまどか「それは まぎれもなく コブラだなって」

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    151 = 142 :


    さやか「…」

    杏子「アタシが協力してやるよ。今すぐこの坊やの家に魔法で忍び込んで、その手足を潰してやるっていうのはどう?」

    さやか「…っ!?」

    杏子「恩人に一言もかけないで退院するなんて、酷い話だよねぇ?…もう、この恭介っていう子は、アンタ無しでも生きていけるんだ」

    さやか「…黙れ…黙れ、黙れ…!」

    杏子「もうコイツにアンタは必要ない。どんどんアンタから離れていく。…それならいっそ」
    杏子「もう一度…今度は手足を使えなくして、アンタ無しじゃあ生きられない身体にするのさ。なぁに、自分でやりづらいって言うんじゃ、アタシがやってやるよ」

    さやか「…あんただけは…」
    さやか「あんただけは、絶対に…絶対に許さないッッ!!」

    杏子「…へへ、それじゃあ…場所を移そうか?ここで戦うわけにいかないだろ?」



    まどか「… … …」

    コブラ「俺達も行くぜ。ここで出て行って戦闘になったら面倒だ、広い場所に出たら…だ。いいな、マミ」

    マミ「…っ。え、ええ…」
    マミ(…佐倉さん。貴方は…何が目的なの…?)

    152 = 142 :


    ――― 大きな歩道橋の上、さやかと杏子は移動をし、お互いに対峙をしている。

    杏子「ここなら邪魔は入らないね。…さぁ…始めようか?」

    そう言って杏子はソウルジェムを使い、変身する。自分の身の丈ほどある巨大な槍を器用に振り回し、戦闘態勢をとる。

    さやか「…!」

    さやかがソウルジェムを取り出そうとした瞬間…。

    まどか「さやかちゃんっ!!」

    さやか「!まどか!それに、マミさんに、コブラさん!」

    さやかに駆け寄るまどか、マミ。ゆっくりと後ろから歩いてくるコブラ。

    杏子「…!巴、マミ…!」

    マミ「佐倉さん…。久しぶりね、元気そうでよかったわ」

    杏子「…アンタに心配されなくても、一人で出来てるよ。…魔法少女として、な」

    マミ「…そう」

    153 = 142 :


    さやか「皆…。…邪魔しないでっ!あたしは、コイツを…!」

    コブラ「落ち着きなよ、さやか。…それに、かの女はまだお前さんの腕じゃ勝てる相手じゃないぜ?」

    さやか「そんなの、やってみなくちゃ…!」

    マミ「…佐倉さん。貴方が何を考えているのか、私には分からないわ。けれど…何故美樹さんと戦おうとするの?貴方が嫌う『無駄な魔力の消耗』にしか思えないわ」

    杏子「アンタには関係ないね。アタシは、新人の教育にきただけさ。魔法少女の何たるかを、ね」

    マミ「指導には私があたっているわ」

    杏子「アンタのやり方は…手緩い。このままじゃあ…コイツ自身が身を滅ぼしちまうのが、分からないかい?」

    マミ「… … …」

    杏子「本当は口だけで言うつもりだったんだけどね…生意気な奴で、あっちからやろうって言ってきたんだ。アタシからふっかけたわけじゃないよ」

    さやか「…マミさん。戦わせてください!…あたしがどれだけ出来るようになったか…確かめる意味でも!」

    マミ「美樹さん…」


    その時、全員の前にふと現れる人影があった。


    まどか「…っ!?ほ、ほむらちゃん…!」

    ほむら「…」

    154 = 142 :


    現れた暁美ほむらは既に魔法少女に変身していた。五人をぐるりと見回すと、その中心に移動する。

    コブラ「…!」
    コブラ(俺の目でも、かの女がどの方角から来たか、分からなかった…!?)

    ほむら「…巴マミ、佐倉杏子、美樹さやか…そして、コブラ…まどか。全員揃っているようね」

    杏子「…魔法少女?…ああ、そうか。アンタがキュウべぇの言っていた、もう一人のイレギュラーか」

    ほむら「これで、この周辺の魔法少女は、全員。例外もいるようだけれど」

    コブラ「へへへ、まぁね」

    まどか「…」

    QB「何か用かい?暁美ほむら」

    ほむら「貴方がこの場に居るのは少し嫌だけれど、仕方ないわね。…全員に、話しておくべき事があるの」

    さやか「な、なによ…!」

    ほむら「ただし、落ち着いて聞いて。そうじゃないと…私達全員、死ぬ事になるわ」

    マミ「死ぬ…!?」

    ほむら「ええ。間違いなく」

    155 :


    杏子「…初対面でいきなり現れておいて、そんな話を信じろっていうの?」

    ほむら「ええ、そうよ。嫌ならいいわ。ただ私は、無益な戦いをする馬鹿の敵だということは覚えておいて」

    杏子「なんだとっ…!」

    さやか「…」

    マミ「暁美さん、話って…?」

    ほむら「…」

    ほむら「貴方達に話しておくべき事がある。決して悪い話ではないわ。ただ、これから起こる事を、しっかりと把握しておいて欲しいの」

    ほむら「二週間後、 この街に、ワルプルギスの…」


    ほむらが話を始めた瞬間。

    コブラ「…!さやか、避けろッ!」

    さやか「…えっ?」

    コブラはさやかの頭を抱えて、地面に伏せる。その瞬間…

    二人の頭をかすめる、レーザー光。

    ほむら「…ッ!?」

    杏子「何だ…!?今の攻撃は、どこから…!?」

    勢いよく伏せたせいで、さやかはソウルジェムを落としてしまう。

    歩道橋の傾斜にそれは転がっていき…誰かの足元で、宝石は止まった。

    さやか「あ…!」

    コブラ「…!お前は…ッ!」

    ボーイ「…こいつがソウルジェムか。なるほど、よく出来た宝石だ」

    156 = 155 :


    まどか「…!な、なに…!?なんなの、あの人…!」

    六人の後方に立つ人物は、人間では無かった。
    能面のような金色の顔、骨格のような金属の身体は、透明のガラスのような肉で覆われている。異形の怪物…少なくとも、少女達には、この世では存在し得ない存在。

    コブラ「…クリスタルボーイ…!」

    コブラは左腕の義手を抜き取ると、サイコガンを怪物に向けて構える。

    杏子「!」

    ボーイ「久しぶりだな、コブラ。まさかこんな場所で会うとは思わなかったが、やはりソウルジェムに関わっていたか」

    マミ「…コブラさんの知り合い…?」

    コブラ「…ちょっとした、な。なぁーに腐れ縁さ、出来れば二度と会いたくなかったがね」

    ボーイ「くくく、そう言うなコブラ。俺は貴様に会いたくてここへやって来たのもあるんだからな」

    コブラ「そいつは有難いね。でも出来れば美女に言われたい台詞だな」

    ほむら(いけない、ソウルジェムが美樹さやかから離れている。これ以上離れたら…!)

    さやか「か、返してよ!誰か知らないけど、それはあたしの物なのっ!」

    ボーイ「ほう、この宝石には所有者がいるのか。てっきり鉱山から掘り出せるのかと思ったが、まさかこんな場所から反応が出ると思わなかったのでね」

    コブラ「そいつを返してもらおうかガラス人形。お前には必要ない物だ」

    ボーイ「…ふふふ、それが、必要なんだよ」

    157 = 155 :


    まどか「あの人は、一体…?」

    コブラ「クリスタルボーイ…俺の居た世界の、殺し屋さ。悪の組織の幹部…なんて言った方が分かりやすいかな。少なくとも俺達の味方じゃない事は確かだ」

    マミ「あの身体は…人間じゃない…!?」

    コブラ「サイボーグだ。化け物と言ったほうが似合うね。俺が何度倒しても、また俺の前に現れる…ゴキブリみたいな野郎さ」
    コブラ「クリスタルボーイ!何故この世界にお前がいるのか教えてもらおうかッ!」

    ボーイ「俺がここにいる理由か…いいだろう、教えてやる」
    ボーイ「一つは、コブラ。お前の後を追ってきたのさ。お前の足取りをようやく掴んでね、ブラックホールを辿ってこの世界に足を踏み入れたのが分かったからな」
    ボーイ「そしてもう一つは…この石コロを探しにきた」

    ボーイは掌で、さやかの青のソウルジェムを転がしながら言う。笑顔はない、能面のような表情がニヤリとほほ笑んだような錯覚を全員が受ける。

    ほむら「…!何故ソウルジェムの事を…!」

    ボーイ「太古の昔にあったと言われる、魔法の宝石…俺のいた世界にはそんな伝説があってね。そいつがこの世界に存在すると聞いて探しに来たが…まさかこんなに容易に手に入るとはな」
    ボーイ「そこの餓鬼に礼を言わなければな。お前さんのおかげで仕事が早く済みそうだ」

    さやか「…っ!」

    コブラ「海賊ギルドがソウルジェムを狙っているってのか。驚いたね、いつからそんな少女趣味になったんだ?」

    ボーイ「この宝石には随分な力があるそうだな。…魔法。そう、まるで願い事を叶えるかのような、魔法の力が」

    QB「…!」

    ボーイ「こいつの持つ膨大なエネルギー…そいつをギルドは求めているそうだ。くだらん夢物語だと思っていたが、現物が手に入ったのなら俺の仕事は完了だ」

    158 = 155 :


    ほむら「止めなさい!今すぐソウルジェムを返さないと…」

    ボーイ「そう言われて素直に返すとでも思うのか?俺は今すぐこの場でこの宝石を砕いてもいいんだぞ」

    ほむら「…く…っ!」

    ボーイ「コブラ。貴様と決着をつけたいと思っていたが、また次回にしておこう。今は元の世界に戻る事にしておくよ、クク」

    コブラ「…!戻れるというのか!」

    ボーイ「どうかな」

    その時、轟音を立てて歩道橋の真上に何かが接近してきた。
    クリスタルボーイは、その何かに向かって跳躍をする。見たこともないような形の飛行機…宇宙船と言ったほうが正しいのだろう。

    コブラ「ッ!待て、ボーイ!」

    ボーイ「それじゃあなコブラ。せいぜいこの世界を楽しむといい」

    さやか「ま、待ってよッ!あたしのソウルジェム…!!」

    宇宙船はゆっくりと旋回をすると、空に飛び立っていく。

    …そして、次の瞬間。

    さやか「…ぁ…っ」

    まるで糸の切れた人形のようにその場に倒れるさやか。

    杏子「…!?な、なんだ…どうしたんだよ…!?」

    杏子はさやかが倒れる前にその身体を抱き留め…そして、その異常事態に気付く。

    杏子「…!どういうことだオイ……! こいつ…死んでるじゃねえかよ!!」

    まどか「… … …え?」

    159 = 155 :


    マミ「…死ん、で…?」

    まどか「そ、そんな、どういう…?」

    QB「まずいね、魔法少女が身体をコントロールできるのはせいぜい数百メートルが限度だ。離れすぎてしまったようだね」

    マミ「! キュウべぇ…それって…!?」

    ほむら「…ぐ、っ…!」

    その時、頭上にもう一つの飛行物体が現れる。轟音に気付き、コブラは上を見上げた。

    コブラ「タートル号…レディ!」

    レディ「コブラ、急いで!クリスタルボーイの宇宙船は急速で地球から離れようとしているわ!このままだと…!」

    コブラ「ああ、今行く!…まどか、さやかの方を頼むぜ!」
    コブラ「さやかのソウルジェムは…必ず俺が取り戻してくる!」

    まどか「さやかちゃん…さやかちゃん!ねぇ、返事してよっ!さやかちゃん!」

    コブラの声には反応せず、必至にさやかの身体を揺さぶるまどか。
    タートル号は歩道橋にギリギリまで寄り、乗車口を開ける。急いでそれに飛び込もうとするコブラ。

    マミ「ま、待って!コブラさん!私も行くわ!」

    コブラ「!」

    マミ「わけが分からないけれど…ソウルジェムを取り戻さなくちゃ!私だって手伝えるわ!」

    コブラ「マミ…」

    ほむら「私も行くわ。…このままじゃ、まずい」

    コブラ「…!分かった、助かるぜ2人共!」

    160 = 155 :


    タートル号が、コブラ、マミ、ほむらを乗せ飛び立った後。
    さやかの身体を必死に抱きしめるまどか。そして…キュウべぇに詰め寄り、首を鷲掴みにする杏子。

    QB「苦しいよ、杏子」

    杏子「どういう事だよ… なんで、コイツ…死んでるんだよ!!てめぇ、この事知ってたのかよッ!!」

    QB「壊れやすい人間の肉体で魔女と戦って、なんてお願いは出来ないよ。魔法少女とは、そういうものなんだ。便利だろう?」

    まどか「さやかちゃん… さやかちゃん…っ!」

    QB「まどか、いつまで呼び続けるんだい?『そっち』はさやかじゃないよ」
    QB「またイレギュラーが増えたのは本当に驚きだけれど、とにかくコブラ達が『さやか』を取り戻してくれるのを願うばかりだね」

    杏子「なんだと…」

    QB「魔法少女である君たちの肉体は、外付けのハードウェアでしかない。コンパクトで安全な姿が与えられ、効率よく魔力を運用できるようになるのさ」

    QB「魔法少女の契約とは」

    QB「君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事を言うのさ」


    杏子「ッッッ!!っざけんなぁ!! それじゃあ…アタシ達、ゾンビにされたようなもんじゃねえか!!」

    QB「むしろ便利だろう?いくら内蔵を壊されようが血を流そうが、魔力で復活ができる。ソウルジェムを砕かれない限り、君たちは無敵なんだ」
    QB「弱点だらけの肉体より、余程戦いでは便利な筈だ」

    まどか「…酷いよ… 酷すぎるよっ…」

    まどか「こんなのって… 酷すぎる…!」

    161 = 155 :


    クリスタルボーイの乗る宇宙船を眼前に捉えたタートル号。

    コブラ「レディ、このままヤツの宇宙船に特攻して、でかい風穴をあけてくれ。そこから突入する。さやかのソウルジェムを無傷で取り返さなくちゃいけねぇ」

    レディ「分かったわ。加速ならこっちの方が段違いに上よ、任せて」

    コブラ「オッケー。…準備はいいかい?マミ、ほむら」

    既にソウルジェムを使い、魔法少女となっているマミとほむら。しかしマミの表情はどこか優れないようだった。

    コブラ「マミ」

    マミ「…何が何だか、分からないの。…美樹さんが何で…倒れてしまったのか。ソウルジェムが身体から離れてしまったから?そんな事、知らない…!」
    マミ「私も…ああなっちゃうの?ソウルジェムが離れると…死んでしまうの?」
    マミ「分からない…もう何も、分からないッ…!」

    コブラ「…マミ。とにかく今は、さやかのソウルジェムを取り戻す事だけを考えろ。話はその後だ」

    マミ「……う、うぅ…ッ…」

    コブラ「マミッ! アンタの大事な『後輩』だ! 助けられるのは…アンタしかいないッ!!」

    マミ「…!!」

    レディ「距離、50。衝撃に気を付けて…!このまま突っ込むわよ!」

    ほむら「…」



    ボーイ「…ふふふ、やはり来たか、コブラ」
    ボーイ「貴様の墓標は、元の世界ではないようだな。…この世界だ」

    162 = 155 :



    ―― 次回予告 ――

    クリスタルボーイの野郎、ふざけた真似してくれるよ全く!さやかのソウルジェムを奪ったうえで俺を殺すだと?へっ、上等じゃねぇか!
    奴の船に乗り込んだ俺とマミとほむら、ついにボーイとの決闘だ。相変わらず俺のサイコガンは効かないわ、魔法も物ともしない。いやだねー、ホント!
    だが諦めちゃいられねぇ!さやかのソウルジェムは絶対に取り戻してみせるぜ!俺達は決死の作戦であの野郎に立ち向かう事になったっ!

    次回【決戦!クリスタルボーイ】で、また会おう!

    163 = 155 :

    4話終了です、有難うございました!
    前回のNGワードの件など、ご指摘いただきましてありがとうございました!
    そして、毎回コメントや議論などをたくさんいただき本当にありがとうございます。励みにさせていただいております。
    次回…ほとんど戦闘シーンになると思いますが、よろしくお願いしますw
    それではっ!

    164 :

    乙ヒューッ!
    そこでクリボー出てくるのか…

    165 :

    乙ですたー!
    クリボーの台詞を聞いたときの、QBの反応が気になるなぁ・・・

    さやか「」

    クリボー「よーし、今夜はさやかちゃんをおかずにオ○ニーだ!!」

    QB「その反応は理不尽だよ」

    166 :

    逆に、ほむらの時間停止にクリスタルボーイがどう戦うかが愉しみ

    167 :


    168 :


    クリボーはここでもさっさと退場するのかな

    169 :

    乙でした!
    次も期待してます!

    170 :

    あれ?マミさんの実弾だったら対クリスタルボーイ有効じゃね?
    近距離の火縄銃って威力ヤバいし、クリちゃん実弾に弱いし…なにより魔翌力で強化されてるし。

    171 :

    マミさんの銃弾ってリボンじゃなかったっけ?

    172 :

    乙!相変わらず予告でネタバレ!
    クリボーさん魔法も弾くとかどんだけチートなんだww

    左手に銃を持つ男の次は全身クリスタルな殺し屋が出てきて、その直後に二隻の宇宙船が目の前を通り過ぎたと思ったらさやかが死んで、ソウルジェムの秘密暴露・・・・・・杏子ちゃんマジパニしちゃうよ!!

    173 :

    確かに1番トンデモ状態にぶっこまれたのは杏子だな

    175 :

    >>170
    後期型ボーイはパイソン77マグナムも弾き返す強化偏光ガラスになってた気がする…

    176 :

    >>175
    あれ効かなかったのってアーリマンパワー入りだったからじゃなかった?
    手にヤラレル回だよね?

    まぁその手もCG作画の最終型には効かなかったけど…

    177 :

    原作でも二度目のときは「同じ手が通じるか」と、効かなくなってたと思う。確かダイヤレーザーを作るためにコブラと対峙する話
    間違ってたらゴメン

    178 :

    お世話になっております、1です!
    5話が調整できましたので投下していきます。
    今回はほぼ戦闘描写…というかなりムチャな事をしてしまい、自分の文章力の無さを露呈するような形になってしまいました。
    ただどうしてもコブラ&魔法少女vsクリボーをやりたくって、そのために1話使ってしまいました。申し訳ない…。
    不自然な点、お見苦しい点などあると思いますが、よろしくお願いします。

    始める前に、議論されていたクリボーの特殊偏光クリスタルについてです。
    マミさんやほむらの攻撃が有効ではないかという点について、少しこちらで考えさせていただき、設定を致しました。

    ほむらの攻撃(現代重火器)<マミさんの通常攻撃(魔法銃での攻撃や魔法)<クリボーの特殊偏光クリスタル<ティロ・フィナーレ

    こんな感じで設定をさせていただいております。不自然ですいません…!
    至らない点ばかりですが、お付き合いしていただけると幸いです。それでは、よろしくお願いします!

    179 = 178 :


    第5話「決戦!クリスタルボーイ」


    レディ「距離30、20…!皆、どこかに掴まって!間もなくクリスタルボーイの宇宙船と衝突するわ!」

    コブラ「了解!派手にやってくれ!」

    ドォォォォンッ!!

    マミ「きゃあああっ!!」

    小規模の爆発が起きたように大きく揺れる、タートル号船内。
    しかし狙いは完璧。タートル号はクリスタールボーイの操縦する宇宙船の後部に体当たりをかけ、見事に風穴を開ける。

    コブラ「完璧だぜレディ!カースタントマンでもこの先食っていけそうだなっ!」

    機体上部のハッチが開き、コブラは急いで梯子を上り外へと出ようとする。

    コブラ「御嬢さん方、急ぐんだ!ヤツの宇宙船に飛び移るぞ、着いてこい!」

    ほむら「ええ」

    マミ「…」

    コブラ「…マミッ!」

    マミ「…! 分かったわ…今はとにかく、美樹さんのソウルジェムを…取り戻す!」

    コブラ「上出来だ!いくぜ、皆っ!」

    180 = 178 :


    レディ「コブラ!忘れ物よ!」

    レディがコブラに向けて、箱を投げた。それをキャッチするコブラ。

    レディ「シガーケースよ。葉巻が切れた時のために、ね」

    コブラ「…! あぁ、レディ。ありがとよ!」

    タートル号上部船体。高速で移動を続け、クリスタルボーイの宇宙船を追う船体の外は激しい風が吹きすさぶ。
    ハッチから外に出た瞬間、その豪風に吹き飛ばされそうになるほむらとマミ。

    コブラ「俺に掴まれ!ヤツの宇宙船に移動する!」

    マミ「移動する、って…どうやって!?」

    コブラの腕にほむらが、肩にマミが掴まりつつも、マミは疑問の声を投げかける。その声にコブラは不敵な笑みを浮かべるのだった。

    コブラ「こうするのさ」

    コブラの空いている腕のリストバンドから、細いワイヤーが勢いよく発射される。ワイヤーの先端の刃が見事にクリスタルボーイの宇宙船の風穴内部に突き刺さり、コブラはその安定性を確認した後…。

    コブラ「振り落とされるなよぉッ!!」

    ほむら「…!!」

    マミ「きゃあああああああああああああっ!!」

    高速で縮まるワイヤー。三人の身体は吸い込まれるように、クリスタルボーイの宇宙船に移動していく。

    レディ「…コブラ…皆!無事でいて…!」

    181 = 178 :


    ――― 一方、地上。抜け殻となったさやか、それを抱きかかえるまどか。そして、キュウべぇに詰め寄る、杏子。

    杏子「騙してたのかよ、あたし達を…っ!」

    QB「騙していた?随分な言い方だね。さっきも言っていた通り、弱点だらけの人体で戦いを続けるより遥かに安全で確実なやり方なんだよ」

    まどか「酷すぎるよ…っ!さやかちゃん、必死で…!強くなる、って…頑張るって…戦ってたのにっ…!」

    QB「君たちはいつもそうだね。真実を伝えると皆決まって同じ反応をする。どうして人間は、そんなに魂の在り処にこだわるんだい?」

    QB「ワケがわからないよ」

    杏子「…!!畜生…っ!!ちくしょおおおっ!!」

    やり場のない怒り、悲しみ…全てをぶつけるように、杏子は月夜に吼えるように叫んだ。

    まどか「…コブラさん…っ!お願い…さやかちゃんを、助けて…!」

    月を背景に、遥か上空を飛ぶ二隻の宇宙船。見えずとも、まどかはそこに向けて、祈った。

    182 = 178 :


    コブラ「うおっ、とぉ!!」

    コブラは自分の身体を下にして、地面に滑り込む。三人はクリスタルボーイの宇宙船内に侵入を成功させた。

    コブラ「無事かい、2人とも」

    ほむら「…ええ、何とか」

    マミ「む、無茶苦茶なやり方だったけど…どうにか無事だわ」

    コブラ「そいつぁ良かった。…ここは…貨物室か?」

    三人が侵入した場所は、無機質な、まるで鉄の箱の中のような場所。周りに数個の貨物があるだけの殺風景な部屋だった。
    そして…その奥。
    クリスタルボーイは、まるで三人を待っていたかのようにその場に立っていた。

    ボーイ「遅かったじゃないかコブラ。待ちくたびれたぞ」

    コブラ「待たせたなガラス細工。延滞金はしっかり払わせてもらうぜ」

    コブラは左腕の義手を抜き、サイコガンを構える。マミとほむらも、異形の相手に向かい戦闘態勢をとるのだった。

    183 = 178 :


    【人工ブラックホール、生成準備完了。本船の前方に超小型のブラックホールが発生します。生成まで、あと10分…】

    コブラ「…!?なんだとぉ!?」

    ボーイ「ククク、タイムリミットはあと10分。コブラ、朗報だ。元の世界にもうすぐ戻れるらしいぞ」

    ほむら「…!どういう事…!?」

    ボーイ「聞こえなかったのか小娘。あと10分でこの船はブラックホールに吸い込まれ、異次元空間へとワープする。到着先は…我々の住む、未来の世界だ」

    ほむら「!!」

    ボーイ「元の世界に戻るのが目的だったのだろう?感謝しろコブラ、俺はお前の命の恩人だ」

    コブラ「お前がぁ?ごめんだね、どうせ恩を売られるなら美女がいいに…決まってらぁッ!」

    言いながらコブラはサイコガンの砲撃を次々とクリスタルボーイに浴びせる。

    しかし、その砲撃の全てはボーイの体内で屈折し、素通りをしていくのだった。

    マミ「!?こ、コブラさんの攻撃が…!」

    ボーイ「クククク…忘れたわけではあるまい。サイコガンは俺には無力だ」

    184 = 178 :


    ボーイ「しかし、礼を言わせてもらうよコブラ。1つだったソウルジェムを一気に3つまで増やしてくれるというのだからな」

    ボーイ「このままその女どもをワープさせれば…あとはその身体からソウルジェムを剥ぎ取ればいいだけだ。ふふふ…」

    コブラ「どうかな。その前にお前にでかい風穴を開けてやるぜ」

    ボーイ「ククク…はっはっはっは!!笑わせるな。コブラ、お前は今俺の掌の上で踊っているに過ぎん」
    ボーイ「お前の行動パターンは実に分かりやすいよ。情に流されれば、貴様はきっと俺の船に乗り込んでくる…。そう思って、あえて貴様をあえてここへ呼び込んだのだからな」

    コブラ「何だと…!」

    ボーイ「どうやらソウルジェムとやらは、その女達の身体と繋がっている…いわば、『魂』のようなもののようだな。先程の青髪の女で確信させてもらった」
    ボーイ「このまま俺が元の世界に戻ろうとすれば…貴様たちは必ずここへやってくる、というわけだ。それも1人ではない、わざわざソウルジェムを持つ女を2人も連れて、な」

    マミ「…くッ…!」

    ほむら「…」

    ボーイ「コブラ。何故俺がこの貨物室を戦場に選んだか分かるか?此処には、貴様の武器である『臨機応変』が使えないのだよ。あるのは空の鉄箱だけだ。貴様の武器となるような物は、ない。お得意の逃げ回る戦法も場所が限られているぞ」
    ボーイ「おまけに俺の特殊偏光クリスタルにはサイコガンは効かん。…さぁ、どうやって俺を倒すつもりかね?…コブラ!」

    【ブラックホール、生成完了まで、あと8分です】

    コブラ「!」

    ボーイ「ソウルジェムは、この扉の先のコクピットにある。…あと8分。俺を倒して、この扉を潜って…奪い取れるかな?」

    185 = 178 :


    コブラ「…やってみせるさ!」

    コブラは腰のホルダーから愛銃の『パイソン77マグナム』を抜き、3連射する。
    しかしその弾丸の全てを、クリスタルボーイは右腕の鉤爪を盾のように使い、防御した。鉤爪に穴は開く威力ではあるが、その弾は身体にまでは届かない。

    コブラ「!…ちっ…!」

    ボーイ「一度食らった手をもう一度食らいはしない。…さぁ、次はどうするつもりだ?」

    ほむら「…行くわ」

    コブラ「…!」

    カチリ。

    微かに、時計の秒針のような音が聞こえたような気がした。その瞬間、暁美ほむらはクリスタルボーイの目の前にいつの間にか移動し、拳銃を構えていた。
    コブラが次に気付いた瞬間…

    クリスタルボーイの周囲は、鉛弾で包囲されていた。

    コブラ・マミ「!」

    ボーイ「何…!」

    数十発、いや、数百発の弾丸が、クリスタルボーイの身体に次々と命中をしていく。その衝撃にクリスタルボーイは思わず仰け反る…が。
    倒れはせず、一歩後ろに下がっただけで留まった。全ての弾丸はクリスタルボーイの身体に軽く埋まった程度で、穴すら開いていない。

    ほむら「…!」

    ボーイ「驚いたな…何だ、今の攻撃は。貴様の拳銃では不可能な連射だ…どうやった?」

    ほむら「く…っ!(この銃じゃあ…威力が、足りない…!?)」

    ボーイ「ククク…まぁいい。そんな安物の骨董品では俺の特殊偏光クリスタルには傷すら …つかんのだァッ!!」

    ボーイは右の鉤爪を開き、ほむらに向けてビームガンを放つ。

    186 = 178 :


    ほむら「ッ!!」

    ボーイ「!」

    カチリ。また秒針の音が聞こえる。瞬間移動でもするかの如く、ほむらはその攻撃を素早い動きで避け、後ろへと下がっていく。
    その瞬間…マミは次々と武器である単発式銃火器をスカートから取り出し、宙に浮かせる。

    マミ「次は、私よッ!お人形さん!」

    一発、それを撃つごとに銃を捨て、次の銃に切り替える。しかしその銃弾をクリスタルボーイは鉤爪で弾き、貨物室の天井へと跳弾させる。

    ボーイ「そんな物が俺に効くとでも…思っているのか!!」

    マミ「思っていないわ。…だから…こうするのよ!」

    跳弾をして、開いた天井の穴が俄かに光り始めたかと思うと…その光から、絹のような魔法のリボンが勢いよく出現し、クリスタルボーイの身体に巻きついていく。

    ボーイ「…!これは…!」

    マミ「これが私の戦い方よ!…一気に決めるわ!」

    マミは魔力を集中させ、巨大な、大砲のような銃器を目の前に出現させる。そしてその銃口をクリスタルボーイの方へ向けた。

    マミ「喰らいなさい! ティロ・フィナー…!!」

    ボーイ「…ふんっ!!」

    マミ「…!!」

    クリスタルボーイは自分の身体に巻きついた魔法の糸を…自らの腕力で、引き千切る。そして鉤爪をロケットのようにマミに飛ばし、攻撃をした。

    マミ「きゃあッ!!」

    鋭利な刃物のような、その爪。マミはどうにか単発式銃火器の銃身でその攻撃を受け止める、が…その衝撃はすさまじく、マミの身体は天井へと叩きつけられてしまう。

    マミ「あぐゥっ!!」

    コブラ「!マミ!!」

    ボーイ「…魔法。ソウルジェムの力とやらか。…少し驚いたが、サイボーグのこの俺には通用しないようだな」

    187 = 178 :


    コブラ「畜生…いい加減にしやがれ、この野郎!」

    コブラは再び、サイコガンの連射をクリスタルボーイに浴びせる。…が、やはりその光はクリスタルボーイを素通りしていく。

    ボーイ「…次は貴様だ!死ね、コブラッ!!」

    クリスタルボーイはコブラに向けて突進をし、鉤爪を大きく振り、その身体を切り裂こうとする。

    コブラ「く、ッ!」

    コブラはその攻撃を次々と避ける、が…相手も並の瞬発力ではない。コブラが避ければ、次の手を繰り出し…いずれ、回避行動は追いつかれてしまう。

    ガキィィィンッ!!

    鈍い金属音。コブラのサイコガンが、クリスタルボーイの鉤爪に掴まれた。

    ボーイ「ふふふ…。…っ、はぁッ!!」

    クリスタルボーイはコブラの左腕を掴んだまま、勢いよくコブラを投げ飛ばす。

    コブラ「どわぁぁぁぁぁあっ!?」

    身体が大きく宙を舞う。物凄いスピードで、コブラは鉄箱の山に叩きつけられた。派手な金属音が幾重にも音を立て、コブラの身体は鉄箱の山へと沈む。

    188 = 178 :


    ほむら「…!コブラ!」

    ボーイ「…その程度では死なないのだろう?コブラ。今トドメを…刺してやる!」

    ほむら「させない!」

    カチリ。

    クリスタルボーイの眼前に、突如として、安全ピンの抜かれた手榴弾が数個現れた。

    ボーイ「何…!!」

    ドォォ――――ン!!!
    派手な音を立てて手榴弾が連鎖して爆発する。流石にその衝撃にクリスタルボーイの身体も吹き飛ぶ…が。クリスタルの身体には全く傷はついていなかった。
    ゆっくりと立ち上がり、鉤爪をほむらの方向へ向ける。

    ボーイ「相変わらず攻撃の読めないヤツだが…。言った筈だぞ…そんな骨董品で俺の身体に傷はつかん、と」

    ほむら(…時間稼ぎにはなったようね…。やはり、手榴弾程度じゃアイツの身体はびくともしない…!)
    ほむら(…とにかく、今はコブラを助けないと!)

    マミ「はあああっ!!」

    次の瞬間、マミがクリスタルボーイに向けて特攻をかける。銃器を鈍器代わりにし、その頭部を次々と殴る。

    マミ「私のッ、後輩を…返しなさいッッ!!」

    多少ダメージがあるのか、クリスタルボーイは反撃せず、しばしその攻撃を受ける。

    ほむら(…今のうち…!)

    カチリ。
    ほむらはコブラの近くに瞬間移動をし、倒れているコブラの身体を起こそうとする。

    189 = 178 :


    ほむら「…!」

    しかし、助けに行った筈のコブラは既に起き上がり、シガーケースから葉巻を取り出してジッポライターで火をつけていた。

    ほむら(そんな…生身の人間なのよ!?魔法でガードしているわけでもないのに…あんな勢いで叩きつけられても…平然としているなんて)

    コブラ「よぉ、ほむら。葉巻の煙は大丈夫かい?」

    ほむら「そんな事言ってる場合じゃ…!」

    コブラ「アンタに一本プレゼントだ」

    コブラはシガーケースから葉巻を一本取り出し、ほむらに手渡す。

    ほむら「!! 今はこんな… … …。 !…これ、葉巻じゃ…ない?」

    コブラ「超小型の時限爆弾さ。先端のスイッチを押せば、5秒で爆発する。局部的ではあるが、おたくが今投げた手榴弾の数倍の威力はあるぜ」
    コブラ「しかし、ヤツの懐に入ってそいつを爆発させる隙がない。…だが、君なら出来るんだろう?ほむら」

    コブラ「時間を止めて動ける、君ならな」

    ほむら「!!!!」

    【ブラックホール生成完了まで、あと、5分です】

    190 = 178 :


    ほむら「…気づいていたの?私の能力に」

    コブラ「それ以外に説明がつかないからさ。俺の目に見えない動きなんて、そう易々と出来るもんじゃない」
    コブラ「魔法少女にはそれぞれ能力がある。マミは拘束系の魔法だし、さやかは回復が得意なようだな。…瞬間移動をするだけの能力かと思ったが、それじゃあさっきの銃弾や手榴弾の説明がつかない」
    コブラ「時間を止める…いや、時間を『操れる』と言った方が適切かな?それがあんたの能力だ、ほむら」

    ほむら「…!」


    マミ「やああっ!っ、はぁッ!!」

    クリスタルボーイをひたすら銃身で殴り続けるマミ。押しているようにも見えるが…クリスタルボーイは、反撃をしようとしていなかった。

    ボーイ「…成程。その辺りの賞金首やギンガパトロール隊員よりは余程有能と見える。こうして受けるダメージも、通常の人間と比べて段違いに強い。魔法による身体能力の向上か」

    ボーイ「だが、それが限界のようだな…!!」

    マミ「ッ!!」

    クリスタルボーイはマミの銃を一瞬で掴み、身動きを取れなくする。瞬間、空いている鉤爪をマミの腹へと突き出し…。

    ドォンッ!!

    ほむら「!!」

    ボーイ「ぐ、…ッ!」

    見ればコブラはいつの間にかパイソンを抜き、クリスタルボーイに向け発射していた。間一髪のところ、クリスタルボーイは後ろに仰け反り、マミはその間に後ろへと下がる。

    コブラ「ほむら。お前さんにしか頼めない事だ。…そいつをヤツの腹に埋め込んできてくれ」

    191 = 178 :


    ほむら「…」

    ほむら「もし、嫌だと言ったら?」

    コブラ「… … …」

    ほむら「正直に言うわ。私が此処へ来たのは、まどかの悲しむ顔が見たくなかったから。美樹さやかを失えば、きっとまどかの心に大きな穴がきっと空いてしまう」
    ほむら「でも、私だって命は大事よ。私がこの葉巻型の爆弾を、アイツの身体に埋め込んできて、どうするの?アイツの身体がそれより頑丈だったら?」
    ほむら「私はまだ…生きて達成する使命がある。こんなところで死ぬわけにはいかない。私には、助けるべき人がいる」

    ほむら「ここで私が逃げ出したら、どうするの?コブラ」

    コブラ「…いいや、アンタはやってくれる。俺はそう信じている」

    ほむら「信じる?私を?…何故?」

    コブラ「アンタには、助けるべき人がいる。それと同時に…アンタには助けが必要だからだ」

    ほむら「…!」

    コブラは葉巻から紫煙をゆっくり吐き出し、不敵に笑いながらゆっくりと立ち上がる。サイコガンをクリスタルボーイに向けて構えると、その横で茫然としているほむらに向けて、視線は合わせず語りかけるのだった。

    コブラ「ほむら、アンタは何かを抱えている。俺にはそれが何かは分からない。だが君はずっとそれに立ち向かっている。…俺が君と出会った時からだ」
    コブラ「そしてその『何か』に怯え…助けを求めている。だから俺は、全力でアンタのそれを手伝うつもりさ」

    ほむら「…何故、それを…!!」

    コブラ「君は隠しているつもりでも、俺には分かるのさ。…女に嘘は何度もつかれてきたが、女の瞳に嘘をつかれた事は…ほとんどないからな」

    ほむら「… … …」

    コブラ「さやかを助け、全員でその『何か』に立ち向かう。君はその『何か』を知っているようだが…今はまだ何も話さなくてもいい。少なくとも、あのガラス人形を倒すまではな」

    コブラ「だが…俺は守ってみせる!君を…君達をっ!!何があっても、守り抜いてみせる!!」

    192 = 178 :


    ほむら「…!!!!」

    ボーイ「…少し油断をしたな。…次はないぞ、コブラ…!」

    頭に弾丸の穴を開けながらも、クリスタルボーイは立ち上がり、こちらを睨む。

    ボーイ「死ねぇぇ、コブラァァァーーーッ!!」

    鉤爪を振りかざしながら、全力でコブラに向けて疾走してくるクリスタルボーイ。サイコガンの連射も構わず、コブラに向かう。

    ほむら「…分かったわ。…あなたを信じるという事は『この時間軸では』…愚かなのかもしれない。…それでも…皆を、まどかを助けれられる可能性があるのなら…私は貴方に賭けてみたい」
    ほむら「…不思議ね、少しだけ…そんな衝動に駆られたわ」

    コブラ「…感謝するぜ、ほむら」

    ほむら「貴方が礼を言う必要はないわ…コブラ」

    ボーイ「ハァッハッハッハァーーーッ!!」

    完全にコブラを捉えたと確信したクリスタルボーイは、笑いながら突進をしてくる。

    カチリ。

    だが、次の瞬間。クリスタルボーイの足が止まった。

    ボーイ「…何…?」

    特殊偏光クリスタルに埋め込まれた葉巻のタイマーは『00:00』と記されていた。

    ドゴォォォォォ―――――――――!!!!

    大きな爆発がクリスタルボーイの身体を包むように起こった。

    ボーイ「うぐぉぉぉぉぉッ!!??」

    僅かに、クリスタルの破片が辺りに散らばった。

    193 = 178 :


    気付けば、ほむらは、コブラの真後ろにいた。コブラはそれを見ると、にぃ、と笑顔を見せて再びクリスタルボーイに向き直る。

    コブラ「美人に見とれて時間を忘れたか!クリスタルボーイッ!!」

    サイコガンの連射。クリスタルボーイの特殊偏光クリスタルは先程の爆発で胸部に風穴があき、防御ができない状態となっていた。
    正確にその穴を通るサイコガンの弾道は内蔵のような金属を次々と破壊していく。

    ボーイ「!!!!」

    コブラ「マミッ!!今だ、アレをもう一度やってやれッ!!」

    マミ「…!分かったわ…。…今度は、外さない!!」

    クリスタルボーイが怯んでいる間に、マミはもう一度魔力を集中する。 再び巨大な砲身が現れ、銃口をもう一度、クリスタルボーイの方向へ構えた。


    マミ「『ティロ・フィナーレ』ッッッ!!!」


    爆音のような銃撃音が貨物室に響く。マミの頭身ほどもある巨大な弾丸は、ゆっくりと正確にクリスタルボーイの方へ突き進んでいき、そして…。

    ボーイ「ぐわああああああああああああああッッッ!!!」

    ドオォォォォォォォォォォンッッ!!!

    まるで星空の煌めきのように、粉々になったクリスタルが辺りに散らばった。
    クリスタルボーイの身体は木端微塵となり、残骸の破片が転がっているのみとなっている。

    194 = 178 :


    マミ「…やった…!あはは…た、倒した…!」

    ほむら「…」

    コブラ「2人とも、いい仕事だったぜ。100点満点だ」

    三人が笑顔を浮かべた瞬間、船のアナウンスが無常にも時を告げる。

    【ブラックホール、生成完了まであと1分30秒。船員は安全な場所で待機をしてください。繰り返します…】

    マミ「…!!」

    ほむら「…くッ…!時間が…!」

    その時、貨物室の風穴から声が聞こえた。見れば、エアーバイクに乗ったレディが宇宙船と並走している。レディはそこからロープを垂らした。

    レディ「皆、急いでロープに掴まって!タートル号は離れた場所で避難しているわ、早くしないとブラックホールに巻き込まれる!!」

    マミ「で、でもまだ…美樹さんのソウルジェムが!!」

    ほむら「…私が行くわ。もう一度、時間を…」

    コブラ「いいや、俺が行く。ほむら、入ったことのない未来の宇宙船の中から一つの宝石を探し出せるかい?」

    ほむら「…で、でも…」

    コブラ「こういうのは俺の専門さ。…マミ、ほむら!先に脱出しろ!俺は後から行くぜ!」

    そう言ってコブラは、貨物室の先のコクピットへと走っていく。

    マミ「!!コブラさんっ!!」

    195 = 178 :


    コブラ「ちっ…あの野郎、厄介な仕事残してくれたぜ…。宝探しゲームのつもりか?」

    船体が大きく揺れはじめる。それは、ブラックホールがもうすぐ出来上がる事を示していた。

    コブラ「さぁーてと…どこに隠れてるのかな?ソウルジェムちゃんは…!」

    宇宙船、コクピット。閑散とした場所ではあるが、コクピットはかなり広い。一見しただけでは青い宝石は見当たらないようだ。

    【ブラックホール、生成完了まであと1分です。船内の乗組員は衝撃に備え…】

    コブラ「ちぃーっ!分かってますってんだ…!…どこだー?どこだ、ソウルジェムは!」

    操縦席、椅子の下、機器類、あらゆる場所を探すが、見当たらない。そうしている間にも刻々と時間は過ぎていき…。

    コブラ「ちくしょー!あのガラス人形め、最後に罠しかけやがって…!どこだよ、どこにあるんだっ!?」

    コクピットのモニター。船体の眼前には、既に超小型のブラックホールが誕生しかけている。船はいっそう揺れ始め、今にもそれに吸い込まれそうだ。

    【ブラックホール、生成完了まであと10秒です。9、8、7…】

    コブラ「くそーっ!!間に合わね… …ん?」

    操縦桿にやけくそで腕を叩きつけた瞬間… 壊れた機械の中に煌めく、一つの青い光。操縦桿はダミーで、実は空の鉄箱だったのだ。

    【4、3…】

    コブラ「こいつかァ――ッ!!」

    急いでコブラはそれを取り出し、貨物室へと走る。が…。

    【2、1…0。異次元へのワープを開始します】

    コブラ「うおおおお―――――ッ!!」

    無常にも、船体はゆっくりとブラックホールに吸い込まれていく。

    196 = 178 :


    轟音を立ててブラックホールに吸い込まれていく、クリスタルボーイの宇宙船。
    エアーバイクに乗り込んだレディ、ほむら、マミの3人はただそれを見送る事しかできなかった。

    マミ「あ、あ…!」

    ほむら「…!」

    レディ「…」

    マミ「そんな…っ!間に合わなかったの…!元の世界に、戻ってしまったのというの…!?レディさんだって、この世界にまだいるのに…!」
    マミ「そんな…!!!」

    ほむら「…」

    ほむら(…私を、まどかを助けると…約束したのに…)

    レディ「…ふふ、それはどうかしら」

    マミ「え?」

    レディ「私は彼と長い付き合いだけれど…彼が、やり始めた事を途中で放棄した事は、一度もないわ」
    レディ「…たとえ、そこが見知らぬ世界の中だろうとね」

    ガキィィンッ!!

    その時、エアーバイクの機体に突き刺さる、ワイヤーの先の刃。

    マミ・ほむら「!!」

    そのワイヤーの先に…ウインクをしながら手を振る、1人の男の姿があった。

    コブラ「おーい!レディ、早く降ろしてくれーっ。俺は高所恐怖症なんだよーっ」

    197 = 178 :


    力無いさやかの右手に、コブラはそっとソウルジェムを握らせた。
    まどか、ほむら、マミ、杏子…コブラ、レディ…そして、キュウべぇ。全員で、時間が止まったかのようにさやかの様子を見る。
    祈るような、視線の数々。

    …そして。

    さやか「…あれ…?」

    ゆっくり起き上がるさやか。何が起きたのか分からない、という表情で辺りを見回す。

    さやか「…あれ、あたし…どうしたの…?」

    まどか「さ…さやか、ちゃん…っ…」

    マミ「…美樹さんっ…!!」

    さやか「ま、まどか…?マミさんも…なんで、泣いてるの…?あれ?あれ?」

    まどか「うわぁぁぁあああんっ!!」

    マミ「…っっっ!!」

    大声を出して泣きながらさやかに抱きつく、まどか。そしてその2人を包むように優しく肩に手を置く、マミ。
    少しだけ、微笑んで…ほむらもその様子を黙って見ていた。

    コブラ「仲間、か」

    レディ「どうしたの?コブラ」

    コブラ「…俺達が失ってきたものを…かの女達に失わせたくはない。…そう思ってね」

    コブラは葉巻に火をつけると、満足気に笑みを浮かべ…月に向けて煙を吐いた。

    198 = 178 :



    ―― 次回予告 ――

    さやかのソウルジェムを取り戻したのはいいものの、その秘密は皆にバレちまった!どうやらキュウべぇの野郎、契約と同時にかの女達の魂をソウルジェムに移し替えちまったらしい。タチの悪い詐欺だぜ。
    ショックを隠し切れない魔法少女達。不安になっちまうのも無理はないってもんだよ。特にさやかにゃ、色々ワケがあるみたいだね。
    そんな矢先、新たな魔女が出現する。触手がうねうね、気持ち悪いの何の。こんな中戦えっていうのも無茶な話かもしれないが…しかし、俺が必ずあんた達を守ってみせるぜ!

    次回、【魔女に立ち向かう方法】で、また会おう!

    199 = 178 :

    5話終了でございます!
    というわけでクリボーさん退場、次回からはさやかちゃんルートです。
    戦闘描写は本当に苦手でして…SSとして成り立っているかどうか不安でいっぱいですが、どうか生暖かい目で見てやってください(土下座)
    それでは、また会おう!

    200 :

    乙ヒューッ!
    キザったらしい台詞が似合っちまう男だなコブラは!


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