元スレ姫「疲れた、おんぶして」勇者「はいはい」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
201 :
伯爵故郷に帰れ
202 :
伯爵森へお帰り
203 :
伯爵ゴーレムが待ってるよ
204 :
ゴーレム「早く伯爵の笛の音を聞きたいな///」ぽっ
206 :
伯爵王「やあ」
勇者「……」
伯爵王「明日、私の戴冠式をするんだが……君に何かスピーチを頼みたい」
勇者「…………貴様は外道の屑だ」
伯爵王「NOか、そうだろうと思った」
勇者「姫にまだ王位継承権がある!! 伯爵に王位を継承する資格はない筈だ!!」
伯爵王「ふふ、姫様は魔物に連れ去られ、殺されましたよ?」
勇者「デタラメだ!!」ドガッ
207 = 206 :
伯爵王「では証拠があるとでも? 王女様が、姫が生きているという証拠がね!」
伯爵王「答えは否ッ!! 皆無!! 何も無いだろう!?」
勇者「っ……」
伯爵王「ふふ、しかしそんなに君が意地になるならば私も悪魔じゃない……チャンスをあげよう」
勇者「なに……」
伯爵王「君が、姫を助け出して来れば良いよ……そうしたら彼女に王位は譲ろうじゃないか」
勇者「…………」
209 = 206 :
姫(……ご飯、食べないと)ズル
姫(………)ドサッ
姫「だるい……や」
姫「……っ」ググッ
姫(っ)ドサッ
姫(………動けないよ、勇者)
210 = 206 :
姫(竜王に私の話を聞かせたのはいいけど……)
姫(……こんな洞窟の牢屋に入れられるなんてね)
姫(………最悪、だなぁ……)
ウルッ
姫(…………寒いよ)
姫(……おなか、すいたよ………)
211 = 206 :
スライム「ぴきーっ!」タッタッ!
姫「……?」
スラ「ぴーっ、ぴーっ!」ズズ
姫「……食べろって?」
スラ「ぴー……」コクンコクン
姫「………スプーン、とって」
スラ「ぴきーっ!」カチャ
212 = 206 :
姫「……ありがと、助かったわスライム」
スラ「ぴきーっ! ぴっぴきー!」
姫「……ごめんね、勇者とは違って私には君の言葉が分からないの」
スラ「ぴーっ…」
姫「………」
姫「もしかして、この間……お城の台所に忍び込んだスライム?」
スラ「ぴきーっ♪」コクン
213 = 206 :
姫(……そっか、あの後勇者がこの子を逃がしたから……)
姫(………勇者)
ぴょこっ
スラ「ぴー?」
姫「…!」
姫「スライムなら、勇者を呼べる?」
214 = 206 :
悪魔の騎士「……グォ…ッ」ガシャッ
悪魔の騎士(ば、馬鹿な!! この俺が手も足も出ないとは……)
悪魔の騎士「貴様、人間ではないのか……」
勇者「……勇者だよ、ただのな……」
―――――― ザクッ
215 = 206 :
―――――― ギィンッッ!!
ゴールドマン「……オソロ、シイ・・・キサマ、ナニモノダ」
勇者「……姫はどこだ」
ゴールドマン「……コタエナイナラ?」
勇者「ここ一帯に住む魔物を全て殺す」
ゴールドマン「…………」
ゴールドマン「【メガンテ】」カッッ
勇者「!!」
216 = 206 :
大魔導「ご報告致します」
竜王【 聞かずとも我には分かる、勇者が本格的に動き出したか 】
大魔導「……」
竜王【 どうかしたのか、大魔導よ 】
大魔導「お言葉ですが竜王様、我々は早急に姫を殺すべきだったのでは?」
竜王【 何が言いたい、大魔導 】
大魔導「……勇者は姫を探す為にたった2日で50を越える魔物を虐殺しています、あの悪魔の騎士やゴールドマンの『メガンテ』すら凌いだそうです」
217 = 206 :
竜王【 ・・・ 】
竜王【 クックック、クク・・・ふはははははははは!! 】
竜王【 面白い……!! 奴はどうやら姫の命が風前の灯火にある状態なのが分かるらしい 】
竜王【 そして今、あの男は極限の力を持って姫を探している訳か!! 】
大魔導「……」
竜王【 大魔導!! そなたを含む四天王全員を姫のいる洞窟に集結させよ! 】
大魔導「!?」
竜王【 ロトの勇者が全力を出し切り、そして大切な者を守れずに殺される様を我に見せよ!! 】
218 = 206 :
―――――― ガシャァン! ドサッ
スラ「ぴきーっ!? ぴーっ!」
姫「……」
スラ「ぴきーっ! ぴきーっ!」
スルッ
姫「…」トクン…トクン…
スラ「ぴきーっ!?? ぴーっ! ぴーっ! ぴきーっ!!」
219 = 206 :
死神の騎士「……シー」ガシャッ
スラ「ぴきーっ!! ぴきーっ!!」
死神の騎士「……」
ひょいっ
ぽーん!
スラ「ぴぎ!?」ドサッ
死神の騎士「シー……」
スラ「ぴきーっ!! ピィィッキィィィィ!!」
死神の騎士「…」イラッ
220 = 206 :
死神の騎士「シッ……!」ドガッ
スラ「ぴぃっ!」ドサッ
死神の騎士「……」スタスタ
スラ「ぴぃっ……ぴぃっ!」タッタッ!
死神の騎士「!」
ドラゴン「……グルル(そのスライム、どうしたんだ)」
死神の騎士「シッ(さあな、姫に情が芽生えた馬鹿なスライムだ)」
ドラゴン「ガゥ?(丁度ヒマだし殺る?)」
死神の騎士「……シー(勝手にしろ、同胞を斬る剣は無い)」
221 = 206 :
ドラゴン「ガァアアアアアッ!!」ギュォッ
スラ「ぴっ?」
―――――― ゴシャァ!!
スラ「ぴぃっ……!!?」ドサッ
スラ「ぴっ……ぴきぃ……」ズルズル
ドラゴン「ガゥ♪(トドメ♪)」スッ
―――――― ガシィッ
222 = 206 :
ダースドラゴン「ゴガァアアアア!! (ドラゴン貴様、同胞に何をしている!!)」
キースドラゴン「ギャオオオ……(スライム如きをいたぶって楽しいか貴様)」
ドラゴン「ガルル……っ」
ダースドラゴン「ゴガァア!! (大魔導、来てくれ!!)」
大魔導「何事だ」ズウッ
ダースドラゴン「グルル(そこのスライムにホイミをかけてやってくれ)」
大魔導「………いないが?」
223 = 206 :
スラ「ぴぃっ……ぴっ……」ズルズル
スラ「ぴきー……」ガサッ
『偉いね……ありがとう、どこから持って来たの?』
『あのね、もし私に……余り、待つ時間が無い時この手紙を勇者に届けて欲しいの』
『なに? ……あはは、今のは私でも分かるよ……『どうして直接行かさないのか』でしょ』
『………信じてるから、勇者ならきっと助けに来てくれるって』
スラ「……ぴきぃ」ズクン
スラ「っ……」ドクドクッ
ドサッ
スラ「……ぴぃっ」ズルズル
224 = 206 :
―――――― ザァァ・・・
勇者(……姫が浚われて、一週間)
勇者(手掛かりは何も無い……『太陽の賢者』や『雨の賢者』達も竜王の城しか分からない)
勇者(・・・)
勇者(嫌な、雨だ……)
225 = 206 :
―――――― 降りしきる雨の中、一匹のスライムは長い距離を歩き続けた。
身に負った傷の深さを考えれば自殺行為。
それはわかっている、しかしスライムは止まれない。
幼き日の、とある少女と少年。
その2人にスライムはかつて命を救われたことがあった。
しかし成長した少女が覚えていないのは直ぐに分かった。
そしてそれにも理由があるのを知った。
少年がどれだけ成長したのかを知れた。
スライムは自身の体に限界が来るのを無視し、歩き続けた。
彼は、100年近く生きていた理由を知ったから。
小さな自分にできる事を彼は成し遂げる。
226 = 206 :
次回
勇者「……必ず、約束するよ」
スラ「ぴきーっ♪」
227 = 206 :
お休みなさい
228 :
スライム……
230 :
おっつん
231 :
おつおつ
232 :
うおおおおぉぉぉぉ!!!
スライム死ぬなよ!!!!!!!
234 :
今一気に読んだ
伯爵胸糞わりー
235 :
―――――― 『……だれか、いないのかな』
―――――― 『………真っ暗』
薄れ行く意識。
それは静かに、確かにぼくに近づいていた。
見栄を張って森の深い所になど入らなければ……
そうすれば、こんな事にはならなかったかもしれないのに。
236 = 235 :
―――――― 『スライムの癖に生意気なんだよ』
―――――― 『なんだ? やる気か』
―――――― 『ハハッ、そうだよなぁ! たかが100年くらい生きてたからって調子に乗るなよ?』
『お前はただ生きていただけだ』、そう言われたのが堪らなく悔しかった。
だから、少しでもぼくの勇気を見せたかったのに……
―――――― 『…………だれか……いないのかな………』
ぼくは崖から落ち、道に迷い、力尽きて動けずにいた。
なんてぼくは馬鹿なんだろう、そう思う度に涙しか出なかった。
237 = 235 :
そんな時だった。
誰もいない筈の闇に包まれた森の中で、1つの光が照らしていた。
――― 『ほらね! この子スライムでしょー』
――― 『危ないよ姫ちゃん、僕の後ろにいて!』
――― 『危なくなんかないよ? 怪我してるよ、ホイミしてあげてゆーしゃ!』
・・・小さな2人の子供。
真っ暗な森を照らしていたのは少し大きな男の子だった。
238 = 235 :
幼勇者『大丈夫? ホイミ』
男の子がぼくの傍に来て、呪文を唱えた。
驚いた、こんな小さな人間の子供が100年生きたぼくでも習得出来なかった呪文を使うなんて。
―――――― 『……あったかい』
……何より、淡い癒やしの光はとても温かかった。
こんなに温かい光があるのかと、ぼくは感動した。
239 = 235 :
幼姫『ゆーしゃ、やっぱり来て良かったでしょ?』
幼勇者『うーん……肝試しのおかげでスライムを助けられたし、良かったのかな』
幼姫『良いに決まってるよっ! ねー?』なでなで
スラ『ぴ、ぴきーっ♪』
240 = 235 :
―――――― ザァァ・・・
メイド「……勇者、このスライム………」
勇者「…………」
スラ「…」
ギュッ
勇者「……ありがとう、ここまで知らせに来てくれたのか……」
メイド「っ……酷い、どうしてこのスライム……」
勇者(・・・)
241 = 235 :
―――――― 『ゆーしゃ! 見て見て~!』
―――――― 『ぴきぃぃ!?』
―――――― 『……スライムが可哀想だよ?』
―――――― 『えへへ、私とスラリンはお友達だもんね~?』
―――――― 『……ぴっ?(お友達?)』
―――――― 『うん、君と姫ちゃんは友達だよ』
―――――― 『あー! またゆーしゃとスラリンだけお話してるー! 私も仲間に入れてぇっ』
―――――― < 『わぁっ、泣かないで……というか、スラリンってスライムの名前?』
―――――― < 『うん! 可愛いでしょ!』
―――――― 『ぴきー……』
242 = 235 :
―――――― 『ぴきーっ♪(久しぶり勇者っ♪)』
―――――― 『……スラリン、か』
―――――― 『ぴきっ?(どうしたの、元気ないよ?)』
―――――― 『あのさ……少し、姫と会えなくなりそうなんだ』
―――――― 『ぴきー! ぴっ?(なんで! どうして?)』
―――――― 『………凄く、姫の体調が悪いんだ……もしかしたら……』
―――――― 『…………ううん、なんでもない』
―――――― 『ぴきー…?』
243 = 235 :
勇者(……ごめんな、それと…本当にありがとうな……)
スラ「…」
勇者(あんなに、一緒に遊んでたのにな……この間来た時、遊べなくてごめん……)
勇者(俺のせいで……)ギュッ
スラ「…」
244 = 235 :
(……久しぶりに来たけど、姫ちゃんと勇者…元気かな)
(あ、あれっ? 抜け道がなくなってる……)
兵士「zZZ」
(……しずかにすれば、大丈夫大丈夫……)
兵士「むにゃ…」
(ひっ)びくっ
兵士「……zZZ」
(ホッ)
245 = 235 :
(……どこに姫ちゃん達いるかな)
メイド「~♪」すたすた
(あっ……)
メイド「……っえ、ぃ」
メイド「キャー! スライムが台所に……!」
「ぴきー!(見つかっちゃったー!)」
<「大丈夫? 私がついてるわっ」
(え……姫ちゃん?)
246 = 235 :
< 「こらこら、女の子脅かしちゃダメだろ」
勇者「……」すっ
「ぴっぴきぴー!(勇者! 姫ちゃん! ぼくだよ、スラリンだよ!)」
勇者「え…?」
勇者「……だめ、姫は怖がりだから」
姫「余計なこと言ってないで追い出してよ!」
(……えっ?)
勇者「(まずいな…)はいはい」がしっ
「ぴきー……(姫ちゃん、ぼくを覚えてないの……)」
247 = 235 :
勇者「……悪いなスラリン、久しぶりの再会なのに」
「勇者、姫ちゃんはどうしたの? ぼくを忘れてしまったの?」
勇者「ああ……スラリンと最後に会ったあの日、姫はそれまでの記憶を失ったんだ」
「え……じゃあ、それじゃ……」
勇者「ごめんなスラリン、もう姫はお前とは遊べないんだ……俺もな」
「……そんな、何があったの……」
勇者「………言えない」
「…!」
248 = 235 :
―――――― ザァァ・・・
勇者「……あの時、お前…凄い寂しそうな目をしてたよな」
スラ「…」
勇者「姫を守れなかったせいで、寂しい思いさせたよな……スラリン……!」
メイド「……」ポロポロ
勇者「………疲れたよな、痛かったよな…今ホイミするから……」
メイド「勇者さん……もうその子…っ」ポロポロ
勇者「このままじゃ可哀想だろ……?」
249 = 235 :
勇者「……ホイミ……」ポウ
スラ「……」
勇者(………必ず)
スラ「…」
勇者(必ず、姫を助けるよ……)
勇者(きっと守る)
250 = 235 :
勇者(だから、応援してくれ……)
勇者「……必ず、約束するよ」
スラ「ぴきーっ♪」
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