元スレ姫「疲れた、おんぶして」勇者「はいはい」
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652 = 611 :
いい感じに魔王だな
乙
653 :
おいつけてよかった
乙!!
654 :
―――――― カッッ!!
刹那に莫大な閃光が弾け、衝突した。
両者は詠唱も呪文も唱える事無く、自身の魔力に任せて魔法を行使したのだ。
空気が瞬時に燃焼された事で周囲に暴風が吹き荒れる中、勇者と竜王は微動だにしなかった。
竜王【 クックック、所詮は相殺がやっとのベギラマか? 】
竜王【 ならば再びあの夜の終幕を演じようかッ!! 】
勇者(……『あの夜』か、あの時に比べたら随分容赦ない気がするけどな)
勇者(まぁ……負ける気はしない―――ッ!!)
655 = 654 :
竜王の言葉が終わる瞬間、2つの強大な閃光が再びぶつかり合う。
ただし、その威力も余波も先の『ギラ』とは比べ物にならない程強力なものと化していた。
暴風がその衝撃波の発生源に吸い込まれ、一時的に極限の真空状態となった。
僅かな空白の間。
そして一輪の波が空間全域に駆け抜ける!
―――――― ゴォッッッ!!
『スクルト』による加護で衝撃波程度なら無効化出来る姫が、体を前から突き飛ばされた感覚に襲われる。
姫「…!? ひゃぁ……っ」
656 = 654 :
ガシィッ!!
勇者「悪い姫、次は衝撃波を姫に当たらないようにする」
優しく姫の体を受け止め、彼女に一言呟く。
彼女は思わずそちらへ振り向いた。
―――― フッッッ!!
風が姫の髪を撫でるように抜けたのと同時。
勇者の姿が消え、彼女の背後で再び死闘が始まっていた。
彼女は勇者の姿を捉えようとまた振り向いた。
657 = 654 :
勇者「破ァッ!!」
黄金の軌跡を描く『王者の剣』を乱れ打ち、真空の刃を駆け巡らせる。
音を越える速度で駆ける無音の斬撃を竜王に捉える術はない。
竜王【 『真空斬り』ならば見切っているぞ勇者ッッ!! 】
勇者「 !? 」
闇の霧を携えた竜王が勇者の背後に現れ、勇者の体が凄まじい衝撃波に叩きつけられた。
音が追いつかない世界で行われた小さな死闘が、瞬時に終わる。
石畳にも関わらず勇者の体が数十cmも沈み、背面の骨が一斉に粉砕される。
勇者(……っ!!)
658 = 654 :
―――――― ド・・・
勇者(まだだッッ)
刹那、全身に走る痛みが広がるよりも速く『ベホイミ』で回復する。
同時に、叩きつけられた瞬間に手放し空を舞っている『王者の剣』を手に取った。
更に更に同時に、その剣に直接黄金の魔力を流し限界まで威力を高めた。
そして、
―――――― ・・・ッゴォォォォンッッッ!!
背後で勇者の真空斬りが壁に炸裂した瞬間、勇者の刃が竜王に届く!
竜王【 ……! 】
ギィンッッ!!
勇者「っはぁ!」
659 = 654 :
竜王の眼前で勇者が咆哮する。
勇者「―――――― ッッ!!!」
純白だった髪が瞬時に黄金と化し、視覚化出来るだけの魔力の渦が彼の体を覆った。
地を滑るように勇者が竜王へ走る!
竜王【(あれが四天王達を容易く葬った、勇者の真の姿……!)】
背筋をゾクリと、竜王の中を何かが駆け抜ける。
竜王【(なんて怒りに満ちた姿、何という生物の最高峰の力!!)】
竜王【 ハッハッハァッッ!! やはりゾーマは勝てない訳だッッ!! 】
闇の霧の如く揺れ動くマントを刃のように一閃し、竜王が狂喜に声を奮わせる!
闇の軌跡を描くように空間に残る漆黒の残滓が、1つ1つが『ベギラマ』を意味する魔法陣と化した!!
660 = 654 :
竜王【 この竜王、『孤独』として世界に生まれ落ちてより初めての高揚感よッッ!! 】
竜王【 さあ・・・ これならばどうだ勇者ァッ!! 】
―――――― ボンッッ!! と数百の魔法陣が一度に弾け飛び勇者に向けて練獄の閃熱が降り注ぐ!
勇者「『ライデイン』・・・!!」
勇者の黄金の魔力がその瞬間に爆発し、彼を中心として蒼白の剛雷が吹き荒れる!
・・・しかし、それでは彼は竜王を倒せないと知っている。
姫を守り、竜王を倒すには足りないと知っている。
だからこそ彼は咆哮する、全身全霊の魔力を『ライデイン』に乗せる――――― !!
661 = 654 :
姫「……勇者……!」
幾度となく流れ込んで来る強大な力の余波を、衝撃波を勇者の蒼白の雷撃が貫いていく。
彼女には暴風すら触れさせない、と。
雷の龍が、少女を包み込むように渦を巻いて守護していた。
竜王【 クックッ……クハハハハハハハハァッッ!! 】
バヂィンッ!! と竜王を仕留めんとする光の刃をマントで叩き落とし、勇者の元へ跳ぶ。
その右手には、先日身につけた『古代最強位呪文』。
幾数もの『ライデイン』すら弾き返しながら、竜王はその魔法を勇者の眼前で爆裂させる!
662 = 654 :
勇者「 …… 」
手の『王者の剣』を堅く握り締め、勇者は竜王と視線を交差させる。
竜王【 打ち勝てるなら打ち勝ってみるがいい!! 】
竜王の右手が、紅炎を中心に蒼炎の閃光を迸らせた。
そして竜王は憎悪を滲ませた咆哮と共に最強の呪文を唱える!!
―――――― 【 『 ベギラゴン 』 】 ――――――
663 = 654 :
竜王城の、玉座の間がある場所は地下七階。
にも関わらず、一本の光柱が竜王城に突き立てられた。
その光柱の中心には……2つの影。
―――――― ギュイイイイイィンッッッッッッ!!!!
勇者「 おおおおおおオオオオオオオオオオオッッ!!! 」
蒼炎に左腕を焼き溶かされ右腕だけの彼は、一本の剣をその蒼炎にぶつけ灼熱の火炎を纏う!
勇者の眼前にいる竜王を、切り裂く為に。
咆哮し、絶叫と同時に黄金の魔力と蒼炎に包まれた刃を躍らせる!
664 = 654 :
竜王【(……!!)】
瞳に迫る刃に、竜王は呪文の反動で動けないでいた。
いや……『動かない』。
――――――――――――――――――
―――――― 灼熱火炎斬 ――――――
――――――――――――――――――
ゴバァン!! という爆発。
超神速で躍る勇者の『王者の剣』が竜王の体を縦一文字に一閃した。
竜王【 ごァ…… 】
鮮血が爆炎によって蒸発しながら飛沫を挙げる!!
勇者「!!――――――ッッ」
しかし勇者の刃は、剣は、止まらないッッ!!
665 = 654 :
音を越え、超摩擦で全身が火炎に包まれようと勇者は止めなかった。
―――――― ザンザン斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬ッッッッ!!
太陽を思わせる程の光輝炎。
一閃の上を更に一閃し二筋の軌跡を更に一閃で斬り開き一閃と斬撃の嵐が爆炎の威力を極限以上まで高める!!
竜王の体から飛沫を上げる血液すら超温度で霧状になる!
勇者「終わりだァァッッ!!」
ついに浮遊感が落下へと変わった瞬間、竜王城より数百m上空で勇者の剣から蒼白の雷が瞬いた。
勇者「 『ライデイン』!! 」
最後の一撃が、勇者の剣を通して竜王に放たれた。
666 = 654 :
轟ッッ!! と鳴き声を挙げ、雷龍が竜王を撃ち抜いた。
そして竜王はそのまま竜王城へと落下――――――
―――――― する筈だった。
667 = 654 :
―――――― バツンッ!!
竜王の体が内側から爆ぜ、その中から巨大な翼が伸びたのだ。
勇者「あれは……!!」
忘れていた。
勇者の脳裏を、2つの事が一度に駆け巡った。
一つは『あの夜』の記憶。
もう一つは・・・
勇者「( ・・・『竜』王・・・ )」
668 = 654 :
【 どうした勇者よ、我はまだ『終わり』ではない筈だが? 】
大空に響き渡る産声。
これこそが真の姿だと誇示するかのように、竜王は巨大な翼を羽ばたかせる。
その翼による動作が、小さな竜巻すら引き起こしているのが見える。
勇者「……!! 『ベホマ』」
即座に勇者は左腕を蘇生させ、全身の傷を塞ぐ。
勇者の体のみが落下していく中、ついに竜王が勇者の頭上へと回り込んだ。
669 = 654 :
【 クックック・・・どうした? 真空斬りすら出さぬのか 】
勇者「…………」
―――――― しかし、忘れていたのは竜王も同じらしかった。
【 ・・・ッッ!! 】
瞬時に巨竜となった竜王が 轟!! と旋回した。
ギュオッッッ!!
その僅かな差。
真空の刃が幾重にも重なり合った強力な剣撃を、竜王は見事その巨体でかわして見せたのだ。
刃の行き先は海面だった。
670 = 654 :
ドドドドォォオオオッッ!!!!
突き立つ水柱、その余りの威力で視界が吹き飛んだ海水で埋め尽くされる。
竜王と、勇者の、両者の姿が一時的に世界から隠されてしまう。
―――――― !!
―――――― !!
直後、巨大な水柱が一瞬で掻き消される!!
671 = 654 :
水の膜壁を爆発させ、両者が刹那に大空を交差する。
勇者「……!!」
【 ・・・!! 】
ッッッッ―――――― !!!
巨竜の翼が破壊の鉄槌と化し勇者に叩き込み更に竜王の周囲で再び闇の残滓が1つ1つ全て魔法陣となり爆発する!!
!!!―――――― ッッッッ
轟火球の嵐そのものとなった竜王を勇者は避けもせず叩き込まれた翼をライデインで断ち切りベギラマを連射して火球を撃ち落とす!!
直後に勇者の黄金の魔力は迸り、凄まじい雷撃の槍が竜王を貫いた!
【 ガァアアアアアアアアッッ!!? 】
勇者(……効いた?)
672 = 654 :
先程とは明らかに違うダメージに、勇者が気づく。
轟火球を全て弾き返しながら、勇者は再び大空を舞って距離を取る。
勇者(ッ、そういえば……さっきはマントでライデインを弾いてたのか?)
勇者(だとすれば、奴がさっきの『ベギラゴン』で自滅を恐れなかったのも……マントがあったからか!)
【 オオオオオオオオォォォォォォォッッッッ!!!! 】
ズルッッ!! と、竜王の翼が傷口から再び蘇生する。
そして、巨竜の漆黒の瞳が勇者を捉えた。
瞬間。
673 = 654 :
―――――― 竜王城の内部を登っていた姫は、凄まじい爆音を耳にする。
足下から沸き上がるようなその異様な感覚に、姫は階段を登る足を止めた。
そして音の正体は何か、探ろうと耳を澄ました。
姫「………………?」
ついさっきまで聞こえていたのに、突然止んだ事に首を傾げた。
再び勇者の所へ駆けつけるべく、彼女は階段を登る足を進める事にした。
『スクルト』が効いてるのか、それとも先程から止まらない『首飾り』の光が助けているのか。
姫は長い距離を初めて1人で走っていた。
その時だった。
674 = 654 :
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!
突如鳴り響く唸り声。
姫が警戒して身を低くしようとしたのも束の間、直ぐに災厄は彼女を襲った。
足下の階段が一瞬にして爆発し、周りの通路すら全て崩壊し、姫の華奢な体が瓦礫と共に投げ出された。
姫「―――――― きゃっ」
余りの浮遊感に、何が起きているのか分からなくなってしまう。
事実この時の彼女の視界は真っ暗になっていた。
だが、直ぐに自分がどういう状況か思い知る。
姫(わ、私……落ちてる……?)
675 = 654 :
勇者「ッッ!! 危ねぇ姫っ!!」
姫「ひゃんっ!」
海面に叩きつけられる寸前。
勇者の体がクッションになり、姫を受け止めた。
かなりの距離を飛ばされ砲弾とも呼べる速度の姫を、双方にダメージの無いよういなした勇者は凄まじい技と言えた。
一歩間違えれば、姫の体は例え勇者が受け止めたとしても粉々になっていたかもしれなかったのだから。
勇者「ッ……しっかり抱き締めてろ姫!!」
姫「え、ちょ! っ……あれ? 今私達飛んでるの?」
勇者「『ルーラ』の応用だ! 行くぞ!!」
676 = 654 :
勇者が瞬時に速度を上げ上昇する。
必死に勇者に抱きついている姫は、ふと目を勇者の背後に向けた。
姫「勇者……っ!」
勇者「分かってる!!」
【 ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!! 】
大空に轟く咆哮。
ギュォ!! と何かが渦を巻く音。
巨大な竜の姿、本来の竜王がとても巨体とは思えぬスピードで追ってきていた。
・・・それも 『黒炎の渦』 を纏って、だ。
677 = 654 :
―――――― ギュォッッ!!
黒炎がそれぞれ固有の意志を持っているかのように、『渦』が数百の魔法陣を作り出していく。
それも、1つ1つが明らかに超高度の呪文を意味していたのだ。
勇者(『ベギラゴン』を連射だと……!!)
腕の中にいる姫を庇いながら、あの威力の魔法の嵐を潜り抜けるのは不可能。
しかし既にかなりの高度まで上昇してしまった以上、もはや後戻りは出来ない。
だが、それで自分を盾にしたとしても・・・
勇者(・・・考えろ)
背後から更に空気を引き裂く音。
追いつかれ、再び撃ち合いになるのは必須。
勇者(考えろぉ……!!)
678 = 654 :
姫「…………」
明らかに苦悩する勇者を見て、姫は静かに理解する。
自分のせいで彼は今、窮地に立たされている。
自分のせいで……姫のせいで……?
姫「……勇者」
勇者「なんだ!」
姫「………必ず、助けてね?」
679 = 654 :
―――――― トンッ ……と、姫が勇者を突き飛ばすように腕を伸ばした。
突然の行動と、姫がしっかり抱き締めていたのもあって。
勇者の体からいとも簡単に姫が引き剥がされた。
勇者「 !!? 」
【 ヌゥ・・・? 】
竜王すら、横を落下していった姫に不可解な声を漏らす。
何より、勇者には余りにもショッキングな光景に見えた。
680 = 654 :
ドンッッ―――――― !!
大気を蹴り飛ばし、勇者が刹那に急降下する。
ついに、竜王と対峙する。
勇者「どけぇぇえええええ!!!!」
腕が悲鳴を上げ、筋が幾つか切断されるのも無視して全力で剣を振り上げる!!
そこへ重ねるように勇者の魔力が『ライデイン』に変換され轟雷の剣を、『王者の剣』に衝突させた!!
【 来るが良い勇者・・・!! 】
二枚の巨大な翼が刃の如く一閃し、凄まじい『ベギラゴン』の嵐が繰り出される!!
681 = 654 :
――――――――――――――――――――――
―――――― 【 稲妻雷光斬 】 ――――――
――――――――――――――――――――――
【 なっ・・・!!? 】
勇者「ぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
黒炎が作り出した魔法陣さえも突き破り、『ベギラゴン』の嵐を貫き、竜王の翼すら断つ―――!!
『ライデイン』と『レプリカ:王者の剣』が合わさった力に、勇者の心に呼応した『ロトの力』が爆発する!
竜王自身をも守護する『黒炎の渦』が、最後の迎撃抵抗を勇者に見せる!!
―――――― ギュォオオンッッ!!
682 = 654 :
【 グ・・・ッッ、我は・・・我が貴様に敗北するなど………!! 】
黒炎が勇者の体を引き裂き、何度も貫く!
だがしかし、それらの抵抗すら……
勇者は、貫き斬る―――――― !!
勇者「だぁあああああ!!!!」
全力の力を振り絞り、勇者は魂の咆哮を轟かせた。
黒炎が、『黒炎の渦』が。
ビキッ!! と音を立てて勇者の『光』に破壊されていく!
【 馬鹿なァッ!! なぜ我が負ける!? 一体我に何が足りないと言うのだ!!! 】
683 = 654 :
勇者「知るかぁぁあああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」
684 = 654 :
―――――― ッ!!
巨竜の断末魔が鳴り響く。
威厳ある声でも、憎悪を滲ませた声でも無い。
ただ迷い無き道に『間違い』があるのに気づき、悲鳴を上げている竜の悲しい声だった。
魔の道に堕ちた竜は、ただ堕ちていく。
685 :
厨二満点ですねww
686 = 654 :
―――――― ュゥゥウウウウウ・・・!
姫は。
姫(・・・結構落ちて来ちゃったな)
目を閉じ、ただその瞬間を待っていた。
それが自身の死か、それとも『愛する人』の救済かは知らない。
だが彼女は後悔などしていないのはハッキリしていた。
姫(……私、)
687 = 654 :
姫(……結構かっこいいなぁ、勇者のためにこんな事出来るなんて)
風を突き抜け、落下速度が更に上がる。
恐らく数秒しか余裕はない。
姫(まぁ……)
姫(どうせ……)くすっ
姫は笑った、平和だった日常の中で見せたように無邪気に笑った。
彼女は知っていた。
幼い頃からずっと彼女は知っていた。
688 = 654 :
勇者「何笑ってんだよ……心配かけやがって」
ガシィッ!!
姫「……竜王は?」
勇者「倒した」
姫「……そっか、何か言ってた?」
勇者「いや」
姫「……そう、かわいそうだったなぁ」
勇者「なんで笑ってたんだ」
姫「ん? だって……勇者は私の為なら死ねちゃうくらい好きだから、きっと大丈夫だなーって」
勇者「……はいはい」
689 = 654 :
―――――― 【 なんで私は、母がいない? 】
(……そう私は周りに何度も聞いた)
(だが……周りの者達は答えてくれなかった)
(気を使っていたのか……)
(母は、『私』のせいで死んだからか)
(…………)
690 = 654 :
(だとしても、何故だ)
(何故誰も私のそばにいてくれない?)
(私は……寂しかった)
(姫達のように、私も恋をしてみたかった……)
(あの薄暗い城にずっと居たくなかった、温かい家族が欲しかった)
(なのに……何故私は、我は……こうなってしまったのだ)
691 = 654 :
( 誰か我に教えてくれ…… )
( 我は、どうしたら孤独から抜け出せる? )
( 誰でもいい・・・!! 教えてくれ・・・!! )
( 理解するだけでは、求めるだけでは駄目なのか……!! )
( 誰か…… )
692 = 654 :
勇者「……?」
姫「どうしたの勇者」
勇者「いや……それ」スッ
姫「あ、あれっ? なんでまだ私の首飾りが光ってるのかな」
< キィィン! キィィン!
693 = 654 :
【【 ユ”・・・ユウシャ 】】
勇者「?……―――――― !!」
ゴッッッ!!!!
姫「きゃあっ!?」
勇者「ッッ、まだ生きて……!?」
勇者「……………お前……誰
< グシャァアアアッ!!
694 = 654 :
勇者「ぐっ……ぁあ”あ”あ”あ”っ!?」
足を潰され、絶叫する勇者。
油断はしていなかった、魔力も充分満ちていた。
しかし。
勇者「『ライデイン』!!」バッ
【【 ムダだ・・・ 】】
勇者の全力のライデインが、『闇の霧』に消される。
音も無く、とても静かに無力化された。
695 = 654 :
姫「勇者!!」
勇者「来るな……!」
キンッ と勇者は即座に剣を取――――――
【【 ヤめておけ、そして…… 】】
ガッッ!! と剣を瞬時に弾き、異形の何かが勇者に手を添えた。
【【 我が誰か? 知っているだろう 】】
バヂバヂィッ!! という炸裂した雷の音。
勇者の眼前に突きつけられたのは、『黒い雷』。
勇者(……この黒い雷に、『魔法を無力化する霧』……)
696 = 654 :
【【 初めて見たか……? 】】
【【 我のあの『マント』は未完成で中途半端だったが、これが完成形だ 】】
脳裏によぎるのは、最悪の相手。
勇者「……『闇の衣』? そしてお前は……」
真竜王【【 そうだ!! 我が名は竜王……いや、『真・竜王』か? 】】
直後、勇者の体に黒い稲妻が走った。
697 = 654 :
おやすみなさい
キーワードは『 しん・りゅうおう 』
698 = 654 :
あ、明日が最終回
699 :
おつ
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