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    元スレ紅莉栖「岡部、IS学園に転入して」

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    501 :

    >>484 続き。




    ─第1アリーナ整備室─


     IS整備室。各アリーナに隣接される形でその部屋は存在する。
     本来2年生から始まる“整備科”のための施設であるが、生徒であれば誰でも使えるとあって利用する者も多い。
     
     早朝6時。人気は無く第1アリーナ整備室には2人の人間しか居なかった。

    紅莉栖「今日は土曜日で学校も無いし、その内に人も集まるわ。
         パッパとやっちゃいましょ。そこに立ってて」

    岡部「うむ」

     空中投影ディスプレイを見つめながらメカニカル・キーボードを高速で叩く。

    紅莉栖「同時にフィジカル・データとか諸々もやっちゃうからね」

    岡部「全て任せる」

    紅莉栖「ん。任された」

     ピッピ、と左手でキーボードを弾くと“石鍵”の足元からリング状のスキャナーが垂直に浮き上がり、
     ゆっくりと岡部の全身に緑色のレーザーを当てていく。

    502 = 194 :


    紅莉栖「本来なら検査室の機材でやる内容なんだけど、少し弄ったらこっちの機材でも出来ちゃった」

     左手でスキャンの打ち込みをこなしつつ、右手は違うデータを入力している。
     同時に違う打ち込み作業を行いながらお喋りに興じる余裕を見せる紅莉栖に、岡部は改めてゾっとした何かを感じた。

    岡部「と言うか、勝手に備品である機材を弄って良いのか?」

    紅莉栖「無問題、無問題。後でちゃんと直しとくから。
        ってか出来るなら一緒にやっちゃった方が時間のロスも少なくて良いと思うんだけどね」

    岡部「学校側にも何かしらの理由があるのだろう」

    紅莉栖「はいはいっと、無駄話してる間にフィジカル・スキャンは終り。
         次はパッチのインストール始めるわよ。
         “石鍵”を展開して」

    岡部「解った」

    紅莉栖「(展開速度が速い……)」

     岡部の展開速度は凄まじく速かった。
     3日前に初めて、ISを展開した人間とは思えない程に。

    503 = 194 :


     ──カチャカチャ、ターンッ。
     エンターキーを叩く音と共にインストールが始まる。

     “石鍵”による、エネルギー供給カットプログラムを操縦者である岡部の判断でカットするためのパッチ。
     万が一、エネルギーカットが必要な場面が来る可能性を考えて簡単にオン・オフが出来るようにもされていた。

    紅莉栖「5分位でインストール終わるからじっとしてなさいよ」

    岡部「う、うむ」

     空中投影ディスプレイに目を移す。
     先ほど採取した岡部のパーソナル・データ。

     身体能力の低さは相変わらずだが、問題なのは“IS適性値”。
     紅莉栖がラボで実験した時に出たデータでは適性値“B”。

     そして入学時に出た適性値は“C”の値。
     ラボで使った機材は簡易式という事もあり、数値に誤差が出るのも頷けた。
     しかし、現在ディスプレイに映る最新のパーソナル・データ。


     そこに表示されているのは“IS適性値 S”の文字だった。

    504 = 194 :


    紅莉栖「(どういう事よ……適性値Sって、世界に数人しか居ないわよ。
          って言うか、短期間で適性値がコロコロ変わることなんてありえないし……)」
     
     この情報をどうするべきか。
     本来ならば“石鍵”にデータを送るべきであるが、その場合データは簡単に閲覧出来るようになってしまう。

    紅莉栖「(……“適性値 S”なんてバグに決まってるわね。フィジカル・データだけ更新しておきましょう)」

     最新の“IS適性値”は更新せず、フィジカル・データだけを“石鍵”に転送した。

    岡部「む、インストールが終わったようだぞ」

    紅莉栖「OK. そのままアリーナに行くわよ。ちゃんと作動するかの実験をする」

    岡部「ふっ。実験大好きっ娘め」

    505 = 194 :



    ─第1アリーナ─


     朝7時前と言うこともあり、整備室同様アリーナにも2人以外の人間は居なかった。
     アリーナ中央に“石鍵”。
     そして控え室に紅莉栖が居た。

    紅莉栖『準備は良い?』

    岡部『大丈夫だ』

     プライベートチャネルで短めに用件を済ますと、カウントダウンに入った。

    紅莉栖「実弾発射5秒前、4・3・2・1……ファイア!」

     カウントダウン共に事前に固定して置いた、アサルトカノン-ガルムが銃身を熱くした。
     遠隔操作によりトリガーが引かれた弾丸は“石鍵”に向け容赦なく降り注いだ。

     ──ガギンッ! ガァンガンッ!!

     通常であれば、シールドバリア及び絶対防御により遮断された攻撃でもその衝撃まで完全に分散させることは出来ず、
     操縦者である人間に少なからずダメージが渡る。
     しかし“石鍵”の装甲は分厚く、一切の衝撃を搭乗者である岡部に与えることは無かった。

    506 = 194 :


    紅莉栖『ぷぅ……実験成功ね』

     “石鍵”のシールドエネルギー残量がディスプレイに映し出される。
      エネルギー残量の数値が極端に減っていた。

    岡部『うむ。どうやら、直撃を食らってもエネルギー供給はそのままのようだな。さすがは助手だ』

    紅莉栖『私が作ったパッチなのだから、当然と言えば当然な訳だが』

     憎まれ口を叩く紅莉栖ではあったが、その表情は安堵したような嬉しそうな表情を作っていた。
     無論、その表情を岡部に見せるつもりは毛頭無く、声がうわずらないようにも隠している。

    紅莉栖『折角だから、武器の調整もしましょう。
        未だに展開していないのもあるでしょう?』

    岡部『あぁ。“モアッド・スネーク”の展開をまだした事が無かったな。
       何となくの想像は付くが……』

    紅莉栖『同意。ってか多分、同じような想像してるはずよね』

    岡部『うむ……』

    507 = 194 :


     未来ガジェット4号機“モアッド・スネーク”を2人は思い浮かべる。
     大量の水を多数の電熱コイルで沸騰させ、多量の蒸気を噴出させる超瞬間加湿器であるそれは形状こそ“クレイモア地雷”の形をしている。
     おそらく“石鍵”に搭載されている武装も“クレイモア地雷”の形をした加湿装置的な何かであろう。
     2人はそう思っていた。

    岡部『……では“モアッド・スネーク”展開する』

     ──フィィィィ……ヒュンヒュンヒュンッ。

     光の粒子が形となり、武装が展開されていく。

    岡部『これは……』

    紅莉栖『想像してたのと、ちょっと違……いやねーよ』


    ……。
    …………。
    ………………。

    508 = 194 :



    ─食堂─


     実験を終える頃には丁度朝食時になっていた。
     2人が並んでアリーナから食堂へ向かうと入り口で一夏とシャルロットの2人組みに出くわす。

    シャル「あっ、オカリンに紅莉栖。おはよー」

    紅莉栖「モーニン。2人で朝食?」

    一夏「あぁ。シャルに誘われてさ。朝起きたら凶真が居なかったから驚いたよ」

    岡部「助手と少しばかり、早朝会議があってな」

    一夏「そっか。これから2人で朝飯にするんだけど2人もだろ? 一緒に食おうぜ」

    紅莉栖「えっ、えーっと……」

     チラリと目線をシャルットに配る。
     シャルロットは紅莉栖に解るよう、ジェスチャーで良いよと答えた。

    509 = 194 :


    シャル「一夏のばか……」

     そう小さく呟いた声を聞いた者は居なかった。

    一夏「そう言えば、凶真と紅莉栖が学校へ来て初めての土曜日だな。どうするんだ?」

     一夏の朝食は牛丼だった。
     昨日、紅莉栖が食べているのを見て久々に食べたくなったのだ。
     ちなみにシャルロットも同じで牛丼を箸でちまちまと、それでいて上品に口に運んでいる。

    岡部「む……考えていなかったな」

     岡部の朝食は何時も通りのドクトルペッパー。
     それに加えて、コッペパンと貧相な物だった。
     未だに昨日のバランスボールで作った痣が痛く、食事を取る気分になれなかった。

    紅莉栖「久々にラボでも行く? まゆりにも会って無いし」

     ラーメンをマイフォークでつるつると食べながら紅莉栖が提案する。
     一夏はそれを見て、なんでフォークなのだろうと首を傾げていた。
     そして朝からラーメンかと思い、苦笑もしている。

    岡部「そうだな。ラボの管理をするのも創設者であり、No.001であるこの俺の役目だ。
        久々にラボの方に足を伸ばすか」

    510 = 194 :


    シャル「らぼ……?」

    一夏「って何だ?」

    紅莉栖「あーっと、そうね。コイツが作ったサークルみたいなものよ」

    岡部「サークルではない! 未来ガジェット研究所っだ!」

    シャル「何か、研究してるの?」

    一夏「ん! 前に何か聞いたことある気がするな」

    楯無「んー、でも残念。倫ちゃんは今日もとっても忙しいのでした」

     何時の間にか、一つ空いていた席に更織 楯無が着席していた。

    一夏「楯無さん……何時の間に」

    楯無「今の間に♪」

     そう言う楯無の手には、サンドウィッチとミルクが持たれている。

    511 = 194 :


    岡部「おい、ノーガード女。今の台詞はどう言う意味だ」

    シャル「のーがーど?」

    一夏「ノーガード?」

    楯無「……?」

     ──コホン。
     紅莉栖が咳払いをする。

    紅莉栖「多分、たてなし。だからノーガードなのかと……」

    シャル「あー……あぁ……」

    一夏「……なるほど! ははっ、上手いな凶真」

    楯無「うーん。そんなあだ名を付けられたのは初めてだなぁ。
        でも楯無って呼んで? もしくはたっちゃん」

    岡部「名前などどうでも良い。それより、さっきの台詞──」

    楯無「やん。名前で呼んでくれなきゃ、おねーさんは答えません」

    紅莉栖「(無理無理。コイツが名前をちゃんと呼ぶなんてレアケースはそうそう起こりません。本当に──)」

    岡部「楯無、どう意味だ」

    512 = 194 :


    楯無「あん。学内で呼び捨てって新鮮でちょっとドキッとしちゃった♪」

    紅莉栖「(──ありがとうございました……)」

    岡部「良いから、答えろ」

     少しばかりの苛立ちを含んで岡部が問いただす。
     その横で紅莉栖がテンションを落しながら、ラーメンを啜る。
     もう紅莉栖の耳に、会話は届いていなかった。

    楯無「だから、倫ちゃんは今日おねーさんと特訓。遊んでる暇なんて無いわよ?」

    一夏「今日って、楯無さんの番だったんですか? と言うか、学校休みの日まで?」

    楯無「もっちろん。と言うか、土日はおねーさんが貰いました」

    シャル「ん。つまり、今日明日は楯無会長がオカリンを指導するんですか?」

    楯無「そう言うことね。シャルロットちゃんにも手伝ってもらうかもしれないから、その時はよろしくね」

    シャル「あ、はい。僕でよかったら……」

    岡部「お、おい何を勝手に……く、クリスティーナ? 俺達は今日ラボへ……なぁ?」

     一縷の希望を託し、隣の紅莉栖に話しを振る。
     しかし、期待していた返答は来なかった。

    513 = 194 :


    紅莉栖「知らない。私は今日ラボへ行くけど、あんたは勝手に頑張りなさいよ」

     そう冷たく言い放って食事に戻ってしまった。

    岡部「クリスティーナ……さん? 何か、怒ってらっしゃいます?」

    紅莉栖「ティーナでは無いと言っておろうが。解らないなら良い。黙って食べなさいよ」

    岡部「ぁ……ぉ……」

    シャル「(紅莉栖も大変だなー)」

    一夏「(ん? 紅莉栖は何かに怒っているのか?)」

    楯無「んふふ、許可も降りたことだし……朝食が済んだらさっそく特訓を始めるわよ。
        この土日で使い物にならない倫ちゃんのナマクラをおねーさんが鍛えなおしてあげる」

     岡部にとっては死刑宣告に相応しい宣言がなされた。
     弁護人はラーメンを啜っている。
     
     久々にラボへ帰れると思い、内心高まっていたテンションは一気に下がり、岡部の食欲はさらに減退した。

    514 = 194 :


    おわーりです。
    日付変わっちゃったけど、今日もありがとうございました。

    オカリンって基本的に女性を下の名前で呼ぶイケメンだよね。
    それでは、また。

    515 :

    るか子とかな

    オカリンが倒れないか心配です

    516 :


    γ世界線のオカリンに早く変身するんだ!

    517 = 194 :

    めも

    日 初日→ラボ

    月 2日目→学園自己紹介等 紅莉栖制服制作

    火 3日目→制服完成 コア到着

    水 4日目→石鍵登場 初戦闘敗北 石鍵考察 パッチ作る

    木 5日目→箒トレーニング

    金 6日目→機体制御 鈴トレーニング

    土 7日目→ New!

    自分のメモが間違ってたら笑えるけども。
    それでは、おやすみなさい。

    518 :

    >>516
    もうそれ、姿形以外が刹那だ。

    519 :

    IS原作読んでないんだが、生徒会長のISの武装ってどんな感じなんだ?

    520 :

    いちなつにラボメンがNTRされるような展開だけはやめてくれよ

    521 :

    >>519
    装甲は分厚くない、露出部分多し
    その分ナノマシン入りの水のベールで保護してる感じ
    ベールは瞬間沸騰(≒爆発)させたりして攻撃にも使える

    ざっくり言うとこんなもんか?

    522 :

    そしてIS学園最強な訳だな

    523 = 519 :

    >>521
    水のベールって体の周りに展開されるんだよな…?
    それで攻撃って…アサルトアーマーみたいなもんか?
    あとそれだけが武器ってことはないよな?

    度々すまん…

    524 :

    乙だにゃ~。
    次回はモアッド・スネーク大活躍回かな?かな?

    会長のイメージって、機械チックな衣装を纏って、宝貝「霧露乾坤網」を装備してる竜吉公主って感じで良いのかな?
    水を纏ってるって言われて、真っ先に思い付いたわけだが。

    525 :

    凄い面白いけど進みがひとくぎり毎だから週刊誌のようなドキドキ感があるいいSSだな
    これからも頑張ってください

    526 :

    楯無さんはこれ

    527 :

    紅莉栖が岡部をラボに連れて行かないのには少し違和感。
    慣れない状況でストレス溜まってるだろうしとか、まゆりだって逢いたいだろうしとか
    そういうのに人一倍気を使いそうと思うんだけど(過去的に)

    528 = 522 :

    結果的に岡部のフィジカルを高める方が、合理的ってのもあるんじゃね?

    529 :

    >>527
    ホントはそのつもりだったんだろうな
    でも自分をなかなか名前で呼んでくれないのに、楯無はすぐに名前で呼んだ事でジェラシー爆発したんだろ

    530 = 194 :


    なんとか今日も投下できそうです。
    短いですが……。

    添削終わったらおとしにきまうです。

    531 :

    舞ってる

    532 = 194 :


    添削しても>>1のことだから、誤字脱字あるんだろうなぁ。

    と思いつつ、↓から投下します。

    533 = 194 :

    >>513  続き。


    ─秋葉原・未来ガジェット研究所─


     時刻は昼前11時過ぎ。
     トントンと、階段を登る音が静かに響く。

     ──ガチャ。

    紅莉栖「ハロー」

     鍵は開いていた。
     何時ものように、ドアノブを捻り牧瀬紅莉栖が未来ガジェット研究所の扉を開く。

    ダル「ちょっ、牧瀬氏じゃん!」

     椅子に座り、PCを弄っていた“橋田 至”が振り返る。
     そのディスプレイには、ダルが好んで遊ぶR指定のPCゲームではなく、IS関係のものが表示されていた。

    まゆり「紅莉栖ちゃんだぁ! トゥットゥルー♪ お久しぶりなのです」

     ソファーに腰掛け、イベント用のコスプレ衣装を縫っていた“椎名 まゆり”も紅莉栖に視線を向けた。
     満面の笑みを浮かべている。

    534 = 194 :


    紅莉栖「ハァイ。時間できたから来ちゃった。お邪魔して良い?」

    まゆり「当り前だよー! ほら、こっちこっちー」

     ぽんぽんとソファーの隣を叩いてまゆりが、おいでおいでする。

    紅莉栖「ありがと、まゆり」

    ダル「っつか、一週間ぶり? たった一週間でも久々な気がするから不思議だお」

    まゆり「そうだねぇ、えっへっへぇ」

    ダル「ほんで、オカリンは?」

    紅莉栖「あー……岡部は忙しいみたいで来れないの」

    まゆり「そっかぁ……久々にオカリンの顔見たかったんだけどなぁ」

    ダル「んまー、仕方ないっちゃ仕方ないっしょ。IS関係が大変だろうしさ。
        この一週間でオカリン関係のニュースやりすぎワロタ状態だったし」

    535 = 194 :


    紅莉栖「そうね……色々と苦労しているわ。主にフィジカル面でだけど」

    まゆり「ふぃ、ふぃじかー?」

    紅莉栖「フィジカル。簡単に言うともやしっ子体型のアイツは今、強制的に肉体改造を受けてるわけ」

    ダル「つまり、筋トレ三昧? うわー……デブには想像しただけで食欲が無くなる話題」

    まゆり「えっと、オカリンがまっちょりんになるってことかな?」

    紅莉栖「想像したくないけど、そうね」

    まゆり「そっかー。やっぱり大変なんだねぇ……でも、まゆしぃはちょっと寂しいかな。
         それに、オカリンの体が心配なのです……」

    紅莉栖「まゆり……」

    ダル「まゆ氏……」

     まゆりの一言でラボの空気が少しだけ寂しいものに変わった。
     
    まゆり「っん! 紅莉栖ちゃんは今日お休みなんだよね?」

     少しだけ俯いていたまゆりは、一瞬にして顔を輝かせる。
     その表情には先ほどまでの寂しさは纏っていなかった。

    536 = 194 :


    紅莉栖「え、えぇ」

    まゆり「ならなら、今日は一緒に遊ぼうよぉー。ね! ダル君もそれが良いと思うよね!」

    ダル「おぉぉ……まぁ、ボクは牧瀬氏にISについて色々聞きたいこともあったし、賛成だお」

    まゆり「ね! 紅莉栖ちゃんっ」

    紅莉栖「……そうね、と言うか今日は一日中ラボに居るつもりだった、し……」

     はにかみながら紅莉栖が答える。
     同年代の友達が殆どと言って良いほど居なかった紅莉栖にとって、まゆりの素直な誘いは嬉しいものがあった。

    ダル「そうと決まればまずはご飯にしようず。ピザを注文しようと思う訳だが」

     カサカサとピザ屋のチラシを広げはじめる。
     どうせ注文する種類は決まっているのにと、紅莉栖は内心笑っていた。

    まゆり「まゆしぃは、ジューシーからあげなんばーわーん!」

    537 = 194 :


    紅莉栖「ピザか、良いわね。最近ジャンクジャンクしたのを食べてなかったから、そう言うのちょっと食べたかったりして。
         学食って美味しいんだけど、全部クオリティが高くてなんか違うのよ」

    まゆり「せっかくだから、ルカ君も呼ぼうよー!」

    ダル「ならばフェイリスたんにも是非お声をかけて頂きたいお!」

    紅莉栖「(楽しいな、この空気……岡部の馬鹿も無視して来ればよかったのに……)」

     表面ではそう思いつつも紅莉栖は無理やり岡部をここへ連れて来ることは出来なかった。
     その後、更織楯無に説明された事情。

     今頃、岡部もさらに詳しく楯無から説明を受けているだろう。
     名称だけは紅莉栖も耳にしたことがあった。


     ──“亡国企業-ファントム・タスク-”について。

    538 = 194 :



    ─IS学園・自室─


    岡部「亡国企業-ファントム・タスク-……」

     聞きなれない単語を耳にした岡部が繰り返す。

    楯無「そう。覚えておいてね」

    一夏「……」


     “亡国企業-ファントム・タスク-”

     古くは50年以上前から活動している、第2次大戦中に生まれた組織。
     国家によらず、思想を持たず、信仰は無く、民族にも還らない。ゆえに目的は不明。

     存在理由も不確かで、その規模もわからない。
     わかっているのは、組織は大きく分けて運営方針を決める幹部会と、スペシャリスト揃いの実働部隊の2つが存在すること。
     
     そして近年、その主な標的はISであること。
     楯無の説明はそういったものだった。

    539 = 194 :



    楯無「この情報も何処までが本当なのか、眉唾なんだけどね」

    岡部「それが俺と何の関係がある?」

    楯無「直接の関係は勿論無いわ。でもね、ここに居る一夏くんの“白式”同様に貴方の“石鍵”も貴重なISなの。
        口惜しいことに、今まで何回か学園内外で襲撃を受けてる訳」

    岡部「襲撃……?」

    一夏「あぁ。俺の“白式”を奪いにな」

    楯無「亡国企業の目的は不明。ただ、ISを集めてる事は確かだし手段を厭わないのも確かなの」

    一夏「俺も何度も襲われた」

    岡部「……」

    楯無「自分で撃退しなさい。だなんて言わないわ、ただ死なない程度には動けるようになって貰わないとってことよ。
        倫ちゃんに死なれちゃったら、おねーさんも生徒会長としてちょっと困っちゃうし」

    一夏「凶真も何時、俺のように襲われるか解らないから。って事ですか?」

    楯無「そーゆーこと」

     一夏が入れた紅茶を飲みながら答える。
     誕生日にセシリアがくれた一級茶葉を使用しているので、優雅な香りが部屋に立ち込めていた。

    540 = 194 :


    岡部「……事情は解った。だがしかし、俺は今日ラボへ行かねばならん」

    楯無「紅莉栖ちゃんが行っちゃったから?」

    岡部「だっ断じて違う! お、俺はラボの長としてだな、定期的に様子を見に行かねばだな……」

    楯無「んー、どうしても行きたい?」

    岡部「これは義務だ。義務を放棄する訳にはいかない」

     楯無しは、うーん。と考えるポーズをとる。
     岡部を行かせる気は毛頭無いが、どのようにして諦めさせるか考えていた。

    楯無「じゃぁ、勝負しましょう。私が負ければ今日も明日もお休み。どう?」

    岡部「……良かろう」

    一夏「……あっ」

     一夏は気付いた。
     一昔前にこれとまるで同じやりとりを楯無としたことを。

     にこりと笑った楯無は勿論、“罠に掛かった”という表情をしていた。
     やっちまったな、凶真。
     自分と同じ運命を辿るであろうルームメイトに対して、そう思うことしかできなかった。

    541 = 194 :



    ─畳道場─


    岡部「……これは?」

    楯無「うん。袴ね」

     岡部と楯無は休日稽古をしていた柔道部員を退け、中央で向かい合っていた。
     両者とも白胴着に紺袴という日本古来からの武芸者スタイルだ。

     隅に追いやられていた柔道部員は、会長である楯無と岡部の袴姿に黄色い声を上げている。
     同じように袴姿の一夏には既に何人かが取り囲み、写真撮影へと発展していた。
     
    岡部「俺が聞いているのは格好の問題ではない」

    楯無「あら、思ったより似合ってるわよ?」

    岡部「ちっがぁう! 俺が言ってるのはそう言うことではない!
        さっさと済まして、ラボに行きたいというのに何故こんな面倒な着替えや場所をあつらえているんだ!」

    542 = 194 :


    楯無「の割りには、ひょいひょい付いて来て着がえてるじゃない♪」

    岡部「そもそもだ……なぜ戦う事になっている……」

     ぎりりっ、と歯軋りが聞こえてきそうな形相で楯無を睨む。

    楯無「あん。睨んじゃヤ」

    一夏「凶真……話が通じる相手じゃないから……」

     写真撮影が終り、隅の方で正座をして観戦している一夏が声をかける。
     そんな一夏に、あんまりな言い方ね。と楯無が小さく反応した。

     取り巻きの女子も、行儀良く一夏を中心に横一列に正座をして観戦している。
     ジャンケンで勝った順に一夏の隣に座れるシステムらしい。

    543 = 194 :

     
    楯無「さ、倫ちゃん。喚いてる時間があるなら早くかかって来なさいな。
        ルールはさっき説明した通り。倫ちゃんは参ったすれば、負け。
        私を床に倒せば倫ちゃんの勝ち」

     あまりにも岡部に有利な条件。
     いくら体力の無い岡部とは言え、負ける気がしなかった。

     何度倒されても自分が参ったを言わなければ負けることはない。
     ラウンダー相手に立ち回った経験を活かせば、女1人床に伏せることは容易い。
     そう考えていた。

    岡部「自分勝手な女だ。後悔しろ、マッドサイエンティストを怒らせたことをな!」

    楯無「まー、怖い。おねーさん身の危険感じちゃう。
        一夏くん、いざとなったら助けてね?」

    一夏「はいはい。助けますよ(凶真をですがね)」

    岡部「さっさと終わらせるぞ。悪いが俺は格闘技の型など知らんからな、我流で──」

    545 = 194 :



     大きく両手を広げる岡部。
     その独特の構えは──。

    一夏「なんて……隙だらけなんだ」

     岡部の作戦は単純だった。
     体格差にものを言わせて、転ばせる。

    岡部「(楯無がどれだけ強いかは解らん。が、チャンスはいくらでもある……。
        今が11時。遅くとも12時には終わらせて、14時にはラボに到着していたい)」

    楯無「じゃぁ──行くわよ?」

     余裕のある澄んだ声が道場に響いた。

    546 = 194 :


    おわーりでございます。
    段々1回の文章量が落ちていってる……。

    ギャグ漫画日和とISのクロスがセンスありすぎて悔しいっ……!
    面白くて読んじゃう……ビクンビクン!

    では今日もありがとうございました。

    547 :



    俺は銀さん風味になったISを推すぞ

    548 :

    乙ー。AAはバキかな?

    ぼかぁ、「インフィニット・ストラトスVSオービタルフレーム」が好きだったんだが、今は削除されちゃったんだよねぇ。
    作者が商業デビューしちゃったから、未完に終わって残念。

    549 :


    鬼の形相の背中を持つってことはオカリンは人類最強ですね分かります


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