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    元スレ美琴「極光の海に消えたあいつを追って」2

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    みんなの評価 : ★★★
    タグ : - 黒子 + - ディアボロ + - 一方通行 + - 上条 + - 上条当麻 + - 妹達 + - 御坂 + - 御坂美琴 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    651 = 1 :


    「小さなことが発展して、大きな災禍へと繋がっていく……。
     それを食い止めるために、今ここで『妹達』に関わる計画を完全に終わらせる必要があるってことですね」

    「だが、ここで少し困ったことになった。親船が言うには、どうにも『書庫』が信用ならないらしい」

    「『書庫』が?」

     戸惑う声が上がるのも無理はない。『書庫』は学園都市の総合データベースであり、そこに記載されている情報には絶対の信頼性が求められる。
    仮にそこに記載されている情報が信頼できないのであれば、他に何を信じればいいというのか。

    「高レベルのセキュリティコードを持っていれば超閲覧や超編集は不可能じゃないでしょう。
     統括理事が関与しているのなら、それくらいのことは超簡単に出来るのでは?
     信用できない、ということは超いじくられていることは判明しているんでしょう。どんな内容なんですか?」

    「『水源地水位監視センター』を始めとする数百カ所の施設のデータ、およびその所属研究員のパーソナルデータだな。
     改ざん日は『リプロデュース』が木山春生を襲撃する数日前からその当日にかけて」

    「どこから漏れたかは知らンが、一連の動きは俺たちをあぶり出すための動きだろォな。
     こっちの行動は読まれていると考えるべきだ。……となると、一番危ないのは海原か」

     海原が拉致した研究員に成り替わるための準備期間はとても短く、『書庫』の全ての情報の裏を取ることはできなかった。
    その『書庫』のデータが改ざんされているのなら、知らず知らずのうちに海原がボロを出していた可能性は否定できない。
    忍び込んできた人物をあぶり出すことまで考えての行動なら、既に察知されている可能性は高い。

    652 = 1 :


    「どうします? 海原さんは先んじて施設に超潜入する役割でしたよね。
     バレているのだとしたら、『超飛んで火に入る冬の海原』ですけど」

    「海原が補足されている可能性は高い。あくまで施設内に先行している人物がいれば色々やりやすいというだけの話だ。
     今から編成を再編して、突入組に入っても構わないぞ」

    「自分ならこのままでも構いませんよ」

     笑みを絶やさぬまま、海原は静かに言う。

    「自分の身を守るすべは心得ていますし、バレているからといってそれが減じるわけではありません。
     いざとなれば別の人間にすり変わることも出来ますしね」

    「……いいんだな?」

    「ええ」

     大事な人間の為ならば危険を厭わない、というのは本来の『グループ』である4人が唯一持つ共通目的だ。
    目的の為に有効であるならば、もっとも危険な最前線に単独先行することなど構いやしない。
    身近なやり取りの中に海原の覚悟を感じた土御門は、それ以上何も言わなかった。

    「……わかった。あとで番外個体が合流したら、そのあたりも含めて作戦の最終調整をしよう」

    653 = 1 :


     深夜。

     美琴は自らのベッドの中で、PDAを握りしめて息をひそめていた。
    彼女が様子を窺っているのは同室である白井が寝入ってしまったかどうかだ。

    番外個体は今夜が『第三次製造計画』潰し作戦の決行日である、と教えてくれた。
    それを知らされて、指をくわえて見ていられる美琴ではない。
    当然、彼女も独自に参戦するつもりだった。

    番外個体に貰ったデータチップには、『水源地水位監視センター』に関する様々な情報が詰まっていた。
    彼女が今必要な情報は、すべて彼女の手の中にある。

    問題があるとすれば、美琴がこれから行おうとしている行為を白井に知られやしないかどうか。
    美琴は風紀委員でも警備員でも、学園都市軍の軍人でもない。
    非合法な研究を行っているとはいえ施設を襲撃することは、立派なテロ行為とみなされかねない。

    対して白井は風紀委員の1人だ。夏休み、「もし美琴が学園都市の治安を乱すような行為をしたらどうするか」という問いに、
    白井「たとえそれが美琴であっても、学園都市の平和を脅かすなら捕まえる」と答えた。

    それはとても立派な志だと思う。けれど、今の美琴にとってそれは目的達成を妨げる枷にしかならない。
    大事な後輩を実力で黙らせ排除する、なんてことはしたくない。可能ならば、全て白井が寝ているうちに終わらせてしまいたい。

    身じろぎもせず、ただ布団の中で目を開けて待つこと数十分。
    白井のベッドのほうから、安らかな寝息が聞こえてきた。

    654 = 1 :


    「……寝ちゃったかな?」

     それを確認して、美琴はそっと体を起こし、ベッドの下からあらかじめ用意しておいた荷物を取り出す。
    突発的に事態へと放り込まれ、何の用意もなく戦いを強いられた夏休みと違い、『第三次製造計画』について聞いた時からひそかに準備をしておいたものだ。
    音を立てぬように私服へと着替え、荷物を積み込んだショルダーバッグを背負うと、白井のベッドの脇へと立った。

    「……ごめんね、黒子」

     なぜ自分を頼ってくれないのか、と憤ってくれた。
    美琴や妹達の力になりたいのだ、と申し出てもくれた。
    めったに得られない、大事な大事な後輩だ。

    でも、連れて行けない。だからこそ、連れて行けない。
    妹達と同じように、彼女もまた守りたい人間だから。

    誰も傷つかずに、『第三次製造計画』が止まるとは思わない。
    誰かが傷つかなければならないのならば、それは自分が背負う。
    誰かを傷つけねなければならないのならば、それもまた、自分が背負う。
    不退転の覚悟を持って、彼女は戦場へと発つ。

    「さっさと終わらせて、帰って来るから」

     そっと白井の髪を撫でて、美琴は静かに部屋を後にした。
    扉が閉まった後、白井が片目を開けたことにも気付かずに。

    655 = 1 :


     深夜の学園都市では、学区によっては公共の交通機関はおろかタクシー1つ走っていないところもある。
    もっとも、寮を抜け出してきた中学生の身でタクシーを使えば、行き先は寮か警備員の詰所しかないのだが。

    ロシアで上条の生還を確かめ共に学園都市に帰還した後、美琴は無我夢中で行ったことがいくつかある。
    その1つが、能力開発だ。
    もしあの空中要塞でのわずかな邂逅で上条を救いだせていたならば、彼は記憶を失うことはなかっただろう。
    ひょっとしたら死んでいてもおかしくなかった要塞落下に巻き込ませることも、極寒の海に落とすこともなかった。

    自らの無力さや、「あの時こうしていたら」という後悔を感じることは無意味ではない。
    それを教訓に「ならば次に同じ事態に陥った時、どう行動するべきか」ということこそが重要なのだ。
    御坂美琴は極光の海での悲劇から、「徹底的な自己の鍛錬」を選んだ。
    その結果が先の身体検査で数値として現れた。そして今、その恩恵が十分に発揮されている。

    自らの体に磁気を纏わせ、発生させた磁界の中をまるで自身を弾丸としたレールガンのように直線的に飛んで行く。
    リニアモーターカーや電磁式カタパルトと同じような理屈だ。
    弾丸が自分である以上、ある程度以上の速度は出せないが、それでも走るよりは時間も体力も節約できる。

    欠点はその構造上直線的な動きしかできないことであるが、それは磁力線の糸と付近のビルを用いて方向転換をし、新たなレールを生成することでクリアした。
    常に電力を供給し続ける都合上誰かと共に移動できないのも難点であるが、それでもこれは大きな成果だ。
    そして、彼女が会得した新たな能力の使い方はこれだけではない。

    一夜あれば、人は生まれ変わることができる。
    2か月近くを一心不乱に努力し続ければ、人は進化できる。
    超能力者として更に1つ上のステージへと上がりつつある美琴は、夜の街を疾走する。

    656 = 1 :


     美琴の寮がある第七学区と目標の第二十一学区の間には、学園都市最大の繁華街である第十五学区がある。
    身を切るような寒さの中、眼下に広がる街並みには色とりどりにネオンサインが輝いていた。

    時節柄、この時間になっても繁華街はにぎわっている。
    休日出勤の憂さ晴らしや忘年会、中には「イヴイヴ」なるものに興じているのだろう。
    頭上を飛び回る美琴には誰も気づかぬまま、友人や同僚、恋人らと楽しそうに笑いながら行き交っている。

    そこにいるのは、普通で当たり前の人々だ。その「普通」を妹たちが享受できるのはいつになるだろう。
    もちろん友人と遊び歩き、同僚と酒を呑み交わし、恋人と愛を囁き合う。そんな「普通」は得るものではあって、与えられるものではない。
    美琴とてそこまで傲慢ではない。彼女に出来るのは、妹たちがその「普通」を得る自由を獲得できる、そんな環境作りだけ。


     やがて第二十一学区へと入ると、風景は一変する。
    水源地でありダムが多いという土地柄かビルは少なく、学園都市には珍しく山がちな地形が続いているのが見える。

    もう敵の本拠地まですぐそこだ。あまり目立つ行動はしたくない。
    ここからは歩いて行くことに決め、地図を呼びだすべくPDAを取りだしたその時。



         「…………お姉様」




     焦りと、心配と、呆れと、そして何より怒りが入り混じった声がした。
    振り返るとそこには、息を切らせた白井黒子が立っていた。

    657 = 1 :

    書いている時も「短いかな……」と思ったけれど、実際に投下してみるとさらに短く感じる
    あると思います

    今日はここまでです
    次回は新刊までに書けるかなー書けなさそうだなー書けないと思いますorz


    誰かお尻を蹴り飛ばしてください

    659 :

    乙!
    待ってましたよ!

    いよいよ決戦ですな
    楽しみにしておりますです!

    660 :

    お疲れさまです。
    黒子も参戦のようで続きを楽しみにしています。

    661 :

    >>657
    アックア「私に任せるのである。さあ、ケツを差し出せ」

    664 :

    うおおおおっ、来てた! 乙!

    わくわくするぜー
    次回も楽しみ!

    665 :

    乙!!
    残念だが>>1よ、アックアさんに蹴られるのは俺が先だから安心して続きを書いてくれww

    666 :

    一瞬桃白白で飛んでいく御坂を思い浮かべたのは自分だけでいい

    668 :

    削板「すごいパーンチ」

    669 :

    いまとなっちゃ学園都市最強は美琴さんですかね

    670 :

    一方:(このスレでは)美琴の能力で演算停止可能
    垣根:機械に突っ込まれてなんだかいろいろされてるっぽい、恐らく意識不明で自発行動不可

    単純な能力のぶつけ合いだけなら、ミコっちゃん最強伝説かね

    671 :

    黒翼白翼あるからなんだかんだで一方さんのが強いだろうけどそもそも敵対しないしな
    相手が魔術無関係で科学の範疇であればどちらにせよ早々敵はいないんだろうけど、
    相手側は一方さんも美琴さんもいっぺんに敵に回すこと想定してるからなぁ・・・

    672 :

    妹達が人質にとられて一方さんと敵対する展開を妄想したww

    673 :

    待ってた!
    >>1 超乙!

    何だろう、週刊誌を待ってる気分

    674 :

    水翼も自在に出せるようになってて欲しいなぁ…

    675 :

    チート過ぎても萎えるけどな
    美琴はやっぱ工夫で輝いて欲しい

    676 :

    超喜んじまった……

    678 :

    物語として面白いけど演算能力とかってそんな簡単にあがるもんなの?ってちょっとあれかな
    批判じゃなくて疑問な感じ気を悪くした人がいるならごめんなさい

    679 :

    恋する乙女パワーと解釈しておけ

    680 :

    電力の有効活用ができるようになったんだろう

    681 :

    自家発電ですねわかりますん

    682 :

    なんか体力消耗は激しそうだけどね

    684 :

    >>683 
    ガッ

    685 :

    そろそろ上条さんの回復に進展がみられる頃のはず…

    686 :

    3巻の美琴と一方通行の再会あまりに酷すぎないか…

    687 :

    あと6時間待て早漏
    ageでネタバレとか……

    688 :

    土曜日だし! 新刊出たし! このタイミングだよなって思うよ、普通

    超喜んじまったじゃねーですか

    689 = 687 :

    いちおう今まで>>1は日付変更~夜明け以外のタイミングで投下したことはないはず

    690 :

    ここが俺の新刊だ

    691 :

    >>686
    わかる
    pspをガチで再現するなんて
    なんということでしょう

    692 :

    PSPのクズ具合に比べればまだマシやん
    イラっとはするけど

    693 :

    ココの一方通行と美琴の話が真の新約3巻である

    694 :

    オレもだ
    このSSが新約3巻だな
    まさかあの黒歴史PSP禁書を採用するなんて

    695 = 691 :

    >>694
    このSSが新約3巻だな ×
    このSSが新約禁書だな○

    696 :


    オレは、新約と付かない禁書の23巻だと思ってる。

    697 :

    追いついた!
    新約よりもこっちの方がおもろい

    698 :

    お前らの気持ちはすごーーーーーくよく分かるし、全くもって同意だがその話題は程々にしような
    そのせいで>>1が更新しづらくなってたらどうするんだ

    699 :

    このSSこそが本当の禁書、みたいな発言はネタでも程々にしとけよ
    ひょっとしたらそれ聞いて不快になる奴もいるかもしれんし

    700 :

    まあそろそろお前ら黙って^^;

    sageない奴は黙る所か出て行け


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