元スレキャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×6
202 :
お勧めスレで名前見かけて珍しいからと除いてみたらどんだけ可愛いんだこの第二王女は
>>1には飽きずに書ききって欲しい乙
203 :
そういや、飽きたらhtml行きなんだよな…
204 :
>>202
「除いてみたら」それはらめーー!
205 :
ローラ>キャリーサ>オルソラ
206 :
今日はこないんだっけ。
208 :
携帯で見てたらAmazonにガンパレ出てきてこのキャーリサに柴村がちょっとダブった。
可愛いの納得
209 :
おいおい俺得スレじゃないか
211 :
今日もなしか
212 :
お待たせしました。
今から投下します。
さほど書く速度が速く無いので、毎日来るのはなかなか難しいかもしれません。
が、モチベーションが下がるまでに完結させたいので頑張ります。
さほど長い物語にはならないかと。
213 = 212 :
―――学園都市 とある高校 教室
ワイワイワイ… ガヤガヤガヤ…
上条「ふぁ~あ……やっと3限が終わった」
吹寄「上条当麻! 貴様まだお昼にもなってないのに無闇にだらけるな!」
上条「だって仕方ねぇだろ、朝から色々と……」
吹寄「?」
上条「な、なんでもない」
吹寄「もう少しシャキっとしなさいシャキっと! ったく」 ズカズカズカ…
土御門「よーうカミやん。お疲れみたいだな。 また何か不幸にでも見舞われたのかにゃー?」
上条「ああ、家でも学校でも似たような奴がいて心休まらねぇよ」
姫神「?」
土御門「なんだ、いたのか姫神」
姫神「ずっといた」
214 = 212 :
青髪「まさかカミやーんまた可愛い女の子と知り合いになって、寝かせてもらわれへんかった、なんて
言うんちゃうやろな?
ええ加減にせんと、ボク本気でカミやんぶっ飛ばさなあかんくなるで?」
上条「女の子ねぇ……」
土御門「同感だにゃー。カミやん、今度は誰と知り合っちまったんだ? ああん?」
上条「お前ら笑顔で殺気放つな。代われるもんなら代わって欲しいもんですよまったく」
青髪「聞いたか?」
土御門「聞いたぜい」
青髪「どうやらほんまに一回地獄にたたっこまなあかんみたいやね」 ゴゴゴゴゴ
土御門「カミやん、覚悟はいいかにゃー?」 ゴゴゴゴゴ
上条「あー、また今度な。上条さん今はそんな元気ないんですよー」
青髪「?」
土御門「何かほんとにお疲れみたいだぜい」
姫神「何かあったの?」
215 = 212 :
キーンコーン カーンコーン…
姫神「あ。授業始まるから席戻るね」
土御門「次は小萌センセーの授業だぜい」
青髪「ボクはもちろん今日も宿題あえてやってへんでー」
上条「鬼かお前」
ガララ…
吹寄「……?」
上条「……え」
216 = 212 :
―――学園都市 とある高校
スタスタスタ…
小萌「じゅっぎょーう♪ 生徒さんとたっのしっいじゅ・ぎょ・う♪」
小萌「前の授業の片付けが長引いて遅れてしまいましたのです」
小萌「まぁでも、シスターちゃんもすっかり結標ちゃんと仲良くなって、先生は安心してお仕事に行けるので安心なのです。
あとは上条ちゃんと仲直りするだけですねー」
小萌「あら? 随分教室の方が静かなのです。いつもなら廊下まで大騒ぎが聞こえてきているのに」
小萌「あ、さては先生のこと心配してくれているのですねー! もう、生徒さんはいつまで経っても先生離れの出来ない可愛い生徒さんなのですーうふふふふ」
ガララ…
小萌「みなさーん、遅れてごめんなさいなのですー! 楽しい授業のじか……」
キャーリサ「良いか? 何故遅刻が駄目なのか分かるの? 答えよとーま!」
小萌「んですよー……?」
217 = 212 :
上条「わ、わかりません……」
キャーリサ「馬鹿者め。軍隊とはタイミングが命なの。バラバラと遅れて入ってきても連携がとれない。
各個撃破される」
小萌「え? え?」
キャーリサ「百人が一斉にお前一人に襲いかかってきたら、お前は負けるの。
だがその百人がそれぞれ一人、五分ずつ遅れてくればお前一人でも結構やれるし。
それは一対百じゃない。一対一が百回だ」
上条「は、はあ……」
土御門「お、おいカミやん……あれキャーリサだよな? イギリス王女の。何やってるにゃー……?」
上条「知らねぇよ……」
キャーリサ「つまりそーいうことだ。理屈も無く遅刻をするなと言っているのではないの。
お前と、お前の仲間達の命に係わる問題だし。
それからとーま、土御門。私が話しているの、私語は慎め」
土御門「はい! スミマセーン!」
青髪「はぁう……ボクも怒られたいなぁ」
上条「何なんだ一体……」
218 = 212 :
小萌「あ、あのー……」
キャーリサ「お前達。今ここは軍隊ではないと考えた者がいただろー?
それは大きな間違いだ、会社、学校、あらゆる集団において同じことが言える。
いーか? 足並みを揃えてこらえるべきところに遅れて来るものがいたらどうなるの?
答えは明白。士気が落ちる。士気が落ちれば、お前達を待っているものは敗北だし」
小萌「ちょ、ちょっと……!」
キャーリサ「よし、では次は我がイギリスがかの忌々しいナポレオン軍を破ったワーテルローの戦いについてだ。
ノートは取らなくて良い。覚えるの。戦場ではノートを開いている暇など」
小萌「あの!!」
キャーリサ「ん? おいとーま、何なのこの子供は? 迷子が入りこんでるぞ?」
青髪「ぶふぉっ!」
姫神「……プッ」
小萌「こ、子供ではないのです! 先生なのです!」
キャーリサ「そーかそーか。よしよし。だがここは子供の遊び場では無いし。
おい委員長、この子をどこかで保護してやるといいの」
吹寄「私別に委員長では……というか本当に先生なんですけど……」
キャーリサ「あ、そーなの? こんなに小さいのに……」
小萌「小さいからって先生は先生なのです! もう! 何なのですかあなたは!」
219 = 212 :
キャーリサ「私はイギリス第二王じ」
上条「どぅぁああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
小萌「ひゃぁっ!? な、どうしたのですか上条ちゃん!」
上条「先生! そいつ昨日言ったうちの居候のキャサリンです! 語学留学中で日本の学校にとっても興味があるみたいで連れてきちゃいましたごめんなさい!」
キャーリサ「キャサリン? 語学留学? おい、何の話を」
土御門「おおおおおおおおお!!! そうだったんかカミやぁぁあああんん!!! 道理でカミやんだけフランクな呼ばれ方してると思ったぜぇええええい!!!!!」
上条「わ、悪い土御門……」 ヒソヒソ
土御門「いやもう事情は聴かずとも分かったにゃー……。アレは表沙汰にしちゃいかんだろ色々と……」 ヒソヒソ
小萌「留学生ちゃんでしたか。もう上条ちゃん、前もって言ってくれないと困るのです」
上条「申し訳ないです」
小萌「キャサリンちゃん、先生の授業でよろしければ、見学していっても構わないのですよ?」
キャーリサ「感謝するの。でも興味ないし。他にも見たいところがあるからな」
小萌「え」
220 = 212 :
キャーリサ「とーま、昼食は一緒に摂るぞ。校内を散歩しているから終わったら探すがいーの」
青髪「何でや……何でカミやんばっかり……」
姫神「あの行動力……。私もあれくらいしないと駄目なの……?」
土御門「全然関係ないとこで二名程凹ませて帰ったぜい……」
キャーリサ「失礼したの。それではお前達、ごきげんよう」
ピシャッ!
小萌「な……何なのですかあの人は……颯爽と言いたい放題やりたい放題で帰ってしまったのです……」
土御門「カミやん、後で詳しく教えてくれ……」
上条「あ、ああ……」
221 = 212 :
―――学園都市 とある高校 屋上
キャーリサ「おー、とーま。授業は終わったよーだな」
上条「よーだな、じゃねぇよ! 何しに来たんだお前は!」
キャーリサ「そっちのは土御門か。久方ぶりだし。そーいやお前とーまと同じ学校だとか言ってたな」
土御門「だにゃー。くくっ、お二人さん随分仲良くなったみたいだにゃー」
キャーリサ「うん。聴いて驚け、なんと恋人になったんだ!」 グッ
上条「わっ!」
土御門「へー、いいにゃー。こいび……なんだって?」
キャーリサ「恋人だ。昨日こいつ、私の生涯の伴侶になることを誓ったんだし」
土御門「なん……だと……?」
上条「ち、違うぞ土御門。これはな、フリだ。キャーリサが誰とも付き合ったことが無いって言うから仕方なくだな。
それに伴侶じゃなくて下僕なんじゃないのか……?」
キャーリサ「その割には私の下着に興味を抱いたり、私の頭を撫でたり、あまつさえ朝まで隣で寝たではないの」
上条「こうやって既成事実ってのは作られるのか……」
222 = 212 :
土御門「……」
上条「だいたい、それは成り行き上そうなっちまっただけだろ! 下着はお前が勝手に放置したんじゃねぇか!」
キャーリサ「ふふーん、隠さなくてもいいし。お前は初めて会った時から私の胸ばっか見てたし。
構わん構わん。見るだけなら好きなだけ見ていろ」
土御門「……」
上条「お前はどうしてそう極端なんだ! しかも変に前向きだし!」
土御門「……おいカミやん?」
上条「あん? 何だよ土み」
ドゴッ!!
上条「ぐほっ!!」
土御門「お前なんか知らん! 勝手に皇太子にでも王子様にでもなっちまえばいいにゃー!
ばーかばーか! 悔しくなんかないぜい! 学校中にカミやんが中学生と淫行してたって言いふらしてやるからにゃー!!」 ダッ!!
上条「身に覚えのない嘘バラまくなー!!」
キャーリサ「仲が良さそーだな」
上条「どこをどう見たらそう見えんだよ」
223 = 212 :
キャーリサ「友人は大事にせよ。それより、先程購買で菓子パンを買ってみたんだ。
こーいうのあまり食べたことないからな、つい買い過ぎてしまった。
一緒に食べてくれ」 ドサッ
上条「買い過ぎだろ……10個以上あるぞ……。仕方ない、余った分は明日の朝飯だ」
キャーリサ「どれにしよーかな……あんぱんってあんこが入ってるのか?」
上条「そりゃあんぱんだからな。食ったことないのか?」
キャーリサ「無い。このやきそばパンというのは何だ。グロいな」
上条「あ、それ美味いぞ。購買の中でもオススメだ」
キャーリサ「そーなのか。ではこれにするの」
上条「んーと、じゃあ俺はよもぎあんぱんとカツサンドもらい」
キャーリサ「おー! それもいーな!?」
上条「お前自分で買ったんじゃねぇのか……」
キャーリサ「適当に見繕っただけだからな、後でお前に教えてもらおーと思ってたんだ」
上条「んじゃ何個か開けて半分ずつ食うか?」
キャーリサ「そーしよう。色々と楽しみたい」
上条「はいよ。どっか座ろうぜ、食堂行くか?」
キャーリサ「いや、ここでいい」
上条「そうか? まあ王女様は高いところが似合うしな」
キャーリサ「そーではない」
上条「?」
キャーリサ「ここならお前と二人きりだろー?」
224 = 212 :
―――学園都市 街中
キャーリサ「~♪」
キャーリサはすこぶる上機嫌で鼻歌混じりに街を歩いていた。
時刻は間もなく夕刻に差し掛かろうという頃。
上条が補習があると言うので、昼食後彼女は適当に校内を見物した後悠々と学校を後にした。
今のキャーリサは自由だった。
もともと生真面目ながらも母から受け継いだ奔放さを併せ持つ王女だ。
護衛も自らを知るものもいない街中を歩くのはとても気分が良いことだった。
キャーリサ(あいつはからかうと面白いな。昼食の時など耳まで真っ赤にしていたし)
居候先の少年の顔を思い出す。
キャーリサの周辺には今までいないタイプの人間だった。
そもそも立場が違うので当然と言えば当然であるのだが、何にせよ彼の存在はキャーリサの興味を強く引いた。
キャーリサ(さて……そろそろあいつの学校も終わる時刻だな。
ふふっ、では校門まで迎えに行ってやるとするの。
奴め、感動でむせび泣くかもしれないし。健気だな私は)
校門前で待ち構え、上条が出て来た時彼がほろりと涙を零して崩れ落ちて足元に縋り付く場面を想像し、
キャーリサは満足げに笑みを浮かべる。
キャーリサの懐の広さに深く感嘆し、やがて上条は心からの敬意を向けてくるのに違いない。
うんうんと頷きながら、彼女が午前中と同じ通学路を歩いていると、ふと横道に逸れる路地が目についた。
225 = 212 :
キャーリサ(……っと、ここの路地に入れば近道か?
少々薄暗いが、まあ向こう側も見えているし問題ないの。
待っていろとーま。私が傾国の微笑で出迎えてやるし)
彼の照れる姿が早く見たいキャーリサは、何の躊躇いも無く薄暗い路地裏へと足を踏み入れた。
表通りからわずかに漏れる夕焼けの光が、高いビルの間の狭い道を物悲しく照らしている。
その中を、上質な生地と素晴らしい縫製で仕立てられた真紅のコートを纏ったキャーリサが高いヒールを打ち鳴らして悠々と歩いていく。
スキルアウトA「ひゅぅっ、お姉さん、こんなところで何してるの?」
その時、キャーリサの目の前に三人の男達が立った。
外からでは分からなかったが、廃ビルの裏口が路地の途中にあり、そこにガラの悪そうな連中が溜まっていたのだ。
スキルアウトB「ここを通るには通行料がいるんだけど、払ってもらえる?」
足を止めたキャーリサに、大柄な男がそう告げる。
ニタニタと野卑な笑みを口元に浮かべ、向こう側に行けぬよう大きな身体で通路を塞いでいた。
キャーリサ「通行料? 関所があるなど聞いていないし。断る、そこを退け」
当然進路を塞ぐ邪魔者など許せないキャーリサは、自分よりも頭一つ分も大きな男の目を射殺すようにねめつけて透き通るような声で言い放った。
笑みを浮かべていた男の口元が歪み、眉間に皺が寄る。
スキルアウトC「おいおい、退け、だってよー」
別の男が茶化すように周りの二人に向けてそう言い、キャーリサを笑い飛ばした。
キャーリサの眉が一瞬ピクリと動いたことに、男達は気が付かない。
226 = 212 :
スキルアウトA「大人しくお金払っときゃぁ見逃してやったのに、馬鹿だねぇ」
スキルアウトB「高そうな服着ちゃってさ、どこのお嬢様」
スキルアウトC「ぎゃはははっ、お嬢様って言うのはちょっと年食ってるけどな」
スキルアウトA「いやいやぁそりゃテメェがJKしか興味ねぇからだろ?
全然いけるって」
スキルアウトB「そうだな。外人さんだけど、悪く思うなよー?
ちょろっと俺達と遊んでくれりゃいいからさー、こっちこいよー」
好き放題に言わせておけばいいとキャーリサは冷めた視線で彼らの会話を聞いていたが、とうとう男のうちの一人が彼女の腕を掴んだ。
ゾワリと全身を逆流していく嫌悪感。嗚咽でも漏らしそうな程不愉快に思い、キャーリサは己の中で沸々と怒りが湧いてくるのを感じていた。
キャーリサ「! 離せ!」
一刻たりとも触れられていたくなかった。
勢いよく掴んだ手を振りほどき、その勢いで男の鼻ッ面にキャーリサの裏拳がさく裂した。
スキルアウトB「いてっ!」
のけぞり、男の鼻からだらりと血が零れる。
キャーリサはその手の甲に付着した男の血液を、ポケットから取り出したシルクのハンカチで乱雑に拭い去る。
スキルアウトC「ああっ!? ンだテメェっ! 抵抗すんじゃねぇぞババァッ!」
227 = 212 :
キャーリサの態度が気に障った男達が殺気立つ。
だがそんなものは、かのクーデターを起こした張本人たる彼女にとっては些末事でしかない。
他人の羨望も悪意も、あらゆる感情を向けられる王女である彼女、ましてや争乱の中心であった彼女にとって裏路地のチンピラがいくら凄んだところで効果などあるはずもなかったのだ。
キャーリサ「バッ……!? ……ふーん、死にたいようだし」
それどころか、男達の言葉はキャーリサの憤怒を煽っていく。
キャーリサの手がコートのポケットに突っ込まれた。
体中数か所に隠し持っている護身用の『剣』。
カーテナ=セカンドの残骸がそこにある。
本来なら人知を超えた力を有するはずのそれも、今はガラクタ同然の霊装。
しかし、男3人を人たちの元に斬り捨てるには十分に過ぎる。
スキルアウトA「やめとけって。悪いね、でも大人しくしといたほうが身の為だよ?
綺麗な顔と体に傷つけられたくないでしょ?」
スキルアウトB「へへっ、身体の方は今から使わせてもらうけどなー」
スキルアウトC「写真とビデオばらまいてやるから覚悟しとけよゴラァッ!」
首筋に死神の鎌がかかっていることなど露とも知らない男達は、口々にキャーリサを威圧するように罵声を浴びせていく。
キャーリサは罵詈雑言にも聞き飽きて、溜息をついてポケットの中でカーテナの破片を握りしめた。
キャーリサ「下賤過ぎて言葉も無いの。もーいい、論外だ、極刑だし」
キャーリサの口元が麗しく、そして残酷に歪む。
2度と他人に襲いかかれぬようにしてやろう。
そしてキャーリサは、断罪の刃を握りしめた手をポケットからそっと出した。
その時。
??「待てお前ら!!」
228 = 212 :
キャーリサの背後から、声が聞こえた。
ドキリと高鳴る鼓動。
何故己の心臓がそのような反応を示したのか、キャーリサにはその時明確な答えを出すことが出来なかった。
スキルアウトA「あー?」
スキルアウトB「ンだテメェ……? 何か文句でもあるんですかぁ?」
カツカツとコンクリートを踏みしめて歩いてくる声の主。
彼はやがてキャーリサの隣に立ち、ほんの一瞬こちらに視線を向けた。
キャーリサ「……とーまか」
上条当麻。
キャーリサの居候先の家主であり、恋人遊びに興じる相手。
学ラン姿の彼は、持っていたカバンをキャーリサに押し付けると、彼女を庇うようにして前に立った。
上条「キャーリサに手ぇ出してんじゃねぇぞ。殺されてぇのか!」
彼の背中からそんな言葉が聞こえてきた。
キャーリサは驚きに目を見開く。
同時に、やけにもやもやとした感情が胸に渦を巻いた。
スキルアウトC「あァッ!? 誰が誰を殺すってぇ!?」
キャーリサ(いや、さすがに殺さなくてもいいし。
それは私の役目と言うか、せいぜい男性機能を破壊する程度に留めておいてやろーと思っていたが。
……そーか、お前そこまで私のことをな……)
229 = 212 :
少しだけ顔が熱くなる。
そこまで言ってのけるほど、彼は自分のことを守りたいと思ってくれているのだ。
キャーリサはそのように解釈した。
悪くない。
愛すべき主君を守るために命を賭す勇敢な騎士。
実にキャーリサ好みの展開であり、台詞だった。
上条「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ馬鹿!」
激昂する上条。
キャーリサはドキドキが収まらない。
正直そこまで強く想われているとは思わなかった。
恋人を演じているとは言え、所詮彼は一回りも年の離れた少年だ。
本気になどなれないし、向こうがその気にならないだろうと彼女は思っていた。
しかし、彼のそうした言動はキャーリサにとって予想外だった。
故に、虚を突かれた彼女は心の脆い部分をもろに突かれたような衝撃を受けることになった。
キャーリサ(うん……よく分かったぞお前の気持ち。そーとまで想われるのは、嬉しいものだし。
……とーま、お前がそーだと言うなら……私も……)
キャーリサと男達の間に立ちふさがる上条の背中に視線を送り、桜色の唇を噛みしめる。
もっと彼の言葉を聞きたいと思ってしまった。
忠を尽くそうとする誠実な言葉を。義侠に溢れた勇敢な言葉を。
そして、愛情がそこに在ってもいい。
キャーリサにとって、今彼のとった行動と言葉はそれだけの価値があった。
やがて開かれる上条の口。
そこから放たれる言葉を聞き逃さぬよう、キャーリサはギュッと瞳を閉じた。
上条「お前等がキャーリサにぶっ殺されるに決まってんじゃねぇか!!」
230 = 212 :
戸惑いは確かにあった。しかし、彼が求めるなら応えてやるのも主君の務めかとも考えた。
なのに。
従僕たる男の口から飛び出てきたのは、あまりに信じがたい言葉だった。
キャーリサ「……は?」
ポカンと口を開け放ってキャーリサが思わず問いかける。
今何と言ったのだ?
男達ではなく、むしろ彼女の方が上条の言葉に耳を疑った。
上条「よく見てみろ! お前達3人を目の前にしたってまるで動じてねぇんだぞ!
どう考えたって何かあるだろうが!! ここは能力者の街学園都市なんだ!
見た目だけで相手を判断することがどんなに危険なことか、お前達にだって分かるはずだ!
こいつがとんでもねぇ能力者だったりしたらお前等どうするんだよ! マジで死ぬぞ!!
っていうかほとんど当たってる! こいつは空間切り裂いたり空割っちまうような学園都市で
も規格外のおっそろしい能力を持ってるんだ、死にたくねぇなら今すぐ逃げろ!!」
キャーリサ「…………」
わなわなと拳を震わせるキャーリサ。
少年らしい少し無鉄砲で熱い言動に、年甲斐もなく少し、いや大分ときめいてしまった自分の乙女心を返して欲しい。
未だ熱が上手く収まらないキャーリサは奥歯をギリリと噛みしめ、やがてそんな己を鼻で笑い飛ばした。
スキルアウトC「あぁ? マ、マジで言ってんのかぁ?」
スキルアウトB「ど、どうするよ……」
スキルアウトA「本当かどうかは分からねぇが、本当だったらヤベェな……」
231 = 212 :
腹立たしいことに彼の説得に心を折られかけている根性のないチンピラ共などもはや眼中に無く。
キャーリサは張り付けたような笑みのまま猫なで声で上条に甘えるように声をかけた。
キャーリサ「おいとーま」
スキルアウト達「「「っっ!」」」
一歩前へ出たキャーリサに男達が後ずさる。
キャーリサの目があまりに笑っていないことを恐れてのことだが、もちろん彼女本人はそんなこと知る由も無く、
むしろ上条の言葉を本気しているように思えて怒りに拍車がかかった。
上条「どうしたキャーリサ。お前は早く逃げろ。もう大丈夫だからな」
安心させるように力強くそう声をかけてくる上条。
少しだけ揺らいでしまった。
しかし、忘れかけの乙女心を踏み躙られた怒りがまだ今は勝る。
キャーリサ「…………出迎えごくろー」
上条「えっ!? うぉっ!」
ポツリと呟き、キャーリサは上条の背中を思い切り蹴飛ばした。
スキルアウトC「いてっ!」
勢いよく吹っ飛んでいった上条のヒジが男の顎に突き刺さる。
グラリと揺らめいた男は何とか周りに支えられ、体勢を立て直す。
232 = 212 :
スキルアウトB「ババァッ! 何しやがん」
キャーリサ「殿(しんがり)の大役、見事こなしてみせよ」
怒りを露わにした男になど目もくれず、キャーリサは踵を返して一目散に表通りへ飛び出して行った。
上条「……えええええええええええええ!!!!!!!!!!??????????」
その背中に驚きの声をあげる上条。
スキルアウトC「テメェコラ! 初めから油断させようってハラか!?」
スキルアウトB「ふざけんじゃねぇぞ!! やっちまおうぜ!!」
スキルアウトA「許せねえ! とんでもねぇ女だ!! だがまずはテメェからだ!!」
上条「ふ、不幸だぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!」
激昂する男達の声と、嘆く従僕の声を遠くで聴きながら、キャーリサは満足げに笑みを浮かべて「ふん」と息を吐いた。
233 = 212 :
―――学園都市 街中
上条「はぁ……はぁ……ひ、酷い目にあったぞ……」
キャーリサ「よくぞ私の元まで戻ってこれたの。結構やるなお前」
上条「慣れてますから……じゃなくて! せっかく助けに来てやったのに蹴っ飛ばして放って行くって何だよ!
せめて大人しく逃げてくれればよかったのに……」
キャーリサ「ふん、お前が悪いし」
上条「? なんで?」
キャーリサ「……期待した私が馬鹿みたいじゃないか」
上条「期待って、何を?」
キャーリサ「それは……」
上条「それは?」
キャーリサ「……知りたいの?」
上条「え?……あ、ああ」
キャーリサ「こーいうことだし……」
上条「え……っ――――!?」
234 = 212 :
キャーリサ「んっ……」
上条「っっっ!!????」
キャーリサ「…………ど、どうだ……?」
上条「」
キャーリサ「そ、そう照れるな。ふふっ、私を見事守り抜いた報酬だし。心して受け取れ……」
上条「」
キャーリサ「お、おい! 固まってないで何とか言ったらどーなの……?
何か言ってくれないと……私も恥ずかしーの……」
上条「ハッ……! い、今のは何だ!? 幻想か!?
上条さんの唇にとっても柔らかくて温かい感触があったような無かったような!?」
キャーリサ「お、思い出さなくていーし!」
上条「な……なんでこんなことを……」
キャーリサ「私がお前の恋人で……年上だから……」
上条「年上……」
キャーリサ「……い、嫌だったか?」
上条「び、びっくりしました」
キャーリサ「……質問に応えて欲しーの。
私だってこれでも……初めてだし」
235 = 212 :
上条「えぇっ!? 向こうじゃ挨拶みたいなもんじゃねぇのか?」
キャーリサ「例えそうだったとしても……今のは違うし……」
上条「…………い、嫌じゃないです」
キャーリサ「……そ、そーか。ならいいんだ……」
上条「あ、ああ……」
ザワザワザワザワ… ヒソヒソヒソ…
キャーリサ「あー……へ、変な雰囲気になってしまったな。衆目を集めてしまったよーだし……。
うん、晩餐の為の買い物をして帰るとしよー。
さ、さっきコンビニに生まれて初めて入ったんだ! あそこは便利だな……!」
上条「お、おう! そうだろ!? いやー便利な世の中だよなー!」
キャーリサ「むー……無理してる感が拭いきれん……帰るか」
上条「……だな……」
キャーリサ「…………」
上条「…………」
キャーリサ「…………」
上条「……な、なあキャーリサ……」
キャーリサ「……? どーしたの?」
236 = 212 :
上条「……」 ギュッ
キャーリサ「……!」
上条「手、握ってもいいでしょーか……?」
キャーリサ「……訊くな馬鹿者。それに……もう握ってるではないの……」
上条「ご、ごめん」
キャーリサ「構わんし……王女の口付けに調子づいたの?
…………今は図に乗ることを許可する」
上条「……」
キャーリサ「……」
キャーリサ(これは……どーいうことなの……?
私があんな真似をしたから、こいつが若さに任せて……や、やるじゃないの)
上条「きょ、今日の晩御飯は何にしよう?」
キャーリサ「お、お前の作るものなら何でも構わないの」
上条「そっか、んじゃ昨日は肉だったし今日は魚かな」
キャーリサ「そーしよー。楽しみだし……」
238 = 212 :
キャーリサ(……こうしていると、本当の恋人になったよーな気分だし。今更何を意識しているの私は……?)
上条「鯖にするか鮭にするか、うーん……」
キャーリサ(……何なのこの気持ちは。本気になんてなるわけがないし……)
キャーリサ「とーま」
上条「ん?」
キャーリサ(……私があと10も若ければ、何かを躊躇う必要もなかったの?)
キャーリサ「何でも無い」
上条「?」
キャーリサ(お前は随分と私の心の中に簡単に入り込んでくるし……。
まったく、憎らしいぞとーま……しかし)
キャーリサ「そら行くぞ。私は鯛の煮つけとかいうのが食べてみたいの」
上条「鯛……だと。そんなもんうちの食卓の選択肢に上がったことありませんよ」
キャーリサ(従僕のくせに生意気だし……まるで、私だけが意識しているみたいじゃない……)
239 = 212 :
今日はここまでだし。
次回は数日中に。
とある高校行くネタ拾ってみました。ネタくれた人ありがとうございます。
え? キャーリサが制服着てない?
はは、御冗談を。キャーリサはバ
240 = 211 :
>>239
投下乙
楽しみに待ってるぜ
241 :
>>239
おーい、ここに愉快なオブジェ置いたのはだれだ?
242 :
べたな生活ネタっていったらテレビドラマ見てたらセクロスはじまったりとかか?
243 :
乙!!
遅くまで起きててよかったwwwwww
244 :
いいわー
245 :
キャーリサ様だと……なんつー俺得スレを見逃していたし
246 :
朝一でキャーリサ様を拝めるとか至福…
247 :
うわああああああああああなんだこのもわもわかんはーー
キャーリサ様カーワーイーイー
うっひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
っふぅ・・・
>>1さんお疲れ様です
249 :
>>1乙
素晴らしいスレだここは
250 :
超乙!
>>239
危なぁぁい!伏せろっ!
みんなの評価 : ★★★×6
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