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    元スレキャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×6
    タグ : - とある + - とある魔術の禁書目録 + - まゆり + - イギリス + - キャーリサ + - 上条 + - 上条当麻 + - 科学者 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    901 :

    更新が分かるように作者だけageでそれ以外はsageの風習なだけだろ。
    不用意にageすると更新あったと思ってぬか喜びする人が現れるだけ。

    903 :

    専ブラの奴はタブ開きっぱなしにしておくもんじゃないの
    いちいち上がってるの確認して見に来るとかアホだろ

    904 = 900 :

    誰しもが専ブラを入れてるわけじゃないし
    専ブラを入れなきゃならないというわけじゃない
    さらに専ブラを入れてるからといって誰しもがタブ開きっぱにしてるわけじゃない
    そしてそれらをしてないからといって罵る必要もない

    専ブラ導入済みで快適にレス読めてて、さらにはsageれてるなら
    黙ってsageときゃいいんだよ
    荒れるようなレスすんな

    905 = 880 :

    >>904
    とりあえず少し力抜けよ

    906 :

    それはそうとこのスレがまさか2スレ目突入するなんて誰に想像できただろうか。
    唯一のキャーリサ様のSSがもうすぐ終わるんだと思うと悲しすぎる

    907 = 886 :

    飽きたらhtml化~とか言ってたから
    ここまで良スレになるとは思ってなかった

    908 :

    それにしても上条が連絡したい相手って誰だろ?
    今のところ候補は、ロリータ、ピアス、アヘ顔しかいないな。
    まあアヘ顔が参戦するとシスターや天草や御琴などが必要なくなるから違うと思うけど・・・・

    909 :

    アウレオルスだな
    それか信仰萌の人か金髪おっぱいさん

    910 :

    これ含めて無駄なレスは控えようか

    911 :

    ちょっと待て、、、アヘ顔とか言うなよ……。
    だけど、アヘ顔には連絡できるのか??

    912 :

    >>911
    言うなよとか言ってお前が言ってんじゃねーかw

    913 :

    アヘ顔アヘ顔って・・・
    挿絵のチョイスがアレだったのは確かだけどアヘ顔本来はなんかアレじゃないか!

    914 :

    天使のアヘ顏

    915 :

    外野の糞レスばかりで1スレに収まらないのが嫌になるね

    916 :

    >>915
    お前みたいなのがあげるから余計にな

    917 :

    皆さんこんばんは。スレも残り少ないですが投下します。
    投下終わったら新スレ立ててきますので

    919 = 917 :

    ―――英国 バッキンガム宮殿 外周部 11:30



    間もなく正午になろうかという時間帯、冬の訪れも間近に差し迫ることを教えてくれるかのような冷涼な風と、爽やかな明るい陽射しが本日のロンドンを包み込んでいた。
    ウェストミンスター区にて堂々と聳え立つ女王の執務室兼公邸バッキンガム宮殿。
    二つの隣接する公園と融合するように建てられた約一万坪の広大な敷地のほぼ全てが本日はピリピリと張りつめた空気に覆われている。
    普段なら衛兵の交代を見物しに来た観光客や地元の人間の姿が見受けられる公園一帯のそこかしこに騎士や衛兵の姿が見え隠れし、空には軍用らしきヘリが数台プロペラ音を響かせて飛行している。
    こと宮殿の周囲ともなれば普段からは想像もつかないほどの厳重な警備態勢が敷かれていた。
    そこに恐るべき価格の高級車で乗り付け集まってくる来賓達。
    仕立ての良いスーツやドレスを身に纏い、厳かな雰囲気を醸し出して宮殿へと歩む彼らは皆、本日予定されているキャーリサ第二王女の結婚式へと招かれた賓客たちだった。

    しかし、この中に国外から招待された者は実は意外と少ない。
    この結婚式の事実は大々的に公表されているものではなく、あくまで女王の私的なパーティが開かれるという名目での警備体制であるため、本日ここで行われる式典の詳細を知る者は、国内の一部の政治家達や権力者達だけであった。
    故に、ここにいる彼らはそのほとんどが国内の人間であり、魔術や科学に関する勢力争いのことなど知る由もない人物の割合が多い。
    だが、どこからでも情報と言うのは洩れるもので、或いは何者かが意図して漏らしたものであるのかもしれないが、ともかく街中でも王女の結婚に関する噂はまことしやかに囁かれている。

    そんな中、ごく一部の例外として招かれた国外からの招待客が一人。
    ゴーグルで押し上げた金色の髪で風を切り、深い色の実用的な分厚い生地のジャケットとパンツに身を包んだ長身の女。
    式典にしては少々カジュアルな格好ではあるものの、王室庁からではなく女王の側近である騎士団長直々に招かれた最賓客の一人であった。


    ??「……仰々しいことだ」


    威風堂々と胸を張り歩くその姿、周囲に視線を走らせるその挙措にはどこか品がある。
    それもそのはず。
    彼女は英国王室の近衛侍女であり、王権神授制のトップに仕える巫女としての役割を持つ女であった。
    本来ならば国内でもそれなりの地位を持っている彼女だが、今現在はボンヌドダームとしての腕を磨くために国外に出ており、また国から再三の帰国命令が出ているにも関わらず、とある事情によりそれを無視している。

    920 = 917 :


    ??「久しぶりにロンドンに来たなー。でも何て言うか、警備の人間の顔に余裕が無いな。
        王女の結婚式ってそんなに危険が付き纏うことか?」


    女の3歩程後ろから呑気な口調で、彼女が帰国しない「とある事情」の最たる部分を占める男がそう言う。
    水色のシャツにベージュ系のベストを羽織った金髪の男だった。
    優しげな面立ちで物珍しそうに周囲をキョロキョロと見やっているが、こちらもその格好はどう見ても英国王室の結婚式に出る様相ではない。


    ??「いやー、にしても俺なんかがこの宮殿に入っても大丈夫なんだろうか」

    ??「アンタにまできっちり招待状が届いていたってことは、大丈夫なんじゃないの?
        罠の可能性もあるけどね、分かっててもわざわざ来るんだから一緒だろうに」


    男はこれまたとある事情により魔術サイドそのものから追われる重要人物であったが、本人はその魔術サイドの一角の総本山を目と鼻の先に臨むこの場所で臆する様子を微塵も見せない。
    何故ならば、彼は魔術サイドから差し向けられる追手の全てを、今日まで撃退し続けてきた男だからである。


    ??「まあ、聖ジョージ大聖堂だったらさすがにどうしようかと迷うところだったけど、こちらなら問題ない。
        のんびり観光気分で良いんじゃないかな」


    しかし男は特にこれといって恐ろしい人物という訳では無い。
    確かに有する力は強大だが、今は相方と二人、孤児や親許に帰れない数人の子供たちをアパートメントで養う物好きな優しい青年でしかなかった。
    フラリと家を出ては世界のどこかで犯罪組織を潰したり、動物や子供を拾ったりしては戻ってくる生活。
    そんな彼を放っておくことが出来ず、女は今も英国に戻る気が起きずにいるのだ。


    ??「せめてジャケットとネクタイくらいしてきたらどうなの。王室舐めてるとしか思えないよ」


    年長の子供に一先ず家のことを任せてきたが、どうにも心配になってきた女はそれを振り払うように呆れたため息をつき、振り返る。
    その言葉に男は困ったような笑みを浮かべて頬をポリポリとかいていた。

    921 = 917 :

    ??「あ、やっぱりまずかったかな? でも自分だっていつもの作業服じゃないか」

    ??「あのな、私は向こうがどうしても来てくれって頼んでくるから仕方なく来てやったの。
        それに私はボンヌドダームだ。エプロン外しただけでも十分すぎる譲歩だよ」


    仕方なく、なんて言葉が出てくることに女は自分でも驚いていた。
    まるで生まれ育った英国ではなく、今いるボロっちいアパートメントの方を自らの居場所としているかのような言葉だったから。
      

    ??「なるほど確かにな。じゃあどうしよう。やっぱり買ってきた方がいいかな?」


    そんな彼女の複雑な胸中など知らず、周囲からの好奇の視線にようやく気付いたらしい男が財布の紐を握る相方にお伺いを立てる。
    が、その言葉に女の目は鋭く吊り上った。


    ??「うちにそんな金あるとでも思ってんのかアンタはぁああッッ!
        日に日に増えていく子供達の健やかな生活の為にはアンタの衣食住を削るしかないだろぉぉがぁぁああ!!」


    女はどこからともなく取り出した麻のロープをパシンパシン鳴らして男に詰め寄る。
    その行動がさらに奇異の視線を集めることに一役買っていることには彼女は気づかない。


    ??「わ、分かった! 俺が悪かったからロープはしまってくれ! さすがにここで亀甲縛りはどうかと思うっ!」


    両手を前に突き出して後ずさり許しを乞う。
    彼女を怒らせ全身に漆を塗られたり、犬小屋で三角木馬で股割きをされたりと言った、文字に起こすとやけに物騒なお仕置きを受けてきた男の必死の懇願だった。
    さすがに王室の前庭で品が無いにも程がある仕置きをするわけにもいかず、女はそのロープを懐にしまい込んで踵を返し歩き出す。
    視線の先には美しい庭園が迎える女王の宮殿。
    歓談しながら宮内に入って行く客達の後に続き、彼女達も揃って門前の受付へと辿り着く。
    そこでは受付の女性の背後や周囲にも眼光鋭い衛兵たちが控えており、物々しい雰囲気となっていた。

    922 = 917 :


    受付「招待状をこちらに」


    二人の格好を見て一瞬訝しげな表情を見せた受付の女性だが、すぐに柔らかい笑顔を浮かべて招待状を受け取る。
    そしてそこに書かれていた名前を見てギョッと目を見開き、もう一度女の顔を見上げた。


    受付「こ、こちらにご芳名をお願い致します……」


    さらに背後に控えていた一人の騎士の表情も、男の顔を見て驚愕のものへと変化を遂げる。
    それには気づかぬフリをして、女は迷いなく歩みを進める。
    男は城門前の異様な警備体制に首を傾げたが、それっきり特に表情を変えることなく相方の背を追う。


    ??「おい、オッレルス。もたもたするな。あんまりキョロキョロしてるとしょっぴかれるよ」

    オッレルス「ああ、それは困る。立食パーティも楽しみなんだ。
           タッパーとか買ってきてアパートの子供達に持って帰ってやっちゃ駄目だろうか、シルビア」

    シルビア「おう、訊いてみたらどうだ。そしたらきっと今日からアンタは宮内で伝説の男だ」


    互いを信頼しきっているかのような軽口を交わしながら宮殿へと入っていく二人。
    その背中を何度も見返しては、己の驚愕が己だけのものでは無いことを確かめ合うかのように視線を交わし合う門前の人々。
    二人の名はシルビアとオッレルス。
    その存在は、今日ここで行われる式典の主役にとって、唯一予想だに出来なかった人物達であった。

    923 = 917 :

    ―――英国 バッキンガム宮殿  大広間 11:50


    バッキンガム宮殿内にある大広間。
    そこが本日行われるキャーリサ第二王女の結婚式の場所だった。
    絢爛豪華な調度品が飾られ、床から天井に至るまでのその全てが煌びやかで、かつ品を損なわないまさに外から賓客を招くためにあるようなその巨大な部屋の中に、およそ300人程度の人間が椅子に腰かけ式典の始まりを待っているところだった。

    結婚式と言っても、本日行われるのは、所謂ウェディングドレスを来た花嫁がヴァージンロードを歩いたりするようなものではない。
    どちらかと言えば、関係者各位に結婚を報告する会見の様なもので、もちろん此度婚姻の式典の主役であるキャーリサ王女と某国皇太子は客の前に姿を現すが、あくまでプログラムの進行上で挨拶を行う程度のものだった。

    急遽決まった式典であることと、結婚そのものよりもキャーリサが国外に出ると言う事の方が重要であるためこのような形になっている。
    国外からVIPたちを招いて行う披露宴や式はまた後日、色々な政治的手続きが終わってから執り行われる予定だった。

    そんな中、イギリス清教最大主教ローラ=スチュアートの護衛としてこの式典に参加している神裂は同僚のステイル=マグヌス、インデックスの隣で広間の壁際で室内の様子を注意深く観察していた。


    神裂(聖ジョージ大聖堂からバッキンガム宮殿への突然の会場の変更……あちらも必死のようですね。
       ……警備の数が思ったよりも多い。これは骨ですよ上条当麻)


    宮内を徘徊してる警備の数は数えるだけでも眩暈がしてきそうなほどだった。
    正面から戦えば、神裂やアックアならば一網打尽にすることも不可能では無いのだろうが、なにぶん敷地は広大で、市街地にまで兵の手は及んでいる。
    陸路で逃げるのは限りなく不可能に近いが、無論策はある。
    だから神裂が今気になっていることは、そんなことではない。


    神裂(聖人シルビア……。隣にいるのは『北欧王座』のオッレルスですね……。
        何故彼女らがここに……)

    924 = 917 :


    片や英国の武力の一翼。片や魔術サイドのお尋ね者。
    その二人が招待客としてそこに座っていることにも驚いたが、隣通しで談笑しているとはどういうことか。
    周囲を警戒している様子は見受けられないし、英国内でそこそこの地位を持つシルビアがここに呼ばれること自体は何も不自然なことではない。
    だが、その二人の存在は神裂にとってプレッシャーとなっていた。


    ステイル「どうかしたかい神裂。顔色が悪いようだが?」


    目元にバーコードの刺青を入れた赤髪の神父、ステイルが興味無さげに声をかけてくる。
    さすがに女王陛下の住まう宮殿内ということで、煙草を吹かすのではなく禁煙パイポをカリカリと噛み鳴らして室内に視線を送っていた


    禁書「かおり、どうかしたの?」


    二人の間にいるインデックスも心配そうにこちらを見上げてくる。
    彼女を安心させるように神裂は薄く微笑んだ。


    神裂「いえ、何でもありませんよ。それよりステイル、あなたは最大主教の傍にいなくても良いのですか? 
        護衛なのでしょう?」


    広間の最善に設けられた特別席で退屈そうにしているローラに視線を送る。
    そこには女王や第一、第三王女の席も設けられており、背後には騎士団長が控える予定だ。
    ローラの護衛として参加しているステイルも、本来ならばそこに控えておくはずなのだが、どういうわけか広間の壁際で自分やインデックスと一緒にいる。


    ステイル「ん? まあそうなんだけどね……」


    何故だか言い澱むステイルに神裂は訝しむ。
    彼の視線が一瞬インデックスに向けられたことに気づいた。
    昨日土御門がステイルへ協力を仰ぐ件は任せろと言っていたので、きっとそのことで何か言われているのだろうと神裂は納得することにする。

    925 = 917 :


    禁書「あ、見て見て。とうま達が入って来たよ」

    ステイル「やれやれ、みすぼらしくてとても招待客には見えないな」


    インデックスが指差した方向を見やると、入口となっている巨大な扉から上条、アックアの二人が入ってくるところだった。
    二人は言葉を交わす様子もなく、淡々と自らの席へ辿り着くと、無造作に腰かけ前を見つめ続けている。


    ステイル「しかし意外に落ち着いているな。キョロキョロと挙動不審の極みかと思っていたが」

    神裂「ええ、まあ……」

    ステイル「それにしても、あれが後方のアックアか……クーデターの際に遠目でちらりと見た程度だったが、何だって上条当麻と連れ立って来たんだか。
          理解しかねるな」


    溜息をついて首を横に振るステイル。
    彼の反応に苦笑を零しながら、神裂はここにいない味方達のことを思った。
    土御門は既に宮内にいるらしいが、他の連中は朝別れてからどうなっているかは分からない。
    さすがに既に気づかれたりしているということは無いと思うが、騎士団長の姿がここにないためどうしても不安が過る。
    せめて騎士団長がここに現れる式典の開始時刻が早く来てくれることを願った。

    と、その時だった。
    室内前方にある扉から、タキシードに身を包んだ初老の男性が入ってくる。
    王室派の人間であり、今回の式典の司会を担当する人物だ。
    いよいよ式典が始まる。
    ざわざわと騒がしかった室内も、彼が姿を現したことによって徐々に静けさに包まれていく。


    禁書「始まるんだよ、かおり」

    神裂「……ええ、気を引き締めましょう」

    926 = 917 :


    ステイル「? 何故君達が緊張するんだ。 仮にテロでも起こったところで、ここに揃っている戦力を考えれば何の問題も無いと思うけど?」

    司会「えー、この良き日に皆様にご結婚のご報告が出来ることを、王女も大変喜ばしく……」


    ステイルのつまらなそうな言葉と同時に式典の開始を告げる挨拶を始めた司会者。


    神裂「そうですね。……ここを襲おうというテロリストはさぞ不憫でしょう」


    ステイルの的外れな勘違いのおかげで少しだけ肩の力が抜けた神裂。
    だが何も安心など出来はしなかった。
    ここには全ての騎士派がいる。
    騎士団長がいる。
    そして、二人の不確定要素も。
    神経を研ぎ澄まし、いよいよ作戦開始の時刻が来たことを自らの身体に言い聞かせる。

    やがて女王の入場。
    威風堂々とした足取りで入ってくる女王を先頭に、第一王女リメエア、第三王女ヴィリアン、そして騎士団長と続く。
    厳かな音楽と共に、客席からは盛大な拍手が漏れた。
    王室派の三人がそれぞれの席につき、騎士団長がその後ろに控えたところで式典は次の挨拶へと進んでいく。


    司会「続きましては、イギリス清教最大主教、ローラ=スチュアート氏よりお祝いの言葉を賜りたいと……」


    楚々とした立ち居振る舞いで入場してくるローラ。
    彼女もまた目の離せぬ人物の一人だった。
    普段のエセ古文調ではなく鈴の音のような声で流暢な英語のスピーチをしている。

    927 = 917 :


    神裂(最大主教……どうか最後まで気付かないでいて下さい。
        あなたが介入すると非常に事がややこしく、そして難解になる)


    年齢不詳の少女のような顔立ちの奥に潜む、老獪な本性の片鱗を知る神裂。
    彼女と事を構えれば暴力、政治、その他あらゆる側面に於いてただでは済まない。


    ローラ「……それでは私の挨拶は以上とさせて頂き、キャーリサ王女のこれからの幸福と英国のさらなる発展をお祈り申し上げます」


    挨拶を終えると、微笑みを浮かべ淑女のように楚々とした礼をするローラ。


    神裂「!」

    禁書「……かおり……?」

    神裂「い、いえ……」

    その時、一瞬だが神裂は彼女と視線が合う。
    ほんの1秒にも満たない視線の交差だったにも関わらず、何故だかそれで全てを見透かされたような気さえした。


    神裂(……上条当麻、ご武運を。もはや私にもどうなるか予想できません)


    流れる冷や汗を周囲の誰にも気取られぬよう、客席で微動だにしない上条とアックアを見やる。
    後はただ信じるのみ。
    上条当麻という一人の少年のために、多くの人間が力を貸そうとしている。
    失敗した時のことなど考える必要は無い。
    アックアが言ったように。これはもはや一つの勢力。
    上条勢力と一部で囁かれる人々の存在がどこまで通用するのか。
    腰に下げた七天七刀にそっと触れ、神裂はこちらを見上げていたインデックスと視線を交わして頷き合うのだった。

    928 = 917 :


    ―――英国 バッキンガム宮殿  大広間 12:30


    騎士団長は大広間の室内に時折視線を巡らせながら、式典の動向を見守っていた。
    客席にいる上条当麻とウィリアム=オルウェルには特に念入りに注意を払う。
    未だキャーリサは自室で待機中であるが、彼らが何か事を起こすとすればまずこの式典であると騎士団長は読んでいた。
    多数の重要人物達が集まるこの部屋で騒ぎを起こせば、彼らへの対応で騎士派の人員も割かねばならなくなる。
    そのことを警戒していたが、上条もウィリアムも未だ大人しく席についているだけだった。


    騎士団長(さすがに慎重か……? だがいつ動く、上条当麻……)


    キャーリサが結婚相手である某国皇太子と共にここに入場すれば、騎士派の包囲網はこの大広間に集中する。
    ここから王女の手を引き、敷地外へ脱出、さらには国外へ逃亡するのは至難の業と言えるだろう。
    仮に聖人であるウィリアムが動いたとしても、彼に王女を連れ出せるかとなれば話は別だ。
    騎士団長自身が王女を守り、事なきを得る。それで終わりだ。
    だが。


    騎士団長(この胸騒ぎは何だ……? 何かを見落としている……?)


    清教派の魔術師達は最大主教の護衛数名以外宮内には入れていない。
    わざわざ直前になって会場を変更し、騎士派はもちろん銃火器で武装したイギリス軍も警備に動員、念のために小組織だが魔術結社も雇っている。
    空に飛ばした護衛ヘリも問題無く稼働しているし、国外から招待した英国の聖人も事情は知らずともそこに座っている。
    なのに騎士団長の胸の内に渦巻くモヤモヤとした霧は一向に晴れる気配を見せなかった。


    騎士団長(我ながら気が小さいものだな。だが慢心するよりはマシだろう。
           警備に今のところ問題は無い。上条当麻自身も動く気配は無しか……)


    杞憂で終わればそれでいい。
    だが決して油断はしない。反対側の壁際に佇んでいる三人の清教派の人間にも注意を向けておくことにした。
    やがて女王の挨拶が終わり、穏やかな雰囲気で式次第は進行していく。

    929 = 917 :

    司会「では、続きまして王立芸術院よりお祝いの品が届いておりますので、皆様に御覧頂きたいと思います」

    騎士団長(……祝いの品……?)


    騎士団長は思い出す。
    先日取り決めた式次第に、そのような項目はあっただろうかと。
    騎士団長は唇が渇いていくのを感じていた。

    王立芸術院。

    その単語がとても引っかかった。
    そうしている間に搬入されてくる高さ4mはあろうかという巨大な物体。
    真っ白な布が被せられ、ごつごつとした突起がそれらを押し上げている。
    上条当麻に視線を送る。
    動かない。
    清教派の魔術師たちは。
    動かない。


    司会「こちらは王立芸術院の講師であり、世界的にも高い評価を受けておられる彫刻家、シェリー=クロムウェル氏の作品でございます」


    司会者の軽快な解説に会場から感嘆の息が漏れる。


    司会「御覧頂く前に、クロムウェル氏からお祝いの言葉を頂戴致します。どうぞ皆様、拍手でお迎え下さい」

    騎士団長(シェリー=クロムウェルだと……)


    その名前の持ち主がどのような人物だったかを思い出していると、こちらに引っ込んできた司会者がヒソヒソと話しかけてくる。

    930 = 917 :


    司会「いやー、騎士団長殿。まさかあのクロムウェル女史の作品を拝めるとは、どのようなものか楽しみですな」

    騎士団長「……記念品贈呈などの予定は無かったのではないか?」


    小声でそれに応じる騎士団長。


    司会「ああ、議会の先生のほうへ本人直々に急遽お話が来たそうですよ。
        クロムウェル女史の作品は非常に高い評価を受けておりますからな、
        断る理由もありますまい」

    騎士団長(間抜けめ……余計なことを……)


    キャーリサの責任追及を行っている派閥の一人が余計な真似をしでかしてくれたらしい。
    その間に拍手の中ゆっくりとした足取りで登場した褐色の肌に金髪の女。
    厳かな式典には少々似つかわしく無い擦り切れたゴスロリ服。
    鋭い眼差しと、口元には柔和な微笑を浮かべた変人の芸術家が客席に一礼をして白い布が被せられた作品の前に立つ。


    シェリー「皆様、お目にかかれて光栄です。
         王立芸術院より参りました、シェリー=クロムウェルと申します。お見知りおきを。
         本日は敬愛するキャーリサ王女の婚姻の式典に記念の品をお届けすることが出来、身に余る光栄に打ち震えているところでございます」


    文章をただ読み上げるような、感情の籠らない淡々としたスピーチ。
    されど高名な、それも見目麗しい若き芸術家の姿に会場の目も耳も引きつけられているのが見て取れた。


    シェリー「このおめでたい日に、皆々様に私の作品をご覧いただけることを喜ばしく思います。
          しかし芸術に言葉や解説など不要。
          キャーリサ王女の幸福を願い、作成いたしました、ご覧ください」


    取り払われる白い布。
    そこにあったのは


    騎士団長(! ……なるほど、そうくるか)



    あまりにも禍々しい石造。

    931 = 917 :


    大理石のタイル。看板、鉄筋。ビルをそのまま粘土でこね回して石造に作り変えたような歪な土人形がそこにいた。
    ざわつく室内。
    それがとても結婚を祝福する意味が込められているようには見えないことを誰もが分かっているのに、
    世界的な評価を受けた芸術家の作品にケチをつけることなど出来るはずもなく、誰もが微妙な笑顔を浮かべあって必死にその石造を褒め始めている。


    女>1「これは……なかなか、前衛的ですね」

    紳士1「た、確かにこの荒々しさ。『軍事』を司っておられるキャーリサ王女のイメージには合っておりますな……」

    紳士2「は、はは……まるで生きているようだ」


    ともすれば恐怖すら覚えそうな威圧感を放つ石造を懸命に褒める来賓達。
    ふと女王達を見やる。
    ヴィリアン、リメエアは首を傾げているが、エリザードやローラは互いに視線を交わしあって何かを思案している様子だった。
    だが騎士団長は既にその一つ先に思考が辿り着いている。
    一言でいうならば

    騎士団長「やられたな……」

    エリザード「ん?何か言ったか?」

    騎士団長「いえ……大したものだと感心しただけです」

    エリザート「ふむ……そうか」


    始め布を取り払った時、ここを戦場にするつもりかと全身が強張ったが、そうではない。
    否、その必要すらないのだ。


    シェリー「名はエリスと言います。キャーリサ王女の力強さと気品を表現致しましたが、いかがでしょうか」


    しれっと誇らしげに微笑むシェリーの顔を睨みつける。
    既に騎士団長は理解していた。
    これは、この会場にいる三百人の人間全てを人質にとったということ。
    何故ならばこれは記念の石造などではなく、魔術により生成された動く泥人形(ゴーレム)。
    高い防御力と怪力を誇り、壊しても周囲の物体を吸収して再生し、 完全消滅させても術者がいくらでも作り直せると言う強力な魔術だ。
    無論宮内に集う戦力を考えれば皆殺しにされることなど万に一つも無いが、死なれては困る人物の一人二人は磨り潰されるかもしれない。
    それ以前に、この石造がここにあるだけで、騎士派の兵力のいくつかをこの場所に置いておかなくてはならない。
    それだけでも、シェリーがこの場所に出てきた意味があるというものだった。

    932 = 917 :

    ここにきてようやく、騎士団長は既にキャーリサを取り戻す作戦が始まっていることを知り、同時に清教派の魔術師が上条当麻と協力関係を結んでいることを理解した。
    すかさず上条とウィリアムを見るが、何事も無く座っている。


    騎士団長(何を考えている……? まだ動かないのか……?)

    紳士3「うーむ、言われてみればどことなく気品が……」

    女>2「確かに目元の鮮やかな赤はキャーリサ様を彷彿と……」


    シェリーの解説に納得したフリをしている客たち。
    と、そこで彼女の様子が変わった。


    シェリー「あー……下らない」


    ボサボサと髪をかきながら鼻で笑い飛ばす。
    ピンと空気が張りつめた


    騎士団長「……?」

    シェリー「こいつのどこが芸術だっていうのかしら。 どう見たって醜いただの泥人形じゃない。
          テメェの目が節穴だってことが証明されたみたいだな」


    鎮まり返る場内。凍りつく空気。
    突如豹変し、薄気味悪い笑みを浮かべてそう言った彼女に応えるものは誰も無い。
    しかし彼女の言葉は会場の客たちに向けられたものではない。
    その視線の向く先それは――


    シェリー「そうでしょう? 


          ――――テメェだよ、騎士団長」



    真っ向からの宣戦布告。

    933 = 917 :


    騎士団長(しまった!!)


    言葉と同時に騎士団長は上条、ウィリアムに視線を移す。


    女>3「キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!!!!!」


    彼らの隣に座っていた女性が突如悲鳴をあげた。


    紳士5「な、何だ!?」

    紳士6「か、体が崩れていくぞ!」


    一時パニック状態となる会場内。
    それも当然だった。
    どういうわけかそこにいたはずの上条、ウィリアムの二人の身体がザァァアという音を立てて砂の城のように崩落していったのだ。
    後に残ったのは、二人分の身体を構成していた泥と彼らの皮膚であったもの。


    騎士団長(変身魔術ッ!? 馬鹿な、こんな精巧な術式をあのゴーレム使いが?!)


    先程までまるで本人であるかのように存在していた二人がただの泥人形?
    そんなはずはない。
    このような術式をシェリー=クロムウェルなどという女が使えるなどと聞いたことがなかった。
    だが騎士団長は咄嗟に思い出す。
    確か対象の皮膚を使い、対象そのものであるかのように変身できる魔術がどこかに存在していると。


    エリザード「騎士団長! 何事だ!」

    騎士団長「!」

    騎士団長(まずい……式典を中断させるわけにはいかない……)


    ここで式が中止ともなれば、キャーリサの婚姻は先送り。
    彼女を国外へ出すのが伸びれば別の処分が決まってしまうかもしれない。
    とにかくこの術式が何であるかを解明する前に、不安げな賓客たちをなだめる方を優先する必要があった。

    934 = 917 :


    騎士団長「……皆様。驚かせてしまい、申し訳ありません。
           これはクロムウェル氏による余興でございます」


    ゴーレム・エリスの前で愉快そうに眼を細めていたシェリーの隣に歩み寄り、
    ざわつく客たちに向けて騎士団長は柔和な笑みを浮かべながらそう説明する。


    紳士7「な、なんだ……そうだったのか」

    女>5「さすがは高名な芸術家、演出が凝っていますわね」

    紳士8「ははは……も、もちろん分かっていたがね」


    その言葉で場内がどうにか落ち着きを取り戻していく。


    ヴィリアン「サプライズでしたか……ビ、ビックリしました……」

    リメエア「……」

    ローラ「ふーん……余興なる割にはタチが悪きことね」


    ほっと胸を撫で下ろしているヴィリアンとどうにも腑に落ちないという顔をしているリメエア、ローラ。


    エリザード「そうなのか? 私は聴いておらんぞ」

    騎士団長「失礼いたしました。陛下にもこの余興を是非にお楽しみ頂きたいとおっしゃったので」

    シェリー「少々悪戯が過ぎたようですね。申し訳ありません」


    何事も無かったかのように冷笑を浮かべ、シェリーが一礼をして脇にある来賓の席へ向かうために騎士団長の横を通り過ぎる。
    すれ違いざま、彼女は冷ややかな声で告げた。


    シェリー「で、もたもたしてていいのかしら? こんなもんで終わりじゃねぇぞ」

    騎士団長「!」

    935 = 917 :


    慌てて状況の確認をする騎士団長。
    上条、ウィリアムを模していた泥人形は崩落したまま。
    ならばどこかへと消えている彼らを追わせなければと思った時、ふと壁際にも視線をやる。


    騎士団長(くっ! 神裂火織! やはり貴女もか!)


    そこにいた清教派の魔術師。神裂火織、ステイル=マグヌス、禁書目録。
    その三人の姿が消えている。
    状況は知らぬうちに加速している。
    だが騎士団長は冷静だった。今現在取るべき策。
    それは


    騎士団長(キャーリサ様の元へ行く……! それが最優先事項だ)


    客たちに緊急事態を気取られぬよう落ち着いた足取りで部屋を出ようと扉の方へ向かう。
    しかし。


    『彼ら』の攻撃はまだ終わっていなかった。


    ドンッ!!!

    という轟音が城内に響き渡った。
    再び溢れる小さなざわめき。
    静かに奥歯を噛み鳴らす騎士団長。
    次から次へと繰り出される波状攻撃だった。彼らがこのタイミングを狙っていたのはもはや間違いない。


    エリザード「騎士団長。速やかに対応し事態を収めよ」


    客たちには聞こえぬ声でエリザードが騎士団長に告げる。
    これが何者かの意図的な行為であることに女王も気付いたのだ。


    騎士団長「お任せを」


    深々と礼を返し、ただ一言、そう応えて騎士団長は部屋を出る。
    その瞬間に、キャーリサを巡る戦の火蓋が切られたのだった。

    936 = 917 :


    ―――英国 バッキンガム宮殿  東側城門前広場 12:30


    御坂美琴は先程まで来賓客たちの受付が行われていた城門の傍まで歩いてきたところだった。


    御坂(そろそろ時間ね……)

    オルソラ「御坂さん。間もなく城門でございます。シェリーさんとの連絡も繋がっているのでございますよ」


    傍らでふわふわとした雰囲気を放つ巨乳シスター、オルソラ=アクィナスがゆったりとした口調でそう言った。
    無言で頷く御坂。
    緊張で硬くなってくる体をほぐすように肩を回しながら既にこちらに怪訝な視線を向けている衛兵の元へゆっくりと歩く。
    受付に立っていた兵士のうち、腰に拳銃をぶらさげた一人が険しい面持ちで寄って来た。


    オルソラ「(ピストルを持っておられるのでございます)」


    ヒソヒソと御坂にだけ聞こえる声でオルソラが言った。


    御坂「だから?」

    オルソラ「(彼は騎士派ではございません。軍人さん、もしくはただの衛兵さん、或いは警察さんなのでございますよ。
           どうやらこちらにおられた騎士の方は宮殿内の警備へ向かわれたようでございますね)」

    御坂「つまり……どういうことよ?」

    オルソラ「うふふ、それはでございますね……」

    衛兵A「君達、止まりなさい。今日は宮殿周辺は立ち入り禁止だ。申し訳ないが、引き返してもらえないか」

    937 = 917 :


    30代くらいのその兵士は、シスターと連れの少女が迷い込んだと思ったのか、さほど厳しい口調ではなく諭すように告げた。
    すかさず前に出るオルソラ。


    オルソラ「あらあら。そうでございましたか。
          あら、そう言えばキャーリサ第二王女がご結婚されるというお話を耳にしたのでございますが、
          本当でございますか?」

    衛兵A「君達には関係の無いことだ。ここら辺をみだりにうろついていると逮捕されても文句は言えないぞ。
         ほら帰った帰った」

    オルソラ「私、是非キャーリサ王女にお祝いの品を届けよう思い、ここに来たのでございますよ。
          こちらにイギリス清教の神裂火織さんがいらっしゃると思いますので、お呼びいただけないでございましょうか?」

    衛兵A「神裂……? ああ、あの日本人か。
         現在式典の途中だ。品物はこちらで預かるから、帰りなさい」

    オルソラ「私達は無関係では無いのでございますよ。
          敬愛するキャーリサ王女は英国皆の至宝であらせられるのでございましょう。
          だから皆でキャーリサ様のご結婚を盛大にお祝いしたいのでございます」

    衛兵A「む……? いまいち話が噛みあわんな……と、とにかく駄目なものは駄目だ」


    オルソラが独特のペースで会話を繰り広げていくのを御坂は後ろから眺めていた。
    この会話の内容に意味などない。
    これはつまりただの


    オルソラ「御坂さん、それはつまりでございます」


    時間稼ぎだった。

    938 = 917 :


    オルソラは優しげに微笑んだまま、再び話を戻して御坂の名を呼ぶ。
    内部にいるはずのシェリー=クロムウェルと魔術的な通信が繋がっているらしいが、御坂にはよく分からない。
    しかし、彼女がこちらの名を呼んだその意味を。
    既に御坂は理解していた。
    故に、オルソラがこちらに微笑を向けた瞬間。
    御坂の手から放り投げられたコインが放物線を描く。
    そして


    オルソラ「騎士ではない彼ならば、多少の無茶をしてもあなた様の敵ではないと言うことでございますよ」


    それが合図だった。
    瞬間。
    空間が悲鳴をあげるような轟音が鳴り響いた。
    城門脇の壁、人のいない部分に向けて雷のレールが敷かれ、宙を穿つ電撃の槍。
    石造りの壁を吹き飛ばした不可思議な少女の放つ一撃に、衛兵の顔は驚愕に歪む。


    衛兵A「なっ……!!!??」

    御坂「ま、こんなもんでいかが?」

    オルソラ「上々でございましょう」


    学園都市第三位。
    通称『超電磁砲(レールガン)』の手により、作戦開始の狼煙があげられた。

    939 = 917 :

    ―――英国 バッキンガム宮殿  大広間 12:45


    大広間で式典は継続中。
    外で起きている騒ぎもつゆ知らず、オッレルスは大広間にて、シェリー=クロムウェルの彫刻を感心したように見上げていた。


    オッレルス「随分と面白いサプライズだなー。さすが芸術家は考えることが常人と違うね。
           俺には彫刻のことなんてさっぱり分からないから、むしろこういう演出の方が楽しめるよ」


    あれが魔術によって生成されたゴーレムだということはオッレルスも知っているが、それも混みでのサプライズだと思っていた。
    人好きのする柔和な笑みを浮かべたまま呑気にこの状況を楽しんでいる。
    だが、隣に座る恐るべき相方、シルビアの表情はどこか浮かない。


    シルビア「むぅ……」

    オッレルス「ん? どうしたんだ変な顔して。 あ、分かったぞ。シルビア、柄にも無く驚いてしまったんだろう。
            ははは、珍しいこともあるもんだな。意外に可愛いところがぎゃぁっ! いってぇぇえ!!」


    聖人シルビアの音速の肘鉄がレバー付近に抉り込まれる。
    それでも痛いで済むところがオッレルスの底知れない力の恐ろしいところなのだが、二人とも事の重大さに慣れきってしまっていて特に気にしていない。
    悶えるオッレルスを無視したままシルビアが考え込む。


    シルビア「演出? 本当にそうなのか? どうもキナ臭いな……」

    オッレルス「いてて……は? 俺は正直英国の王室のことはあまり詳しくないけど、こういう時にテロが起こったりすることもあるのかな?」

    シルビア「テロ……というわけでも無い気がするな。でも考えてみれば異様に厳重な警備体制。
          突然の会場変更のこともそうだし、何か起こっているのかもしれない」

    オッレルス「……どうする?」

    940 = 917 :


    シルビア「どうしようかな。騎士団長の奴がやけに念入りに打診してきた訳だし。
          やっぱ何かあるな」


    難しい顔をしながら、シルビアは思い立ったように立ち上がった。


    オッレルス「ん? どこに行くんだ?」

    シルビア「……」

    オッレルス「俺も行こうか?」

    シルビア「いや……いい……」

    オッレルス「はは、遠慮するなよ。よし、一緒に行こう。もうすぐ立食パーティだし、面倒事はさっさと片付けないとな。さあ行くぞ」

    シルビア「だからいいってば」

    オッレルス「? そんなこと言わずに」


    口ごもるシルビアの手を取り席を立とうとするオッレルスを、頬を赤らめ押し留めるシルビア。


    シルビア「ち、違う離せ!」

    オッレルス「シルビアらしくないな。二人の方が早グフォッ!!!」


    オッレルスの顎に綺麗にクリーンヒットする聖人のアッパーカット。
    周囲の客の目を集めていることをまるで気にする様子も無く、シルビアは腰に手を当て視線を泳がせながらこう吐き捨てた。


    シルビア「トイレだ馬鹿野郎っ!」


    ドスドスと肩で風を切って耳まで赤くしながら席を離れていくシルビア。
    そんな彼女の背中が遠ざかって行く気配を感じたところで、オッレルスの意識が吹っ飛んだ。

    941 = 917 :

    ―――英国 バッキンガム宮殿  回廊 12:45


    土御門「ようカミやん。上手くいったみたいだにゃー!」


    上条当麻はアックアと共にキャーリサの私室に向かう階段の途中で、衛兵の格好に身を包んだ土御門と合流したところだった。
    シェリー=クロムウェルがゴーレムを『眼球』として城内に多数放っているため、それによって連携をとりながらキャーリサを奪い返す算段だった。
    途中窓から入り込んできた一つの轟音は、城門前にて御坂が行動を開始した証だろう。
    それとシェリーの広間での演説を合図にして他の連中も動き出す予定だった。


    上条「にしても大丈夫だったのか? 誰が俺達に変装してんだよ?」


    三人で階段を駆け上がりながら話を振る。
    当初の作戦予定では、そろそろシェリーが戦力として戦線に出るために人型のゴーレムを解除する時刻だった。


    土御門「ここに来る前カミやんとアックアから皮膚を採取したろう?
         それをちょっとした『知り合い』に頼んで変身魔術をシェリーのゴーレムに使ったんだぜい」


    土御門が上条の左腕に巻かれた包帯を指差して言った。
    日本を出る前、土御門から作戦に必要だからとナイフで皮膚を少しはぎ取られたのだ。
    どうやら土御門が知り合いに頼み、それを利用して変身魔術を施したようだ。


    アックア「アステカの魔術であるな。貴様、そんな所にまで関わりがあったとはな」


    アスカロンを携えたアックアが深いため息をついた。


    土御門「超電磁砲の命を助けるためって言ったら二つ返事で協力してくれたぜい。
         実際それ使って調整したのはシェリーだけどにゃー」

    上条「どっかで聞いたような魔術だな……ってかシェリーのゴーレムって一体作るのが限度じゃなかったっけ?」

    アックア「いや、単なる人形を作るだけならばさほど難解な魔術では無いのである。
          変身の魔術を組み合わせれば短時間敵の目を欺く程度のことは可能だろう」

    942 = 917 :

    と、アックアがそう言った瞬間階段の壁を這うようにして『眼球』がドロリと姿を現す。
    シェリーの放ったゴーレムの一部だった。


    『私のエリスはカバラの術式をアレンジして本来人を模すゴーレムを守護天使に置き換えてあるのよ。
     こいつを二体以上使役するとなれば至難の業だが、逆に言えば単純に人型を形成するだけなら朝飯前って訳だ。
     もっとも、エリスを動かすためにはそいつを維持できないから、さっきぶっ壊しちまったけどね』

    上条「そうか、でも上手くいったみたいだな!」

    『どうにかな。今騎士団長の奴が大広間を出ていったわよ。それから神裂達もね。
     騎士団長は先に他の騎士達への指揮へ回るからアンタらはもうしばらく余裕があるんだろうけど、
     急いだ方がいいぞ。
     とっとと王女と合流して脱出のポイントに向かいなさい。
     戦力差があるから、時間が経てば経つほどこちらが不利だ』

    土御門「シェリー! お前は今からどうする!」


    段を飛ばしながら階段を駆け上がり、肩で息をしながら土御門が問いかけた。


    『私は騎士共への牽制としてもうしばらく広間にいるわ。
     その後は宮殿の裏庭で立食形式のパーティがあるようだから、場合によっちゃそっちでひと暴れさせてもらうけどな』

    上条「くれぐれも騎士達を殺すなよ」


    上条は眼球に向けて念を押す。
    シェリーは友人エリスの事で騎士派と因縁があり、恨みを持っている。
    手綱を離すと暴走しかねないので、こうして何度も確認しておかなければならなかった。


    『分かってるわよ。
     でもエリスはちょっとばかし乱暴だから、力加減は間違っちまうかもな。ふふふ……』

    上条「おいシェリー!」

    『……うるせえな大丈夫よ。目的をはき違えたりなんかしねぇよ。
     余計な真似すると笑顔浮かべながらブン殴ってくるクソシスターもいるしね』

    943 = 917 :


    咄嗟にオルソラの顔を思い浮かべる上条。
    時間の調整とシェリーとの連携のために城門で御坂と共に陽動に出る彼女だが、戦闘が始まればほとんど力にはなれない。
    そんな彼女に戦線を離れさせ、次に向かわせる場所はシェリーの元だった。
    暴走の危険性を孕むシェリーも、何だかんだで良き友人関係となっているオルソラならば上手く舵をとってくれるだろう。
    作戦開始前にそれを申し出てきたのはオルソラ自身だった。
    これならば二人は大丈夫。
    上条は小さく笑い。これ以上は彼女達に任せることにした。


    『ヘラヘラ笑ってんじゃねぇぞ。言っておくけど、この期に及んで失敗とかしやがったらエリスでデコピンしてやるから覚悟しておけよ』

    上条「うわ、それ頭吹っ飛ぶんじゃないですかね……」

    『そうね。潰れたトマトみたいにグチャリといっちまうだろうな。それじゃ後は頑張りなさい』


    最後にそう言い残して眼球のゴーレムはただの壁となった。


    上条「おう、ありがとな!」

    騎士A「見つけたぞ! 奴だ! 追え!」
     

    同時にそんな声が階段の下から聞こえてくる。
    振り返ると、全身を白銀の甲冑で覆われた騎士が一人こちらに向かって階段を駆け上がってくるところだった。
    三人は駆け上がる脚にさらに力を込めて速度を上げた。


    騎士B「逃がすものか!!」

    騎士C「キャーリサ様の元へは行かせん!」


    続いて階上からも二人の騎士が姿を現す。


    上条「くっ! 思ったより速いな!」

    土御門「騎士は肉体強化やら何やらで速いし強いぜい。
         まともに相手してたら時間いくらあっても足りやしねぇ」

    アックア「案ずるな。こういう時のために私がいるのであろう」

    944 :

    アックア無双か

    945 = 917 :


    空気を裂くような速度で迫りくる騎士達の前に躍り出るアックア。
    その手に握られるのは暴力が形を成したかのような大剣の零装『アスカロン』。
    伝承の中の竜を殺すことを想定して作られたその怪物の如き剣がパンッという破裂音と共に振われた。


    アックア「おおおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおぉぉぉぉッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」


    咆哮するアックア。


    騎士B「ぐっ……がぁぁぁああああ!!!!!!!」

    騎士C「ぐぎゃっ……―――!!!!」


    段上から飛び降りるようにして剣を携え襲いかかってきた強靭な騎士二人が、まるで紙屑のように吹き飛ばされ、宮殿の石壁をブチ破って城外へ放り出された。
    ただの人間であったなら一瞬にして肉塊になるほどの炸裂。
    隆起したアックアの腕の筋肉と、浮かび上がる血管から、どれほど彼が全力でそれを振るったかを嫌と言うほど伺い知ることが出来た。


    騎士A「報告! ただ今上条当麻と交戦中、至急援軍ゴガッ!!」

    アックア「追って来ず連絡を先にしておくべきであったな」


    下から槍を構え、味方と交信しながら登ってきた騎士に跳びかかるアックア。
    隆々とした筋肉で覆われた丸太のような強靭な脚で、騎士の甲冑を踏み砕く。
    死にはせずとも複雑骨折は免れない嫌な音を響かせた騎士の身体を掴みあげ、宮殿の壁に叩きつけて意識を刈り取った。


    土御門「頼りになりすぎてオレの出番無さそうだにゃー」

    上条「戦いにならないほうが良いだろ」

    アックア「長丁場になるはずであるからな、特に上条当麻は体力を温存しておけ。
          大人しく聖人である私か彼女に任せておいた方がいいのである。怪我では済まんぞ」

    土御門「ま、騎士団長が出てきてからが本番だしな。
         っと、この階だぜい。この廊下を真っ直ぐ行けばキャーリサの部屋らしいにゃー」

    946 = 917 :

    清教派である土御門はバッキンガム宮殿内部の正確な見取り図を入手することが出来ていた。
    地図を広げながらキャーリサの部屋がある階へ雪崩れ込む。


    騎士D「そこまでだ! 止まれ!!!」

    騎士E「こちらキャーリサ様のお部屋の前にて上条当麻と交戦中。
         他、2名が武装し襲撃中です」


    警備の騎士がこちらの姿を確認し、通信機のようなものでどこかに連絡をとっている。


    騎士D「くっ……ウィリアム=オルウェルッ! ……だが、対象の上条当麻を捉えればっ……!」


    アックアには勝てぬと踏んだ騎士だが、上条を下せばそれで戦いは終わると判断して突っ込んでくる。
    振り上げられた剣が窓から零れる陽光を反射する。


    土御門「悪くねぇ判断だが……おいおい。オレは無視か?」


    土御門の横を通り過ぎて上条に肉薄する一人の騎士。
    だが、アックアが剣を振り上げるまでもなく、騎士の足を無慈悲な弾丸が乾いた音と共に貫いた。


    騎士D「ぐぅっ!!」


    悲鳴をあげ、男は剣を落としてその場にうずくまった。


    土御門「殺しゃしねぇけど手荒にはいかせてもらうぜい?
         テメェら、給料もらってんだろ、悪く思うなよ?」


    アックアには遠く及ばぬまでも、鍛え上げられた土御門の蹴りが騎士の顔面に叩き込まれる。
    くぐもった声をあげた男の両肩に、土御門は容赦なく数発の銃弾を撃ち込んでいった。

    947 = 917 :


    上条「土御門!」

    土御門「大丈夫だって。こんなんじゃせいぜい気絶が関の山だ。
          でもこの調子じゃ弾丸何発あっても足りないぜい。やっぱアックアに任せといたほうが良さそうだ」

    魔力供給を受けて肉体強化されている彼らなら命に別状はないだろうが、少なくともしばらくは剣を握れないだろう。
    倒れ伏した男を見下ろした土御門は、口元に獰猛な笑みを浮かべた。

    アックア「こちらも終わったのである」


    キャーリサの部屋の前にいたもう一人の騎士の方を見ると、既にアックアが対応した後だったらしく、
    甲冑を粉々に砕かれ壁にめり込まされた男の姿があるのみだった。


    土御門「……カミやん達よくアレに勝てたにゃー……」

    上条「いや本当に心底今回は味方で良かったです……」

    アックア「無駄口を叩くな。行くぞ」


    あまりの強さに苦笑いしか出てこない二人。
    そして二人の騎士が立っていた部屋の前へとたどり着く。


    上条「ここがキャーリサの部屋だな」


    そしてようやくたどり着いたキャーリサの部屋。
    周囲に比べ一際荘厳な装飾が施された大きな扉の前で、上条は息を呑んだ。


    土御門「ああ、行って来いよカミやん。オレ達はここを守ってる」

    アックア「積もる話はあるだろうが、時間が無い、すぐに出てくるのであるぞ」


    入室を促す二人の力強い言葉。
    上条は二人の瞳をしっかり見つめ頷き、扉のノブを握った。

    948 = 917 :

    ―――英国 バッキンガム宮殿  東側城門前広場 12:50


    突如城門脇の壁を破壊した御坂に対し、顔を真っ赤にした衛兵がわらわらとさらに数人こちらに駆け寄ってくる。


    衛兵2「き、貴様何をしているっ!!」


    物凄い剣幕でこちらを怒鳴り散らす衛兵だったが、それを無視して御坂は傍らのオルソラとヒソヒソと会話を交わしていた。


    御坂「(えーっと……もうこれビリッとやっちゃってもいいのかしら)」

    オルソラ「(もう少し人が集まって来るまで待つのでございますよ。それにそろそろ皆さんも……)」


    作戦は既に開始していたが、まだ城門前には少々兵士の数が少ない。
    方々に散開している彼らをこの場所におびき寄せることに意味があった。


    騎士F「何事だ!!」


    そしてやってきたのは、この場所の指揮を取っているらしき甲冑の騎士が二名。
    それに追随して周囲の公園や宮殿内からも続々と衛兵が集まってくる。
    この時点でざっと30名ほどの兵士に囲まれていた。


    衛兵1「も、申し訳ありません、この少女が……」

    騎士G「何のつもりだ! 君、ちょっとこちらへ来なさい」


    無残に宮殿に空いた穴を忌々しげに睨んで、騎士が御坂の手を掴もうと腕をあげる。
    その時、緑に包まれた公園の方から太鼓や笛による純和風の祭囃子にも似たドンチャン騒ぎの音が聞こえてきた。


    建宮「ええじゃないかええじゃないか!」

    香焼「わっしょいわっしょい!」

    牛深「わっしょいわっしょい!」

    949 = 917 :


    御坂「」

    オルソラ「あらあらまあまあ」


    盆踊りだか阿波踊りだか分からないが、とにかく夏の町内会でよく見るような集団が現れる。
    大きな声を張り上げ、周囲の衛兵たちですら絶句するくらいのテンションで天草式十字凄教約50名が姿を現した。


    香焼「わっしょいわっしょい!」

    諫早「いやーめでたい! こんな目出度い日は花火に限るな!」

    牛深「わっしょいわっしょい!!」


    手に持つタイプの花火を両手に5本ずつくらい携えた初老の諫早がそれに次々に火を着けて花火を楽しんでいる様子を見せる。
    あまりに理解しがたい状況に、指揮をするはずの騎士ですら思考能力を奪われているかのように言葉を失う。


    御坂「(正直恥ずかしいんですけど……)」

    オルソラ「(まあまあ。これも作戦成功のためでございますよ)」


    当然これも作戦の一環なのだが、御坂は顔が熱くなってくるのを自覚する。
    まさか国外に出てこんなアホなことに付き合わされるとはと肩を落としてため息をつく。
    チラリと隣を見ると、オルソラがほわほわと楽しげに微笑んでいるのが見えた。


    騎士F「な、何だお前達は! 今日宮殿周辺は立ち入り禁止だと書いてあっただろう……!」


    ようやく状況を飲み込んだ騎士が激昂する。
    どこから突っ込んでいいものかと迷っている様子を見せながらも、しっかりと周囲の兵士に武器を構えさせて捕縛のタイミングを計っているようだった。


    対馬「ごめんなさい! この子が王女様のお祝いに用意した花火が暴発してしまったんですぅっ!」

    浦上「今日キャーリサ王女様の結婚式なんですよね! 私達是非王女様にお祝いの花火をあげたくて!!」

    香焼「わっしょいわっしょい!!」

    950 = 917 :


    女性の対馬と浦上、その他にも数名の女子が騎士を取り囲んでうるうると目に涙を浮かべる。
    対馬の口元が若干引きつってはいたが、その行動に騎士もわずかにたじろいだ。


    野母崎「申し訳ない! 謝るから勘弁してもらえないだろうか!!」

    諫早「祭りじゃ祭りじゃぁああ!!」

    牛深「わっしょいわっしょい!!」


    さらに追い打ちをかけるように囃し立ててくる面々に、完全に押されている騎士や衛兵達。
    中には呆れて肩をすくめている兵士の姿もあった。


    御坂「頭痛くなってきた……」

    オルソラ「私は少々楽しくなってきてしまったのでございますよ」

    騎士G「勘弁って……そういうわけにはいかんだろう。許可もとらず花火など……」


    だが宮殿の破壊など立派なテロ行為。
    故意でないにしろしょっぴくのが当然である。
    こめかみを抑えながら胃痛でもこらえるかのような口調で騎士が言うと、建宮が愛想笑いを浮かべてそちらに歩み寄った。


    建宮「あー、実は俺達中にいる神裂火織の知り合いなのよ。本人に確認取ってもらえれば分かる、城の壁は弁償するから見逃してもらえねぇか?」

    衛兵3「出来るか! とにかくここで騒がれても困るから一旦こっちへ……」


    妙な空気が出来上がる城門前。
    イライラし始めた衛兵が、一同を別の場所に誘導しようと試みる。


    オルソラ「建宮さん。結構たくさん兵隊さんが出てこられたのでございますよ?」


    オルソラが周囲を見渡しながらそう言った。
    御坂もそれに倣うと、確かにこの周囲の警備を担当していた兵士が既に100名近く集まってきている。


    御坂「そうみたいね。そろそろいいんじゃない?」


    それを確認してポツリと呟く御坂。


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