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    元スレキャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×6
    タグ : - とある + - とある魔術の禁書目録 + - まゆり + - イギリス + - キャーリサ + - 上条 + - 上条当麻 + - 科学者 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    801 :

    キャーリサはまともなカットが少なすぎてキャラとしてはわかりづらい
    だから逆に言えば髪型と色さえあってればこれがキャーリサだと言い張ることもでk(ry

    …ちょっと冒頭の眼鏡キャーリサでも妄想してくるわノシ

    802 = 801 :

    妄想しきれんかった、早く続きが読みたい 

    803 :

    うーめぇー! 
    けど一瞬絵柄のせいか銀さんの服着たキャーリサに見えた。

    804 = 801 :

    >>803
    党員だから無意識でレースそれっぽく描いたかも試練

    805 :

    >>802
    前の水着ラフの人かな?

    いずれにしてもうめー。乙~

    806 :

    >>802


    上手すぎますし、かわいいです。本当にありがとうございます。

    807 :

    >>804
    >>803は銀様じゃなくて銀さんと言ってるから銀魂か何かのキャラのことを言ってるんじゃないか?

    808 :

    銀だけで4人いるからなぁ
    銀と金、DTB、ローゼン、銀魂

    809 :

    俺の勝手なイメージだと銀様=ローゼン、銀ちゃん=DTB、銀さん=銀魂、銀と金

    原作でもう一度キャーリサでないかな~

    810 :

    >>802
    絶頂した
    もし書く気があったらもっとオクレ兄さん

    811 :

    銀じい→ふたりっこ

    812 :

    キャーリサ?あぁあのただのバb・・・・

    813 :

    仮にキャーリサがババアだとしても気品と美貌で他の追随を許さないし

    815 :

    黒子とかねーちんとか麦のんとか美鈴さんとかキャーリサとかのババァ好きで良かったぜ

    817 :

    >>815
    エリザード「私もお前のことが好きだぞ」

    818 :

    >>815
    ローラ「…誰かを忘れたるのよ」

    819 :

    >>815
    よかったな! ハーレムだぞハーレム!
    じゃぁ俺は黒子とちょっとラン[ピザ]ーしてくるわ


    関係ないけど>>1

    820 :

    皆さんこんにちは。
    支援ありがとうございます。モチベーション跳ね上がります。
    っていうかキャーリサって意外に需要あるんですね。
    個人的にはローラも結構好きです

    それはともかく、急遽休みで暇なので、こんな時間ですが投下させてください。

    821 :

    >>820
    おおきた!
    俺もローラ好きだぞ!その勢いで今度はローラSSなんてどうだろう?!

    822 :

    わたしは一向にかまわんッッ

    823 = 820 :

    ――――英国 バッキンガム宮殿 廊下


    コツコツコツコツ…


    ヴィリアン「……あ……」

    ヴィリアン(あそこにいるのは、姉君達……? お二人とも盛り上がっておられる様子ですけど……何かあったのでしょうか……)

    キャーリサ「それでだな、とーまは牛丼屋に連れていってくれたんだが、そこで恋人のフリを……」

    リメエア「うふふ。随分と強引な手に……あら? ヴィリアン」

    ヴィリアン「あ、姉君……お二人とも帰ってらしたんですね」

    キャーリサ「おーヴィリアンか、何だか久しぶりだし。相変わらず辛気臭い顔してるなー」

    ヴィリアン「そ、そんなことは……」

    ヴィリアン(あれ……? 姉君の機嫌がとても良いような……珍しい)

    リメエア「ヴィリアン、貴女も後学のためにキャーリサの話を聞いて行ったらどう?」

    キャーリサ「おーそーしろそーしろ。ウィリアムとの決戦に備えて有益な情報をこの偉大なる姉が教えてやるし」

    ヴィリアン「……ど、どうしてそこでウィリアムが出てくるのですか」

    キャーリサ「学園都市で会ったの」

    ヴィリアン「えっ」

    リメエア「キャーリサが学園都市で殿方とお付き合いすることになったそうよ。
          ……あっさり言ってしまったけれど、これって結構問題よね」

    ヴィリアン「ま、まさかそれがウィリアムだと……?」

    キャーリサ「違うわ馬鹿者。好みではあるが、別に妹の男をとったりなどせんし。
           もっといい男だ」 ポッ

    ヴィリアン「カチンッ……ウィリアムだって……その、素敵だと思いますけど」

    824 = 820 :

    リメエア「うふふ、こんなところで姉妹喧嘩は止めて頂戴ね」

    キャーリサ「ほほー……姉の男にケチつけるか。
           とーまはなー、可愛いんだぞー。私の胸ばっか見てくるの。
           まー私ってほら、ヴィリアンと違って胸大きいからなー。
           男は大きな胸が揺れてたら思わず見てしまう悲しい生き物だしなー」

    ヴィリアン「ウィリアムはそんなことしませんっ……だ、大体とーまって誰のことですか」

    キャーリサ「ん? 何言ってるの? 上条当麻だ、知ってるだろ」

    ヴィリアン「……へ?」

    リメエア「あらあら、私と同じ反応ね」

    ヴィリアン「ちょ、ちょっと待ってください姉君。上条当麻って、あの上条当麻ですか!?」

    キャーリサ「あの、と言われてもな。私の知ってる上条当麻は一人しかいないが」

    ヴィリアン「ど、どどどどうしてそんなことに!? 姉君は彼に顔面骨折級の怪我を負わせられたのですよ……? 
           いえ、それ以前に姉君なんて次元ごと彼を斬り捨てようとしていたじゃないですか!?
           愛の前では次元など些細な問題だということなのですか!? そ、そんな歪んだ愛情……私はどうすれば……」

    キャーリサ「落ちつけ、言いたいことは分かるが」

    リメエア「確かに私も気になるところね。真正面からぶつかりあった二人がどうしてそのようなことになるのか……。
          あれで愛が芽生えてしまったとでもいうの?」

    キャーリサ「うむ、実はそーなの」

    ヴィリアン「っ……!」 カァァッ…

    リメエア「うふふ、喧嘩して距離が縮まるなんて、子供の様ね」

    825 = 820 :

    キャーリサ「いや冗談だし。何だろーな、まー最初はあいつしか頼る相手がいなかったというのが大きな理由だが……うん。
           ふふ、しかし最初にあいつの顔が出てきたということは、結局私も最初からとーまを気にかけていたのかもしれないし。
           何せ私の顔を初めてぶん殴った男だからな……痺れたの」

    リメエア「我が妹が生粋のマゾヒストだと思うと泣けてくるわ……」

    ヴィリアン「あ、姉君……そうなのですか……? どう見てもサディストのお顔なのに……私、姉君にいじめられた記憶しかありません」

    キャーリサ「お前結構酷いなヴィリアン……。どっちでもないわ馬鹿者。虐める方が好きなのは否定せんがな。
           確かにそーいう意味でもとーまのことは気にいってるんだ。あいつ不幸が板についてるからなー。
           いじめたくなるの」

    リメエア「倒錯した愛情ね……それで、あの少年とはどこまで進んだのかしら」

    ヴィリアン「あ、姉君……! そんな不貞な……姉君は間もなくご結婚される身なのですよ……?」

    リメエア「まあまあ、いいじゃない。私としては、市井の一少年を恋い焦がれるキャーリサの方を応援したいと思うし」

    キャーリサ「姉上のそれは私どーこーじゃなくて単純に王室の息のかかった相手が気に入らないだけだろー」

    リメエア「ええ。私は私を知る者に信頼を預けるつもりは無いのだから。
          ですから、例の結婚相手の皇太子などよりあの少年を夫として迎え入れる方が私としても安心な選択だもの」

    キャーリサ「ま、私は駆け落ちするけどなー」

    ヴィリアン「なっ!?」

    リメエア「騎士団長が聞いたら卒倒しそうね」

    キャーリサ「ふふーん、とーまは私を迎えに来てくれるの。騎士団長や他の騎士共を蹴散らし、私を宮殿から外の世界へと連れ去ってくれる。
           まるで絵本の中のお姫様のよーだな」

    826 = 820 :

    ヴィリアン「そのようなこと……彼が危険です……」

    キャーリサ「ほう。お前がとーまの心配とはな。言っておくが姉の男だ、やらんぞ」

    ヴィリアン「そ、そんなこと言ってないじゃないですか……でも……姉君はそれで良いのですか……?」

    キャーリサ「……いずれ戻る。が、今は私の居場所はここには無いし、母上やお前達の足を引っ張るだけだ。
           一度どこかに身を隠し、民草達を率いて国盗りというのも、『軍事』のキャーリサの名に相応しい筋書きだと思わない?」

    ヴィリアン「そ、そんな……」

    キャーリサ「冗談だし。何にせよ今私はこの城にはいない方がいいの。
           私がいることによって議会や一部の権力者達が動きやすくなっているというのは事実だ。
           結婚し、他国の姫君となれば私はこの国の内政にはもはや干渉出来ん。
           が、一時国外で奴らの手の届かぬ場所におれば、いずれチャンスは巡って来るかも知れないしね」

    リメエア「……そんなこと宮内で口にするなんて、成功させる気が無いように思えるけれど」

    キャーリサ「騎士団長も知っていることだ、問題無い」

    ヴィリアン「彼が協力を……?」

    キャーリサ「まさか。奴は全力でそれを阻止するだろーな。あれでも騎士派の長だぞ。
           ……だからこそ、とーまが私を連れ出してくれたら、私はあいつに全てを捧げられる」

    ヴィリアン「す、全てを……」

    リメエア「顔が赤くてよ、ヴィリアン。それで? 私の質問には答えてもらえないのかしら。 
          燃え上がるような恋に落ちたなら、さぞお熱い生活を送っていたのでしょう?」

    キャーリサ「姉上も意外と下世話な話が好きなのだな」

    リメエア「宮内でそんな浮いた話を耳に出来るなどと思ってもみなかったから。
          たまにはいいでしょう」

    827 = 820 :

    キャーリサ「仕方ないなー。教えてやるし」

    ヴィリアン「……」 イラッ

    リメエア「うふふ、話したくて仕方ないという顔をしていたくせに」

    キャーリサ「うるさいなー。いーだろ別に。ふふん、聞いて驚け、何とキスまでしたぞ」

    リメエア「は?」

    ヴィリアン「キ、キスですか」 ドキドキ

    キャーリサ「しかも舌までいれた」

    リメエア「……」

    ヴィリイアン「し、舌!? 姉君……何て大胆な……」 ドキドキドキドキ…

    リメエア「それで?」

    キャーリサ「んー? まーそれくらいだし」

    リメエア「何と言うか……思ったより清いお付き合いなのね」

    ヴィリアン「き、清いですか……? 私には想像もつかない世界のお話です……」 ソワソワ…

    キャーリサ「何だ姉上、強がりか?」

    リメエア「うふふ、まさか。相手はギラギラとした若い殿方よ。
         欲望の赴くままに爛れた日常を謳歌してきたのではないかと思っていたのだけど、期待外れだったようね」

    ヴィリアン「よ、欲望のままに……」 ゴクリ…

    キャーリサ「あいつ意外と初心なんだ。そーいうとこが可愛いんだけどなっ」 フンスッ

    ヴィリアン(……ウィリアムはどうなのでしょう……やはり野性的に求められて……だ、駄目よヴィリアン。
           そんなはしたないことを考えてはいけませんっ……!) モジモジ

    828 = 820 :

    リメエア「ウィリアムは禁欲的だからあまり期待しない方がいいわよヴィリアン」

    キャーリサ「だな、あれはとーま以上の朴念仁だ。枯れてるというか、あの年で既に仙人の域だし」

    ヴィリアン「そ、そんなこと……私が頑張れば……」

    キャーリサ「ほほー? 聞いたか姉上、ヴィリアンがウィリアムにいやらしく迫るそーだぞ」

    リメエア「ええ聞いたわ。うふふ、どのように迫るのか、詳しく聞きたいものね」

    ヴィリアン「そ、それは……」 カァァ…

    キャーリサ「おーおー、カマトトぶっているぞ。何を想像しているの? 姉達に言ってみるがいーの」

    ヴィリアン「……し、知りません! 私失礼しますっ……!」 バッ

    キャーリサ「お、逃げた」

    リメエア「逃げたわね。少しからかいすぎたかしら」

    キャーリサ「いーではないの。今までウィリアムのことを散々惚気られた仕返しだし」

    リメエア「そうね。貴女が殿方の話をするなんて、うふふっ、初めてのことだもの」

    キャーリサ「むー、そー言えばそーだな」

    リメエア「まあ、貴女がか弱いお姫様を演じるのには思わず笑いが漏れてしまうけれど、
          その時を楽しみにしているわね。彼ならまあ、信頼できないこともないわ」

    キャーリサ「相変わらずうっとーしー思考だし。まー見ているがいいの。
            ふん、姉上もヴィリアンも、私に羨望の視線を向けさせてやるし」

    829 = 820 :

    8日目 夕刻

    ―――英国 ロンドン 必要悪の教会女子寮 食堂


    ザワザワザワ… ガヤガヤガヤ…


    ルチア「か、神裂さん……寮の皆がやけに集まっていると思えば……
         これは一体どういうことですか!?」

    神裂「どうもこうも……今説明した通りなのですが……」

    ルチア「私は今来たところなので事情は分かりません……ですがその、ど、どうして……」

    神裂「はあ……」

    ルチア「どうしてここに『男性』がいるんですかっ!!!???」

    神裂「ええ、おっしゃりたいことはよく分かります。私の独断で、申し訳ありませんとしか……」

    上条「えっと……ルチア、だよな。ごめんな、人目につかないところがここしか無くて。
        神裂に無理言って入れてもらったんだよ」

    ルチア「意味が分かりません! ちゃんと説明して下さい! 人目がつかないとはどういうことですか!?」

    アンジェレネ「お、落ち付いてくださいシスター・ルチア……! 私達にも何が何やら……」

    オルソラ「まあまあルチアさん。彼はのっぴきならない事情があってこちらにいらっしゃったのでございますよ。
          ここは一つ大目に見て差し上げてもよろしいのではございませんか?」

    ルチア「シスター・オルソラ……しかし、女子寮なのですから男性は絶対禁制のはずです」

    シェリー「いいじゃねぇかよ細かい事は。んなことより、今日の夕食の当番は誰だ?
          見たところ、女子寮のほぼ全員がここに集まってしまっているようだけど」

    神裂「シェリー、あなたはもう少し男性の目を気にすべきと思いますが……その格好」

    オルソラ「あらあら、寝間着姿のままでございますね」

    830 = 820 :

    シェリー「? 自分の家でどんな格好しようが私の勝手だろ?」

    上条(おおう……ネグリジェ姿がエロ過ぎますよ……。キャーリサで年上に目覚めた上条さんには刺激が強すぎます)

    禁書「とうま、顔がいやらしいんだよっ!」

    上条「ハッ! 見てない! 何も見てないぞ!」

    禁書「ふんっ」

    神裂「ゴ、ゴホンッ! 一応女子寮なのでそう言った話は控えて下さい」

    上条「はい、すみませんでした」

    アニェーゼ「ま、でも確かにシスター・ルチアの言うことにも一理あります。
           皆もそれぞれやることがあると思うんで、一部の人間だけ残って話を聞くってことでどうです?
           シスター・ルチア、貴女もそれでいいでしょう?」

    ルチア「わ、分かりましたシスター・アニェーゼ……あなたがそう言うなら。
         でも私はここで話を聞かせて頂きますからねっ」 シブシブ…

    アニェーゼ「はいはい。それじゃ皆も解散しちまってください。
           これだけ人数がいても話が進むに進まないと思うんで」 パンパンッ


    ザワザワザワ…

    ハーイ アトデハナシキカセテクダサイネー…

    ガヤガヤガヤ… スタスタスタ…


    神裂「ふぅ……やれやれ……騒ぎになるとは思いましたが、まさか全員集まってくるとは」

    「あはは……ようやく静かになりましたね女教皇様」

    831 = 820 :

    上条「はぁ……確かに。まさかこんな大騒ぎになっちまうなんてなぁ」

    アックア「だが無理も無いのである。女子寮など、私でも入るのは遠慮したいところであるからな」

    上条「アックアにもそんな感覚あんのか」

    アックア「当然である」

    土御門「カミやんは有名人だからにゃー。そりゃみんな集まってくるぜい。
          モテモテだにゃー、ははは」 カチャッ

    上条「おい! 銃口こっち向いてるから!」

    土御門「ああ悪い悪い。つい素直な気持ちが出ちまったにゃー」

    シェリー「ま、最近暇だしね。アンタが来ると妙なことが起こるから興味本位だろ。
         もっとも、それだけじゃねぇって気もするけどな」 チラッ

    神裂「?」

    シェリー「修羅場だけは勘弁して欲しいものね。
          それよかもう一度訊くが、アンタはほんとここに何しに来たんだ?」

    オルソラ「あらあらシェリーさん、お話を聞いていなかったのでございますか?
          キャーリサ王女をさらってモノにしようと企んでおられるのでございますよ」

    ルチア「!?」

    アンジェレネ「だ、大胆です……!」

    上条「話が飛躍しすぎてるぞオルソラ。そりゃ人聞き悪いって」

    オルソラ「ですが事実でございましょう。あなた様からそのお話を聞いて私も驚いたのでございますよ」

    ルチア「え、英国王女の誘拐の計画をこんなところで話し合うなんてどういうつもりですか!? 
         神裂さん、あなたまでその片棒を担ごうだなんて……い、一体どんな意図が」

    オルソラ「うふふ。愛ゆえに、でございますよ」

    832 = 820 :

    ルチア「!?」

    シェリー「ああ、そういう話だったの?」

    アンジェレネ「はわわっ!」 カァァ…

    上条「いや、その……」

    土御門「でも全くその通りだろカミやん」

    ルチア「どどどどういう……」

    神裂「その辺りは今は流してもらえると助かります。話を進めますね

    ??「ちょ、ちょっと待った!」

    上条「ん? 何だよ」

    ??「あ、あんたねぇ……愛ゆえにってどういうことよ……?」

    「御存じ無かったんですか?」

    土御門「あら、可哀想ににゃー。せっかくここまで着いて来たのに」

    上条「言わなかったっけ、キャーリサと恋人になったって」

    ??「そ、そこまではまだいってないって言ってたじゃない……本人が!」

    上条「そうそう。だから昨日正式に付き合うことになったからさ」

    ??「な、なななっ……!」

    禁書「っていうかそもそも、どうしてここにいるのかな?」

    ??「今さら過ぎんでしょ! だ、だってあんた達があんなに慌ただしく――――!」

    833 = 820 :

    ――回想――

    ――学園都市 上条の学生寮前


    スタスタスタ…


    上条「よし。インデックスの見つけた『アレ』のおかげでちょっとは戦いやすくなるかもしれないな」
     
    「本当に『あんなもの』が役に立つんでしょうか?」

    アックア「王女の読みが当たっていればこの上ない武器となるのである」

    土御門「『軍事』のキャーリサの力を信じようぜい。勝機が見えてきたじゃねぇか」

    神裂「しかしいずれにせよ兵力が足りません。彼女の読みが当たるということは、考え方によってはむしろ危険な状況です」

    禁書「確かにこれも違う意味で厄介なんだよ。不明瞭な部分が多すぎるし……」

    上条「考えたって始まらねぇ。キャーリサの勘が当たると信じて行くしかねぇだろ」

    神裂「そうですね。一先ずはロンドンの女子寮へ。向こうへ着いても二日程度しか猶予がありません。    
        その間に出来る限り仲間を集めなくては」

    上条「本当にいいのか? お前達を巻き込む形になっちまうのに……」

    土御門「カミやんの頼みなら割とみんな協力してくれるはずだぜい。
         キャーリサの奪還なんて建前としちゃ悪く無いし、全員で動けば厳しい処分も下されにくいからにゃー」

    「天草式の皆にも話をしないといけませんね。実質使える時間は今日と明日だけです。
        急がないと……」

    神裂「そちらは私と五和にお任せを。後は敵戦力が問題です……騎士派だけでも非常に面倒です。
        何か一つでも強力な戦力が投入されると途端に作戦が瓦解しかねません」

    834 = 820 :

    土御門「そこまでヤワじゃないぜい。倒す必要が無い分活路はある」

    アックア「あの男は私が引き受けるのである。が、時間的猶予から見れば恐らくそれ以外には手が回らん。
          貴様たちがどれだけ周囲を引きつけられるかで勝敗が変わってくるぞ」

    上条「充分だ、助かる。それから天草式のところには俺も行くよ、個人的なことに巻き込むんだ、それが筋だろ」

    神裂「そうですか……分かりました」

    禁書「大丈夫、信じよう。キャーリサを素早く連れ出すことが出来れば、戦力に多少差があっても上手くいくはずなんだよ」

    上条「そうだな……お、タクシーが来たみたいだぞ。んじゃ二台に分乗して……」

    ??「ちょ、、ちょっと待ったぁ!」

    上条「ん?」

    禁書「短髪なんだよ」

    御坂「あんた……大丈夫なの?」

    上条「何が?」

    御坂「いやその……さっきそこの大男に担がれていくの見たから何かあったのかなって」

    アックア「……」

    上条「あー、そういやあの公園って学舎の園が近くにあったんだったな。まあちょっと色々あってさ。
        心配かけちまって悪いな」

    御坂「別に心配なんてしてないけど……」 モジモジ

    835 = 820 :

    土御門「カミやーん。早くしないと飛行機乗り遅れるぜい」

    上条「あ、おう! じゃな御坂。悪いけど急いでるんだ」

    御坂「ま、待ちなさいよ! まだ話終わってないわよ!」

    上条「まだ何かあるのか?」

    御坂「あの女のところに行くの?」

    上条「……ああ」

    御坂「そ、そう……」

    禁書「とうま、行こう。キャーリサが待ってるんだよ」

    上条「それじゃ……」

    御坂「わ……」

    上条「?」

    御坂「私も行く!」

    禁書「!?」

    上条「駄目だ」

    御坂「どうしてよ!」

    上条「……もう学園都市には戻って来れないかもしれないんだ」

    836 = 820 :

    御坂「!?」

    神裂「上条当麻。本当に時間がありません。車に乗って下さい」

    上条「あ、悪い! 今行く! お前を巻き込む訳にはいかな」


    ドンッ! ドサッ


    上条「っとと……何だよ御坂、急に押すなよ」

    御坂「空港でしょ。早く向かいなさいよ」

    上条「何で御坂さんも一緒に乗ってくるんですかねぇ……?」

    御坂「向こう着くまでに事情説明しなさいよね」

    上条「やめろ御坂。お前もどうなっちまうか……」

    御坂「どうなっちまうか分かんないくせに私の妹達を助けてくれたのはどこのどいつだったかしら?」

    上条「……」

    禁書「短髪……」

    御坂「理由なんかいらないのよ。あんたに借りを返す絶好のチャンスだもん。
        ……来るなっつったって、飛行機ジャックしてでも行くわよ」

    上条「御坂お前……」

    837 = 820 :

    御坂「ふん。戦力が足りないんでしょ」

    上条「何でそのこと……」

    御坂「さっきの会話聞こえちゃったの。
       まさかこの学園都市第三位の超能力者、御坂美琴サマでは力不足だなんて言わないわよね?」

    上条「いや、正直助かるけど」

    御坂「じゃ決まりね。行きましょ。
       あんたは私に気なんか使わないで、やることやってりゃいいのよ。
       ……困ったときはお互い様でしょ」

    上条「……本当にいいんだな?」

    御坂「……学園都市に戻れないから何よ。仮に戻れなくたって、そこにはあんたがいるし。
        だったらそれでいいわ。……お姫様を助けるのに、供回りは必要なんでしょう?」

    上条「御坂……」

    御坂「どんな事情があんのか知らないけど、美琴さんに任せておきなさいっ!」

    838 = 820 :

    ―――英国 ロンドン 必要悪の教会女子寮


    禁書「ってかっこつけて出てきたくせに今更文句言うの短髪?」

    御坂「なっ! ち、違うわよ! ちょっとびっくりしただけで……いいわよじゃあ……もう聞かない。
        あんたのことだから犯罪に手を染めようってわけじゃないんでしょうしね。
        女に二言は無いわ! 私を好きなように動かしなさい!」

    上条「ありがとな、御坂」

    御坂「べ、別にあんたのためじゃないわよ! 借り作りっぱなしなのが嫌なだけよ! 勘違いしないでよね!」

    土御門「こいつはひっでぇツンデレだにゃー……」

    「今時こんな露骨なの珍しいですよね……」

    御坂「そこうるさい! 私のことはいいからさっさと話進めるっ!」

    禁書「短髪が自分から割り込んできたんだよ」

    御坂「悪かったわよ!」

    土御門「まあまあ。了解だぜい。
         つまり分かりやすく説明するとだな、カミやんとキャーリサは周りが殺意覚えるくらいイチャこいてて、
         でもキャーリサは色々と政治的な陰謀やら何やらがあって無理矢理結婚させられそうになっている。
         英国的にもキャーリサ的にも決して悪く無い話だけど、彼氏のカミやん的にはどうにもそいつが気に入らねぇし、
         キャーリサもそれを望んで無いからみんなで王女様かっさらって無理矢理結婚止めさせようぜって話だにゃー。
         分かったか?」

    御坂「むー……聞けば聞くほどすごいわね……」

    ルチア「なんて無謀な……」

    839 = 820 :

    神裂「簡単に言ってしまうと、酷く無茶な話です……世界的犯罪者でも目指しているとしか思えませんね」

    上条「ははっ、そしたらアックアと一緒に傭兵でもやるさ」

    アックア「ふむ……」

    土御門「ははははっ! そいつは良いぜい。実際今だってやってることそんなに変わらねぇし」

    御坂「笑いごとじゃないでしょ全然……」

    神裂「言われてみれば確かにそうですね……あまりに日常的過ぎて今まで気付きませんでしたが」

    上条「この後戻りできない段階で上条さんの人生の過酷さに気づいてもらえるなんて……不幸だなー……」

    アックア「…………私は構わんが、逃亡生活の方がマシな程度には鍛えこんでやるから覚悟しておくのであるな」

    上条「……こりゃ終わった後の方が大変だな」

    アニェーゼ「死亡フラグ立てんのはその辺にしときましょう。
           それはともかく、まあ本当にやる気なのかってはもはや訊く必要はねぇんでしょうが、勝機はあるんですか? 
           言っときますが、式場である聖ジョージ大聖堂ってのは魔術の総本山。
           並の防御じゃないですし、おまけについてくる騎士派の連中は守ることにかけちゃ腹立つくらいに強力ですよ」

    ルチア「シスター・アニェーゼ! まさか協力するつもりですか?!」

    アンジェレネ「や、やめましょうよー……せっかくイギリスでの暮らしにも慣れてきたのに、この国を追い出されちゃいますよー……?」

    シェリー「そうかしら。私は構わねぇけどな」

    アンジェレネ「シェリーさんまで!?」

    840 = 820 :

    シェリー「この際だ。騎士派の連中にこの前の意趣返しといこうじゃねぇか。
          クーデターの時はやりたい放題やられてるしね。むしろ奴らをブチ殺す都合の良い理由が出来てありがたいわ。
          何だったら、この私が一番槍を引き受けたって構わな痛っ! てめっ何すんだオルソラぁっ!」

    オルソラ「まあまあシェリーさん。そう熱くなってはいけないのでございますよ」 グリグリ

    シェリー「いたたっ! 拳骨で頭挟み込むな……!」 

    神裂「オルソラの言う通りです。騎士達を殺害するようなことは間違ってもあってはなりません」

    シェリー「王女を誘拐しようってんだ。向こうは殺す気で襲ってくるわよ」

    上条「もちろん承知の上だ。でも、それやっちまったら本当に指名手配されるし、キャーリサだって悲しむ」

    ルチア「このままでも十分手配されると思いますが」

    神裂「勝利条件はあくまでキャーリサ王女を連れ出し、安全な場所まで上条当麻とともに避難させることです。
        騎士派の妨害は当然ありますが、あくまで我々は彼らの援護に徹します。
        攻めるのではなく、超攻撃的に守るのです」

    アニェーゼ「具体的にはどうすんです? 聞けば、式は明後日だそうですけど。準備の時間なんてほとんど無いですよ」

    上条「幸い、俺とアックアには清教派を経由して式の招待状が届いてる。昼間土御門に回収してもらってきた。
       式自体にはそれで乗り込めるんだ」

    神裂「私や土御門、それからインデックスは清教派として中に入ることも可能でしょうし。
        ただ天草式は聖堂内には入れないでしょうね……」

    アニェーゼ「じゃあ私達は外で陽動って訳ですか」

    シェリー「あら? やる気じゃねぇかローマ正教」

    アニェーゼ「別に私達にとっちゃ英国の内政なんかどうでもいいことですし」

    841 = 820 :

    オルソラ「うふふふ」

    アニェーゼ「な、何ですその顔はシスター・オルソラ」

    オルソラ「アニェーゼさんも、上条さんに恩返しがしたいのでございますね」

    アニェーゼ「なっ!! そ、そんなわきゃ無いでしょう! これ以上英国に力つけられちまうってんじゃ困るってだけです!」

    土御門「ほほー……」 ニヤニヤ

    オルソラ「うふふふ」

    「……」 チラッ

    御坂「そこ! こっち見ない!」

    上条「ありがとうアニェーゼ。だが無理強いは出来ないんだ。
        確かにイギリスにいられなくなっちまうかもしれない無謀な作戦だし。
        無茶はしなくていいから、せめて俺達が行動を起こした時に邪魔しないでもらえると助かる」

    アニェーゼ「何言ってんですか。シェリーさんも言った通り、先日は結局舐められっぱなしで終わってんです。
           やられちまったらやり返すのが戦闘職の本懐ってもんでしょうが。
           あなたは素直に私に助けてくれって言えばいいんですよ」
      
    上条「アニェーゼ……」

    ルチア「はあ……シスター・アニェーゼが決めたことなら、部隊としては従う他無いでしょう……。
         信仰が弱いから負けたのだと言われたくはありませんし」

    アンジェレネ「うう……」

    ルチア「しっかりしなさいシスター・アンジェレネ! 
         我々の信仰が試されているのです!」

    アンジェレネ「わ、分かりましたよぉ……」 

    842 = 820 :

    土御門「んじゃま、これで大体の賛同は得られたってことでいいな。
         ねーちん、後で参加してくれる奴らの人数を確認して教えてくれ。
         嫌だって言う奴はもちろん無理に参加しなくていいから」

    神裂「分かりました」

    オルソラ「きっと大丈夫でございますよ。上条さんだけでなく、神裂さんやインデックスさんを慕っておられる方もいらっしゃいますし、
          皆さん協力してくれるはずでございます」

    禁書「ふぇ? わ、私も?」

    オルソラ「ほら、レイチェルさんとか、クーデターの時にお会いしたのでございましょう?
          彼女達はあなたがここに来られたことをとても喜んでいたのでございますよ。
          彼女達が今晩の夕食当番ですし、はりきっておられましたから是非ご一緒致しましょう。
          夕飯が楽しみでございますね」

    上条「ああ……あのインデックスに目いっぱい食わせてたシスター達か」

    禁書「うぷっ……思い出しただけでお腹いっぱいになってきたんだよ……」

    上条(今度からインデックスが腹減ったとか騒ぎ出したらその話をしよう)

    土御門「んじゃまず当日の作戦を流れで話しておくぞ。
         言っておくがこれを聞いたらお前らは全員オレらと共犯者だぜい。
         裏切りはもちろん、口外も絶対に許さねぇ、他の連中にも徹底させろ」

    シェリー「……するわけねぇだろ」

    アニェーゼ「当然です」

    ルチア「我らの主に誓って」

    アンジェレネ「は、はいっ……!」

    土御門「よし、んじゃカミやん。例のものを……」

    上条「あ、待ってくれ土御門」

    843 = 820 :

    土御門「えー? せっかくいい感じにピリッとした雰囲気になったのににゃー……。
         何だよカミやん」

    上条「実は、連絡を取って欲しい奴がいるんだ」

    土御門「あー……誰?」

    神裂「この国に我々に協力して頂ける可能性がある人物がまだおりましたか……?
        ステイルは最大主教のところですからすぐには難しいですし……」

    上条「違うんだ神裂。いやまあステイルにも協力はしてもらいたいところだけど、あいつのことだし……」

       ステイル『協力ぅ? 何で僕がそんなことを?』 スパー

       ステイル『あの子の危機だって言うならまだしも、これは君の私闘なんだろう?
             だったら僕が力を貸す義理は無いはずだけど?』 スパー

       ステイル『というか君。あの子を放っておいて何をやってるんだい? この場で焼き殺されたいのか?』 スパー

       ステイル『分かったら目障りだからさっさと消えてくれないか?
             僕は君程暇じゃないんでね。邪魔はしないでおいてやるから安心するといいよ。
             まあ最大主教から君を殺せと命じられたら僕は躊躇いなく燃やすけどね』 スパー

    上条「みたいな感じで断られそうだな」

    土御門「カミやんの中でステイルがすっげぇムカつく奴になってるにゃー……嫌いなのか?」

    上条「いや別に嫌いじゃないけど……」

    神裂「しかし想像に難く無いですが……どうします? 一応話を通しておきますか?」

    上条「そうだな、ま、言うだけ言ってみようかなぁ」

    844 = 820 :

    土御門「ああ待て待てカミやん、ねーちん。その辺はオレに任せてくれないか?」

    上条「? いいけど」

    神裂「何か考えでも?」

    土御門「そりゃ当日のお楽しみってことで」 チラッ

    禁書「?」

    上条「じゃ任せるよ」

    「それで上条さん、連絡を取りたい相手というのは?」

    上条「ああ。この作戦を確実なものにしたいんだ。ちょっと耳貸してくれ」

    土御門「あーん?」

    上条「ゴニョゴニョ……」

    土御門「! なるほど、そいつがいたか。すっかり忘れてたぜい」

    アニェーゼ「? 誰です?」

    オルソラ「私達にも教えて欲しいのでございますよ」

    上条「いやー、多分お前らは知らない奴だし」

    土御門「ま、こいつなら詰めとしちゃ確実ですたい。んじゃ悪ぃけどオレは別行動させてもらうぜい」

    845 = 820 :

    「では私達は次は天草式の皆のところへ行きましょう。
        作戦に関してはまた今夜か明日にでも」

    御坂「あんたまだ知り合いいるの? いつの間に海外にこんなに身内作ってんのよ……」

    上条「上条さんの血と汗で得た人脈ですのことよ。思い出すだけで泣けてきますね」

    御坂「ああ……どうせ片っ端からトラブルに首突っ込んでるんでしょうね……」

    上条「好きで突っ込んでんじゃねぇよ」

    禁書「そう? とうまは割と好きでやってると思ってたんだよ?」

    シェリー「私や、そこの聖人も含めたローマ正教の連中は元より、神裂やら天草式の連中ともやり合ったんだっけ?
          知り合いの数だけ修羅場くぐってるなんて、楽しい人生ね」

    上条「ついでに土御門にもボコられたし御坂に電撃浴びせられるのは日常です」

    シェリー「退屈しないわね。代わってくれるっつわれても絶対にお断りだけどよ」

    御坂「うーん……そう言われると何かごめん……」

    「わ、私は上条さんと争ってなんかいませんよっ」 グッ

    禁書「でもいつわは天草式なんだよ!」

    「そ、そうですけど……個人的に戦ったことは無いので……」

    オルソラ「あらあら、私は何もしていないのでございますよ」

    上条「上条さんが無条件に癒しを得られるのはオルソラだけだよ」 ホロリ

    土御門「キャーリサも敵だったしにゃー……不憫だぜい」

    神裂(インデックスも自動書記の件がありますし、よくよく考えればここにいる人物はほぼ全員敵だったと考えると、うすら寒いものがあります……。
        逆に言えば、これだけの敵対した相手を味方につけているということですから)

    846 = 820 :

    上条「まあでもこうして助けてもらえて感謝してるよ。じゃ、悪いけど話はまた後でな」

    アニェーゼ「分かりました。寮内の人間にはこっちで分かる範囲で通しときます」

    上条「頼んだ」

    オルソラ「お任せ下さいでございますよ。あなた様からのお願いだなんて、こんな機会でもなければ聞けないのでございましょうし」

    「では私達は行きましょうか」

    上条「建宮に頭下げにいかないとな」

    神裂「私からも説得しますので、大丈夫だとは思いますが……」

    上条「ああ、何とか協力してもらえるように頼んでみるよ。
        こればっかりは神裂に無理言ってもらうわけにはいかないし」

    神裂「ええ、参りましょう」

    土御門「じゃあそっちは任せたぜい、カミやん」

    上条「おう、土御門も、頼むな」

    土御門「ああ。ついでに学園都市から必要なモン超音速旅客機で取り寄せたからにゃー。
         そっちも回収してくる」

    上条「必要なもん? あー……もしかして『コレ』の……?」

    アックア「ふむ……何のつもりかと思ったが……やはり意味があったのであるな」

    土御門「その辺も戻ったら説明するぜい。それじゃな、頑張れよ」

    上条「ああ、お前もな」

    847 = 820 :


    ―――英国 ロンドン 日本人街


    上条「――ってなわけなんだけど……」

    建宮「おう。構わねぇのよな。いいぞいいぞー」

    禁書「ええっ!?」

    上条「軽っ!!?」

    「い、いいんですか!? そんなあっさり!」

    建宮「女教皇様がやるって言ってんだったら俺らが断る理由なんてねぇのよな」

    神裂「建宮……本当にいいのですか? 言っておきますが、勢力の分断を招きかねない事態に発展する可能性もあります。
        これはあくまで私が個人的に彼に協力をするだけのことですから、天草式のことはどうか切り離して考えて下さい」

    建宮「じゃあ俺らも天草式じゃねぇ一個人としてお前さんに協力してやるのよな。
        それなら納得出来るんだろ?」

    上条「建宮……」

    建宮「お姫サマの結婚の善し悪しは別にして、そこからお前さんがそいつを救いてぇって思ったんなら、俺達は後押しするだけなのよな。
        そうですよな、女教皇様」

    神裂「ええ……。複雑ですが、政治的なことをこれ以上議論しても無意味でしょう。
        我々は我々の教えに従い行動するまで。
        例えそれが国の意志に背く行いだとしても、我らの主に背くことでは無いと信じます」

    上条「お前ら、なんでそこまでしてくれるんだよ……」

    848 = 820 :

    建宮「ああ?」

    上条「俺に付き合ったって、正直得なことなんて無いんだぞ……お前達の立場だって危うくなるかもしれねぇのに……」

    建宮「お前さん、案外周りが見えてねぇのよな。いや、別に意外でもねぇか」 チラッ

    神裂「何故そこで私を見るのですか……」

    建宮「いや、五和も見てますのよな。お前さんが鈍感だってのは今に始まったことじゃ無いしな」

    上条「え……?」

    建宮「お前さんが今まで他人にしてきた行いを、そのままお前さんにするだけのことだ。
        あー……ほらアレだ。情けは人の為ならずってやつなのよ。
        神の子も言ってるのよな、人にしてもらいたいことは他人にもしろってな。
        それだけのことだろ」

    上条「……」

    建宮「お前さんとの共闘はこれで4回目か? そろそろ理解しとけ、これが我ら天草式よ。
        そこに救われねぇ奴がいる。
        女教皇様程面倒な立場にいる訳じゃねえ我らがお前さんに力を貸す理由なんて、その程度で十分なのよな」

    御坂「……」

    神裂「……」

    アックア「ふっ……」

    上条「アックア、何でお前が笑うんだよ」

    「アックアでも笑うんですね……」

    アックア「いや、恐ろしいものだと思ったのである。貴様が今まで成した事がこうして結実しつつある。
          魔術、科学双方にとって、これが新たな勢力が確実に力を着けている事実を再認識させられる結果となるならば、
          背筋が凍る思いだ」

    上条「……?」

    アックア「……余計なことを気にする必要は無いのである。
          もはや賽は投げられた。どのみち後戻りなど出来ん。
          貴様は王女を助け出すことにのみ考えを巡らせておけばいいのである」

    849 = 820 :

    上条「ああ……そうだな。建宮、よろしく頼む!」

    建宮「任せておくのよな」

    ヒソヒソヒソ… 

    上条「ん? 何だ? 何か視線が……」


    対馬「(ちょっとどういうことなの……? 例の彼がぞろぞろと女連れで戻ってきたと思えば、別の女を迎えに行く話をしてるわよ……)」

    香焼「(い、いやそれより後方のアックアすよ。何でアレが一緒に来てるんすか……正直見るだけでトラウマが……)」

    諫早「(確かに……。女教皇様とアックアが一緒というのも解せんから気持ちは分かるが、やっぱりあの男、女子を侍らせすぎじゃないか?
        五和は本当にあの男でいいのだろうか……?)」

    牛深「(っていうか何か物騒な話してますよ……。王女を誘拐とかどうとか)」


    神裂「あなた達、そんなところで何を? 今から作戦を説明しますから、こちらへ」

    牛深「は、はいっ!」

    香焼「今行くっす!」

    諫早「(おのれ上条当麻ぁ……五和の純真を弄びおって……!)」 ギロッ

    香焼「(マジ許せねぇっす!)」 ギロッ

    上条「?」

    対馬「(五和、今は耐える時よ! いずれチャンスが巡って来るまで、猛禽類のように待つの!)」 グッ

    「?」

    建宮「何やら策謀が張り巡らされているようだが気にするこたねぇのよな」

    上条「ん? おう……?」

    850 = 820 :

    建宮「それで、実際どんな感じで事を運ぶのよ? 式場は聖ジョージ大聖堂だっけか?
        魔術的な防御がひどくてどうにもならねえのよな」

    アックア「ならば式場を戦場に選ばなければ良い話である」

    建宮「ん? どういうことだ?」

    上条「これを見てくれ」

    建宮「? 何なのよなこれは。本、だな。タイトルは……『城攻め』?
        どこに需要があんのよこれ」

    上条「キャーリサが残してくれた本だ。三日目くらいに一緒に本屋で買ったんだけど、
        ここに式当日のおおまかな予定が載って書いてあったんだ。
        たぶん、キャーリサがこうなることを見越して残してくれたんだと思う」

    建宮「成程な、バッキンガム宮殿から聖ジョージ大聖堂へ移動するのは式の直前なのよ」

    神裂「そうです。つまり、当然ですがこの日は宮殿と大聖堂、両方に騎士派の警備が割かれることになる。
        おまけに騎士団長はこの日大聖堂側で警備の指揮をとることになっています。
        王女がバッキンガム宮殿におられるうちに速やかに連れ出してしまえば」

    アックア「……騎士派の合流を待たぬうちに離脱するとなれば、多少の戦力差があろうともこちらに勝機はあるのである」

    建宮「それしかねぇか。式が早まろうが何だろうが、どちらにせよ警備が手薄なのはこの日だけなのよな。
       式が始まりゃ大聖堂は騎士達と魔術による防御網で八方塞がり。それまでに決着を着けなきゃ終わりなのよ」

    禁書「でも、そんなに上手くいくのかな……」

    御坂「確かにね。それくらい向こうも分かってんじゃないの?
        あ、ねぇところでさ、さっきから普通に出てきてた所為で聞きそびれてるんだけど、魔術って具体的にどんなもんなの?」


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