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    元スレエルシィ「私の神にーさまがコミュニケーション不全なわけない」

    SS+覧 / PC版 /
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    タグ : - エルシィ + - エルシー + - ベジータ + - 九条月夜 + - 五位堂結 + - 桂木桂馬 + - 桂馬 + - 神のみぞ知るセカイ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    351 :

    えっと、書き込んでいいのかな。
    更新感謝。待機していた甲斐がありました。

    352 = 350 :

    また明日以降UPなんだぜ
    今日もしごとだったんだぜ
    旗日なんて関係ないぜ
    生きるってツライ

    353 :

    一方俺はこのSSを読みながら生きててよかったと思っていた

    おつ!

    354 :

    驚いたぜ
    まさかこんなとこで原作者の創作が見れるだなんて思ってなかったよ…よくやった!

    355 :

    何でサンデー売れないんだろうな

    356 = 354 :

    >>355
    確かにそうだなまさに神のみぞ知る…

    357 :

    一気に追い付いたぞおおおおおお

    358 :

    俺の中じゃ、ジャンプ、マガジン、サンデーの中じゃ、神知るが一番楽しみなんだが、、

    360 :

    む、作者どうしたんだ?クリスマスは終わったぞ?

    361 :

    今、仕事終わって帰着
    更新は、今日か明日です

    363 = 361 :

    『放課後、下校フェイズ』

    「それじゃ、どこかに寄って帰ろうか」

    美生「そこまでいうなら、いっしょに帰ってあげなくもないんだから」

     いわゆる、下校イベントである。

    364 = 361 :

     攻略対象との好感度によりランダムに発生したり、幼馴染が同じ学校に居る場合は、デフォルトとして固定されるものだ。

     ちなみにエルシィはこの場にいない。

     ボクの指示で、月夜の中に居たはずのもう一匹の駆け魂を探させている。

     ハクアの時のように、なまじ負のエネルギーを蓄えさせると厄介だし、また他の隙間に入る前に捕らえなければ、面倒ごとが増えるだけだ。

    365 = 361 :

     気が重いな。本当にこのままだとゲームをする暇も無いぞ、まったく。

    「また、考えごとかい、桂木くん」

    美生「レディがふたりも居るのに……本当に無作法な男ね」

    「いま、どこかに寄って遊んでいこう、って話をしていたんだけど」

    「何か希望はあるかい」

    桂馬「ゲームがしたい」

     衆議は一決し、ボクたちはゲームセンターへと行くことになった。

     それにしても、不甲斐ないな、我ながら。

    366 = 361 :

     結がいると受身にまわってしまう。これは、強制イベントなのか?

     いまいち彼女の意図が読めてこないこともあり、調子が狂う。

     大体が、こいつのどこにスキマが出来る要因があるんだ。

     かつてのように自由を束縛していた干渉はないし。

     バンドに加入して好きな音楽は続けてるし。

    367 = 361 :

    桂馬「……これならゲームがまともに出来ないボクのほうがよっぽどストレス溜まってる」

    桂馬「とかいってる間に到着したぞ」

    桂馬「ここは、田舎の舞島にしては頑張っている中々に大きいゲームセンターだ」

    桂馬「そこはかとなく漂う寂寥感が一際目立つ」

    桂馬「利点は学校から近いぐらいだが、時々教師が見回りに来ているらしい」

    桂馬「ボクもたまに利用している」

    桂馬「構造は全3階建て」

    桂馬「一階はクレーンゲームがメイン」

    桂馬「二階はプリクラや音ゲー」

    桂馬「三階はビデオゲーム、レトロなものが多い」

    桂馬「学生がたくさん屯してるのは、一・二階に限定される」

    桂馬「三階はほとんどがその手のマニアばかりだ。素人にはお勧めできない」

    桂馬「……描写はこのくらいでいいだろうか」

    桂馬「この手法はありし日の、剣乃ゲームを思い出させる」

    桂馬「自分でいっててちょっとむなしい」

    美生「さっきから、何を一人でブツブツと独り言をいってるの?」

     ボクは描写を省いてやったたけなのに。

    368 = 361 :

    「うわー、いろいろあるんだね」

    美生「じーっ」

     再述すると、一階はクレーンゲーム機がメインだ。いちいち説明はいらないくらい、一般には認知されているが、
     お嬢様のふたりにはそもそもこのような下賎な場所に出入りする経験がなかったのだろう、
     目をキラキラさせながら、プラ箱の中の景品に見入ってる。

    美生「……あのクマ、かわいい」

    「そうだね、すごく愛らしいね」

    桂馬「……」

    369 = 361 :

     どうやら庶民と高貴なかたがたの感性は著しくかけ離れているらしい。

     ふたりが手放しで賛美するぬいぐるみに、ボクは美を見出すことが出来なかった。

    「よし、ボクがとってあげる! まかせて」

    美生「結、がんばって!」

     結は勢い込んで、硬貨を放り込むとスティックを操作し、アームを獲物に目掛けて振り下ろした……。

     ――。



     ―。


     が。

    370 = 361 :

    「おかしいなぁ、全然取れないや」

    美生「ちょっと、しっかりしなさいよ」

     所詮は素人の悲しさ。基本の動かされるやつから動かす、という作業すら怠る彼女に勝利はなかった。

     ほとんど博打と同じだ。どう考えても、費やした代金ほどの価値の無い物を、どうして人は躍起になって手に入れようとするのだろうか。

    「む。なんだよ、桂木くん。その顔は」

    桂馬「いやいや。どうだ、もう堪能したか」

    美生「こんなの取れるわけ無いじゃない、詐欺よ、詐欺」

    桂馬「ふふふ」

    「――桂木くんはゲーム得意かもしれないけど、君でも無理だよ、これは」

    371 = 361 :

    桂馬「無理?」

    桂馬「いま、無理といったか?」

    美生「取れるの?」

    桂馬「取れる」

    「随分と自信があるみたいだけど」

    桂馬「自信ではない、これは確定事項さ」

    372 = 361 :

    「面白い、賭けをしないか? ボクが使った分だけで君が二つ以上取れたら」

    「君のいうことをなんでも聞こうじゃないか?」

    美生「うん。いくらお前でもこれは無理ね」

    桂馬「その言葉、忘れるな」

     ならば、見せてやろう。

     ――禁断の落とし神モードを!!

    373 = 361 :

     ボクはコインを投入口に叩き込むと、右手の指を鳴らし、ジョイスティックに添える。

     アームの能力、クレーンの角度、位置、起動範囲。

     それらは、全てとうの昔に把握している。まるで、何千回何万回、通いなれた道を、昼日中歩くように。

     イメージしろ。

     自分がゲームの神ならば。

     叩き込め。

     勝利に至るルートを。

     選別しろ。

     確定した未来を逆に辿るように。

    374 = 361 :

     ボクはコインを投入口に叩き込むと、右手の指を鳴らし、ジョイスティックに添える。

     アームの能力、クレーンの角度、位置、起動範囲。

     それらは、全てとうの昔に把握している。まるで、何千回何万回、通いなれた道を、昼日中歩くように。

     イメージしろ。

     自分がゲームの神ならば。

     叩き込め。

     勝利に至るルートを。

     選別しろ。

     確定した未来を逆に辿るように。

    375 = 361 :

     脳幹から全身をつなぐ霊脈に、電力が駆け巡るイメージ。

     幾千、幾万の道が勝利に向かって、ただ一筋を導き出す。

    美生「け、桂馬」

    「桂木、くん」

    桂馬「――ボクは、神だ!!」

     ボクは、ボタンを押し込んだ瞬間、勝利を確信した。

    ……。



    …。



    桂馬「わ、ははははは、わははははっ」

    376 = 361 :

    「ちょっと、こんなにもって帰れないよ!」

    美生「桂馬のばかー!!」

    桂馬「ふ、神に逆らうからだ」

    「だからって、全部中身を取り出す必要はないと思う」

    客A「ワンコインで筐体の中をカラにするとは」

    客B「おそろしや」

    店員「……」

    「ねえ、お店の人がすごい目で睨んでる。いこうよ」

    桂馬「その前に、これ」

    377 = 361 :

    「え?」

    桂馬「その豚の人形、欲しかったんだろ」

    「わ、わたし……ボクに」

    桂馬「結はそれにこだわりすぎた、だから失敗したんだ」

    桂馬「何事も、【離】が重要だ」

    桂馬「近づきすぎると、見えなくなる。離れすぎても、な」

    「けい……桂木くん、ありがとう」

    「あと、このストラップ、犬だから」

    桂馬「……」

    378 = 361 :

    くいっ、くいっ。

    美生「桂馬。よくやったわ。このくまのぬいぐるみは、そのアンタがわざわざ苦労して取ったんだし、
    もらってあげるから、ありがたく思いなさいっ」

    店員「それ、ヌートリアです」

    桂馬「……」

    「……」

    美生「……」

    379 = 361 :

     誰得だよ。

     それにこの造形。失敗作ってレベルじゃないぞ。

     美生は、なんとも形容しがたい顔をしていたが、最後に微笑んだような表情をした。

     いいんだ、無理しなくて。 

     ユーザー甞めてる会社は、天罰が下るから。

     倉庫に、赤猫這わされたりするから。

    380 = 361 :

    桂馬「……二階に行くか」

    「うん」

    美生「ええ」

     び、微妙な雰囲気になってしまった。

    381 = 361 :

    桂馬「……二階はプリクラ、いわゆるプリントシール機のフロアになっている」

    桂馬「一世を風靡したいわゆるプリクラは、2002年をピークに減少傾向を続けている」

    桂馬「斜陽産業だ」

    桂馬「アトラスは撤退したのに、バンダイは作り続けている」

    桂馬「需要があるのか? あるんだから作ってるんだろうなぁ」

    「また独り言かい?」

    桂馬「いや、鴨と葱と猟師の話だ」

    「よくわからいけど、深遠だね」

    382 = 361 :

     そうでもない。

     話の流れとして、結と美生、ボクの三人でプリクラを撮った。

     これがエルシィのいっていた青春の一ページってやつだろうか。

     ……デフラグの処理画面を見つめていたほうがマシかも知れない。

     こんな子供騙しでも、一度もやったことの無い小娘どもには大人気だ。

    美生「ちょっと、あんまりくっかないで!」

    383 = 361 :

    桂馬「真ん中はやめてくれ! 寿命が縮む!」

    「いつの時代の人間なんだ、君は」

     撮影が終了した後、シールを仲良く分け合う。

     ふと、顔を上げた瞬間、隣のブースから出てきた30代くらいの女性と眼が会い、同時に視線を逸らす。

     ボクは切ない気分で悔し涙にまみれた。

     一息入れよう、という所か、壁に寄りかかっていると、目の前に紙コップが突き出される。

     顔を上げると、憎らしいほどさわやかな顔をした結がいた。

    「おつかれさま。っていうほどでもない?」

    384 = 361 :

    桂馬「――美生は」

    「化粧を直してくるって」

    桂馬「ああ、そういえばお前に聞こうと思っていたことが……」

    「なんだい、なんでも聞いて欲しいな、君になら」

    桂馬「だから、そう顔を近づけてくるなよ」

    「つれないな。そこが、またかわいいんだけどね」

    桂馬「逆じゃないか。そんなことはどうでもよくて」

    桂馬「結、どうしてそのお前はそのカッコするようになったんだ」

    桂馬「女子なのに、男子の服装というか」

    「うん。うーん、それは、楽だからかな」

    385 = 361 :

    桂馬「ラク……」

    「君にはわからないだろうけど、女の子にはいろいろしがらみがあってね」

    「この格好なら、まだるっこしい女言葉を使っても不自然じゃないし」

    「そう、すごく心がやすらかなんだ」

    桂馬「……」

    「な、なんだよ」

    386 = 361 :

    桂馬「……」

    「なにか、おかしなこといったかな?」

    桂馬「……」

    「ねえ、なにかいってよ」

    桂馬「……」

    「ねえってばぁ」

    桂馬「見かけにこだわることに意味があるのかな」

    「え」

    桂馬「本人が満足しているなら、問題ないだろうけど」

    「なんだよ! いいたいことがあるなら、はっきりいったらどう!」

    387 = 361 :

    桂馬「世の中なんでもかんでも、1とゼロに割り切れない」

    「ボクが、中途半端だとでも?」

     驚いたな。軽くつついただけで、こんなに激昂するなんて。

    美生「--!!」

    桂馬「ちょっと待て」

    「まだ、話は――!」

    桂馬「残念だが強制イベントらしい」

    「はぁ!? またわけのわからないことを!」

    388 = 361 :

    美生「――だから、ぶつかってきたのは、そっち! いい加減にしてよ!」

    リョー「あーん、テメーのせいでコーヒーがこぼれちまったじゃねーか!」

    帽子「やったれ、やったれー!!」

    [ピザ]「なめてんのかよー、おい!」

    桂馬「また、お前らか」

     また、このパターンか。

    389 = 361 :

     それにしても、この三人組いつもいつも忘れたころに登場するな。

     面子もブレないし。

     兄弟なのか? 兄弟なのか?

    美生「桂馬!!」

    リョー「また、テメーか。コラコーラァ!! しっかも、また女連れ!」

    [ピザ]「許せませんなぁ――」

    帽子「やったれ、やったれー!!」

    美生「――こいつら、私にぶつかってきて、慰謝料払えとか」

    美生「おまけに、私の身体イヤラシイ目で……。やっつけて!」

    リョー「おーい、こっちも選択肢くらいありますよー!」

    帽子「そうだ! リョーくんはロリじゃないぞ! おっぱい好きだぞ!!」

     どっちにしろ、ボクがどうにかできる相手じゃない。

     自慢じゃないが、腕力は女以下だ!

    390 = 361 :

    桂馬「あー、その、まずはお互い交渉のテーブルについてだな」

     ここは、大人の対応で丁重にお取引を願うしかない。

    「ここはまかせて」

    桂馬「結?」

    「君たち、かよわい女の子に向かって乱暴するなんて酷いじゃないか!」

    リョー「ら、乱暴?」

    帽子「蹴り入れられたのはこっちなんですがね」

    「ボクが相手になるよ」

    桂馬「ちょっと、待てって! ツマンナイ意地張ったってしょうがないだろ」

    桂馬「とにかく、ここは話し合ってだな」

     相手は男三人だ。人間出来ることと出来ないことがある。

    391 = 361 :

     美生や結のことを考えれば、下げたくない頭だって――。

    「見損なったよ、桂木くん!! えい!」

     ぽか。

    桂馬「ぎゃー」

    リョー「ってーな。この野郎!!」

     おい、少し待て。結は女なんだぞ。

     あれ。

     あれあれ、もしかしてこの馬鹿、光物出して。まるで気づいていない!

    桂馬「おい!!」

    392 = 361 :

    「え!?」

     気づけば、ボクは彼女の前に飛び出していた。

     長髪の男が、自分の握り締めていたナイフを震わせながら硬直している。

     遅れて、鋭い痛みが右手の指先を襲った。

    桂馬「――っ」

    リョー「し、知らね、知らね、オレが悪いんじゃ、あ・あ」

    [ピザ]「や、ヤバイ。ヤバイって」

    帽子「に、逃げよ、リョーくん!」

     どくどくと右の親指から真っ赤な血が噴出す。

     案外な量に、痛みよりも驚きのほうが大きい。リノリウムの床に血痕が流れ、小さな池になっていく。

    393 = 361 :

    「あ、あ、ああ。か、桂木く、ん」

    美生「どいて!!」

    美生「桂馬、しっかりして、今救急車呼ぶから!!」

    桂馬「……いや、必要ない」

     警察は展開上まずい。

    394 = 361 :

     それに、結の身体から立ち昇る妖気。

     ――あの時と同じだ。

    美生「必要ないって、そんなワケないでしょっ!! ばかぁ!!」

    「わ、わた、私」

     ダッ!

     真っ青な顔をした結は、ボクと目線が合うと同時に、首を左右に振りその場を駆け出した。

    桂馬「おい! ちょっと、待て!」

    桂馬「くっ!」

    桂馬「美生、結を追ってくれ!! あの顔だ、何をするか、わからない!」

    美生「え、でも、怪我が!」

    桂馬「頼む、ボクは走れそうも無い」

    桂馬「無理をいってる。でも、今は君しか頼れない」

    395 = 361 :

     彼女の逡巡が見て取れた。

    美生「……わかった。すぐ戻るから! そうしたら病院に連れて行くわ」

    美生「ここを離れないで!」

     こうしている時間すらもったいないと判断したのか、彼女は落ち着いた声でうなずくと、走り出した。

     とにかく人が集まってくる前にここを離れないと。

    桂馬「……こんなパターン想定してないぞ。だが」

     ボクは携帯を左手で操作すると、エルシィに掛けた。

    携帯「――電波の届かない所におられるか、電源が入っていないためかかりません」

    桂馬「おい、なにやってるんだ!」

    桂馬「大事な時に。っ、やばい」

    396 = 361 :

     意識が。指先には神経が集中しているから、思ったより血が出るもんだ。

     路上で倒れ掛かった時、背中を誰かの手が支えた。

    ハクア「なーに、やってるのよ。って、どうしたの!!」

    桂馬「ちょうどよかった」

    桂馬「少し、手を貸してくれないか」




    ~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~

    397 = 361 :

     私。

     全部私のせいだ。

     一気に階段を駆け下りる。

     胸の中が重苦しい。喉から泥を無理やり詰め込まれたみたいに。

     自分でもどうして、あんな風な態度を取ったか理解できなかった。

     よく考える必要も無く、あの時は詫びてしまえば問題など無かったのに。

     無意味に我を張ってしまった。

    398 = 361 :

     桂木くん、ごめん、桂木くん。

     戻って、今からでも謝らないと。

     怪我をしている彼を置いてきてしまった。

     すっと、頭から血が引くのが自分でもわかった。

     ――怖い。

     ――嫌われたくない。

     男の格好をしていたのは、そうすることで、自分を変えられると思ったからだ。

     中途半端。

     そんなこと、一言もいってないのに。

     なぜか、咎められた気がした。

     だから、男以上に雄雄しく振舞ってみせたかった。

     見せなければ。

     本当の自分は。

    399 = 361 :

     弱くて、勇気が無くて、殿方と口をきくのも怖いくらい臆病なのに。

     強くなりたい。

     強くなったのか、気のせいではないのか?

     格好だけではないのか。

     いつも、怯えていた。

     自分では変われたつもりなのに。

     ――そうすれば、きっと。真っ直ぐに想いを伝えられるとそう信じたのに。

     怖いよ、桂馬様。


    ~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~

    400 = 361 :

    ハクア「お前はどう見ても喧嘩するタイプじゃないでしょう。まったく」

    ハクア「危険になったら逃げるくらい、どんな下等動物でもする!」

    ハクア「まったく」

     ぐーる、ぐーる、ぐーる。

    桂馬「おい、そんなに包帯巻く必要あるのか」

    ハクア「怪我人は黙ってゆーこと聞く!!」

    桂馬「へいへい」

     ボクは自分の部屋で治療を受けながら、先程の事を思い返していた。

     結の過剰なまでの反応。

     彼女はどう考えても攻撃的な性格ではなかった。だとすると――。

    桂馬「……憑依者は駆け魂の力を引き出す」

    ハクア「なんの話よ。おまえが怪我したのもその子のせいなんでしょ」

    桂馬「なに、怒ってるんだよ」

    ハクア「別に。それに助けてもらったっていうのに逃げ出すなんて」

    ハクア「最低ね、そいつ!」


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