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    元スレエルシィ「私の神にーさまがコミュニケーション不全なわけない」

    SS+覧 / PC版 /
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    タグ : - エルシィ + - エルシー + - ベジータ + - 九条月夜 + - 五位堂結 + - 桂木桂馬 + - 桂馬 + - 神のみぞ知るセカイ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    51 :

    支援するのですね

    52 :

    支援するよ

    53 :

    もうじき一週間経とうとしてるので、読者がいることをアピールしてみる支援

    54 :

    ちょっといそがしいんで、今週中にはもう少し進める予定なんだぜ

    55 :

    まじか、もう諦めてたぜww

    56 = 54 :

    あきらめたらそこで終了なんだぜ

    57 = 54 :

    今年中には完結させます。

    59 :

    『放課後:教室』

    桂馬「ん~」

    桂馬「放課後になってしまった」

    エルシィ「にーさま、いったいどこにいってたんですか! 月夜さんも見つかりませんし」

    桂馬「しっ」

    エルシィ「?」

    月夜『桂馬、この方はどなたですか』

    エルシィ「にーさま、ゲームしてる場合じゃありませんよ」

    60 = 59 :

    桂馬「慌てるな。これが月夜だ」

    エルシィ「にーさま」

     エルシィの目がドブ川に落ちた野良犬を見るような目つきに変わったのがすぐに理解できた。

     何度もいうようだが、こいつは時々ボクを無意識的に下に見ている部分が、あからさまに外面に出ることがある。不愉快だ。

    桂馬「おい、ボクは現実逃避しているわけじゃないぞ」

    エルシィ「にーさまぁ」

     エルシィの語尾が濁音で滲んだ。黒々とした瞳があっというまに潤んでいく。

     まったく人の話を聞かないやつだ。ボクは、PFPを机の上に置くと、月夜には聞こえないくらいの小声で耳打ちした。

    桂馬「たぶん、駆け魂の影響だ。前回は小人化だったろ。今回は2D化した」

    エルシィ「つーでーか」

     一瞬で内容が処理領域を踏破したのか、エルシィの顔から表情が消え去った。

     まるでアホの子のようだ。

     いや、アホなのか……。

    月夜『桂馬』

    桂馬「月夜」

    エルシィ「にーさま、きもちわるいです」

    桂馬「うるせ」

    61 = 59 :

    月夜『まだ、話の途中なのですね』

     画面上でデフォルメ化された彼女が、つんと顔を横向きに反らせる。

     リアルでやられればウザイだけだが、なぜだろう。2次元では全てが許される。

     背景シーンの塗りと、人物のコントラストの差も完璧だ。実に申し分ない。

    桂馬「なぁ、エルシィ。月夜、このままでいいかな」

    エルシィ「いいわけないでしょう!」

    月夜『別に私はかまわないです』

    月夜『ここにいれば、私はずっと桂馬といっしょにいられます』

    62 = 59 :

    月夜『桂馬、ずっといっしょに居てくれますよね』

    桂馬「……ああ」

    エルシィ「にーさまの二次コンを甘く見すぎていました」

     何が二次コンだ。これぞ完璧な世界の融合だ。究極の一だ。

    月夜『桂馬』

    桂馬「月夜」

    63 = 59 :

    エルシィ「にーさま!!」

     エルシィがボクの腕を発狂したチンパンジーのような握力でぐいぐいと引き寄せる。

     しかたなしに、月夜の入ったPFPを机に置いて壁際に移動した。

    エルシィ「にーさまはそれでいいかもしれませんが、私は彼女がゲーム機の中で幸せになれるとは思えません」

    エルシィ「冷静になってください」

    桂馬「ボクはいつだって冷静だ」

     冷静すぎるくらい冷静だ。

    エルシィ「ぜんぜん冷静じゃありませんよ」

    桂馬「失敬な。おまえにボクの何がわかる」

    エルシィ「私のほうが、にーさまよりも、にーさまのこと一番わかってるんですっっっ!!!」

     そんな無茶苦茶な。これだからリアルは。

     真っ赤に顔を引きつらせたエルシィは、両手を水車のようにぶんぶん振り回しつつ、距離を詰めてくる。

    64 = 59 :

     本能的な恐怖を感じた。ボクは、理性的に事態を打開しようと、彼女を説得にかかった。

    桂馬「おまえの理論は破綻している」

    エルシィ「きーっ!!」

    桂馬「わー、ばか、やめろ、こら。暴れるな」

     事態が悪化した。現実は非常だ。

    歩美「なんだなんだー」

    65 = 59 :

    ちひろ「どーした、エリー馬鹿兄貴にいじめられたのかー」

     先ほどから教室の隅で、こちらをちらちら気にしていた野次馬どもが、ここぞとばかりに介入してくる。

    エルシィ「わーん。ちひろさーん、にーさまがゲームばっかで、私のことかまってくれないんですー」

    ちひろ「なにー、桂木。こんなかわいい妹をいじめるなんて、どうしようもないなー」

    歩美「妹にはやさしくしてあげなさいよね」

    桂馬「だーれが、妹だ。誰が」

     やっかいなのが沸いてきた。

    桂馬「このバグ魔が……」

    66 = 59 :

    これ以上横道に逸れさせるんじゃない。ボクは今、どうやって駆け魂を出すか必死に考えているのに。本当に、役に立たないヤツだ。

    エルシィ「ひん、ひん」

    歩美「桂木」

    ちひろ「クズー、人間のゴミー」

     ダンゴ虫のように丸まったエルシィを抱きかかえるようにして、二人がこちらを睨みつけている。

     クソ、不完全リアル女子がっっ!

     腹の底ではなに考えているかわからないくせに、こんな時ばかり団結したふりしやがって。

    67 = 59 :

    桂馬「月夜、とりあえずこの場を離れるぞ」

    月夜『ここは騒がしいのです。静かな場所に行きましょう』

     ボクがPFPの月夜に向かって話しかけるのを見とがめた歩美は、傷ついたような顔をして眉をひそめた。

    歩美「かつらぎぃ」

    ちひろ「とうとう脳が……」

     脳が何だというんだ!!

     ボクはバッグを背負うと悠然と、教室を後にした。

    68 = 59 :

    移動フェイズ『校門前』

    月夜『どこに向かっているのですか?』

    桂馬「ボクんちだよ」

     三々五々、下駄箱から吐き出されていく人ごみに紛れて歩くと、一日の疲れがどっと圧し掛かってくるような気がして、軽い眩暈を感じた。

    月夜『桂馬、だいじょうぶですか? 顔色が悪いのです』

    桂馬「問題ないよ、それより」

    桂馬「おまえ、今の自分の状態、理解しているのか?」

    月夜『――よくわかりません』

    桂馬「聞きかたが悪かった。月夜から、ボクはどうみえる?」

    月夜『どうって、私は今自分の部屋に居るみたいです』

    月夜『でも、どうしてもドアから外に出られないのです』

    69 = 59 :

    月夜『目の前には、普通に窓があって、そこから桂馬の顔が見えるのです』

    桂馬「ボクの顔?」

    月夜『桂馬の顔と、周りの風景。見える場所は刻々と変わっていくのです』

    月夜『ドキュメンタリ番組を延々と見させられている気分です』

    桂馬「ふむ」

    月夜『ケージに入れられた、猫か犬といった気分ですね』

    桂馬「体調は、どうなんだ」

    月夜『その、なんだか胸がモヤモヤして頭がぼーっとします。でも、悪くないです』

    月夜『特に、桂馬の顔を見ていると、なんだか胸がいっぱいで……。うまく、言葉で言い表せないです』

    桂馬「そうか」

    70 = 59 :

    月夜『ところで』

    月夜『屋上で会った女性のこと聞かせて欲しいです』

    桂馬「あ、あれか? あれは、ボクの妹だ」

    月夜『そちらではありません。背の高いほうです』

    桂馬「ちょっとした顔見知りだ。たぶん、もう会うこともない」

    月夜『……その会うこともない方が、しおらしくお待ちになっているのですっ』

    71 = 59 :

    「……」

     月夜の噛み付くような口調に顔を上げると、校門の前には獲物を待ち伏せる猫科の猛獣の目をした女が、

     一片の隙も無く、ボクとの距離を測っていた。

    桂馬「主将」

    「桂木」

     視線が絡み合う。彼女の瞳に慈悲を探したが、皆無だった。

    「じゃあ、ちょっとお話しようか」

     ボクが知る彼女の中で、もっとも美しい笑顔だった。

    桂馬「弁護士をよんでもいいかな?」

    「むり」

    月夜『けいまぁ』

    72 = 59 :

    桂馬「ごめん、ちょっと隠れてて」

    月夜『んぐーっ』

     ボクはPFPをバッグに仕舞い込むと楠から距離をとった。

    「……」

    「おしいな、いますぐそのゲーム機を粉々にしてやろうと思ったのに」

     こうしてボクは殺人を未然に防いだ。

    桂馬「主将、ホント、今日は混みいってて、時間がないんですよ」

    桂馬「だから」

    「なんだよ」

    73 = 59 :

    「そんなに、私とは話す価値も無いのか?」

     彼女とボクの背は、ほとんど同じだ。直視した瞳に、背後の蒼穹が溶かし込んだように見えた瞬間、不意に歪むのを見た。

     両腕を組んで強気に振舞っているが、心理学的にいえば防御姿勢であり身構えている自分を守る典型的なサインだ。

     表情こそ怒ったように強張らせているが、知らない場所に置き捨てられたような子犬の目ですがられると、ボクの胸の奥が軋むように痛ん

    だ。

    桂馬「はぁ」

     学内でも評判の楠とこれいじょう校門前で言い争っても衆目を集めるだけでたいした意味は無い。むしろマイナスだろうか。

     くそ、攻略以外ではリアルと接触しないと決めていたのに。

     不合理すぎる。

    桂馬「わかりましたよ、別の場所で話しましょう」

     どうせリアル女子と言い争って勝てるはずも無いのだから。

    74 = 59 :

    移動フェイズ『下校』

    「♪」

    桂馬「……」

     背中に負うたデイパックの中から必殺の気合を感じる。間違いなく月夜のものだ。

    「ん、んーゴホン。私も、いろいろと忙しい身なのだが。後輩たる桂木の面倒も見なければならないのがツライところだ」

     気合の波動が強まったのを感じた。間違いなく、ボクの寿命は大きく削られている。

    「そ、その、男子と学外を歩くことはあまり無くてな。なにか、気恥ずかしいな」

     必殺の潮合。極まった。

    75 = 59 :

    桂馬「主将、そんなにボクのことが嫌いですか」

    「ん? なんのことだ?」

     こんなイベントいらねーよ。

    「ところで、どこにむかっている」

    桂馬「ボクの家」

    「っ、おい。まだ、そんな、ちょっと早すぎるぞ。その、私はお前のことまだよく知らないし。いや、そーゆうことではなく、桂木が基本的
    には悪いやつではないということは知っているが、その段階を踏んでだな」

    桂馬「……」

    桂馬「そーいうのもーいーから」

    「な、なにーっ!!」

    76 = 59 :

    電柱

    歩美「……うそ」

    ちひろ「……」(←ちょっとムッとしている)

    エルシィ「にーさま、駆け魂はーどーすれば」

    ちひろ「ねーエリー。桂木のやつどこに向かってるかわかる?」

    エルシィ「はやや。たぶんおうちだと思いますー」

    歩美「――なんで」

    ちひろ「よし、ふたりは私の後をしっかりついてくるよーに」

    エルシィ「わわわー、歩美さん。しっかりしてくださいーい」

    77 :

    > 桂馬「なぁ、エルシィ。月夜、このままでいいかな」

    わろた。駄目すぎるww

    78 :

    面白い

    79 :

    かのんは出られるのだろうか

    81 :

    桂馬「なんだろう」

    「どーしたんだ、いきなり立ち止まって」

    桂馬「着々と何かが進行している気がする」

    桂馬「つまりはいやな予感だ」

    「――さっさと進め」

    桂馬「いちいち頭を叩かないでください、データが飛ぶ」

     そんなやり取りをしながらしばらく歩いていると、自宅兼喫茶店であるカフェグランパが見えたきた。

    82 = 81 :

     営業時間は9:00~17:00、休みは火曜定休だが、母さんの気分によって急遽しまることがよくある、こじんまりとした店だ。

     20人も入ればいっぱいになってしまうこの店はほとんど趣味としか思われない。

     島の家が壊れた際に、じーちゃんが住んでたここにボクら家族は越してきた。

    「なんだ、桂木。喫茶店じゃないか、ここは」

    桂馬「ここがボクんちなんです。一階は店です」

    「へぇ~(どきどき)」

    「ん、んっ。軟弱な(か、かわいいお店だな)」

     ゲーム内では美人の先輩との下校シーンなど垂涎モノのはずだが、リアルに置き換わるとあら不思議。

     気は使うわ、体力は使うわ、ストレスが溜まるわ、SAN値が高まるわでいいとこなどなにもないわ。

    83 = 81 :

    桂馬「……にしても、ゲームならワンクリックで移動できるのに、どうして現実はこんなにも不親切な設計なんだ」

    「またゲームの話か。おまえの頭の中にはゲームしか詰まってないのか」

    「なんていうか、本気で心配になってきたぞ」

    「あ、あくまで先輩としてなんだからなっ!」

     リアルツンデレうざいです。

    84 = 81 :

    「あ」

    桂馬「どうしたんですか」

    「その、お前のご家族の方がやってらっしゃるのだろう。手土産を持ってくるの忘れてしまった」

    桂馬「……ここがボクんちなんです。一階は店です」

    「おい、流すな」

    麻里「いらしゃーい、あら桂馬。おかえりなさい」

     丸窓に格子の入ったガラスを嵌め込んであるドアを手前に引くと、母さんがグラスを拭く手を止めてこちらを見た。

    桂馬「――ただいま」

    「こ、こんにちわ」

    85 = 81 :

    麻里「こんにちわー」

    桂馬「……」

    「……」

    「……」

    「……(なんだ、このプレッシャーは)」カタカタ

    麻里「えー、えーと。桂馬、ちょっとちょっと」

    桂馬「なに?」

    麻里「お、おめでとう」

    桂馬「だからさっきから何の話をしているんだ」

    麻里「え? 彼女つれてきたんじゃないの?」

    「///」

    86 = 81 :

    「ちがいますっ。あの、お母様、私は3年の春日 楠と申しまして、今日は」

    麻里「あらー、ふたりで仲良くいちゃいちゃしにきたんでしょー。
    ごめんねー気が利かなくてー。うちの子こんなんだけど仲良くしてあげてねー。かわいいところもあるのよ、ホント」

    「そ、その確かにかわいいところはありますが……」

    麻里「あららー。ごちそうさま」

    「ちょっ、ちちちがいます。おい、桂木、そのお前のなんとかいってやれ」

    麻里「そっかー。楠ちゃんはお姉さんなのね。かわいがってね」

    「だ、だから」

     果てしなく不毛な会話だ。ここまでテンプレ通りの流れは、もはや様式美に属する。

     ゲームでは。ボクは、不貞腐れながらソファーに腰掛けると、視線で彼女に座るよう促した。

    87 = 81 :

    「なんというか、すごい母君だな」

    桂馬「あまり相手にしないでいいです」

    麻里「もー、桂馬ったらてれちゃって。貴方は紅茶でいいかしら」

    「恐縮です」

    88 = 81 :

    桂馬「もー、こっちにくんなよなー」

    麻里「はいはい。お邪魔翌様」

     薄笑いを張り付かせながら、母さんはカウンターの奥に引っ込んでいく。

     だから、ここに連れてくるのは気が進まなかったのだが。

    「紅茶、美味しいな」

    桂馬「どーも」

     彼女は、この店に入った瞬間、借りてきた猫のようにおとなしくなってしまった。

     うつむいたまま、小鳥のように小さな口を開け、カップを傾ける。

     母さんを意識しているのか、時々ちらちらと目線を奥に流しているのがわかった。

    89 = 81 :

    「で、だな。何の話だったか」

    桂馬「手短に済ませてください。ボクはこうみえても忙しいんだ」

    「お前はまったく、ずるいな。このような小洒落た場所で私の気勢を削ぐとは」

    「いいたいことも、いいにくいじゃないか」

     ウソをつくな。いつもいいたいほうだいじゃないか。

    「うむ。では本題に入らせてもらうか。主に、お前の普段の生活の改善についてだが――」

     彼女が話し始めようとした瞬間に、店の扉がさえぎるように音を立てて開いた。

    麻里「いらっしゃーい。ってあれ、天理ちゃん?」

    90 = 81 :

    天理「……」キョロキョロ

    天理「……っ!?」

     なんで今日に限って店に来るんだ。

     天理は、ボクの存在に気づくと、一瞬顔を上げたが、隣の楠に気づいた途端、しゅんと肩を落とし俯いた。

     両手にはイエロー系の淡い巾着を持っており、うなだれるようにして袋を結んでいる紐がぶらぶらと左右に揺れた。

    天理「桂馬、くん」

    天理「あの」

    天理「こんにちわ」

    桂馬「なにか用か?」

    91 :

    やばい、月夜のスキマが危険領域に達しそうだ

    92 :

    SAN値はゼロになると発狂だから高まるのはいいことなのでは?
    という細かいツッコミを入れつつも更新感謝。

    93 = 81 :

     ボクが声をかけると、水を掛けられた犬のようにびくびく身を震わせる。

     こいつはビクビク系幼馴染だ。

    「おい、桂木。この子は」

    桂馬「鮎川天理」

    「あのな。それだけじゃわからないだろうが」

    桂馬「情報は必要なものを最小限に」

    「あのな。それだけじゃわからないだろう」

    麻里「天理ちゃんは、桂馬の幼馴染なの。隣に住んでるのよ」

    94 = 81 :

    桂馬「まったく精度の低い幼馴染だが。何か用なのか。ボクは今、大変立て込んでいる。簡潔に済ませてくれ」

    天理「あ、あのね桂馬くん、私」

    天理「私……」

    桂馬「うん」

    天理「あの、ね」

    桂馬「続けろ」

    天理「……」

    桂馬「ツ・ヅ・ケ・ロ!!」

    天理「ひ」

    「おいおい、桂木。女の子相手にそんな高圧的に話すんじゃない。ほら、君もそんな所で立っていないで、ほら、掛けなさい」

    95 = 81 :

    天理「は、はい」

     うながされるままに、ソファに掛ける天理。天理ちゃん、マジ空気読めないのな。

    天理「桂馬くん、今日ね。調理実習でクッキー焼いたの。その、うまくできたから、よければその、食べて欲しいなって」

    桂馬「ボクは甘いモンが嫌いなんだよっ」

    天理「うん、知ってる。だから、甘くないよ」

    96 = 81 :

    桂馬「ふん」

     包みから出てきたクッキーは、丸い形をしており、アーモンドの香ばしい匂いがしている。

     口の中に入れると、確かに天理のいうように甘くは無かった。むしろ。

    桂馬「こりゃ、せんべいだろ」

    天理「うん。だから、甘くないよ。桂馬くんの好みに合わせたよ」

    桂馬「まあ、悪くないな」

    麻里「……まあ我が子ながら、不運なヤツ」

     母さんは、ボクの後ろで合掌すると、そそくさとカウンターの奥に引っ込んでしまった。

     なんなんだ。

    97 = 81 :

    「……」ピクッピクッ

    「へえ、桂木。興味があるのはゲームだけかと思いきや、こーんなかわいい彼女が居るなんて」

    天理「か、かかかか」

    「――そーいえば、姉上にもちょっかいだしてたし。私のようなガサツな女に付きまとわれてさぞ迷惑だったろうな、は・は・は」

    桂馬「あ、あだだだだっ!!」

    98 = 81 :

    は・は・はの笑い声で、リズムに乗って、ボクの太ももに蹴りが入る。

    天理「か、彼女じゃありません!!」

    「は」

    「はははは、そーなのか。桂木?」

     もー知らん!!

    「そーか、そうだろうな。わ、私としたことが。すまない、痛かったか、桂木。不意に怒りの神が降りてきてな」

    99 = 81 :

    キイイイインッ

    ディアナ「そうです、彼女ではありません。天理と桂木さんは、運命で結ばれた婚約者です」

     三者、一様に真顔。

     辺りを見回すと、残っていた最後の客も風を食らって退散したのか、店内はセルフ貸切状態に陥っていた。

    100 = 81 :

    「こ、こんにゃく?」

    ディアナ「こんにゃくではありません。婚約者です」

    「婚約者ぁあっ!?」

    ディアナ「許嫁です。ラブです。愛です」

    桂馬「おおおいっ!!」

     ボクは硬直した楠を放置し、ディアナの手を取り、壁際に引き寄せた。

    ディアナ「ダメです、桂木さん。あの方が、見ています」ふるふる


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