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元スレエルシィ「私の神にーさまがコミュニケーション不全なわけない」
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桂馬「だからお前は何度いったらわかるんだ!!」
桂馬「ブランド別にわけてあるゲームを勝手に整理するんじゃない!!」
エルシィ「う~、う~」
麻里「……」
エルシィ「あ、にーさまお夕飯は」
桂馬「いらないよっ」
バタン
桂馬「ブランド別にわけてあるゲームを勝手に整理するんじゃない!!」
エルシィ「う~、う~」
麻里「……」
エルシィ「あ、にーさまお夕飯は」
桂馬「いらないよっ」
バタン
エルシィ「また、にーさまをおこらせてしまいましたぁ」
麻里「エルちゃん、ちょっと」
エルシィ「はい、なんでしょうお母様」
麻里「いまさらなんだけど、あの子学校で、どう?」
エルシィ「……どう、といわれましても」
麻里「桂馬、エルちゃんのおかげで変わってきたけど」
麻里「ホラ、半ヒキコモリみたいなものだし」
麻里「あの子、トモダチも家に連れて来たことないし」
麻里「近頃どうにも心配で心配で夜も眠れないのよ~」
エルシィ「あ、あのっあのっ、にーさま大丈夫ですよ!!」
エルシィ「まいにち元気でやってます!(主にゲームを)」
麻里「エルちゃん、ちょっと」
エルシィ「はい、なんでしょうお母様」
麻里「いまさらなんだけど、あの子学校で、どう?」
エルシィ「……どう、といわれましても」
麻里「桂馬、エルちゃんのおかげで変わってきたけど」
麻里「ホラ、半ヒキコモリみたいなものだし」
麻里「あの子、トモダチも家に連れて来たことないし」
麻里「近頃どうにも心配で心配で夜も眠れないのよ~」
エルシィ「あ、あのっあのっ、にーさま大丈夫ですよ!!」
エルシィ「まいにち元気でやってます!(主にゲームを)」
麻里「なら、いいんだけど。ねぇエルちゃん、これからも桂馬のことよろしく頼むわね」
エルシィ「ははは……」
こうして私はお母様に神様のことを頼まれてしまいました。まぁ、頼まれたからってなにができるわけでもないんですが。
正直に私の心情を吐露すると、神様の性格を改変するのはたぶん不可能です。
だって神様は、神様ですから。(←ヒドイ)
どうやらお母様はテレビのニート特集を見て神様のしょうらいに益々不安を募らせちゃったみたいです。
テレビの見すぎもよくないものですね。
今後は私もひかえます。
それから、今日以降いつも以上に神様の行動を注意深く観察することにしました。
あと、私はいろいろと忘れやすいので細かなこともメモに残し、データをしゅうしゅうすることにしました。
あれ、なにかにーさまの攻略みたいですね、これ。
さて明日に備えて今日は休みますね。おやすみなさい。
エルシィ「ははは……」
こうして私はお母様に神様のことを頼まれてしまいました。まぁ、頼まれたからってなにができるわけでもないんですが。
正直に私の心情を吐露すると、神様の性格を改変するのはたぶん不可能です。
だって神様は、神様ですから。(←ヒドイ)
どうやらお母様はテレビのニート特集を見て神様のしょうらいに益々不安を募らせちゃったみたいです。
テレビの見すぎもよくないものですね。
今後は私もひかえます。
それから、今日以降いつも以上に神様の行動を注意深く観察することにしました。
あと、私はいろいろと忘れやすいので細かなこともメモに残し、データをしゅうしゅうすることにしました。
あれ、なにかにーさまの攻略みたいですね、これ。
さて明日に備えて今日は休みますね。おやすみなさい。
エルシィ「おはよーございます、にーさま」
麻里「おはよう、桂馬」
桂馬「おはよー」
神にーさまの朝は早い。
……というか、目が真っ赤に充血しまくってます。また徹夜ですか。
桂馬「ふはははっ!!」
エルシィ「ひいっ!?」ビクゥッ
桂馬「おっといかん、謙信ちゃんとしぃちゃんの掛け合いを思い出してしまった。久々のヒットだったな、あれは」
とりあえずいつもどおり気持ち悪いです。
もちろんにーさまの話題は、ゲームの話なので、私もお母様もその内容をうかがい知ることはできないのですが。
麻里「桂馬、学校行くなら朝飯キチンと食べてきな。アタマまわらないよ」
桂馬「すばらしいな。しかし、なぜ輝元ちゃん。元就ちゃんではなぜいけなかったのか」
どうやらにーさまの頭の軸は、朝からフルMAXで回転しているみたいです。回ってはいけない方向に。
エルシィ「うー、にーさま。口あけてください。あーん」
桂馬「あーん」
機械的に切り分けたベーコンエッグを口の中に運びます。
さながら私はアシカの飼育員です。
麻里「おはよう、桂馬」
桂馬「おはよー」
神にーさまの朝は早い。
……というか、目が真っ赤に充血しまくってます。また徹夜ですか。
桂馬「ふはははっ!!」
エルシィ「ひいっ!?」ビクゥッ
桂馬「おっといかん、謙信ちゃんとしぃちゃんの掛け合いを思い出してしまった。久々のヒットだったな、あれは」
とりあえずいつもどおり気持ち悪いです。
もちろんにーさまの話題は、ゲームの話なので、私もお母様もその内容をうかがい知ることはできないのですが。
麻里「桂馬、学校行くなら朝飯キチンと食べてきな。アタマまわらないよ」
桂馬「すばらしいな。しかし、なぜ輝元ちゃん。元就ちゃんではなぜいけなかったのか」
どうやらにーさまの頭の軸は、朝からフルMAXで回転しているみたいです。回ってはいけない方向に。
エルシィ「うー、にーさま。口あけてください。あーん」
桂馬「あーん」
機械的に切り分けたベーコンエッグを口の中に運びます。
さながら私はアシカの飼育員です。
登校フェイズ
桂馬「……」
ぴっぴこぴー(電子音)
エルシィ「うー、ぽかぽかして気持ちいい日和ですね」
桂馬「……」
ぴっぴこぴー
エルシィ「あ、そーいえば今日の英訳当たるじゅんばんだったんだ。だいじょぶかなー」
桂馬「……」
ぴっぴこぴー
にーさまといつものように楽しくおしゃべりをしながら登校します。
この時ばかりは、日々の激しい駆け魂狩りを忘れ、心健やかに過ごすことが出来る癒しタイムなのです
エルシィ「えっ、やだ。にーさま、宿題はちゃんとあのあと、済ませておきましたよー。同じミスは二度も繰り返しませんっ」
桂馬「……」
ぴっぴこぴー
――もちろん楽しく登校しつつも駆け魂の気配を探ることも忘れません。
私は常に努力を怠らないのですから。
桂馬「……」
ぴっぴこぴー(電子音)
エルシィ「うー、ぽかぽかして気持ちいい日和ですね」
桂馬「……」
ぴっぴこぴー
エルシィ「あ、そーいえば今日の英訳当たるじゅんばんだったんだ。だいじょぶかなー」
桂馬「……」
ぴっぴこぴー
にーさまといつものように楽しくおしゃべりをしながら登校します。
この時ばかりは、日々の激しい駆け魂狩りを忘れ、心健やかに過ごすことが出来る癒しタイムなのです
エルシィ「えっ、やだ。にーさま、宿題はちゃんとあのあと、済ませておきましたよー。同じミスは二度も繰り返しませんっ」
桂馬「……」
ぴっぴこぴー
――もちろん楽しく登校しつつも駆け魂の気配を探ることも忘れません。
私は常に努力を怠らないのですから。
エルシィ「おはよーございまーす」
クラスメイト「おはよー」
クラスメイト2「エリーおはよー」
桂馬「……」
チャラチャラ~チャ~
にーさまは無関心の極みですね。
これではいけません。挨拶は基本的なコミニュケーションですよ。
クラスメイト「おはよー」
クラスメイト2「エリーおはよー」
桂馬「……」
チャラチャラ~チャ~
にーさまは無関心の極みですね。
これではいけません。挨拶は基本的なコミニュケーションですよ。
エルシィ「にーさま、朝の挨拶を」
桂馬「ん。そうか、そういえばまだだったな。おはようよっきゅん」
桂馬「よっきゅんかわいいよよっきゅん。ちゅっちゅっ」
サイアク。
にーさまがゲーム機にキスした瞬間、周囲の子たちが一斉に机を引き離しました。
女子1「うわ、マジでオタメガそれはないわ」
女子2「二次コンきわまれりwww」
チャラチャラ~チャ~
エルシィ「にーさま~」
桂馬「しっ、静かに!」
突如として起立すると、両手を前方に突き出し静止します。
にーさま、もう完全に別次元に行ってしまわれたのですね……。
二階堂「……」
ああ、先生の目が冷たいです。
二階堂「で、桂木くん。私はいつ朝のHRに入れるのかね」
桂馬「静かにしろといっている!! ――いま、イベント降りてくる」
ピコーン!
桂馬「よし、回収。あ、どうぞ続けて」
二階堂「……とりあえず桂木兄妹は次の時間廊下な」
エルシィ「にーさまー」
ザワザワ。
歩美「……あほ」
桂馬「ん。そうか、そういえばまだだったな。おはようよっきゅん」
桂馬「よっきゅんかわいいよよっきゅん。ちゅっちゅっ」
サイアク。
にーさまがゲーム機にキスした瞬間、周囲の子たちが一斉に机を引き離しました。
女子1「うわ、マジでオタメガそれはないわ」
女子2「二次コンきわまれりwww」
チャラチャラ~チャ~
エルシィ「にーさま~」
桂馬「しっ、静かに!」
突如として起立すると、両手を前方に突き出し静止します。
にーさま、もう完全に別次元に行ってしまわれたのですね……。
二階堂「……」
ああ、先生の目が冷たいです。
二階堂「で、桂木くん。私はいつ朝のHRに入れるのかね」
桂馬「静かにしろといっている!! ――いま、イベント降りてくる」
ピコーン!
桂馬「よし、回収。あ、どうぞ続けて」
二階堂「……とりあえず桂木兄妹は次の時間廊下な」
エルシィ「にーさまー」
ザワザワ。
歩美「……あほ」
1時限目 国語 『廊下』
桂馬「……」
エルシィ「う~、にーさまのせいで廊下に立たされちゃいました~」
桂馬「ボクは静かにゲームができるので一向に構わん」
エルシィ「かまいますよ~恥ずかしいです~」
ガラリ
二階堂「こら桂木。ちゃんとバケツ持て」
桂馬「おい、いまどき罰則が両手に水の入ったバケツもって副立哨なんてありえるのか」
二階堂「ふむ」
二階堂「私も始めてやらせたが意外と楽しい」
桂馬「教室に入れないのは問題じゃないのか」
にーさま。よっぽどバケツ持つのがいやなんですね。
二階堂「お前を教室に入れておくほうが問題なんだよ」
桂馬「……」
エルシィ「う~、にーさまのせいで廊下に立たされちゃいました~」
桂馬「ボクは静かにゲームができるので一向に構わん」
エルシィ「かまいますよ~恥ずかしいです~」
ガラリ
二階堂「こら桂木。ちゃんとバケツ持て」
桂馬「おい、いまどき罰則が両手に水の入ったバケツもって副立哨なんてありえるのか」
二階堂「ふむ」
二階堂「私も始めてやらせたが意外と楽しい」
桂馬「教室に入れないのは問題じゃないのか」
にーさま。よっぽどバケツ持つのがいやなんですね。
二階堂「お前を教室に入れておくほうが問題なんだよ」
ピシャリ
先生は無情にも教室に戻っていきます。
桂馬「……アイツ、教師として問題ありすぎるな」
にーさまにだけはいわれたくないと思われます。
桂馬「おい、エルシィ。ボクの分のバケツも持て」
エルシィ「ひとりで四つは無理ですよ」
それにしてもたっぷりと水を汲んだバケツを60分間持ち続けるなんて。
これを考えた人はマゾですね。
エルシィ「も、むりー」
桂馬「ボクの手はバケツを持つように出来ていないんだ。PFPを持つために出来てるんだ」
楠「……なにやってるんだ、お前は」
先生は無情にも教室に戻っていきます。
桂馬「……アイツ、教師として問題ありすぎるな」
にーさまにだけはいわれたくないと思われます。
桂馬「おい、エルシィ。ボクの分のバケツも持て」
エルシィ「ひとりで四つは無理ですよ」
それにしてもたっぷりと水を汲んだバケツを60分間持ち続けるなんて。
これを考えた人はマゾですね。
エルシィ「も、むりー」
桂馬「ボクの手はバケツを持つように出来ていないんだ。PFPを持つために出来てるんだ」
楠「……なにやってるんだ、お前は」
どこかで聞いた声に顔を上げると、そこにはあきれた顔をした楠さんがにーさまを見つめていました。
桂馬「主将。サボリですか」
楠「私は教室移動だ。お前といっしょにするな!」
桂馬「冗談ですよ」
かつてのにーさまの攻略対象だった、春日楠さん。檜さんの件以来で、こうして顔を合わせるのは久しぶりです。
だからでしょうーか、彼女はにーさまとの距離感をはかりかねているのか、どこかもじもじしています。
にーさまはいつもどおり不動の姿勢ですが。
桂馬「主将。サボリですか」
楠「私は教室移動だ。お前といっしょにするな!」
桂馬「冗談ですよ」
かつてのにーさまの攻略対象だった、春日楠さん。檜さんの件以来で、こうして顔を合わせるのは久しぶりです。
だからでしょうーか、彼女はにーさまとの距離感をはかりかねているのか、どこかもじもじしています。
にーさまはいつもどおり不動の姿勢ですが。
楠「それにしてもいまどき廊下に立たされるとは。お前は自分のクラスでも問題児のようだな」
桂馬「問題などなにもありません」
チャラチャラ~チャ~
楠「ひととはなしをする時は、ちゃんと目線をあわせろ!!」
桂馬「おうっ」
楠さんがにーさまの耳をつかんでひっぱります。たまらずにーさまもゲーム機をしまうと、視線を彼女に向けました。が。
楠「……」
桂馬「……」
桂馬「問題などなにもありません」
チャラチャラ~チャ~
楠「ひととはなしをする時は、ちゃんと目線をあわせろ!!」
桂馬「おうっ」
楠さんがにーさまの耳をつかんでひっぱります。たまらずにーさまもゲーム機をしまうと、視線を彼女に向けました。が。
楠「……」
桂馬「……」
えーと、なんで無言で見つめ合ってるのでしょうか。
楠「//////」
桂馬「で?」
楠「ひ、ひとの顔をじろじろと見るなーっ!!」
桂馬「なんでだっ」
なぜか正拳突きが見事に決まりました。このひとは何がしたいんでしょうか。
楠「とにかく。日ごろの生活態度の悪さは途中で見放してしまった私にも問題があるみたいだな。うむ」
楠「……桂木、放課後道場に来い。お前の歪んだ根性を一から叩きなおしてやる」
楠さんはいいたいことだけいって去っていきました。
楠「//////」
桂馬「で?」
楠「ひ、ひとの顔をじろじろと見るなーっ!!」
桂馬「なんでだっ」
なぜか正拳突きが見事に決まりました。このひとは何がしたいんでしょうか。
楠「とにかく。日ごろの生活態度の悪さは途中で見放してしまった私にも問題があるみたいだな。うむ」
楠「……桂木、放課後道場に来い。お前の歪んだ根性を一から叩きなおしてやる」
楠さんはいいたいことだけいって去っていきました。
桂馬「なぜだ。楠の話はエンドを迎えているはずなのに」
桂馬「どうなっているんだ、エルシィ!!」
エルシィ「そんなこといわれてもー」
桂馬「これだから、リアルはクソゲーなんだよ。幕は降りたんだ。これ以上物語を続ける必要もないだろう」
エルシィ「楠さんは檜さんがらみで他の方より多く会う機会がありましたから」
桂馬「あいつ、エンカウント率高すぎだぞ。記憶、ちゃんと消せてるんだろうな」
エルシィ「うー、自信ないです」
桂馬「どうなっているんだ、エルシィ!!」
エルシィ「そんなこといわれてもー」
桂馬「これだから、リアルはクソゲーなんだよ。幕は降りたんだ。これ以上物語を続ける必要もないだろう」
エルシィ「楠さんは檜さんがらみで他の方より多く会う機会がありましたから」
桂馬「あいつ、エンカウント率高すぎだぞ。記憶、ちゃんと消せてるんだろうな」
エルシィ「うー、自信ないです」
桂馬「このバグ魔が」
エルシィ「バグ魔じゃないです~」
二階堂「で、お前は上級生と放課後デートの約束か」
桂馬「げ」
二階堂「余裕だな、桂木くん」
桂馬「……」
二階堂「授業妨害の上にナンパか。よっぽどお前は私が嫌いなようだが」
エルシィ「あわわわ~」
二階堂「お前のイジメ、もとい罰は明日以降発表してやる。楽しみにしているんだな」
ガラッピシャッ
桂馬「……はやく教えろよ」
エルシィ「自分だって気づかなかったくせに~」
二階堂「というわけだ。楽しい授業に戻る」
歩美「……」
ちひろ「……」
桂馬「あっ、またイベント取りこぼしたっ!」
ピッピロピ~
エルシィ「バグ魔じゃないです~」
二階堂「で、お前は上級生と放課後デートの約束か」
桂馬「げ」
二階堂「余裕だな、桂木くん」
桂馬「……」
二階堂「授業妨害の上にナンパか。よっぽどお前は私が嫌いなようだが」
エルシィ「あわわわ~」
二階堂「お前のイジメ、もとい罰は明日以降発表してやる。楽しみにしているんだな」
ガラッピシャッ
桂馬「……はやく教えろよ」
エルシィ「自分だって気づかなかったくせに~」
二階堂「というわけだ。楽しい授業に戻る」
歩美「……」
ちひろ「……」
桂馬「あっ、またイベント取りこぼしたっ!」
ピッピロピ~
1時限目休み時間
桂馬「まだ昼休みにもなってない」
桂馬「無意味に長すぎだろ」
桂馬「もう学校は放課後のシーンだけで充分だな」
エルシィ「現実に都合よく時間が進むわけないじゃないですか~」
桂馬「……」
エルシィ「無視しないでください」
桂馬「時間のムダ!」
エルシィ「それにしてもにーさま。放課後、楠さんの道場に行くんですか」
桂馬「行くわけないだろ。暴力の匂いしかせん」
桂馬「それにあいつのストーリーはFDまで終了してる」
桂馬「まだ昼休みにもなってない」
桂馬「無意味に長すぎだろ」
桂馬「もう学校は放課後のシーンだけで充分だな」
エルシィ「現実に都合よく時間が進むわけないじゃないですか~」
桂馬「……」
エルシィ「無視しないでください」
桂馬「時間のムダ!」
エルシィ「それにしてもにーさま。放課後、楠さんの道場に行くんですか」
桂馬「行くわけないだろ。暴力の匂いしかせん」
桂馬「それにあいつのストーリーはFDまで終了してる」
エルシィ「FD?」
桂馬「あいつの姉の話をこの間やったばかりじゃないか」
桂馬「三度も登場するなんて図々し過ぎるぞ」
桂馬「勝手に出てきて余計な分岐を作るんじゃない」
桂馬「ほとんど曲芸商法だぞ。ボクは買わん」
歩美「ね、ねー桂木」
私たちが話をしていると、同じクラスの歩美さんとちひろさんが話しかけてきました。
もっともにーさまに話しかける人はほとんどクラス内でも限られていますが。
ちひろ「この前? もそうーだったけどアンタ春日先輩と知り合いなの?」
ちひろ「オタの桂木と先輩じゃ接点なんか何一つなさそうなんだけど」
桂馬「……」
あ、にーさま。いまあからさまに嫌そーな顔しましたね。
桂馬「知り合いだよ」
桂馬「あいつの姉の話をこの間やったばかりじゃないか」
桂馬「三度も登場するなんて図々し過ぎるぞ」
桂馬「勝手に出てきて余計な分岐を作るんじゃない」
桂馬「ほとんど曲芸商法だぞ。ボクは買わん」
歩美「ね、ねー桂木」
私たちが話をしていると、同じクラスの歩美さんとちひろさんが話しかけてきました。
もっともにーさまに話しかける人はほとんどクラス内でも限られていますが。
ちひろ「この前? もそうーだったけどアンタ春日先輩と知り合いなの?」
ちひろ「オタの桂木と先輩じゃ接点なんか何一つなさそうなんだけど」
桂馬「……」
あ、にーさま。いまあからさまに嫌そーな顔しましたね。
桂馬「知り合いだよ」
歩美「……」
ちひろ「……」
桂馬「……」
エルシィ「……」
歩美「ってそれじゃ話が終わっちゃうでしょーが」
ちひろ「あんたコミ不全? ちょっとは会話のキャッチボール出来ないの?」
エルシィ「え、えーとえーと」
まずいです。このままではにーさまのクラスにおける社会的地位がっ!(←もともと無い)
桂馬「それは正しくないな」
ちひろ「へ?」
桂馬「出来ない、のではない。必要が無いので行わないだけだ」
歩美「あのね……」
ちひろ「……」
桂馬「……」
エルシィ「……」
歩美「ってそれじゃ話が終わっちゃうでしょーが」
ちひろ「あんたコミ不全? ちょっとは会話のキャッチボール出来ないの?」
エルシィ「え、えーとえーと」
まずいです。このままではにーさまのクラスにおける社会的地位がっ!(←もともと無い)
桂馬「それは正しくないな」
ちひろ「へ?」
桂馬「出来ない、のではない。必要が無いので行わないだけだ」
歩美「あのね……」
チャラチャラ~チャ~
桂馬「口なんて飾りだよ」
桂馬「Y/N」
桂馬「実際リアルに関しての返答はこれだけあれば充分だ」
歩美・ちひろ「「いまのってどういう発音」」
にーさまの、にーさまの、声がとってもメカニカルです。
桂馬「だいたいボクと彼女がどうこうってどーでもいいだろ」
歩美「ど」
歩美「どーでもよくない!!!」
どうしたんですか、歩美さん。怖いです。
彼女は、怒鳴った瞬間我に返ったのか、顔を真っ赤にしてきょときょと視線を彷徨わせ始めました。
桂馬「はぁ」
桂馬「口なんて飾りだよ」
桂馬「Y/N」
桂馬「実際リアルに関しての返答はこれだけあれば充分だ」
歩美・ちひろ「「いまのってどういう発音」」
にーさまの、にーさまの、声がとってもメカニカルです。
桂馬「だいたいボクと彼女がどうこうってどーでもいいだろ」
歩美「ど」
歩美「どーでもよくない!!!」
どうしたんですか、歩美さん。怖いです。
彼女は、怒鳴った瞬間我に返ったのか、顔を真っ赤にしてきょときょと視線を彷徨わせ始めました。
桂馬「はぁ」
桂馬「――このまえ、ボクとエルシィが不良に襲われていた所を助けてもらったんだ」
歩美「……ホントに?」
桂馬「それ以来、目をかけてもらってる。彼女、面倒見がいいみたいだからな」
ちひろ「そ、それだけ?」
歩美「え?」
ちひろ「え?」
ふたりは顔を見合わせたまま固まり、それからほとんど同時に目線をそらしました。
ちひろ「そ、そーだよな。あの春日先輩が桂木みたいなメガネオタ相手にするわけないもんなー」
歩美「そ、そーだよね。桂木みたいなメガネを」
桂馬「メガネはどーでもいいだろ」
歩美「だって、先生がデートだとかなんとか」
桂馬「は?」
歩美「う」
歩美「なんでもないよっ。じゃあねっ!!」
歩美さん。……ちょっとわかりやすすぎますよ。
桂馬「……なんなんだいったい」
桂馬「これだからリアルにはついていけないよ」
エルシィ「にーさま」
にーさま。にーさまはリアルでも日ごろ否定されているテンプレ主人公を体現しているのですね。
桂馬「さーて、ゲームゲーム」
ガラガラッ
児玉「オラーっ、桂木ぃゲームしまえーッ!!」
桂馬「げーむぅ……」
歩美「……ホントに?」
桂馬「それ以来、目をかけてもらってる。彼女、面倒見がいいみたいだからな」
ちひろ「そ、それだけ?」
歩美「え?」
ちひろ「え?」
ふたりは顔を見合わせたまま固まり、それからほとんど同時に目線をそらしました。
ちひろ「そ、そーだよな。あの春日先輩が桂木みたいなメガネオタ相手にするわけないもんなー」
歩美「そ、そーだよね。桂木みたいなメガネを」
桂馬「メガネはどーでもいいだろ」
歩美「だって、先生がデートだとかなんとか」
桂馬「は?」
歩美「う」
歩美「なんでもないよっ。じゃあねっ!!」
歩美さん。……ちょっとわかりやすすぎますよ。
桂馬「……なんなんだいったい」
桂馬「これだからリアルにはついていけないよ」
エルシィ「にーさま」
にーさま。にーさまはリアルでも日ごろ否定されているテンプレ主人公を体現しているのですね。
桂馬「さーて、ゲームゲーム」
ガラガラッ
児玉「オラーっ、桂木ぃゲームしまえーッ!!」
桂馬「げーむぅ……」
―そして昼休み―
桂馬「ゲーム、ゲーム」
チャイムと同時に、にーさまは席を立つとどこかに飛び出して行きました。
こっそりとついていくことにします。
ゲームに集中しているときは周りを全然見ていないので、たぶん大丈夫です。
この方向は、屋上ですね。
ベンチに腰を下ろすにーさまを確認してから、私は茂みに身を隠すと、買い置きのサンドイッチを頬張りながら監視を始めました。
桂馬「ふう。これでようやく誰にも邪魔されずゲームができるよ」
月夜「……」
月夜「……あ、あの」
なんか見たことある人が、えーと誰でしたっけ?
楠「桂木じゃないか」
なんか見たことある人をさえぎって楠さんの登場です。
でも、にーさま、余裕で二人の問いかけに無視。
さすがです。
桂馬「……」
楠「いま、その、昼食か?」
桂馬「ふひひ」
あっ、この距離からでもわかります。楠さん、かなりムカッときてます。
楠「無視、す・る・な」
ぎゅうううっ
桂馬「ぶっ!?」
にーさまの耳が、……さながら、ダンボみたいに。
桂馬「なんですか、主将。いちいち人の肉体を痛めつけないと会話出来ないのですか」
桂馬「ゲーム、ゲーム」
チャイムと同時に、にーさまは席を立つとどこかに飛び出して行きました。
こっそりとついていくことにします。
ゲームに集中しているときは周りを全然見ていないので、たぶん大丈夫です。
この方向は、屋上ですね。
ベンチに腰を下ろすにーさまを確認してから、私は茂みに身を隠すと、買い置きのサンドイッチを頬張りながら監視を始めました。
桂馬「ふう。これでようやく誰にも邪魔されずゲームができるよ」
月夜「……」
月夜「……あ、あの」
なんか見たことある人が、えーと誰でしたっけ?
楠「桂木じゃないか」
なんか見たことある人をさえぎって楠さんの登場です。
でも、にーさま、余裕で二人の問いかけに無視。
さすがです。
桂馬「……」
楠「いま、その、昼食か?」
桂馬「ふひひ」
あっ、この距離からでもわかります。楠さん、かなりムカッときてます。
楠「無視、す・る・な」
ぎゅうううっ
桂馬「ぶっ!?」
にーさまの耳が、……さながら、ダンボみたいに。
桂馬「なんですか、主将。いちいち人の肉体を痛めつけないと会話出来ないのですか」
楠「お前がいうな」
桂馬「……」
楠「……」
あ、でもベンチの隣には座るんだ。ひたすら嫌な空気ですけど。
楠「その、なんだお前に礼をいおうと思ってだな」
桂馬「礼?」
楠「姉上の件でいろいろと世話に、なったような……」
楠「あれ? あれ? 世話になったよな。なぁ?」
桂馬「ボクに聞かないでください」
あちゃー。確か地獄の電力不足で、記憶の消し方がかなり雑だったから。
彼女の中で幾分齟齬が生まれているみたいですね。
ちなみにどのように消しているかは私にもわかりかねます。
楠「不思議だ。でも、ここでお前に姉上のことで相談したことは覚えているのに」
桂馬「……」
楠「なあ、少し話を聞いてくれるか」
桂馬「聞くだけなら」
楠「お前と姉上に関しての記憶。どうも曖昧なんだ」
それは、たぶん楠さんに関しては二回も記憶を上書きしているから。
人間の脳、特に記憶の改ざんに関してはかなりの負荷を掛けていると。
室長に聞いたことがあります。
記憶をつかさどる大脳新皮質のつくりは堅牢ではない。
そこに地獄から強圧力の電波を送って書き換えを無理に行っているので、回数を重ねるごとに危険度は増す、と。
楠「無理に思い出そうとすると、頭の奥がひきつるように痛む」
桂馬「……」
楠「……」
あ、でもベンチの隣には座るんだ。ひたすら嫌な空気ですけど。
楠「その、なんだお前に礼をいおうと思ってだな」
桂馬「礼?」
楠「姉上の件でいろいろと世話に、なったような……」
楠「あれ? あれ? 世話になったよな。なぁ?」
桂馬「ボクに聞かないでください」
あちゃー。確か地獄の電力不足で、記憶の消し方がかなり雑だったから。
彼女の中で幾分齟齬が生まれているみたいですね。
ちなみにどのように消しているかは私にもわかりかねます。
楠「不思議だ。でも、ここでお前に姉上のことで相談したことは覚えているのに」
桂馬「……」
楠「なあ、少し話を聞いてくれるか」
桂馬「聞くだけなら」
楠「お前と姉上に関しての記憶。どうも曖昧なんだ」
それは、たぶん楠さんに関しては二回も記憶を上書きしているから。
人間の脳、特に記憶の改ざんに関してはかなりの負荷を掛けていると。
室長に聞いたことがあります。
記憶をつかさどる大脳新皮質のつくりは堅牢ではない。
そこに地獄から強圧力の電波を送って書き換えを無理に行っているので、回数を重ねるごとに危険度は増す、と。
楠「無理に思い出そうとすると、頭の奥がひきつるように痛む」
楠「思い出せないことが、私にとってはストレスだった」
桂馬「主将」
楠「でも、不思議なんだ」
楠「お前と話していると、痛みがやわらぐ気がする」
楠「なあ、桂木。おまえはなにか、私に隠していることがないか?」
にーさまは、ゲーム機から目を離すと傍らに置き、両腕を組んで蒼穹を見上げます。
桂馬「で、この話いつまで続けるんですか?」
えーと。にーさま、それはあんまりです。女の子は繊細なんですよ。
楠「……っ! そんないいかたないだろう」
桂馬「――思い出せないなら別に、無理して思い出す必要もないと思う」
楠「そんな」
桂馬「主将」
楠「でも、不思議なんだ」
楠「お前と話していると、痛みがやわらぐ気がする」
楠「なあ、桂木。おまえはなにか、私に隠していることがないか?」
にーさまは、ゲーム機から目を離すと傍らに置き、両腕を組んで蒼穹を見上げます。
桂馬「で、この話いつまで続けるんですか?」
えーと。にーさま、それはあんまりです。女の子は繊細なんですよ。
楠「……っ! そんないいかたないだろう」
桂馬「――思い出せないなら別に、無理して思い出す必要もないと思う」
楠「そんな」
桂馬「ボクは限られた時間を有効に使いたいだけだ。これ以上あなたの話を聞いてもしかたがありませんね。元々、ボクとあなたは他人なんだし」
楠「他人とか、いうな」
桂馬「他人、じゃないですか」
楠「でもっ、おまえは私の道場のっ」
桂馬「檜さんがアメリカに帰った以上、ボクにはもう無関係な場所だ」
楠「――空手部の時もそうだが、自分からはじめたことを次から次へと投げ出して恥ずかしくないのか!!」
楠「この根性なしがっ」
楠「よわむしっ!」
楠「それでも男かっ。少しはいい返したらどうなんだっ!!」
一度に怒声をはなったせいか、彼女の両肩が大きく上下しているのが見えます。
楠さんは、眦を決してにーさまに指を突きつけると、いまにも牙をむきそうな猛獣のように身構えます。
あわわ、にーさまピンチです。
たたた、助けなきゃ。
桂馬「それで終わりですか? あなたはもう少し語彙を増やしたほうがいい」
楠「おまえはっ!!」
楠「他人とか、いうな」
桂馬「他人、じゃないですか」
楠「でもっ、おまえは私の道場のっ」
桂馬「檜さんがアメリカに帰った以上、ボクにはもう無関係な場所だ」
楠「――空手部の時もそうだが、自分からはじめたことを次から次へと投げ出して恥ずかしくないのか!!」
楠「この根性なしがっ」
楠「よわむしっ!」
楠「それでも男かっ。少しはいい返したらどうなんだっ!!」
一度に怒声をはなったせいか、彼女の両肩が大きく上下しているのが見えます。
楠さんは、眦を決してにーさまに指を突きつけると、いまにも牙をむきそうな猛獣のように身構えます。
あわわ、にーさまピンチです。
たたた、助けなきゃ。
桂馬「それで終わりですか? あなたはもう少し語彙を増やしたほうがいい」
楠「おまえはっ!!」
桂馬「ンごっ!?」
スコーンっとどこからともなく茶筒の長いのみたいなのが飛んできて、にーさまの側頭部を直撃しました。
楠「桂木っ」
楠さんが慌てて倒れたにーさまを抱き起こします。
う~、出るタイミングを逸しました。なによりはたから見ていて止めなかったことがにーさまにばれると余計怒られそうな気がして、躊躇し
てしまいます。
でも。
エルシィ「にーさまっ」
楠「うわっ、とおまえは桂木の妹。おい、それよりそこのやつ。なんのつもりだ」
あれ、これ。私知ってます。望遠鏡です。私は落ちていた筒を拾い上げると、楠さんの背中に隠れながら、筒の飛んできた方向を向きまし
た。
月夜「騒々しいですね。まったく」
月夜「痴話喧嘩なら、他でやってください」
楠「ち、痴話喧嘩っ、ち、ちがうっ」
エルシィ「にーさま~、だいじょうぶですかぁ~」
スコーンっとどこからともなく茶筒の長いのみたいなのが飛んできて、にーさまの側頭部を直撃しました。
楠「桂木っ」
楠さんが慌てて倒れたにーさまを抱き起こします。
う~、出るタイミングを逸しました。なによりはたから見ていて止めなかったことがにーさまにばれると余計怒られそうな気がして、躊躇し
てしまいます。
でも。
エルシィ「にーさまっ」
楠「うわっ、とおまえは桂木の妹。おい、それよりそこのやつ。なんのつもりだ」
あれ、これ。私知ってます。望遠鏡です。私は落ちていた筒を拾い上げると、楠さんの背中に隠れながら、筒の飛んできた方向を向きまし
た。
月夜「騒々しいですね。まったく」
月夜「痴話喧嘩なら、他でやってください」
楠「ち、痴話喧嘩っ、ち、ちがうっ」
エルシィ「にーさま~、だいじょうぶですかぁ~」
桂馬「おまえな、見てたんならとめろよ。このスットコダメ悪魔」
エルシィ「すみませ~ん」
楠「騒がせて気分を害したなら謝る。しかし、いやおうなしにこれはないんじゃないか」
エルシィ「そーです。そーです、にーさまからかわいい顔をとったら何も残りません」
楠「そうだ。桂木のかわいい顔がっ」
桂馬「……」
楠「……」
エルシィ「……」
楠「なにをいわせるんだっ!!」
ドバキッ!!
桂馬「ンごっ!?」
エルシィ「なにもいってませ~ん」
楠「//////ッ!!」
月夜「どちらにしても、その嘘つきとかかわってもいいことはありませんよ」
桂馬「……うそつき?」
月夜「ずっと待っていたのに」
月夜「結局、うつくしいものなんてこの世のどこにもないのですね」
エルシィ「すみませ~ん」
楠「騒がせて気分を害したなら謝る。しかし、いやおうなしにこれはないんじゃないか」
エルシィ「そーです。そーです、にーさまからかわいい顔をとったら何も残りません」
楠「そうだ。桂木のかわいい顔がっ」
桂馬「……」
楠「……」
エルシィ「……」
楠「なにをいわせるんだっ!!」
ドバキッ!!
桂馬「ンごっ!?」
エルシィ「なにもいってませ~ん」
楠「//////ッ!!」
月夜「どちらにしても、その嘘つきとかかわってもいいことはありませんよ」
桂馬「……うそつき?」
月夜「ずっと待っていたのに」
月夜「結局、うつくしいものなんてこの世のどこにもないのですね」
桂馬「――おい」
思い出しました。この小柄な方は九条月夜さんです。私の頭は自分でもどうなっているのしょうか。不安です。
桂馬「ちょっと、待て」
月夜「さわらないでっ!」
月夜「このっ、うらぎりものっ!!」
激しく傷ついたような声が、屋上に響き渡りました。
その時、私は月夜さんの目に確かに涙が浮かんでいるのが見えたのは、気のせいなんかじゃないです。
思い出しました。この小柄な方は九条月夜さんです。私の頭は自分でもどうなっているのしょうか。不安です。
桂馬「ちょっと、待て」
月夜「さわらないでっ!」
月夜「このっ、うらぎりものっ!!」
激しく傷ついたような声が、屋上に響き渡りました。
その時、私は月夜さんの目に確かに涙が浮かんでいるのが見えたのは、気のせいなんかじゃないです。
桂馬「……」
楠「……」
エルシィ「……」
彼女の座っていたベンチにぽつぽつと涙のあとが数滴こぼれていました。
置き忘れたのか、人形がひとつ。
私たちをじっと責めるように見つめている。そんな気がしました。
ドロドロドロドロドロドロドロ
エルシィ「え、えええーっ!?」
私の駆け魂センサーが反応しています。これってまさか。
ドロドロドロドロドロドロドロドロ
エルシィ「にーさま、間違いありません。彼女の中に、また駆け魂がっ!!」
桂馬「ウソだろ。同キャラ連回攻略なんて、曲芸商法レベルだ」
桂馬「やっぱりリアルなんて」
桂馬「クソゲーだっ!!」
OP 『God only knows』http://www.youtube.com/watch?v=JQd0ICIJ1FM
楠「……」
エルシィ「……」
彼女の座っていたベンチにぽつぽつと涙のあとが数滴こぼれていました。
置き忘れたのか、人形がひとつ。
私たちをじっと責めるように見つめている。そんな気がしました。
ドロドロドロドロドロドロドロ
エルシィ「え、えええーっ!?」
私の駆け魂センサーが反応しています。これってまさか。
ドロドロドロドロドロドロドロドロ
エルシィ「にーさま、間違いありません。彼女の中に、また駆け魂がっ!!」
桂馬「ウソだろ。同キャラ連回攻略なんて、曲芸商法レベルだ」
桂馬「やっぱりリアルなんて」
桂馬「クソゲーだっ!!」
OP 『God only knows』http://www.youtube.com/watch?v=JQd0ICIJ1FM
楠「おい。どういうことだ、桂木」
桂馬「へ?」
楠「へ、じゃない。姉上といい、いまの女といい。説明してもらうぞ」
桂馬「なあ、エルシィ」
エルシィ「はい、なんでしょう」
桂馬「これと同じシーンは少なくとも50回以上見てるぞ。いずれもバッドエンド直行だ」
エルシィ「あ、あわわ」
桂馬「クイックセーブからロードできないか? できれば今日の朝からが望ましい」
桂馬「へ?」
楠「へ、じゃない。姉上といい、いまの女といい。説明してもらうぞ」
桂馬「なあ、エルシィ」
エルシィ「はい、なんでしょう」
桂馬「これと同じシーンは少なくとも50回以上見てるぞ。いずれもバッドエンド直行だ」
エルシィ「あ、あわわ」
桂馬「クイックセーブからロードできないか? できれば今日の朝からが望ましい」
エルシィ「むりですぅ」
桂馬「早朝からやり直させろ。そしたら今日は学校を休む」
楠「安心しろ。なんの話か知らんが。明日から私が家まで迎えにいってやるぞ」
桂馬「……エルシィ。時間がない、耳を貸せ」
エルシィ「に、ににににーさま」
桂馬「ボクは月夜を追うっ、そいつはまかせたっ!!」
ドンッ!
楠「まてーっ、桂木っ!!」
エルシィ「はぅ、ひどいです!」
桂馬「早朝からやり直させろ。そしたら今日は学校を休む」
楠「安心しろ。なんの話か知らんが。明日から私が家まで迎えにいってやるぞ」
桂馬「……エルシィ。時間がない、耳を貸せ」
エルシィ「に、ににににーさま」
桂馬「ボクは月夜を追うっ、そいつはまかせたっ!!」
ドンッ!
楠「まてーっ、桂木っ!!」
エルシィ「はぅ、ひどいです!」
桂馬「ハァハァ、最近こんなのばっかりだ。大体ボクのスペックは飛んだり跳ねたりするのに向いてない」
桂馬「肺が痛い。走りすぎた」
桂馬「さてと」
ボクは呼吸を整えると、かつての攻略相手、九条月夜のいる2Aの教室の前に立った。
桂馬「そろそろ昼休みも終わる、普通なら授業を受けるため教室に戻っているはずだが」
桂馬「それにしても」
月夜が大事にしていた人形『ルナ』を指先で弄びながら目の前の扉に手をかけた。
あれほど大事にしていた人形を忘れてしまうなんて、本当に慌てていたのか。それとも記憶の消去が不完全なのか。
あるいは、彼女の中にこそ、ディアナが探していた『女神』が存在するのか。
>2A女子「九条さん? まだ、教室に戻ってないけど(なにこいつキモッ!!」
桂馬「そうか。ところで、いくつか質問させてもらってもいいか」
>2A女子「ええ」
ボクは極めて的確に用意していた質問をリアル女子問うと、いくらかの情報を得てその場を後にした。
>2A女子「きゃー、きゃーっ、オタメガと口きいちゃったーっ」
桂馬「肺が痛い。走りすぎた」
桂馬「さてと」
ボクは呼吸を整えると、かつての攻略相手、九条月夜のいる2Aの教室の前に立った。
桂馬「そろそろ昼休みも終わる、普通なら授業を受けるため教室に戻っているはずだが」
桂馬「それにしても」
月夜が大事にしていた人形『ルナ』を指先で弄びながら目の前の扉に手をかけた。
あれほど大事にしていた人形を忘れてしまうなんて、本当に慌てていたのか。それとも記憶の消去が不完全なのか。
あるいは、彼女の中にこそ、ディアナが探していた『女神』が存在するのか。
>2A女子「九条さん? まだ、教室に戻ってないけど(なにこいつキモッ!!」
桂馬「そうか。ところで、いくつか質問させてもらってもいいか」
>2A女子「ええ」
ボクは極めて的確に用意していた質問をリアル女子問うと、いくらかの情報を得てその場を後にした。
>2A女子「きゃー、きゃーっ、オタメガと口きいちゃったーっ」
女子B「うっそー、あいつマジやばくね?」
女子C「うっわ、あいつ人形抱きかかえてた、人間捨ててね?」
女子A「マジキモいんですけど」
桂馬「ふん、モブどもか」
ボクは偶像は認めない主義なんだ。2次元にこそ神は宿る。
桂馬「なにもわかってないやつらだ。これだからリアルは精度が低い」
授業開始のチャイムが鳴り終えると同時に、月夜が所属している天文部の部室に到着した。
桂馬「誰も居ない。帰ったか?」
女子C「うっわ、あいつ人形抱きかかえてた、人間捨ててね?」
女子A「マジキモいんですけど」
桂馬「ふん、モブどもか」
ボクは偶像は認めない主義なんだ。2次元にこそ神は宿る。
桂馬「なにもわかってないやつらだ。これだからリアルは精度が低い」
授業開始のチャイムが鳴り終えると同時に、月夜が所属している天文部の部室に到着した。
桂馬「誰も居ない。帰ったか?」
エルシィ「うー、おいてきぼりなんてひどいです」
桂馬「おまえか。ったくこのポンコツ。楠はまいたのか」
エルシィ「楠さんものすごーく怒ってました。命の危機でしたよー」
桂馬「そんなことはいい」
エルシィ「にーさま、ひどいですよ」
桂馬「ひどいのはお前らのほうだっ、なんなんだあれはっ、また駆け魂にとりつかれてるじゃないかっ。地獄のやつらはキャッチアンドリリー
スしてるのか!」
エルシィ「そんなことするはずないじゃないですかー」
桂馬「エルシィ。いちど駆け魂を出したやつに、もういちど駆け魂が入るってケースは多々あるのか」
桂馬「おまえか。ったくこのポンコツ。楠はまいたのか」
エルシィ「楠さんものすごーく怒ってました。命の危機でしたよー」
桂馬「そんなことはいい」
エルシィ「にーさま、ひどいですよ」
桂馬「ひどいのはお前らのほうだっ、なんなんだあれはっ、また駆け魂にとりつかれてるじゃないかっ。地獄のやつらはキャッチアンドリリー
スしてるのか!」
エルシィ「そんなことするはずないじゃないですかー」
桂馬「エルシィ。いちど駆け魂を出したやつに、もういちど駆け魂が入るってケースは多々あるのか」
エルシィ「わかりません。でもありえないことじゃないと思います」
桂馬「一度埋めたはずの、心のスキマがまた広がったのか」
桂馬「ボクが埋めた以外の外因が新たに増えたのか」
エルシィ「あー、それよりも、にーさま午後の授業」
桂馬「授業なんてどうーでもいい。だいたいおまえは悪魔なんだから勉強しなくていいんだっ。本末転倒してるぞ」
エルシィ「……」
エルシィ「おお」
桂馬「一度埋めたはずの、心のスキマがまた広がったのか」
桂馬「ボクが埋めた以外の外因が新たに増えたのか」
エルシィ「あー、それよりも、にーさま午後の授業」
桂馬「授業なんてどうーでもいい。だいたいおまえは悪魔なんだから勉強しなくていいんだっ。本末転倒してるぞ」
エルシィ「……」
エルシィ「おお」
桂馬「……」
エルシィ「ひぃいいいっ。無言でほっぺをひっぱらないでくださいーい」
桂馬「なあエルシィ、ボクの推論では月夜の中にディアナがいってた女神がいる可能性が高いと思う」
エルシィ「そうなんですかっ!?ってそれよりもにーさまにいわなければならないことがあるんですっ」
桂馬「なんだ」
エルシィ「ふたつです」
桂馬「ふたつ?」
エルシィ「月夜さんの中に居る駆け魂、反応がふたつありました」
桂馬「なんだよそれ、どうなるんだ」
エルシィ「わかりません。いま室長に連絡しましたが、極めて珍しいケースだそうです」
エルシィ「彼女の中の駆け魂が、いま身体の中でどのような影響を与えているのかもよくわからないそうです」
桂馬「それじゃあ、彼女の中に女神がいるかどうかってのも、記憶のあるなしでは判別できないな」
桂馬「不確定な情報ばかりだが。まずは月夜を探すのが先決だ」
エルシィ「どうするんですか」
桂馬「選択肢総当り戦だっ!!」
エルシィ「またー」
桂馬「つべこべぬかすなっ! ホラ行けっ。少しは役に立てっ」
エルシィ「ひぃいいいっ。無言でほっぺをひっぱらないでくださいーい」
桂馬「なあエルシィ、ボクの推論では月夜の中にディアナがいってた女神がいる可能性が高いと思う」
エルシィ「そうなんですかっ!?ってそれよりもにーさまにいわなければならないことがあるんですっ」
桂馬「なんだ」
エルシィ「ふたつです」
桂馬「ふたつ?」
エルシィ「月夜さんの中に居る駆け魂、反応がふたつありました」
桂馬「なんだよそれ、どうなるんだ」
エルシィ「わかりません。いま室長に連絡しましたが、極めて珍しいケースだそうです」
エルシィ「彼女の中の駆け魂が、いま身体の中でどのような影響を与えているのかもよくわからないそうです」
桂馬「それじゃあ、彼女の中に女神がいるかどうかってのも、記憶のあるなしでは判別できないな」
桂馬「不確定な情報ばかりだが。まずは月夜を探すのが先決だ」
エルシィ「どうするんですか」
桂馬「選択肢総当り戦だっ!!」
エルシィ「またー」
桂馬「つべこべぬかすなっ! ホラ行けっ。少しは役に立てっ」
エルシィ「はーい、がんばりますっ!!」
桂馬「……」
桂馬「あいつ、ホントにアホだな」
桂馬「センサー使えば一発なのにな」
桂馬「とりあえず、いくつか確かめたいことがるので、エルシィには席を外してもらおう」
桂馬「……」
桂馬「あいつ、ホントにアホだな」
桂馬「センサー使えば一発なのにな」
桂馬「とりあえず、いくつか確かめたいことがるので、エルシィには席を外してもらおう」
移動フェイズ
屋上
桂馬「ゲームならワンクリックだけなのに。リアルめ。どれだけボクを苦しめるつもりだ」
屋上に着くと案の定、月夜が泣きそうな顔で辺りを見回しているのが見えた。
月夜「ない……」
桂馬「探してるのはこれか?」
月夜「!?」
桂馬「どうした。ホラ」
屋上
桂馬「ゲームならワンクリックだけなのに。リアルめ。どれだけボクを苦しめるつもりだ」
屋上に着くと案の定、月夜が泣きそうな顔で辺りを見回しているのが見えた。
月夜「ない……」
桂馬「探してるのはこれか?」
月夜「!?」
桂馬「どうした。ホラ」
月夜「こないでっ、桂馬。ずっと待ってたのに」
桂馬「待ってた?」
月夜「美しいものいっしょにさがそうって」
月夜「私のために命をかけてくれたっ」
月夜「このベンチで、ひぐっ、いつか、桂馬のほうから声をかけてくれるって、信じてたのに」
月夜「あんな女とっ、ひぐっ。イヤっ、こんなの美しくない」
桂馬「ちょっと待て、楠のことか。おい、おまえの考えてるのとたぶん全然違うぞ」
月夜の身体の回りに黒い瘴気のようなものが漂いだしているのが見えた。
まずい。
かなりまずいぞ、これは。
桂馬「まて、落ち着け」
月夜「こないでほしいのですっ!!」
桂馬「ちょっ、待て暴れるなっ」
月夜「私以外の女と仲良くしてたっ!!」
ガチョン!
月夜を止めようともつれあっているちに、ボクの懐からPFPが転がり落ちる。
桂馬「待ってた?」
月夜「美しいものいっしょにさがそうって」
月夜「私のために命をかけてくれたっ」
月夜「このベンチで、ひぐっ、いつか、桂馬のほうから声をかけてくれるって、信じてたのに」
月夜「あんな女とっ、ひぐっ。イヤっ、こんなの美しくない」
桂馬「ちょっと待て、楠のことか。おい、おまえの考えてるのとたぶん全然違うぞ」
月夜の身体の回りに黒い瘴気のようなものが漂いだしているのが見えた。
まずい。
かなりまずいぞ、これは。
桂馬「まて、落ち着け」
月夜「こないでほしいのですっ!!」
桂馬「ちょっ、待て暴れるなっ」
月夜「私以外の女と仲良くしてたっ!!」
ガチョン!
月夜を止めようともつれあっているちに、ボクの懐からPFPが転がり落ちる。
偶然だろうかゲーム機に電源が入り、画面上にいとしのよっきゅん(※ボクの嫁)の画像が映し出された。
月夜「またゲーム。私も、私も」
月夜「この醜い世界で生きているのはもうたくさんなのですっ!!」
瞬間、黒い瘴気を払うように、PFPから拡散された光が辺りを薙いだ。
桂馬「っ。どこだ、月夜」
いない。どこにもいない。
首筋から背骨、骨盤までいいようのない悪寒が電撃的に貫く。脳みその奥が、ちくちくと痛む。
桂馬「月夜ーっ!!」
月夜「――ここです」
桂馬「え」
桂馬「えええええええええええっ!?」
全身の力が抜け、ボクは腰砕けにその場に座り込んだ。
ボクの目の前のPFPの画面中央に。
デフォルメされた『月夜』らしいゲーム女子が、こちらに向けて声を投げかけていた。
月夜「またゲーム。私も、私も」
月夜「この醜い世界で生きているのはもうたくさんなのですっ!!」
瞬間、黒い瘴気を払うように、PFPから拡散された光が辺りを薙いだ。
桂馬「っ。どこだ、月夜」
いない。どこにもいない。
首筋から背骨、骨盤までいいようのない悪寒が電撃的に貫く。脳みその奥が、ちくちくと痛む。
桂馬「月夜ーっ!!」
月夜「――ここです」
桂馬「え」
桂馬「えええええええええええっ!?」
全身の力が抜け、ボクは腰砕けにその場に座り込んだ。
ボクの目の前のPFPの画面中央に。
デフォルメされた『月夜』らしいゲーム女子が、こちらに向けて声を投げかけていた。
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