元スレエルシィ「私の神にーさまがコミュニケーション不全なわけない」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
301 = 284 :
決め台詞きたー!
302 = 258 :
~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~
私の行うことが全て罪に値するならば、せめて何も為さない事が善行に繋がると思いたい。
そういったのは誰であったのだろうか。
気づけば私は、夜気に身を震わせ、ひとり佇んでいた。
敷物の無いベンチが私の身体から熱を奪っていく。
303 = 258 :
傍らにある、彼がいつも持っていたゲーム機を見つめ、それから自分がこの世界に帰還したのだとようやく気づいた。
私も、幼いころはもっと快活で友達もたくさん居たような気がした。
好んで世間を遠ざけ、その挙句がこの有様だ。月明かりささない闇の中、街灯のぼんやりした光を頼りにゲームのスイッチを入れた。
クリアな音と共に、会社のロゴらしきものが浮かび上がる。
それから、四苦八苦してゲームを起動させると、彼が好きだったゲーム始めてみた。
コミカルな音と共に、画面のアニメが動き始める。
「ふふっ。桂馬はこんなのが好きなのですか。本当に変わった人です」
究極の美の探求者。彼が美を語るのは、さすがにおこがましいが、好きなのであれば仕方が無い。
304 = 258 :
だって、仕方が無い。
好いてしまうことに、理由などないのだから。
彼の記憶は一部あいまいだった。ただ、感情とあの時いえなかった言葉だけが、ずっと胸に巣食っていた。
いつか、あの場所に居続ければ、日常からかけ離れた素敵なことが起こるような気が、根拠も無くあった。
けれども、現実ではそんなことはありえない。自分でも理解していた。
世界と理想に折り合いを付ける。
当たり前のことが出来ない自分は、異常なのではないのだろうか。
努めて平静を保つ。揺り動かされない仮面だけが、私を守る盾だった。
けれども、本当は構って欲しかった。抱きしめて欲しかった。必要とされたかった。
物質的に満たされていても、心は常に飢えていた。
あの、冷たい家に帰るつもりは無い。
305 = 258 :
どうして、私はあの時、ここから出られなかったのだろうか。
自問自答する必要も無く。
「ごめんなさい、桂馬」
心が答えを出していた。
306 = 258 :
顔中が燃えるように熱い。
私は、自分の中の感情が涙といっしょに流れ落ちていくのを感じた。
子供のように蹲り、床に両膝を突いて泣き叫んだ。
髪を掻きむしって、頭を振って、鼻を垂らして、幼児のように、誰はばかることなく感情を開放した。
それから、祈った。私が祈るのはいつも月だ。哀願した。
どうか、顔を見せておくれ、と。
桂馬を見捨て、保身に走った自分は許せない。
彼は頭を打っていたのだ。もし、取り返しのつかないことになっていたらどうしていたのだ。
いつものように、取り繕っていたのか。そうだろう。自分はそういう女だ。
――もしかしたら、それを望んでいたのかもしれない。
307 = 258 :
そうすれば、なに憚ることなく、彼といっしょに居られる。スマートかつ優雅に。
感情がグチャグチャだ。心の置き所がない。逃げ場所が無い。
居ていいところも見つけられない。
びたびたに涙で濡れたタイルを見て、苦笑が漏れた。
今の私は、たぶん世界で一番醜い。
ふらふらと立ち上がる。
桂馬には、もう会えない。胸がバラバラに砕けそうだ。
私は、今、誰かに自分を壊して欲しいと心の底から感じる。
誰か、私を壊して。
もの言わぬ、人形のように。
~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~
308 = 258 :
桂馬「早く、見つけるんだ。ボクの予想では、今の月夜は酷く不安定な状態にある」
エルシィ「えー、なんでわかるんですかっ!?」
桂馬「このパターンはさんざん経験してきた、ゲームではっ」
エルシィ「……それが、結構当たってしまうから、問題なんです!」
309 = 258 :
桂馬「どこだ、どこだ、月夜!」
今の心理状態では、そう遠くまで行けないはずだ。
エルシィ「あくまでも勘、なんですねっ!」
桂馬「うまいこといったつもりか」
今は、もうほとんど午前をまわる寸前だ。おまけに、駅前のこの辺りは治安がいいとはお世辞にもいえない。
危険だ。火薬庫に葉巻を投げ込むがごとく。
胸ポケットの携帯に、着信が来た。先程から何十回目だろうか。
そういえば、今日はしている暇が無かった、な。
桂馬「あー、母さんか、今は忙しいんで、うん。用件は聞かなくてもわかってる。じゃあ」
310 = 258 :
母さんの怒声を浴びながら、携帯を切った。
エルシィ「電話してる場合じゃないですよっ」
桂馬「あー悪い、悪い」
エルシィ「あれ、月夜さんですっ!」
エルシィの声に顔を傾けると、舞島の制服を着た少女が、中年の背広姿の男に手を引かれ、そのまま着いていっている。行く先は、……。
また、パターンだな、おい。条例違反だよ、それは。
桂馬「今時、昼ドラでもやらないぞ、かかれっ」
エルシィ「おーっ!!」
ボクの掛け声と同時に、エルシィの羽衣が縄状に変化する。
するするとそれは意思を持った蛇のように伸び、男の足首に巻きつくと同時に引き倒した。
311 = 258 :
桂馬「月夜っ!!」
月夜「け、いま」
桂馬「逃げるな」
月夜「あ、あ。だって私、わたし」
桂馬「ちょうどいい、今からつきあって欲しいところがある」
月夜「はなしてください、はなして――」
312 = 258 :
桂馬「ダメだね。この手は離せない」
桂馬「なんで、あんな真似をしたんだ」
月夜「私は、私に罰を与えようと」
月夜「だって、私は、こんなにも、醜いのに」
月夜「どうして、あなたは」
ボクは無言のままタクシーを止め、月夜を叩き込む。
桂馬「エルシィ、ボクら家に帰る。お前は、あとで、な」
目配せをする。さすがに、理解したのか、エルシィは猛烈な勢いで首を振ると、やや真剣な顔で直立不動の姿勢をとった。
車の中で、彼女は終始無言だった。病院から、家まではそれほど離れていない。
313 = 258 :
支払いを済ませ、二人きりになると、再び静寂の世界が辺りを覆った。
月夜「私は、あの時、桂馬を助けたかったのです」
桂馬「ああ、わかってる」
簡単な話だった。
桂馬「ひとつ賭けをしないか」
月夜「賭け、ですか」
彼女が必要だったのは、美しい世界でもなく、価値観の変革でもなく。
桂馬「今日は、お前の家に電話をしていない」
桂馬「この先を曲がった角が、知ってのとおりボクの家なんだが」
桂馬「君の大切な人は来ているのかな?」
月夜「来るわけないです。ママは、ソウルで大切な仕事が――」
桂馬「それでも、定期連絡の時間からすれば、ギリギリ間に合うはずだ」
月夜「来るわけないです、桂馬、もういい加減に――」
314 = 258 :
桂馬「いいかげんにするのはお前のほうだ!!」
月夜「――っ!?」
桂馬「どうして、何も見ようとしない、感じようとしない、信じようとしないんだっ」
月夜「だ、だって、この世界は誰も彼も嘘つきで」
月夜「桂馬だって、私のこと無視していたのですねっ!!」
桂馬「でも、今はちゃんとここにいる」
桂馬「君のそばに居るよ」
月夜「うそだ、うそだ、うそだっ!!」
月夜「私だって、なんだかわからないけど、桂馬のこと忘れていたっ」
315 = 258 :
桂馬「いいかげんにするのはお前のほうだ!!」
月夜「――っ!?」
桂馬「どうして、何も見ようとしない、感じようとしない、信じようとしないんだっ」
月夜「だ、だって、この世界は誰も彼も嘘つきで」
月夜「桂馬だって、私のこと無視していたのですねっ!!」
桂馬「でも、今はちゃんとここにいる」
桂馬「君のそばに居るよ」
月夜「うそだ、うそだ、うそだっ!!」
月夜「私だって、なんだかわからないけど、桂馬のこと忘れていたっ」
316 :
神SSきたこれ
317 = 258 :
月夜「こないで、こっちにこないで!」
月夜「この世に美しいものなんてないっ」
桂馬「そうかな?」
月夜「わっ」
ボクは月夜の肩を無理やり押し出した。通りの辻から、首だけ突き出す格好になり。
そして――。
月夜「ウソ――」
桂馬「ウソじゃない。連絡が無ければ、飛んでくる程度には大切にされてるらしいな」
318 = 258 :
家の前には、母さんと、月夜の母――初見であるが間違いない――月夜とよく似た女性、九条陽子が、
餌をもらい損ねた熊のようにうろうろと歩き回っているのが見えた。
桂馬「世界は、きっと、もう君を裏切らない」
月夜「桂馬、あなたは世界のこと、なんでも知っているのですね」
月夜「まるで、神様みたい」
桂馬「そう、ボクは神だからな」
桂馬「――神のみぞ知るセカイだ」
319 = 258 :
月夜を抱き寄せる。二人で並んで、空を見上げた。
分厚い雲から、前途を祝福するように、銀色の月が星屑を纏って煌いている。
月夜の顔。長い睫が、細く瞬いている。
月夜「あの時、いえなかった。だから、いわせて欲しいのです、桂馬」
月夜「大好き、愛しているわ」
320 = 258 :
答えず、口付けた。
それは、短いようで、長いようで、心で計れば永遠だった。
月夜「この瞬間も、私、忘れてしまうのですか?」
桂馬「大丈夫。ボクは神だ」
桂馬「月夜が忘れても、ボクとあの月は、永遠に忘れはしない」
月夜の身体が、暗夜を割いて輝きだす。視界の向こうに、ボクは苦心して出した、諸悪の根源を確認した。
桂馬「――いまだ、エルシィ!!」
エルシィ「おつかれさまでした、神にーさまっ!!」
エルシィの抱える拘留ビンが、蠕動しながら巨大化する。
ここからは、単純な力の引き合いになる。
エルシィ「こ、のーっ!!!」
真っ赤な顔をしたエルシィがビンを抱えたまま宙を舞い続ける。
やがて、引き合いは最後を迎え、駆け魂は力尽きた。
エルシィ「やったー! 駆け魂、拘留!!」
笑顔のままVサインをする、悪魔を見ながら、ボクはその場にへたり込み、そしてボクだけの神に祈りをそっと捧げた。
321 = 258 :
答えず、口付けた。
それは、短いようで、長いようで、心で計れば永遠だった。
月夜「この瞬間も、私、忘れてしまうのですか?」
桂馬「大丈夫。ボクは神だ」
桂馬「月夜が忘れても、ボクとあの月は、永遠に忘れはしない」
月夜の身体が、暗夜を割いて輝きだす。視界の向こうに、ボクは苦心して出した、諸悪の根源を確認した。
桂馬「――いまだ、エルシィ!!」
エルシィ「おつかれさまでした、神にーさまっ!!」
エルシィの抱える拘留ビンが、蠕動しながら巨大化する。
ここからは、単純な力の引き合いになる。
エルシィ「こ、のーっ!!!」
真っ赤な顔をしたエルシィがビンを抱えたまま宙を舞い続ける。
やがて、引き合いは最後を迎え、駆け魂は力尽きた。
エルシィ「やったー! 駆け魂、拘留!!」
笑顔のままVサインをする、悪魔を見ながら、ボクはその場にへたり込み、そしてボクだけの神に祈りをそっと捧げた。
322 = 258 :
EDテーマ「コイノシルシ」http://www.youtube.com/watch?v=9pMi7Bo8Dto&feature=related
エルシィ「やりましたねー、にーさま。苦労しましたよ、今回も」
桂馬「感動にひたってるところ、悪いんだが」
桂馬「まだ、結の駆け魂、残ってるからな」
エルシィ「はっ!」
桂馬「はっ、じゃなーい。このヘッポコ!」
323 = 258 :
ふ、最後にポカしちゃったお
2回投稿してしまった
324 :
二階堂がなんとなくツンデレだな
325 :
これ、どんな神SS?
326 :
>>325
おとし神のSS
327 :
面白いなぁ・・・
月夜かわいいよ月夜
ところで観覧車のくだりだが客をつるし上げにする前に係員側が多少のタイムオーバーに目を瞑るように手回しすりゃいいだけの話じゃねーかって思った
328 :
オタには厳しい世界なんだよ
329 = 328 :
ゴメン、言い間違えた。
世界は常にオタには厳しい。
330 :
ぶっちゃけ桂馬をぼこる為に、用意した展開だからな
適当に流すのが正解だろう
331 :
他キャラなら爆発しろというところだが桂馬さんなら全力で応援する
しかしおもしろいなぁ
月夜可愛いなぁ
神のみSS増えないかなぁ
おっつー
332 :
乙。すばらしー出来感謝いたします。
後半戦も楽しみにしてます。
333 :
かみのみアニメしか見てないけどこれ読んでて原作欲しくなってきた
334 = 328 :
今回ので月夜の駆け魂、二つとも出たのか?
結局、二つ入ってたことで何か変化があるような展開にはならなかったな。
もしかしてこれから先の伏線として何かあるのかもしれないが。
335 :
出来いいな
336 :
祝日だから来るかと期待しつつ待機
337 :
桂馬「そういえば、お前、駆け魂の反応が二つあったとか、どうとか」
エルシィ「……おかしいですね。彼女の中からはもう反応がありません」
桂馬「壊れてんじゃないのか、そのセンサー」
エルシィ「え~。そうかなぁ。一度見てもらった方がいいですかねぇ」
桂馬「要交換だ」
桂馬「ついでにお前の残念な頭の中身も交換してもらえ」
エルシィ「う~」
桂馬「ま、それはともかく」
桂馬「元々ボクはルート決め打ち派だ」
桂馬「明日からは、的を絞っていくぞ」
エルシィ「月夜さん大丈夫ですかねぇ」
桂馬「ま、平気だろ。それに気にしても仕方ない」
桂馬「彼女の物語はこれで完全に閉じた。ボクの中ではね」
桂馬「それでも、不安が残るなら」
桂馬「あの月に祈っておけばいいさ」
338 = 337 :
~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~
月夜編epilogue bridge
不透明な空を見続けているうちに、ふと雨の匂いを感じた。
私は、いつものお気に入りのベンチから腰を上げ、雨の気配で重たくなった前髪を弄びながら、ルナを抱きなおした。
今週の天気予報は当てにならない。おととい、きのうと、外れっぱなしだ。
今日は、傘をもってきておいて正解だった。
日常は出来るだけ軽快に過ごしたい。ルナも居るし。
339 = 337 :
私はあまり力も無いので、たくさん荷物があるとすぐ、疲れてしまう。
それに、今日は母が早めに仕事を切り上げて来るので、いっしょに食事をする約束をしている。
――まるで、子供だ。いや、私はまだ子供なのか。
ずっと、醜いと思っていた世界も見方をひとつ変えればそれほど酷くない。
340 = 337 :
いや、好ましい、と思えるようになったのは、私が成長したからだろうか。
きっかけは、自分でもよく覚えていない。
けど、まるきり違った世界でも、互いの歩み寄りでどんな風にも近づけることを知った。
あの日、子供のように泣きじゃくって母と話を続けるうち、彼女も理想と現実の間で苦しんでいたことを知った。
出来ることと、出来ないこと。
醜さを切り捨てるのではなく、その中で美しさを探し続ける意味。
目の前が、不意に開けた気がした。
私の心はあの日からずっと穏やかだ。
意識は常にクリアで、呼吸は健やかだ。
341 = 337 :
つまらない、価値を認めなかった日常が黄金より価値があると気づけたのは僥倖だった。
――けど、なぜだろうか。
まるで、傍らの羽をもがれたように、時折酷い寂しさを感じる。
それは、根拠の無い痛みだが、なぜか懐かしさすら覚える。
重たげな扉を両手で押し広げ、階段をゆっくりと下りる。
過ぎていく教室のあちこちから、談笑する声や、楽器の爪弾く音色が漏れ聞こえる。
渡り廊下の窓から覗き見える鉛色の空が泣き出しそうで、歩を早めた。
下駄箱で靴を履き替え、傘立てを見た。ない。確かにここに置いておいた!
ついていない。知らず、ため息が漏れた。
きっと、傘を忘れた誰かが持っていったのだろう。
その人は、きっと特別な用があって、やむにやまれず傘を拝借したのだろう、と思い込むことにした。
濡れて帰る。それとも止むまで待とうか。
お話のように、そうそう知り合いが、しかも同じ方角に帰宅するクラスメイトが通りかかる。
そんな、夢想が頭の中に沸き起こり、直ちに霧散した。
342 = 337 :
ふと気づく。
目の前の昇降口に、自分と同じように足止めをされて立ち往生している男性が居た。
細身で長身だが威圧感は感じなかった。
一際胸が高鳴った。
理由など無い。彼の背中を見るにつけ、自然と頬が紅潮するのがわかる。
なんだ。なんだ?
理解できない。まったく知らない人だ。――いや、知り合いか?
自分には親しい男性など居ない。前に回って顔を確かめようか。
343 = 337 :
足が出ない。縫い止められた人形のように微動だに出来なくなってしまった。
「災難だな。今日の降水確率は安全基準値を満たしていた筈だ」
少年の声は、思っていたより低く、なぜかよく耳になじんだ。
さ、声を掛けろ。声を出せ。自分を鼓舞する。だが、のどの奥に粘土を詰め込まれたみたいだ。
舌が乾いた雑巾みたく、上あごに張り付いて動かない。
「精密機器は水に弱い。もっとも、人間は完全防水だけどね」
「あ、あの――」
彼が、前を向いたままそっけないデザインの傘を突き出してきた。
何も考えずそっと受け取るときに、細い指が私の手に触れた。
冷たく、滑らかな感触だった。
「どうやら、君のデータは保護しておいたほうがいい」
使え、という意味なのだろうか。
誰。
あなたは――。
「あなたは、だれなのですか?」
「ボクは、君の中の、ただのバグさ」
小ぶりの雨の中を駆け出す、彼の背を眺めながら、震えだす胸を押さえ、ただその場に立ち竦んでいた。
銀色の糸のような、雨の中を。
ずっと。
~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~~♪~
344 = 337 :
桂馬「――で」
結「うん」
桂馬「これをボクに全部食え、と」
結「頑張って作ったんだよ。食べて欲しいな」
エルシィ「これは、とても一人で食べられるような量では」
美生「結、あなたさすがに今日のは作りすぎよ! コイツの胃袋のキャパを完全に超えているわ!」
月夜攻略後、数日が経過した。
345 = 337 :
ボクは当初の予定通り、順調にルートを埋めている。
特に、一人に絞れるようになったので、かなり攻略が早まると想定していたのだが、
やたらおまけが出張るので、思っていた以上に時間を食ってしまっているのが難点だ。
結「どうしてだい。桂木くんは、昨日も喜んで食べてくれてたよ」
美生「私の作ってきた分まで入らないじゃない」
桂馬「……」
エルシィ「わー、にーさま男です」
346 = 337 :
とにかく、残らず食べないと。
相手が乗っているときは、こっちものっかってやらないとな。
それにしても、このまま食事だけをいっしょに続けていても埒が開かない気がする。
結「どうしたんだい、そんなにボクの顔を見つめて」
エルシィにも調べさせたのだが、こいつの隙間になる要素がなかなか見つからないな。
どう見ても、こいつは好き放題やってるし、以前とは段違いな生き方だ。
というか、学校側はなんでこいつが男子制服を着用しているのになんにもいわないんだ。
347 = 337 :
おおらか過ぎるよ。どういう校風だよ、まったく。
エルシィ「にーさまが、それをいいいますか」
桂馬「なにかいったかね、エルシィくん」
エルシィ「いーえ、なにも。ごちそーさまでした」
桂馬「ぷりぷしてどっかいっちゃった。反抗期か」
結「ねえ、桂木くん。兄妹仲がいいのはよろしいんだけど」
桂馬「おい、ちょっと」
348 = 337 :
だから、なんでこいつはボクの身体に触れたがるんだよ!
結「兄妹でべったりなのは、ちょっと、どうかな?」
美生「お前がどうとか、人のことよくいうわね……」
美生「それと、ひっつきすぎ」
桂馬「うわっ」
美生「結、あなた一応そんな格好でも女なのよっ。その、外聞をわきまえなさい、外聞を」
結「なんだ、やきもちかい」
美生「だ、だれがっ」
桂馬「く、くるしい」
美生の、薄い胸で顔がつぶれる。
349 = 337 :
美生「――きゃっ」
結「ふーん。でも、あくまでボクたちは友達だから。美生が心配することなんてなにもないさ」
結「ねえ、桂木くん」
桂馬「だ、だからなー」
きゃっ、とかいっておいて、いい加減抱きしめるのはやめてくれ。息が……。
結「美生、はなしてあげて」
美生「//////」
350 :
うーん、いちいちこのコンビは疲れるぞ。
どうにか打開策を考えないとな。このままじゃ千日手だ。
桂馬「……ブツブツ、離す……いや、いっそ、逆手に取るか」
美生「なに、ブツブツ独り言」
結「桂木くんは、おもしろいね」
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