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    元スレエルシィ「私の神にーさまがコミュニケーション不全なわけない」

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    タグ : - エルシィ + - エルシー + - ベジータ + - 九条月夜 + - 五位堂結 + - 桂木桂馬 + - 桂馬 + - 神のみぞ知るセカイ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    201 = 191 :

    →キスの事を聞く
     懐のスタンガンについて
     西川かのんについて

    桂馬「なんだ、他の二つの選択肢は」

    202 = 191 :

    かのん「え、どうしたの?」

    桂馬「回りくどいことはやめて、直接聞くぞ!!」

    かのん「あ、私も桂馬くんに聞きたいことがあります」

     ガクッ

    桂馬「話の腰を折るなよ」

    203 = 191 :

    かのん「桂馬くんって呼んじゃった、でもいいよね。クラスメイトなんだし」

    桂馬「ボクの呼び方は好きにしてくれ、それより――」

    かのん「さっきのツインテールの子とはどういう仲なんですかっ!!」

    かのん「(私、桂馬くんに振られてるし、もしかしたらさっきの子とつきあってるのかな)」

    桂馬「どういう仲でもない。少なくとも、君が思ってる関係じゃない」

    かのん「じーっ」

    かのん「あやしいな」

     警戒心を抱かせてしまったようだ。ボクは速やかに情報を取得したいだけなのに。

    桂馬「じゃあ、どうしたら信用するんだ」

    かのん「――キ」

    桂馬「? 聞こえないよ」

    かのん(キスしてみてなんて、いくらなんでも恥ずかしくていえないよー)

    204 = 191 :

    桂馬「どうした――」

     ボクがかのんの声を聞こうと、近づいた瞬間。ベッドに置いてあったPFPに明かりが灯るのが見えた。

     スリープ状態にしてあったはずなのにっ!?

    月夜『桂馬、ここ、どこですか? 桂馬?』

    かのん「女の子の声?」

    桂馬「あ、あははははっ。ゲーム、ゲームの声だよ」

     マズイ、マズイぞ! 月夜が起きてしまったらかのんのことは説明しづらいぞ!

     これいじょう、好感度を下げるのはまずい。

     考えろ、考えるんだ、マクガイバー!!

    205 = 191 :

    この窮地から奪取する妙手を――っ!!

    エルシィ「にーさまっ!!」

    桂馬「今度は何だっ!!」

     ドアを勢いよく開いてエルシィが飛び込んできた。うまいぞ、このイベントを上手く活用すれば。あるいは。

    エルシィ「下でハクアと歩美さんたちが喧嘩してますー」

    桂馬「……オイ」

    かのん「桂馬くん、大丈夫? 顔が灰色だよ。気分悪いの?」

    桂馬「かのん、時間はいいのか」

    かのん「うん? あーっ、もうこんな時間っ! スタジオに行かないと間に合わないよ」

    桂馬「下まで送るよ。タクシーも呼んでおこう」

    かのん「あ、ありがと。でも、ホント大丈夫? 今度は真っ青に」

    桂馬「ハハハ、それは今日のお月様が冴え冴えと輝イテイルカラダヨ」

    エルシィ「にーさまの顔色が糸コンニャクのよーに」

    206 :

    ハクアさん胸囲と同じくらい大人しくしてください

    207 :

    桂馬じゃかったら卒倒するレベルの修羅場wwww

    208 :

    トットットットッ、ダンっ!!

    エルシィ「きゃっ、急に立ち止まらないでください」

     階段を下りると、そこは戦場だった。

    ハクア「だから、何度もいわせないでっ!! カンケーないやつは帰れっ!!」

    歩美「だから、私たちは桂木に会いに来たんじゃないってば!」

    ちひろ「そうだー、コスプレ女は巣に帰れー」

    天理「わわわ、喧嘩はやめようよ……」

    「お前ら、近所迷惑だぞっ! いい加減にしろっ」

    209 = 208 :

    桂馬「……」

    かのん「あ、あの桂馬くん?」

    桂馬「お前ら――」

     人がやりたくも無いアフターケアや女神探しに心血を注いでいるっていうのに。

     こっちは、もう昼からゲームやってないんだぞ。

     ――やるか。

    210 = 208 :

    ここに再び、落し神無双降臨っ!!

     超

     ――強制展開技ッッ!!

    ハクア「なにが近所迷惑よーっ、このっ!」

    「いい年して常識も理解できないのかっ、それに目上の人間には敬語を使うものだっ」

    桂馬「あー、ブレイクブレイク」

    ハクア「っ! 何よっ、引っ込んでてよねっ」

    「そうだ、女同士の話し合いだ、桂木は引っ込んでろ」

    桂馬「ボクが裁定してやる」

    「……っ!?」

    ハクア「ッ!?」

     ムニョン

     その時、空間は凍結した。

    211 = 208 :

    ボクは何の脈絡も無く二人の両胸を同時に掴むとやわやわと揉み解した。

    「……あ、あ」

    ハクア「ふ、あぁ……」

    桂馬「ふむ」

    桂馬「楠主将のかちー」

     硬直したままの楠の右手を取って勝ち名乗りを上げさせる。

     ――どうだ、前回はこれで悪魔たちを退散させた。今回は。

    「ふ、ふぇええええっ」

    212 = 208 :

    桂馬「へ?」

    「み、みらいのっ、ひくっ、旦那さまにしかさわらせないってきめてた、っく、のに」

    桂馬「え、あ、ちょ、マジで!?」

     ガン泣きかよ。ありえん。

    桂馬「ん、酒? 誰だ、飲ませたやつは!」

    エルシィ「え、これジュースじゃないんですか?」

    エルシィ「その前にいうことがあるんじゃないですか?」

    桂馬「んー」

    桂馬「主将、アンタはそんなキャラじゃないはずだ」

    「ふぇええええっ」

    ハクア「なんで!! 私の負けなのっ、も、もういっかい、ホラもういっかい試しなさいよっ!!」

    エルシィ「ちょっ、ハクアーっ!!」

    歩美「さ、最低っ!! 最低っ、最低!!」

    ちひろ「変態!! クズ!! 色情魔っ!! 腐れゲーム脳っ!!」

    麻里「こ」

    麻里「この、バカやろーっがあああああああああああああああっ!!」

     ガッ!!!

     脳裏に、電光が走った瞬間、最期に思ったのは。

     母さん、いたんだ……。

    213 = 208 :

    『神のみぞ知るセカイ』 
    BADEND【私の神にーさまはコミュニケーション不全でした】
    EDテーマ
    集積回路の夢旅人

    作・桂木桂馬

    ランプに火を灯したら さあ出かけよう
    始まるよ ホール・ニューワールド

    FEELING HEART
    感じるよ このトキメキ
    (ドキ ドキドキ)

    HEALING HEART
    どんなこともかなう
    (困った時は SAVE&LOAD)

    約束の場所で君に会える

    素敵な世界の無敵なボクさ
    素敵な世界の無敵なボクさ

    214 :

    あれ?まさか終わりなんてことないよね・・・?

    215 :

    ゑ、終わり? あの、コンティニューは?
    無理? 現実にコンティニューもリセットも無い? そんなことは解ってる。ただ、俺はこの神にーさまがこれからどうなるのか知りたいだけだ。

    216 :

    ちょwwまじかよwww

    コンティニューします!

    219 = 208 :

    →Y

    ロードしました。

    天理「けーまくん」

    天理「起きて、ねぇ」

    桂馬「はっ! ここは? みんなは」

    エルシィ「帰りましたよ。もう」

    麻里「あのね、桂馬。女の子は繊細なの。はぁー、ゲームしかやったことの無い桂馬には彼女なんてやっぱ無理なのかなー」

    桂馬「っつつ」

    220 = 208 :

    麻里「とっさに手が出ちゃったのはやり過ぎだけど、母さんは謝りませんからね」

    麻里「ふたりには明日謝っておきなさい、いい?」

     ふ、ふふふ。さすがだ、一瞬にして場面展開させた。

     ゲーマーに不可能はないぜ!!

    麻里「ひ・と・の・は・な・し・き・い・て・る!?」

    桂馬「はい」

    麻里「そうだ、アンタ天理ちゃんにお礼いっておきなさい。気がつくまで膝枕してくれたんだから」

    桂馬「ひざまくら」

    天理「う、うん」

     天理はボクと目が合うと、恥ずかしそうに視線をそらし、スカートの裾を掴んで顔を伏せた。

    桂馬「その、すまない」

    天理「い、いーよ。私が無理いってしたんだし。うん。それよりも、桂馬くん。もう平気なの」

    桂馬「……」

    桂馬「ああ、全部天理のおかげだよ、ありがとう」

     キラキラ(←男前な顔)

    221 = 215 :

    Y 月夜の件を始めとして一切何も解決してないからな。読み手としては解決を望むものである。

    222 = 216 :

    やったーーー!!

    223 = 208 :

    天理「//////」

    桂馬「ふむ」

     あいかわらず単純なヤツだ。

    エルシィ「うー、私もにーさまに膝枕してあげたかったのにーっ」

    麻里「ま、エルちゃんたら。桂馬ー、モテモテじゃない!」 

    天理「ふふ」

     キャッキャッ、ウフフ。

     で、綺麗に終わるはずもなく。

    「ああ桂木くん、気がついたかい。心配したよ」

    桂馬「……え」

    エルシィ「結さん、心配して残ってくれたんですよー」

     不運の底には、底があることを、ボクはまだ知らなかった。

    224 = 208 :

    ~家の外~

    ハクア「私も心配して帰らなかったのにー。うぅー入りにくい空気が醸成されてる」

    ハクア「私もコーンスープ飲みたいっ、ううっ」



    ~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~


     五位堂結のことについて語ろうか。といっても、ボクが結に関して持っている情報はそう、多くない。

     私立舞島学園2年A組在籍。ちなみにウィキぺディアに載ってる情報はD組となっているが、間違いだ。

     打ち込んだ者はとっと訂正することをお勧めするよ。正確な情報でなければ、限られたWEB資源の無駄遣いだしね。

     他には、平時は和服を着ていたとか、見たまんまのお嬢様(テンプレ通り!)だったとか、

     ほとんどが過去形なのは、攻略後、需要があるかないかわからないボクっ子にチェンジしてしまったこと。

     そーいえば、ちひろが発足させた2BPENCILSにドラムで加入したとか。その程度だな。

     以上に述べたことは、人間的な本質とはいっさい関わり無い。

     ボクとも関わりなく彼女の人生は、CTRL押しっぱなしに進んでいくと思っていたんだが。

    225 = 208 :

    ~家の外~

    ハクア「私も心配して帰らなかったのにー。うぅー入りにくい空気が醸成されてる」

    ハクア「私もコーンスープ飲みたいっ、ううっ」



    ~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~


     五位堂結のことについて語ろうか。といっても、ボクが結に関して持っている情報はそう、多くない。

     私立舞島学園2年A組在籍。ちなみにウィキぺディアに載ってる情報はD組となっているが、間違いだ。

     打ち込んだ者はとっと訂正することをお勧めするよ。正確な情報でなければ、限られたWEB資源の無駄遣いだしね。

     他には、平時は和服を着ていたとか、見たまんまのお嬢様(テンプレ通り!)だったとか、

     ほとんどが過去形なのは、攻略後、需要があるかないかわからないボクっ子にチェンジしてしまったこと。

     そーいえば、ちひろが発足させた2BPENCILSにドラムで加入したとか。その程度だな。

     以上に述べたことは、人間的な本質とはいっさい関わり無い。

     ボクとも関わりなく彼女の人生は、CTRL押しっぱなしに進んでいくと思っていたんだが。

    226 = 208 :

    桂馬「おい、待て。そこでとどまれ」

     無意識のうちに顔が真っ赤になる。

    「どうしたんだい、急に?」

     ボクは大きく深呼吸をすると、眼鏡の位置を直し、彼女の顔を見つめる。

    桂馬「よし、その位置だ。そこなら問題ない」

    天理「桂馬くん……」

     天理は何か勘違いしたように、しょんぼりと俯く。

     ちがうぞ、これはちがうぞ!

     おそらく、結とボクの身体が入れ替わっていた時の残滓だろう。やたらに触れたり、近づいたりしなければ大丈夫のはずだ。

    エルシィ「にーさま、まさか」

    「つれないじゃないか、それにしても気分の方はどうだい? もし、体調がよろしくないのなら、ボクはこの帰らせていただくが」

    227 = 208 :

    桂馬「なにか話があったんだろう。もう、外も暗い。送りながら聞くよ」

    麻里「桂馬ー、すぐ戻る?」

    桂馬「ああ」

    「そうかい、桂木くん。ボクは全然かまわないさ」

     店を出ると、既に外は日が完全に落ちきっていた。

     気温が低く、冷たい夜空には月が冴え冴えと輝いている。

     疾駆するいくつかの雲の群れが、時折光を遮った。

    「なんていうか、君とこうして歩いているのが不思議だな。あ、そういえば、改まって自己紹介したことはなかったよね。ボクはA組の五位堂

    結、よろしく」

    桂馬「桂木桂馬だ」

    228 = 208 :

     結と当たり障りの無い会話を続ける。バス亭まで歩いているうちに、いつしかボクの意識は深い底に潜行していった。

     ――完全に忘れている、のか? 

     もっとも、彼女が必ずしも真実を述べているとは限らない。

     かといってウソをつく必要も無い、のか?

     ディアナがいったように、女神のいる対象者は記憶を補完している筈なら、

     今までの攻略相手がひとりもボクにアクションしてこなかったのは、異様、とさえいえる。

     キスまで許した相手なら、当然興味があってしかるべし。

     それが、今日の今日まで、話を聞きに来るでもなければ、顔を見に来るわけでもなかった。

     これはいったい、何を指し示している。

     記憶は残っているのか?

     消えているのか?

     それとも、段階的に復元しているのか?

    「――桂馬、くん」

    229 = 208 :

    桂馬「すまない」

    「あは、桂馬くんって案外ぼーっとしてる所があるんだね。見た感じは、そう、まるで王子さまみたいなのに」

    桂馬「やめてくれ、ゾッとしないな」

    「はは、ま、かいつまんでいうとこれを機に、ボクと友達になってくれないかな、って

    話なんだ。どうかな」

    桂馬「ああ。かまわない」

    「――よかった」

     結が莞爾と微笑む。その瞳を網膜に焼き付けた時、ボクの背筋から腰骨を一直線に火が走るのを感じた。

    ~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~

    230 = 208 :

    エルシィ「にーさま、遅いです」

    桂馬「居たのか、エルシィ」

    エルシィ「ごはんが冷めちゃうと思って、あれ? あれ?」

    ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ

    桂馬「おい、これってまさか……」

    エルシィ「間違いありません、これは」

    桂馬「いつもの間違いであってくれよ」

    エルシィ「ひどいです、にーさま。こと駆け魂に限って、私に間違いはありません」

    エルシィ「結さんに、駆け魂の反応が……」

    桂馬「ふ、ふふはははははははっ」

    エルシィ「に、にーさま」

    エルシィ「にーさまが壊れてしまいましたぁー」

    桂馬「もういい」

    桂馬「もう何でもこいだっ!!」

    桂馬「面白い、リアルがボクに逆らうというのなら!!」

    桂馬「何度でも再攻略してやる!!」

    桂馬「ボクの二つ名がなぜ、落とし神と呼ばれているか、教えてやろう」

    エルシィ「お遊戯の神様ですけどね」

    桂馬「ふふふ、お前はあとでオシオキだ」

    エルシィ「え、えええええーっ!?」

    エルシィ「なんでですか?」

    桂馬「自分の胸に手を当ててよく考えてみるんだなっ!」

    エルシィ「ん~」

    エルシィ「私、なにかしましたかぁ~」

    桂馬「したよ、いろいろと。お前は何かしても問題だし、何もしなくても大問題なんだよ」

    231 = 208 :

    エルシィ「お仕置はいやです~。堪忍してくださ~い」

    桂馬「いやだ、ベンベン」

    桂馬「馬鹿なこといってないで、明日以降の攻略手順をだな――」

    月夜『どこにいっていたのですか』

    桂馬「う」

    月夜『私は、こんなふうになってしまって、すっごく不安なのに』

     部屋に入った瞬間、自分の頭から血の気が引いたのがわかった。

    桂馬「ちがう、ボクの話を聞いてくれっ!!」

    月夜『知りませんでした。桂木さんは、随分と女性の方に好かれているのですね』

     マズイ、マズイぞこれは。

     ここからは、答え方ひとつでバッドエンドに直結する――!

    桂馬「あのな――」

    月夜『ケダモノっ、二度と信用ならないのですっ!!』

    232 = 208 :

    桂馬「あ――」

     PFPの画面が、プツンと音を立てて落ちた。

    桂馬「……ふ、ふふふ」

    エルシィ「にーさま、どうすんですか、これから」

    桂馬「寝る」

    エルシィ「えぇーっ!!」

    桂馬「あ、お前は情報集めとけよ、月夜と結の分だ」

    エルシィ「いまからですかー!?」

    桂馬「ZZZZZZZZZ」

    エルシィ「そんな、ベタ過ぎですう」

    233 = 208 :

    『翌日』

    エルシィ「おはよーございます」

    麻里「おはよー、エルちゃん、桂馬」

    桂馬「おはよう。なんだ、エルシィ、その顔。隈ができてる。夜はしっかり寝ないとダメだ。脳細胞が劣化する」

    エルシィ「にーさまは、さぞよく眠れたでしょうねぇ」

    桂馬「――いや」

    桂馬「寝ていないよ、やることもあるしな」

    234 = 208 :

    エルシィ(にーさま、そうだ。にーさまは、月夜さんと結さんのことでよく眠れなかったんだ。
    本来、駆け魂狩りは私の仕事なのに、
    それを私だけ――なんて逆恨みした自分が恥ずかしいよ。
    うん、私もこれからはにーさま以上に頑張らないと)

    桂馬「エルシィ、苦労かけたな」

    エルシィ「にーさま(やさしい)」

     ありがとう、エルシィ。おかげでちょっとはゲームがやれたよ。

    エルシィ「それで、にーさま、月夜さんは」

    桂馬「ほら」

     朝、一番でPFP を起動させると、画面上の月夜はベッドの中で毛布にくるまったまま、ぴくりともしない。

     こちらの声掛けにも応じず徹底抗戦の構えだ。

    エルシィ「これから、どーしましょー」ひそひそ

    桂馬「悪印象は好印象に変換可能。こいつが怒ってるってことはボクを強く意識しているってこと。
    幸いこいつの身柄はボクがおさえている。引き続きコミュニケーションをとりながら、スキマを探っていくぞ。あとは学校で、だ」ひそひそ

    麻里「ほらー、早くたべちゃわないと片付かないよー」

    235 = 208 :

    桂馬「あー、はいはい」

    エルシィ「結さんの方は、どうしましょう」ひそひそ

    桂馬「休み時間に会うようにしよう。それから、今日は月夜の方を重点的に攻略する。時間を置きすぎるのもよくないからな」ひそひそ

     ボクらは手早く食事を済ませると、家を出る。

    「おはよう、桂馬くん、エルちゃん。今日もいい天気だね」

    236 = 208 :

    桂馬「お」

    エルシィ「おはよーございます」

     そこには、待ち構えるようにして結がいた。

    「どうしたのかな、ボクたちは友達だよ。学校にいっしょにいこうよ」

    桂馬「かまわないが」

    エルシィ「いっしょにいきましょー」

    美生「おはよう」

    237 = 208 :

     ……さすがにこれは気まずいだろ。結はにこにこしながら、ボクと美生を見比べる。

     美生はボクの視線に気づくと、恥ずかしげに両手を後ろに組んでモジモジし始めた。

     とことんハードルを上げてくれるなっ、リアルってやつは!!

    「うん。別に示し合わせて来たわけじゃないけど、昨日彼女とちょっとした感情の行き違いがあったんだって? 一晩立って頭も冷めたろうし、さ、仲直りしなよ」

    美生「――」

    美生「……う、うん。まあ、庶民がどーしても仲直りしたいっていうんなら、
    特別に結の顔を立てて、昨日のことは水に流してやってもいいかしらっ」

    エルシィ「にーさま、昨日美生さんとなにかあったんですか」

    美生「……」

    美生「//////」

    美生「水に、流してあげ、る」

    238 = 208 :

    朝から泣き喚かれても、はぁ。しょーがないな。ここで冷たい態度を取っても結にはマイナスなだけだろうし。

    桂馬「ボクとナカナオリシテクダサイ」

    美生(ホッ)

    美生「まったく、しょーがないわね♪」

    「うんうん」

     なんだよ、そのドヤ顔は。

    239 = 216 :

    ざわ…


    ざわ…

    240 = 208 :

    エルシィ「にーさま、リア充すぎますよ」

     その存在とは対極的なものだ。エルシィは間違っている。

     仲良く談笑しながら歩く。いちいち結に会いに行く手間は省けたとはいえ、これは。

    桂馬「ところで、お前に聞きたいことがあるんだが」

    「ボクに?」

    美生「しょーがないわね。特別に庶民に答えてあげるわ。特別にっ」

     美生が。

    桂馬「それでだな――」

    美生「もぅ、なんでそんなに聞きたがりなのっ。この庶民は」

    「……」

     美生が果てしなく――。

    桂馬「ちょっ、お前には」

    241 = 208 :

    美生「庶民は、もう少し身だしなみを整えたほうがいいわね。素材は悪くないのだから」

    「あ、あのね。ボクにもしゃべらせて」

    美生「桂馬、明日からはあなたが私の家まで来なさい。その方が効率がいいわ」

     ウザキャラにジョブチェンジしてしまった。

    美生「桂馬は――」

    美生「桂馬♪」

    「あのね、美生。ボクにも話させて――」

    美生「それでね、あのパン屋の主人ったら」

     女の頭の中からは都合の悪い記憶は自然に消去される仕組みなのか。

     なに、この超展開は。

    242 = 208 :

    エルシィ「学校に着きましたよー」

    桂馬「ぜ、全然、結と会話出来なかった」

    エルシィ「美生さん朝から元気でしたねー」

    桂馬「お前も少しはなんとかしろよ」

    エルシィ「私は結さんとたくさんおしゃべりしちゃいましたよー」

    桂馬「お前があいつの好感度あげてどーすんだ」

    243 = 208 :

    エルシィ「昨日喧嘩したんですか? でも、よく仲直りできましたねー」

    桂馬「そんなワケあるか。アイツの目は、笑っていなかった。つまりは毒フラグだ」

    エルシィ「どく、ですか」

    桂馬「今の状態で個別ルートに入るわけにはいかない。駆け魂狩りも出来なくなる」

    桂馬「その時こそ、ボクとお前の本当の終わりだ」

    エルシィ「どーしましょう、どうしましょう! にーさま、マズイですよお」

    桂馬「そうならないように考えているんだ。ゲーム展開が進むにつれ、
    主人公の能力が制限されていくなんて、Dカウンター上がりまくりだよ。
    こんなんじゃDダイヴできないよ」

    エルシィ「?」

    桂馬「お前はニーナ、いやディクだな」

    244 = 208 :

    エルシィ「??」

    エルシィ「え、私は別に不自由してませんが」

    桂馬「だからお前を主に考えるんじゃない!! お前が従なの!」

    エルシィ「えー。それにしても記憶は消されてる筈なのに」

    桂馬「地獄の消去方も機能しているか疑わしいな。
    よし、エルシィ。出来るだけお前は他のリアルどもが接触してきたら遠ざけるようにするんだ。ここから先は、本当の戦場だ」

    エルシィ「あのー、だったら学校を休んで、月夜さんを攻略すればいいのではないかと。結さんの駆け魂はその後に」

    桂馬「馬鹿だな、お前は。単位が足りなくなったらどうするんだ」

    桂馬「日常はゲームじゃないんだぞ、まったく」

    エルシィ「……(堂々と授業放棄してる方がよくいうなあ)」

    桂馬「いま、なんか思ったな」

    245 = 208 :

    エルシィ「え、ぜんぜん。なにも思ったりしませんから」フルフル

    桂馬「そうか、ってバレてんだよ!」

    エルシィ「ひーん、信じてくださいー」

     これいじょう攻略(済)どもにまとわりつかれたら、どーしようもないぞ。効果的にスットコを使用していかないと。

    「あ」

    桂馬「うん。うわ!」

    「……」

    「//////」

     ダッ! トントントンッ!

     何もいわずに走りさっていった。

    桂馬「せめてなにかいえよ。また不条理なフラグが」

    エルシィ「わー、かお真っ赤でしたねー。へー、にーさま攻略以外ではリアルに妥協しないっていってましたよねー」

    桂馬「おい、なんだその平坦な口調は」

    エルシィ「……」

     お前も無言になるなよ!! わけがわからん!

    246 :

    大量更新乙!選り取り見取のヒロインだwwww
    ……うん、リアルってやつは……

    247 :

    全然羨ましく思えないのが不思議だな

    248 :

    普通に羨ましい俺は異端

    249 :

    桂馬なら爆発しなくても許せる俺も異端

    250 :

    『授業中』

    桂馬「おーい、おーい」

    月夜『……』

    桂馬「おい、だから昨日は悪かったって。話くらい聞けよ」

    モブ子「……」

    桂馬「月夜? 聞いてるか、おい」

    モブ子(やばい、マジやばい。今授業中だよね。なんで桂木のやつゲーム機と会話してるの? 
        違う次元の扉開いちゃったの? 新たなステージに到達しちゃったの?)


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