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元スレアレイスター「超能力者達にバンドを組ませる――『最終計画』だ」土御門「」

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101 :

なんかほんとどうしようもないなレベル5…

102 = 97 :

御坂「しっ、しないわよそんなの!」

麦野「あっれれー、第三位の電撃姫はまだまだウブですってかぁ? じゃあここで覚えな、カルピスは精液です。はい復唱」

御坂「言えるかぁぁぁぁあああああっ!!!」ビリバリバチ

麦野「冗談なのに。ああ、それとさあ」

御坂「……なによ」

麦野「あんたは柵がないからバンドをやめるっていう選択肢もあるみたいだけど、私にはないのよ。だから」

御坂「だから……?」

麦野「やめる、だなんて言わないでよ。せっかく得た片腕と片目、また失いたくないし」

御坂「……、……」

麦野「それから。バンドメンバーだしめんどくさいことは抜きにしてくんない? たまにチラッチラ反応窺われんの、ムカつくんだよねえ」

御坂「……、水に流せって言うの」

麦野「そうよ。ほんと言うと、あのクソったれな第二位もブチ殺したいんだけど、我慢してるんだからね」

御坂「ま、いいわ。これから活動する上で余計な諍いは起こしたくないもの」

麦野「よし、オッケー。じゃあ戻ろっか」

御坂「なんか……お姉さんみたい」

麦野「はあ? ちょっと、あんたさすがに水に流しすぎだってば」スタスタ

バタン


垣根「そしてーたーたかーう、ウルトラソウッ!!!」


土御門「ハイッ!」シャカシャカッ
削板「やあっ!」バンバンバンッ
一方通行「そォい!」タンタカタンッ

麦野「……、……」

御坂「……、……」

麦野・御坂「「失礼しましたー」」

垣根「待て待て待て」

104 = 97 :

麦野「どういう流れでそれ歌ったわけ?」

土御門「履歴にあったんだと。それで歌ってるうちにハイになってな、オレらもうっかりマラカスとか」

削板「タンバリンとか」

一方通行「カスタネットとか借りちまった、ってェわけだ」

垣根「いやーすっきりした。すげえすっきりした」ツヤツヤ

御坂「そりゃ、あんだけ完璧に熱唱してたら気分もよくなるわよ……」

土御門「まあ、自分でうまいって言うだけのことはあったな。曲を知らない一方通行がノリノリになるくらいには」

一方通行「ノリノリも何も、俺は空気読ンだだけだボケ」

削板「じゃあ次オレな! マイク! マイクどこだ!」

垣根「ほい。俺使ってないから」スッ

削板「おうサンキュ。んじゃ入曲!」ピッ

~♪~~♪~♪~

土御門「!!! まさか、……削板!」

削板「ふははははーっ! オレの歌を聴けぇぇぇぇええええええええッ!!!!!!!!」

カモンバーニンファイヤー!
カモンイェアイェアイェア!!!
カモンバーニンファイヤー!!!!!!!
カモンッ!!!!!!!!!

垣根「……わかんねえ」

土御門「マクロス7の主人公、熱気バサラの持ち歌だにゃー……前回の登場シーンでうっすら予想はしていたぜい!」

一方通行「ナンバーセブンと7をかけてンのか」

麦野「その発想はなかった」

カモンジャンピントゥーザスカイ!!!
デンセツヲトビコエロイマライナウ!!!!!

御坂「すごい……熱い……!」

垣根「目も瞑って完全に熱唱モードに入ってやがるな」

一方通行「オマエも似たよォなモンじゃねェか」

麦野「さてと、私は何にしようかにゃーん」ピッピッ

105 :

一方さんカスタネットwwww

106 = 97 :

削板「はぁ、はぁ……歌いきった……」

土御門「お疲れ、まるでお前にバサラが乗り移ったかのようだっ、」

削板「だけどまだまだまだぁぁぁああああっ!」ピッ

麦野「!? ちょっ、今割り込み転送しやがったよなてっめえ!」

♪~~~♪~♪~~

削板「マジンガー……ゼェェット!!!」

削板「マジンガァァァァアアゼェェェェェエエットォォォォオオオ!!!!!!」

キィィィィィィィイン!!!!!

麦野「うるっせえええええ!!! せめてマイクから口離せよぉぉぉぉっ、てめえの唾液が飛んで使い物にならねえだろうがぁぁぁぁあああ!!!!!」

垣根「……、……」サッ

一方通行「オイそこの第二位、さりげなく自分のマイク永久確保してンじゃねェぞ」

御坂「ところであんた、音楽聴きそうにないんだけど何か歌えるの?」

土御門「それはオレも気になってた。一方通行、持ちネタあるのか」

一方通行「ねェけど」

垣根「え、じゃあ歌わねえの」

コンコン

店員「失礼致します、ポテトとカレーライス、牛丼、チョコパフェをお持ちいたしましたー」

一方通行「あァはい、どォぞォ」

コトコトコト

店員「では、ごゆっくりお楽しみくださいませ」

バタン

土御門「……牛丼?」

一方通行「俺」パキン

垣根「チョコパフェ?」

御坂「はーい、私」

107 = 97 :

一方通行「ン、まァまァだわ」モグモグ

垣根「カラオケで牛丼食ってるやつ初めて見た……」

土御門「削板ー、カレーきたぜいカレー」

削板「ゼェェエエェェェットォォォォォォォオオオォォォオオオオ」

御坂「聞いちゃいない!」

麦野「ふ、ふ、あははははははッ! そーぎいたぁ、ちょっとてめえの喉絞めてやろうかぁぁぁああああッ!!!!!」

垣根「こっちは順調に病んでんなあ」

土御門「ていうかやけに削板のターンが長いと思ったら、あいつ連続で10曲入れたのか」

一方通行「しかも、ンぐ、割り込み、っぷはー、だろォ?」

御坂「食べるか喋るかどっちかにしなさいよ」

垣根「とりあえずアニキ飽きたし消してっていいよな」

ピッピッピッピッ

~♪~~♪~~……

削板「! し、自然に音が消えた!」

麦野「でかした垣根ぇ! ……って私のも消したのか」

垣根「ついうっかり」

麦野「ま、いっか。本気で歌うならヒトカラのほうが断然いいし」

一方通行「ヒトカラ? なンだそれ、ンもぐ」

麦野「ひとりでカラオケ行けるもん、の略よ」

土御門「なんか違うようなでも内容的には合ってるような」

御坂「で、結局ボーカルはどうするんだっけ」パクパク

削板「オレが全宇宙を愛と根性の歌で救ってみせる!」

垣根「はい却下ー。俺が全世界に愛のバクダン落としてやるよ」

土御門「垣根、お前が稲葉ファンだってことはよくわかったからマイク通して会話するな」

麦野「正直に言うと、男性ボーカルは垣根で十分じゃない?」

108 = 97 :

削板「!?」ガタタタッ

一方通行「! なンでオマエいちいちリアクションでけェンだよ、牛丼がテーブルから落ちたらどォしてくれンだクソったれェ!」

御坂「だからさ……まずカラオケで牛丼食ってる時点で何かがおかしいって気づけやああああ!!!」バンッ

垣根「うわっ、あっぶねえ。第三位、パフェ落っこちそうだったぜ?」

麦野「本当にまとまらないね、これじゃただカラオケに来ただけじゃないの」

土御門「たしかにな。ひとまず、もう一度ポジションを確認しておくか……ドラム」

削板「オレ!」

土御門「キーボード」

麦野「私ー」

土御門「ベース」

一方通行「ン」

土御門「ギター」

垣根「はいはいはいっ!」

御坂「はいはーい」

土御門「とまあこんな感じだ。ボーカル以外についてはとくに問題がない、ってわけだにゃー」

麦野「ボーカルは垣根と第三位が交互にやればいいよ。ギターがふたりいるんだから」

削板「オレは? オレも歌いたいんだが」

一方通行「オマエな、バンドってのは何も歌うだけがすべてじゃねェだろォが」

削板「!」

一方通行「オマエの根性見せてェンだろ? だったら、その根性全部をドラムに注ぎ込め。ンでコーラスでボーカルを支えろ。それが真の漢ってモンじゃねェのかよ」

削板「真の、漢……!!!」

垣根「もう一方通行はあいつを洗脳させる係でよくね」

土御門「なんだかんだであいつも熱い一面があるからな。扱いやすいのかもしれない」

御坂「で、さりげなく私がボーカルなのはどうしてかしら」

麦野「常盤台のお嬢様なら音楽の才能もあるんじゃないかと思ったんだけど」

109 = 97 :

垣根「言いがかりっちゃ言いがかりだよな。でもイメージとしては正しい」

土御門「お嬢様はきれいな歌声を披露してくれないのかにゃー」

御坂「しないわよ。ていうか、麦野さんが歌えばいいじゃない」

麦野「あー……それでもいいんだけど、途中から叫んだりするしデスメタルじみた曲になるよ」

垣根「」
土御門「」
御坂「」

麦野「いや、なるよって言うか、普通の歌も歌えるのよ。でも、こう、テンション上がると叫びたくなるわけでね」

垣根「……じゃあボーカルは俺と超電磁砲ってことでいいか」

一方通行「ンだよ、もォ決まったのかァ?」

削板「オレは誰がボーカルでも全力でコーラスするって決めたからいいけどな!」

麦野「ところでさ、一方通行ってハモれるのわけ?」

垣根「それが一番の問題だ」

土御門「そもそも音楽を普段聴いている素振りはないしな」

御坂「ていうか聴いたことないでしょ?」

削板「なんだオレ以下か」

一方通行「オマエら一気に集中攻撃してくンなうぜェ。あと第七位後で殺す」

垣根「多分、麦野はちゃんとハモれんだろうし、第三位もとくに心配はしてねえよ。削板はまあ、うん」

削板「なんでオレの話だけ濁す」

垣根「けどよ、一番厄介なのはテメェなんだぜ一方通行。ベースってことは、ギターのとなりで弾くわけじゃねえか」

一方通行「あァ、多分」

垣根「つまり、ただでさえ目立つ容姿のテメェだ。しかもとなりにイケメンの俺が格好良くギターをかき鳴らし歌っている……お前にだって視線は向くだろうな」

一方通行「……あァ、多分」イラッ

垣根「ってことは、テメェがうまくハモれねえと観客にドン引きされんだよ」

一方通行「……ンでェ?」

御坂「ま、一曲歌えってこと」

110 = 97 :

一方通行「歌うも何もよォ、俺は普段音楽なンざ聴かねェぞホントに」

削板「アニメも観ないのか?」

一方通行「てェかテレビも基本的には観ね、……あ、待て」

土御門「? アニメ……観る、のかにゃー?」

一方通行「好きで観てンじゃねェよ。たまにガキに会うと一緒に観させられるだけだ」ピッ

~♪~~~♪~

御坂「……、……ちょ、嘘でしょ」
垣根「……、……いかれてやがんぞ」
麦野「……、……懐かしいけどさあ」
土御門「……、……まあアニメではある」


一方通行「そ、ォ、だー、おそれないーでーみーンなのーたっめっにィー」

一方通行「あ、い、とォー、ゆうきだけーがーとォーもだちさァー」


削板「愛と勇気だけが友達……!? し、真の漢じゃねえか!!!!」

垣根「なにより意外なことは、まったく恥ずかしがらずに歌ってるところだと思うわけ」

御坂「普段音楽を聴かない分、抵抗ないのよきっと」

麦野「しかも画面にアンパンマンの映像出てから熱が入ってきてるね」

土御門「あ、ばいきんまんのターン」


一方通行「ばいきンまン……テメェの手でアンパンマンを倒そォとしねェオマエは三下だァ……!」


垣根「まさかの独白タイム」

御坂「しかもマイク握り締めてる右手が半端なく白い」

麦野「それもともと」

削板「うおおおおお……アンパンマン!!!!!! お前は! 根性のある男、いやパンだぁぁぁあああああっ!!!!」

土御門「でも、愛と勇気だけが友達ならしょくぱんまんとかカレーパンマンは友達じゃないんだろうな」

垣根「だよな。非情だぜアンパンマン」

御坂「仲間なんじゃないの? 私達だって友達じゃないしね」

111 = 97 :

麦野「仲間。……仲間と言えば」

垣根「あ? どうしたよ」

麦野「いや、ちょっと今思いついたことなんだけど。それぞれ序列で呼んだり通り名で呼ぶのって、めんどくさくない?」

土御門「じゃあ名前で呼べばいいんじゃないのか」

麦野「それもしっくりこないのよ」

垣根「むっぎのー、とか」

麦野「きっめえ」ゾワッ

御坂「でもバンドを組む以上、愛称みたいなもんは必要かもしれないわね」

土御門「本名で活動するアーティストもいるが、ミュージシャンは本名のほうが少ないしな」

垣根「……第七位はソギーで決定な」

御坂「ぶっ!」

麦野「ぶはっ!」

土御門「ソギー……? なんでまたそんな愉快な名前に辿り着いたんだにゃー」

垣根「削板、削板ん、そぎいたん、ソギーたん、ソギー」

麦野「違和感wwwwwまったくwwwwwねえwwwwwww」

御坂「ソギーwwwwwwww暑苦しいwwwwwwwwソwwwwギwwwwwーwwwwww」

垣根「ツボに入りすぎじゃね?」

土御門「削板がソギーならお前はカッキーになるな」

麦野「カッキーwwwwwwガッキーみたいな響きなのにwwwwwwちっともwwwwwww清純派じゃねえwwwwwww」

御坂「なんかwwwwwすぐwwwwwwww折れそうwwwwwwwwwwwwwwカキンwwwwwwwwww」

垣根「……じゃあ一方通行はなんなんだ――」イラッ

~♪~~……

一方通行「ふゥ、歌い終わったぜェ……、ってどォしたこの女共はよォ」

土御門「カッキーが悪い」

一方通行「ぶっ」

削板「ポッキーみたいじゃねえか」

112 = 97 :

垣根「テメェはソギーだけどな! カッキーよりいっそうなんかうぜえけどな! ざまあ!」

削板「ん? オレがソギーなのか?」

一方通行「みてェだなァ。カカッ、ご立派な名前じゃねェか」

土御門「……お前の場合はアクセラレータだから考え難いんだよ。そのままでいくか」

麦野「ひーwwwwソギーwwwwカッキーwwwww……ふう、ソギーにカッキーならイッツーでいいんじゃないの」

一方通行「!?」

御坂「ああ、一方通行って一通って言うしね。男はみんな語尾伸ばしてるってことでまとまりもあるし」

一方通行「は、ァア? 待て、イッツーってオマ、待て変だろおかしいだろ気色悪りィだろォ!?」

土御門「ドラムのソギー、ギターのカッキー、ベースのイッツー。全然、まったく、ちっとも違和感がないぜい? むしろ誰か違和感を呼んで来い」

麦野「案外あっさり決まったね。だったら私達はどうすればいいのかなー」

御坂「私達は女の子だし、シズリとミコトでいいんじゃない?」

麦野「キーボードのシズリ、ギターのミコト。うん、いい響きね」

一方通行「なァ何こいつら。なンで自分の名前は改悪しねェのこいつら。人の名前イッツーにしといて何なンですかァこいつらよォォォオオオ!!!」

土御門「いつの時代も真に強いのは女なんだそうだぞ」

一方通行「うっぜェェェェエエ! おいオマエらァ! イイのか、そンな名前で満足か!?」

垣根「……カッキー、か」

削板「ソギー、か……」

垣根・削板「「悪くねえな」」

一方通行「」

土御門「諦めろイッツー。お前を除く全員が満ち足りた表情だ」

一方通行「ちっくしょォ……イッツーってオマエ……ローマ字表記で『ITU』になっちまうじゃねェか! 『ITTU』だとなンかカッコ悪りィしさァ!」

垣根「大丈夫いっつー。俺はそんないっつーを応援してる」

一方通行「やだもォこいつきっめェ! どこの台詞盗ってきたンだよバカッキーがァァァァアアア!!!!!」

御坂「なんだかんだで認めてるじゃない」

麦野「まったく、これだから男は」ヤレヤレ

113 = 97 :




一方通行「ところでよォ。俺は音楽の授業すらまともに受けた経験がねェから、まずあのオタマジャクシが読めねェ」

垣根「うわ、だっせえなイッツー。ドレミファソラレドもわからねえとは」

麦野「待て今お前二回レって言ったろ。ドレミファソラシドもわかんないわけ?」

削板「くっそ、ツッコミたかったのにシズリはボケなかった」

御坂「楽譜なら打ち止めにでも教えてもらえばいいじゃない。あの子多分読めるでしょ」

土御門「幼女に楽譜の読み方を習う最強、か……」

一方通行「土御門黙れハゲろ」

削板「そういえば土御門にはあだ名がないな。不公平かつ根性無しだと思う」

土御門「あだ名がないだけで根性無し扱いするのはどうかと思うが、そうだな……オレのことは『土御門P』とでも呼べばいい」

麦野「土御門殺す?」

垣根「きっとそれ違う。つまりPはプロデューサーのPなんだよな?」

御坂「ツチピー?」

土御門「……もうそれでいいですたい」

一方通行「ンじゃツチピーさァ。ひとつ訊きてェンだけど、バンド『LEVEL5』は具体的にどんな活動をするンですかァ?」

垣根「とりあえずライブじゃねえのかよ」

土御門「アレイスターの話によると、最終的には世界も売れっ子のバンドにさせたいらしい」

麦野「いやあ、さすがに無理だわ。世界とか意味がわからない」

御坂「そもそも活動は学園都市内だけじゃないのよね。メジャーデビューもするし、海外進出もするに決まってる」

一方通行「俺はなンでオマエがそンなにやる気なのかすげェ気になるンだけど」

削板「漢なら夢はでかくないとな。結果は後からついてくるらしいがオレは先に結果がほしい!」

土御門「なんかさりげなくスポンサーについて問われたような気がする」

垣根「まあ、とりあえず俺としては垣根帝督……いや、ギターボーカルリーダーカッキーの名前を世界に広めたいんだよ」

麦野「あ、もうリーダーで確定なのか」

114 = 97 :

土御門「あー、ごほん。楽譜が読めないやつ、正直に手を挙げろ」

一方通行「……、……」ノ
削板「あ、オレも」ノノ

御坂「ソギーもか!」

垣根「まあそんな予感はしてたわ。流れ的にそうじゃねえかなって薄々気づいてはいたよな、期待裏切らねえなこいつ」

麦野「イッツーは覚えるの早そうだけど、ソギー……あんた大丈夫?」

削板「わからん! でも根性さえあればなんでもできる! と、オレは信じてきた」

一方通行「おい、若干自信ねェンだろオマエ。過去形になってンじゃねェか」

削板「いざとなったら楽譜なしで耳を使って覚えるから大丈夫だ」

御坂「それ、絶対音感がないとできないと思うんだけど。そこらへん大丈夫なの? ほんとに」

土御門「現時点では何もコメントできないが、読めないものは仕方がない。アクセ、じゃないイッツー。お前は打ち止めに教えてもらえ」

一方通行「マジでェ……?」

土御門「ソギー。お前は……とりあえずオレが一通りのことは教えてやる。それでだめなら諦めて絶対音感を鍛えるか、脳をいじくってもらうしかないな」

麦野「でもソギーって原石よね。迂闊に脳をいじられないんじゃないのかしら」

削板「根性」

御坂「もうそれで乗り切れる気がしたからいいわよ」

土御門「よし。そして、肝心の楽曲についてなんだが――」

一方通行「おォ。どこのバンドのコピって演奏すンのか教えてもらわねェと困る」

垣根「何言ってんだテメェ。俺達は世界に羽ばたくLEVEL5だぞ。コピバンなんざやってたまるか」

一方通行「あァ? どォいう」

土御門「カッキーの言った通りだ。アレイスターはお前達が自分で作詞作曲までこなすことを望んでいるし、そういうプランらしい」

一方通行「」

麦野「へえ、本格的にミュージシャンになりやがれってわけね? だったら、作曲はともかく……作詞担当を決めないと」

垣根「そんなの俺以外いねえだろ常識的に考えて」

115 = 97 :


一方通行「……、……」
削板「……、……」
御坂「……、……」
麦野「……、……」
土御門「……、……」

垣根「なあなにその目。なんで俺を化け物見るみてえに見つめてんの? 言っとくけどテメェら十分化け物なんだぞ」

一方通行「いンや……クソメルヘンなカッキーくンはポエマーでもあったンです、ってかァ?」

御坂「で、でもほら! 歌うひとが作詞したほうが感情込めて歌えるじゃない! ね!」

麦野「フォローにまわるミコト。だが彼女の額には汗が浮かんでいた」

削板「そう、カッキーに作詞させたらなんかとんでもねえことになりそうだ――ソギーは密かに作詞願望を明らかにした」

土御門「そしてそれを聞いたツチピーは、いやソギーも作詞はまずいだろうと止めることを決意する」

一方通行「それぞれの思惑が複雑に絡み合うカラオケボックス。次回、カッキーの作った歌詞はどれほど悲惨なのか! こォご期待」

垣根「……テメェら、俺を心底なめてんな? ガチでマジでリアルになめてやがるな?」

麦野「まあ、あんたにやらせてみるのも一興か。見下す的な意味で」

御坂「いざとなったらみんなで作詞すればいいしね。協力が大事よ、協力が、チームワークならぬバンドワークがね」

削板「つまりどういう結論なんだツチピー」

土御門「とりあえず垣根には次回までに一曲作詞してもらう。そして次回、メンバーで検討する。ちなみに次回までにイッツーとソギーは楽譜を読めるようになっていること……いいか?」

一方通行「はン。異論はねェな」

垣根「お前らほんと見てやがれよ? すっげー感動的な歌詞仕上げてくるからな。そんときになって垣根様とか呼んだって遅いぜ?」

麦野「カキネサマー。はい、満足?」

御坂「と、とにかく! とにかく次回までに各自スキルを磨けばいいのよね!」

削板「よっし、俄然やる気が出てきた! ここは根性の見せ所だな!」

一方通行「ってェこった。ツチピー、次回は一週間後でどォだ?」

土御門「ふむ。一週間もあればお前は覚えるだろうな。ソギーは正直わからないが」

削板「やってみせる。多分。きっと。そしてオレはすごいドラマーになる」

垣根「すごドか」

116 = 97 :

カラオケボックス前

土御門「えー、それじゃあ……お疲れ様でしたー」

一方通行「さまっしたァー」
垣根「うぃー」
削板「オス!」
麦野「おつかれー」
御坂「おつかれさまでしたー」

土御門「次回は来週。場所は追って連絡する。じゃあな」スタスタ

垣根「俺もかーえろ」スタスタ

麦野「中途半端な時間だし、誰か呼ぼっかなあ」カツカツ

削板「走って帰る!」ズダダダダッ

御坂「よし、私も帰ろうかな……イッツー、あんた帰らないの?」

一方通行「あン? いや、帰るけどよォ」

御坂「あ、そ。んじゃね」ヒラヒラスタスタ

一方通行「……イッツー、ねェ」カツカツカツ


 一方通行は隠れ家のひとつである高級ホテルに向かい、ゆっくりと足を進める。妙な心地だった。
 レベル5で集まったことなどなかったというのに、今になって招集がかかったかと思えばバンドを組め、というとんでもないお達しである。
 つくづくアレイスターの考えていることはわからない、理解できないし理解したいとも思えない。ただ、従うだけだ。

 カツカツ、カツカツ。彼の杖の音が響く。たとえば今身に着けているチョーカーにしても、同じことが言えた。
 技術をフルに活用すれば十二時間耐久できるものを作れるというが、わざわざこの計画のために技術部が総力をあげたのだとしたら滑稽な構図だと思う。
 歩きながら、ふと聞こえてきたアコースティックギターの音に、一方通行は耳を澄ませた。
 まだ少し拙いながらも懸命に弾いている、そんな音だった。応援したくなるような、と考えて彼は一笑する。
 気の迷いだと笑ったのだ。
 自分のような悪党が、未熟ながらも一生懸命な音楽に触れて心を動かされるなんて、ありえない。

 それっきり、一方通行は音源のほうへと足を向けず、わざと遭遇しないように迂回した。
 だから、気づくことができなかった。

「がんばってください、とミサカは一同揃って弾き語りをしているあなたを応援します」

 御坂美琴の妹達が、勢揃いで「少年」にエールを送っていたということを。



第二回・終了

117 :

おっつんつんいちばんのりぃ!!
やっぱ安定して面白かった

118 :

乙!
バカッキーに思わずフイタwwwwwwww

119 = 97 :

よし終わりー
ていうかこれ冷静に考えたら俺がポエム考えなきゃいけないんだなwwwwwwwwwww
うっはwwwwww死んだwwwwww無理だろjkwwwwwwwwwww
んじゃな!
おやすみ!

121 = 101 :

君の瞳にラストオーダーか未元物膣(ダークマンコ)で良いんじゃね?パクリだけど

122 = 103 :

おつー
ポエム期待してる!

124 :

来てた乙
アンパンマンのマーチってわりと悲愴感あふれる歌詞だよな。1番とか
それを一通さんが歌う……やばい泣けてきた

125 = 98 :

ちっげーよ、愛と勇気だけが友達なんじゃない
心に愛と勇気を持ってるやつが友達なんだ

126 :

>>11週間以内に頑張れよ。

127 :

そんな>>1を応援してる。

128 :

ソギーとかイッツーとかカッキーとか雑魚そうに見える……不思議!
そして俺様はそんな>>1を乙してる。

129 :

何故だかこれを読んでるとギザギザハートの子守唄を垣根と一方通行熱唱するところを想像してしまったW

130 :

すげぇwktk
次回作が楽しみすぎる

131 :

こいつらが仲良くやってると切なくなる
特に1・2・4位

132 :

ダメだアンパンマンでくそわろた

133 :

キーボードはムギじゃないの?

134 :

うまい人のバンドものはやはり鉄板!
と言いつつ俺の知ってるバンドものはたいてい面白いんだけどな。

妹達が応援してる少年って誰だろ。楽しみー

135 :

>>134

俺に決まってるだろ

136 :

さすがレベル5、渾名への適応能力マジパネェwwwwww
ところで俺のステイル=マグヌス(14)はいつでてきますか

137 = 128 :

おいおいそんなこと言ったら
派手派手しいビジュアルバンド神の右席が登場するのを期待しちゃうじゃないか!

138 :

>>137
「他のメンバーはいらない、俺様がすべてこなすのだから……グスッ」

139 :

いっそ無能力(上条、浜面)デュオとかどうだろう。

140 :

ステイル(14)はぜひボーカルでお願いします!

レベル4組のガールズバンドとかあっても面白そう

141 :

グレゴリオの聖歌隊がLEVEL5を捕捉したようです

142 = 126 :

>>139
くずっていう名前でデビューするのはどうだろうか?

片側はフォークギター片手に

143 = 139 :

>>142
最弱と読んで最強と読む感じでどうよ?
>>1様ライバルユニットとしてたのんry

144 :

おいこらお前らあまり先走るなwwwwww

146 :

>>136
ビートルズはUKロック。あとは……わかるな?


ていうかお前らネタの宝庫すぎワロタwwwww
あんまり風呂敷広げると大変なことになるけど、俺は神の右席をものすごく出したいです
あとベースをうまく扱えずに壊しちゃうねーちんとか俺得なわけでー!!!


んじゃ第三回までの一週間の皆さんぼちぼちいきます
いや、ポエムが難しいとかそんなんじゃねえけどなほんとに

147 = 146 :


 ある休日の昼下がり。黄泉川愛穂はやわらかな表情を浮かべて子ども達を観察していた。
 一方通行は真面目に楽譜を見つめ、打ち止めはそのとなりで指を差し丁寧に音階を教え込んでいく。
 白い髪と茶色い髪が、すれすれのラインで接触している。いっそふたりとも抱きしめてやりたいなあ、と黄泉川は思った。
 くわあ、と芳川桔梗がソファに身を預けながらあくびをもらし、ちらりと少年少女を見やる。眠い彼女の目は半分しか開いていない。

「趣味ができるって、とてもいいことね」

 呟いたあとも、芳川はしきりにあくびを連発している。いつでもどこでも、基本的に能動的ではない芳川だった。
 今まで音楽について欠片も興味を示さなかった子ども達が熱心に音楽の勉強をしている理由は、彼女の関心をひきつける事柄ではないらしい。

 黄泉川も立派な教師である。音楽科の教員免許こそ取ってはいないものの、楽譜の読み方程度ならば教えることができた。
 それでも少年が教えろと言った相手が他ならぬ打ち止めなのだから、黄泉川は微笑ましい光景だと黙っておだやかな気持ちで見守っているのだ。
 どんな背景が存在するのかは明らかにしなかったものの、一方通行は至急楽譜の読み方を学ばなければならないという。
 学園都市の能力者の頂点に立っている彼が、こうして誰かに教えを乞うことは珍しい。
 さすがに一方通行は頭を下げてはいないが、教えろ、という横柄な言葉は同時に信頼の色も含んでいた。

「とりあえずこれでドレミはすべてわかった? ってミサカはミサカは真剣に考え込んでいるあなたに訊ねてみるんだけど」

「あァ、全部理解した。ンで、この♪の上についてやがる線やら点やらは何だ」

「これはテヌート、スタッカートっていってね……、……」

 打ち止めがわかりやすく説明していき、一方通行はじっと耳を傾けている。
 頭の中で情報を整理するうちに、これまでオタマジャクシに見えていた譜面に踊る音符の数々が意志を持った文字に見えてくるのが不思議だった。
 もともと、彼は可聴域外の低周波でさえ完全に聴き取れる最強の超能力者なのだ。
 一度音階を理解してしまえばあとは勝手に脳内で想像できてしまうらしく、彼は途中から音を並べることに夢中になっていた。

(案外ちょろいモンだなァ)

 ひとしきり演奏記号の説明を終え、期待に満ちた眼差しを向けてくる打ち止めの頭を乱暴に掻き撫ぜた一方通行は立ち上がる。

「ん? どっか行くのか」

 黄泉川の問いかけに、帰る、と短く答えた彼が一瞬打ち止めを見た。彼女がしっかりと自分の腕にしがみついていたからである。
 それはもう、さながらユーカリの木に引っついているコアラの如し。

「……オイ、クソガキ」

「なーに? ってミサカはミサカはすっかり外出の準備が整っていることをアピールしてみる」

 はあ、とため息が響く。一方通行はすでに黄泉川のマンションに住んではいない。たまに、打ち止めの顔を見るために訪れる程度だ。
 だからこそ、少女はこの機を逃さんとばかりに少年にぴたりと張り付いている。少年が振り払えないと知りぬいたうえでの暴挙だった。

「はいはい、ふたりともいってらっしゃいじゃんよー」

148 = 146 :


「だから、俺はただ帰るだけで――」

「いってきまーす! ってミサカはミサカはうだうだ言っているあなたの手を掴んでダッシュしてみたり!」

 わ、待て、と一方通行がバランスを崩し、舌打ちとともに電極のスイッチを切り替える。
 杖を不必要なものとして無意識に玄関に立てかけた彼は、自分が再びこの場所に戻ってくるであろうことをぼんやりと考えていた。
 すでにアレイスターの計画に乗ってしまっているのだ、せっかくのプレゼントは使い潰してやろうか。
 あは。
 ほんの少し笑って、一方通行は先を走る打ち止めの後を追った。



 インデックスは興味深げに、アコースティックギターを眺めている。
 弦を指で弾いて音を出しては嬉しそうにはしゃいでいる彼女だが、アコースティックギターの持ち主である上条当麻は小銭を数えるのに必死だった。

「一〇一五円……、すげえ、すごいぞインデックス!」

「よくわからないけどおめでとうとうま! これで今日はお肉が食べられるのかな!」

「それは無理だ。今日も稼がないとな」

 断言してから上条はインデックスからアコギを取り戻すと、彼女よりは上手に弾いてみせた。とは言え、まだまだ未熟な腕前であることは事実である。
 なにしろ、彼がこのギターを友人である土御門から譲り受けたのは二週間前のことだ。
 金がないと嘆いていた上条を見かねたのか、「これで弾き語りでもしてお布施をもらえばいいにゃー」と哀れみの目を向けながらそっとギターを渡してきた土御門。
 最初は一笑していた上条だが、強力なスポンサーがついたおかげでやる気も出てきた彼は、ここのところ毎日ストリートで歌っている。
 強力なスポンサー、つまりお布施を彼に与えてくれる少女達は、きっと今夜もやってくることだろう。

「そうだ。インデックス、お前も歌うか?」

 インデックスはシスターだ。彼女の得意とするものは歌なのだ。
 本当のところを言えば、上条は少女達が自分に同情して金を恵んでくれているのだと思っている。
 実際、彼はそれほど歌唱力があるほうではないし、演奏だってまだまだだ。
 しかし、インデックスは歌が上手い。教会の響きを持つ彼女の歌声があれば、もらえるお布施も増えるに違いなかった。

「うーん……歌をこういうことに使うのってシスターらしくないんだよ」

「よーしわかった。上条さんは胸が痛むのですが、ここは一週間肉なしの案を可決し――」

「行く行く行くっ! とうま、私もちゃんと行くんだから!」

「わかればいいんだ、わかれば」

 バイトをしようにも持ち前の不幸体質のおかげで採用すらされない、もしくは採用されて数時間後にクビになってしまう上条である。
 しかし、最近は運が向いてきたのかもしれない、と彼は喜びながらギターのチューニングにとりかかった。
 キィキィと調整音が響く部屋で、そもそも私はとうまの曲に合わせられるような歌はわからないかも、とインデックスは小さく呟いたが、あいにく届かなかったようだ。

149 = 146 :


 とあるファミレスで、麦野沈利は三人の少女とともに昼食を摂っていた。
 彼女の色づいた唇は次々にテーブルの上のものを平らげていく。パクパク、というよりも、ばくばく、のほうが正しいオノマトペであるかもしれない。

「おかかすいてるの? むぎの」

 滝壺理后が首を傾げながら訊ねる。普段と何ら変わりのない無表情だが、それなりに彼女は驚いているらしく、食事は一切進んでいない。
 それもそのはず――滝壺の知る麦野という女は、シャケ弁にかける情熱こそ燃え上がる炎のように激しいが、大食いではなかったからである。
 同じように、フレンダと絹旗最愛が揃って不思議そうに目を瞬かせた。尋常ではない食いっぷり、見事の一言だった。

「んーん? すいてるっていうか、ちょっと食べたくなったっていうか」

「それ、結局おなかすいてるって状態だと思う訳よ」

 呆れたようにフレンダが麦野につっこんだ。絹旗が「超同意です。麦野がそんなに食べるのは珍しいですけど」と付け加える。
 そうかなあ、と今度は麦野が首を傾げる番だ。

「最近けっこう食べたいって思うんだよね。なんでかなー」

 四人の少女達はこてんと一様に首を傾げている。なかなかに珍妙な光景だが、そのことにツッコミをいれる人間が不在だった。
 ねえ、と麦野が真っ先に首を戻して切り出す。

「浜面、どうしたの?」

 そう、普段ならいるべき下っ端がいないのだ。なんとなく味気ない、と麦野は思うが、他の三人も同意見らしい。
 えーとね。滝壺が天井を見つめながら言葉を発する。

「はまづらなら、今日もきっとドラムの練習をしていると思う」

「まだやってたんですね。浜面にしては超続いてるほうですよ」

 絹旗が滝壺の発言を受けて、浜面仕上を揶揄したと同時に、店員が新たなデザートを運んできた。
 様々なパフェに目を輝かせる彼女達は、とても幸せそうに見えたと店員は語る。



 御坂美琴が座っているのはネットカフェのビジネスチェアである。
 彼女の目の前にはパソコンがあり、画面には様々なエレキギターが解説とともに表示されていた。
 うーん、と御坂は小さく唸る。
 彼女はメンバーの中では一番といってもいいほどの努力家であり、計画に加担した時点で真っ先に楽器購入に着手したのもまた彼女であったという話なのだ。
 気になっているギターが二種類あるらしく、御坂はふたつのギターを見比べて腕を組む。値段は気にしない。
 ブラックカード一枚で支払えないものなど学園都市にはそうそう存在しないからである。

「これは、ちょろっと本物見てきたほうがいいかもね」

 パソコンをシャットダウンさせ、御坂はゆっくりと首をまわす。煮詰めすぎたのか、少し肩がこっているような気がする。
 ヴァイオリンの調整をよく頼む楽器店には、エレキギターも展示されていたはずだと彼女は行く先を決めた。
 このあと、彼女は打ち止めを連れた一方通行と楽器店で鉢合わせすることになるが、このときの彼女は知る由もなかった。

150 = 146 :


 そして、彼女が席を立ってから数秒後のことである。
 御坂の使用していたパソコンを(偶然にも前の使用者が御坂であると知ったうえで)次に使った初春飾利はいつもの癖で履歴を見て、あれえ、と驚いた。

「御坂さん、バンドに興味あったんですかねえ」

 しみじみと呟く初春には、履歴を覗くことはプライバシーの侵害に繋がる、という認識があまり浸透していないとみえる。
 履歴を消去しておかなかった御坂にも責任はあるが、「変なサイトは見ないんですね」という初春の発言は少々危ないかもしれない。



 温厚篤実とは言わないまでも、土御門元春はどちらかといえば冷静に気を長く持てる男だった。
 したがって、悪いのは短気ではない自分を逆上させている削板軍覇である、という結論が土御門の頭で導き出される。
 土御門はにこやかな笑みとともに額に青筋を浮かべ、「なあ削板、覚える気ないならいいんだぜい?」と声を出した。馴染みつつあった愛称を使うことさえ放棄だ。

 最高の原石と称される削板は、自身でも理解できない能力で第七位に位置づけられている。繊細すぎて研究者でさえ手が出せない能力である。
 つまるところ、彼には理解力が足りないのだ。なんとなくできる、だからいい。できないことは根性でカバーする。
 それが削板の生き方であり、もちろん、否定する権利は誰にもない。

 しかし、しかしだ。土御門は今、全身で否定してやりたかった。

「ど、う、し、て、こんな簡単な音階すらわからないんだにゃー!」

 うがあああ! とついに土御門が叫ぶ。うおう、と削板は彼の大声にびっくりして思わず肩を縮こまらせた。反射的行動である。

「ドレミファソラシド! ドを基準に覚えていくだけだろう、なあんでお前はわからないんだーっ!!!」

「わからんもんはわからん! だいたい、ドを基準にって言ったっていつも一小節にドがいるとは限らねえじゃねえかあああああ!!!!」

「そこらへんはもうフィーリング! 誰も楽譜見ていちいち『お、ドがここにあるからいちにいさんの、ファだ!』とかそういう考えはしないの!」

「え、しないの!? じゃどうやって解読してんだこの無数のオタマジャクシを!」

「だから……もういっそ数字だと思ってくれ。もしくは文字だ。ノットオタマジャクシ、バットナンバー。オーケー?」

「イ、イエス、ウィーキャン!」

「わかってないなら答えるんじゃねえええええっ!!!」

 だめだこりゃ。土御門はついにさじをなげた。扱いきれない。
 そうかそうか、これが原石の原石たる所以なのか、と彼がまったく別の方向から削板を理解しかけたそのとき。ふっとある考えが舞い降りた。
 たしか、とある漫画の主人公である天才ピアノ少女も、はじめのうちは楽譜を読むのが苦手ですべての音を耳で覚えていたのではなかったか。

「ノ・ダメならぬすごドか、……わかったソギー。やり方を変えるぞ」

 説明不可能とされる能力の持ち主であるからこそ、削板は身体能力に優れている。それを利用しない手はない、とプロデューサー土御門は舌なめずりをした。
 削板が土御門の異様な雰囲気を察知し、きょとんとした。そんな彼に、スパルタコーチはサングラスを外し暴言を吐く。
 ――目で見て取れないなら、耳で聞き取れ馬鹿野郎。


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