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    元スレアレイスター「超能力者達にバンドを組ませる――『最終計画』だ」土御門「」

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    みんなの評価 : ★★★
    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - グ追加 + - バンド + - ミサッター + - レベル5組 + - 一方通行 + - 垣根 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    601 = 597 :


    「えーっと、……『最終補完計画』。通称ラストサブプラン、別名なし」

    「別名がないのならわざわざおっしゃることありませんの」

     白井が入れた小さなツッコミをスルーして、芳川はさらに続ける。

    「簡単にまとめてしまうと、キミ達は――というか結標さんは、能力の大きさだけなら超能力者に匹敵するわね。そんなキミを、最終計画の補完として育て上げるってわけ」

    「まず、その最終計画ってのがわっかんねえ」

     浜面の問いかけに同意する上条。白井はツッコミがスルーされたことに憤りを感じたのか、少し口を尖らせている。

    「最終計画というのは、……、……あら。口外禁止って書いているみたいだし、言えないわ」

    「言えないのかよ!」

     今度は上条が叫ぶ。

    「仕方ないでしょう、機密事項なのだから。ああ、でも」

    「私が補完だと言うのなら、私よりも上――それこそ、超能力者達が関わっているとみて間違いないと思うのだけれど」

     芳川の台詞を遮って、結標がはっきりと言い捨てる。彼女の脳裏には、関わったことのある超能力者が鮮明に浮かび上がっていた。
     だが、ここで引っ掛かるのは、この計画の内容である。
     結標が芳川から聞いていたのは「世界の子ども達を歌で救いたくはないかしら?」といったもので、つまるところ歌手デビューだろう。
     正直に言うと、歌で世界の子ども達を救えるとは到底思えないのだが、同時に子ども達というフレーズに惹かれてしまったのもまた事実。
     とことん子供に弱い結標だった。

     まあ、ともかく。補完計画である結標が歌である以上、メインである超能力者達の最終計画も音楽に関連する内容なのではないか。
     そう考えた際に、うっかり「いやいやねーよ」と言ってしまうほどに、超能力者と音楽は合わない。結標のよく知る最強の超能力者と音楽――合わない以前にありえないのだ。

    「あら、鋭いわね。つまり、そういうことよ」

    「だからどういうことだよ」

    「ああ、皆目見当もつかない」

     なおも説明を要求する無能力者ふたりを捨て置いて、白井は同室の先輩のことを思い出していた。
     最近、休日になるとそそくさどこかへ出かける御坂美琴。
     さてはあの類人猿と密会でもしているのかとこっそり尾行したこともあったのだが、超高級ホテルに数人と入っていった時点で潜入を諦めたのである。
     今にして思えば、あのときの白い人間やホスト風の男、大人びた女に番長のような男、そしてアロハシャツを着たサングラスはみな超能力者だったのかもしれない。
     だとすれば、あのまとまりのなさも頷ける。統一性のない、奇人変人大集合と言った風の集団だった。

    602 = 597 :


    (やはり、あの変な集団に紛れ込めるお姉様はさすがですわね!)

     ここで最終的に御坂美琴を褒め称える結論を出して落ち着くのが白井である。
     何はともあれ、総括理事長の計画ならば従うほかない。白井が御坂を妨害することなどできないのだ。

    「それで、キミ達は結標さんのサポートをすることになるわ。ああ、白井さんは結標さんと一緒に組むことになるのかしらね」

    「先ほどから気になっていたのですが、一緒に組むとはどういうことですの?」

    白井が声をあげ、結標を見る。結標は芳川の言葉を肯定した。

    「キミ達は、女性ボーカルデュオとして華々しくデビューすることになるの」

     ちょっと待て。そう言わんばかりに荒々しく立ち上がったのは、短気な浜面だった。
     元スキルアウトリーダーということもあり、能力者がどうのこうの、という問題が絡んでくると騒ぎ立てずには入られないのだろう。

    「女性、ってことは! デュオってことは! 俺は? 俺らは? 一体全体何のために第十九学区まで来たんだっつー話だよ!」

     はあはあと息も荒くして叫びきった浜面だが、芳川は涼しい顔で彼を見つめるばかりである。
     彼女は絶対能力進化計画に参加していた研究者であり、一方通行の癇癪じみた荒い声に慣れている彼女にしてみれば、チンピラの浜面がいくら叫んだところで可愛いものだとしか思えない。
     芳川の冷静すぎる表情に気を殺がれた浜面が、大人しくすとんと座りなおす。

    「だから、楽器隊は楽器隊よ。それに、もうデビュー名も考えてしまった以上、仕方ないわね」

    「えっ、もう考えてるんですか?」

     芳川の手際よさに驚く上条と、勝手に決められたことに若干苛立ちを覚えた結標、そしてデビュー名がとにかく気になる白井は芳川の言葉を待つ。
     芳川はあえて浜面に向き合うように体を少し移動させると、「キミ達が正式に加入すると名前を変えなければならないのよ」と諭すようにゆっくり話し出した。

    「俺らが加入したら、名前を変えなければならない……?」

    「ええ。なぜならこの名前は、彼女達の共通点から取ったものだからよ」

     そう言って満足げに笑う芳川の口からは、四人にとって聞きなれない単語がこぼれたのだった。


    裏第二回・終了


    603 = 597 :

    裏のほうはこんな感じでgdgdを省くためにも地の分的なものでやっていく! んじゃないかな!
    時系列としては第三回と第四回の間ってとこ、いや曖昧だけど 難しいことわかんねえけど
    んじゃな!

    605 :


    男性陣がいつも通りとばっちりだな

    606 :

    基本的にとばっちりの似合う男たちだからな、主人公どもは。

    607 :

    メンバーじゃないけどヘルプで入ったりするバンドマンってなんかかっこいいよな

    608 :

    LEVEL5に比べたらかなりまともな面子だな
    向こうのまとまりのなさと言ったら…

    609 :

    結標と黒子の共通点から取ったグループ名か、芳川Pのネーミングセンスはいかに。

    610 :

    ツインテールとシュシュ?

    611 :

    ツィンツィンシュッシュッ

    612 :

    根性、そしてコーチって言葉のせいで
    俺の頭の中で削板がいつも腕組み仁王立ちしてる

    613 :

    大体あってる

    614 = 612 :

    あとデンドンデンドン

    616 :

    どじょうすくい

    617 :

    PVがおっぱいおっぱいしててびっくりしたよあわきん

    618 :

    とある高校に軽音部があったらこんな感じかなぁ

    顧問 鉄装
    部長 雲川
    部員 吹寄 姫神 上条 土御門 青ピ

    620 :

    待つ松松茸

    621 :

    お前らお久しぶりー!!!
    21巻堪能しまくったし書こう書こうと思ってたんだがどうにも! 進まないんだぜ!
    ちょっくら修業してくんね
    八月末までにはちゃんと帰ってくる!!!!!
    まあ多分もっと前に更新してると思うが、まあなんつーの、気長に? 適当に? 覗いてくれたらうれしいかな!

    報告だけですまないが、んじゃなー!

    622 :

    >>621
    修行とか……そんなこと言われたら期待しちまうじゃねぇかwwww
    進化を遂げて帰ってこいよ! あと無事帰ってきてくれぃ

    623 :

    いいこにして待ってるから必ず帰ってくるんだよ!

    624 :

    帰ってこいよ!
    21巻堪能しまくってテンション高いからさらに期待!

    625 :

    まっだかな?

    626 :

    待ってる間最初から読み返してた
    少しずつみんな打ち解けてきてるんだなー

    627 :

    気長に待つか

    628 :

    もしかしてこのままもう来ないんじゃ……

    629 :

    まだ一週間あるし大丈夫じゃね

    630 :

    >>628
    この>>1はそんなやつじゃないから安心しなさい

    631 :

    >>630
    その通りだね
    気長に待つぜ

    632 :

    急かさなくても一度の投下量は少なくないしね
    まったり待つです

    633 :

    松であります

    634 :

    すまないほんとぎりぎりだったな!
    待たせちゃって申し訳ないこと山の如しですの!
    んじゃぼちぼち!

    635 = 634 :


     麦野沈利はきわめて冷静に一方通行を見つめていた。
     作曲の手伝いでもしてやろうと後を追いかけてみたものの、どうも麦野が口出しできるような様子でもない。
     まあいいか、と思い直した彼女は脚を組んで椅子に腰掛けながら、目を閉じては書き、書いては目を閉じ、と同じ動作を繰り返している白い少年を観察しているのだが。

    (細えな……畜生)

     体のパーツのどこを見比べてみても、自分より細身である一方通行がなんとなく憎い。体重を聞いたら卒倒してしまいそうだ。
     麦野の視線に気づいているだろう一方通行は、しかしどうでもいいのか視線を気にすることなく作曲活動に没頭している。
     少し退屈を持て余し始めた麦野は、ふとあることを思い出した。

    「ちょっと、イッツー」

    「あァ?」

     驟雨を妨げられたことに憤りの表情を見せる一方通行だが、麦野は意に介さずつかつかと彼の傍に歩み寄る。
     なンだよ、と呟いた一方通行の隣に腰を下ろすと、麦野は不機嫌そうに続けた。

    「作曲。よく考えてみたら、一曲じゃ足りねえっての」


    午前十時、廃病院の一室

    一方通行「はァア? オマエ、何言ってンだ」

    麦野「あんたは多分CDなんて買ったことないだろうからわかんないかもしんないけど。普通はカップリング曲ってのがあって」

    一方通行「……ンだァ、それ」

    麦野「何て言えばいいかなー、オマケって言っちゃっていいものかどうか」

    一方通行「そンなモンが必要かよ」

    麦野「一曲だけで勝負するよりは、ね。それに、カップリングはA面ほど真面目にやる必要もないし、遊び心加えちゃってもいいし」

    一方通行「面倒だ。第一、バカッキーが作詞だろォが。あいつが仕上げてねェ以上、作る必要はねェな」

    麦野「そこで」

    一方通行「?」

    麦野「バカッキーが出してきた歌詞はライブで盛り上がりそうな中身だったじゃない。ってことはさ、カップリングは真逆でもいいんじゃないかって思ったのよね」

    一方通行「真逆ってェと……バラード?」

    麦野「そう! 物分かりがよくて助かる」

    一方通行「そりゃどォも」

    636 = 634 :

    一方通行「しっかし、バカッキーにバラード系の歌詞なンざ書けンのかァ?」

    麦野「無理だろうね」

    一方通行「即答だなオイ」

    麦野「書けたとしても、きっときめえ」

    一方通行「素直だな……」

    麦野「でも、私はカップリングはぜったいバラードって今決めたし」

    一方通行「だから、なンでカップリングにこだわンだよ」

    麦野「出番少ないから」

    一方通行「……あァ?」

    麦野「キーボード。出番、少なそうだなって思ったわけよ」

    一方通行「……そォか」

    麦野「そうよ」

    一方通行「……つまりアレか。バラードならピアノでいいンじゃねェかと。そォいう魂胆」

    麦野「正解。ずっとバカッキーにリーダー気取られるのも癪なんだよ」

    一方通行「あー、まァ……癪っちゃ癪だが……」

    麦野「っつーことでよろしく」

    一方通行「イヤ意味がわかンねェ」

    麦野「作曲は私がするわ。だからあんたは作詞して。きっめえ歌詞作ったらブチ殺す」

    一方通行「……、……」

    麦野「返事は」

    一方通行「……あのよォ」

    麦野「何よ」

    一方通行「オマエ書けば?」

    麦野「やだよ面倒くさい」

    一方通行「」

    639 = 634 :

    一方通行「だからカップリングはな、」

    麦野「じゃあこうしましょ」

    一方通行「最後まで言わせろ」

    麦野「あんたが書いた歌詞を私が手直しして、共同合作ってことにする。そうすりゃ負担は減ると思うんだけど、どう?」

    一方通行「どう? じゃねェよ、根本的に俺が書く点は訂正されてねェだろォがクソアマ!」

    麦野「んだこらクソモヤシがなめてのか捻り潰されてえのかもっしゃもっしゃ食われてえのかァ!?」

    一方通行「意味がわからねェ! 俺に八つ当たりしてンじゃねェよオマエの敵はあのバカじゃねェのか!」

    麦野「あーもううっさいなあ、いいんだよ今は! 書けっつってんだから書け、血反吐出さしてやろうかクソ野郎!」

    一方通行「なンだなンだよなンですかァ!? なンでオマエ若干スイッチ入ってンだよ!」

    麦野「や、か、ま、し、いっ! 今決めたんだ、もう後戻りはできねえんだよぉぉぉぉおおっ!!!」

    一方通行「イヤ出来ンだろ後戻り! カップリング曲なンざはじめからなかった、っつゥコトにすりゃ――」

    麦野「……出番、奪う気?」

    一方通行「は?」

    麦野「第一位で? ベーシストで? アルビノで細身でチョーカー無しじゃ生きていけなくて? 作曲も兼ねて? おーおー、さすがですこと、出番だらけじゃねえか」

    一方通行「なンかわかンねェけど馬鹿にされてンのは理解した」

    麦野「それでさらに出番も奪おうってか! さっすが、第一位様は格が違う。……ふっざけんなよ!」

    一方通行「イヤ、ふざけてねェし……」

    麦野「いいから書け。とにかく書け。笑わない努力はするからとっとと書け。私に似合うような歌詞を書け」

    一方通行「横暴す」

    麦野「いいぜ、これだけ言っても渋るってんなら――潰す」

    一方通行「他人のフレーズ使うならちゃンと使ってやれよ……」

    麦野「つぶす」

    一方通行「……、……」

    麦野「つぶ」

    一方通行「書きゃイインだろ書きゃあよォ! 無表情に股間見つめてンじゃねェクソッたれェ!」

    640 = 634 :

    垣根「……ボイトレってさあ」

    御坂「……うん」

    垣根「何すりゃいいんだろうな」

    御坂「私だってわかんないわよ。したことないし」

    垣根「俺の喉は常に美声を出すために鍛え上げられているんだが」

    御坂「へー」

    垣根「気のない相槌!」

    御坂「で、どうすんの。ボイトレするの、しないの」

    垣根「ボイトレもそうなんだけど、今ふと思いついたことがある。この点に気づくなんてさすが俺」

    御坂「……何?」

    垣根「その『うっわあ聞きたくないけど聞くしかないか』みたいな顔やめてくんねえ? 俺けっこうピュアでガラスハートだから」

    御坂「……、……」

    垣根(やりづれえ……心理定規みてえにざっくりきてくれて構わねえんだけどな)

    御坂「カッキーに、ひとつ訊ねなきゃいけないことがあるんだけど」

    垣根「あー、うん。どうぞ」

    御坂「本気で――この学園都市を出て、世界進出を果たそうとしてるの?」

    垣根「……えっ、なんでそれ俺に訊くわけ」

    御坂「なんでって、リーダーだから?」

    垣根「マジで俺リーダーだったのか……」

    御坂「だから、どっちなのってば」

    垣根「そう言われてもなー、お前、俺と一方通行がぶつかった事件知ってる?」

    御坂「……?」

    垣根「説明とかだるいし、負け戦をいちいち弁明すんのは好きじゃねえ。要するに、俺はあのもやしに一度殺された」

    御坂「そういえば最初のときに脳味噌云々って言ってたわね。それで?」

    641 = 634 :

    垣根「だからよ、まあ復讐してやろうっつー気もねえわけじゃねえ。むしろ隙あらば復讐してえ」

    御坂「気持ちはわからなくもないわよ。でも、仲良さげじゃない」

    垣根「だって」

    御坂「だって?」

    垣根「馬鹿らしいだろ。復讐とか」

    御坂「……、……」

    垣根「学園都市ってのはさ、能力が強力であればあるほど生きていくには厳しい世界なんだよ。知ってたか?」

    御坂「……そんなこと、ないと思うけど」

    垣根「そりゃ、テメェが表の世界で生きてっからだ。一度でもそのスポットライトから外れてみな、何にも見えやしねえからよ」

    御坂「でも、私は超能力者になるまで努力したわよ。血ィ吐くくらい努力して、ここまで登り詰めて――」

    垣根「登り詰めて、そこで終了だろ」

    御坂「たしかに、第二位と第三位の間には、絶対的な壁があるって言うわね」

    垣根「ああ、あるだろうな。同時に俺とあのもやしの間にだって壁がある、だが」

    御坂「?」

    垣根「一方通行は『第一位』であるがゆえに、俺以上にめんどくせえ世界で生きてんじゃねえかな」

    御坂「……ふうん。あんた、あいつに同情でもしてるの?」

    垣根「だから違うって。あー、わかんねえかな……つまり、俺ら超能力者ってのはたとえエリートであろうと、実験動物であることに変わりはねえんだよ」

    御坂「!」

    垣根「あ、今私は違うってカオしたな。残念ながらテメェは立派なモルモットだよ、超電磁砲。妹達がいい例じゃねえか」

    御坂「……いつも思ってたんだけど。あの子達は、一方通行の実験のために生み出されたなら、私のクローンである必要はないわよね」

    垣根「ま、あいつより強いやつなんて『学生』の中にはいねえはずだから……手っ取り早く言えば、俺でも構わなかった。そう言いたいんだろ」

    御坂「ええ。正直、アンタのクローンなら実験がとめられることはなかっただろうけどね」

    垣根「そもそも、俺のクローンである必要もねえんだがな」

    御坂「? どういうことよ」

    垣根「ったく、さっきから少しは自分で考えてくれよ――電撃姫?」

    642 = 634 :

    御坂「あんたにそう呼ばれると馬鹿にされてる気しかしない」

    垣根「馬鹿にしてねえよ。これは俺の憶測だから、これ以上ひけらかすわけにもいかねえけど」

    御坂「私のクローンでなければならなかった理由なんて、ないに決まってんでしょうが」

    垣根「あーうん、だからさ、お前がそう思ってるならそれでいいんじゃねえの。俺、べつにここでムズカシイ話してえわけじゃないから」

    御坂「だーかーらあああっ!!! わざとらしい言い方で濁すのはやめろっての!」ビリビリッ

    垣根「おーこわっ、電気こっえ」バサバサッ

    御坂「っていうか! 質問の答え、聞いてないんだけど!」

    垣根「はぁあ? 何の?」

    御坂「本気でこの学園都市を出て、世界進出を果たそうとしてるのかどうかっ!」

    垣根「話の流れでわかってくんねえ?」

    御坂「あんたの思考回路なんざ読み取れるかあああああっ!!!!!」ビリバチバチッ

    垣根「だから電撃やめろっつうの、姫じゃなくてじゃじゃ馬の間違いじゃねえのか」バサバサ

    御坂「いいから答え――」

    垣根「俺は、冗談で自分の行動を決めたりしねえ」

    御坂「……、……」

    垣根「たしかに俺は軽いが、そりゃ自分以外の人間にだけだ。自分にまで軽く接したことはねえよ」

    御坂「格好良く言ってるとこ悪いけど、すごく最低よねそれ」

    垣根「誰だって自分が一番可愛いだろ。なに、お前は違うの?」

    御坂「ち、違うのって言われると……まあ自分が一番可愛くないこともないというかでもえっと」

    垣根「まあ、要するにだ」

    御坂(流しやがった)

    垣根「俺は、この街が大嫌いだ。憎んでいると言ったっていい、だから出たい。だけど、このままじゃ無理なんだよ」

    御坂「……出ようと思えば出られるじゃない。いくらでも。あんた、その翼は飾りじゃないでしょ?」

    垣根「あー、まったくわかってねえな。言っただろ、『俺は一度殺された』ってな」

    御坂「だったら何――、!」

    643 = 634 :

    垣根「はっきりとは言えねえが、俺を生かした以上、何らかの対処がなされていることは間違いがねえな」

    御坂「何らかの、対処……? 体に?」

    垣根「そ。まあ、一方通行も12時間能力全開だとほざいてやがるが、その分操作されやすいだとかなんだとか、色々な制約はあるだろうよ」

    御坂「ってことは、麦……シズリもかしら」

    垣根「あいつはどうだろうな。片目片腕がなくてもビーム出せるらしいし、俺や一方通行と違って価値は下がるし」

    御坂「随分な自信ね、そんなに自分は価値があると思ってるわけ?」

    垣根「知ってるだけだ。価値がねえやつをわざわざ生き返らせるほど、アレイスターは甘くねえってことをな」

    御坂「……価値、ね。私達がどんなに必死に能力開発をしたところで、結局アレイスターの一存で判断されるんじゃない」

    垣根「だから、最初から言ってるじゃねえか」

    御坂「何よ」

    垣根「このバンド成功させて、とっととあのクソ野郎の鼻をあかしてやろうぜ、って」

    御坂「わた、しは……制約なんてないし、本気になる必要だってない、けど……」


    土御門『カミやんが最近ドラムにはまりだしたらしいにゃー』


    御坂(そうだ、最初はあいつと少しでも共有できる話題を作りたかった、それだけなのに)

    垣根「その通り。俺や一方通行、麦野にゃ『縛り』がある。だが、テメェにはねえ。削板はどうだろうな、あいつちょっと謎だし……ま、そういうことだよ」

    御坂「そういうこと、って、どういうことよ」

    垣根「怖気づきそうなのはお前だけってことだ。やめんならこの合宿中にしてくれよ、余計な手間は省くに限る」

    御坂「ッ、!!!」

    垣根「ああ、続けるってんなら止めはしねえよ。ただ、どうせ軽い気持ちで世界だなんだって言ってんならやめちまえってだけで」

    御坂「あんたは、カッキーは、軽い気持ちじゃないっていうの」

    垣根「軽いわけねーだろ、一遍絶望見るかコラ? 俺はこのバンドに命を懸けてんだよ小娘が。
       失敗すりゃもう一度出口のねえ闇に舞い戻り、成功すりゃ二度とこんなクソみたいな場所を味わう義務もない」

    垣根「どっちがいいかなんて、分かりきってんだろ」スタスタバタンッ

    御坂(あれ? 結局、気づいたこと聞いてないわ)

    644 = 634 :

    事務局

    土御門「『どっちがいいかなんて、分かりきってんだろ』」キリッ

    海原「御坂さんを傷付けやがって……」ギリッ

    >17600「師匠、口調口調、とミサカは態度を急変させた師匠に指摘します」

    土御門「いやー、一応全個室に盗聴器しかけといて正解だったぜい。イッツーとシズリのほうはどうやらカップリング作りに移行したようだし」

    海原「垣根帝督……許すまじ」キラッ

    >17600「師匠、トラ槍は自重してください頼みます、とミサカは黒曜石を懐から取り出した師匠に危機感を抱きます」

    土御門「だが、妙だな……」

    海原「ええ妙ですね、とっても妙です。さすがは御坂さん、あんなチンピラでさえ御坂さんの前ではただのオスです」

    土御門「何の話だ。違う、そうじゃなくて」

    >17600「削板軍覇ですね、とミサカはリーダーに問いかけます。この携帯電話で確認するかぎり、もう彼らとは一緒にいないようですが」

    土御門「ああ。ミコトならともかく、ソギーが脱落するような事態は想定していなかったんだがな……帰ってこないとなると」チラ

    海原「? なんです」

    土御門「ドラムが、足りないんだにゃー」

    海原「ほうほうそれで」

    土御門「ソギーが万一帰ってこなかった場合」

    海原「ふんふん」

    土御門「よろしく」ポンッ

    海原「はいは……、……えっ?」

    土御門「ほら、一応超能力者の集まりっていう体でお届けするバンドだから。ソギーの代役はお前しかいないんだ」

    >17600「たしかに、他の人間で補うとバンドの価値が下がってしまいますね、とミサカはリーダーの意見に賛同します」

    海原「えっ、いや、つまり?」

    土御門「こんなこともあろうかと、昨晩全員が寝ている間に皮膚をちょっといただいておいた。とはいえ、ゲットできたのはソギーの皮膚だけだが」

    海原「どんだけ寝てる間の痛覚ないんですかあの根性馬鹿」

    645 = 634 :

    土御門「イッツーのはこわいからやめといた。カッキーのは剥ごうとしたら自動防御で翼出てきた。ミコトはなんか静電気的なものがばちってきた」

    >17600「第四位は? とミサカは若干わくわくしながら先を促しますが」

    土御門「……怖かったんだよ。すごく」

    >17600「ああ、一方通行みたいな? とミサカは例を持ち出して問いかけます」

    土御門「いや、そうじゃない。寝言。寝言が、すごく怖くて、ちょっと勇気が出なかった」

    海原「そういえば盗聴している際に女性の声で『×××を根こそぎちょん切ってやる』とかそういう放送禁止用語が聞こえてきていたような」

    土御門「それはまだ可愛いもんだった……思い出すだけでトイレ行きたくなるぜい」ブルッ

    海原(土御門さんがここまで怯えるなんて)

    >17600「まあとにかく、その皮膚はどこにあるんですか、とミサカは早速削板軍覇の皮膚を鑑賞したい衝動に駆られます」

    土御門「ああ、あっちでホルマリン漬けにしてある」

    >17600「病院すげえ」

    海原「いや、ホルマリン漬けはちょっと……」

    土御門「えっ、だめだったか?」

    海原「自分で判断するのは難しいですが、こう、若干科学側のような気がしますね」

    土御門「oh……」

    >17600「ホルマリンホルマリンー、とミサカは削板軍覇の皮膚目指して猛ダッシュです!」スタタタタタッ

    土御門「なにあの物好きな娘」

    海原「自分も知りませんでしたよ。まさかあんなにホルマリン好きだとは」

    土御門「ところで、仮にソギーが帰ってこない場合なんだが。お前ドラム叩ける?」

    海原「無理ですよ。アステカの民族舞踊にドラムなんてありませんし」

    土御門「……なんかあるだろ?」

    海原「ないですってば。何ちょっとわくわくしてるんですか、民族舞踊見たいんですか」

    土御門「特殊メイクとかして上半身裸でなんか騒ぐんじゃねえの?」

    海原「だからそれどんなイメージですか!」

    646 = 634 :

    一方通行「……バカの作曲はできた」

    麦野「まあいいんじゃない。ちょっと弾いてみるわ」

    ~♪~~♪~♪~~~♪~

    一方通行「あァ、悪くねェな。最初の曲だしこンなモンじゃねェのか」

    麦野「ま、今はピアノで弾いたからちょっと違和感あったけど。バンドでやればいいかもね」

    一方通行「ンで、なンだよその手。なンで白い用紙俺に差し出してきてンだよオマエ」

    麦野「作詞。しろって言ってんだよ」

    一方通行「わかったから出てけ! 一応書いてみるからここで見つめてンじゃねェ!」

    麦野「あら、照れてんの? 恥ずかしがってんの? ねえねえ」

    一方通行「照れてねェよ恥ずかしがってもいねェよイイから出てけ年増ァ!」

    麦野「んだとこのクソほっせえもやし野郎が! 年上のお姉さんと呼べ!」

    一方通行「とーしーま! とーしまァ!」バンバン

    麦野「て、め、え……首輪なんてつけてるSM好きのクソッたれのくせにいい度胸してんじゃねえかァァアアア!!!」

    一方通行「これは首輪じゃありませんー、チョーカーですゥー! オマエあれだろその腕取り外し可能なンだろ、ハハッマジぱねェ」

    麦野「オーケーわかったそんなに私に見られたいなら意地でもここに居座ってやるよいいから書け書けよ書きやがれェェェェエエエエエエ!!!!」

    一方通行「だから見られて作業できねェっつってンだろ耳まで遠いンですかァこのアマ! いいからバカでも探してブチ殺してろ、」


    垣根「バカって呼ぶなっつったろ!」バーン


    麦野・一方通行「……、……」

    垣根「あれっ、なんか悪いな。邪魔しちゃって」パタン

    麦野「……ごめん、ちょっと頭に血が上ってたわ。今からあいつで鎮めてくる」

    一方通行「いってらァ」

    パタン

    一方通行「……歌詞、ねェ……バラード……どンなモンを書きゃイインだかさっぱりだ」

    647 = 634 :

    垣根「しっかし、言っちまったはいいが実際に抜けられてもなー……」

    麦野「何の話よ?」

    垣根「ん? ああ、ミコトだよ。あいつ、最初っから妙にはしゃいで世界に出るとかなんとか言ってたろ」

    麦野「ああ、言ってたわね。まだガキだし別におかしくないと思うけどさ」

    垣根「半端な気持ちで言われても困るんだよ」

    麦野「……あ?」

    垣根「お前もさ、その片目と片腕。まさか無償で学園都市が治してくれたとは思ってねえだろうが」

    麦野「……なるほどね。私はまだ一部で済んでるけど、あんたは体ほとんどだっけ? 心臓を上層部に掴まれてるようなもんだな、ははっ」

    垣根「ははっ」

    麦野「……、……」

    垣根「……、……」

    麦野「いや、否定しとけよ」

    垣根「だってきっとマジだし」

    麦野「はあ……私やあんたでこの調子なら、イッツーもだろうね。補助を受けてる以上、どうなったっておかしくないよ」

    垣根「ああ。あのクソ野郎がこうしてバンドなんてもんをやってる時点で、あいつはとっくに気づいてるだろうけど」

    麦野「で、何の枷もないミコトに釘を刺しちゃった、ってわけ? やめるなよって?」

    垣根「まっさかー、その逆だよ。やめんならとっととやめちまえって言っただけだ」

    麦野「!?」

    垣根「大丈夫だろうとは思うぜ? 俺らみてえに薄汚れてるわけでもねえ第三位だ、一度やるって決めたことを覆せるほどプライドも低くねえはずだし」

    麦野「これであの子がやめたら、私が女の子ひとりで可哀想よねー」

    垣根「えっ」

    麦野「んだよ」

    垣根「いやあ、なんでも」

    麦野「とにかく、今はイッツーの仕上がりを待つばかり、なんだけどさあ」

    648 = 634 :

    垣根「仕上がり?」

    麦野「ああ、あんたには言ってなかったっけ。一曲じゃだめなのよ」

    垣根「聞いてねえよ。もう一曲書き下ろせばいいのか」

    麦野「てめえはいらねえよバカ」

    垣根「だからバカってやめろカッキーだ」

    麦野「ちげーよ今のはほんとにバカって罵ったんだよバカ」

    垣根「ほんとに罵るのもやめろ俺お前より頭いいんだぞバカ」

    麦野「ふざけんなよバカ」

    垣根「ふざけてねーよバカ」

    麦野「死ねよバカ」

    垣根「しっ……なにそれ急にそういうのなしだろこういう場面は!」

    麦野「なしとかありとか関係ねえな。カァンケ、」


    バタンッ


    一方通行「コンビニ行ってくる!」

    バタバタバタ

    垣根「……コンビニ行ってくるって」

    麦野「……作詞のほう、終わったのかしら」

    スタスタスタ
    ヒラリ

    垣根「なあ、ピアノの上に乗っかってるの、これ歌詞か?」

    麦野「あー、多分。って字うまっ!」

    垣根「すっげえ、なにこいつ。機械のような字だな」

    麦野「っていうか、この短時間で書き上げてるってことは、相当感情込めたか、あるいは」

    垣根「適当か、のどっちかだな。読み上げていいか」

    麦野「待って、今読む」

    649 = 634 :

    読了後

    麦野「……、……」

    垣根「完全に前者だったな」

    麦野「あのさあ」

    垣根「あ?」

    麦野「前から喋り方でちょっと引っ掛かってはいたけど、あいつなんで『ン』とか『ァィゥェォ』とかカタカナなの」

    垣根「アイデンティティだろ」

    麦野「んー、少し手直しはしなくちゃいけないけど……でも、うん。悪くないわ、あんたのよりはずっといい」

    垣根「これ明らかにオマエ=打ち止めだよな。あのガキだよな」

    麦野「これはミコトに歌わせる予定だから、俺の部分は僕、オマエの部分は君に変えて、所々やわらかくしなきゃだめね」

    垣根「俺じゃねえのかよ!」

    麦野「バラードで私がピアノ伴奏、ミコトが歌うの。もう決まってるんだよバーカ」

    垣根「ちょっと待てよ、それ俺らいらなくね」

    麦野「コーラスでもしてれば?」


     麦野がふふっと笑いをこぼし、椅子に座る。歌詞が書き込まれた用紙をじっと見つめた後、彼女は机の上に残されていた赤ペンで歌詞を少しずつ訂正していった。
     その様子をしばらく眺めていた垣根だが、自分の出番がないことを数度訴えても効果がなかったため、すごすごと部屋を出ていったらしい。麦野は一度も顔をあげなかった。
     一方通行が書いた歌詞は、あまりにも素直すぎて、自分ではとても書けそうにない。けれど、あの少年は共同ならいいと、言っていたような気がするから。
     書かせたのは自分で、だったら手直しは心を込めてやってやろうじゃないか、と麦野は口元の笑みを深めた。


    第四回(合宿)、第二日目午前の部・終了

    650 = 634 :

    えっと、今回は繋ぎっていうか、御坂と垣根の認識のズレみたいなのを明確にしておこうと……
    ってごめんなんでもねえ別にそんなこと考えてねえや

    なんつーか、俺間が空くとあんまり進められないみたいだから頻繁に書くようにすんね!
    多分今晩またくる!
    んじゃな!


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