元スレアレイスター「超能力者達にバンドを組ませる――『最終計画』だ」土御門「」
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551 :
ねーちんが歯ギターすると聞いてきますた
552 :
ねーちんのデスボイスが聞けると聞いて
553 :
ねーちんが一人Hすると聞いて
556 :
黙れこのド素人が!
558 :
やかましいこのド素人が!じゃねえ?
559 :
おっと、俺の嫁の悪口はそこまでだ
560 :
>>559
そげぶ
俺の嫁だろ何言ってんだ
561 :
>>560
そげぶ
562 :
やこど
563 :
や、やめて、
こどもがみてる
どどんぱ
564 :
や
ど
ん
565 :
やめろよ関係ないレス
どンどンスレが
ンーっと消費されるだろォが
566 :
今日来るかな?
567 :
三日山篭もりすんなら明日くらいじゃねーの?
早くこねぇかなー
568 :
本日水曜日
来ねぇな
569 :
ねーちんスレかと思ったじゃねーかwwwww
ステイルくんの相方とかねーちん以外できねえだろjk
んじゃぼちぼち
570 = 569 :
一方通行が異変に気づいたのは、彼が誰よりも物音に敏感であったからであろう。隣で眠っている削板軍覇の顔色がよろしくない。
鋼の肉体を持つ彼が合宿ごときで病気になるとも思えなかったが、とりあえず彼はじっと削板を観察することにした。
しばらくして、削板の口からは寝言がぶつぶつと漏れ出し、すべてを逃さず聞き続けた一方通行は額に青筋を浮かべる。
寝言がうるさかったのか、麦野沈利と垣根帝督も起きだした。御坂美琴は多少の物音では動じないらしく、すやすやと寝入っている。
「ぬ、う……リーダーでレッドのオレがいなければ雑魚も倒せない、と……ぐー……だめだめだな、ホワイトイッツー……ブルーカッキー……イエローシズリめ……すぴー」
なにやら手の動きも加わり、削板がどんな夢を見ているのか容易に想像がついた三人は顔を見合わせた。
どうもこの男は、戦隊モノの夢――それも勝手に超能力者を隊員に仕立て上げ、自分がリーダーを務めているという夢を見ているらしい。
普段はなんやかんやと言い争いを繰り広げているとはいえ、目覚めた三人の精神年齢そのものはそう低くはない。
したがって、海よりも広いわけではないにしろ、まあ一般人レベルくらいには広い心を持つ(と彼らは思っている)三人は、削板の寝言そのものには苛立ちを覚えただけである。
しかし、早朝四時前にくだらない寝言で目を覚ましてしまったことを考慮すると、原因であるこの男もたたき起こしてやりたいと考えた麦野が思いっきり蹴りをいれようとした瞬間。
「すっごいガァァァドぉぉぉぉおおおおおおおっ!」
「ぐっふあ!」
夢の中でガードしたのかはたまた生命の危機を察知したのか。
麦野の蹴りを防いだ上、削板はその防いだ腕を横になぎ倒し、結果的に麦野の足は垣根の顔面にクリーンヒットする。
傍から見ていた一方通行は、顔をおさえる垣根を冷ややかに見つめながら、口癖になりつつある呆れと諦めの言葉を吐き捨てた。
「くっだらねェ」
午前四時、廃病院
麦野「この年齢になって戦隊モノってどうなのよ」
垣根「ってぇ……男はいつになっても少年って言うだろ」
一方通行「どォでもイイが、オマエ鼻曲がってねェ?」
麦野「元からそんな鼻だろうが。ところで、ミコト起こす?」
垣根「あれっなんか若干曲がってるような気がするマイノーズ」
麦野「起こすかって訊いてんだよ質問に答えろ」
一方通行「起こすも何もよォ、朝食なンざいらねェし」
麦野「朝は食べないと逆に太るんだよ。あんたは気にしないだろうけど」
垣根「なあ、お前は元からこんなに曲がってたかい、マイノーズ」サスサス
一方通行「別にオマエはクレオパトラじゃねェンだから、オマエの鼻が曲がろォが低くなろォが世界にゃまったく関係ねェな」
麦野「もちろん私らにも無関係。っていうか、ツチピーがいないわね」
571 = 569 :
垣根「? あ、マジだいねえ。どこ行ったんだあいつ」サスサスキョロキョロ
一方通行「だからわざとらしく鼻擦ってンじゃねェよ、うぜェ。ツチピーがいねェと話が進まねェじゃねェか」
麦野「ベッドには寝ていた形跡もあるし、トイレじゃねえの。朝勃ちとか」
垣根「……、……」
一方通行「……、……」
麦野「なにその眼差し」
垣根「恥じらいってもんがねえのかな、と」
麦野「次言ったら握りつぶすぞてめえ」
一方通行(まさか同じ考えに至っていただなンて言えねェ)
垣根「ともかく、イッツーはもやしだから光合成すりゃいいのかもしれねえが、あいにく俺らは朝食が必要だ」
一方通行「どォいう思考でそンな解答導き出したンだオマエ……!」
麦野「はあ、だからてめえはバカッキーだって言うんだよボケ。見てみなよ」
垣根「は?」
麦野「葉緑素がないじゃない」
一方通行「」
垣根「」
麦野「……なーんちゃって」
一方通行「慣れねェこたァするモンじゃねェな」
垣根「まったくだ」
麦野「たまにはボケてみようかと思ったのよ」
一方通行「シャレになンねェ」
削板「ふぐぉ、……んー、とりゃああああっ!」ガバッ
垣根「……今一瞬目がカッて開いたよな? 気合? 気合入れたの?」
麦野「起床するときも暑苦しいなあほんと」
572 = 569 :
削板「おはようお前ら、朝飯はまだなのか?」
一方通行「ちゃっかり期待してンじゃねェよ。オマエも作るンだろォが」
削板「!?」
垣根「基本的に話聞いてねえよなこいつ。よく四時に起きたもんだよ」
削板「ああ、それは無事に敵を倒せたから気分が良くてな」
麦野「……敵」
削板「おう、子供を攫う女怪人だった。なんというか、こう、露出度高くて胸がでかくて、あと髪が二つ結いで」
一方通行(既視感がやべェ)
垣根「へえ。会ったことあんの? っていうか美人? 可愛い? あるいは男の娘とか?」
削板「会ったことはないが、なんとなく危険な敵だったな。オレの想像力も大したもんだ」
麦野「そんじゃ、さくっとミコトも起こすか。じゃんけんするわよ」
一方通行「オマエが起こせばイイ話だろ」
麦野「やだよ。こいつ寝ぼけて電撃飛ばしてきそうじゃない」
垣根「否定できねえな。……ツチピー探そう」
削板「耳元で叫べば起きんじゃねえか? ほら、イッツーやってみろよ」
一方通行「あ、俺ちょっとガス栓確認してくるから。ンじゃ任せた」スタカツカツ
垣根「それなんて言い訳!? って待てやコラァァァアア!!!」
御坂「ん、むぅ……?」ゴシゴシ
麦野「今の叫び声で起きたっぽいわね。結果オーライってとこかしら」
御坂「……ねむ……、……は?」
削板「遅い。起きるのが遅すぎるぞミコト! そんなんでこの先っ、生きていけると思ってんのかお前は!」
御坂「……ふへ?」キョトン
垣根「まあ、朝起きてすぐにソギーのズレた説教聞いたところで首傾げるしかねえよな」
麦野「つうかまずサバイバルゲームじゃねえし」
御坂「……なんでここに超能力者がい、……いっ! い、いま何時!?」
垣根「午前四時十五分。ま、こんなもんだろ」
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御坂「えーっと、それで朝食は」
麦野「作ってるように見えるの?」
御坂「まったく」
削板「腹が減った」
垣根「そんなん俺もだっつの……あ、そうだ。アレがあんじゃねえか」
麦野「アレ? ……ああ、カップラーメンか。この際仕方ないとは言え、朝からってのはきついわ」
削板「だめだぞ。あれはぜんぶオレのだからな、他を当たれ」
御坂「あんた数十個全部食う気なの!? ちょっと寄越しなさいよ」
削板「い、や、だ。オレは全部同時に食べて味比べをするんだ! オレの密かな楽しみを壊すってんなら容赦しねえぞ!」
垣根「同じ銘柄数個ずつ買ってんじゃねえか。だぶってんのくらい俺らにくれたっていいんじゃねえの、ソギーよぉ」
削板「……いや、やっぱりオレが食う。お前らは適当に朝食を作ればいいだろう。オレはこのカップラーメンを平らげる」
麦野「朝から苛々させんなよ紅白野郎。いいから寄越せっつってんのがわかんねえか、てめえ何年耳垢取ってねえんだよオイ」
御坂(朝からなんでこう血気盛んなのよ、ツチピーとイッツーはいないし)
垣根「仕方ねえなあ……こうなりゃ、俺らとテメェで勝負だ。俺らが負けたら大人しく引き下がる、だがテメェが負けたときはカップラーメンを一個残して残りすべて俺らがもらうぜ」
麦野「その『俺ら』に私は含まれてんの?」
垣根「おう。ちなみに勝負の内容だが――食べ物の名前でしりとりをして、先に腹の音が聞こえた人間の負けだ」
御坂(なにそれくだらない)
削板「乗った」
御坂「乗るのかよっ!」
麦野「私らのほうが不利だと思うんだけど。ソギーはひとりで耐えるからいいとしてさ、私はともかくあんたがすぐに腹鳴らしたらどうすんのよ」
垣根「俺を誰だと思ってやがる……俺の腹の音に常識は通用しねえ」
御坂「えっ、鳴らないの?」
垣根「いや、鳴る。けっこうぐうぐう鳴る」
削板「オレの腹の音もなめてもらっちゃ困るな。くうくう鳴くぞ」
御坂「子犬か!」
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事務局付近
一方通行「コーヒーさえ飲めりゃ朝飯なンざいらねェンだが、この廃病院には自販機がねェし」
一方通行「外に出て買ってくっかなァ……っつかツチピーはどこに、……ってあれ」
事務局
海原「いえ、ですからね、自分たちにはやましい思いなど一切合切ないんですよ。たとえるなら白いユリの花のごとき純情さでしてね」
土御門「知ってるか、ユリの花は赤水を吸わせるとあっさり染色されるんだが」
>17600「師匠の喩えが悪かったようですね、とミサカは提案します。つまるところミサカたちは一種の責任感をもってこの場に臨んでいるわけです」
土御門「そんな責任感なんて捨ててしまえ、このストーカーどもが」
一方通行(うわァ……あいつらまだ帰ってやがらなかったンか……しつけェなァ)
海原「ストーカーとは心外な、自分は彼女を陰から守るナイトですよ。いわば闇の騎士です。ダークナイトエツァリです」
土御門「なに若干どや顔してるんだお前は。どこも格好良くないぞ」
>17600「ミサカは働くミサカですからね、ハードワーカーミサカとはこのミサカのことを指すのです、とミサカはない胸を張ります」
土御門「ないならわざわざ主張しなくてもいいにゃー……」
一方通行(どォすっかな、なンか関わり合いになりたくねェ)
海原「ところでそこの影に隠れている一方通行さんはいつまで聞き耳を立てていらっしゃるおつもりで?」
一方通行「」
>17600「い、言っとくけどミサカも気づいてたんだからねっ! とミサカはツンデレを装って自身の優秀さをアピールしておきます」
土御門「オレも気づいてたぜい。入ってこいよ、イッツー」
一方通行「なンだろォな、オマエらに見抜かれてたってだけで精神的にこう、ショックがでけェンだけど」
海原「そんなあなたにこの一言。ドンマイ(笑)」
一方通行「あァ、そォいやこのチョーカー12時間イケるンだよなァ……朝から使っても余裕なンだった。あは」カチッ
海原「やだなあ自分なりのモーニングジョークですよだからその笑顔やめてくれませんか、ねえ」グイグイ
>17600「師匠なんでミサカをぐいぐい前に押し出してるんですかなんでミサカを盾にしてるんですかちょっと師匠、とミサカは踏ん張りながら問いかけます」フンバリー
土御門「海原、お前ほんと超電磁砲以外には容赦ないな」
575 = 569 :
一方通行「ンでェ? なァンでここにいらっしゃりやがるンですかオマエら」
海原「帰るに帰れなかったもので」
>17600「まあより正確に言えばスネークうんたら以前にこの廃病院自動でロック機能が働いているみたいなんですよね、とミサカは入ったはいいものの出られなかった自分にげんなりします」
一方通行「うゥわ、だっせェ……」
海原「一応頑張ってはみたんですがね。ほらこれスパナやらなにやらの工具類」
土御門「ここも学園都市の端くれだぜい? スパナごときで開錠されるようなセキュリティであるわけがないだろう」
一方通行「てェかよ、オマエは電気流してロック解除できねェのかよ。クソガキが前にやってた気ィすンだけど」
>17600「……oh」
海原「その発想はなかった」
土御門「真性の馬鹿か」
一方通行「そもそも出られねェってどォいうことだよ。シズリとソギーは普通にコンビニ行ったじゃねェか」
海原「どうも深夜になると自動的に出られなくなるようです。あれですかね、夢中遊行の阻止でしょうか」
土御門「ああ、そういえばこの廃病院は夢遊病者も収容していたらしいな。となれば、無人と化した今でもロック機能が作動しているのも頷ける」
一方通行「ンじゃ、もォロックは解除されてンだろ。だったら帰れとっとと帰れつべこべ言わずにそそくさ帰れ」
海原「つべ」ニヤ
>17600「こべ」フフフ
一方通行「……、……」イラッ
土御門「抑えろイッツー。ほら腹も減っただろう、朝食にするか」
海原「お、いいですね。それではとっとと」
>17600「久しぶりにご飯が食べられますね、とミサカはそそくさ」
一方通行「……、……」イライラッ
土御門「おーしいい調子だ、そのままキープ、そのまま冷静でいるんだイッツー……ところで他の連中はどうした?」
一方通行「あン? 知らねェよ。今頃ミコトたたき起こしてンじゃね、」
海原「みっ、みことぉ!? ちょっ、待てよ」
一方通行「オイコラ敬語どォした敬語」
576 = 569 :
海原「どうしてあなたが彼女をみっ、み、みことと呼び捨てしているのか百字以内でお答えいただけますね!?」
一方通行「バンドメンバーだから」
>17600「十字で収めてくるとは……これが学園都市第一位の要約能力……! とミサカは喉をごくりと鳴らします」ゴクリ
土御門「まさかの一割だからな。お前ら朝食もさりげなく参加する気か?」
海原「そりゃ当たり前でしょう、自分はダークナイトエツァリですからね。彼女の身に何かあったらと思うと死にそうです!」
一方通行「ダークナイト気に入ったのかオマエ……てェか、俺らにオマエらがいると違和感ありすぎねェ?」
>17600「この方は? とミサカはサングラスを指差します」ビシ
土御門「なにこの失礼極まりないクローン」
一方通行「そいつは一応プロデューサーだかンなァ。ツチピーいねェと進まねェし」
海原「!」ポン
一方通行「いや意味わかンねェし唐突に手ェ打つなよダークナイトさン?」
海原「プロデューサーひとりですべての事柄を掌握できるとお思いですかいやありえない!」
土御門「今オレのプロデュース能力全否定されたにゃー」
海原「いえいえ、そんなことを言いたいわけではありませんよ。いいですか、プロデューサーというのはいわば統括者です。つまり、直接的なサポートは本来彼の仕事ではない」
>17600「! 師匠、言いたいことがわかりましたとミサカも思わず手を打ちます」ポン
一方通行「……薄々読めてきたが認めたくねェぞオイ」
海原「と、いうことは! 統括する者とされる者の間には! そう! 仲介者が必要ですね! ここで言う仲介者とはイコールで――マネージメントですけれども!」
土御門「あー、うん。つまり、お前はマネージャーになりたいと。そういうことか」
海原「イエスザッツライト! ウィーアーブラザー、オーケー?」
一方通行「全然オーケーじゃねェ。なンでオマエみてェなストーカーをマネージャーにすンだよボケ」
>17600「マネージメント……管理……合法的にダーゲットの生活を垣間見ることができる……ふふ、ふふふふ……とミサカは決意を新たにマネージャーとしての第一歩を踏み出します!」
一方通行「踏み出すな戻れ」
>17600「こっから先は一方通行なので」キリッ
一方通行「なンかもォオマエらほンと嫌ンなるわ」
577 = 569 :
麦野「パエリア」
削板「アーモンド」
御坂「ドルチェ」
垣根「エ? チェ? どっち?」
御坂「エ」
垣根「エスカルゴ」
麦野「ゴンボ」
削板「なんだそれ」
麦野「オクラよ、オクラ」
削板「ラ?」
御坂「ボでしょ」
削板「ボーフォール」
垣根「なにそれ」
削板「知らん」
麦野「却下」
削板「いいだろべつに」
御坂「よくないわよ」
垣根「つうかよ」
麦野「なによ」
垣根「空腹のあまり言葉少なになってねえか」
削板「無駄に喋りたくない」
御坂「おなかすいた」
麦野「イッツチピーも戻ってこないしね」
垣根「イッツチピー……なんかポケモンにおける最終形態みたいだな」
削板「イッツチピー、何ポケモンなんだろうな」
御坂「イッツチピー、電気ではないことだけは確かよ」
578 = 569 :
麦野「っつかさあ」
垣根「あ?」
麦野「実際、ウチらでバンドやってどうすんのって話よね」
御坂「根本的な話に立ち返ったわね……まあそうなんだけど」
削板「オレは難しいことは考えたくないけどな。つまり、男は黙ってドラムを叩け」
垣根「あー、あれだ。俺の場合はそもそも半分死んでたっつーか、十分の九くらい死んでたんだよな。その状態からこうして蘇ってるだけで奇跡だと思うわけ」
麦野「たしかに」
垣根「んで、その代償がバンド組め、だろ。安いもんじゃねえかと思うんだが」
御坂「……一番最初にツチピーが言ってたわよね。アレイスターが言っていたって――音楽で世界を救うとか、戦争を起こすとかプランがどうとか」
削板「音楽で戦争なんて起こせるのか?」
垣根「つかまあ俺らひとりで戦争起こせちゃうんだけどな」
麦野「そういえば、超能力者がこうして一箇所に集められたことなんてないわね。危険だからだろうけど、なんとなく裏がありそうで癪に障るな」
御坂「裏といえば、さっきから妙にあの子の気配感じるのよねえ。帰ってなかったのかしら」
麦野「ああ、クローン? カッキー、あんたクローンの尻追い掛け回したんじゃなかったっけ」
垣根「失礼な言い方はやめろ。途中で行方が分からなくなったから引き返してきたっつったろが」
削板「……、なあ、あれ」
海原「でーすーかーらー、マネージメント能力ならありますって言ってるじゃないですか」
一方通行「オマエにあンのはストーカー能力だけだボケ」
>17600「その点ミサカはネットワークもありますしね、とミサカは師匠になくてミサカにあるものを自慢します」
土御門「お前なんかこわい」
麦野「帰ってねーじゃねーか」
御坂「ていうかもうどういう状況よ」
垣根「とりあえず腹減って死にそう」
579 = 569 :
十数分後
海原「朝からカップラーメンなどという消化の悪いものを御坂さんに食べさせるわけにはいきませんよ」
麦野「てめえはどこの保護者だコラ」
海原「今日から正式に皆さん『LEVEL5』のマネージャーを務めさせていただきます、海原……いえ、ダークナイトエツァリです」コポポ
御坂(海原さんどうしちゃったんだろう)
削板「マネージャーというのはつまりこのオレの生活を全て取り締まる悪代官のことか!?」
垣根「なにそのマネージャーに対する間違った見解!」
>17600「そして不束者ながらこのミサカも誠心誠意、皆さんお役に立てたらなあとミサカは自己紹介を終えます」
一方通行「まァ俺らはちっとも認めてねェわけだがな」
土御門「……でも、考えようによってはこいつら、役に立つかもしれないな」
麦野「自分の負担を減らしたいわけじゃないわよねえ」
土御門「まっさかー、ツチピーはみんなのプロデューサーだにゃー」
御坂「……はあ。朝から言い合いしてたってキリないわよ。とりあえずカップラーメンがあるんだから食べましょ」
削板「だからそれはオレのだって昨日から主張してるじゃねえか」
海原「ふむ」ズルズル
削板「!?」
海原「マネージャーですからお毒見役もしなければ。さ、このカップラーメンはどうやら大丈夫ですよ御坂さん」スッ
一方通行「チェンジで」
垣根「っていうかさっきの自己紹介時のコポポって音! お湯注いでたのかよ!」
土御門「顔色一つ変えずに淡々と職務をこなすとはな……って、おいソギー」
削板「オレの、オレの、オレのカップラーメンがぁぁぁああああああっ!!!! こんな家、もう出てってやるぅぅぅううう!!!!!」バタバタバタ
バタンッ
一方通行「……オイオイ、どォすンのおかァさン」
>17600「まったくあの子ったら反抗期なのかしら、とミサカは頬に手をあてて思案に暮れます」
麦野「ていうか脱走されたのに余裕ね、お父さん」
土御門「ん? ああ、いや……どうせ探知できるからな」
580 = 569 :
コンビニ付近
削板「だいたいあいつら頭おかしいだろ。ひとのカップラーメンは勝手に取っちゃいけないんだぞ」ズンズンズン
削板「しかもオレだって鬼じゃない、削板様お願いしますとか言って土下座するなら分け与えてやろうと思ってたのにあの仕打ち」ズンズンズンズン
削板「もう頭にきた。オレは帰るぞ。帰るぞオレは」ズンズンズンズンズン
削板「ところで」ズンピタ
削板「……、ここどこだ」
廃病院
垣根「探知できる? どういうことだよ」
土御門「そのままの意味だ。ああ、詳しい説明をするとお前らの脱走の手助けに繋がるからやめておくが」
麦野「……はっはーん」
御坂「シズリ? なんでジャージ脱いでるのよ」
麦野「考えてもみなよ、この合宿で真っ先に指示されたのはこのジャージを着用すること。つまり、どんなプログラムよりも先にこのジャージを着てもらう必要があった、ってことよ」
一方通行「あァ、つまりジャージに仕込ンでやがンのか」
土御門「御名答。バレてしまったら仕方がないな」
垣根「脱ぐ」
土御門「べつに脱いでもいいが、ここにジャージ以外の衣服があると思うなよ」
御坂「あら、ここは病院よ。患者用の衣類があったっておかしくないっつーの」
海原「その件ですが、ありませんよ」
麦野「……ふうん?」
>17600「これでもミサカと師匠は昨晩色々探し回りました、とミサカは報告します。この廃病院には、衣類はおろか、食料の類もありませんとミサカは簡単に説明しますが」
一方通行「ツチピー、オマエ……」
土御門「ふっふっふ! このカリキュラムはいわば林間学校のようなもの! お前ら超能力者を精神的に成長させ結託させついでにバンドとしても大きくさせちゃおうという合宿なんだぜい!」
垣根「り、林間学校……」キュン
麦野「いやキュンってお前」
581 = 569 :
垣根「い、いや、俺修学旅行とか経験ねえしさ」
一方通行「俺だってねェよ」
垣根「林間学校もねえし」
御坂「この御時世に林間学校っていう発想がもう昭和よね」
垣根「だからさ、だから、その、……どうせやるなら楽しもうぜ?」
麦野「楽しむことについては同意するけどね。結局、バンドだ何だって言ったところで私らはアレイスターの手の上で踊らされてるだけだし」
土御門「この学園都市にいる以上は、な」
御坂「どういう意味よ、それ」
土御門「だから、この学園都市に在籍している以上は、どんなに足掻こうがもがこうが、アレイスターから逃れることはできないと言っているんだ」
海原「……あえて言葉の裏を読み取るならば、自分にはあなたがまるで『世界に出てしまえばアレイスターの元からも脱出できる』といっているように思えますね」
土御門「ま、どう捉えようが勝手だが――どうする?」
一方通行「……、……」
麦野「……、……」
御坂「……、……」
垣根「俺は」
一同「!」
垣根「俺は、やってやるよ。諦めたわけじゃねえんだ、この肉体がアレイスターの気紛れで再生されたものだとしても――いや、あいつの気紛れだからこそ、あいつの鼻を明かしてやる」
一方通行「あァ、言ってたなァ。交渉権がどォとかよォ……オマエひとりで世界進出なンざできっこねェっての」スッカツカツカツ
麦野「お。イッツー、どこ行くのかにゃーん?」
一方通行「気分転換してとっとと曲作ンだよ、クソったれ」カツカツカツ
御坂「……しょうがないわね、カッキー。私たちは向こうでボイトレでもするわよ」
麦野「ってことは、私はイッツーと一緒に作曲しときましょうか」
垣根「お前ら……!!! 性格悪そうとか思っててすみませんでした」
>17600「あ、今女性ふたりの額に青筋が、とミサカはスネークらしくリポートします」
582 = 569 :
スタスタスタバタン
海原「うまくまとめましたね」
土御門「変人の扱いには慣れてるからにゃー」
>17600「ああ、自分も変人ですもんね、とミサカはもっともらしく頷きます」
土御門「ただ、厄介なのはソギーだな。直情型のくせになかなか深く考えるところがある」
海原「ほう。扱いにくいわけですか」
土御門「うまく乗せるのは簡単なんだがな、……如何せんあいつは理解力が乏しすぎる。持っている能力があまりにも大きすぎて、理解のしようがないのかもしれないな」
>17600「努力知らずかよちくしょーうらやましいなおい、とミサカは逃げ出した削板軍覇を羨みます」
海原「ところで、彼を探さなくてもいいんですか?」
土御門「だから探知できるんだよ。ほら、ちょっとこの携帯の画面見てみ、……あっれ?」
>17600「なんだか赤い点々と接触してませんかこれ、とミサカは画面右上を指差します」
海原「これ、もしかして超能力者だけじゃないんですかね」
土御門「ああ、一応グループの連中の居場所と超能力者、それから舞夏に――」
海原「本当にシスコンですねというツッコミと、自分も登録されているという衝撃の事実は置いておきますが、義妹さんのほかにもうひとりいらっしゃるんですか?」
土御門「……、まあな」
>17600「ん? あれ、この赤い点、よく見るとミサカのマップと同じ点ですね、とミサカは自分の携帯電話の画面と見比べます。まさか」
土御門「そのまさかですたい……どうしてこうなった……」
海原「? 意味がわからない自分に説明していただけますかね」
>17600「つまり、現在削板軍覇はこの廃病院からけっこう離れた場所にいるのですが、彼はなぜかミサカのターゲットの近くにいるようです、とミサカは説明を開始します」
>17600「そして、土御門プロデューサーの携帯のほうがより精密ですので、この赤い点々が重なっている以上、こう断言できるでしょう」
>17600「削板軍覇ことソギーは、現在進行形で上条当麻と接触しているようです、とミサカははっきりきっぱりさっくり言い切りました」
海原「なんという……あ、しかもグループの面々もってことは」
土御門「おそらく、結標もどういう理由かはわからないが、その場にいるとみて間違いないぜい」
583 = 569 :
第十九学区、とある研究所近く
結標「……ええっと、たしかあなた、第七位よね」
削板「おう、オレのことを知っているとはなかなか見所のある女子だな! オレの夢に出てきたモンスターに似てるけど!」
白井「では、第七位さんがなぜこんな廃れた学区にいらっしゃるんですの?」
削板「かくかくしかじかだ!」
浜面「まったくわからねえな。ところでよ、そのジャージ暑苦しくね?」
削板「このジャージはコーチからもらったものだからな。たとえ脱走したとしてももらい物を易々と捨てるような軟弱な男じゃないぞ、オレは」
上条「コーチ? って、誰かといるのか?」
削板「イッツーとかカッキーとか、ああコーチってのはツチピーのことなんだが」
芳川(……そういえば第十九学区で合宿を行うのはわたしたちだけじゃなく、超能力者達もいたような気がしなくもないけれど)
芳川「ま、大したことじゃないわね。削板くんだったかしら、キミは今暇なのよね?」
削板「暇? 暇といえば暇だが、暇じゃないといえば暇じゃな」グゥゥゥゥー
削板「訂正だ。オレは今腹が減っていて忙しい!」
芳川「わかったわ。とりあえず愛穂特製のチャーハン分けてあげるからついてきなさい」
現在時刻、五時ジャストである。芳川桔梗は手馴れたもので、腹をすかした削板に手を差し伸べる。
一見慈愛に満ちた表情を浮かべているようだが、実際のところ、彼女は第七位という素晴らしい研究材料兼パシリを捕まえることができた感動で胸が一杯なのだ。
さて、結標淡希を筆頭に芳川によって集められた四人衆がなぜこの第十九学区にいるのか。
簡単に述べるなら、彼女らも「合宿」を行うためにこの廃れた学区へ足を運んだわけである。
が、しかし。
当初の予定では彼女らこそが超能力者達の使用している廃病院を使うはずだったのだが、どういうわけかすでに使用されていたためにこうして使えそうな建物を探しているのだった。
「うーん……ここでいいかしらね」
芳川がひとつの建物を見上げて頷いた。同じように四人も建物を見上げる。
そこは、第十九学区らしからぬ超高層ビルであり、どう見てもこれからスタジオとして使えそうな場所ではない。
こてんと首を傾げた白井が、臆すことなく芳川に訊ねる。
「ここで、レコーディングや練習を行いますの?」
「ええ。というか、ここが一番住みやすそうだし」
芳川の発言は、明らかにプロデューサーのそれではなかった。
第四回(合宿)、第二日目早朝・終了
584 = 569 :
思ったより短いだと……?
とりあえず数時間後に裏第二回投下しにくんね!
んじゃな!
585 :
とりあえず乙
586 :
数時間…つまり深夜フラグか
乙
587 = 568 :
乙
数時間くらい張り付いてる
588 :
ツチピーのプロデュース能力高すぎるな
シスコンなのに
589 :
>>588シスコンだからこそ
“舞夏をプロデュース!”
590 :
>>589
書き溜めてスレたてろ
591 = 569 :
なんだかすまない……
なんか書いてたら芳川がただのニートになってたから書き直すんだぜ、明日か明後日投下するんだぜ!!!
ていうか>>509見て思ったんだけど、もしかして俺のレスって見づらいのかな!
もったいないしギリギリ50行使いたいと思ってるんだが見づらかったら言ってね! 改行するから!
そんじゃなー!
592 :
>>1の芳川に対する真摯な姿勢はなんなんだww
改行はしなくてもいい派だなぁ
593 :
芳川さんならしょうがないなw
それにしても自ら動かず、書き手さんすら動かせるとか…
さすが芳川さん、器が違いすぎるwww
594 :
別に見辛くなンかねェよ。
細げェことはいィからHKB
595 :
ボリューム満点で読み応えがあるんじゃね?
596 :
>>595
やっぱそうだよな
一気に楽しみを堪能できる
597 :
見づらくないならいっか
んじゃぼちぼち
598 = 597 :
芳川桔梗は、頭脳明晰な知的美人である。
しかし、少々マイペースでルーズなところのある彼女は、自他共に認める「甘い女」であり、基本的に他人の事情など気にかけない。
整ってはいるが派手ではない顔立ちや、落ち着いているために目立つことのない芳川は、彼女を知らない人間が評価を下すなら「立派な大人の女性」だろう。
けれども、彼女に関わってしまった人間はみな、口を揃えてこう言うはずだ――
「あなた、まるで人間台風ね」
結標淡希が男を二人連れている芳川を見て、開口一番発した台詞がまさにそれである。
芳川はまるで台風のごとく周囲を巻き込み、しかも本人には巻き込んでいるという自覚さえないまま、事態が進行していくのだ。
彼女自身は自分の甘さが教職に就けなかった原因だと推測しているようだが、彼女があまりにも自分勝手すぎるきらいがあるから、という理由を考えてみるべきかもしれない。
もっとも、芳川とてはじめからこうも自堕落であったわけではない。
研究者という立場を失い、黄泉川愛穂に頼りきった生活を送るようになってから彼女にマイペースっぷりは磨き上げられたのだが。
「ええと、どちらさまですの?」
結標の隣に立っている少女が、視線を逸らすことなく堂々と芳川を見つめる。
だが次の瞬間、芳川が後ろに従えている男――上条当麻を見て、うへえ、と露骨に嫌そうな顔をしてみせた。
「あら、わたしが誰か知りたいのなら、まずは自分で名乗るべきね」
芳川は飄々と言ってのける。どこか挑発するような響きが感じられるが、芳川としては、自分から名乗るのが面倒なだけである。
すでに三人には自己紹介をしてしまっているため、できればこの場にいる誰かが「この女性は芳川桔梗といって」などと紹介してくれないかな、と思っている始末だ。
結標がはあとため息をつき、口を開こうとした矢先のことだった。
「……ええ、たしかにそうですわね。わたくし、常盤台中学二年で風紀委員を務めております、白井黒子と申しますの」
なんだかんだでお嬢様、目上の人間に対する礼節をきちんと守る白井が芳川に対し反論もせずに名乗った。
少年のうち、チンピラ風情のある浜面が、常盤台というフレーズに目を丸くする。自分はいったいどうなってしまうのだろうかと彼は不安で仕方がないらしい。
もうひとりの少年、上条はというと、どこかで会ったような気がすると言わんばかりに結標を見つめている。しかし、結標は上条の視線をシャットアウトしたっきり、顔さえ向けない。
「白井さんね。じゃ、面子も揃ったし行きましょうか」
「ちょっ、お待ちになって! わたくしは名乗りましたのに、あなたはまだ名乗っていらっしゃいませんの!」
白井の自己紹介を聞いて満足した芳川が白衣を翻す。そしてそんな彼女の腕をがっしと掴む白井である。理不尽だ。理不尽極まりない。
ああ、そういえば、と芳川はどうでもよさそうに振り向き、なぜか結標に視線を向ける。視線の意味を察した結標は二度目の深いため息を吐いた。
「芳川桔梗。元研究員現プロデューサーで……そうね、これからしばらく私達が『利用』する相手よ」
600 = 597 :
改めて言うが、ここ第十九学区はまったく栄えていない廃れきった学区である。ぽつぽつとコンビニの光が見えるほかにレストランらしきものはなく、どうも腹を満たせそうにない。
ふらふらと歩く芳川の後ろを数歩離れてついていく学生達は、はたしてこの女を信用してもいいのだろうか、と目配せしあう。なんだかまだわからないが、とんでもないことになりそうな気がする。
ふらふらぶらぶらと歩みをすすめていた芳川は、ふととある建物の前で立ち止まる。そこは寂れた廃病院で、もちろん人の気配はまったくない。
「そうだ、ねえキミ達――って、少し離れすぎじゃないかしら」
ようやく振り返って背後を確認した芳川が、若干警戒している子ども達を見て苦笑する。
たしかに説明が足りなかったかもしれないと考えた彼女は、ひとまずどこかに腰を落ち着けるべきだという結論を導き出し、四人を手招きする。
廃病院とはいえ、自動ドアは正常に作動し、待合室の椅子も壊れてはいない。しかし、電気が止まっているのかテレビは使えないようだ。
とりあえず各自で好きな場所に腰を下ろした彼らは、結果的にそれぞれ一人分ずつ距離が開いたまま座ることになった。
お互いの距離感を如実にあらわしているといえる。
「芳川さん。詳しい説明を求めてもいいわよね?」
切り出したのは、芳川が最初にコンタクトを取った結標である。そもそも、芳川がこうして楽器隊を集めたのもすべてが結標のためであるといえばそれまでだ。
だが、芳川は結標の問いかけに眉をひそめて唸った。予想外の反応に戸惑う結標は、それでも「説明がないならどうしようもないわよ」と続ける。
「……P」
「は?」
「芳川P。これからはそう呼びなさい」
何かを覚悟したようにきっと顔をあげた芳川と、予想外どころか斜め上、否、斜め下の回答をした芳川に拍子抜けした結標は、しばらく見つめ合っていた。
「……、……」
「芳川P」
「……、よ、芳川P……」
「そうよ。で、なんと言ったかしら?」
にこりと首を傾けて笑う芳川をしばし凝視していた結標は、はっと我に返りぶんぶんと顔を振る。
勢い良く振りすぎたために、ひとつ空けて隣に座っていた白井に髪が直撃したが、気にするどころではないらしい。
「だ、だから、その、詳細を教えてほしいって言ってるの!」
「ああ、今回の計画の詳細ね。キミ達も知りたいのよね?」
芳川は結標から白井、上条、浜面と順番に視線を向けていく。四人が頷くのを見て、芳川はすっと白衣のポケットから何かを取り出した。
四つ折にされた用紙は、芳川のずぼらさを象徴するかのように端と端が揃っていなかった。
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