元スレアレイスター「超能力者達にバンドを組ませる――『最終計画』だ」土御門「」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
701 :
陰陽座ばかにすんなよぅ
702 :
合いの手全部言えるくらいには陰陽座好きだけど、あれはブリティッシュ演歌メタルですよね
けしてアニソンではない
703 :
続きが楽しみです!
一方さんの歌詞が気になります…
704 :
どうでもいいけど作者人間椅子好きみたいだね
705 :
江戸川乱歩のか
706 :
もう一週間経過した……だと……?
すまない一方さんの歌詞から先進んでねーや! ごめんな!
っていうか一方さんの歌詞はきっと素晴らしいけど書くのは俺だから結果的には失笑レベルなんだぜ……ハハッ
ちなみにさっきこんなん考えてた
一方通行「苺って、可愛くねェよな」
麦野「あ? 可愛いでしょうがこのボディの鮮やかな血の色! ゾンビの血液のようなヘタ! 発疹でもできたかのようなつぶつぶ!」
垣根「ちっとも可愛くねえなその形容詞」
一方通行「つい先日のことです」
御坂「唐突に語りだした……」
一方通行「ガキが苺を可愛いと言いやがったので、僕は理由を訊ねました」
削板「なんだその口調……」
一方通行「『オイ、この赤い木の実のドコが可愛いンだよ。うぜェだろォが』。すると、ガキはこう答えたのです――『つぶつぶが可愛いんだよ、ってミサカはミサカは苺をなでてみる!』」
土御門「口真似似てなさすぎて笑えないんだが」
一方通行「オマエらさァ! わかってンの!? あの苺のつぶつぶ、アレほンと可愛いかァ!?」
御坂「可愛いか可愛くないかで言われたら正直微妙だけど、苺はまあ可愛いものの代表格よね」
麦野「バラ科ってのもあるし、女の子なら誰でも好きじゃないの」
一方通行「甘ェな、だからオマエら第一位になれねェンだよ」
垣根「苺がべつに好きじゃない俺はどうして第一位になれないのかと」
削板「根性が足りないんだろ」
土御門「根性だけで第一位になれるならお前はとっくに第一位だぜい」
一方通行「バカが第一位になれねェのはバカだからだ。ンで、苺だがよ」
麦野「あんた実は苺好きなの? なんでまだ苺の話題続けるの?」
一方通行「うっせェなちょっと話聞けよ。オマエもつぶつぶ可愛いとかほざいてたろォが」
御坂「あー、はいはい。で? 苺がどうしたのよ」
一方通行「だから、苺のつぶつぶきめェだろ、って話」
垣根「そんだけ?」
707 = 706 :
一方通行「そンだけってなンだよ大問題だぞクソったれ」
垣根「むしろ苺のつぶつぶごときで大仰に話し出すお前がクソったれだわ! 意味わかんねえ!」
一方通行「どォやらオマエにはまだわからねェらしいな……苺のつぶつぶ、あれは種子だ。つまり本能を忠実に全面的に押し出しているわけだ」
削板「……本能?」
一方通行「子孫を繁栄させたいっつー生物の本能が種子として表面に現れてンだよ。きめェ。マジきめェ」
土御門「なんというか、勘違いしているところ悪いんだが」
一方通行「ンだよ。苺きめェだろ、オマエまさか苺愛好家かァ?」
土御門「ああ、たしかに舞夏の苺ジャムはうまい……そうじゃなくて、苺のつぶつぶだよ。あれは種子じゃなくて」
麦野「果実。まあ、正確に言えば種子もその中に入ってるから、あんたの言い分も間違いではないけど」
一方通行「……、……」
垣根「おやおやどうしたイッツーくんよ。顔色が悪いぜ?」
一方通行「……知ってた」
削板「ん?」
一方通行「知ってたっつってンだよ。結局苺はきめェってことだろォが!」
御坂「あんた結局苺嫌いなだけでしょ!?」
一方通行「そンなことありませン! 苺で一句作れる程度には好きですゥ!」
土御門「イッツー、発表」
一方通行「ああいちご つぶつぶいちご きもちわる」
垣根「よーし、明日の朝食はみんなランチパックの苺ジャムとマーガリンにしようぜ」
麦野「じゃあ買出し行ってくるわ」ガタッ
一方通行「オイ待てや」
とりあえず頑張って一方さんの歌詞ひねりだすね!
ところで人間椅子って乱歩のかな、それともバンドかな! どちらにせよ好きだけど!
んじゃなー!
708 = 704 :
とりあえず乙
人間椅子はバンドのほうだよ
心の火事とかむぎのんの人間椅子発言で何となくそう思った
709 :
ここで一句の謎の流れワロタww 乙
710 :
いwwwwちwwwwごwwww
おまえのなかでなにがあったんだよwwww
711 :
ああいちご つぶつぶいちご きもちわるwwww
ひwwwwでwwwwwwwえwwwwwwwwww
712 :
人間椅子とベッド下の男の話は似てるな
713 :
レベル5の面々が仲良くしてるスレはどうしてこんなにも居心地が良いのか
初代ルーンファクトリーで、スタート直後から最初の洞窟でひたすらイチゴ様を育てては出荷した資金を元手に
一年目で家を増築して嫁をもらうことに成功した俺には、イチゴ様に足を向けて寝ることなんてできまっしぇん
714 :
いっそ歌詞作んなくても良くないか?
反応で大体分かるし、それでこの良作を遅らせるのはもったいないと思う。
作品内の絵も詩も歌も、作者に作らせるのはあまりに酷だぜ。
つまりHKBってこった。
715 :
どうしても歌詞書きたいなら、いっそライブシーンまで伏せておくという手もある
キャラには「これは凄い」的な反応させておけば大丈夫だし
716 :
せっかくやる気になってるんだから楽しみに待とうぜ!
717 :
人間椅子好きなのに全然気づかなかった
719 :
製作だしそう急かさんでも
720 :
人間椅子って言うと空気椅子の上に座る謎のシゴキしか思い浮かばなかった
それはともかく楽しみにしてるよ!
721 :
人間椅子って男が胡座かいてる上に女の子が座ることだろ
722 :
でも俺は女の子が胡座かいてる所に座りたい
723 :
俺は一方通行に座ってもらいたい
724 :
俺は一方さんの上に座りたい
725 :
俺は一方さんに跨がりたい
726 :
ここはID20000の多いインターネッツですね!
ともあれ楽しみに待ってますー
727 :
一方さんに虐げられたい
728 :
一方さんを虐めたい
729 :
ライブで一方さんに口に含んだブラックコーヒーを吹きかけられたい
730 :
なら俺は一方さんに使われるピックになろう
731 :
じゃあ俺は一方さんのイヤホンマイクな
732 :
一方さんのライブ衣装の座は頂いた
733 :
おまえら欲望押さえろww
このまま1000行くとかまじ勘弁wwwwww
734 :
まあまあお前らちょっと落ち着きなさいよ
俺が一方さんの人間椅子兼長袖になるからちょっと落ち着きなさいよ
俺が一方さんのブラックコーヒー攻撃の被害者になるからちょっと落ち着きなさいよ!!!
っつーことでぼちぼち!
735 = 734 :
「……くしゅん! ってミサカはミサカは鼻をおさえてみたり」
打ち止めはむずむずと鼻を動かしながら、こてんと首を傾げた。こんな時期に風邪なんて引かないだろうし、そもそも具合はちっとも悪くない。
どうしてくしゃみをしてしまったのか、とわけがわからず苦悩する少女の横で、けらけらと黄泉川愛穂は笑ってみせた。
「さては、誰かが打ち止めの噂でもしてるじゃんねー?」
「えっ、そうなの!? ってミサカはミサカはあの人だったらいいのになって願望を述べてみるんだけど!」
きゃいきゃいとはしゃぐ打ち止めを見ながら、黄泉川は曖昧に笑うばかりで答えようとはしない。
くしゃみ一つはたしか謗りじゃなかったかなあ、と彼女は内心で思い返してみるものの、確信のないことを打ち止めの前で言うとあとで自分に降りかかってくるのである。
主に、打ち止めの『あの人』によって。
保護者は自分だったはずだが、自分よりも過保護なあの少年はいったいどういうことだろう、と黄泉川は思うに至り。
「桔梗、何してるんだろうね」
朝早く出かけていった同居人に思いを馳せる。ここのところ、仕事があるからと言って外出する芳川は、今までの数倍輝いていた。
友人の働き口が見つかったことは、おそらく祝福するべき事項である。だが、引っ掛かるのは、芳川の部屋に散乱している大量のCDだ。
(仕事っていうのは……聴覚に関連してる、とか)
あまり深く追及しないでほしい。そんな態度を芳川が取っていたから、黄泉川も仕事について訊ねたことはない。
少し、妙だなあと思う程度である。
「ヨシカワならきっと大丈夫、ってミサカはミサカは世渡り上手なヨシカワに高評価を下してみる」
黄泉川は一方通行を過保護だと思っている。しかし、打ち止めにしてみれば黄泉川も十分に過保護だと思う。
ヨシカワはもう立派な大人なのに、という呟きをもらさない打ち止めは、おそらく黄泉川よりも芳川の常識人っぷりを信頼しているだろう。
どちらが正しいのかどうかはともかくとして、おなかがすいたねえ、とふたりは同時に腹を押さえ、昼食の準備に取りかかるのだった。
午後一時、コンビニ近く
一方通行(しまった、歌詞持ってくンの忘れた)
一方通行(あれをシズリに見られる分には構わねェが、あのバカもいたよなァ)
垣根『あははははっ! なにこれ! なにこれねえわ! ねーよ! うまくねえ! ちっともうまくねえよ、あひゃひゃひゃひゃ!!!』
一方通行(……あァ、笑いそォだ。とっても)
一方通行「だが、今さら戻ンのも格好つかねェし」
一方通行「……金もねェからコーヒーすら買えねェ」
736 = 734 :
一方通行「そもそも歌詞ってなンだよ。なンで俺あンな必死に書いてたンだよ意味わかンねェよ」
削板「必死になることはいいことだぞ。根性のないやつに必死という言葉はまったく似合わないからな」
一方通行「あァ。たしかに必死にならねェとクリアすることのできねェステージなンざ、人生には山ほどある……、?」クルッ
削板「ようイッツー、奇遇だな」
一方通行「……、……」クルリ
削板「なんでもっかい前向いた!? オレの挨拶は!?」
一方通行「コーヒー飲みてェ……」
削板「そして独り言タイム!」
一方通行「うっせェな、オマエ家出したンだろォが。母さン悲しンでたぜ?」
削板「か、母さんが!? ……待て、父さんはコーチだよな」
一方通行「おォ。父さンはオマエのこと露ほども心配してなかった」
削板「マジで」
一方通行「マジで」
削板「マジかよ……」
一方通行「場所わかるとか言ってた」
削板「コーチぱねえ」
一方通行「むしろぱねえのは学園都市の技術なンだが、オマエまだジャージ着てたンだなァ」
削板「おう。だってもらったもんは着ないとだめだろ」
一方通行(着てるおかげで居場所特定されてンならどォしよォもねェけど)
削板「ところで母さんって誰だ?」
一方通行「あれ、あいつ。17600号」
削板「……?」
一方通行「ミコトにそっくりの、でもやる気のねェ目をしたガキだ」
削板「ああ! マネージャー!」
一方通行「……案外記憶力イイな、オマエ」
737 = 734 :
削板「記憶力は根性でどうにでもなるからな。お前も鍛えればすぐ記憶力がつくぞ」
一方通行「べつに、鍛えなくてもそこそこの記憶力はあっからなァ。ンで、オマエどォすンの」
削板「どうするって、何が」
一方通行「だァから、戻ってくンのかそれともこのままおいしいご飯にほかほかおふろ、あったかい布団が待ってるオウチに帰ンのか、ってことだ」
削板「にーんげんっていーいーなー、……うん。帰らねえよ」
一方通行「ほォ?」
削板「数時間ほどヨシピーにこき使われて、コーチのほうが優しかったって気づいた」
一方通行「ヨシピ……誰だそりゃ」
削板「年齢聞いたら『女性に訊ねる質問としては不合格ね』ってにやにや笑ってた」
一方通行「オマエ、そンな断片的な情報で俺が個人を特定できると思ってンのか」
削板「あと、『一日一時間外歩いたら死ぬ』とか言いながらオレをパシった」
一方通行「……そいつ、白衣着用してたか?」
削板「ああ。白衣にジーンズとカットソーだった。なんかこう、着古した感じの」
一方通行「口癖、『優しくなくて、甘いから』とかじゃねェ?」
削板「そうそうそうっ! すげえな、なんでわかったんだ!?」
一方通行「……なァにしてンだ、あのクソニートはよォ……」
削板「? 知り合いなのか?」
一方通行「ちっとも知り合いじゃねェ。ンで、オマエはそいつンとこで何してたンだよ」
削板「ああ、えっとな。朝病院出てから走り続けて、そんでヨシピー一行に遭遇して」
一方通行「一行ってェのは、あれか。他にも白衣の研究者共がいたってのかァ?」
削板「いや。白衣はいなかったぞ!」
一方通行「はァア? あいつが仕事以外で家から出るわけねェだろォが」
削板「なんだ、やっぱり知り合いじゃねえか」
一方通行「いやちっとも全然知り合いじゃねェけど」
削板(じゃあなんでさっきから苦虫噛み潰して飲み込んじゃったー、みたいな変な顔してんだろう)
738 = 734 :
削板「まあいいや。で、ヨシピーはプロデューサーなんだよ。だから色んな連中を引き連れててな!」
一方通行「……あン? プロデューサー、だァ?」
削板「なんでも、補完なんちゃらって言ってたけどオレちょっと覚えてねえ」
一方通行「記憶力いいンじゃなかったのかよ!」
削板「面倒なことは覚えない主義だ」
一方通行「あァもォイイわ面倒くせェ。要するに、芳川は補完何とかでプロデューサーやってンだろ……、……あ?」
削板「どうしたイッツー、まさかほんとに虫食べちゃったのか!?」
一方通行「ほンとにって何だよ。いつから俺は虫食うキャラになってンだよ、そォじゃねェ」
削板「じゃあなんなんだ。もっとオレとわかりやすくコミュニケーションしてくれ」
一方通行「その言葉そのまま反射してやろォか」
削板「反射された言葉を根性で打ち返してやるよ」
一方通行「根性で打ち返された言葉をベクトル操作でブチ込ンでやらァ」
削板「ベクトル操作でブチ込まれた言葉を根性で、」
一方通行「!」
一方通行(ンだァ、この妙に絡みつく視線はよォ……)サッ
店員「……、……」ジィー
一方通行「! ……出ンぞ」
削板「ん、ということは言葉は現在オレとイッツーの間を浮遊してるのか!」
一方通行「ハイハイわかった俺の負けでイイから出ンぞクソ馬鹿!」グイッ
スタスタウィーン
店員「はっ! い、行ってしまいました……とミサカは追いかけられないアルバイターの辛さによよよと泣き出し――」
店員「と思ったけどどうせ人こねーし待ってくださいいいいいい!!!! とミサカはあの方を追いかけますうううううっ!!!!!」
一方通行「!?」ブルッ
削板「どうした、まさか虫が」
一方通行「だからイイ加減その虫の発想から離れろやァァァァアア!!!!」
739 = 734 :
削板「……、……」テクテク
一方通行「……、……」カツカツ
削板「……なあ、イッツー」テクテク
一方通行「……あァ?」カツカツ
削板「お前、能力に制限があるんだよな」テクテク
一方通行「だったらどォした」カツカツ
削板「その杖、不便じゃないのか?」テクテク
一方通行「慣れた、それよりも訊きてェことがある」カツカツ
削板「? それより?」テクテク
一方通行「オマエ。そもそもどォしてバンドなンざやろォと思ったンだよ」カツカツ
削板「それは、――」ピタッ
一方通行「あン?」カツピタリ
削板「……たいした理由じゃない。気にするな」スタスタスタ
一方通行「……、へェえ。もしかして、結構面白そォな理由抱えてンじゃねェのか、オマエ」
削板「とくにやることもなくて、理事会直々の命令だったから従っただけだぞ。あと、バンドってのも楽しそうだと思ったし」
一方通行「本当に、そンだけかよ」
削板「それだけ、ということにしておく。そういうイッツーこそ、和気藹々とバンド活動に励むような人柄じゃないって聞いたんだが」
一方通行「あァ、その通りだな。オマエの理由がどンなモンかは知らねェが、俺やあのバカ、シズリあたりはもォ上に真っ向から対立できねェ」
削板「なんでだよ。お前らオレよりも序列上だろ」
一方通行「俺のこのチョーカーやバカの肉体蘇生、それからシズリの片目片腕。すべて上からの支給品なンだが、わかってるか」
削板「一応知ってはいたが、だからどうした」
一方通行「つまり、上の連中はいざとなったら俺達を自由自在に操れンだよ。柵、と捉えても構わねェがな」
削板「……言っておくが、オレにはそんな枷なんてないからな。オレはただオレの意志でのみ動く」
一方通行「あァ、そォだろォよ。見たトコロ、オマエは上の連中も易々と手は出せねェらしいし」
削板「だけどな」
740 :
来た!!!
741 = 734 :
一方通行「だけど?」
削板「居心地が、良いんだよ。どうしてだかわからねえが」
一方通行「ナニが。っつかドコが」
削板「イッツー達と過ごした時間だ。オレはついさっきまでヨシピー達と一緒に『似たようなこと』をしてた、だけど……違うんだよ」
一方通行(似たよォな、こと?)
削板「知っての通り、オレはナンバーセブン。つまり、このオレの上に立つ人間は六人しかいない。この六人がいない場所において――オレは最強だ」
一方通行「間違っちゃいねェな」
削板「いつだったか……きっと最初の日だろうけど、オレ達がバンドの名前を決めているときに共通点を探しただろ?」
一方通行「そォだったか?」
麦野『私らの共通点ってまったくない気がするけど』
垣根『ないな。イケメンかつ学園都市第二位の俺がお前らとの共通点を持っているわけがないし』
御坂『……うーん……考えれば考えるほどまとまりに欠ける集団よね、レベル5って』
削板『それぞれが強すぎてほかを寄せ付けないからな、オレ達レベル5は』
一方通行『まったくだ。おかげで常に孤独を味わってきたよなァ、レベル5ってだけで』
垣根『周囲との壁を取り除くために仮面の付けっぱなしだぜ、レベル5だからよお』
麦野『誰からも理解されない化け物だからね、レベル5である以上』
一方通行「……あァ、探してたな」
削板「お前はあのとき軽い気持ちで発言したのかもしれない。多分、他の連中も軽く言ったんだろう。でも、オレは――」
一方通行「……、……」
削板「――ここなら、本気を出せると思った」
一方通行「本気、ねェ」
削板「こいつらなら、オレがどれだけ根性出して本気になろうとも、壊れないんじゃねえかって、思ったんだ」
一方通行「あー、つまりアレか。自分より格下のやつ相手じゃつまらねェと。もォ飽きたと。そォいうワケか」
削板「なんか違うけどそんな感じでいいぞ」
742 = 734 :
一方通行「でェ? 結局、オマエは戻ってくンだよなァ?」
削板「戻るも何も、オレの居場所ははじめからあそこだけ、だッ!」バシッ
一方通行「っ!」キィン
削板「……とまあ、反射もされるしな! あはは!」
一方通行「あははじゃねェよいきなり殴りかかってくンな根性馬鹿!」
削板「いやあ、お前の根性がどれだけあるかは知らないが、オレのパンチを防ぐなんてやっぱり第一位だな」
一方通行「不意打ちにゃ慣れてるンだ、よッ!」ガンッ
削板「うおっ!」ガシッ
一方通行「ほォ……根性馬鹿だけあって軽々と俺の拳を受け止めるじゃねェか」
削板「そりゃ、オレはどっちかっていうと能力云々より体で戦うほうが好みだからな!」
一方通行「オマエ、アレか。脳味噌まで筋肉さンかァ」カツカツ
削板「おい、もうちょっと殴り合いしないのかー」テクテク
一方通行「だァれがするかよ。オラ、帰ンぞクソギー」カツカツ
削板「さりげなくクソ呼びしてんじゃね、……え?」
一方通行「まだ何かあンのか!?」
削板「いや、能力制限って、さっき解いてなかったか。オレのパンチ反射してたし」
一方通行「あれは一瞬だよ。そォ簡単に能力に頼ンのはどォも癪だ」
削板「でも、どうせ使えるなら使ったほうが得だと思うがな」
一方通行「悪党には悪党なりのプライドってモンがある。オマエに根性っつゥ筋があるよォにな」
削板「……! つまり、漢の美学ってことだな! わかった、ならばオレは杖をついて歩くイッツーを気にせずにさっさと走って帰る!」シュタッ
一方通行「はァア? おい、ちょっ」
削板「安心しろ! オレは自分にも厳しいが他人にだって厳しく出来る男だからな!」ドドドドドドッ
一方通行「……そォじゃねェだろ……、!」ブルッ
一方通行「なーンか、妙な気配がすンだよなァ」カツカツ
743 = 734 :
廃病院
ガッシャァァァアアアン!
削板「ただいまああああああっ!!!!!」
土御門「ドアは壊さずともキミのIDはあと九十日ほど有効よ、ソギー」
海原「どこのネタですかそれ……おかえりなさい、削板さん」
削板「ああ、ただいま! それでみんなどこに行ったんだ!? 姿が見当たらないんだが!」
>17600「メンバーならそれぞれ自主練中ですよ、とミサカは突き当たりの一室を指差し、あそこにお姉様がいることを明らかにします」
削板「お姉様? ああ、ミコトか。よし、ちょっと行ってくる!」ダダダダダッ
海原「はっや!」
土御門「何にせよ、戻ってきてくれて何よりだぜい。海原のドラムとか正直ちょっとアレだし」
海原「頼んでおいてアレってひどすぎませんかね。自分だってお断りですよ」
>17600「あ、そういえば突き当たりの一室には第二位と第四位の偶数コンビもいましたね、とミサカは思い出し、なにやら一波乱起きそうな気配を察します」
土御門「あー、いたな。なんだ、ほぼ全員集合、」
カツカツカツ
ウィーン
一方通行「オイ。クソギーはもォ来たよなァ?」
>17600「おや一方通行、あなたがビリですよ、とミサカは親切心で教えてあげますが」
一方通行「そォか、ならイイ。どこの部屋だ」
海原「突き当たりです。もうみなさんおそろいのようですし、急いだ方がいいかもしれませんね」
一方通行「ンなこたァわかってる。……ツチピーさンよォ」
土御門「なんだ?」
一方通行「オマエ、あのクソ野郎を一週間鍛えたンだろ。そンときに何か吹き込みでもしたか」
土御門「……、……いや、ちっとも」
一方通行「ふゥン。まァ、俺には関係ねェが」
カツカツカツ
バタン
744 = 734 :
海原「……吹き込んだ、とは」
土御門「たいしたことじゃないにゃー。ちょっと、毎日『お前の居場所はあのバンドだけだ』って囁き続けただけ」
>17600「なるほど洗脳ですか、とミサカはプロデューサーの手腕に愕然とします。毎日とかこえーよ」
土御門「つっても、普通はあんな簡単に洗脳されないものだがな。根性一辺倒というか、一度信頼した相手の言葉を信じすぎるというか」
海原「思いっきりつけ込んでますねそれ。汚いなさすが土御門さんきたない」
土御門「褒め言葉ですたい、っと。そんじゃ、さくっとモニターで確認するかにゃー」
>17600「たった今一方通行が部屋に入りましたね、とミサカは部屋に漂っている不思議な空気に首を傾げつつも実況モードです」
モニター、突き当たりの一室
ガチャ
一方通行「……、えェー」
垣根「ぜえ、ぜえ……っ」
麦野「はあ、はあ……」
削板「ふーっ、ふー……」
御坂「……あら、イッツーじゃない。おかえり」
一方通行「ただいまァ、ってかこの気色悪い状況はなンだよ」
御坂「見て察してくれる? シズリとカッキーが口論になって止めに入ったソギーに殴られてキレたふたりが反撃して、まあそんな感じ」
一方通行「バカじゃねェの。ンで、オマエはナニしてンだ」
御坂「見守ってた、っていうよりは……シズリが書いたっていう歌詞を読んでリズムを考えてたんだけどね」
一方通行「――!」
垣根「そ、んなの、俺は、みとめっ、ね、え……」ゼェゼェ
麦野「まだ言う、か、あ、この、バカ、が……」ハァハァ
削板「いいから、おま、えら、ちょっとそこ直れえええええ!!!」
御坂「復活早っ!」
一方通行「ソギーの根性は筋金入りだかンな。とりあえずその歌詞とやらを貸せ」
御坂「え、いいわよ。はい」スッ
745 = 734 :
>17600「な、なんですかあの紙……! とミサカはズームできないジレンマを抱えてイライラしてみます」
土御門「あの紙に書いてある歌詞が、イッツーの原作を手直ししたシズリの歌詞、ってことだろうな。ちょっと気になる」
海原「一方通行さん超ガン見ですね。いっそ音読してくれないでしょうか」
>17600「あーこれは無理だろ。なんかもう熟読の域に達してるわー、とミサカは師匠の願望を打ち砕きます」
一方通行(所々手直しされてやがる)
御坂「どう? 私はけっこういいかなって思ったんだけど」
一方通行「あァ? イイのかこンなンで」
麦野「こんなん、って失礼ね。それなりにいい出来でしょうが」
一方通行(……で、俺が書いたっつゥコトはバラさねェと。なかなかやるじゃねェか)
麦野(バラしたらいろいろ面倒くさいんだよ、あんたの歌詞)
御坂「ただ、強いて言えば、なんとなく……」
一方通行「なンとなく?」
御坂「読んでたら、あんたが打ち止めに対して抱いてる思いってこれかなあ、とか思っちゃって。気のせいよねー」
麦野「気のせいね。私はさっき適当に書いたから。イッツーとか知ったこっちゃないわ」
一方通行「気のせいだなァ。俺はシズリが書いている横で自主練してたしィ」
垣根「そんなん言って、お前らほんとはびょるぶっ! 足退けろクソギー!」
削板「なんかよくわかんねえが踏んづける場面だと思った。あとオレがクソならお前はバカだな!」
一方通行「バカとクソでイイじゃねェか。で? コレは採用ってコトか」
御坂「そうねー、シズリはバラードっぽい感じって言ってたけど、こういうのけっこう好きかも」
垣根「とりあえずさ、その歌詞ちゃんと発表しろよ。このクソはまだ見てねえし……、な?」チラッ
>17600「! 師匠、どうやら垣根さんは監視カメラに気づいている様子です、とミサカはあからさまにこちらへ視線を寄越した第二位に畏怖します」
海原「チャラく見えても暗部組織の元リーダー……侮れませんね」
土御門「まあ、この流れはどうやら音読になりそうだし、まだ出て行く必要はないぜい」
海原「御坂さんの言い様だと、かなり偏った歌詞みたいですけど。一方通行さんが書いたのなら納得ですね」
>17600「お姉様を陰から守ると嘯いてダークナイト気取ったり義妹みたいな褐色美少女におにいちゃん呼びさせてる師匠はきわどい歌詞を書きそうですね、とミサカは」
海原「おいコラ弟子明らかに今自分をバカにしてませんか」
746 = 734 :
一方通行(今、きっとこの部屋はツチピーどもに監視されてンだろォな……そンな感じの視線のやり方だった)
麦野「えーっと、でもこれ音読だけじゃ分かりづらいとこあるんだよね。ちょうどここになぜかあるホワイトボードに書こうかしら」
削板「なんで病院の普通の病室にホワイトボードがあるんだ?」
土御門「それは備えあれば憂いなしってやつだにゃー」
海原「でも、これで歌詞が見られますね。おっと……書き始めたようですよ」
>17600「心なしか少し大きめの字で書いているような、とミサカは第四位も監視カメラに気づいている可能性を指摘します」
麦野「ふっふっふーん♪」キュッキュ
垣根「……俺ちょっと考えてたんだけどな。CD出すってことは、PV必要なんじゃねえの、と」
一方通行「ピーブイ?」
御坂「プロモーションビデオ――要するに、宣伝映像ってとこよ。ほら、オリコンとかで流れる映像」
削板「オレはてっきりポケモンのイーブイを間違えて言ったのかと思った。あいつ根性あるよな」
垣根「なんで俺らのCDにイーブイが必要なんだよおかしいだろうが」
一方通行「あー、そのPVはどォすンだ? 作ンのか?」
麦野「ツチピーが何も言ってなかったからね。とはいえ、ジャケット撮影のときに作るんじゃないかとは思ってるんだけど」キュッキュキュ
御坂「あれって一日で撮り終えられるものなのかしら。ちょっと時間が足りないような気もしてくるわねー」
垣根「PVの内容にもよるんじゃねえのか。まあ、普通にバンドのPVを撮るなら俺が一番多く映るだろうし、さっさと終わらせてオーケー出してやるよ」
削板「えっ? こういうのは根性あるやつが一番多く映るだろ。カッキーはちょっと……出直してこいよ」ハハッ
垣根「それどういう意味ですかクソギーくんなんですかその笑い」
麦野「クソバカうっせえよ、どっちも映らないPVでいいじゃない」キュキュキュー
一方通行「しゃァねェな。肌の白さで顔吹っ飛ばねェよォに気をつけねェと」
御坂「なにそのプリクラ撮るときの女子高生みたいな言い分!」
海原「だそうですけど。どうなんです、プロデューサー」
土御門「正直考えてなかった……アレイスターもそこまで言ってなかったしな」
>17600「その気になればエキストラでざっと千人は集められますけど、とミサカはとりあえず学園都市付近の妹達の収集を打診しかけます」
747 = 734 :
麦野「ま、そこらへんはツチピーがなんとかしてくれるでしょ、ってね。はい終わり」キュッキュ
一方通行「……字ィでかくねェか」
麦野「気のせいよ、気のせい」
垣根(ほんとは一方通行が書いたんだぜーとか言いてえけど言ったら多分ボッコボコなんだろうな)
削板「なんていうか、落ち着いた感じの歌詞なんだな。騒げなさそうだ」
麦野「そりゃ、バラードっぽいの目指したからね」
>17600「……むう、とミサカは歌詞の露骨さにビビりつつ書き写す作業に入ります」カキカキ
海原「おや、書き写してどうするんですか」
>17600「もちろん一方通行語にうまく翻訳して上位個体に教えてあげるんですよ、とミサカは我ながらナイスアイディアだなあとにやにや……」
≪暑い夏のあの日 僕のすべてが変わった
何かを壊すだけの手は 何かを守ることが出来ると知った
闇の中でもがいていた僕に ためらいなく手を差し伸べた君
今でもまだ覚えてる 君は最初から僕を見つけてくれた
君はlight あんまり眩しすぎるから
きらきら笑う君の隣には まだいられないよ
だけどその笑顔 ちゃんと僕が守るから
君はただずっと 笑っていて
ひと回り小さい君の手が 痩せて骨ばってる僕の手を
ためらいなく ぎゅっと捕まえて握り締める
「こうすれば迷子にならないよ」
それはこっちの台詞と 一笑したっけ
君はright いつだって正しかった
迷子になった僕の隣 もう君はいないけど
君の右隣を いつか歩くときは
そのやさしい手を 繋いでほしい
君は正しい僕の光 闇に差し込む一筋の光
ずっと守るよ だから 笑っていて≫
>17600「……これどうやって一方通行語に直せばいいんだおい、とミサカはけっこう手直しが加えられていることに憤りを覚えます」
土御門「とりあえず僕を俺、君をオマエにするだけで違うんじゃないか」
海原「これ本人に知られたら即死ですね。顔から火が出るレベルの恥ずかしさを伴いますよ」
748 = 734 :
一方通行「……まァ、なンだ。その」
垣根「?」
一方通行「PV云々よりも先に、まずは一遍合わせてみねェとどォしよォもねェだろ」
御坂「たしかにね。セッションしないことにはPVも何も、CD化すらできないでしょ」
麦野「っていうか、私はキーボードの代わりにピアノがあったからいいけど……あんたら楽器あるの?」
削板「ない。まったくない」
垣根「だめじゃねえか。どうすんだよ」
土御門「んーっ、と。そろそろ行くか、合同練習の流れになっているようだし」
海原「何か策があるんですか? 楽器のない状態で何をするつもりです」
土御門「策なんてないさ。そもそも、あいつらだって自分の楽器を調達しているのかどうか怪しいからな」スタスタ
>17600「じゃあ買いに行くんですか!? とミサカは買い物の予感に胸をときめかせ後を追いますが」スタスタ
土御門「金はアレイスターからもらってる。かと言って、あいつら総出で買い物に行っている時間はない……ここはアレだ」スタスタ
海原「アレ?」スタスタ
土御門「カタログを準備している。こんなときのマネージャーだろう……ふたりとも」
>17600「えっ」
海原「はっ」
土御門「適当に楽器選ばせてそのご希望に沿ったものをお前らで調達してくるんだにゃー。まあドラムとか重いだろうけど頑張れ」ポン
海原「いやポンじゃなくて。肩たたいてポンじゃなくて。え? なんですかそれ? それなんてパシリ?」
土御門「マネージャーはイコールでパシリだぜい? がーんばーってー」ダッ
>17600「……まあミサカは女性スタッフとしてこの場に残る必要がありますし、とミサカは我先に駆け出します!」ダッ
海原「はい? いや、だから、待てやコラァァァァアアアアアア!!!!! そういう抜け駆けはよくないって教えませんでしたか!?」ダダッ
麦野「そして足音である」
一方通行「だなァ。そォいや、オマエら自分の楽器もねェの?」
垣根「俺はあるにはあるけど……でも満足できねえってか、ちょっと使ってたやつだからあんま馴染んでねえっていうか」
749 = 734 :
御坂「私とイッツーは一応あるわよね。前に楽器店で鉢合わせしたし」
削板「オレなんてコーチに『お前はまだ太鼓で十分だ。ていうかボディパーカッションで十分だ、自分の太ももを太鼓に見立てるんだにゃー』とか言われたぞ」
垣根「テメェがすっげー初心者扱いされてんのはわかった。で、まあおそらく――」
ギーバタンッ
土御門「話し合いは済んだみたいだな」
麦野「きた……」
一方通行「あァ、一応な。ンで、今は楽器がねェっつゥ話をしてンだがよ」
>17600「そんなことだろうと思ってこれ、とミサカは分厚いカタログを手渡します」
御坂「重っ! なにこのカタロ、……楽器?」
海原「ええ。皆さん楽器をお持ちの方もそうでない方もいらっしゃるようですが、ここはまとめて購入するという方針で固めました」
一方通行「買った意味ねェじゃねェかよ! そォいうンはもっと早く言え!」
垣根「ハハッ、ざまあ」
麦野「ん? これって、もしかして楽器に文字入れたりできるサービスがついてるの?」
土御門「よくぞ気がついてくれた。つまり、今ここで購入する楽器は、お前らのライブ時にも使う、大切な一品になるってことだ」
御坂「でも、普通楽器は複数持ってるわよね」
>17600「まあそこらへんは個人の自由でおkですんで、とミサカは説明をめんどくさがります」
削板「っつーことはあれか! オレのドラムに名前が! 入れられると! そういうアレか!」
土御門「ああ、だがお前は自分の名前を入れるんじゃない。――バンド名、『LEVEL5』と入れるんだ」
垣根「おー、ライブっぽいな。すげえアレっぽい。そういえばさ、バンド名のロゴとか考えてんの?」
海原「まだそこまで考えてませんが……なんなら自分がアステカチックに書いてみましょうか」
一方通行「なンでここでアステカチックに書かなきゃなンねェンだよボケ」
海原「ちっ」
一方通行「露骨に舌打ちすンな、っつか今の舌打ちじゃねェだろ口で言ってたろクソが」
海原「……一方通行さんのベースだけ思いっきりロリコン仕様にしておきますね。いえいえ感謝の言葉なんていりませんよ」
一方通行「なァツチピー、マネージャーチェンジで」
750 = 734 :
御坂「ライブでも使う、かあ……なんかほんとにバンドねえ」
垣根「あん? まだお前迷ってたわけ? いいんだぜ、とっととやめちまっても」
御坂「やめないわよ。私は学園都市第三位の超能力者、御坂美琴――最強の電撃使いである私が、やめるわけないでしょ!」
麦野「なんかそれいまいち理由になってないわよね。どうでもいいけど」
一方通行「それより、楽器もそォだが曲はどこで収録するンですかァ?」
>17600「この病院ですよ、とミサカは簡潔に答えます。この病院は一見ただの廃病院ですが、実は奥の棟が少し改築されているんです、とミサカは追加説明をします」
垣根「改築?」
どういうことだ、と超能力者達が一様に首を傾げる中で、削板軍覇だけは何か思い当たる節があったのか、目を瞬かせている。
土御門が不思議そうに彼を見つめると、削板は少しの間迷った末、口を開いた。
「イッツーには言ったんだが、オレは午前中ずっとヨシピーと一緒にいたんだ」
ヨシピーって誰だよ。そんな野次が垣根から飛んだ。削板は続ける。
「ヨシピーは向こうのプロデューサーで、まあ、なんだっけ……この病院を先に使うのは向こうだったらしい」
「……、向こう」
土御門が考え込むような仕草で腕を組む。一方通行はようやく『似たようなこと』が一体どんなことであるのかを察した。
つまり、どういうメンバーかはわからないが、芳川桔梗は土御門元春と同じことをしているのだ。
土御門が一方通行ら超能力者にアンドを組ませているように、彼女もどこかの誰かをデビューさせようとしている。
「それで、なんでもヨシピーはこの病院をスタジオとして使えるようにしていたらしいんだが……まあオレ達が使っちまったし、他の場所で練習してるよ」
午前中、削板軍覇と行動を共にしていた人間を、土御門は二人知っている。
『グループ』の結標淡希、友人である上条当麻。結標のほうはともかく、上条が関わっているとなると、どうにも厄介だ。
補完なんとか――と削板が言っていたことを思い出し、一方通行は推理をすすめる。
(俺達のバンドはたしか最終計画っつゥ野暮ってェ名前がついていたはずだ――その補完として芳川が動いているとなれば、向こうの陣営にも相応の能力者は存在する。
相応ってのは……この場合、超能力者に最も近い、大能力者!)
音楽を奏でることにおいて能力者のレベルはたいした問題にならないが、ここでレベルを考慮してしまうのは、彼が他ならぬ学園都市最強だからである。
芳川は一筋縄ではいかない人間だ。まして、彼女がプロデュースするともなれば、その学生でさえ一癖も二癖もある連中だと思って間違いはない。
「どォもキナ臭ェな。楽勝だと思っちゃいたが、存外易々とオリコン第一位は獲らせてもらえねェらしい」
一方通行の発した呟きに、バンド『LEVEL5』のメンバーはこくりと頷きあった。
え、オリコン第一位狙ってんの? とプロデューサーである土御門が心中で驚いたことは内緒である。
第四回(合宿)、第二日目昼の部・終了
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