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    元スレ上条「麻利ってもう温泉に入っても大丈夫か?」麦野「温泉?」

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    251 = 214 :

    @新道寺女子麻雀部

    すばら「全国選抜学年対抗戦……? それに……私が……ですか?」

    すばら「ええ……ええ。はい。喜んで! 私なんかでいいのなら!! ええ、こんなすばらなことはありません!!」

    すばら「はい……力不足だとは思いますが。精一杯、頑張ります!! よろしくお願いします! はい、では!!」

    すばら「こんな……こんな大役……! 任されましたっ!!」

    (花田は誰と何を話しとん……?)

    姫子(さあ……)

    江崎(なんもかんも新政府が悪い……)

    美子「あのーなんか清澄の竹井さんから電話きとっとよー」

    252 = 214 :

    @劔谷高校麻雀部

    友香「あっれー? 先輩一人ですかー?」

    美幸「そーなのよーもー」

    友香「お茶淹れます?」

    美幸「もらうもー」

    友香「先輩は、全国選抜学年対抗戦の話、聞きました?」

    美幸「聞いた聞いた。けどなーうちらベスト16だからもー二年と三年は声掛からないっしょもー」

    友香「おっ、なんですか、一年は声掛かるかもしれないって?」

    美幸「知らんのもー? 案外一年生レギュラーって貴重なのよもー? インターハイで活躍した高校の一年を上から取っていけばぎりぎり友香か莉子くらいまでは……って思うのよもー」

    友香「ま、でも私ら、主催してる清澄とは直接戦ってませんからね。あ、どうぞ、ダージリンですー」

    美幸「どーもー」

    253 = 214 :

    @鶴賀学園麻雀部(混成チーム事務所)

     各々が選りすぐりの猛者を集めている中――

     順調に行き詰まりを迎えている、混成チームの面々。

    かじゅ「いや、正直、これは無理だ」

    まこ「そらそうじゃろ」

    かじゅ「めぼしいところは全部押さえられてる」

    まこ「本当に余り者軍団になりそうじゃな」

    かじゅ「せめて……勝つのは無理だとしても……噛ませ犬になるとしても……インパクトを残して散りたい」

    まこ「今のままじゃただ地味なだけのチームじゃからのう」

    かじゅ「誰か……誰か……強くなくてもいい。みんなの記憶に残るような選手が……!!」

     そのとき、全国各地を飛び回っていた池田、帰還。

    池田「よう……待たせたな……!!」

    254 = 214 :

    まこ「おう、風越の。あんまり期待しとらんが、どうじゃった?」

    池田「ふっふっふー」

    かじゅ「なんだ? 頭のネジが飛んだか?」

    池田「飛んでないし! ってそんなことより! 見つけたんだよ! 最強の助っ人を!!」

    まこ「なんと!?」

    かじゅ「それは本当か!?」

    池田「ああ……全国に行くような有名チームは全滅だった。だけど……各地を回っている途中であたしは気付いたんだ。
     うち――風越と同じように、全国には惜しくも予選大会で涙を飲んだ強豪校が無数にあるはずだって……そして、見つけた!」

    まこ「なるほどのう、全国に出て来てない有力チーム……それは盲点じゃった!!」

    かじゅ「言われてみれば……今年の荒川憩や天江衣がそうだ。全国の団体戦には姿を見せていない。だが強い。そういう面子が集まれば……或いは最強のチームを作れるかもしれない!」

    池田「そういうことだし!」

    まこ「それで、その最強の助っ人とやらは!?」

    池田「既に電話で連絡を取ってある。じきにここに来る!」

    かじゅ「見たことのない強者……楽しみだ!」

     やがて……鶴賀学園麻雀部の扉を開く者が現れる。

    池田「この気配……! 来たな……!!」

    255 = 214 :

     扉の向こうから姿を現す――縦ロールッ!!

    ??「ふふ……全国選抜とやら……この私に声を掛けないとは、どうやら三年代表の竹井久というのはとんだニワカのようだな!!」

     その者、幼き頃から麻雀に親しみ、鍛錬を重ねし指には――マメすらできないッ!!

    まこ(これは……逸材じゃ……!! 誰じゃかわからんが……すごく……すごく……オーラを感じる!!!)

    かじゅ(こんな……これほどのオーラを全開に出来る者など……確かに全国の舞台ではお目にかかれない!!)

    小走「安心しろ、お前たち!! この小走やえが来たからには、お前たちに負けはないっ! 大船に乗ったつもりでいろ!!」

    まこ・かじゅ(す――凄まじい『噛ませ』のオーラッ!!!)

    池田「小走さんは三年生で、奈良県の伝統校・晩成で先鋒を務めていた方だ。
     今年、清澄とともに大躍進をして伝説になった阿知賀女子を最も苦しめた――最初にして最大の敵。それが、晩成高校だし。ちょうど、清澄が風越に苦戦したように!」

    まこ(風越に苦戦した覚えはないんじゃが……)

    かじゅ(どうしよう……さすがにメンバーに入れる前に、とりあえず一局今いる面子で打ってみようか……)

    小走「ん、なんだ? 私じゃ不満か? ま、ニワカに私の王者の資質を見抜けといっても無理があるか。そう思って、お前たちが喜びそうな、わかりやすい土産を持ってきた」

    257 = 1 :

    浜面「あー・・・」

    上条「たとえばだ、少し違うかもしれないけどアフリカとか中東とかで国の中や国同士でドンパチやってるところがあるだろ?」

    上条「そういうところで人殺してきた人間が目の前でニコニコしてるの見たらお前はどう思うんだ?」

    浜面「・・・・・」

    上条「それに、俺は沈利さんにもうそういうことは絶対にさせないって決めたからな、今後沈利さんが命のやり取りをすることなんてさせねえよ」

    浜面「すまん大将、俺が悪かったぜ」

    一方通行「これだから馬鹿は困ンだよ」

    258 = 214 :

    「ああ……本当に、大丈夫。えっと、清澄の染谷さんは……先日はどうも。それと、鶴賀の加治木さんと、風越の池田さんでよかったか。
     その、学年対抗戦の話は私も聞いてる。話を聞いたときから四チーム目はどうするのかと気になっていたが、なんだか、やはりというか、大変そうだな」

    かじゅ「ありがとうございます。全国区の有力選手はほとんど他チームが押さえていて……弘世さんのような力のある人に協力してもらえて……本当に嬉しいです」

    「あ、いや……そのことなんだが……」

    かじゅ「なんでしょう?」

    「私は、今回の対抗戦は遠慮しておくよ」

    かじゅ「え……?」

    小走「弘世さん、そんな……!」

    「代わりと言ってはなんだが、まあ、身近に出たそうなやつがいたので、連れてきた」

    かじゅ「え……? あの……一応心の準備をしておきたいので先に聞いておきます。それは……誰ですか?」

    「それはだな……」

     そのとき! 麻雀部の部室に、夏だというのにコートを着てマフラーを巻いて手袋をつけた不審人物が入ってきたッ!!

    ??「寒い……」ガタガタガタ

    小走「ああっ! お前! あいつの姉!!」

    「寒いよ……寂しいよ……私も……仲間にいれて……」

     そう言い残して、宥はばったりと倒れた。

    259 = 214 :

    まこ「こいつは阿知賀の松実宥……? そういえば、白糸台と同じで、阿知賀も三年は除け者じゃったのう」

    かじゅ「なるほど……さすが弘世さん、渋い人選です。私も機会があって対局したことがありますが、松実宥さんなら申し分ありません」

    「ん、ああ、まあ確かに彼女は私も強いと思うが……しかし、助けなくて大丈夫か?」

    小走「おい池田、なんか毛布とかもってこい!」

    池田「え!? は、はいっ!」

     小走にパシられて従順に走り去っていく池田。ややあって、足音が戻ってくる。

    まこ「ん……風越の、えらく早いな」

     ぐったりとしている宥を看ていたまこ、顔を上げる。

    ??「どーも。ここが学年対抗戦の混成チームの事務所でええんか?」

    ??「あの……先輩? そろそろ事情を説明してくれませんか? これはなんの罰ゲームなんですか?」

     足音の主は池田ではなかった。関西弁を話す彼女たちは――!!

    まこ「あんたら……姫松の?」

    末原「正解や、清澄の染谷まこ。うちは姫松の大将をしとった末原恭子。こっちは先鋒の上重漫。
     で、混成チームの代表者にお願いがあって来たんやけど……えーっと……この倒れとるんは……? もしかして阿知賀の松実宥……? と……白糸台の弘世菫!? …………と誰?」

    小走「ふん、私を知らんとは底が知れる。ニワカにもほどがあるな!」

    末原「はあ?」

    260 = 214 :

    かじゅ「ああ、なんでもない! なんだかごちゃごちゃしていてすまないな。皆さんはるばる長野まで来てくれて疲れているんだ。
     それで……どこから話せばいいのか……。一応、私が混成チームの参謀をしている、鶴賀学園の加治木ゆみだ」

    末原「おう、よろしくな。えっと、鶴賀の加治木……ああ! 知っとるわ! 長野の県大会で宮永咲と戦っとった三年やん!
     いやービデオで見させてもろたわー! 親近感やわぁ……大将戦はごっつーメゲるやろー? そっちも天江衣と宮永咲で魔物二人やもんなー!
     あ、そういやさっき、大将戦に出てたもう一人――ニャーとか言う変な子とすれ違ったわ。あっちは全然気付けへんかったけどな」

    かじゅ「それで、末原さん、お願いというのは?」

    末原「せやせや。あんたら混成チームにな、この子を差し上げに来たんや」

    「ええっ!? 末原先輩!? なに言うてはるんですか!?」

    末原「混成さんはきっと人手不足やろー思てな。はるばる大阪から持ってきてん。お願いやから受け取ってーな」

    かじゅ「それはもう! 喜んで! やったぞ清澄の、まさか姫松から二人もうちに来てくれるなんて!」

    まこ「ほうじゃな! これはひょっとするとひょっとするかもしれんのう!」

    末原「え……? あ、いや、うちは……」

    「先輩……一緒とちゃうんですかー? ようわからんですけど、どうせ麻雀やるんやったら……うち末原先輩と一緒やないと嫌ですわー……」

    末原「うーん……」

    261 = 214 :

    かじゅ「末原さん……私からも頼む。実は……私もあなたに親近感を持っていたんだ。準々決勝では清澄を応援しつつ、こっそり姫松も応援していた」

    末原「ホンマかいなー」

    かじゅ「魔物退治は確かに疲れる。心が折れそうになる。でもそれ以上に……」

    末原「……オモロイねんな」

    かじゅ「……じゃあ!」

    末原「ええやろ。加治木さん、あんたとは気ぃ合いそうや。学年対抗なんてもんに興味はあらへんかったけど、魔物退治なら付き合うたる。
     なんや、結局ミイラ取りがミイラっちゅーか、こんなことなら生贄をあと二人も用意せんでよかったかもしらんなー」

    「生贄……とは?」

    かじゅ「二人も?」

    末原「せや。魔物退治にうってつけの面子、ちょーっと来るついでに拾ってきてん。うちの漫ちゃんと、もう二人。今は旅の疲れで保健室で寝とるけどな」

    かじゅ「一体誰なんだ……その二人というのは」

    末原「うちが連れてこれんのなんて大阪人だけや。ただ、姫松やない。北の大阪代表や」

    まこ「千里山女子……!!?」

    末原「そゆことや。ま、期待してくれて大丈夫やで。うちよりもずーっと強い人らやから」

    262 = 214 :

     と、部室の外からバタバタと足音が聞こえてくる。全員が入り口のほうに振り返る。部室に走りこんできたのは、池田。その手には、毛布。

    池田「も、毛布もらいに保健室に行ったら……なんか関西弁の女が二人でいちゃついてたし……!!」

     息を切らす池田。その後ろから近付いてくる、痴話喧嘩の声。

    ??「アホ、本気で心配したやんか! 貧血の真似ってなんやねん!」

    ??「せやからごめんてー。それに疲れてたのはホンマやもん。ほんで、膝枕してもらおー思て」

    ??「思て、やあらへん。もう二度と膝は貸さん!」

    ??「えええ!? それだけは堪忍してや!」

     池田の背後から現れた、夫婦漫才コンビ――!!

    末原「どや、加治木さん? 大物やろ?」

    かじゅ「ああ……これは驚いた!!」

    「あっ、どーもよろしくです。千里山の園城寺怜いいます」

    竜華「同じく、清水谷竜華や。うちの怜がやっぱ対抗戦出たい言うから連れてきました。
     って……うわっ!? 白糸台のシャープシューター!? えらいビッグネームがおるやん!! 誰や、混成なんて余り者集団やから大活躍できるゆーたの!」

    末原「うちうち」

    「あ……いや、私は混成チームには参加しない」

    竜華「なんや、そうなん?」

    263 = 214 :

    かじゅ「弘世さんは、松実宥さんを紹介するために、ここまでいらっしゃってくれたんだ」

    「松実宥ってあの阿知賀の松実宥……? どこにおるん――って、これか!? この毛布の塊か!!」

    「あ、あの……」

    竜華「そっかー。白糸台と組むんもそれはそれでオモロい思たけどなー。なんや、王者はこういうお祭りは嫌いなん?」

    「いや、そのだな……」

    かじゅ「どうしました、弘世さん?」

    「とりあえず、重要な勘違いを一つだけ訂正させてほしい」

    かじゅ「はい」

    「小走さんに拉致された私が連れてきた私の代わりというのは、松実宥さんではない」

    かじゅ「と……言いますと?」

    266 = 214 :

    「私のチームメイトがどうしても対抗戦に参加したいと駄々をこねてな。一緒に連れてきたんだ。
     で、ちょっと寄り道すると言って途中で分かれて……そろそろ来るはずなんだが……もしかすると道に迷っているのかもしれん」

    まこ「弘世さんのチームメイトで……道に迷うって…………まさか!!」

    「ん? なんだ、清澄のも迷子体質なのか?」

    かじゅ「………………弘世さん、その、改めて聞きますけど、あなたの代わりに来る人というのは、一体誰なんですか……?」

    「ああ、たぶん、みんな知ってるやつだと思うが――」

     菫は、その場にいる全員を見回してから、言った。

    「宮永照だ」

     一方その頃、長野某所――。

    (うう……ちらっとでいいから咲に会いたかっただけなのに……ここ……どこ?)

     インターハイチャンピオン――宮永照は涙目でさ迷っていた。

    267 = 214 :

    @全国各所

    「私が……全国選抜に?」
    「面白いっすね。乗ったっす」
    「一年選抜に!? 私を? うっそマジでー? なんでー?」
    「一年選抜!!? ホンマですか!? これ夢? 夢じゃないですよね!?」

    「ええええっ! 二年選抜!? わ、わた、私なんかでいいんですか!?」
    「……選抜……選ばれてしまった……」
    「えええ、うちがですか? それは……もう、やります! やらせてください!」
    「はあ……それホンマでっか? まあ、ええ機会やとは思てましたから。ほな、よろしくです」
    「わっ、本当に誘われちゃった!? どど、どうしよう……!」
    「ま、やるだけのことをやろうよ」

    「部長、私って二年ですけどよかですかね……?」
    「よかよか。それくらいの無理はねじ込むけん」

     こうして、全国選りすぐりの猛者四十人が東京に集う――!!

    268 = 214 :

     インターハイ会場。実況室。

    すばら「さあ!! 始まりましたっ! 全国選抜学年対抗戦!! 一週間の準備期間を経て、ついにここ、東京・インターハイ会場にて開催と相成ります!!
     あっと、申し遅れました! 私はこのたび『声』を買われて実況を務めます、新道寺高校二年、花田煌です! 以後、よろしくお願いします!! すばらっ!」

    すばら「さて、今回の競技ルールですが、基本的にはインターハイと変わりありません。ただし、参加者は倍の十人。
     先鋒戦から大将戦までの各対局を、二名で半分ずつ行う形式となります。要するに、各戦の前後半で選手が変わるということです!」

    すばら「では、早速選抜選手の発表といきましょう……とその前にっ! 今日は解説として各学年から一名ずつ計三名の方をお呼びしております!
     まずは三年生からこの方、白糸台のシャープシューター! 弘世菫さんっ!」

    「弘世菫です。本日はよろしくお願いします」

    すばら「弘世さんは、注目している選手はいますか?」

    「とりあえず、うちの一年坊がはしゃぎ過ぎないか心配です」

    すばら「なるほどっ! 後輩を見守るために解説を引き受けてくださったのですね。すばらな先輩心です!」

    (同学年にも心配なやつはいるが……)

    269 = 214 :

    すばら「続いては二年生。龍門渕高校から、卓の流れを操る男! 井上純さん!」

    「井上純だ。まず言っておく、オレは女だ」

    すばら「井上さんは、注目している選手はいますか?」

    「ま、オレもそっちの弘世さんと同じで、チームメイトの動向が気になるな。あと、何人か全国区じゃない長野の面子が混じってるようだが……そいつらが全国レベルを相手にどう戦うのかも、オレ的には見所だ」

    すばら「主催が清澄さんだからというのもあるのでしょう、確かに今回は全国選抜と言いつつ長野県勢が多数を占めてますね。なぜか臨海や有珠山からは一人もエントリーされていませんが、それについてはどう思いますか?」

    「臨海の面子はのきなみ帰国中、有珠山も有珠山で外国みてえなもんだから仕方ねえだろ」

    すばら「北海道のみなさんすいませんっ!! さて、解説最後の三人目を紹介するといたしましょう。初々しい一年生です。晩成高校より、岡橋初瀬さん!」

    初瀬「初瀬です。なんで呼ばれたのかわかりません。でも頑張ります」

    270 = 214 :

    すばら「晩成高校というと、昨年までずっと奈良県の代表だった強豪校ですね!」

    初瀬「はい。今年は阿知賀に負けてしまいましたが、伝説はそう何度も起きません。来年は晩成が奈良県王者に返り咲きます」

    すばら「さて、そんな晩成高校からは一名だけエントリーされていますが、そのことについて何かコメントはありますか?」

    初瀬「たぶん……私が憧から聞いた話をうっかり言っちゃったからだと思います。
     出るって聞いたときはびっくりしましたけど……でも、先輩なら全国区の人たち相手でも勝てるって信じてます!
     あ、もちろん、憧や穏乃さんの活躍も、同じ一年生として期待しています!」

    すばら「同じ高校の先輩と、同じ学年の友人……もし両者が直接戦うことになったら、どちらを応援しますか?」

    初瀬「もちろん、先輩を応援します!」

    すばら「言い切りました! すばらな迷いのなさだと思います! 以上、解説の弘世さん、井上さん、初瀬さんでした!!」

    「じゃあ花田さん、そろそろ選手の発表をお願いします」

    「みんな待ってるぜ」

    すばら「わかりました! それでは行きましょう、まずは一年選抜チームからっ!! 以下の十名となっております!」

    271 = 214 :

    @一年選抜チーム

     宮永咲、原村和、片岡優希(清澄)

     南浦数絵(平滝)

     東横桃子(鶴賀学園)

     高鴨穏乃、新子憧(阿知賀女子)

     大星淡(白糸台)

     二条泉(千里山女子)

     森垣友香(劔谷)

    272 = 214 :

    すばら「パッと見た感じでは、順当にインターハイで活躍した一年生を集めてきたという印象を受けます。弘世さん、いかがでしょう?」

    「私も同じ感想です。ただ、何名か長野の選手が混じっているようですね」

    すばら「南浦選手と東横選手ですね。井上さん、何かご存知ですか?」

    井上「東横ってのは、県大会でうちの龍門渕透華と清澄の原村和を相手に区間一位を取った鶴賀の隠し玉だ。
     南浦ってのは個人戦だけに出てきたやつだな。確か、福路、原村、宮永咲、竹井に次いで五位だったはずだぜ」

    初瀬「南浦というと、プロの南浦選手を思い浮かべますね」

    井上「ああ、なんか孫らしいって噂だな」

    「ほう……」

    すばら「いずれにしても強力な選手であることに間違いはないようです。これは期待が高まりますね。では、二年選抜チームの発表といきましょう! こちらの十名です!!」

    273 = 214 :

    @二年選抜チーム

     天江衣、龍門渕透華(龍門渕)

     尾香織(鶴賀学園)

     松実玄、鷺森灼(阿知賀女子)

     渋谷尭深(白糸台)

     神代小蒔(永水女子)

     荒川憩(三箇牧)

     愛宕絹恵(姫松)

     船久保浩子(千里山女子)

    274 = 214 :

    すばら「見事にビックネームが揃いましたね!」

    初瀬「天江衣選手、神代小蒔選手、荒川憩選手ですよね。去年、私は中学生でしたが、あんなに興奮したインターハイは初めてでした」

    「火力の高い選手と手堅い選手の二種類に大別できる気がしますね」

    井上「オレは安定したやつと不安定なやつの二種類に見えるけどな」

    すばら「ふむ、不安定……といいますと?」

    井上「永水の神代小蒔は確かに強いが、打ち筋にブレがある。阿知賀の松実玄も諸刃の剣みたいなもんだし、うちの龍門渕透華もデジタル派のくせにムラっ気たっぷりだ。
     極めつけは、鶴賀の妹尾香織」

    初瀬「東横選手と同じ高校の、長野の選手ですよね。どういった方なんですか?」

    井上「簡単に言えば、ド素人だ。県大会には人数合わせで参加していた」

    「ド素人って……よくそんな選手をこの選抜対抗戦に起用しましたね、龍門渕さんは」

    井上「ま、理由は見てりゃわかるし、或いは、わからずに終わるかもしれねえ」

    すばら「非常に意味深な発言が飛び出しましたっ! 気になるところですが、先に進みましょう! お次は三年選抜チームの発表!! こちらの十名です!!」

    275 = 214 :

    @三年選抜チーム

     竹井久(清澄)

     福路美穂子(風越女子)

     愛宕洋榎(姫松)

     江口セーラ(千里山女子)

     石戸霞、薄墨初美(永水女子)

     白水哩、鶴田姫子(新道寺女子)

     小瀬川白望、姉帯豊音(宮守女子)

    277 = 214 :

    すばら「いやはや……ハンデを背負ってなお、この層の厚さ! さすがの最高学年(まあ姫子さんは二年生なんですけど部長と一心同体だから三年生みたいなもんですよね!!)ですっ!! すばらっ!!」

    初瀬「ハンデってなんですか?」

    すばら「インターハイの団体戦決勝に出た三年生は選抜チームに入れない、というハンデです。ただし、代表の竹井選手は例外となりますが」

    初瀬「あっ、だから弘世さんがこちら側にいらっしゃるんですね!」

    弘世「ま、ハンデなんてあってもなくても私は傍観しているつもりでしたが……」

    井上「しかし、改めて眺めると本当に隙のねえ面子だな。なんつーか、例えば強さランキングってのがSからEまであったとして、ランクAの選手だけを集めましたって感じだ」

    すばら「このチームを崩せる隙があるとしたら、どこでしょう?」

    初瀬「ランクAの人たちが揃っているっていうなら、それを超える、ランクSの人たちが鍵、ですかね?」

    「いや、それはどうでしょうか……」

    すばら「弘世さん、何か?」

    278 = 214 :

    「私見ですが、このチーム編成は下級生への挑戦状なんだと思います。全国から選りすぐったランクAの集団――言い換えれば、各チームを牽引する主将・エースの集まり。
     このチームは、下級生にとって一つの壁なんだと思います。ラインと言ってもいい。それを超えられなければ、全国に出るようなチームを引っ張っていくことはできない。
     だから、なんとかして打ち倒してみろ――そんな後輩へのメッセージが読み取れます」

    井上「なるほどな。言われてみると、見事に各校の顔みたいなやつらが集まってやがる」

    「ま、そんな感じです。というわけで、私はむしろランクAに届かない――ランクB以下の選手たちが、いかに『先輩』という牙城を崩せるのか。
     そこに、このチームを倒す鍵があると思います」

    すばら「弘世さん、すばらな解説、ありがとうございました! やはり、三年生のことは三年生が一番よくわかっているんですね!」

    「ああ、じゃあ、わかるついでにもう一つ」

    すばら「なんでしょう?」

    「このチーム編成からは、何よりも三年生たちの『絶対に後輩には負けたくない』という意地が感じられます。要するに、三年生が一番ガキっぽいということです。
     チェスの駒が全部クイーンだったらいいのに、って考える子供みたいなもんですよ。いや、実際よくこんな飛車角だらけのチームを作ったと感心しています」

    すばら「なるほど! では、綺麗に落ちたところで、最後のチームを発表いたしましょう。今回の全国選抜学年対抗戦の影で蠢いていたアウトロー集団!
     混成チームの十名です!!」

    279 = 214 :

    @混成チーム

     染谷まこ(清澄)

     池田華菜(風越女子)

     加治木ゆみ(鶴賀学園)

     宮永照(白糸台)

     松実(阿知賀女子)

     園城寺怜、清水谷竜華(千里山女子)

     末原恭子、上重漫(姫松)

     小走やえ(晩成)

    280 = 214 :

    井上「とりあえず、晩成の小走やえってのは何者なんだ?」

    初瀬「小走先輩は、我が晩成の先鋒を務めていました。打ち筋はスタンダードと言いますか、王道を貫くタイプです。
     また、とても経験豊富な方で、場面によって打ち筋を変化させる、といった柔軟性にも優れています」

    「私は、風越女子の池田華菜選手、それに鶴賀学園の加治木ゆみ選手について聞きたいですね」

    井上「池田も加治木も、県大会の大将戦で清澄の宮永咲とうちの天江衣を相手取った選手だ。負けこそしたが、あの魔物どもと戦って心が折れなかった――そのメンタルの強さは全国レベルだと思うぜ。
     池田は猪突猛進な高火力タイプで、バカだ。加治木は変幻自在なオールマイティ雀士で、切れ者だな」

    すばら「どなたも実力は十分ということですね!」

    「実力で言うなら、阿知賀の松実宥選手は非常に安定しています。清澄の染谷まこ選手も隙のない良い打ち手です。私は先のインターハイで二人と卓を囲んみました。とても手強かったです」

    初瀬「そう言えば、これで清澄高校、阿知賀女子学院、千里山女子高校は、レギュラーの五人が全員どこかのチームに選抜されたことになりますね。次に多いのは、姫松の四人ですか」

    「清澄・姫松、阿知賀・千里山は、準々決勝、準決勝と、都合二度戦っていますからね。なにかと因縁めいたものがあるんでしょう。うちと新道寺みたいなものです」

    すばら「その節はどうもでした」

    「ああ、花田さんのお気持ちはわかりますよ。公式戦であいつと二連戦というのは、かなりのプレッシャーだったでしょう」

    すばら「いえ、光栄なことです。あの方と二度も戦えたという事実は、私の麻雀人生の中でずっと輝き続けると思います。
     ……ということで、いい加減、このチームで一際目立つあの方について触れましょうか!!」

    「宮永照か」

    井上「宮永照だな」

    初瀬「宮永照選手ですね」

    281 = 214 :

    すばら「皆さんに率直に聞きます。全国王者・宮永照を擁する混成チームが、他の学年選抜を『喰う』可能性は、どれくらいあると思いますか?」

    初瀬「私には異次元過ぎてなんとも……」

    井上「オレは、まず混成チームそのものがけっこう強いと思うぜ。少なくとも、当初想定していただろう噛ませ犬的なチームとは程遠い。
     そこにあの宮永照が加わってるんだ。他学年の選抜チームは、せいぜい足元をすくわれないように気をつけたほうがいいだろうな」

    すばら「弘世さんは、いかがですか?」

    「私は、もちろん照の存在は大きいと思いますが、絶対ではないとも思っています。
     現に私たち白糸台高校は清澄高校に破れたわけですから。照がいれば勝てるなんて、そんなことは信じてはいないですよ。
     ただ、一つ言わせてもらえば……」

    すばら「なんでしょう?」

    「照と同卓することになる人間は、死線をさ迷うことになります。お気をつけて」

    すばら「おっしゃる通りですっ!!! 冗談抜きで死に掛けますからっ!!!」

    「以上」

    すばら「はい! ありがとうございました! それでは、オーダー発表までもうしばらくお待ちください! 全国選抜学年対抗戦、先鋒戦は、これから一時間後となります!!」

    282 = 214 :

     全国選抜学年対抗戦・開会式

     インターハイの組み合わせ抽選会が行われたステージ。

     壇上には、実況の花田。そして各チームの代表者の計五名。

     フロアには、残りの対抗戦メンバー、解説の面々、その他、対抗戦には参加しないがチームメイトを応援しに来た強豪校のレギュラー……総勢六十人ほどの雀士たちが、思い思いに集まってそれを眺めている。

    すばら「皆様お待たせいたしましたぁ!! 各チームオーダーが出揃った模様です! 間もなく先鋒戦開始となります!!
     がっ!! その前に各チームの代表からご挨拶ですっ! まずは……どなたから行きましょう!?」

    かじゅ「じゃあ……トリになる前にさっさと終わらせておくとしよう」

    すばら「お願いしますっ!!」

    かじゅ「えー……私たち混成は、最初はただの寄せ集めだった。が、なんの因果か全国の有力選手が次々に加わり、ついには宮永照を獲得するにいたった。正直、持て余している」

    かじゅ「先のインターハイで、私は長野の鶴賀学園の大将として出場した。
     新設校ということもあり、私ともう一人の三年を中心に、集まってくれた面子だけで県予選を戦い、ついに私たちは決勝まで駒を進めた。
     出来すぎもいいところの結果だ。私は、実際、決勝に出れただけで満足した。が……しかしだ!」

    かじゅ「あのときも……そして今も、こうして戦いの舞台に立つと、欲が出る。勝ちたいと、強者を打ち負かしたいと、本気で思う!」

    かじゅ「私たちは、学年対抗とやらに興味はない! ただ己が勝つためにここに来た! 鶴賀は県予選の決勝で破れたが……今日――この混成チームでは勝たせてもらう!
     以上、混成チーム代表、加治木ゆみだ!!」

    283 = 214 :

    「ひゅー! よう言ったでー加治木代表ー! うち病弱やけど任しときー!!」

    竜華「やから、あんたはさり気なく病弱アピールすな!!」

    末原「やめやアホ。加治木さんがせっかくええこと言うたのに、あんたらのせいで関西勢以外全員引いとるやん。チャンピオンなんかぴくりとも笑てへんで」

    「先輩、それ元々ちゃいます?」

    「………………」

    ・小走「…………ぶふっ!!」

    まこ・池田(うわっ! 奈良の人たち今チャンピオンを笑った!!?)

    (ふふ……さすがね、ゆみ。もうチームメイトから信頼を得てる。やっぱりゆみは敵に回してこそだわ)

    美穂子(あ、上埜さん……楽しそう。加治木さんカッコいいからなぁ……)

    モモ(先輩……学年対抗には興味ないって……私は……強くなった私を先輩に見てほしくてここに来たのに。
     先輩は混成チームで麻雀するほうが楽しんスか……? 宮永照みたいな……鶴賀より強い仲間に囲まれてるほうが欲張れるんスか……?
     そんなの……私は認めたくないっす……!)

    かおりん(加治木先輩が敵かぁ……。部内では何度も対局してきたけど、今日は練習とは違うんだ。わたし……頑張らなきゃ!)

    すばら「加治木ゆみさんの痺れる挨拶でした! さて、二番手はどなたでいきましょう!?」

    「私でいいかしら?」

    すばら「どうぞっ!」

    285 = 214 :

    「どうも皆さん。三年選抜代表の竹井久です。三年も前の話だけど、上埜久のほうが通りがいい方もこの中にはいるのかしら?
     いえ、やっぱり竹井よね。なんたって、全国優勝したチームの主将で、唯一の三年生なわけだから……」

    まこ(おお、煽っとる煽っとる)

    (部長遊んでるなー……)

    「ま、とは言うものの、この中には私より強いって自信満々の一、二年生もいっぱいいるでしょうね。けど……強い弱いだけで麻雀をしていられるのなんて今のうちだけなのよ?
     一、二年生のみなさんはまだわからないと思うけど、三年生になるっていうのはね、あなたたちが思ってる以上に大変なことなの。
     自分自身の引退も近い。後輩は言うことを聞かない。先生や他校の人とも付き合わなくちゃいけない。みんなの期待にも応えなきゃいけない……」

    「かく言う私もインターハイの準々決勝ではプレッシャーに負けたわ。自分らしさを見失った。ま、一人で立て直したけどね」

    「チームを代表するということがどういうことか。チームを率いるということがどういうことか。チームを背負うということがどういうことか。
     それを、これから先輩になっていく――今はまだ後輩であるあなたたちに教えてあげるわ。そのために今日は全国から最高のメンバーを集めたつもりよ。
     もちろん負けてあげる気はさらさらない。全力で叩き潰してあげるから、あなたたち死ぬ気でかかってきなさいっ!!」

    優希「上等だじぇえええ部長! 絶対負けないじょー!!」

    穏乃「うおおおお! なんか燃えてきたあああ!!」

    「あ、なんかあの二人似てる。中身が」

    「! やっぱり憧もそう思いますか!?」

    「以上! 三年選抜代表、清澄、竹井久でした!!」

    286 = 214 :

    豊音「わー竹井さーん! ちょーカッコいー! サインちょーだいー!」

    シロ(うわーダルい……って思ってるの私だけ……?)

    美穂子(上埜さん……素敵です……!)

    洋榎(久のやつ言うことだけは一丁前やの。ま、うちレベルともなれば言わずとも背中で語れるんやけどな)

    セーラ(清澄の三年はたった一人……ここまで来るのは大変やったんやろなぁ。もし……うちに怜や竜華、それに他のみんながおらんかったら……あかん。全国どころか府大会で負けてまう気ぃするわ)

    (あらあら……なんだか青春っぽくていいわね。うちだと普通の先輩後輩関係は作れないから、ちょっと羨ましいわ)

    初美(清澄の部長は何を言っても裏がある気がしてならないですよー)

    (清澄、竹井久か。五人しか部員がおらん小さなとこの部長やのに……しっかりしとんなぁ。公式戦で一度打ってみたかったと)

    姫子(さすが……全国優勝するようなチームの部長ともなると……貫禄があるとです。ま、うちの部長ほどやないですけど……!!)

    すばら「心に沁みる挨拶をありがとうございました! この不肖・花田、戦いには参加できませんが、先輩方の熱き思いを実況席から受け取りたいと思いますっ!
     では、続いては――」

     瞬間、開会式の会場が、闇に包まれるッ!!

    すばら「すばっ!? えええ!? なんでいきなり停電…………って、うええええええ!???」

     闇の中、光を放つ金色の魔物が、一人ッ!!

    「前座大儀。下がっていいぞ、清澄の……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

    287 = 214 :

    (あらあら、また一段と張り切ってるわねぇ……)

    透華(衣……楽しそうでなによりですわ)

    (すごい……まだ午前中なのに……!)

    (へえー……)

     衣、壇上の中央に進み出て、仁王立つ。

    「二年選抜代表……龍門渕高校、天江衣だ」

    すばら「え……えっと、ど、どうぞっ!!」

    「初めに断っておくと、衣は二年生だが、先輩はいない。後輩もいない。なぜなら、衣たち龍門渕高校麻雀部は、元々校内にあった麻雀部を力で圧倒し、追い出し、その上に新しく作り上げたものだからだ。
     ゆえに、衣は学年を超える繋がりというものが、よくわからない」

    「そんな衣は他の三チームに対してなんの言葉も持たない。だから、ここから先は、敵ではなく味方――二年選抜の全員に向けた言葉になる……」

    「お前たち……今日は好きなように打つがいい。結果がどうなっても誰も何も咎めることはない。衣が願うことはただ一つ。
     全員が、己が納得できるような麻雀を打ってほしい! 最後まで自分の麻雀を貫いてほしい! それだけだっ!!
     学年に拘る者は拘ればいい。勝敗に拘る者は拘ればいい。みな……それぞれにこの対抗戦に思うところはあるだろう。その思いを――全力でこの戦いにぶつけてほしい!」

    「その結果……! もし我ら二年選抜が勝つようなことがあれば――それは全員で勝ち取った勝利だ! 各々胸を張って母校に帰るがよかろう!!
     いいか、お前たち!! 今日は祭りだッ!! 楽しんだ者が勝者ッ!! みな……今日は一緒に心ゆくまで遊ぼうではないかッ!!」

     電気、復旧ッ! 拍手、喝采ッ!

    288 = 1 :

    一方通行「これ以上馬鹿にゃ付き合ってらンねェな」ザパッ

    上条「温まっていかねえのか?」

    一方通行「サウナ」

    上条「冷えた体を温めるには絶好だな」

    浜面「お、俺も行くぜ、この凍えるからだをポカポカにしねえとな」

    一方通行「てめェはここで凍り付いてろってンだ」

    浜面「いやいや、失言がひどかったのは確かに悪かったけどさ、そう邪険にしなくてもいいじゃねえか」

    一方通行「だったらてめェはこれ以上口開くな、今度余計なこと言いやがったらその口ベクトルで開かなくしてやっからな」

    浜面「わ、わかったよ」

    上条「お前もどうせなら自分の話すればいいのな」

    浜面「そうするわ、何か今日は調子狂うぜ」

    289 = 214 :

    かおりん「天江さんカッコいいです……!!」パチパチパチ

    小蒔「いいご挨拶でした……」パチパチパチ

    「なんかわからないけど感動した……」パチパチパチ

    「同じ学年とは思えない貫禄……」パチパチパチ

    「衣ちゃん、のっけからはしゃぎすぎやでー」パチパチパチ

    絹恵「なんやー天江さんってイメージとちゃうなー? ごっつええ人やん。浩ちゃんどう思う?」パチパチパチ

    「せやな。もっと唯我独尊な感じやと思っとったけど、ちゃんとうちらのことまで考えてくれてたんやな。意外や」パチパチパチ

    尭深(……さすが……)パチパチパチ

    「以上! 二年選抜代表、龍門渕高校、天江衣!」

    すばら「怒涛のご挨拶ありがとうございました! 私も仲間として聞いてみたかったところではあります! ええ、精進しますとも!
     あっ、停電と発光には何もツッコみませんよ!! さて……最後になりましたが、一年選抜の代表挨拶をお願いします!」

    「あ……ああ、えっと、一年選抜代表、清澄の宮永咲です。ええ、本日はお日柄もよく……」

    290 = 214 :

    優希「咲ちゃん全然ダメだじぇ! マイク貸すじょっ! あーあー。えー!! 我は清澄高校一年、片岡優希! 先輩方みたいに長々話す気はないじょ!
     言いたいことは一つ! 我ら一年最強! 上級生は全員顔を洗って待ってるといいじぇっ! はい、じゃあせっかくだからみんな言いたいこと言えばいいじょっ!」

     優希、マイクがワイヤレスなのをいいことに、壇上を飛び降りて、フロアを駆け抜ける!

     一年選抜、次にマイクを受け取ったのは――!

    南浦「え……? あ、えー。私のことなど全国区の方々は誰も知らないと思う。しかし、今日私と戦う者は、きっと一生忘れられない名になるだろう。
     平滝高校、南浦数絵。……はい、どうぞ」

    友香「えっ? これ全員回すパターンでー? あーあー。劔谷高校の森垣友香です。よろっ!
     えっと、私が負けて劔谷が弱いみたいに思われるのは嫌なんでー、今日は一年というか劔谷を代表して、絶対に皆さんに勝ちたいと思いますんでー。ハイ、次あなたね!」

    「あーあー。どうも、千里山の二条泉です。千里山はレギュラーが全員この場におるんで、あんま滅多なことは言えないですけど、私も負ける気はありません。
     特に三年生の方々にはインハイで苦い思いをさせられたので、きちんと借りを返すつもりでいます。以上です。えっと、あ、じゃあどうぞ……」

    「いや、すっごい恥ずかしいんだけどコレ……!? えっーと、阿知賀の新子憧です。えー、私は、自分が所属する阿知賀女子麻雀部の全国出場を、十年前と今年の二度で終わらせるつもりはありません。
     なので、今の上級生がいなくなっても阿知賀が全国にいけるよう、これからも頑張っていくつもりです。先輩方は私の目標であり、超えなければいけない壁です。
     今日はその壁に、体当たりでぶつかっていきたいと思います。できれば倒します。はい、シズ、パス!」

    穏乃「ううおおおおおおお!!! 二年生!! 三年生!! 一年生もっ!!! 今日は強そうな人たちいっぱいで興奮してますっ!!!
     こんなところで勝てたらきっと気持ちいいだろうなああああ!! だから勝ちますっ!! 阿知賀、高鴨穏乃! えっと、次は……!」

    モモ「鶴賀の東横桃子っす。とにかく勝つっす。今日はそのためだけに来たっす。見ていてください……以上っす。じゃ、どうぞ」

    「やっほーい! 年寄りの雑魚ども! 私は白糸台の大星淡だよ!! お願いだから簡単にやられちゃわないでよねー?
     みなさんせいぜい私を倒せるように頑張ってくださーい。そんだけー。じゃ、サッキー、戻すねー!!」

    291 = 23 :

    すげーなこの連投速度
    >>1頑張れ

    292 = 214 :

     淡、フロアから壇上目掛けてマイクをパス。マイクは放物線を描いて、綺麗に咲の手に収まる。

    (わー戻ってきたー……みんなの痛い視線と一緒にマイクが戻ってきたー……)

     咲、少し漏れそうになる。助けを求めるように、和に目線を送る。

    「ごめん、和ちゃん、うまいこと収めて。お願い」

    「はあ……わかりました」

     和、少しうんざりしたような様子で、壇上へ。マイクを受け取って、いつの間にかピリピリと剣呑な雰囲気に変わってしまった会場内を見回す。

    「えー、これは、この対抗戦の話が持ち上がったときから個人的にずっと気になっていて……今も黙って話を聞いていれば、三年生が強いだとか、一年生が強いだとか、二年生こそは……などと皆さんちらほら言われていますが……」

    「そんなオカルトありえません」

    「麻雀の強さと学年が比例するなんてことはないんです。差があるとしたら、純粋に経験の差でしかありません。
     十分に経験があれば一年生でも強い人は強いですし、たとえ三年生であっても弱い人は弱いでしょう。それだけです。
     もちろん、こんな一回限りの大会で強さの序列は決められません。これで勝ったからどうだということもないでしょう。ただ、もちろんやるからには負けるつもりはありません」

    「名目が学年対抗戦であろうとなんだろうと、私はいつも通りに打って勝ちたいと思います。相手が何年生の誰であろうと関係ありません。
     全力を尽くして戦いますので、どうか、皆さんよろしくお願いします。清澄、原村和でした」

     ぺっこりんと頭を下げる、和。

     しかし、場の空気は回復するどころか、ぴきりと凍りついていた。

    すばら「(和、相変わらずのエアーノーコントローラーっぷり! すばらくない!!)えっと………………じゃあもうさっさと先鋒戦を開始しましょうか!!?
     選手のみなさんは一旦控え室に戻ってくださいっ!!」

    293 = 214 :

    @一年選抜控え室

    友香「みなさーん、お茶淹れましたんでー。飲むー?」

    「もらうもらうー」

    「ほな、うちもいただきます。おお、ええ香りですねっ!」

    「咲はどう思う? あの二人勝てそう?」

    「(いきなり呼び捨て!? 和ちゃんのお友達アグレッシブ!!)え……? うん、大丈夫だと思うよ」

    「穏乃……さっきから何をやってるんですか?」

    穏乃「いや……この隅っこのほうから……いい匂いがするんだけど……あっ!! これだ!! うおおおおなんだこれ!! 見えないけどなんかぷにぷにしてる……!?」

    モモ「あの…………私の胸に何か用っすか?」

    穏乃「あっ!? 鶴賀のモモさんじゃないですか!! インターハイではお世話になりましたっ!!」

    294 = 214 :

    @二年選抜控え室

    「走っていっちゃったね。転ばないかな……?」

    小蒔「先鋒戦をモニターで見るなんて、ちょっと不思議な感じです!」

    「あ、それわかりますー!」

    「っちゅーか、あの二人が先鋒なんは勿体無い気がするなぁ。普通に大将でええやん」

    「まあ、先鋒に強い人っていうのはセオリーだから、間違ってないとは思うけど」

    「そんな細かいこと考えてるんとちゃうよ、どうせ早く遊びたいだけやねんて」

    かおりん「あの……インターハイを見てたときから気になってたんですけど、なんでいつもお茶飲んでるんですか?」

    尭深「…………ノーコメント」

    絹恵「コラそこ、ちゃんと応援しいや」

    295 = 214 :

    @三年選抜控え室

    「みんな、このオーダーで不都合はなかったかしら?」

    美穂子「私は上埜さんの言うことに従います……たとえそれがどんなことでも////」

    洋榎「うちは文句ないで。先鋒もあの二人でええと思うしな」

    初美「私も問題ないですよー。どこに置かれても仕事はきっちりしますからねー」

    姫子「ばってん、竹井さん。むしろ竹井さん自身は大丈夫とですか? けっこう思い切ったオーダーですけど……」

    「思うところがあるんやろ。心配はしとらんけん、好きにしたらよか」

    「みなさんリラックスしてるわねぇ。あっ、鹿児島から持ってきたお土産があるのよ。どうぞ召し上がってー」

    セーラ「おおっ!! お土産やて!? さすが霞姐さんは気ぃ利くなぁー!!」

    「姐さん……? 同い年なんだけど……」ゴゴゴゴゴゴ

    296 = 214 :

    @混成チーム控え室

    まこ「本当にあの二人で大丈夫じゃろか。先鋒でトビ終了ってことはないと思うが」

    かじゅ「まあ……いくら全国クラスとは言え、半荘二回で十万点を削り取れる者は限られている。そのうち一人はうちにいるしな」

    「…………」

    末原「さっきからチャンピオン全然喋らへんけど、もしかして人見知りしてはるの?」

    「……………………」

    「先輩っ!! これ図星ですよっ! 顔真っ赤になってますやん!」

    「意外やなぁ。チャンピオンて外から見んのと内から見んのでこんなちゃうんや。あ、よく見たら膝が空いて……」

    竜華「あんた浮気か!? 早速浮気か!?」

    「あの……みなさん、そろそろ始まりますよ~」

    297 = 214 :

    すばら「それでは!! お待たせいたしましたぁ!! ついに全国選抜学年対抗戦、先鋒戦が始まります! 各チームのオーダーは以下の通りです!!」

    @一年選抜:片岡優希(清澄)・南浦数絵(平滝)

    優希「数絵、まずは私から行くじぇ!」

    南浦「わかった。トバなければ私がなんとでもする」

    @二年選抜:龍門渕透華(龍門渕)・天江衣(龍門渕)

    透華「ま、わたくしが様子を見てきますわ」

    「じゃー衣は後半からだなー!」

    @三年選抜:小瀬川白望(宮守女子)・姉帯豊音(宮守女子)

    豊音「はいはーい! 私、天江さんと打ちたいっ!」

    シロ「お好きにどうぞ……」

    @混成:池田華菜(風越女子)・小走やえ(晩成)

    池田「天江衣が後半か……なら、あたしも……!」

    小走「いや、池田、お前は前半に出とけ」

    298 = 214 :

    @実況室

    すばら「対局者は席についてください! ペアの方は、こちら実況席の隣に特別観戦室を設けておりますので、そちらへどうぞ!!」

    「へえ……そうなのか」

    「場合によってはここに呼べるように、ってことか」

    初瀬「あ、私に言っていただければいつでも呼びにいきますね」

    299 = 214 :

    @対局室

    東家:片岡優希(一年選抜)

    優希(知った顔ばっかりだじょ。残念……どうせなら初めてのやつをぶちのめしたかったじぇ!)

    南家:池田華菜(混成チーム)

    池田(惜しいな……天江が先鋒だっていうから借りを返せると思ったのに。ま、小走さんには小走さんの考えがあるんだろうし……とにかく目の前の敵を倒すし!)

    北家:龍門渕透華(二年選抜)

    透華(風越と清澄は……ま、いいですわ。宮守の三年――ひとまずはあなたが敵でしてよ!)

    西家:小瀬川白望(三年選抜)

    シロ(三人ともやる気満々かぁ……ダルいなぁ。清澄もまた起家……けど、あのときは神代がいたからな……それに比べると楽できるかな……?)

     それぞれの思惑を胸に、意地とプライドを懸けた戦いが今――始まるッ!!

    すばら『先鋒戦、スタートですっ!!!』

    優希「そっれじゃー! 今日一発目のサイコロを回すじぇー!!」

     先鋒戦前半――開始ッ!!

    300 = 214 :

    @実況室

    すばら「さあ、配牌も終わり、一年選抜・片岡選手から第一打が放たれました!! とうとう麻雀が始まりましたね、弘世さん!!」

    「そうですね。対抗戦の話が持ち上がってからここまで……長かったです。やっと戦いが始まったと安心しています」

    「まだ試合はほとんど動いてないけどな」

    すばら「井上さんは、この四人の中では、誰が最初に動くと思いますか?」

    「いやいや、そんなのオレに聞くまでもないだろ。ここにいるやつは全員こないだのインターハイを見てんだろ? 最初に仕掛けるやつが誰かなんて、わかりきってることじゃねえか」

    すばら「これはこれは、失礼いたしました!」

    「決勝の先鋒戦前半――東一局、私は控え室から見ていましたが、いや、やられたと思いましたよ」

    「あいつもあいつで大した化け物だからな。長野県の個人戦――予選は東場だけだったが……その結果がありありと物語ってるぜ。
     こと東場に限れば、あいつは間違いなく全国トップクラスの打ち手だ」

    初瀬「あっ――! 今、点棒ケースを開きました! たぶん、千点棒を出すんだと思いますっ!!」

    すばら「おおおおっと!! 早くも試合が動きます!! 最初に仕掛けるのはやはりこの人ッ!! 一年選抜・清澄高校・片岡優希だああああ!!」


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