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元スレ白望 「二者択一……?」
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正直に言えば、怖い。
この先も、この狭い空間で一人で生きていかなければならないのかと考えると、
今にも発狂してしまうかもしれない。いや、いずれ発狂するだろう。
ただ……。
だからこそ、最後に人間らしい選択をしたいと思った。
口下手で、感情表現も苦手な私。
そんな付き合いにくい私に、彼女たちは優しく接してくれた。
胡桃、エイスリン、塞、豊音。
現実では照れくさくて言葉にすることはできなかったけど、
四人には本当に感謝している。
白望 「……ありがとう」
目を
瞑る。
瞼の裏に、四人の顔が浮かんでくる。
笑顔のみんなが、私を愛称で呼ぶ。
ただ、それだけで幸せだった。
金色と銀色の光に包まれて、その色で脳裏まで満たされていった。
正直に言えば、怖い。
この先も、この狭い空間で一人で生きていかなければならないのかと考えると、
今にも発狂してしまうかもしれない。いや、いずれ発狂するだろう。
ただ……。
だからこそ、最後に人間らしい選択をしたいと思った。
口下手で、感情表現も苦手な私。
そんな付き合いにくい私に、彼女たちは優しく接してくれた。
胡桃、エイスリン、塞、豊音。
現実では照れくさくて言葉にすることはできなかったけど、
四人には本当に感謝している。
白望 「……ありがとう」
目を瞑る。
瞼の裏に、四人の顔が浮かんでくる。
笑顔のみんなが、私を愛称で呼ぶ。
ただ、それだけで幸せだった。
金色と銀色の光に包まれて、その色で脳裏まで満たされていった。
白望 (金と銀の光……?)
疑問を抱く。
想像の中の彩りにしては、嫌に自己主張が激しい。
そこで、はっと息を呑む。
白望 「まさか……」
目を開ける。
先ほどまで脳裏に広がっていた、金と銀の光が萎んでいく。
白望 「……!」
私は驚きで目を見開いた。
何故なら、胡桃とエイスリンの名前は消え――
――新たな二者択一が提示されていたから。
『つらいげんじつをしる』
『しらなくてもいいげんじつからめをつむる』
これが、新たな二者択一だった。
金色に輝く文字、辛い現実を知る。
銀色に輝く文字、知らなくてもいい現実から目を瞑る。
白望 (二者択一が変わった……)
私の選んだ、第三の選択肢が正解だった?
それとも、いるかもしれない『ナニカ』の気まぐれか?
いや、理由はどうでもいい。
私は、最悪の選択をせずに済んだのだから。
それよりも……。
白望 (辛い現実……)
きっと、それはこの空間に私が閉じ込められていることと関係しているのだろう。
そして、銀色に輝く文章から察するに、それはこの世界で行き続けるより辛いことなのかもしれない。
銀色の選択肢を見て、私は初めて『ナニカ』に親近感を覚えた。
私の心情を察し、気遣うかのように、諭すかのような、人間味溢れる優しさが感じられる。
大丈夫だよ、知らなくてもいいんだよ。
辛いことは投げ出して、ここで次の二者択一をしよう?
そんなナニカの囁きが、聞こえてくるようだった。
白望 (それでも私は、一度自ら死ぬことを選んだ)
白望 (みんなと一生会うことができないかもしれない)
白望 (それより辛い現実……私には考えられない)
意を決して、金色の文字が輝く扉の前に立つ。
『つらいげんじつをしる』
改めてみると、禍々しい輝きだった。
煌びやかなイメージとして使われる金色だからこそ、
ネガティブな選択に対するギャップで、より言葉に重みを感じる。
白望 「私は……辛い現実を知る。……いや、知りたい」
扉を右手で押す。軋みと光の筋が、五感を刺激する。
そして開け放った扉の先には――慣れ親しんだ部室があった。
誰かが死んで現実逃避して心の中で折り合いでもつけたとかそんなのか?
>>117
よそうはよそう
よそうはよそう
>>117
やーめーろーよー
やーめーろーよー
白望 「……!」
正方形の木板がはめ込まれた床。
ブロックごとに二本の溝が刻まれ、それが縦・横と交互に配置されている。
部室の隅には、ソファーと小さなテーブル。
このソファーは私の定位置だった。
中央に設置された全自動の麻雀卓。
古い機種であり、長い間使い込まれてきたせいか、あまり綺麗では無い。
そして――
塞 「やっと来たね、シロ」
胡桃 「ほら、早く卓に着いて!」
豊音 「もう席決めは終わってるよー」
エイスリン 「ワタシ、ウシロデミテル!」
トシ 「さあ、とりあえず東風で打ってもらおうか」
――みんながいた。
感情が零れ落ちそうになる。
抱きしめたい。抱きしめたい。抱きしめたい。
手を伸ばしかける。
胡桃 「?」
塞 「シロ、どうしたの?」
伸ばしかけた手を、グッと我慢する。
――落ち着け。冷静になれ、私。
私は『辛い現実を知る』という肢を選択した。
きっと、ここは本当の現実では無い。
まだ、真実の姿を見せてはいないはずだ。
私は、最後の椅子に手を掛けた。
白望 「ルールは……?」
トシ 「そうだね……。大会ルールに従おうか」
パイプ椅子に腰を掛けた、熊倉先生が言う。
私の上家に座った胡桃、対面の豊音、下家の塞が頷く。
エイスリン 「ソレデイイトオモイマス!」
背後から、エイスリンが元気な声で返事する。
だけど、私の返事は違った。
白望 「……赤ドラは無しが良い」
大会では赤を四枚採用している。赤は打点を高めるという利点がある。。
関西の雀荘が発祥のローカルルールなのだが、今では広く一般に広まっているルールだ。
赤ドラの拒否。
何故、私がそうしたのか。自分でもわからない。
胡桃 「……ふーん」
塞 「やっぱりかー」
だが、みんなはわかっているようだ。
思いかげず、みんなと麻雀を打つことになった。
もちろん、心は躍る。ただ、楽しむだけではいけないことはわかっている。
胡桃 「サイコロ回すよー」
東一局。
起家は胡桃。私はラス親か。
白望 「……」
配牌は五向聴。アガリを目指すには少々足が遅いかもしれない。
字牌を残して防御を高めつつ、混一を目指すのが最善か。
エイスリン 「シロ、ガンバッテ!」
白望 「あー、うん」
エイスリンなら五向聴でも真っ直ぐにアガリを目指すことができるだろう。
彼女は理想の牌譜を卓上に描き出すことができる。有効牌の引きが異常に速い。
白望 (無いものを羨んでも仕方が無いしなぁ……)
私は、第一打を切り出した。
まさか咲SSで本格ミステリー(?)を読めるとは思ってなかった
打牌の音が部室に響く。
塞 「今日の豊音は何を出すのかな?」
トンッ。
白望 「背向だけは勘弁……」
トンッ。
胡桃 「まあ、今日も塞に頑張って塞いでもらおうよ」
トンッ。
豊音 「まあまあ、見てのお楽しみだよー」
トンッ。
日常と変わらない、和気藹々としたやり取り。
不気味なくらいに平穏な時間が流れていく。
最初に動いたのは、豊音だった。
豊音 「チー!」
胡桃の捨てた牌を鳴くと、あっという間に三副露。
豊音の下に残った牌は四枚だ。
白望 (……友引か)
あと一つ鳴かせれば、裸単機で豊音が聴牌だ。
対面の私は、二枚以上見えている牌、
あるいは手元の暗刻を落としていけば鳴かれることはない。
塞 「うーん……」
どうやら、塞は豊音の手を塞ぐつもりはないらしい。
それもそうだろう。晒した牌を見る限り、ドラがなければ役牌のみ。
それに、豊音の友引はツモ上がりだ。手が高くとも、親被りは胡桃だ。
>>137
せやな
せやな
白望 (とはいえ……)
聴牌気配の見えづらい胡桃が親である以上、未だ三向聴の中盤から攻めるのは賢くない。
ここは、豊音の裸単騎と胡桃への振込みを警戒しておくことにしよう。
白望 (二筒……)
場に二枚捨てられている二筒を切り出す。
胡桃の現物であり、豊音に鳴かれることも無い。
胡桃 「……」
山から牌を引いた胡桃の手が、一瞬だけ止まる。
そしてツモ牌を手牌に引き入れると、ドラの四萬を切り出した。
豊音 「ポン!」
これで、豊音が裸単騎の満貫聴牌だ。
生牌のドラを切った胡桃も、張っていると考えて良いだろう。
豊音 「ぼっちじゃないよ~」
塞 「もー、こっちは全然手が進まないっていうのに……」
塞が牌を切る。
捨て牌は最後の二筒。
白望 (塞はオリか……)
私の手牌には、幸いにも共通安牌がいくつか残っている。
序盤から字牌を残したことで、どうやらオリきることもできそうだ。
白望 (とはいっても、どっちかがアガるだろう)
そして三巡後――
豊音 「ツモだよー。2000・4000」
胡桃 「ぎゃー! 親被りだー!」
豊音が満貫をツモあがりした。
豊音への点棒の支払いが行われる。
豊音が三三〇〇〇点。
私と塞が二三〇〇〇点。
親被りの胡桃が二一〇〇〇点だ。
豊音 「東二局だね。それじゃあ、サイコロ回すよー」
白望 「ちょいタンマ……」
場の進行を遮る。三人が不思議そうな顔で私を見る。
私は椅子の背もたれに体を預け、天井を仰ぎ見た。
エイスリン 「シロ、ドウシタノ?」
背後に立っていたエイスリンが、私の顔を上から覗く。
両手には愛用のホワイトボード。髪から覗く愛用のペン。
ここににる彼女らと、麻雀をする時間を楽しむ。
これ以上、私が望むことはない。ただ……。
白望 (……それでいいわけがない)
>>146
ドラ鳴いた
ドラ鳴いた
>>146
トヨネがドラポンしとるやん
トヨネがドラポンしとるやん
私は選んだのだ。辛い現実を知ることを。
確かにこのひとときは、穏かで安らぎを与えてくれる。
だが、先ほどまで非日常にいたからこそ感じる。
この空間が日常に近づけば近づくほど、違和感が滲み出てくるのだ。
白望 (まるで、私が事実を知ることを遠ざけているかのようだ……)
胡桃 「どうしたの? ダルくなっちゃった?」
塞 「いくらなんでも早すぎでしょ……。始まったばっかだよ」
豊音 「……サイコロ振っちゃってもいいかなー?」
トシ 「いいんじゃないかい。エイスリンも待ってるわけだし」
エイスリン 「シロ! ツヅケヨ!」
また、微かな違和感。
私の知っている彼女たちは、こんなに先を急かしていただろうか。
私が「ダルい」といったとき。手に迷って、考えを巡らせたとき。
白望 「なんか変だわ……」
>>147-148
見落としてた、ごめん
見落としてた、ごめん
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