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元スレ白望 「二者択一……?」
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>>643
交換ずついなくなるやつだっけ?
交換ずついなくなるやつだっけ?
保守する奴って何かに取り憑かれてるよな
お前らっていつ寝てんの?
お前らっていつ寝てんの?
おはようございます、保守あざす
残り約30レス 投下していきます
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本音を言えば、みんなと一緒に卓を囲んでいたかった。
シロの後ろに立つ。輪に入ることができない私の、唯一の贅沢だった。
それから、私はみんなに併せて道化を演じ続けた。
エイスリン 「ソレデイイトオモイマス!」
エイスリン 「シロ、ガンバッテ!」
シロが、こっちの世界から抜け出せなくするために。
現実から目を背けさせ、私と一緒に過ごすことを選ばせるために。
エイスリン 「シロ! ツヅケヨ!」
エイスリン 「マージャン、タノシクナイ?」
ひどい無理をしていた私は、きっと上手く笑えていなかっただろう。
そのような状況下でも、シロは私たちの画策を跳ね除けてきた。
白望 「私は、現実を知るためにここにきた」
シロの一言で、この空間はうって変わったように静まり返った。
無理やり笑顔の仮面を被っていた私たちは、一瞬で無表情に変わる。
エイスリン (シロ……。ヤッパリ、ワタシ、オシエルッ……!)
塞 「なんのために?」
白望 「……この空間から抜け出すために」
胡桃 「辛い現実を知る必要があるのかな?」
白望 「……もう、私はそれを選んだ」
トシ 「その先に、シロの大事な人たちがいない可能性があってもかい?」
白望 「……っ」
三人の詰問に対して、シロは黙り込んでしまう。
弱さを露呈するシロを見ると、現実を伝えることに手が控える。
彼女に深い傷を負わせてしまうのではないかと怯えてしまう。
エイスリン 「イママデドオリ……ソレガイチバン!」
口から出た言葉は、虚飾なのか、本心なのか。
私自身にもわからなかった。
結局、彼女らは現実をシロに伝えても構わないと判断したようだ。
対局は続けつつも、シロの疑問を解消するように言葉を発していく。
トシ 「この空間は、あくまでイメージだよ」
エイスリン (ワタシガツクッタ、イメージノセカイ)
白望 「じゃあ、ここにいるみんなは偽者……」
エイスリン (チガウ、ワタシダケハ、ニセモノジャナイ)
白望 「現実の私はどうなる……?」
エイスリン (ゲンジツノ、シロハ……)
ここまで強く前に進んできたシロも、動揺しているようだ。
彼女がらしくない振込みをしたのは、その直後のことだった。
胡桃 「現実のシロは、死ぬよね」
胡桃 「――ロン。5200」
そして、とうとうシロは辛い現実を知る。
私たちがホテル火災に巻き込まれたこと。
私たちが意識不明の重体であること。
知るたびに、シロの顔は悲壮に満ちていった。
そんな彼女に、追い討ちをかけることが、どうしてできただろう。
気づくと私は、彼女を傷つけたくない気持ちでいっぱいだった。
エイスリン 「ツライ、ゲンジツ……」
エイスリン 「シラナクテ、イイコトモアル」
エイスリン 「シロ、ソウオモウヨネ?」
白望 「……」
私の質問に、シロが答えることはなかった。
綺麗な瞳が揺れる。彼女の意思が、薄弱なものへと変化したことがうかがえた。
トシ 「誰もあなたを責めたりはしないわ」
トシ 「辛い現実を選ばないことは、逃げることじゃない」
トシ 「誰もがそんなに強い人間じゃないのよ」
センセイが諭すように言う。
この言葉は、シロの精神に大きな影響を与えたようだった。
白望 「ちょい……タンマ……」
擦れ出た声。
まるで、彼女の弱い部分が露わになっているようだった。
きっともう、現実に生きることを否定し始めているのだろう。
そんなシロの様子を確認すると、塞がサイコロを回した。
第一段階、現実の拒否。次にやることは、決まっている。
豊音 「今のこの時間は楽しまないと損だよー?」
そう、第二段階は、この空間への執着。
みんなと麻雀をする。
変わらない安心を感じさせることで、ここで生きることを考えさせる。
トシ 「シロは気を張りすぎよねぇ」
塞 「いつもは、ダルい……、ばかりでユルユルなのにね」
胡桃 「え? 塞、今のシロの真似のつもり?」
エイスリン 「ニテナイ!」
塞 「え……」
豊音 「でもでも、ちょーかわいかったよー」
普段と変わらないやり取りをする。
一見、微笑ましい光景だが、本質は酷い戯曲だ。
それでも、シロはその光景を見て微笑んでいた。
それからは、ただただ麻雀をする時間だった。
当初は手が控えていたシロも、流れを掴んで初めて和了った。
白望 「ツモ、2900オール」
シロの微笑が、更に深くなる。心から楽しんでいるようだ。
表情に乏しい彼女だが、私達はその変化を見逃さない。
胡桃 「シロが笑ってるー」
塞 「本当だ。やっぱり、こうやってみんなと打つのは楽しいよね」
豊音 「私もちょー楽しいよー」
シロは、私達の罠にかかった。
恐らく、この世界で生きていたいと、思わせることに成功した。
シロが私を手招きする。
来た。明らかになる、彼女の意志が。
横に立つと、私の耳元に口を寄せた。鼓動が高鳴る。
大好きなシロの息がかかる。頬が紅潮するのを感じる。
シロ、この世界でワタシと――。
私は、幸福の絶頂に達しようとしていた。
白望 「みんなで、ずっとここに居てもいいかもね……」
エイスリン (――エ?)
彼女は今なんて言った?
みんなで? ワタシとではなく、みんなで……。
一気に転落する。悲しみが私の体中を覆う。
浮かれたいた自分に、ひどく腹が立つ。
普通に考えれば、当たり前のことだった。
みんなとの日常を過ごすことで、シロに現実への未練を断ち切らせる。
その先にシロが望むのは、宮守女子麻雀部のみんなと過ごす時間なのだ。
この後、シロが現実での死を選択したとして、
死の世界に住まうことになったとき、私しか居なかったらどう思うだろう。
それは、完全なる裏切りだ。
エイスリン (シロ……)
きっと、私だけの力で、この空間でシロの傷を癒しても、
さきほどの耳打ちのような言葉は、きっと出てこなかっただろう。
みんながいる場所にいたい。
それが、シロの選択なのだろう。
そうだとすれば……この空間に留まらせることは、
最終的に、シロの望まない選択をさせたことになってしまう。
エイスリン (シロ)
私は何故、ここにきた。今一度、思い出せ。
エイスリン (シロ、ワタシハ、アナタノチカラニナリタイ)
エイスリン (アナタヲ、ササアエテアゲタイ)
エイスリン (アナタニ、シアワセニ、ナッテホシイ!)
大好きな人に、二度と会えなくなる。
それはとても辛い。その苦しみに、耐えられる自信が無い。
だが。
大好きな人が、不幸になる。
それは、会えなくなることより辛い。
だから私は――。
白望 「……エイスリン?」
シロが困惑した表情で私を見ていた。
大丈夫。ボードを使わずとも、私があなたの「迷い」を産み出してあげる。
エイスリン 「シロ……」
孤独に苛まれた、シロの今まで。そして、辛い現実が待つであろう、シロのこれから。
私はシロのことを想いながら、一筋の涙を流した。
エイスリン 「ホントニ、ソレデイイノ……?」
白望 「え……?」
エイスリン 「ズット、ココニイル。シロ、コウカイシナイ?」
シロは返事をしなかった。
だが、挙動に、空気に、些細な変化が現れる。
胡桃 「……」
塞 「……」
豊音 「……」
三人の視線が私を貫く。だが、そんなことは関係ない。
私はシロに選択肢を与えただけなのだから。
最後に決定するのは、シロ自身だ。
胡桃 「シロ、なにを迷ってるの?」
塞 「ここで、ずっと過ごせばいいじゃん」
豊音 「私たちもずっと一緒だよー」
トシ 「今までと変わらない、誰も傷つくことが無い世界でいいじゃないか」
弱い私たちの、必死の誘惑。
沼の奥地に引きずり込まんとする、泥に塗れた罠。
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