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    元スレ白望 「二者択一……?」

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    みんなの評価 : ★★★
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    651 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 10:33:58.97 ID:2uWIR31G0 (+32,+29,-3)
    >>643
    交換ずついなくなるやつだっけ?
    652 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 10:38:34.78 ID:CSVFXynM0 (+27,+29,-23)
    保守する奴って何かに取り憑かれてるよな
    お前らっていつ寝てんの?
    653 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 10:52:19.39 ID:I5YL97eo0 (+22,+29,-3)
    俺が寝ても代わりはいるもの
    654 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 11:00:55.23 ID:0oLjHXtfO (+0,+11,-1)
    655 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 11:13:30.78 ID:wz5pGD1Z0 (+0,+11,-1)
    656 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 11:14:30.17 ID:5IMx5yoG0 (+0,+11,-1)
    657 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 11:30:33.10 ID:Hx7prPFT0 (-3,+11,-1)
    658 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 11:41:08.57 ID:7RzPCHKv0 (+0,+11,-1)
    659 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 11:50:25.62 ID:uqZWQW6sO (+22,+29,-6)
    何かに取り憑かれたかのように保守
    660 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 11:59:24.07 ID:T8298DIC0 (+1,+11,-1)
    661 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:10:10.25 ID:T8298DIC0 (+1,+11,-1)
    662 : 忍法帖【Lv= - 2012/09/02(日) 12:17:33.51 ID:1jyAPAm5i (-3,+11,-1)
    663 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:29:53.28 ID:T8298DIC0 (+1,+11,-1)
    664 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:29:58.02 ID:XLA5Gfej0 (+13,+28,-3)
    寝ながら保守
    665 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:38:49.53 ID:D2mkPFnf0 (+39,+29,-16)
    おはようございます、保守あざす
    残り約30レス 投下していきます
    666 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:39:47.79 ID:7G2sEcxf0 (+16,+28,-1)
    よし来た
    667 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:42:28.05 ID:I5YL97eo0 (+3,+15,+0)
    待ってた!
    668 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:44:06.39 ID:0scBp9pjO (+29,+29,-16)
    ktkr
    最後くらいさるかからないように支援するぜ
    669 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:44:35.95 ID:T8298DIC0 (+14,+24,-1)
    来た!すばら!
    670 : >> - 2012/09/02(日) 12:45:45.20 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-130)

    本音を言えば、みんなと一緒に卓を囲んでいたかった。
    シロの後ろに立つ。輪に入ることができない私の、唯一の贅沢だった。

    それから、私はみんなに併せて道化を演じ続けた。

    エイスリン 「ソレデイイトオモイマス!」

    エイスリン 「シロ、ガンバッテ!」

    シロが、こっちの世界から抜け出せなくするために。
    現実から目を背けさせ、私と一緒に過ごすことを選ばせるために。

    エイスリン 「シロ! ツヅケヨ!」

    エイスリン 「マージャン、タノシクナイ?」

    ひどい無理をしていた私は、きっと上手く笑えていなかっただろう。

    そのような状況下でも、シロは私たちの画策を跳ね除けてきた。
    671 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:49:05.28 ID:dgiksT+u0 (+13,+25,+0)
    おお
    672 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:49:23.34 ID:OvDQdd3v0 (+2,+14,-12)
    しえん
    673 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:49:48.36 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-217)

    白望 「私は、現実を知るためにここにきた」

    シロの一言で、この空間はうって変わったように静まり返った。
    無理やり笑顔の仮面を被っていた私たちは、一瞬で無表情に変わる。

    エイスリン (シロ……。ヤッパリ、ワタシ、オシエルッ……!)

    「なんのために?」

    白望 「……この空間から抜け出すために」

    胡桃 「辛い現実を知る必要があるのかな?」

    白望 「……もう、私はそれを選んだ」

    トシ 「その先に、シロの大事な人たちがいない可能性があってもかい?」

    白望 「……っ」

    三人の詰問に対して、シロは黙り込んでしまう。
    弱さを露呈するシロを見ると、現実を伝えることに手が控える。
    彼女に深い傷を負わせてしまうのではないかと怯えてしまう。

    エイスリン 「イママデドオリ……ソレガイチバン!」

    口から出た言葉は、虚飾なのか、本心なのか。
    私自身にもわからなかった。
    674 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:50:36.16 ID:7RzPCHKv0 (-21,-9,-1)
    支援
    675 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:52:13.47 ID:0scBp9pjO (-19,-9,-1)
    支援
    677 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:54:25.20 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-124)

    結局、彼女らは現実をシロに伝えても構わないと判断したようだ。
    対局は続けつつも、シロの疑問を解消するように言葉を発していく。

    トシ 「この空間は、あくまでイメージだよ」

    エイスリン (ワタシガツクッタ、イメージノセカイ)

    白望 「じゃあ、ここにいるみんなは偽者……」

    エイスリン (チガウ、ワタシダケハ、ニセモノジャナイ)

    白望 「現実の私はどうなる……?」

    エイスリン (ゲンジツノ、シロハ……)

    ここまで強く前に進んできたシロも、動揺しているようだ。
    彼女がらしくない振込みをしたのは、その直後のことだった。

    胡桃 「現実のシロは、死ぬよね」

    胡桃 「――ロン。5200」
    678 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:55:14.89 ID:0oLjHXtfO (+17,+29,-2)
    待っとったで
    679 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:55:39.65 ID:OvDQdd3v0 (+2,+14,-12)
    しえん
    680 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:56:52.32 ID:cvXZCk91O (-21,-9,-1)
    支援
    681 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:58:12.43 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-137)

    そして、とうとうシロは辛い現実を知る。

    私たちがホテル火災に巻き込まれたこと。
    私たちが意識不明の重体であること。

    知るたびに、シロの顔は悲壮に満ちていった。
    そんな彼女に、追い討ちをかけることが、どうしてできただろう。
    気づくと私は、彼女を傷つけたくない気持ちでいっぱいだった。

    エイスリン 「ツライ、ゲンジツ……」

    エイスリン 「シラナクテ、イイコトモアル」

    エイスリン 「シロ、ソウオモウヨネ?」

    白望 「……」

    私の質問に、シロが答えることはなかった。
    綺麗な瞳が揺れる。彼女の意思が、薄弱なものへと変化したことがうかがえた。
    682 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:58:44.29 ID:OvDQdd3v0 (+2,+14,-12)
    しえん
    683 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 12:59:54.94 ID:0scBp9pjO (-19,-9,-1)
    支援
    684 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:00:33.43 ID:wz5pGD1Z0 (+13,+25,-13)
    しえーん
    685 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:01:43.11 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-120)

    トシ 「誰もあなたを責めたりはしないわ」

    トシ 「辛い現実を選ばないことは、逃げることじゃない」

    トシ 「誰もがそんなに強い人間じゃないのよ」

    センセイが諭すように言う。
    この言葉は、シロの精神に大きな影響を与えたようだった。

    白望 「ちょい……タンマ……」

    擦れ出た声。
    まるで、彼女の弱い部分が露わになっているようだった。
    きっともう、現実に生きることを否定し始めているのだろう。

    そんなシロの様子を確認すると、塞がサイコロを回した。
    第一段階、現実の拒否。次にやることは、決まっている。
    686 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:02:30.56 ID:dgiksT+u0 (-21,-9,-1)
    支援
    687 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:04:02.13 ID:7RzPCHKv0 (-21,-9,-1)
    支援
    688 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:04:45.56 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-111)

    豊音 「今のこの時間は楽しまないと損だよー?」

    そう、第二段階は、この空間への執着。
    みんなと麻雀をする。
    変わらない安心を感じさせることで、ここで生きることを考えさせる。

    トシ 「シロは気を張りすぎよねぇ」

    「いつもは、ダルい……、ばかりでユルユルなのにね」

    胡桃 「え? 塞、今のシロの真似のつもり?」

    エイスリン 「ニテナイ!」

    「え……」

    豊音 「でもでも、ちょーかわいかったよー」

    普段と変わらないやり取りをする。
    一見、微笑ましい光景だが、本質は酷い戯曲だ。

    それでも、シロはその光景を見て微笑んでいた。
    689 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:07:10.09 ID:OvDQdd3v0 (+2,+14,-12)
    しえん
    690 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:08:41.75 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-183)

    それからは、ただただ麻雀をする時間だった。
    当初は手が控えていたシロも、流れを掴んで初めて和了った。

    白望 「ツモ、2900オール」

    シロの微笑が、更に深くなる。心から楽しんでいるようだ。
    表情に乏しい彼女だが、私達はその変化を見逃さない。

    胡桃 「シロが笑ってるー」

    「本当だ。やっぱり、こうやってみんなと打つのは楽しいよね」

    豊音 「私もちょー楽しいよー」

    シロは、私達の罠にかかった。
    恐らく、この世界で生きていたいと、思わせることに成功した。

    シロが私を手招きする。
    来た。明らかになる、彼女の意志が。

    横に立つと、私の耳元に口を寄せた。鼓動が高鳴る。
    大好きなシロの息がかかる。頬が紅潮するのを感じる。

    シロ、この世界でワタシと――。

    私は、幸福の絶頂に達しようとしていた。
    691 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:09:29.57 ID:7RzPCHKv0 (-21,-9,-1)
    支援
    692 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:09:32.29 ID:OvDQdd3v0 (+2,+14,-12)
    しえん
    693 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:12:11.09 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-119)

    白望 「みんなで、ずっとここに居てもいいかもね……」

    エイスリン (――エ?)

    彼女は今なんて言った?
    みんなで? ワタシとではなく、みんなで……。

    一気に転落する。悲しみが私の体中を覆う。
    浮かれたいた自分に、ひどく腹が立つ。

    普通に考えれば、当たり前のことだった。
    みんなとの日常を過ごすことで、シロに現実への未練を断ち切らせる。
    その先にシロが望むのは、宮守女子麻雀部のみんなと過ごす時間なのだ。

    この後、シロが現実での死を選択したとして、
    死の世界に住まうことになったとき、私しか居なかったらどう思うだろう。

    それは、完全なる裏切りだ。
    694 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:13:47.13 ID:0scBp9pjO (-19,-9,-1)
    支援
    695 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:15:00.84 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-86)

    エイスリン (シロ……)

    きっと、私だけの力で、この空間でシロの傷を癒しても、
    さきほどの耳打ちのような言葉は、きっと出てこなかっただろう。

    みんながいる場所にいたい。
    それが、シロの選択なのだろう。

    そうだとすれば……この空間に留まらせることは、
    最終的に、シロの望まない選択をさせたことになってしまう。

    エイスリン (シロ)

    私は何故、ここにきた。今一度、思い出せ。

    エイスリン (シロ、ワタシハ、アナタノチカラニナリタイ)

    エイスリン (アナタヲ、ササアエテアゲタイ)

    エイスリン (アナタニ、シアワセニ、ナッテホシイ!)
    696 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:15:41.13 ID:7RzPCHKv0 (-21,-9,-1)
    支援
    697 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:19:25.53 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-131)

    大好きな人に、二度と会えなくなる。
    それはとても辛い。その苦しみに、耐えられる自信が無い。

    だが。

    大好きな人が、不幸になる。
    それは、会えなくなることより辛い。

    だから私は――。

    白望 「……エイスリン?」

    シロが困惑した表情で私を見ていた。
    大丈夫。ボードを使わずとも、私があなたの「迷い」を産み出してあげる。

    エイスリン 「シロ……」

    孤独に苛まれた、シロの今まで。そして、辛い現実が待つであろう、シロのこれから。
    私はシロのことを想いながら、一筋の涙を流した。

    エイスリン 「ホントニ、ソレデイイノ……?」

    白望 「え……?」

    エイスリン 「ズット、ココニイル。シロ、コウカイシナイ?」
    698 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:21:01.40 ID:7RzPCHKv0 (-21,-9,-1)
    支援
    699 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:22:32.96 ID:dgiksT+u0 (+16,+28,-11)
    しえんですよー
    700 : 以下、名無しにか - 2012/09/02(日) 13:22:58.25 ID:D2mkPFnf0 (+45,+30,-128)

    シロは返事をしなかった。
    だが、挙動に、空気に、些細な変化が現れる。

    胡桃 「……」

    「……」

    豊音 「……」

    三人の視線が私を貫く。だが、そんなことは関係ない。
    私はシロに選択肢を与えただけなのだから。
    最後に決定するのは、シロ自身だ。

    胡桃 「シロ、なにを迷ってるの?」

    「ここで、ずっと過ごせばいいじゃん」

    豊音 「私たちもずっと一緒だよー」

    トシ 「今までと変わらない、誰も傷つくことが無い世界でいいじゃないか」

    弱い私たちの、必死の誘惑。
    沼の奥地に引きずり込まんとする、泥に塗れた罠。
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