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    元スレ勇者「ここが500年後の世界か……」

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    みんなの評価 : ★★★
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    301 = 205 :

    町の外──

    勇者「くわしい事情は話せないんだが……。
       俺は半日くらいしたら、またワープしなきゃいけないんだ」

    勇者「次ワープしたら……もうこっちに戻ってくることはないだろう」

    勇者「だからその前に、君を孤児院がある町に連れていく。
       旅をしてる途中に立ち寄ったことがあってね」
      (魔王を倒す旅の途中だけど……)

    勇者(今までのパターンから、あの孤児院もでかくなってていいはずだけど……。
       もし500年経ってなくなってたらどうしよう……)

    「うん、分かった」

    勇者(別れたくない、とかいってくれるかと思ったが、意外だったな。
       ほっとしたような、残念なような……)

    「でもお兄さんかっこよかったよ。あの三人に勝っちゃうなんて……。
       絵本の中の勇者様みたいだったよ」

    勇者「えっ!? ま、まぁね、俺は勇者じゃないけどあれぐらいはね。ハハ」

    「ふふっ……」

    302 = 243 :

    ・・・終わり?

    303 :

    まだ少女がいるでしょ?

    304 = 239 :

    まだ12時間経ってないよな

    305 = 205 :

    かなりの道のりがあったが、二人は孤児院がある町にたどり着いた。

    勇者(あってくれよ、あってくれよ、頼むぞ……)

    少女が指をさす。

    「あの大きな建物じゃない?」

    勇者「よ、よかった……!」
      (しかも、ものすごく立派になってるぞっ!)

    「あれ、なんでお兄さん“あってよかった”みたいな顔してるの?」

    勇者「え!? あ、いや、そんなことないだろ。ハハ」

    二人はさっそく孤児院を訪ねた。孤児院の責任者は女性だった。

    勇者は女院長に
    「旅先で両親を亡くした少女と知り合ったが、これ以上旅には連れていけない。
     入所させてもらえないか」
    という話をした。

    306 = 205 :

    院長「もちろんかまいません。私たちはご両親をなくした子供たちの味方です。
        女の子を連れた旅は危険でしょうしね」

    「ありがとうございます」

    勇者(よかったぁ~)

    院長「あなたは勇者様の格好をしているけど、もしかして『勇者の町』出身者?」

    勇者「ええ、まぁ……(生まれたのは、500年前だけど……)」

    院長「『勇者の町』の覇者様のおかげでずいぶん治安がよくなりましてね。
        この頃は孤児となる子もずいぶん減ってきているのですよ」

    勇者「そうですか……」
      (アイツもやるべきことはやっていたということか……。
       だが、この子が孤児になる原因を作ったのはアイツでもあるんだ……)

    院長「では、多少手続きが必要となりますので……こちらへ」

    「はい」
    勇者「分かりました」

    307 :

    なかなかいいスレを見つけたようだ④

    308 = 205 :

    手続きも終わり、少女は正式に孤児院に入ることになった。

    勇者「じゃあ、この子と最後に別れを済ませたいので外に出てきます」

    院長「分かりました。旅が一段落ついたら、また顔を出してあげて下さいね」

    勇者「は、はい……」

    「………」

    「じゃあお兄さん、この町をお散歩しましょうよ!」

    勇者「そうだな!」

    「じゃあ、あっちにお店がいっぱいあるから行こう!」

    勇者「オッケー!」
      (金はあるけど使えるのかな……もう古銭だろコレ……)

    二人は初めて訪れる町(勇者は500年前に訪れているが)を大いに楽しんだ。

    309 = 239 :

    時空使いの一言って伏線じゃなかったのかな
    このまま終わってもいいけど

    310 = 205 :

    夜になった。

    勇者「さて、そろそろ君は孤児院に戻らないとな。
       初日から門限を破ったらさすがにまずいだろう」

    「……お願い。お兄さんがワープするまで、一緒にいさせて」

    勇者「おいおい、それは……」

    「お願い……!」

    勇者「分かったよ。じゃあ院長さんに頼んで、
       孤児院に入るのは明日からってことにしよう」

    「お兄さん、ありがとう……」

    勇者「いや、いいんだ。俺も本当は君と最後まで一緒にいたかったしな」

    二人は町にある丘の上で、楽しく語り合った。

    311 = 205 :

    すっかり夜は更けた。もう外には誰もいない。

    勇者「そろそろ……だな」

    「うん……」

    「お兄さん、ありがとう……」

    「私は今、お兄さんがいたから生きてるんだよ。
       お兄さんが広場に駆けつけて、腕を斬られても、戦ってくれたから……」

    「本当にありがとう……!」

    勇者「なぁに、こうして治ったわけだし。気にすることはないさ」
      (まさか腕をくっつけられるとは……さすが500年後だ)

    勇者「それに俺は……君に謝らなければならない立場だ」

    「どうして?」

    勇者(少女から両親を奪った原因を作ったのは、俺の子孫だからだ……。
       だが、これはいってはいけないことだ)
      「いや、なんでもない……」

    312 :

    ヘイヘイヘイ

    314 :

    勇者とバレてたら覇者に掘られてたよね絶対

    315 = 205 :

    「お父さんとお母さんのことなら気にしないで、お兄さん」

    「──いえ、勇者様」

    勇者「えっ!?」

    「お兄さんは500年前から来たんでしょ?」

    勇者「あの、え、あれ……。な、なんで分かったんだ……!?」

    「アハハ、勇者様はウソがつけないんだね」

    勇者「あ……!」

    「なんとなくそうかなぁ~と思ってたけど、やっぱりそうだったんだ」

    勇者「あ、いや、え……」

    「大丈夫、だれにもいわないよ。
       もっとも他にも気づいた人はいるかもしれないけどね」

    勇者「ごめん……」

    「ううん。私、処刑が始まる寸前に、お兄さんと勇者様に助けてって
       心の中で叫んだの」

    「つまりこれって、両方とも駆けつけてくれたってことだよね。
       ありがとう、も二人分いわないとね」

    316 = 201 :

    >>314
    憧れの勇者だもんな。

    317 = 312 :

    >>314
    俺とファックしようぜ腐女子ちゃん

    318 = 269 :

    500年っていうと、平安から戦国辺り位の変化をイメージすればいいのかな

    319 = 205 :

    「私はもう大丈夫。覇者様たちやあの町を憎んでいたこともあったけど、
       みんな勇者様がやっつけてくれたんだもん」

    「私……勇者様が大好き」

    勇者「俺も、君が好きだよ」

    「私、今日のこと絶対に忘れないよ」

    勇者「もちろんだよ。忘れようったって、忘れられないだろうさ」

    「………」

    勇者「………」

    「ねぇ、勇者様……」

    「私も500年前に連れていって!」

    勇者「!」

    「消える瞬間、勇者様にくっついてたらできるんでしょ!?」

    「お願い……私、別れたくないよ。ずっと一緒にいさせて!
       絶対に迷惑をかけないから! なんでもやるから!」

    勇者「そ、それは……」

    320 :

    江戸から現代までで400年くらいか

    321 :

    ルパンルパーン!

    322 = 232 :

    この勇者…ロリコン!!

    323 :

    お前昨日も同じ事言ってたな

    324 = 205 :

    「……なぁんてね。ごめんなさい、無理いっちゃって」

    「私はこの時代で生まれたんだから、この時代でしっかり生きるよ。
       そうしなきゃ、助けてくれた勇者様に悪いもんね」

    勇者「な、なんだ。驚いちゃったよ」

    「私が過去に行ったら色々おかしくなりそうだもんね。ごめんなさい。
       みんなが知らないことベラベラしゃべっちゃいそうだし」

    勇者「俺の時代は店とかもほとんどなかったしな……。
       来たって面白くないよ、アハハ」

    勇者「………」

    勇者(俺も……もし許されるなら君を──)

    326 = 271 :

    寝たいのに寝れないよ

    327 = 297 :

    大好きってそういう意味じゃないだろ常考

    328 = 203 :

    勇者さんロリコンさんじゃないですかー

    330 = 205 :

    パアァァァ……

    勇者の体が光り輝き始めた。

    勇者「!」

    「お別れ、だね」

    勇者「……そう、だな」

    「そうだ、最後にプレゼントあげる」

    勇者「え?」

    少女は勇者の頬にキスをした。

    勇者「……ありがとう」

    「勇者様、私のこと絶対忘れないでね!」

    勇者「ああ、もちろ──」

    バシュンッ!

    少女の目の前から、勇者が消えた。

    (さようなら、勇者様……!)ポロッ

    日が明けるまで、少女は独り静かに泣き続けた。

    331 = 297 :

    寝るわ

    332 = 307 :

    うわああああ

    333 = 205 :

    とある秘境──

    勇者「ただいま」

    時空使い「おかえり」

    時空使い「正直いって、生きて帰って来られないかと思っていたぞ」

    勇者「ああ、誰かさんがまさに処刑の真っ只中に飛ばしてくれたからな。
       いきなり死ぬところだった」

    勇者「しかもその直後、魔王より強いのと三連戦やらかしてきたんだ。
       我ながら、よく生き延びられたもんだと思ってるよ」

    時空使い「ハハハ、そんな世界じゃ魔王も恐ろしくて復活できんだろうな」

    勇者「まったくだ」

    時空使い「うまく……いったか?」

    勇者「……どうだろうな」

    334 = 222 :

    少女ちょっとかわいそす・・
    罪作りな男すなあ

    335 = 205 :

    勇者「ある日誰かに負けたからって、今までのやり方をすっかり改める。
       人間はそう単純なもんじゃない」

    勇者「仮に心を入れ替えても、それまでに覇者たちの犠牲になった人たちは、
       容易には許さないだろうしな……」

    勇者「だが、きっと何かは伝わったと思うよ。
       あとはもう、俺や師匠や賢者さんの子孫を信じるしかないさ」

    勇者「そして、あの少女はいい子だった……。
       歴史を壊してしまってでも、連れて帰りたくなるほどに」

    時空使い「おいおい、お前は人をドキリとさせるのがうまいな」

    勇者「アハハ。ある意味、それも勇者に必要な要素だろ」

    勇者「でも、俺が連れて帰らなかったのは、歴史が壊れるからじゃない。
       あの子はあの時代で生きていける、と確信したからだ」

    336 = 321 :

    しえゆ

    337 = 207 :

    寝る

    338 = 205 :

    勇者「時空使い……」

    勇者「ありがとう」

    勇者「自分の信念を曲げてまで、俺を助けてくれて……」

    時空使い「前にいったように、私は住む場所を変える」

    時空使い「もう私はお前と、いやヒトと会うことすらなくなるかもしれん」

    時空使い「しかし、心は不思議と穏やかだ」

    時空使い「私はお前と出会えてよかったと心から思っている。
         お前は私の術を、正しく活用してくれたと信じている」

    時空使い「お前が子孫たちや少女を信じるようにな」

    時空使い「さぁ行け、勇者!」

    時空使い「この時代にも、お前を必要とする人は大勢いるぞ!」

    勇者「ああ!」

    339 :

    時空=少女かと思った

    340 = 222 :

    時空使いは子孫つくらないだろうしなあ

    341 = 205 :

    町に戻った勇者は、人々から慕われ、勇者の名に恥じぬ活躍をすることになる。
    後世絵本で「幸せに暮らしました」と書かれるような、幸福な人生を送ったという。


    勇者に剣を教えた師匠と、魔法を教えた賢者も、それぞれの分野で認められた。
    彼らもまた、大勢の弟子に恵まれ、忙しくも豊かな日々を過ごすことになる。


    そして、勇者が没して数百年後──
    孤児院出身のある女性作家が勇者を題材にした小説を発表した。


    内容は勇者が過去未来と時空を飛び回り、人々を助けるという物語。
    荒唐無稽だという声もあったが、この小説は大ベストセラーになったという──


                                      ~おわり~

    343 :

    お疲れ様!

    344 :


    良かったわ

    345 :

    乙。さて寝るか

    346 :


    よい話だった

    348 :

    乙カレー粉

    350 :

    面白かったぜ乙!


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