元スレ勇者「ここが500年後の世界か……」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
51 = 1 :
勇者「俺もさ、勇者に憧れて勇者のファッションを真似てるんだけど、
きっと勇者なら──」
勇者「君をここから救い出し、覇者とかいう奴にお灸をすえるに違いない」
勇者「俺も腕っぷしには多少自信がある。
だから、ちょいと勇者がやりそうなことをやってやろうと思う」
少女「無理よ! 殺される!」
勇者「大丈夫だって。必ず救ってやるから。まぁ見てな」
勇者「オーイ、クソ看守!」
ドタドタッ
看守「お前か!? 今俺をクソ看守っていったのは!?」
勇者「申し訳ない。ウソがつけないタチなもので……」
看守「勇者様を侮辱したクズの分際で……!
明日の処刑まで待ってられるか、今すぐブチのめしてやる!」
53 :
こういうストレートな感じ、イエスだね!
54 = 1 :
看守は牢の鍵を開けて、中に入って来た。
ガチャッ
少女「きゃあっ!」
看守「二人仲良く殴り殺してやるから、覚悟しな!」
ブオンッ!
勇者は看守の警棒を掴み取ると、首に手刀を当てた。
看守「ぐえっ……!」ドサッ
勇者(魔王の手下にとっつかまった時もこうやって脱出したっけ……。
500年経ってもこういうとこは進歩がないんだな……)
勇者「よし、外へ出るぞ」
少女「で、でも……私は……」
勇者「じゃあムリヤリ連れてく」ヒョイッ
少女「あっ、やだ、持ち上げないでよ! 歩く、歩くからっ!」
55 = 1 :
「脱走者だ!」 「逃がすな!」 「殺してもかまわんっ!」
勇者は看守から奪った警棒で次々に番兵を打ち倒し、
少女を連れて留置所の外に出た。
しかし、すでに外には大勢の兵隊が待ち構えていた。
勇者「ちっ」
少女「もう逃げられない……。でも、お兄さんだけなら逃げられるはず!
私はいいから、早く町から逃げて!」
勇者「そうはいくかってんだ。後ろに下がってろ! お前らかかって来い!」
「この人数とやるつもりか?」 「バカめ……」 「かかれーっ!」
勇者「うおおおおっ!」
ドカッ! ベキッ! ズガッ!
勇者は大勢の兵隊相手に一歩も引かず、警棒一本で互角以上に戦ってみせた。
56 :
見ろ人がゴミの様だ
57 = 19 :
後の勇者無双だ。
60 = 1 :
「くそっ……」 「なんて奴だ」 「強い……!」
勇者「ハァ、ハァ……(よし、奴ら逃げ腰になってきた!)」
しかし──
師範「ずいぶん騒がしいが、なにがあったのか?」ザッ
兵士A「し、師範様っ! はっ、あの男と少女を勇者侮辱罪で捕えたのですが……
奴ら脱獄いたしまして……て、手こずっております……」
勇者(師範……? アイツが師匠の子孫に当たる男か……)
師範「ほう。つまりそんな輩を捕えられないキサマらも、
勇者様を侮辱したことになるな」
ズバッ!
兵士Aの首が飛んだ。
勇者「なっ……!?」
師範「どれ、この俺が相手をしてやろう。久々に骨がありそうな相手だ」
61 = 1 :
師範「剣と警棒では勝負にならんな。ヤツにも剣を与えてやれ」
兵士B「し、しかしヤツは脱獄犯──」
ザシュッ!
兵士Bは肩から腰までを、ナナメにバッサリと斬られた。
師範「与えてやれ」
兵士C「は、はいっ!」ビクビク
勇者は兵士Cから剣を手渡された。
勇者(仲間を……殺しやがった! なんのためらいもなく……)
勇者(今のだけで分かる……。あの師範ってヤツ、恐ろしく強いぞ……!
だが……コイツの強さを強さとは認めたくない!)
少女「お、お兄さん……」ガタガタ
勇者「心配するな。俺は絶対に負けない」
62 = 1 :
師範「いつでもいいぞ。かかって来い」
勇者「行くぞぉっ!」
ガキンッ!
勇者は渾身の力で剣を振り下ろした。が、師範は片手持ちのままでそれを受けた。
師範「なかなかの一撃だ」
勇者(バ、バカな……表情一つ変えずに受け止めた……)
師範「では、こちらから」
ガギィンッ!
師範の一閃。どうにか受けるが、勇者の両腕はシビれていた。
勇者(速いっ……そしてなんて重い剣だ……!)ビリビリ
師範「ほう、俺の一撃を受けるとはな。門下生に欲しいくらいだ。
だが、勇者侮辱罪は例外なく死刑だからな。実に残念だ……」
63 = 56 :
見たまえこの巨大な飛行石をこれこそラピュタの力の根源なのだ
さっさと逃げればいいものを
64 :
勇者よ、魔法は使えないのか?
65 = 1 :
攻防はしばらく続いた。
しかし、勇者の全力は明らかに手を抜いている師範に全く及ばなかった。
勇者「ハァ……ハァ……」
師範「キサマ、センスはあるのだが、まるで化石のような古臭い剣術だな。
いったいどこの田舎者だ?」
勇者(この町の生まれだよ……!)
師範「まぁいい、そろそろ終わりにするとしよう。
キサマと後ろの小汚いガキを殺して、フィニッシュだ」
勇者(くそぉ……! コイツの重い剣を受けすぎて、腕が……!)
少女「お、お兄さん……!」
すると──
大賢者「おやおや、師範さん。ずいぶん楽しんでらっしゃいますねェ」ザッ
師範「おお、これはこれは大賢者殿。学校はもう終わったのですかな」
勇者(こ、今度は……賢者さんの子孫か……?)
大勢の魔法使いを引き連れた大賢者が現れた。
66 = 1 :
大賢者「また弱い者イジメですか?
もっとも、あなたより強い剣士など覇者様くらいでしょうが……」
大賢者「この町で最大の罪、勇者侮辱罪を犯した者など久しぶりのことです。
私にも楽しませて下さいよ」
師範「……まぁ、よかろう(ふん、人間に魔法を撃ちたいだけだろうが……)」
大賢者「君、あの方を回復してあげなさい」
魔法使いA「はい」
魔法使いAの回復呪文で、勇者の体は全快した。
勇者「あ、ありがとう……(なんでこんな真似を……?)」
魔法使いA「別にいいよ。どうせアンタ、すぐ死ぬことになるし……」
勇者「………?」
大賢者「見たところ、あなたも魔力を宿しているようです。
どうです? 私と魔法合戦でもいたしませんか?
もし私に勝てれば、あなたも少女も無罪にしてあげますよ」
68 :
マホステや!
69 :
ネタバレ
勇者が自殺、または殺されて現代の血筋も消えハッピーセット
70 :
勇者にしか使えない魔法使ってやれよ
71 = 1 :
勇者(コイツ、俺を剣使いだと思ってあなどってるな……つけ入るスキはある!)
「いいだろう、俺から仕掛けてもいいか?」
大賢者「どうぞ」ニヤッ
勇者「はなっから全力だっ! “メガフレイム”ッ!」
ブオアッ!
強烈な炎が、大賢者を包み込んだ。
勇者がいた時代、呪文は通常呪文の上位、『キロ』系が最強とされていた。
フレイム⇒キロフレイム、といった具合である。
しかし、賢者は魔法学界から追放されるほどに危険な研究を繰り返し、
ついに『キロ』の上位である『メガ』系呪文を編み出した。
勇者は炎系呪文である“メガフレイム”しか習得していないが、
魔王軍との戦いで大いに役立った。
勇者(ちょ、直撃したぞ……!)ハァハァ
72 :
もうちょっと勇者強くてもいいんじゃないかない…
73 = 1 :
周囲にいる魔法使いたちから笑いがこぼれた。
「今、全力とかいってたよな」 「全力で『メガ』程度かよ」 「雑魚じゃん」クスクス
勇者「な、なんだ……?」
大賢者「やれやれ、この程度ですか」
勇者(む、無傷……!?)
大賢者「“メガフレイム”など、ここにいる魔法使いなら全員使えますよ。
──というより、『メガ』系など魔法の中では初級の部類ですからね」
勇者「ウソだ……『メガ』系呪文は最強のハズだ!」
大賢者「ウソじゃありませんよ。『メガ』系呪文の上にはさらに
『ギガ』『テラ』『ペタ』『エクサ』系呪文が存在しますから」
勇者「そ、そんな……(なんだよ、ギガとかテラって……)」
大賢者「炎のキレはなかなかでしたが……扱えるのが低級呪文がやっとでは、
私の相手にはなりませんねェ」
74 :
勇者ゴミじゃん
75 :
さすが500年後
76 = 1 :
大賢者「“テラフレイム”」
ゴオオワアァッ!
大賢者の右手から、勇者のものより遥かに大きい炎が放たれる。
勇者「ぐああああっ!」ドザッ
少女「お兄さんっ! お兄さん、しっかりしてっ!」
勇者(ダ、ダメだ……コイツら、強すぎる……)
師範「よし、もういいだろう。この二人は俺の試し斬りの材料になってもらう」
大賢者「トドメだけ持っていくなんてひどいじゃありませんか。
私もまだ試したい魔法があるんです」
勇者(さすがは、あの師匠と賢者さんの子孫だけある……! でも──)
勇者の脳裏に、恩師二人の顔が浮かぶ。
勇者(師匠も……! 賢者さんも……!)
勇者(間違ってもむやみに力をひけらかしたり、ましてや!
武器も持たない女の子を殺す、なんてことしない人なんだよぉっ!)
ガバッ!
勇者は立ち上がった。
77 = 53 :
はい
78 = 1 :
師範「ほう、まだ立てるか。よし俺が斬る」
大賢者「いえいえ、私が骨ごと焼き尽くしましょう」
勇者(立ったはいいが……打つ手は、ない……)ヨロッ
少女「お兄さん、逃げてぇっ! 今度こそ殺されちゃうわっ!」
勇者(逃げるわけにはいかない……!
もしここで逃げたら、俺は俺を一生勇者だなんて認められない!)
どちらが勇者を殺すかの口論は続いていた。
大賢者「あなたも譲らない人ですねェ。
ならば、いっそ同時に攻撃するってのはどうです?」
師範「よかろう。ただし、俺に魔法を当てるのだけはやめてくれよ」
大賢者殿「もちろん、そんなヘマはしませんよ」
二人の殺気が、勇者に向けられた。
勇者(来る……! こうなったら刺し違えてでも……来いっ!)チャキッ
「なにをしている?」
80 = 1 :
師範「!」
大賢者「!」
少女「!」
勇者「?」
空気が変わった。
「は、覇者様だ!」 「覇者様が来られたぞ!」 「おおっ、なんという幸運……」
少女「………!」ガタガタ
覇者「留置所周辺が騒がしいから来てみたら……どうしたんだ?」
師範「……はっ、私と大賢者で脱獄犯を追い詰めておりました」
覇者「それはご苦労だった。しかし、こう騒がしくするのは感心しないな。
町民をいたずらに不安にさせてしまうじゃないか」
師範「申し訳ありません……!」
勇者(コイツが……俺の子孫か……!
だが、俺の想像と違って暴君という感じではなさそうだが──)
覇者「あの剣士と少女が脱獄犯か……ちなみに罪状は?」
大賢者「二人とも、勇者侮辱罪と聞いています」
覇者「なに!?」
81 = 1 :
覇者「私の誇り高きご先祖様であり、私がこの世で唯一尊敬する人物である勇者様を、
ヤツらは侮辱したというのかっ!?」
大賢者「!」ゾクッ
大賢者「お、おっしゃる通りです……」
覇者「お、お、おのれぇ~~~~~! キサマらァ~~~~~!」
勇者(な、なんだ、いきなり!?)
覇者「許さんっ!!!」
ボゴォッ!
覇者は瞬間移動のような速さで間合いを詰めると、勇者を殴りつけた。
防御どころか反応すらできず、吹き飛ばされる勇者。
勇者「がっ……!」
(師範と大賢者も強かったが……コイツはケタ違いだ!)
82 = 68 :
ただの勇者キチガイかよwwww
83 :
魔王「500年ぶりに復活したんだが人間強すぎワロエナイ」
84 :
やっと追いついた
85 = 11 :
そこは助ける展開だろwww
86 = 33 :
>>19
ID変えてごくろうさん
87 = 70 :
このパンチ一発で覇王が透け始めたら大爆笑だな
88 = 1 :
覇者「ここ一年近く勇者侮辱罪を犯した者は現れてなかったというのに……!」
覇者「勇者様を侮辱した罪、万死に値するっ!!!」
覇者「ええい、キサマらは許せんっ! 公開処刑だっ!
明日、あの勇者像の前で私自らが処刑してくれるわっ!」
覇者「コイツらを牢屋に入れておけっ! 今度は絶対に逃がすな!
ついでにコイツらを逃がした看守は斬り捨てておけっ!」
兵士D「は……はいっ!」
勇者「あ、う……」
少女「お兄さん、大丈夫!? しっかりしてっ!」
勇者「うぅっ……」ガクッ
勇者は気絶してしまった。
89 = 35 :
魔王倒した当時より強くある必要があったのか・・
90 = 69 :
勇者「俺がお前の尊敬する先祖なんですけど」
覇者「証拠は?」
勇者「この鎧伝説の武具」
覇者「抱いて!!」
91 = 1 :
留置場 牢屋──
…
……
………
勇者「ん……」
少女「よかった、気がついた?」
勇者「ここは……」
少女「牢屋の中だよ」
勇者「そうか……俺は負けちまったんだったな。
ごめんな、必ず救い出してやるとかいったのに……」
少女「ううん、かっこよかったよ。
あの三人に立ち向かうなんて……もうだれもできないと思ってた」
勇者「………」
92 = 35 :
これ覇者が死ねば全部解決するパターンだな
てことはやっぱり・・
93 = 1 :
少女「処刑は明日の正午だって……」
勇者「そうか……」
少女「お兄さん、ありがとう。
私、最後にお兄さんみたいな人と会えてよかった。
私を救い出すっていってくれた時、本当に嬉しかった」
少女「だから、ね。本当は死ぬのが怖かったけど、今は全然怖くない。
お兄さんのおかげだよ」
勇者(ウソをつけ……震えてるじゃないか……)
勇者(しかし500年で、魔法や剣術があそこまで進歩してるとは……。
食糧事情もよくなったのか、体格や筋力も俺よりずっと上だし……)
勇者(くそぉ……!)
魔王にすら打ち勝った勇者が、手も足も出ずに負けた。
剣でも魔法でも、完敗だった。
負けた悔しさ、少女を救えなかった悔しさ、子孫が暴虐な支配者となった悔しさ。
勇者は少女に背を向け、声を殺して泣いた。
94 = 68 :
500年って相当だからな、強くなってても仕方ない
95 = 1 :
すると──
パアァァァ……
勇者(俺の体が光り輝き始めた!?)
勇者(そうか……もう12時間経ってしまったのか!)
少女「お兄さん、どうしたの!?」
勇者「いいか、よく聞いてくれ! 俺は必ずまたやって来る!
必ず君を助けてみせる! だから──」
バシュンッ!
少女の目の前から、勇者が消えた。
少女「!」
少女「………」
少女(お兄さん、いなくなっちゃった……。
でもよかった……これで死ぬのは私だけでよくなったから……)
96 :
技術革新十回分だから相当な筈だ
97 = 42 :
日本もここ100年で別世界だもんな
98 :
そして生涯童貞を決意した
100 = 22 :
フィクション→覇者が勇者をボコボコに
現実→家康が野田をボコボコに
みんなの評価 : ★★★
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