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元スレ男「えっ……私がクビですか?」
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男「どうかしましたか、課長」
課長「男くんか、急に呼んで悪いね」
男「いえ、それで用件は何でしょう?」
課長「……実に言い難いんだが」
男「はぁ」
課長「最近、我が社の景気が芳しくないのは知っているな?」
男「はい、存じてます」
課長「それでな、人員の削減を上から指示されたんだ」
男「……リストラですか」
課長「……そうだ、嫌な役目を負ったもんだ」
男「心中お察します。それで、私に何の……」
課長「……残念だよ」
男「えっ……」
課長「君はクビになった。明日からは来なくていい」
課長「男くんか、急に呼んで悪いね」
男「いえ、それで用件は何でしょう?」
課長「……実に言い難いんだが」
男「はぁ」
課長「最近、我が社の景気が芳しくないのは知っているな?」
男「はい、存じてます」
課長「それでな、人員の削減を上から指示されたんだ」
男「……リストラですか」
課長「……そうだ、嫌な役目を負ったもんだ」
男「心中お察します。それで、私に何の……」
課長「……残念だよ」
男「えっ……」
課長「君はクビになった。明日からは来なくていい」
男「人生これからだって時に、リストラだなんてな……」
男「高い競争率くぐりぬけて、会社に入社したってのに」
男「不景気だから『はい、サヨナラ』か……」
男「……は、ははっ」
男「どうすんだ……どうなるんだよ……」
男「これからまた、職探しか?」
男「こんな不景気に、あちこちに履歴書送って?」
男「馬鹿な、ふざけなんなよ……」
男「くそっ!」
男「……ああ」
男「もう……駄目だ……」
男「高い競争率くぐりぬけて、会社に入社したってのに」
男「不景気だから『はい、サヨナラ』か……」
男「……は、ははっ」
男「どうすんだ……どうなるんだよ……」
男「これからまた、職探しか?」
男「こんな不景気に、あちこちに履歴書送って?」
男「馬鹿な、ふざけなんなよ……」
男「くそっ!」
男「……ああ」
男「もう……駄目だ……」
男「…………」
男「……いっそ、死のうか」
男「俺が死んでも、悲しむヤツなんて誰もいない」
男「両親は既に他界してるし、恋人だっていない」
男「友人はいるが、親友と呼べるヤツなんて皆無だ」
男「……悲しいな」
男「なんてつまらない人生なんだ」
男「…………」
男「……死ぬか」
男「もう、生きるのに疲れた」
男「…………」
男「……終わりだ」
男「俺は死ぬ」
男「……いっそ、死のうか」
男「俺が死んでも、悲しむヤツなんて誰もいない」
男「両親は既に他界してるし、恋人だっていない」
男「友人はいるが、親友と呼べるヤツなんて皆無だ」
男「……悲しいな」
男「なんてつまらない人生なんだ」
男「…………」
男「……死ぬか」
男「もう、生きるのに疲れた」
男「…………」
男「……終わりだ」
男「俺は死ぬ」
──歩道橋
男「ははっ……ここから落ちれば、車に轢かれてお陀仏だ」
男「いくぞ……」
男「…………」
男「いざ死のうと思っても、足は震えるんだな」
男「死ぬのが怖いか」
男「でも……無様な生き恥を晒すのとどっちがいい?」
男「…………」
男「……よし」
男「これで終わりだっ」
たっ……。
男「……ッ」
男「ははっ……ここから落ちれば、車に轢かれてお陀仏だ」
男「いくぞ……」
男「…………」
男「いざ死のうと思っても、足は震えるんだな」
男「死ぬのが怖いか」
男「でも……無様な生き恥を晒すのとどっちがいい?」
男「…………」
男「……よし」
男「これで終わりだっ」
たっ……。
男「……ッ」
ガチっ……。
男「なっ」
老人「止めておけ」
男「は、離せよっ」
老人「そう簡単に命をお粗末にするな」
男「うるさいっ、あんたに関係ないだろっ」
老人「確かに君は私にとって他人だな」
男「だったら、離せっ」
老人「ただ、私の前で死なれるのは幾分、気持ちがいいものではない」
男「そんなこと知るもんかっ、俺は死ぬんだっ」
老人「だから、それが困ると言っている」
男「あんたに何が……」
老人「そんなもの知らん。ただ、私の気分が削がれる」
老人「死ぬのなら、私のいないところで死んで欲しいものだ」
男「なっ」
老人「止めておけ」
男「は、離せよっ」
老人「そう簡単に命をお粗末にするな」
男「うるさいっ、あんたに関係ないだろっ」
老人「確かに君は私にとって他人だな」
男「だったら、離せっ」
老人「ただ、私の前で死なれるのは幾分、気持ちがいいものではない」
男「そんなこと知るもんかっ、俺は死ぬんだっ」
老人「だから、それが困ると言っている」
男「あんたに何が……」
老人「そんなもの知らん。ただ、私の気分が削がれる」
老人「死ぬのなら、私のいないところで死んで欲しいものだ」
男「……くっ」
老人「そうだ、やめておけ」
男「…………」
老人「私に君の自殺したい理由は分からんが、想像なら出来るぞ?」
男「…………」
老人「恋人に振られた、会社に捨てられた、愛する者を失った」
男「……っ」
老人「人生、誰だって一度や二度、死にたいと思うことはある」
老人「だが、こんなジジイでも醜態を晒しながら生きているぞ」
老人「若い君が死ぬには、まだ早過ぎる気がするがな」
男「…………」
老人「どうだ、ここで死んでしまう前に……」
老人「独り身の寂しい老人の、話し相手にはなってくれんか? 」
老人「そうだ、やめておけ」
男「…………」
老人「私に君の自殺したい理由は分からんが、想像なら出来るぞ?」
男「…………」
老人「恋人に振られた、会社に捨てられた、愛する者を失った」
男「……っ」
老人「人生、誰だって一度や二度、死にたいと思うことはある」
老人「だが、こんなジジイでも醜態を晒しながら生きているぞ」
老人「若い君が死ぬには、まだ早過ぎる気がするがな」
男「…………」
老人「どうだ、ここで死んでしまう前に……」
老人「独り身の寂しい老人の、話し相手にはなってくれんか? 」
──夜道
老人「私が生まれたのは戦前だ」
老人「研究者だった父親は、いつも帰りが遅かった」
老人「でも、何の研究をしてるのかは聞けなかったよ」
老人「なぜなら、毎日、青ざめた顔で帰ってくるからな」
老人「戦争が終わっても、父親は魂が抜けたようだった」
老人「それを母親も私たち子供も心配してな。何度も励ました」
男「…………」
老人「だがな……ある日のことだった」
老人「父の書斎で、もの凄い大きな音が聞こえたんだ」
老人「急いで家族で駆けついてみると……父は死んでいた」
男「…………」
老人「拳銃を口に入れて、バンッとな……」
老人「後で分かった話だが、父は研究所で人体実験のようなものに携わっていたらしい」
老人「私が生まれたのは戦前だ」
老人「研究者だった父親は、いつも帰りが遅かった」
老人「でも、何の研究をしてるのかは聞けなかったよ」
老人「なぜなら、毎日、青ざめた顔で帰ってくるからな」
老人「戦争が終わっても、父親は魂が抜けたようだった」
老人「それを母親も私たち子供も心配してな。何度も励ました」
男「…………」
老人「だがな……ある日のことだった」
老人「父の書斎で、もの凄い大きな音が聞こえたんだ」
老人「急いで家族で駆けついてみると……父は死んでいた」
男「…………」
老人「拳銃を口に入れて、バンッとな……」
老人「後で分かった話だが、父は研究所で人体実験のようなものに携わっていたらしい」
老人「それからというのも、私は必死に勉強をした」
老人「幸いにも我が家は裕福な家系だった」
老人「良い大学に入って……そして、父と同じ研究者の道に進んだ」
老人「まあ、自分で言うのもなんだが、優秀だったよ」
男「…………」
老人「毎日、必死になって研究だ」
老人「そんな忙しい私に、恋人が出来るはずもない」
老人「人間関係を築くことを疎かにしていたからな」
老人「あの時は、面倒だったのだ。ただ、研究をし続けた」
男「…………」
老人「でも、この歳になって分かる」
老人「気が付けば、周りを見ると誰もいないことにな」
老人「もう死ぬかもしれないっていうのに、死を看取ってくれる人が一人もいない」
老人「寂しいことだろ? 今になってようやく気付けたんだ」
老人「幸いにも我が家は裕福な家系だった」
老人「良い大学に入って……そして、父と同じ研究者の道に進んだ」
老人「まあ、自分で言うのもなんだが、優秀だったよ」
男「…………」
老人「毎日、必死になって研究だ」
老人「そんな忙しい私に、恋人が出来るはずもない」
老人「人間関係を築くことを疎かにしていたからな」
老人「あの時は、面倒だったのだ。ただ、研究をし続けた」
男「…………」
老人「でも、この歳になって分かる」
老人「気が付けば、周りを見ると誰もいないことにな」
老人「もう死ぬかもしれないっていうのに、死を看取ってくれる人が一人もいない」
老人「寂しいことだろ? 今になってようやく気付けたんだ」
老人「この生涯をかけて、全てを犠牲にしたもの」
老人「私の研究の話をしよう」
老人「君は1985年の出来事を覚えてるか?」
男「……1985年? いや、分かりません」
老人「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だよ、映画の」
男「ああ……」
老人「あれは腹が立った。なぜなら、私が研究していた時間軸の話だったからだ」
男「時間軸?」
老人「未来に行ったり、過去へ戻ったり……タイムトラベルだ」
老人「あんな映画のせいで、私は時間軸の研究をやめた」
男「どうして?」
老人「過去を変えたいと思う馬鹿な連中が多いことに気付いたんだ」
老人「もし、タイムマシンでも作ってみろ。アホな奴らが世界に混沌を引き起こす」
老人「美しい螺旋の時間軸を崩してしまうことになる。それは私の本意ではない」
老人「私の研究の話をしよう」
老人「君は1985年の出来事を覚えてるか?」
男「……1985年? いや、分かりません」
老人「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だよ、映画の」
男「ああ……」
老人「あれは腹が立った。なぜなら、私が研究していた時間軸の話だったからだ」
男「時間軸?」
老人「未来に行ったり、過去へ戻ったり……タイムトラベルだ」
老人「あんな映画のせいで、私は時間軸の研究をやめた」
男「どうして?」
老人「過去を変えたいと思う馬鹿な連中が多いことに気付いたんだ」
老人「もし、タイムマシンでも作ってみろ。アホな奴らが世界に混沌を引き起こす」
老人「美しい螺旋の時間軸を崩してしまうことになる。それは私の本意ではない」
男「タイムマシン? あなたはそれが作れるって?」
老人「そう難しくはないさ。私の理論上では可能だ」
男「で、でもアインシュタインが……」
老人「相対性理論なんて糞喰らえだ。核爆弾を作ったアホに何が分かる」
男「……アホって」
老人「その話はもういい」
老人「それで私は、複数世界の研究をすることにした」
男「複数世界?」
老人「このような世界が幾つもあるってことだ」
老人「螺旋のように幾つもが絡まっている。ただ、私たちはそれを認識することは出来ない」
男「はぁ……」
老人「こことは違う、異世界がある。こう言えば、分かり易いか?」
男「ああ……アニメとかにありますよね」
老人「そんなことは知らんが、これは事実だ」
老人「そう難しくはないさ。私の理論上では可能だ」
男「で、でもアインシュタインが……」
老人「相対性理論なんて糞喰らえだ。核爆弾を作ったアホに何が分かる」
男「……アホって」
老人「その話はもういい」
老人「それで私は、複数世界の研究をすることにした」
男「複数世界?」
老人「このような世界が幾つもあるってことだ」
老人「螺旋のように幾つもが絡まっている。ただ、私たちはそれを認識することは出来ない」
男「はぁ……」
老人「こことは違う、異世界がある。こう言えば、分かり易いか?」
男「ああ……アニメとかにありますよね」
老人「そんなことは知らんが、これは事実だ」
老人「……ん、着いたか」
男「えっ」
老人「ここが私の家だ。広いだろ?」
男「そうですね……大豪邸です」
老人「ははっ、大豪邸か。中に入れ」
男「でも……」
老人「死にたいなら、明日にしろ」
老人「今日は私に付き合ってもらう」
男「…………」
老人「ただ、『死にたい』と言っていられるのも今のうちだな」
男「どういうことですか……」
老人「詳しい話は中でする。とにかく入れ」
男「えっ」
老人「ここが私の家だ。広いだろ?」
男「そうですね……大豪邸です」
老人「ははっ、大豪邸か。中に入れ」
男「でも……」
老人「死にたいなら、明日にしろ」
老人「今日は私に付き合ってもらう」
男「…………」
老人「ただ、『死にたい』と言っていられるのも今のうちだな」
男「どういうことですか……」
老人「詳しい話は中でする。とにかく入れ」
ガララララ……。
男「……うわぁ」
老人「ここが私の研究室だ」
男「見たことがない機械だらけですね」
老人「それはそうだ。なんせ私が作ったものだからな」
男「はぁ、凄い」
老人「こっちに来い」
男「あっ」
たたた……。
老人「さきほど、複数世界の話はしたな?」
男「こことは違う世界があるってことですよね?」
老人「そうだ。理解が早くて助かる」
男「それはどうも」
老人「で、だ」
男「……うわぁ」
老人「ここが私の研究室だ」
男「見たことがない機械だらけですね」
老人「それはそうだ。なんせ私が作ったものだからな」
男「はぁ、凄い」
老人「こっちに来い」
男「あっ」
たたた……。
老人「さきほど、複数世界の話はしたな?」
男「こことは違う世界があるってことですよね?」
老人「そうだ。理解が早くて助かる」
男「それはどうも」
老人「で、だ」
家族持ってないリストラーマンは失業保険で遊んでから自殺するだろjk
老人「君は死にたいらしい」
男「…………」
老人「心底、この人生に飽き飽きした」
老人「だから、あんな汚い歩道橋から落ちて、人の車に轢かれる」
男「…………」
老人「いい迷惑だな。死んでまでも人の迷惑となるか?」
男「……それは」
老人「だが、気持ちは分かる。私も、同じだからだ」
男「…………」
老人「孤独に苦しんで何度死のうと思ったか。数えることも出来ないほどだ」
老人「しかし、今までそうしなかった」
老人「どうしてか分かるか?」
男「……いえ」
老人「死のうと思った時、なぜか父の死に顔が浮かぶんだよ」
男「…………」
老人「心底、この人生に飽き飽きした」
老人「だから、あんな汚い歩道橋から落ちて、人の車に轢かれる」
男「…………」
老人「いい迷惑だな。死んでまでも人の迷惑となるか?」
男「……それは」
老人「だが、気持ちは分かる。私も、同じだからだ」
男「…………」
老人「孤独に苦しんで何度死のうと思ったか。数えることも出来ないほどだ」
老人「しかし、今までそうしなかった」
老人「どうしてか分かるか?」
男「……いえ」
老人「死のうと思った時、なぜか父の死に顔が浮かぶんだよ」
老人「穴の開いた口を大きく開けて、椅子に腰掛けている父がな」
男「…………」
老人「私はああなりたくはない。だから、くい留まる」
老人「君はどうだ?」
男「……俺は」
老人「君の体中があちこち曲がった醜い死体を見て、悲しむ者はいるか?」
男「…………」
老人「誰も悲しまないのなら寂しいことだ。君の死体を見て、轢いた男が言うだろう」
老人「『ああ、なんてことだ』」
男「…………」
老人「君を見て、呼ばれた救急隊員がこう言うだろう」
老人「『これはひどい』」
男「……っ」
老人「誰もが君の醜い死体に驚く。死んでまでも、恥を晒す」
男「…………」
老人「私はああなりたくはない。だから、くい留まる」
老人「君はどうだ?」
男「……俺は」
老人「君の体中があちこち曲がった醜い死体を見て、悲しむ者はいるか?」
男「…………」
老人「誰も悲しまないのなら寂しいことだ。君の死体を見て、轢いた男が言うだろう」
老人「『ああ、なんてことだ』」
男「…………」
老人「君を見て、呼ばれた救急隊員がこう言うだろう」
老人「『これはひどい』」
男「……っ」
老人「誰もが君の醜い死体に驚く。死んでまでも、恥を晒す」
老人「それで満足か? 君はこの世界から逃れたと言えるか?」
男「それでも……」
男「俺は、ここでは生きていたくない」
老人「恥を晒しても?」
男「誰も俺を必要としない世界で、何を生き甲斐に生きるんだ?」
男「愛する人もいない、死を悲しむ人もいない世界で……一体何を?」
老人「…………」
男「生きて明日から待ってるのは、職探しだ」
男「仮に職にありつけたとしても、上司に媚びへつらう毎日が始まるだけ」
男「疲れて帰ってきても、部屋には誰もいない」
男「あなたのような生き甲斐になる仕事もない」
男「俺がいなくても、代わりは幾らでもいる。俺だけしか出来ないことなんてないんだ」
老人「…………」
男「それでも……」
男「俺は、ここでは生きていたくない」
老人「恥を晒しても?」
男「誰も俺を必要としない世界で、何を生き甲斐に生きるんだ?」
男「愛する人もいない、死を悲しむ人もいない世界で……一体何を?」
老人「…………」
男「生きて明日から待ってるのは、職探しだ」
男「仮に職にありつけたとしても、上司に媚びへつらう毎日が始まるだけ」
男「疲れて帰ってきても、部屋には誰もいない」
男「あなたのような生き甲斐になる仕事もない」
男「俺がいなくても、代わりは幾らでもいる。俺だけしか出来ないことなんてないんだ」
老人「…………」
男「この世界は……俺を必要としていない」
男「俺が生きる意味なんてないのさ……ただの無意味だ」
老人「だから、死ぬと?」
男「……そう、もう終わるんだ」
男「この無駄な時間を、一秒でも過ごさないために」
老人「……ふむ」
男「……分かってもらえますか」
老人「ああ、分かる。嫌というほどにな」
男「そうですか……」
老人「…………」
老人「『世界に必要とされていない』か」
男「…………」
老人「良い言葉だな。気に入った」
男「え……」
男「俺が生きる意味なんてないのさ……ただの無意味だ」
老人「だから、死ぬと?」
男「……そう、もう終わるんだ」
男「この無駄な時間を、一秒でも過ごさないために」
老人「……ふむ」
男「……分かってもらえますか」
老人「ああ、分かる。嫌というほどにな」
男「そうですか……」
老人「…………」
老人「『世界に必要とされていない』か」
男「…………」
老人「良い言葉だな。気に入った」
男「え……」
老人「この世界に必要とされない君に、聞こう」
男「……何を」
老人「仮に世界が君を必要とするなら?」
老人「もし、君が生きることで、何かを変えられるなら?」
男「……何を言ってるんです?」
老人「君の言う通りだ」
老人「この世界は君を必要としていない」
男「…………」
老人「犬の糞ぐらいに思っていることだろうな」
老人「なくても困らない。いや、逆に邪魔なくらいだ」
男「……犬の糞ね……」
老人「…………」
老人「……だが」
老人「他の世界だったらどうだ?」
男「……何を」
老人「仮に世界が君を必要とするなら?」
老人「もし、君が生きることで、何かを変えられるなら?」
男「……何を言ってるんです?」
老人「君の言う通りだ」
老人「この世界は君を必要としていない」
男「…………」
老人「犬の糞ぐらいに思っていることだろうな」
老人「なくても困らない。いや、逆に邪魔なくらいだ」
男「……犬の糞ね……」
老人「…………」
老人「……だが」
老人「他の世界だったらどうだ?」
>>32
たしかに。何かすごいどんでん返しがありそう。
たしかに。何かすごいどんでん返しがありそう。
男「ほかの、せかい?」
老人「そうだ、こことは違う世界だよ」
老人「可能性という可能性が数多と転がっている世界だっ」
男「そ、そんなの……」
老人「あるわけがないって?」
男「…………」
老人「ははっ、君は理解していないようだな」
老人「アインシュタインをアホだとぬかした老人」
老人「そんな、この私は誰だ?」
老人「そうだ、こことは違う世界だよ」
老人「可能性という可能性が数多と転がっている世界だっ」
男「そ、そんなの……」
老人「あるわけがないって?」
男「…………」
老人「ははっ、君は理解していないようだな」
老人「アインシュタインをアホだとぬかした老人」
老人「そんな、この私は誰だ?」
男「……え……」
老人「天才だよ。人類が始まって以来の本当の天才だ」
男「はは……自分で言いますか?」
老人「細かいことを気にするな。私が言わなければ、誰が言う?」
老人「今まで論文を発表もしたことがない、無名のジジイだ」
老人「誰にも評価されたことがないのが自慢でね」
老人「研究したものも死ぬ前に全部処分するつもりだった」
老人「でも……」
老人「そんな時、君に出会った」
男「…………」
老人「歩道橋で死のうとしていた君を見つけたんだ」
老人「この世界に必要とされていない君をね」
老人「天才だよ。人類が始まって以来の本当の天才だ」
男「はは……自分で言いますか?」
老人「細かいことを気にするな。私が言わなければ、誰が言う?」
老人「今まで論文を発表もしたことがない、無名のジジイだ」
老人「誰にも評価されたことがないのが自慢でね」
老人「研究したものも死ぬ前に全部処分するつもりだった」
老人「でも……」
老人「そんな時、君に出会った」
男「…………」
老人「歩道橋で死のうとしていた君を見つけたんだ」
老人「この世界に必要とされていない君をね」
男「…………」
老人「だから、私は決めた」
老人「そんな君を」
老人「この世界では、犬の糞と同等の価値の君を」
男「…………」
老人「この腐り切った世界とは違う、別に世界へ」
男「あ、ああ……」
男「……う、嘘だろ?」
老人「──送り出してやろう」
老人「だから、私は決めた」
老人「そんな君を」
老人「この世界では、犬の糞と同等の価値の君を」
男「…………」
老人「この腐り切った世界とは違う、別に世界へ」
男「あ、ああ……」
男「……う、嘘だろ?」
老人「──送り出してやろう」
おれも死ぬなら宇宙の果てに片道キップで飛ばしてほしいブラックホールに吸い込まれたら勝ち
老人「これが複数世界を移動できる装置だ」
男「名前はあるんですか?」
老人「いや、何も考えていなかった」
老人「そもそも使う気など更々なかったからな」
男「……はは……本当に大丈夫ですか?」
老人「死にたいとぬかしてた者が何を心配がる」
老人「私の理論上は可能だ。だが、万が一もあるな」
男「……失敗したら?」
老人「おそらく焼けこげるか、まあ死ぬことには変わりない」
男「……は、はは」
老人「よし、用意はいいか?」
男「は、はい……」
老人「スイッチを入れるぞ。気を引き締めていけ」
男「名前はあるんですか?」
老人「いや、何も考えていなかった」
老人「そもそも使う気など更々なかったからな」
男「……はは……本当に大丈夫ですか?」
老人「死にたいとぬかしてた者が何を心配がる」
老人「私の理論上は可能だ。だが、万が一もあるな」
男「……失敗したら?」
老人「おそらく焼けこげるか、まあ死ぬことには変わりない」
男「……は、はは」
老人「よし、用意はいいか?」
男「は、はい……」
老人「スイッチを入れるぞ。気を引き締めていけ」
──ザザザザザザッ
男「うぅ……」
老人「うるさいのは気にするな」
老人「それと成功しても、どの世界にいけるかは保証できない」
老人「何もない荒野にいくかもしれんし、ここと似たような世界かもしれん」
──ザザザザザザッ
男「行き当たりばったりですね……」
老人「君はこの世界で死ぬんだ。死人が余計な心配をするな」
老人「どんな世界だとしても、がむしゃらに生きろ」
老人「世界に必要とされるように、最善を尽くすんだ」
老人「なんせ君は、一度、死を覚悟した人間なんだからな」
男「はっ、そうりゃそうだ」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
男「うぅ……」
老人「うるさいのは気にするな」
老人「それと成功しても、どの世界にいけるかは保証できない」
老人「何もない荒野にいくかもしれんし、ここと似たような世界かもしれん」
──ザザザザザザッ
男「行き当たりばったりですね……」
老人「君はこの世界で死ぬんだ。死人が余計な心配をするな」
老人「どんな世界だとしても、がむしゃらに生きろ」
老人「世界に必要とされるように、最善を尽くすんだ」
老人「なんせ君は、一度、死を覚悟した人間なんだからな」
男「はっ、そうりゃそうだ」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
老人「最後に聞いておく」
老人「君の好きなファンタジー映画はなんだ?」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
男「え……『ロード・オブ・ザ・リング』かな?」
老人「『指輪物語』か。洒落てるじゃないか」
男「エルフとか、ホビットとか、そんな人種がいる世界がいいですね」
老人「はは、夢は広がるばかりだな」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
老人「そんな世界に行けると信じろ」
男「…………」
老人「幸運を祈ってる」
老人「君の好きなファンタジー映画はなんだ?」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
男「え……『ロード・オブ・ザ・リング』かな?」
老人「『指輪物語』か。洒落てるじゃないか」
男「エルフとか、ホビットとか、そんな人種がいる世界がいいですね」
老人「はは、夢は広がるばかりだな」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
老人「そんな世界に行けると信じろ」
男「…………」
老人「幸運を祈ってる」
老人「さて、お別れの時間だ」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
老人「いよいよ、この世界からおさばらだ」
老人「君の新たな人生が始まる」
男「……はい」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
老人「頑張れ」
老人「世界に必要とされるように」
男「……………」
老人「諦めるな」
老人「世界に必要とされるように」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
老人「いよいよ、この世界からおさばらだ」
老人「君の新たな人生が始まる」
男「……はい」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
老人「頑張れ」
老人「世界に必要とされるように」
男「……………」
老人「諦めるな」
老人「世界に必要とされるように」
老人「……この装置の名前を決めた」
老人「『FOTW』と名付けよう」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
男「……ああ……ああああ」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
男「……世界が……白く染まっていく……」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──Fuck Off This World!!(この世界なんて糞喰らえ!)──
男「ははっ……最高だっ」
──ザザザザザザッ ──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ ──ザザザザ……
プツッ……。
老人「『FOTW』と名付けよう」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
男「……ああ……ああああ」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
男「……世界が……白く染まっていく……」
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ
──Fuck Off This World!!(この世界なんて糞喰らえ!)──
男「ははっ……最高だっ」
──ザザザザザザッ ──ザザザザザザッ
──ザザザザザザッ ──ザザザザ……
プツッ……。
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- P「はぁ…レンタルですか?」 (783) - [64%] - 2012/2/5 17:15 ★★★×13
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- 妹「兄さん、私になにかした?」 (162) - [55%] - 2013/1/14 4:15 ☆
- 男「はぁ……俺と妹が勇者ですか……」 (125) - [55%] - 2012/11/27 13:30 ☆
- 梓「あれ……制服がキツい……?」 (1001) - [54%] - 2010/8/19 23:31 ★★
- 照「……私のプリンがない」 (428) - [54%] - 2012/6/16 6:30 ★★
- 男「そして誰もいなくなった」 (585) - [54%] - 2012/2/8 5:30 ★
- 咲「えっ、麻雀大会ですか?」 (298) - [54%] - 2013/3/31 18:15 ☆
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