元スレ唯「ういー、おかわりー」セイバー「私にもお願いします」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
651 :
女
653 = 561 :
ただいま。
遅くなって申し訳ない。
聡のこと
アーチャーのこと
どちらを先に書く?
654 :
聡ェ…
655 :
アーチャーの方が気になる
656 = 577 :
おかえり
アーチャー頼む
657 = 628 :
>>653
お帰り。短い方からやったほうがスレが綺麗じゃないかな。
658 = 561 :
そろそろ再開する。
聡のことから始める。
659 = 561 :
――琴吹邸・ホール――
律「……キャスターとアサシンを倒して、もう引き返せなくなったな」
律「なあバーサーカー。お前の所為なんだからな。私が戦わなければなら
なくなったのは」
律「――唯とも、戦うことになったのはさ」
律(一週間前の、あの日だ)
律(私が、お前と出会ったのは)
律(アイツの、残酷すぎる運命が始まったのは――)
律「聡……。お前は――」
バーサーカー「――――」
律「……」
律「もうすぐ、セイバーと唯がやってくるな」
律「アーチャーは来るだろうか」
律「……澪とは、戦いたくないな」
律「――いや、唯とも戦いたくない。ホントは、戦いなんて嫌いなんだ」
律「……怖いよ。聡……」
661 = 561 :
――律の回想――
聡「なー! ねーちゃーん!」ごろごろ
律「どうした? 私の部屋でゴロゴロしやがって」
聡「ひまー」
律「私も暇だが、この暇を有意義に無駄にしたいんだ。漫画なら貸してや
るから、さっさと出て行きなさい」
聡「姉ちゃんと遊びたーい」
律「中学生にもなって姉ちゃんと遊びたいだなんて、いくらなんでも子供
すぎないか?」
聡「いいじゃんいいじゃん。姉弟なんだから、仲良ししようぜ。唯さんたち
みたいにさ」
律「憂ちゃんみたいになりたいのなら家事をやりたまえ」
聡「ちぇー。休日に家にいてさ、姉ちゃん彼氏とかいないのかよ」
律「そんなもんは、いませんっと」ごちん
聡「このタイミングで暴力!?」
律「中学生のくせに、やらしいこと考えるからだぞ。しかも実の姉で」
聡「世界一面倒な冤罪キター!」
662 :
>>1のブログってどこかわかるやついる?
664 = 561 :
律「ほら、中学生は自分の部屋で秘め事でもしてなさい」
聡「直接的な表現じゃないだけ、まだ姉ちゃんに乙女心があるから安心した
よ」
律「――ば、馬鹿!」スパン
聡「いたっ! ジャンプで殴るな!」
律「うるせえ! ハンターハンターが休載してるジャンプなんか必要ない!」
聡「FF14が出るんだから仕方ないだろ!」
律「……よし、私の機嫌をとるため、ここは弟自らがアイスを買ってきなさい」
聡「これはまた脈絡がないな。姉ちゃんのそういうところ、ダイスキでござ
います」
律「そんな棒読みじゃあ機嫌良くならないぞー」
聡「でも、まあいいや。何がいい?」
律「モナカー」
聡「ん。それじゃあいってくるよ」
665 = 561 :
律「……」
律「確かに、暇だな」
律「――」ごろっ
律「今週のナルトはよくわかんねー」
律「やっぱ、いぬまるだしだよな。今のジャンプはこれを柱にするべきなん
だよ」
律「……ププッ」
律「――保健室がバトル展開かー。まあ、仕方ないよな」
律「めだかとロックオンはそろそろ打ち切られろよ……」
律「……」パタン
律「ひまー」
律「澪に電話しよっかなー」
律「でも、取り立てて話すこともないしなー」
律「……聡のやつ、遅いなー」
律「とはいっても、出て行ってまだ5分くらいか。まあ、そんなもんだよな」
律「……なにしよっかな」
667 = 561 :
律「……」
テレビ「ちゃうねん。それはな、深い話やねん。わかるか上地」
テレビ「はい! 僕も松坂の球――」ブツン
律「――つまんねー」
律「聡ー、さっさと帰ってこーい」
聡「そう言われるのを待っていた!」
律「うわ!」
聡「……というのは冗談で。ほい、アイス買ってきた」
律「さんきゅー」
聡「ちなみに俺はガリガリくん」
律「随分とやっすいの買ってきたなー」
聡「ガリガリくんは攻守最強だぞ。当たりがでたらもう一本だしな」
律「それもそうだな」
聡「……姉ちゃんって、可愛いよな」
律「は?」
668 :
俺「は?」
669 = 561 :
聡「いやだから、姉ちゃんは可愛いなって思ったの」
律「わけがわからない」
聡「同じクラスに、まあそれなりに可愛い子がいるんだけどさ。その子が、体
育だったかの時間で、姉ちゃんみたいに前髪をカチューシャで止めてたん
だ。そうしたら、びっくりした」
律「なんで?」
聡「……かなり、アレになったんだよ」
律「ああ……」
聡「それを見て思ったんだ。姉ちゃんって、よくもまあそんな髪型でも可愛いよなって」
律「そんな髪型っておまえー」ぐりぐり
聡「いたたたたた! 褒めてるのに! 褒めているのに!!」
律「……私、可愛いか?」
聡「弟が言うのはどうかとは思うけど、可愛いよ。澪姉にも負けないくらいにさ」
律「――ばーか」
聡「とまあ、そういう褒めも入れたところで、釣りしに行かない?」
律「……最初っから、それが目的だっただろ」
670 = 561 :
――港――
聡「それにしても、姉ちゃんって穴場探すのうまいよなー」
律「目の付けどころがシャープだからな」
聡「この港だって、誰も人いないもんな」
律「昔はけっこう栄えてたらしいぞ。産業まつりとかもやってたしな」
聡「あー。なんか覚えてるかも」
律「おまえ、迷子になってびえんびえん泣いてたんだぞー」
聡「うう……」
律「私のこと見つけたら、おねえちゃーん! って言って走り寄ってきてさ。
可愛かったなー」ぷにぷに
聡「ほっぺ触るな!」
律「あれー? 顔が赤くなってるぞー?」
聡「――フン!」
律「可愛い弟め」
聡「さっさと釣ろうよ。まったくもう……」
671 :
俺もりっちゃんみたいな姉ちゃん居たら今頃ニートじゃなかったはず
672 = 561 :
聡「ほら、姉ちゃんの釣り竿」
律「さんきゅっ! 餌までつけてくれて申し訳ないねー」
聡「一応男だからさ。そらっ!」ちゃぽん
律「さっすが! たくましい!」ちゃぽん
673 = 561 :
聡「……いい天気だなぁ」
律「本当だな。いい天気だ」
律「こういう日に、大好きな姉ちゃんと釣りなんて幸せだなぁ」
聡「セリフの順番的に俺が言ったみたいになるだろ! ただでさえ名前が
漢字一文字同士でわかりにくいんだから!」
律「てへっ!」
聡「なんだそのむかつく笑顔!」
律「な! 姉を敬えー!」
聡「敬えるか、こんな姉」
律「へー」
聡「あっさりと引き下がるね」
律「いや、そんなこと言うなら唯たちに聡のアノ写真見せちゃおうかなって」
聡「申し訳ないです」
674 = 561 :
律「まさか、あの聡くんがあんなことしてるなんてなー」
聡「お願いだから、やめてください」
律「部活でもエースで、もはや学校内に知らぬものはいないであろう田井中
聡が、あーんなことするなんてなー」
聡「頼むから、唯さんたちに見せるのだけは勘弁して」
律「あははー! 冗談だよー!」
聡「それはよかった……」ハァ
律「……釣れないなぁ」
聡「姉ちゃんがうるさいからだよ」
律「飽きてきたなー」
聡「弟との会話を楽しめ。そんなんだからモテないんだぞ」
律「いや、一応モテるぞ」
聡「マジ!?」
律「……女にだけど」
聡「あー。なるほどね。……ちょっとジュース買ってくるよ」すくっ
675 = 561 :
律「あれ? このへんコンビニあったっけ?」
聡「あそこの倉庫前に自販機があるんだよ。姉ちゃんはなに飲む?」
律「そうだったっけ? まあいいや。私はコーラ」
聡「おっけ」
律「チョイ待ち……ほら」
聡「あれ? 300円?」
律「さっきアイスおごってもらっただろ? そのお返しだよ」
聡「へえ、ありがとう」
律「もっと感謝の意を前面に押し出せよ。姉ちゃんのほっぺにならキスして
いいんだぞ?」
聡「澪姉に怒られるから、そういうのはいいって」
律「そこでどうして澪が出てくるんだよー」
聡「さーて、どうしてかなっと」すたこらさっさ
律「なんだよあいつー」
律「――しまった。また暇になってしまった」
676 = 561 :
律「――」
律「あ、釣れた」ちゃぽん
律「まだ小さいな。よし、お前は海に帰りなさい」
律「おっきくなったら、また釣られに来いよー」
律「……」
律「餌、くっつけるの難しいな」
律「父さんに教わったけど、聡みたいにいかないな……」
律「うーん……」
律「私、こういう細かい作業苦手なんだよなー」
律「悪く言えば大雑把。よくいえば豪快?」
律「――聡のやつ、遅いな」
律「自販がある倉庫って、あそこだよな」トコトコ
律「……」
律「あれ? 聡のやつ、いないぞ」
677 = 561 :
律「聡? さとしー」
律「……?」
?「―――――――」
律「え? はい?」
律「なに、この馬鹿でかい塊……」
?「―――――――――!!!!!!!」
律「!?」
律「……まさかこれ、イキモノ?」
聡「――」
律「聡!」
聡「……あ」
律「あれ、一体なんだよ! どうしてこんなところに――え?」
聡「――ね、ちゃ」
律「お、お前……お前……顔が……」
律「うわああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああ!!!!!!!!」
678 = 561 :
――回想終わって――
律(聡は、バーサーカーに触れて瞬間に契約、全ての生命力を奪われた)
律(でも――お前にだけ負担を負わせない)
律(だから、私は戦う。聖杯戦争のことなら、偽臣の書に書いてあったからな)
律(全身が令呪に覆われた聡は、バーサーカーの動き一つ一つに激痛
が走る)
律(頑張ってきたが、もう限界だ。今日の朝日を見ることなく、聡は死ぬだろう)
律(だから――)
律「今日で全てを終わらせるぞ。聡」
律(聖杯で、おまえを回復させてやる。部活ができるようにしてやる)
律「だから、たとえ唯と澪が相手でも――私は勝つ」
律「そうだろう? バーサーカーよ」
~了~
679 = 590 :
乙
次はアーチャーか
680 = 561 :
少し休憩してからアーチャー編を書く。
682 = 671 :
聡がバーサーカーになった訳ではなかったのか
バーサーカーがギルガメッシュって人に殺されたから聡はギリギリ助かったの?
683 = 561 :
そろそろ再開しようと思う。
>>682
そう。
聡が助かる方法は二つ。
朝日が昇る前にバーサーカーが死ぬか、律が聖杯を手に入れること。
後者は確実に回復するが、前者では障害が残ってしまい、聡はスポーツ
を断念せざるを得なくなってしまった。エピローグで澪が聡に食べられる
か聞いたのはそのため。
684 = 671 :
そうだったのか
聡・・・
再開wktk
685 = 561 :
Why did she arrive there?
――琴吹邸・ホール――
唯「――来たよ」
アーチャー「遅いわよ。もう少しで、ミオを殺してしまうところだった」
セイバー「アーチャー! ミオはどこか答えなさい!」
アーチャー「この先にあるワイン庫にいるわよ。一応、今のところは無事」
唯「……澪ちゃんを返して」
アーチャー「それは出来ないね」
唯「どうして!?」
アーチャー「ヒラサワユイ。貴女を殺すからよ」
ランサー「随分なことを言うじゃねえかアーチャー。俺とセイバーの姿が見え
ねえとは言わせねえぞ」
アーチャー「――単独行動の限界が過ぎ、魔力が枯渇しかかってるワタシ
相手に、あなたたちが戦う?」
セイバー「当然です。ユイが、貴様と戦うことは――」
唯「私が戦う」
セイバーランサー「!?」
686 = 561 :
唯「私が、アーチャーと戦う。それで、澪ちゃんは返してくれるんでしょ?」
アーチャー「そうね。貴女と戦ってる間は、セイバーとランサーが空いちゃう
もの。そうしたら、ミオを助けるのも楽チンね」
唯「――セイバーちゃん、ランサー。そういうことだから、いい?」
セイバー「了解しました。しかし、こちらにも条件があります」
ランサー「同じく。無条件ではやらせられねえな」
唯「?」
セイバー「私たちはここで見守ります。ユイが、アーチャーに命を脅かされる
ことがあろうことなら」
ランサー「俺たちが加勢する。だが、それまでは手は出さねえ。これでいいか?」
唯「……うん。それならいいよ」
アーチャー「これはまたきついなー。どっちにしても、私はもうここで終わり
ってことじゃない」
セイバー「当然でしょう。本来なら、すでに貴女を切り伏して、ミオの救出
に向かっている」
アーチャー「――それもそうか。それじゃあ、ヒラサワユイ。決着をつけま
しょうか」
唯「――うん」
687 :
>>685
本編のいつごろだ?
688 :
こまけぇことはいいんだよ
689 = 561 :
アーチャー「――ワタシの真名は、知ってるわよね」かつん
唯「……唯、でしょ?」
アーチャー「そう。ワタシの名は真鍋唯。出来れば、この名前は名乗りたくな
かったけれど、ワタシという存在は、すでに平沢唯としてではなく真鍋唯と
しての記号が正しい」かつん
唯「――和ちゃんと、一緒になったの?」
アーチャー「それも正解。和は、私にとってかけがえのない人だった」かつん
唯「私だってそうだよ。でも、私が守りたい人は和ちゃんじゃなくて――」
アーチャー「ミオなんでしょう。そんなこと、とうの昔に気が付いていた。だか
ら、ワタシは貴女と戦う」かつん
唯「澪ちゃんを助ける。そして、守る。そのための障害になるのなら、私は、
たとえサーヴァントであっても倒す」
アーチャー「とぼけた顔をしていても、本質的には変わらないわね」かつん
唯「だって、同じ唯だもん」
アーチャー「それもそうか」かつん
アーチャー「それじゃあ、始めようか。どちらの唯が正しいのかを、ここで決め
てしまおう」カツンッ!
690 = 561 :
唯「――セイバーちゃん」
セイバー「はい」
唯「剣、貸してくれない?」
セイバー「断る理由はありませんよ。私は貴女の剣なのですから、私の剣
も、等しく貴女のものだ」
唯「……ありがとう」
セイバー「これで、私が手を出すことはできなくなりました」
ランサー「俺の槍を奪ってでも助太刀に入るかい?」
セイバー「まさか。貴方の魔槍は、貴方にしか扱えませんよ」
ランサー「それもそうか」
唯「――思ったより、軽いんだね」
アーチャー「それは妖精が鍛ったものだからよ。持った者の、力によって
その形状すらも変化させる」
唯「詳しいんだね」
アーチャー「無駄話よ。――ギー太、ちょっと荒く扱うけど、我慢してね」
691 = 561 :
唯「ギー太――まだ、持ってたんだ」
アーチャー「これは私が一番楽しいと感じた瞬間の思い出の象徴。ワタシは、
生涯このギターしか使わなかった」
唯「ムギちゃんが聞いたら、きっと驚いて喜ぶよ」
アーチャー「興味がない。それよりも、切りかかってきなさい。カウンターとる
から」
唯「――!」ブン
アーチャー「まるで素人ね。間合いも剣の握りも全て0点よ」
唯「うるさい!」ブン
セイバー「……駄目だ。あれでは、いくら魔力が僅かしかないとはいえ、
アーチャーには触れられない」
唯「――!!」ブンブン!
アーチャー「どこを見ているの?」
唯「――アーチャー!」
アーチャー「少し静かにしなさい」ガン!
692 = 561 :
唯「ん!」ぐらり
アーチャー「やっぱり、ギー太で殴ると効くでしょう? レスポールは重いから
ね。よくもまあ、こんな代物を選んだものよ」
唯「ギー太で、ギー太をそんなふうに使わないでよ!」ブン
アーチャー「――だったら、これはなんのためにあるのよ!」ガン!
唯「――痛っ!」
アーチャー「私にとって、もうギターなんてものは意味がない! 戦いの道具
に使えるのであれば、このギターはもうそれしか価値がない!」
唯「違う! ギターは楽器なの! 人を傷つけるものじゃない!」
アーチャー「なら――他者を傷つけないために、自分を傷つけていいの!?」
唯「――!」
アーチャー「私には、かつてのヒラサワユイには夢があった!」ガン
唯「あ――!」
アーチャー「武道館でライブをして、アーティストになってお金を稼いで、
憂に楽をさせたい! そう思った!」
セイバー「……」
693 = 561 :
唯「ハァ……ハァ……」
アーチャー「そうよ。私には才能があった。だから、澪ちゃんやりっちゃんたち
をおいて、あっさりプロになれたし、CDも飛ぶように売れた」
唯「――」
アーチャー「そのために何をしたか。どこかの社長と寝たり、そういった汚い
ことなんて一つもせず、ただ愚直なまでに鍛錬した!」
ランサー「――」
アーチャー「置いてきてしまった仲間たちのため。蔑ろにしてきた妹のため
に、私は孤独に震えながらも、それに耐えてきた」
アーチャー「得るものはいくつもあった。カネなんて、使っても使っても次の
日にはその10倍の額が振り込まれる。そんな、夢のようでいて幻のような
生活の中で、私は結局一つのことしか知らなかった!」
唯「……歌うことと、弾くこと」
アーチャー「そうよ。それしか知らなかった私は、まるで子供のよう
に――否、未だ子供だったのよ。あの時の私は――」
セイバー「ユイ……」
アーチャー「そうして、武道館での夢が叶ったの。それでも、私の心の中は、
変わらずに空っぽのままだった」
695 = 561 :
セイバー「――」
唯「夢が叶ったのに、空っぽ――?」
アーチャー「私にとって、夢は軽音部のみんなと武道館のステージに立つ
ことだった。それを、たった一人でしか果たせなかった私は、何も得ること
もなく、そのライブを終えた」
アーチャー「終わっても、なにも感じなかった」
アーチャー「こんなにも、こんなにも意味のないものだったのかと、恐ろしさ
すら感じたよ」
唯「……そんなこと」
アーチャー「そんなことがあったのよ。それでも、夢を叶えても私が出来るこ
となんて、一つしかなかった。だから――私は歌い続けた」
アーチャー「歌い続けると、誰もが私を見てくれた」
アーチャー「ギターを弾いているだけで、誰しもが私を好きでいてくれた」
アーチャー「――永く、本当に永く孤独だった」
アーチャー「でも、私にも転機があった。27歳の春のことだ」
アーチャー「イギリスでの公演で、私は街で和と再会したの」
697 :
すごく…奥が深くて惹き込まれる
698 = 561 :
唯「――和ちゃんと……」
アーチャー「何も変わっていなかった。あの時の、私の世話をしてくれたあの
頃と、なにも変わってくれないでいた」
唯「……」
アーチャー「私たちが、再びその関係を修復するのに時間は要らなかった」
セイバー「ノドカ……」
アーチャー「ずっと、共にあろうと誓ったのは、再会して一年後のことよ」
唯「――私が……和ちゃんと……」
アーチャー「毎日のように愛し合った。毎日のように、私たちは――」
唯「――」
アーチャー「しかし、そのころには私は世界的なアーティストになっていた。
知らぬ間に、気が付いたらだ」
唯「……」
アーチャー「ヒラサワユイ。世間は、私たちを見てどう感じると思う?」
699 = 575 :
ガチレズでありますwwwwww
ガチレズ乙でありますwwwwwwww
700 = 561 :
唯「幼馴染同士が、恋人になってよかったねって……祝福してくれ――」
アーチャー「ちがう!! 世間は、マスコミは私たちを異常者として祀り上げ
た! 同性愛者、それは世界的なアーティストであっても、侮蔑の対象でしか
なかったのよ!!」
唯「――!」
アーチャー「毎日のように流れていた私の歌は、一部の国では発禁ものと
なり、どの国に行っても誰かに後ろ指を指される始末だ。私は、そんなも
のは望んでなどいなかった!」
唯「うそ……」
アーチャー「それでも、私は歌い続けた。それしか知らなかったし、なにより
もこれからは和を守ってあげるという在り方を選んだから!」ガン!
アーチャー「辛かったなどというレベルではなかった。スタッフの目は軽蔑。
私の同類の人間からは、肉体の関係を迫られた! それは、決して一度や
二度ではない!」
アーチャー「それでも私は笑うしかなかった。和に、心配をかけたくなかった
から……」ギン
唯「――んん……!」ギギギ
アーチャー「歌ってさえいれば、私を見てくれていた。私は、今の自分を忘れ
ることができた」
アーチャー「でもね――和には、そんなものはなかったのよ」
みんなの評価 : ★★
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