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元スレ麦野「・・・浜面が入院?」
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「いや、でも俺も血気盛んな男子であるからして、仕方ないことなんだって!」
「血気盛んなって何・・。っていうかそこは否定しておきなさいよ。」
「いや、勘違いしないでくれ、これは健全な男子には当然の・・」
「ハイハイ、浜面クンの苦しい弁解は、聞くに堪えないわ。」
くそッ、と悔しがりながらも、はぐはぐ、とマフィンを食べ続ける浜面。
それを見ながら、ふと麦野は思う。
「・・それ、美味しい?」
「あん? いや、お前だって同じもの食べてんじゃん。」
「良いから。アンタ的にはどうなのよ、って話。」
「あ、ああ。 ・・かなり美味いぞ。世辞抜きで。」
今日一日、病院食しか食ってないからかもしれないけどな、と浜面は付け足す。
「・・そ。ありがと。」
一方の麦野は半分スッキリしたような、半分不満を残すような、不完全燃焼の表情。
「(・・何で麦野が礼を言うんだ?)」
マフィンを目一杯口に入れたまま、首を傾げる浜面。
一方の麦野は、浜面らしいやっつけな感想とはいえ、とりあえず、それで納得することにした。
彼にそれ以上の言葉は期待してはいないし、何よりこの朴念仁は、
麦野が自分で作ったマフィンであることを察していない。
自分からそれを言うのも癪だった麦野は、口をつぐんだ。
「あ、そうだ。あとこれ。」
「・・・・、なんだこりゃ。」
見れば分かるでしょ、という彼女が懐から取り出したのは、一つの缶詰だった。
浜面の脳裏には、なぜか無邪気に笑っている金髪の少女が浮かんでいた。
「今日の朝、たまたま食べ忘れた缶詰だってさ。どうせだからあげるって。フレンダが。」
「・・あ、ああ。一応、ありがとよ、って伝えておいてくれ。」
何ともいえない表情をした浜面は、缶詰を受け取ると、枕元に置く。
しかし、夢に缶詰が出てきそうな気がしたため、棚の上の、滝壺が持ってきた花の横に並べて置いた。
そのとき、とある物体が目に入った。
これを読むと原作でのデスデレと鯖缶の扱いが不憫でしかたなくなるな
「・・?」
花や缶詰が置かれた棚の、一段下。
引き出しから、何やら光るピンクの布のようなものが少しだけはみ出していることに気づいた浜面。
見覚えのある色合い。
再度、全米が泣いた史上最高の驚異的致命傷を浜面に与えた、あの強烈な光景が脳裏に浮かぶ。
そう、それは数時間前に滝壺が着た、燦然と光り輝いていたピンクの―――。
「(・・・・な、なにィィィィッッッッ!!!???)」
思考停止。
「・・な、なに、アンタ。顔がひきつってるわよ?」
唐突に、顔を真っ赤にした浜面に、若干引き気味の麦野。
「もしかして、やっぱりそれ美味しくなかった?」
「い、いや、違う・・、マフィンは美味しく頂いていますが・・、が・・。」
とりあえず、布団を頭から被り、シンキングタイムに突入する浜面。
「(あンの・・バカ絹旗ッ・・、あの後、どさくさに紛れて放置していきやがったのかッ・・!!)」
「・・・・?」
麦野がお見舞いに来ることを彼女が知っていたのかどうかは定かではない。
しかし、あろうことか、事実として、絹旗はバニーの衣装を病室に放置していっている。
最後の最後で、素晴らしく憎い置き土産である。
これが麦野に見つかれば、右足の怪我どころでは済まない。一瞬で消し炭にされる可能性があった。
冷や汗をダラダラ垂らしながら、布団から顔を半分だけ出し、正面の壁にかかる時計を見る。
「(いや、よく考えろ・・。面会時間は確か八時まで・・、現在七時三十分・・。
あと三十分しのげれば俺の勝ちッ・・しかし、バレれば、俺の人生はメルトダウンッ・・!!)」
すっかり、キュッと絞まってしまっていた胃袋に、とりあえず何か入れようと、マフィンに手を伸ばす。
しかし。
「・・・・、何コレ。」
「(ぐ・・・、ぐぼぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!???)」
横を見ると、麦野がキラリン☆ピンクのレオタードを手でぶら下げていたのが分かった。
それにつられて、ウサ耳と網タイツも続々と出てきていたようで、床に散らばっている。
「さっきから何をチラチラ見てるかと思えば・・、入ってきたときから気になってたのよねコレ。」
かくいう麦野がどんな表情をしているかは、浜面からはイマイチ彼女の顔が見えないため、分からない。
「(・・・マフィンを食べるより、遺書を書くのが先だったか。)」
麦野の勘の良さと、自分の不幸っぷりと、絹旗の策士っぷりを恨んだ浜面。
ちなみに、彼は滝壺のことは恨まない。バニーガールは彼の中で絶対的正義(justice)だからである。
「・・アンタ、なんでこんなの持ち込んでんの?」
麦野の冷ややかな声に、全身の毛穴が開ききってしまったような感覚に陥る。
未だ麦野はこちらを見ようとはしていない。
っていうか、何で俺が持ち込んだこと確定なんだよ、と心の中で愚痴る浜面。
滝壺が着たときにやや大きめサイズと麦野プラグは立ててあったぞ!!!!
「(・・・エロ本が母親に見つかったガキの気持ちってこんな感じなんだろうな。)」
とはいえ、ごまかす理由が見当たらない。
新人棋士・浜面仕上は、1手目から王手をかけられていた。
「(どうするッ・・何か、なにかごまかせる良い手はないのかッ!!??)」
なぜか頭の中で、一人で退屈な浜面くんにズリネタを超提供でーす☆ とか笑っている絹旗が浮かんでいた。
あの性悪女狐・・。退院したら、ぜってー泣かすッ・・! と決意するも、
退院する前に、今ここでくたばりそうになっていることが大問題である。
人生の終わり、チェックメイト、カーテンフォール。
様々な終焉の言葉が、巡り巡って、浜面の終了を告げようとしていた。
「・・アンタさぁ。」
浜面は両腕を前に構え、目を閉じ、今か今かとビクビクしている。
やがて、麦野がゆっくりと口を開く。
「アンタ、女装趣味があったのね。」
「・・・・・、えっ?」
麦野が自分をどこか哀れむような表情で、浜面のことを見つめていた。
浜面はどこか拍子抜けしたような顔をしている。
「本当に居たのね、女装を趣味にしちゃう男って・・、それもまさか、こんな近くに居るとは。」
麦野は口元に手を当て、割と本気で深刻な表情をしていた。
「(な、なんだ・・? 麦野も意外とド天然さんだったのか・・?)」
予想外の事態に、半分口が開いたまま、塞がらない浜面。
しかし、一方で、最悪の展開を避けられたようにも思えた。
麦野は別に怒り狂っているわけではなく、これから精肉工場に送られる食用豚でも見るような目で浜面を哀れんでいる。
よく考えてみると、バニーガール滝壺よりも、自分の社会的地位を犠牲にした方が、まだ上手くやっていけそうな気がしないでもない。
元から最底辺のようなものだ、今更どう転ぼうが関係ない。
身体に傷を負うことには慣れている。
ありがとう神様。
ありがとう滝壺。
だが絹旗、てめぇはダメだ。
「・・あ、ああ。そうなんだ、そうなんだよ! 俺、実はそういう趣味があったんだ!」
理性が半分崩落している浜面は、見切り発車で弁解し始める。
正直、女装趣味を使ってフォローしようとするのも、かなり無理があったが。
「いや、だからって普通、病院にまでこんなの持ち込む・・?」
「あ、ああ! 我慢できなくってさ! 3日女装しないだけで、禁断症状が出ちまうんだよッ!」
ジンマシンがでちまうんだよ! と補足する浜面。
勢いづいてしまったとはいえ、我ながら酷いことをツラツラと言い放っている気がする、と痛感する浜面。
しかも、毎日のように顔を合わせている女の子に。
っていうか、自分は心に傷を負うことは慣れていなかった気がする。
しかし、今の彼がこの窮地を切り抜けるには、それしかなかった。
というか、それを選ばざるを得なかった、命に関わる問題だからである。
「頼むから秘密にしておいてくれよ・・、他の奴にバレると面倒だからさッ!」
「へぇ・・。」
麦野が何を思いついたのか、キラッと目を光らせる。
その瞬間、浜面は、漂い始めた危険な空気を本能で察知した。
少し考えた風な素振りを見せた麦野は、やがて顔を上げ、口を開いた。
「じゃあさ、これ。今着てみてよ。」
「What!?」
浜面は驚きのあまり、麦野は二度見する。
その麦野は、悪気のない子供のような笑みを浮かべているが、
彼女の背中からは、ついさっきみた絹旗のような悪魔の羽と尻尾が見えていた。
「え・・ッ? 麦野サン、今何とおっしゃった・・?」
「んー? だから、このバニーさんの衣装を着てって言ったの。」
「・・だ、誰が?」
「アンタが。今。ここで。私の前で。面会時間が終わる前に。」
外堀を埋めていくように次々と条件をつけ、バニー衣装を浜面の前にドンと突き出す麦野。
床に落ちていたはずのウサ耳と網タイツも、いつの間にか麦野の手の上にあった。
どうやら神様は、BAD ENDを2パターン用意していてくれたらしい。
もう二度と、神様なんか信じねぇ。
絹旗「――はっ! どこかでこの超クソ映画よりもおもしろそうなことが起きている予感がします!」
残念だー、はは。と怪我で固定された右足を指差す浜面。
心なしか声が震えているのが、自分でも分かった。
「何言ってんのよ、それなら最初からそんなの持ち込まないでしょうが。」
「ま、待て、(滝壺のものだから)サイズが合わないかもしれねぇじゃん!?」
「いや、これアンタのでしょうが。」
「あがッ!」
「それに心配はいらないわよ、私が手伝ってあげるし。」
「い゛ッ!?」
「あ。 あと、今着てくれなかったら、滝壺たちにバラすから、アンタの女装趣味。」
「えぐッ!?」
これ以上、彼女たちに(特に絹旗)いじられるネタを提供するわけにはいかなかった。
それに、自分を喜ばせるために、バニーの衣装まで着てくれた滝壺を裏切るわけにはいかない。
もう後には引けないのか、男なら胸張って自分が正しいと思ったことをやるしかないのか。
微塵も、女装することが正しいこととは思わないが。
しかし、そこで、浜面はさらに恐ろしい事実に気づいてしまった。
「(・・・・そういや、このバニーさん衣装、滝壺が着てた奴じゃねぇかァァッッッッ!!??)」
今更気づくのもどうかと思われるが、それは確かについ数時間前まで滝壺が着ていたバニースーツ。
あのとき、ジャージを脱いだだけで、すぐにバニースーツの姿になっていた彼女は、
恐らく病院に来る前から、あの衣装を着ていたことになる。
それだけ、滝壺のぬくもりが蓄積されているのである。
浜面の「理性」という名のダムは、まさに決壊寸前であった。
滝壺の積極的アタッチメントにより、数時間前に一度決壊しているのだが、ここに来て、再びその危機が訪れるとは。
「(む・・無理だッ・・俺には彼女の信頼を裏切ることは・・、できないッ・・!)」
バニースーツを着ても、滝壺を間接的に汚すことになり、
バニースーツを着なくても、女装趣味がバラされ、滝壺が悲しむことになるだろう。
麦野の性格はよく知っている。 実行しなかったら、本気でチクるつもりだ。
下手をすれば「アイテム」だけでなく、学園都市の暗部中に噂されることになるだろう。
超能力者(レベル5)、『女装趣味(ガールドレスホビー)』。
不幸にも、語呂が良い。
そんなことになったら、スキルアウトの元同僚にまた襲われかねない。
「(す、すまん・・ッ、滝壺、俺は・・俺はッ・・)」
滝壺がその頭につけていたウサ耳カチューシャ。
滝壺がその素肌に直につけていたレオタード。
滝壺のその華奢な足を包んでいた網タイツ。
想像を絶する葛藤の中で、漢・浜面は意を決した。
「(・・、俺は・・ッ、バニースーツを・・・、)」
浜面は身体を震わせ、痙攣同然の手を、差し出されたバニースーツに伸ばした。
ゆっくりと。
越えてはならない一線を越えるとき、浜面はまた一歩大人の螺旋階段を上ったと確信した、
そのときだった。
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