私的良スレ書庫
不明な単語は2ch用語を / 要望・削除依頼は掲示板へ。不適切な画像報告もこちらへどうぞ。 / 管理情報はtwitterでログインするとレス評価できます。 登録ユーザには一部の画像が表示されますので、問題のある画像や記述を含むレスに「禁」ボタンを押してください。
VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。
元スレ麦野「・・・浜面が入院?」
SS スレッド一覧へ / SS とは? / 携帯版 / dat(gz)で取得 / トップメニューみんなの評価 : ★★★×6
レスフィルター : (試験中)
「いや・・だって、私の願望そのままにあの二人を巻き込むわけにはいかなかったのよ・・。」
「まぁ、お姉様と一緒にこのステージに上がれた喜びもありますし、今回は貸し1、ということで協力してさしあげますわ。」
ありがとね、あとで何か奢るから、と両手を合わせる美琴。
しかし、司会者の参加者説明が、佳境に入ったときだった。
『さて、エントリーナンバー9番、高校生くらいの男の子、と・・これはシスターさんでしょうか?
外国の方も参加してくれるとは、なんとグローバルな食べ放題選手権でしょう!』
「(・・・、な、な、なんで、アイツがこんなところにッッッッッッッッ!!!???)」
美琴が見つめる先、というか、たった2メートルほど横に、上条当麻とたまに彼の周りで見かけるシスター。
上条はともかく、インデックスの方は特徴的な風貌をしているので、お面をしていてもそれが彼らだとすぐに分かった。
>>849
これなら通行止めもいるなw
これなら通行止めもいるなw
「・・くッ、またアイツは女の子と一緒に居て・・。」
「どうしましたの、お姉様・・、ってあれはいつぞやの類人猿ッ・・!?」
美琴の目を奪っていたのが、いつもの少年であることを知り、歯軋りする黒子。
とりあえず、今、彼に自分たちの存在が気づかれると色々と厄介なので、美琴は平静を保とうとする。
それに、こんな大食い大会に参加しているなんてことがバレると、彼の自分に対する評価が下がってしまうかもしれない。
「・・お姉さま、今思いついたのですが、そのお面が欲しいだけなら、
少し食べたくらいでギブアップすればよろしいんじゃないですの?」
「あ、そういえば・・、そうね。」
ポン、と手を叩く美琴。
しかし、その逃げ道さえも、塞がれてしまうのだが。
『さて、最終組・エントリーナンバー10番!
おっと、こちらも外国の方でしょうか、綺麗な金髪の女の子に、
この中では最年少に見えますねー、茶髪ショートの似合う可愛らしい女の子のお二人ですー!』
簡潔な参加者紹介が終わり、ワーッ! と盛り上がる場内。
いつの間にか、そこに居た客全員が食べ放題選手権に釘付けとなっていたらしい。
「がんばれ、絹旗、フレンダ。」
「そういえば、これって優勝したら何もらえるのかしらね?」
「さぁ・・?」
これから死闘を繰り広げてくれるであろう仲間を見つめる麦野と滝壺。
食べ放題に参加しなくて済んだため、ここぞとばかりに、麦野は身体に悪そうなものを大量に食べていた。
『では、始める前に、皆さん気になるでしょう! 優勝商品のご案内です!!』
ウォーッ!と一層盛り上がる場内。
大歓声を耳にし、タイミングを見計らう司会者。
やがて、再びスピーカーを口元に当て、口を開いた。
『なんと、優勝賞金<100万円>となっております!!!』
ウガアアアァァァッ!!!!ボルテージが最高潮になる場内。
麦野は、別に自分たちがもらえるわけでもないのに、なぜ盛り上がっているのだろう、と気になって仕方なかった。
一方で、滝壺は、もはやデフォルト化しているように、フライドポテトをもきゅもきゅ食べている。
「すごい! もし優勝しちゃったら100万円ですって! 佐天さん!!」
「・・常盤台中学のお嬢様的には、大した金額じゃないんじゃない?」
「どちらにしても、私たち、何か奢ってもらえそうですねー!」
「100万円って・・、どのくらい税金引かれるんだろうなぁ・・・。」
参加者でもないのに、心を躍らせる初春。
文字通り、頭にお花が咲いてしまっている彼女。
一方で、現実感のあることばかり呟いている佐天。
いずれにせよ、大切な友人が頑張ろうとしているのだ、応援するのはやぶさかでないだろう。
『さらに、健康ランドを、3ヶ月間、無料で毎日4時間満喫できるフリーパス二名様分を贈呈します!!』
ウワァァァァッ!!!!と 四度目の大歓声。
司会者のコメントを聞いて、ピクッと反応する麦野。
幸か不幸か麦のんも浜面もどちらかと言えばマイナーなキャラで助かったな
「・・・・、私も参加すれば良かったかしらね。ね、滝壺。」
「もきゅもきゅ。」
「・・滝壺?」
「もきゅもきゅ。」
依然、盛り上がり続ける場内、司会者が再び、スピーカーを手に取る。
『あと、これはオマケなのですが、参加者がしているカエルのお面を提供してくださった玩具店から、
同じカエルくんのデザインのスプーンとフォークセットです!』
オォォォッと若干、盛り上がりが縮小してしまう場内。
そんなカエルの柄が取り繕われたものなど、使うのは小さな子供くらいだろう。
場合によっては、そんな子たちでさえ、見向きもしないかもしれない。
しかし、そんな中でただ一人、目を輝かせる少女が居た。
「(ゲ・・、ゲコ太のスプーンとフォークセット・・!?
食事のたびに、愛しのゲコ太と会えるッ・・!!)」
「・・・・・・お、お姉さま?」
「(ゲコ太を、スプーンとフォークにする・・、この発想はなかったわ・・。)」
手をワナワナさせている美琴を見て、嫌な表情を浮かべる黒子。
「あ、あの・・、さっき言ったとおり、何杯か食べたら、ここを・・。」
「な、何を言ってるの、黒子。これは勝負の世界よ・・ッ! 敵に背を向けるわけにはいかないわッ!」
「・・そ、そうですわ! 食べるふりをして、食べ物を私の『瞬間移動』で場内のゴミ箱にでも・・」
「黒子、真面目にやって。 ・・これは真剣勝負なの、それにアイツらに負けても良いの!?」
と、上条とシスターを指差し、メラメラと闘争心を燃やす美琴。
依然、彼らは美琴たちに気づいていないのか、キャッキャと談笑している。
「これは絶対に負けられない戦いなのよ・・、正々堂々、勝ち抜くのッ! 良いわね、黒子!」
「いえ・・、別にわたくしは負けても構いませんの・・。」
恐らく、この少女は、優勝賞金の100万円も健康ランドの3ヶ月フリーパスさえも頭の中に入っていない。
何よりも、あのオマケ程度でぞんざいな扱いをされている、カエルのスプーンフォークセットが欲しいだけなのだろう。
『では、ルールを説明します。
今回、皆さんに食べていただくのは、この健康ランド、軽食コーナーの人気トップ10のメニューで、
10位から1位まで、順番に一品ずつ出てきますが、何が出てくるかは、そのときのお楽しみということで!
ちなみに、二人組とはいえ、二人で一つの食品を食べていただくことになりますが、
一人が一気に食べ始め、選手交代しながら食べるも良し、二人で協力して、えげつなく一品を食い散らかすも良し!
戦闘方法を各自が話し合ってから食べると、大変効率良く進めるかもしれません!』
「二人で一つの食品を・・ですの・・?」
「・・どうしたの? 黒子。」
「(・・お姉さまと二人で一つの食べ物を食べる、それすなわち、ほぼ間接キスを続けながら食べるということッ!」
ローテンションだったツインテール少女のモチベーションも上がったところで、
ステージの横から、店員らしき女性たちが、最初の料理を持って、それぞれの10組の前にたっていた。
その料理は、中華料理屋などでよく見るドーム状の銀の蓋がしてあって、中身が何だか分からなくなっている。
『ちなみに、制限時間は1時間となっていますが、早く食べたコンビが優勝、というわけではありません。
とにかく、多く食べたコンビの勝ちとなっております。
つまり、最後まで食べ続けることのできた二人が優勝の栄冠に輝くのです!!』
グオオオオオッ!!!!、と爆発寸前になっている会場のテンション。
ついに、地獄のサバイバル・チャンピオンシップが幕を開けようとしていた。
『準備はよろしいですね!? ・・・では、健康ランド・食べ放題選手権、開始です!!』
カァーン!! と何処からかゴングが鳴り響き、後世に語り継がれる伝説の幕が、今開けた。
開始から30分程度が経過、食べるのが早いチームだと、残り2品、すなわち、軽食コーナー人気メニュートップ2が残った状態になっていた。
既に半分の5組が脱落しており、残りは、絹旗・フレンダ、上条・インデックス、美琴・黒子たちを含んだ、5組だけとなっている。
会場中の視線が彼らに注がれ、いつの間にか蒸し暑く、熱気がこもり始めていた。
『おーッと、銀髪の外国人女の子チーム、ラスト2品に突入しました!
ここで登場するのは、健康ランド・人気メニューナンバー2、
学園都市一と名高い麺職人が作っている、健康ランド名物、「ダイナミック健康トンコツラーメン」です!』
一般人では、とても食べ切ることのできないような大皿のラーメンがインデックスの前に置かれた。
しかし、彼女は箸を持つやいなや、間髪入れず、お皿に顔を浸すように口を近づけ、麺にすすりつく。
知っている人は真っ先に彼女たちを優勝候補にあげるであろう、上条・インデックスチームは、
エース・インデックスに一人で先陣を切らせ、未だ彼女一人が食べ続けている状態であった。
これまで八品のメニューを平らげているにも関わらず、彼女は依然、満腹そうな素振りを全く見せていない。
上条は、そんなブラックホールのような胃袋を持つ彼女の背を見つめながら、笑いを堪えられずに居た。
「まだだ・・まだ、笑うな・・・、いける、いけるぞッ、インデックス。
お前の大食っぷりには、この上条さん、幾度となく泣かされてきた・・、
だが! その無念が今ここでようやく報われようとしているッ!!
インデックスの大喰らいっぷりが、今初めて、俺の役に立とうとしているんだッ・・。」
「がぶがぶがぶがぶがむしゃむしゃむしゃむしゃー!!!!!」
インデックスの勢いは止まることはない、何者も止めることはできない。
彼女の胃袋の中は、何らかの空腹の術式が施されているのではないだろうか、と魔術師は疑ってしまうだろう。
それくらいの暴食っぷりであり、会場の大半がインデックスの食べっぷりに魅了されていた。
一方で、こちらも健闘を続けている、御坂・白井チーム。
この二人は、協力しながら(黒子の思惑通り)、食べ続ける姿勢を取っていた。
しかし、そろそろ限界寸前となっている二人、箸を動かすスピードも序盤に比べ、
明らかに落ちていた上、彼女たちは、未だ6品目で止まっている。
上条・インデックスチームに比べると、明らかに見劣りしていると言いざるを得ない状況だった。
畜生ッ…!!支援したいけど寝る
明日の12:00時にログが残ってるといいことを期待するわ
明日の12:00時にログが残ってるといいことを期待するわ
「(く・・うぷっ・・、ゲコ太・・、待ってなさい・・貴方は・・、私が必ずッ・・。)」
「(あはぁん・・、苦しそうにしているお姉さまも・・ス・テ・キ・ですわ♪)」
「(制限時間はあれども・・、とにかく食べ終えることが、最終目的なのよ・・っ、うっ・・。)」
「(とりあえず、滅多に見られない、食べすぎて今にも吐きそうにしているお姉さまを、テイク・ア・ピクチャーですのッ!」
必死に、目の前にある、6番目に出されたビッグな焼きそばと戦っている美琴を、携帯でパシャパシャ撮る黒子。
回り込んで真正面から、ガッと近づいて口元ギリギリを、そして、関係ないはずのスカートの中までも撮影。
食べることを忘れ、幾度となくフラッシュを焚き、美琴の周囲をウロチョロする黒子。
ステージ上で、悪戦苦闘している美琴と黒子を見て、何か思い当たることがあるのか、考え事を始める少女。
美琴と同じ、学園都市の超能力者(レベル5)の7人の1人、麦野沈利である。
「ねぇ、滝壺。どうもさっきから気になるんだけど、8番の、あの常盤台中学の二人、どっかで見たことない?」
「もきゅもきゅ。」
・・気づかれることはなかったようだ。
そして、そのとき。
・・プチンッ
協力もせずに、自分を携帯のカメラで撮影し続ける黒子。
ただでさえ、苛々していた美琴の堪忍袋の尾が切れた瞬間だった。
「ぬああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!! うざッたいわァァァァァァッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
ガッシャァァン!というすさまじい音と共に、食べていた焼きそばと長テーブルをひっくり返す美琴。
ポーン、と放られた焼きそばが、放物線を描き、着地する。
ステージのすぐ前に座っていた、麦野の頭の上に。
「・・・な、何よこれェェェェッッッッッッッッ!!!???」
「む、麦野?」
空から降ってきた焼きそばを浴び、悲鳴をあげる麦野。
麦野の美しい茶髪ロングに焼きそばが加わり、ギリシア神話の魔女・ゴルゴンみたいなことになっていた。
一方、その原因である美琴は、公共の場でもあるため、能力は使わないまでも、
ステージ上で黒子を相手どり、全力で暴れまわっており、てんやわんやの大騒ぎである。
『あーッと、常盤台中学の女の子コンビ、食品を投げ出してしまいました!!
これはいけません、即座に失格となります!!』
「・・はぁはぁ、はぁ、・・はぁ・・・・、え、あれ?」
「お、お姉さま・・く、苦しいですの・・、その手をお離しになってください・・ですの。」
ガックリ、黒子の首がうなだれ落ちたとともに、彼女達の短い戦いが幕を閉じた。
美琴・黒子コンビ脱落してから15分、つまり、食べ放題選手権開始から、約45分が経過。
こちらもまた、小柄な身体ながら健闘を続ける、絹旗・フレンダチーム。
ちなみに、上条・インデックスチームと同様に、交代しながらの戦いを繰り広げていた。
しかし、この二人はインデックスのような反則的胃袋の持ち主ではないので、
1時間の制限時間をフルに使い、ゆっくり食べつつ、交代しては、片方はゆっくり小休止する、という戦法を取っていた。
フレンダが、特大のトンコツラーメンを汁まで、吸い尽くし、バチンッ!と箸をテーブルに叩きつけた。
「・・うぷっ・・、結局、今これ・・・、何皿目、だっけ?」
「恐らく、これで9皿目でしょうか。 あと10分でラスト1品、順調すぎて怖いくらいですね。」
「あの・・、次、絹旗。お願い、結局、私・・、もう、この、トンコツラーメンが効きすぎて・・・。」
「ええ、任せてください。私も超辛いですが、ここまで来ましたし、超ラストスパートをかけましょう。」
『おーッと、ここでエントリーナンバー10、最年少の女の子二人組、最後の10皿目に入りました!
見た目に反して、かなり強靭な胃袋を持っていたようですね。
既に完食して、残りのチームが脱落するのを待つばかりの、少年と銀髪少女のコンビに次ぐ形となります!
最後の一品は、本場・インドからやってきた料理長が秘伝のスパイスをふんだんに使った、
健康ランドで最も人気のある、最強の「超激辛カレーライス」です!
死ぬほど辛いこのカレーを食べて、汗をたっぷりかいていただきましょうッ!』
そのコメントを聞いた絹旗が、口を半開きにさせたまま、唖然としていた。
やがて、彼女の目の前に「超激辛健康カレーライス」がその姿を見せる。
カレーというのは、本来、茶色・こげ茶色をしているのが一般的だが、
これは一味も二味も違うようで、カレーとしては有り得ない、血のような赤い色をしていた。
お皿の隅に添えられていた福神漬けよりも真っ赤である。
それを目に入れながら、手を膝に置いたまま、微動だにしない絹旗、どうも様子がおかしい。
「ど、どうしたの、・・絹旗。スプーン持って・・ほら、うぷっ・・早く!」
「フ、フレンダ、どうしましょう・・、私。」
「・・え?」
「私、こんな激辛カレーなんて超食べられません・・ッ。」
「な、なァァァァッッッッッッッッツ!!!???」
椅子から転げ落ちそうになるフレンダ。
思わず、胃袋に入ったトンコツラーメンが大量放出されてしまうところだった。
慌てて、口を押さえながら、何とか言葉を搾り出す。
絹旗は両手で顔を覆ったまま、それが夢であってほしい、と願っていた。
「・・・こ、ここに来てッ!?」
「夕食食べているときに言いませんでしたっけ・・、私、甘口以外のカレーライス、食べられないんですよ・・。」
「な、な、な・・ッ!」
「フレンダ、ここは貴方にお願いできませんか・・ッ!」
一方、二人がそんな苦境に立たされているとは知らず、ここぞとはがりに頼んだ軽食の山を堪能しながら、見守る麦野と滝壺。
先ほど、麦野の頭にかかった焼きそばは、『原子崩し』により、消し炭になっていた。
制限することが難しかったので、少し周囲にご迷惑をおかけしてしまったが。
未だに彼女の頭からは微妙に焼きそばの匂いがしていたが、止むを得ない。
あの二人の攻防から目を離すわけにはいかなかったのだ。
「・・絹旗、確か『確かに、私は中辛以上のカレーライスを食べることはできません。』とか言ってたなかったっけ。」
「大丈夫かな・・絹旗とフレンダ。」
「っていうか、もう『軽食』っていう枠に捉われてないものばかり出てきてるわね・・。」
果たして、あの二人は、「超激辛健康カレーライス」を食べ切り、
王者・インデックスチームへの挑戦権をもぎり取ることができるのか。
もう平らげてるだろwwwwww禁書ならwwwwww
くさってる焼きそばパンとか炒め物でもダイジョーブな舌もってんだぞwwwwwwww
くさってる焼きそばパンとか炒め物でもダイジョーブな舌もってんだぞwwwwwwww
「じ、冗談、勘弁してほしいよ・・絹旗。 結局・・、もう、私・・無理・・うぇげッ。」
「で、でも超無理ですよ・・、こんな・・、っていうか、この色見てくださいよ、この色。」
「・・す、すごい真っ赤っかだね。」
「普通の中辛カレーでも超涙目になってしまうこの私がこんなの食べたら・・、舌が取れちゃいますよ。」
「で、でも、結局、私の胃袋の入り口をトンコツラーメンが塞いじゃってる状態なんだけど・・。」
「・・・、私が行くしか・・ない、ということですかッ・・・。」
フレンダは、両手で妊婦のように膨れたお腹を擦っている。
スプーンを震える手で握る絹旗、それは敵を切り下ろすための剣のようだった。
今日一日、彼女は何度も汗を流してきたが、これほどまでの量の冷や汗をかいたこともない。
無論、場内の熱気によるものではない。
ちなみに、緊張で沸騰した彼女の頭の中に、ギブアップという単語はなかったらしい。
「・・・・・私は、私はっ・・。」
ブラックコーヒーが飲めるようになれば、大人の証だとよく聞く。
それは辛口のカレーライスにも置き換えられるのではないだろうか。
今日だけでも、何回、麦野やフレンダに子供扱いされて憤慨したことか。
そう、これは子供の殻を破ることのできないでいた自分に対し、神が与えた試練、大人になるための宿題だ。
お尻に卵の殻を付けたままの子供であれば、誰でも通らなければならない道、課題。
それがたまたま、自分に対して、「超激辛カレー」という姿になって、立ちはだかっただけ。
荒ぶる心臓の鼓動が、命の危険を知らせていた。
しかし、この壁を乗り越えなければ、自分は大人になることはできない。
恐らく、子供のままの自分を、きっと、彼は一人の女性としては見てくれないだろう。
「(・・・・・私は、大人の階段を、超特急で上ってみせますッ!!!!!)」
その日、絹旗は、大人の階段を三段飛ばしで上ることに成功したのだった。
カーンカーンカーンカァァァァーン
『ここで、タイムアップ! これは面白いことになってきましたッ!
残ったチームは二組! エントリーナンバー9番!!
私たちとは同じ人間とは思えない銀髪の少女と、平凡な高校生の少年のコンビ!!
なんと、恐ろしいことに10品すべてをこの少女一人で食べ切ってしまうという暴挙! いえ、快挙!!
次は優勝決定戦のタイブレークに突入となりますが、100万円をゲットしたも同然か!!』
スポットライトが当たったところには、口元を食べかすだらけにしながらも、ドンと胸を張るシスター・インデックス。
どう見ても、10品すべてを食べきったような姿には見えなかった、しかし、彼女は不可能を可能にした。
その横に、一口も食べず、未だ箸すらも持っていない上条当麻。
その顔には、勝利を確信したのだろうか、うっすらと笑みが浮かび始めていた。
そして、司会者の女性が、場内の歓声を気持ちよく浴びているインデックスに、マイクを向けた。
「まだッ! 私はッ!! 食べ足りないんだよぉぉぉぉぉッッッッッッッッ!!!!!」
ウオオオオオオオオオオオオッ!!!と唸り声をあげる会場の男共。
『さて、この絶対的王者に挑戦状を叩き付けたのは、エントリーナンバー10番!!
最もオッズが低かったのではないでしょうか、可愛らしい少女二人のチームです!!』
スポットライトが当たったところには、食べ物を消化し終わったのか、右拳を高々と挙げるフレンダ。
と、長テーブルに上半身を突っ伏したまま、全く動く気配のない絹旗。
ちなみに、観客側から見ると、ステージ上の絹旗のアレが丸見えになっているのは、ちょっとした秘密である。
鼻息を荒くするフレンダに、インデックスのときと同様に、司会者の女性がマイクを向けた。
「結局、偉い人は言った・・、勝ち目のない戦いだからこそ、祝勝の酒は何よりも美味いものだとッッッッッッ!!!!!」
ウガアアアアアアアアアアアアアアッ!!!と再び唸り声をあげる会場の野郎共。
彼女たちの闘志溢れる言葉と姿勢が、彼らの心の琴線に触れたのだろうか。
その盛り上がりっぷりに呼応するように、未だ天に向かって、拳を突き上げたままのフレンダ。
類似してるかもしれないスレッド
- 佐天「・・・ふしぎなアメ?」 (661) - [48%] - 2010/3/19 21:01 ★★★
- 杏子「・・・ほむら?」 (493) - [47%] - 2011/11/1 5:45 ★★★
- 男「・・・おっぱい?」 (319) - [47%] - 2010/7/15 0:00 ★
- 上条「孫・・・悟空さん?」 (650) - [46%] - 2010/1/12 22:15 ★★★×5
- 魔王「テレビとはなんだ?」 (209) - [46%] - 2013/2/22 23:30 ☆
- 番長「クリムゾンの迷宮?」 (1001) - [43%] - 2012/5/20 13:00 ★
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について