元スレ新ジャンル「囚人二人」
新ジャンル覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
353 :
何が新ジャンルだよ馬鹿ヤロー
と最初は思ってたけど、ここまで読んだ今ならわかるwww
いいぞもっとやれ
354 :
鬱でもハッピーでもいいから先が気になる!
355 = 329 :
男「お。空が明るくなってきやがった」
女「……うん」
男「夜が明けきったころに看守が来るはずだが……さて」
女「…………っ」
男「よっ、と」
男のかけ声とともに、ごきん、と鈍い音がする。
女(え……? 今の音は――)
男「うお!? なんだ、間に合ったってのか!」
女「え!? 一体どういう――」
男「はっは! 詳しく話してる暇はねえが、つまり――
しばらくは、死ぬなってコトさ!」
女「えっ――男? ねえ、男ー?
返事がないっ……何がどうなって――」
356 = 327 :
オチを見る前にもう眠らせてくれ
357 = 337 :
急展開!?
358 = 329 :
>>355
女(結局返事がないまま朝になっちゃった……)
看守「おい、時間だ。出ろ……
なに!? いない!?」
女(!? まさか――)
看守「窓の格子が一本折れてる! まさか、脱獄か!?」
女「――――!!」
359 = 329 :
>>358
女(そういえば……あいつ、言ってた)
男『世の中なにが起こせるかわかんねえ、ってな』
女(考えてみれば、壁に穴開けようって奴だもんね……
格子に同じような細工をしようとしたって、何も
不思議じゃない。でも、コンクリートの壁と
鋼鉄の格子じゃ、勝手が全然違うはず……)
看守「格子の根元がぼろぼろに錆びてる。なんでだ、
錆止めの塗装がしてあるってのに!」
女(それは、何も不思議じゃない。フォークの先で
毎日しつこくつつけば、塗装くらいならはがせる。
でも、錆びるまでが早すぎる……
錆びるために必要なのは……塩分? でもここは
潮のかおりもしないし、海からは遠そう。
あるとしたら、食事の汁物? ごはんが足りない
足りないってぼやいてたのは、そのせい?
あとは……まさか、血とか……?
ともあれ、さっきの『間に合った』ってのは、
刑の執行より手で折れるくらいまで格子が錆びる
ほうが早かったってこと)
360 :
いや追いついちまった
保守
361 = 353 :
これはハッピーエンドへシナリオ変更の>>1の良心かw
363 = 335 :
急展開だ
しかし女はどうなるんだ…
364 = 329 :
>>359
看守「とにかく、探せ! 急ぐんだ!」
女(おそらくは探しても無駄。
男が出ていってから、数時間は経ってる。わたしで
さえ、ここに連れられてくる間の道順は覚えてる。
男が覚えてないはずがない……
たぶん、もうこの刑務所の中にはいない。
問題は……たぶん、警察が動く。このあたり一帯を、
包囲することになるはず。
そこを突破できれば、男は逃げ切れる)
女(でも、納得できない。
男は仲間を大事にする性格のはず。約束を破るなんて、
考えられない。根拠はないけど、わたしはそう
信じてる。なのに……
夫婦の契り、どこに行っちゃったの……?)
365 :
追いついた!
いやー久々の良スレだ。すごい自分好み。
>>1頑張って
366 = 354 :
寝る時は言えよ!
すいません寝ずに書いてください
367 = 335 :
女かわいいいいいあ
368 = 353 :
女救出作戦開始
総員持ち場にて待機指示をまて
369 = 329 :
>>364
男『しばらくは、死ぬなってコトさ!』
女(意味がわからない。でも、あいつがそう言うなら……!)
370 :
ねれねーょwww
371 = 335 :
よろしい、ならば支援だ
372 :
追いついた…
これは超展開だな かなり楽しみ
そして規制解除ktkr!
373 = 335 :
>>1がんばれ
374 = 329 :
>>369
女(あれから、数日。男が捕まったっていう話は聞かない……)
看守「おい。手紙が届いてるぞ。父親からだそうだ」
女「! わかった。おつとめごくろうさま」
女(どういうこと? わたしに父親なんていないのに……
すごい当たりさわりのない文章。まあ、手紙のたぐいは
全部チェックされるから、あんまりやばい表現がないのは
当然だけど。にしても、だれがこんなのを……
あれ? 最後のこの文)
『つらいことがあっても、笑い飛ばすようにな。
はっは、と』
女「――――! まさか」
376 = 329 :
>>374
女(あれ、男からの手紙だよね……
あれから一ヶ月経ったけど、なんの音沙汰もない。
どうしてるんだろう。捕まってないかな……)
看守「おい。出ろ」
女「え……?」
看守「そんな顔をするな。おむかえじゃない」
女「どういうこと?」
看守「詳しく話すと長くなる。とにかく、ここを出るんだ」
377 = 329 :
>>376
女(詳しく説明してもらったけど、まだ状況が把握しきれない。
わたしに人を殺させた、あいつ。あの男がやってきたことが、
明るみに出た。拾った女の子たちを使って邪魔者を消し、
のしあがっていったことが……
わたしと同じように利用されてきた女の子が、何人か保護
されたらしい)
所長「――ということだ。
本当なら一事不再理といってな。一度確定した判決が
くつがえることはないんだが、事が事だけに世論が動いた」
女「……そうだったんですか……」
所長「刑事訴訟法第435条により、再審を待つことになる。
それまでは勾留させてもらうが、おそらくは情状酌量の
余地と心神の耗弱状態だったことが認められ、
大幅に減刑されるだろう」
女「…………」
男『おまえには、まだ目は残ってるかもな』
女(あれは、多分このことだったんだろう……)
379 = 329 :
>>377
春が近づき、潮のかおりをたっぷりと含んだ風から
身を切るような厳しさがなくなりはじめた、ある夜。
女はひとり、波止場に立ちつくしていた。
小さな雲がまばらに浮かぶ夜空に皓々と輝く月が、
あたりを淡く照らし出す。水面に浮かぶもうひとつの
月は、女の心と同じようにゆらゆらとゆらめいている。
女「いい月だなあ……それに、あったかくなってきたね。
ねえ、いるんでしょ?」
虚空に声を投げかける。それが夜風に溶けて消え行ったころ。
「ああ……いい月だ。男と女の逢瀬を覗き見てるってのは、
なんとも趣味が悪いがな」
声が届く。ふり返ると、そこに。
380 = 329 :
>>379
男「よう。奇遇だねえ……こんなところで会うとはよ」
女「これ」
女は答え、一枚の紙切れをポケットから引っ張り出す。
勾留されている間に、受け取った最後の手紙。
男「お。気づいたか? さすがだねえ。行の最後の文字を
つなげて……」
女「『よる、よこはまこうで、まつ』」
男「ご名答」
女「日時までは指定してなかったのにさ。ホント、ばかだよね」
男「どういう意味だこいつめ」
女「毎晩ここにいたんでしょ」
男「るっせ」
381 = 329 :
>>380
女「あれから、再審してもらった」
男「知ってる」
女「わたしに人を殺させた、あの男。その悪事を暴いたのって、
あんたでしょ?」
男「さあなあ」
女「あんた以外に知ってる人なんてほとんどいないはずだしね。
まったく、警察から逃亡しながらそれだけのことを
やってのけるなんてね」
男「凶悪かつ危険この上ない無差別連続殺人犯ってのは、
ダテじゃねえさ。似たようなもんだった」
女「……ごめんね。二度とやりたくなかったはずなのに」
男「……いや。今度のは、人を救うためにやったことだ。
全然、違う」
女「うん……ありがとう」
男「はっは」
382 = 329 :
>>381
女「結局、心神耗弱と酌量減軽が認められて。執行猶予って
ことになった」
男「それも知ってる。世論がうるさかったからな」
女「それも、あんたの差し金?」
男「そいつは過大評価ってもんさ。
言ったろ、俺はまだ人間ってもんに絶望してねえんだ」
女「楽観的だよね。もし猶予がつかなかったら、数年は
出てこられなかったのに」
男「はっは。ま、日本の司法は女に甘えからよ、こうなる
んじゃねえかって思ってた」
女「それにしたってさ」
男「……まあ、どうなろうが俺は、おまえがここに来るまで
待ってるつもりだった」
383 = 329 :
>>382
男「ここで問題なのはよ。おまえは晴れてシャバに帰ってきた
わけだが」
女「あんたはまだ脱獄者、ってことだよね」
男「そういうことだ。で……もう目的は果たしたからな。
あそこに……独房に、戻ろうかと思ってる」
女「そんな……冗談でしょ?」
男「罪はつぐなわねえとさ。
だれかが俺を必要としてくれない限りは、
生きてる意味もねえしな」
384 = 329 :
>>383
女「……あんた。怒るよ……?」
男「けど……おまえが引き止めてくれるなら――」
女「怒るよって言ってるの。答え、知ってるくせにさ」
男「いや、わかってる。きたねえ正当化をやってるってことは。
でも……俺は――」
女「わたしには、頼れる人が男しかいない。男がいないと、
わたし――」
男「……へへ。きたねえよな。俺……
よう。おまえ、英語はできるか?」
女「……へ? いや、全然。なんで?」
男「ほら、あの船」
女「え?」
男「貨物船だ。アメリカ行きのな」
女「……まさか、あんた」
男「密航しようと思ってる。この国じゃあ俺は生きてけねえ。
おまえも一生日陰者だ。だから……
戸籍もなにもねえ、自由の国アメリカで。
もう一度、やりなおそうと思うんだ」
女「…………」
男「……来るか?」
385 = 329 :
>>384
女「『来るか?』だってさ。すっごいマジメな顔して」
男「本気で言ってる」
女「知ってるよ。なんでそんなこと聞くわけ?」
男「え……?」
女「答え、知ってるくせにさ」
男「……ああ。そうだな。いや悪かった。
おっしゃあ! んじゃあ、行くぜ!」
女「うん!」
そして、二人はアメリカへと旅立つ。
この元囚人二人がこれからどんな道を歩んでいくのかは
まだわからないが――
それはまた、別の話。
387 :
>>385
いま起きた乙
388 = 335 :
ただただ乙
389 :
面白かった。乙!
390 = 360 :
お見事だ
391 :
おっつ!
392 :
いちもつ!
394 = 329 :
>>385の直後にばいばいさるさん食らった。危なかった
なんかもう超のつきそうな超展開だが、>>231が鬱エンド
(かつ、死後に結ばれエンド)をやってしまったので、
路線変更してみた
辻褄を合わせるために伏線張りまくったせいで回収部分が
長くなってしまったが、勘弁してくれ
395 = 362 :
乙だぁ
すばらしかった
397 = 386 :
じゃあ二人とも救われないエンドを俺がだな…
398 :
久々にいい物見たよ
399 = 329 :
書くのが遅いせいで長い時間つきあわせてしまって
すまんかった。保守ってくれたみんな、ありがとうさんよ
>>397に期待しつつ俺はROMになる
みんなおつかれさん ノシ
400 = 354 :
他のendもかけたら書いてくれよ
他の人が書いたのとか気にせずさ。
まぁ眠いがな
みんなの評価 : ★
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